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「日本企業の決算内容評価→徐々に上昇幅が拡大」

「配当金・株主還元姿勢、予想を上回る」

「東京鐵鋼大幅増配、株価15%上昇」

「利益大幅増加→自己資本急増→株主還元強化」

「自己資本急増下でPBR低下を抑えるためには?」

 

 

5月9日の日本株は上昇しました。朝6時段階の日経平均先物夜間取引の終値は29040円でした。取引時間中において、日本企業の決算内容を評価する買いが徐々に活発になり、上昇幅を広げる展開となりました。

 

 

「決算内容を評価する買い」は「配当状況を評価する買い」に置き換えても良いと考えます。警戒されていた決算内容がさほど悪くはならず、かつ配当動向については投資家の想定を上回る水準が企業から発表され、日本株評価につながっています。

 

 

伊藤忠が連日の高値更新です。本日の取引時間中に決算を発表しました。24年3月期の最終利益は2.6%減益見通しですが、配当金計画は20円増配の160円と発表しました。株は減益よりも配当増加に強く反応しました。

 

 

                     ☆

 

 

プライム市場で上昇率2位となったのが東京鐵鋼(5445)です。建設業界向けを主力とする電炉メーカーです。8日午後2時に決算を発表しました。23年3月期の配当金を年間110円(22年3月期実績20円)にすると発表しました。そして24年3月期の年間配当金計画は150円としました。

 

 

東京鐵鋼の株価は、決算発表前の2日終値は1881円でした。好決算・増配を好感して8日にストップ高となり、本日9日も大幅続伸です。前期見込みと今期計画を合計した2年間の配当金は260円です。高配当が株価水準を変えました。

 

 

株価水準は大きく切り上がりましたが、東京鐵鋼のPBRは約0.5倍です。決算数字を見ると、低PBRの要因が見えてきます。

 

 

東京鐵鋼の23年3月期最終利益は36億円(前の期は47億円の赤字)と様変わりとなりました。利益分の上乗せによって23年3月期末の1株純資産は5106円(前の期の4691円に対して414円増加)となりました。

 

 

利益が急増した企業は、それが資本に上乗せされて自己資本が増強されます。自己資本が増加すると、株価が上昇しなければ、PBRは低下してしまいます。

 

 

だから、利益が増加した企業がPBRの低下を短期的に抑制するためには、株主還元を積極化する必要性が生じます。株主還元を積極化すれば、配当金支出によって資金が外部に流出するので株主資本の増加を抑制できます。あるいは株価の上昇によってPBRを高めることになります。

 

 

企業戦略としては、短期的に株主資本の増加を抑制するよりも、中長期的に企業価値を高めるためにどのように資金を使うのか、そちらの方が大切です。しかし、今、日本の低PBR銘柄には市場からのプレッシャーが強いので、短期的なPBR上昇策に資金が振り向けられる傾向にあります。それが短期的に日本株の魅力を高め、トレーディング資金を呼びやすい状況につながっています。

 

 

5月9日午後3時10分記

 

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