「3月期決算企業の配当金権利落ち、株価下落」
「配当込みTOPIXは年間8.5%上昇」
「"配当込み"のデータは資産運用の有効性を示す」
3月30日の日本株は下げました。30日は、3月期決算企業の配当金の権利落ち日です。昨日段階で株式を保有していると23年3月期末の期末配当を得られる。本日買っても得られない、この差が株価面に反映されます。
権利落ちだからと言って、保有株式を売却する投資家がいなければ、理論的には権利落ちが株価面に与える影響はありません。でも、「好配当利回り」が取引材料になっていた株については、当面の材料がなくなるので、やはり下げる銘柄が増えます。高配当利回りの海運株や中堅証券株が下げました。
東証が「配当込み株価指数の期間投資収益率」を公開しています。直近では、2月末のデータが公開されています。2月末の「配当込みTOPIX」は1年前に対して「+8.52%」となりました。
これは、非常に意味のあるデータです。実際の23年2月末のTOPIXは1993Pで、22年2月末の1886Pに対して5.63%の上昇率でした。これが、配当込みで計算すると8.52%の上昇率です。差額の2.89%Pが配当金分の上乗せ要因です。
5.6%と8.5%では全然違います。1000万円の運用ならば、年間で約29万円の違いが出ます。10年ならば290万円、30年ならば870万円、複利で計算すれば、もっと差が開きます。
NISAの拡充等を受けて、日本の投資家はより日本株の保有・選別に力を入れます。いかに保有に値する銘柄を探すか、ここが運用のポイントです。ならば、投資家が得られた配当が反映されていないインデックスよりも、配当込みでパフォーマンスを見た方が適していると考えます。配当込みTOPIXの高いパフォーマンスは日本人にとっての資産運用の有効性を示します。
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ごく短期的には、配当権利落ちのストレスを受けない12月本決算企業の株価の相対的パフォーマンスが良くなる可能性があります。東洋インキ、横浜ゴム、堀場製作所など、12月本決算企業の新高値銘柄がありました。
「12月本決算の新高値銘柄」には三菱鉛筆もあります。日本の筆記具は昔から「魑魅魍魎」とか「薔薇」などの漢字を書くために精巧なペン先が必要とされる、だから海外の筆記具メーカーよりも優れた製品を供給することができる、との話を伺ったことがあります。最新の東洋経済会社四季報を見ると、三菱鉛筆における海外投資家の保有株比率は8.1%です。
今年、グローバル投資家は債券投資に力を入れる一方で、株式はところどころで比率を減らす動きが出ると私は予想しています。日本株についても、海外投資家の売り物が出て、全体的には値を消す場面も時々見られる、と考えます。だから、日本株に投資する上では「海外投資家の保有株比率の低い株(例えば保有株比率10%以下)」を探すのも1つのアイディアと考えます。
3月30日午後3時20分記