「NYダウ安く、ナスダック高い」
「銀行経営不安続き、長期金利低下」
「東京エレクトロン、24年3月期大幅減益」
「24年以降の半導体市場は成長...」
5月11日の米国市場では。NYダウが0.6%下落、ナスダック指数は0.1%上昇しました。
預金流出が明らかになった一部金融機関の株価が急落するような事態が続いています。一方でアルファベット(グーグル)が4%上昇するなど、巨大IT企業が投資資金を吸引し、ナスダックが相対的に強い展開です。10年債利回りは一時、0,09%Pほど低い3.34%台まで低下しました。景気への警戒感は強い状況です。
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東京エレクトロン(8035)は11日、23年3月期の決算を発表しました。今年度(24年3月期)について、減収減益の計画が発表されました。
東京エレクトロンの2024年3月期の業績計画
売上高 1兆7000億円(-23%)
営業利益 3930億円(-36%)
東京エレクトロンによると、今年暦年(~23年12月)の半導体市場は約10%の減少が想定されています。しかし、来年(24年1月~12月)の半導体市場は、22年を上回るとしています。つまり22年100として23年は90になるが、24年は100を上回るとのことです。もう既に5月も半ばになります。株式市場は先のことを織り込むのが得意ですので、半導体市場のマイナス成長の転機を意識する時期も近いのかもしれません。
半導体製造装置の前工程の市場も現状は調整局面ですが、今年後半にロジック・ファンドリーから徐々に回復して通年で700~750億ドルの市場になると見ています。インテルやTSMCから投資が回復するのですね。
24年の前工程市場は成長が予想されています。東京エレクトロンによる24年市場成長の理由を以下に列挙します。
- 消費者向け電子機器需要とIT投資の回復
- データセンター投資の拡大(新しいCPUが、高性能・省電力のサーバーの入れ替えを促進する)
- スマホ需要の回復
- コロナ期に購入されたPCの買い替え需要(OS移行)
- EV・自動運転増加に伴う自動車向け半導体需要の拡大
基本的には「大幅減益見通し」は株価の悪材料です。しかし、在庫調整の影響による減益の時期を終えれば、先行きは増益になる。昨年22年と比べても来年24年の半導体市場が大きくなるのであれば、売られる時間は限られていると考えた方が理屈に合うでしょう。
仮に東京エレクトロンの株価が「24年3月期の減益を気にせず、25年3月期の業績拡大を評価する」の展開に入るならば、同じ視点で買われる半導体関連株もたくさん登場するでしょう。
10日前の2日、半導体パッケージ材料メーカーのイビデン(4062)がプライム市場の上昇率ランキングでトップとなりました。イビデンの中期計画では3年後の利益急拡大が描かれています。
イビデンの中期計画における営業利益目標
24年3月期 520億円
25年3月期 730億円
26年3月期 1250億円
26年3月期の営業利益は、今年度予想値の2.5倍近い規模が計画されます。東京エレクトロンもイビデンも24年以降の半導体市場が回復・成長するとしています。
5月12日午前6時30分記