「TSMC、3月売上高は前年同月比15.4%減、前月比10.9%減」
「TSMCの売上高前年同月割れは2019年5月以来」
「日本株は小幅高」
「安川電機、マイナス圏での推移時間長い」
「豊富な受注を消化して増収増益、しかし、12-2月期の受注高は大幅減少」
「中国向けの受注回復が焦点」
「京成は連日の高値更新、OLCの筆頭株主」
4月10日の日本株は小幅高でした。先週金曜日に発表された3月の米国雇用統計は、非農業雇用者が236000人の増加となりました。2月の326000人を下回りました。雇用増加の減速が確認されました。ただ、事前に発表されていた米国労働省の求人・採用調査やADP雇用統計はもっと悪かった。従って、雇用統計は底堅い内容になったと受け止められました。「雇用悪化→一段のドル安円高」が避けられたの安心感から、日本株は上昇しました。
7日の米国市場は休場でしたので、雇用統計に対する本確定な判断は米国時間を待たなければなりません。10日アジア時間における米国株先物は、大きな動きは見られていません。
TSMCが10日の東京株式市場後場取引時間中に発表した3月の月次売上高は1454億台湾ドル(前年同期比-15.4%、前四半期比-10.9%)となりました。売上高が前年同月比で減少するのは、2019年5月以来の出来事です。
TSMCの1-3月期暫定の累計売上高は5086憶台湾ドルとなりました。TSMCでは12月期の決算発表時、1-3月期の売上高計画の中心値を約5200億台湾ドルとしていました。半導体出荷の減速に対して、10日の米国市場でTSMCの株価がどんな反応を示すか、注目されます。
☆
安川電機が軟調な動きです。7日に2023年2月期決算が発表されました。新年度となる2024年2月期の営業利益は700億円(前期比+2.5%)が計画されています。
24年2月期営業利益は、表面上は小幅増益です。しかし、前23年2月期にやや特殊な利益が計上されているので、本業ベースの実勢営業利益は2ケタ増益です。セグメント別では、モーションコントロール事業の営業利益が7.8%増益、ロボット事業が30.1%の増益計画です。
ロボット事業の3割増益見通しは、設備投資関連企業全般の今後の業績を考える上で心強いデータです。
しかし、安川電機の株価はマイナス圏での推移が目立ちました。この理由は「新年度営業利益は確かに強い数字。しかし、これは豊富な受注残の消化による売上増加が奏功している。その売上の源になる受注高は12-2月期が落ち込んでいる。24年2月期の売上高は堅調だか、今後の受注動向回復がどの程度か、不透明」の見方に起因するものでしょう。
安川電機の四半期ごとの受注を示します。
安川電機の受注実績(単位 億円)
21年度 22年度
3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
1430 1529 1676 1663 1561 1266
安川電機の12-2月期受注高は1266億円。これは、四半期ベースでは、2年前の12-2月期(1155億円)以来の低水準です。前年同期比で17%減少、9-11月期との比較では19%の減少です。
中国向けの受注高は232億円(前年同期比-28%、9-11月期比-43%)に減少しています。
前期第4四半期に落ち込んだ受注面がどの程度回復するか、そこが安川電機の株価を見る上での焦点です。ただ、設備投資関連株への新規投資については、安川電機のような高PER・高PBR銘柄よりも、海外投資家の保有株比率の低いバリュー株の方が無難だと考えます。
☆
京成電鉄(9009)が連日の高値更新です。京成はOLCの筆頭株主です。OLCの時価総額は8兆6000億円程度まで拡大しています。「京成の保有するOLC株式の価値」と「京成の時価総額」を比較すると、相当に京成の時価総額が小さいとの観点から割安株として買われています。
4月10日午後3時10分記