「空運・鉄道が高く、海運・鉄鋼が安い」
「東京製鐵、新年度減益見通し受け下落率上位」
「先週金曜日上昇の半導体関連株が安い」
「決算内容と株価の反応、"事前の目線"が大切」
「ニデック(旧日本電産)、24年3月期減収計画」
「ニデック、固定費削減で営業利益2.2倍増狙う」
4月24日の日本株は小幅高となりました。業種別株価指数を見ると、最も高い上昇率となったのが空運です。2位は陸運(鉄道株)でした。
ANAが21日金曜日、23年3月期の営業利益について、従来の950億円に対して1200億円に上方修正しました。燃料市況などの経費面が予想以上に抑制されたことが要因です。トップライン(売上高)が伸びたわけではないのですが、株価は上昇しました。ANAの上方修正が連想を呼んで、JALも上昇、空運株が上昇率トップです。
陸運株も鉄道株をけん引役として上昇しました。空運株の上昇が「日本におけるインバウンド需要増加・移動需要の増加」のテーマを強調した結果、鉄道株にも買いが膨らみました。多くの鉄道株が年初来の高値を更新しています。
一方で、21日に決算を発表して24年3月期の減益見通しを発表した東京製鐵(5423)が5.6%安です。
東京製鐵は24年3月期の販売数量345万トン(前期比+30万トン)を計画します。一方で、販売単価については1トン11万1700円(同-800円)の計画です。そして112億円ほどのコストアップを予想しています。コストアップのうち、約半分が電気代上昇によるもの、もう半分は労務費の上昇としています。
販売価格低下を前提に利益率が低下し、コストアップ要因もあって減益の見通し。株価は厳しい反応となりました。東京製鐵の株価下落が連想を呼んで、合同製鉄や中山製鋼などの電炉株が下げました。
本日の業種別株価騰落率では、海運業、鉄鋼業が下落率の1位、2位となりました。モノの価格の下落が追い風になる産業(空運、鉄道)が上昇し、市況低下が逆風になる海運、鉄鋼が下落しました。「ANAの上方修正」と「東京製鐵の減益計画」が、本日の日本株の物色の傾向に影響を与えたと考えます。
また、先週の金曜日に大幅上昇した半導体製造装置メーカーの下げが目立ちました。
今の東京株式市場は「強いリード役」が不在です。静かな循環物色の流れの中で、徐々に株価水準が上がってきています。今日、強いからと言って明日も強いわけではありません。
今日の鉄鋼株のように「新年度の業績が厳しそうだ」と目線が下がった場合、決算内容を見て「さほど悪くない」の反応になる可能性の方が高いと考えます。逆に、今日「とても業績が良くなりそうだ」として上昇したインバウンド関連株は、実際の決算発表時には「さほど良くない」と受け止める可能性もあります。
「強いリード役」が存在しない株式市場では、業績の内容と株価の反応を事前に決め打ちしない方が無難でしょう。"事前の目線"が高過ぎれば、株価は反落し、低過ぎれば、株価が反発する、そんな動きを予想します。
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ニデック(旧日本電産)が24日、決算を発表しました。24年3月期の連結営業利益2200億円(前期比2.2倍)の計画を公表しました。売上高は1.9%の減少計画です。減収計画で大幅増益予想です。固定費の大幅な削減が利益回復をもたらすとしています。ニデックの減収計画は、世界景気に対する経営者の強い警戒感を示しています。
4月24日午後3時10分記