「日本株上昇、原油急騰受けエネルギー関連株が高い」
「原油急騰、米国金融政策への影響を注視」
「日銀短観、大企業製造業の業況判断指数が大幅低下」
「23年度大企業経常利益、3.1%の減益予想」
4月3日の日本株は上昇しました。「前週末の米国株高を受けて日本株も上昇」です。
INPEX、ENEOSなど原油関連株が軒並み高です。OPECとロシアなどで構成する「OPECプラス」が原油生産の追加削減を発表しました。
原油関連株は上昇しましたが、ここでの原油価格急騰はあまり良いニュースではありません。現状の米国金融政策への読み方としては、5月FOMCで利上げが実施されたとしても、そこで利上げは打ち止め。6月から利上げが停止され、米国景気動向によっては、年内に利下げが実施されるとの見方が主流です。
そこに原油価格急騰の要素が加わって、物価の見方が流動的になり、金融政策への見方も変えなければならなくなれば、株価全般の判断が変わる可能性が出てきます。本日のアジア時間、原油価格上昇が金融政策へに与える影響を考慮して、ナスダック先物は軟調な動きとなっていました。
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寄り付き前に、3月調査の日銀短観が発表されました。大企業製造業の業況判断指数(DI)は「+1」となり、昨年12月調査の「+7」に対して6P低下しました。非製造業は「+20」(12月は+19)と高水準です。
「先行き指数」は、大企業製造業が「+3」となり、最近指数に対して2P上昇します。非製造業は「+15」で最新指数に対して5P低下します。
先行きについては、製造業が底打ちする一方で、非製造業は頭打ちとなる方向性です。製造業の足元のDIの落ち込み幅が予想よりも大きくなりました。本日の日本株の上値を抑えた要因と考えます。
業種別では、自動車業界のDIが「−9」となり、12月調査の「−14」に対して5P改善、さらに「先行き指数」は「±0」となりました。自動車生産の上向きが確認されました。自動車関連企業の業績は、少なくとも4-6月期計画が1-3月期実績を上回る方向性が予想されます。
一方、電気機械業界のDIは「+3」となり、12月調査の「+18」に対して15Pも低下しました。半導体製造装置等が含まれるのがこの電気機械業界です。3日の東京市場では、レーザーテックや東京エレクトロン、アドバンテストなど、半導体製造装置メーカーの株価が総じて安くなりました。
今回の日銀短観では、2023年度の売上高、経常利益の見通しが公表されました。以下に示します。
2023年度の業績計画(大企業)
製造業 -2.7%
(素材) -5.4%
(加工) -1.5%
非製造業 -3.5%
全産業 -3.1%
23年度は減益計画です。売上高は大企業全産業で1.0%の増収計画です。売上高は僅かながらの増加を確保するが、コスト増加を吸収できる増収率ではなく、利益は減少の計画です。特に素材産業の減益率が大きくなります。なお、前提ドル円レートは131円72銭です。22年度の前提値130円65銭に対して1円ほどのドル高円安水準です。
全規模全産業の23年度の設備投資計画額(ソフトウエア・研究開発を含む、土地投資を除く)は、4.4%増加となりました。22年度の11.0%増加に続き、設備投資には前向きな姿勢にあります。
「企業の物価見通し」を見てみましょう。全規模全産業の「販売価格見通し」(現状の水準と比較した変化率)は、次の通りです。
1年後 +3.3%(前回予想+3.2%)
3年後 +4.0%(同 +3,8%)
5年後 +4.6%(同 +4.3%)
1年後の販売価格は現状に対して3.3%上昇している、5年後は同じく現状に対して4.6%上昇していることを示します。2年後以降の販売価格については、さほど上がるとは考えられていないようです。
4月3日午後3時20分記