12月10日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.12/10 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.543~ガンバレ海野雅威くん

  今年の10月末、新聞各紙の夕刊に痛ましいニュースが小さく載った。「NYの第一線で活躍中のジャズピアニスト海野雅威氏が、地下鉄の駅で暴漢に襲われ病院に運ばれたが、かなりな重傷で手術は成功したものの、今後その演奏活動が続けられるかははっきりしない...」という内容。そのニュースぼくは見逃していたのだが、知り合いからのTELで知り本当に驚いてしまった。左手のマヒが残りピアノが弾けない状態で、再起できるかは何とも言えない...と言うことだと聞く。余りにも痛ましいニュースである。彼がNYに渡ってもう15年近く、自身のトリオを始めロイ・ハーグローブ、ジミー・コブなどと言った、第一線のミュージシャンのバンドでも活動、NYで活躍する日本人としては随一とも言える存在だった。本場でその力量を認められるようになるまでには、色々と大変なことも多かったに違いないが、その存在が多くのファンにも認知され、ようやく時での災い、何とも悲しく言葉にもならない。

 彼、海野雅威君は、我がジャズ番組とは色々と関係の深い一人。アルバムデビュー直前からスタジオに遊びに来てくれ、NYに渡ってからも帰国する度に「小西さんの番組に出れるのが毎回楽しみですよ...」等と嬉しいことも言って、夫婦でスタジオに来てくれることも多かった。元々彼の存在は彼の良き先輩で、シーンに導いた一人とも言える、チンさんこと我がクラブ仲間のベーシスト鈴木良雄から聞いていた。「小西よー、今素晴らしい才能のピアニストと一緒にやってるんだ。アルバム出すことも決まっているんで、一度番組に呼んでやってよ...」。そのアルバムは今は亡きジャズプロデューサー、ヤソさんこと伊藤八十八プロデューサーのレーベル「88」レコードから出されると言う。彼からもtelがありデビュー前にスタジオ登場と言うことになった。「初めてのラジオゲストで嬉しいです...」と初々しく語ってくれた彼。そのアルバムもチンとヤソ両氏の推薦通り素晴らしいものだった。それから数年後、一段の飛躍を胸に秘め、彼は単身本場NYへと飛び立った。

 それからの本場NYでの活躍は、ジャズファンならば結構知られている所で、全米の有名ジャズフェスなどにも良く顔を出し、その才能は多くのファンも認める所になっていた。また内藤遊人くんが社長・編集長の専門誌「ジャズライフ」でも、NYでの活動エッセイなども連載、その動向はぼくなども毎月興味を持って読ませてもらっていた。そんな折での今回の災い。どうやらコロナ禍での「東アジア人迫害~コロナはアジア人の所為」だとする流布が原因、当然NYにも少なからず存在する、狂信的白人トランプ主義者の仕業...と思ったら、なんと海野君を最も認めている黒人ミュージシャンと同じ黒人(=アフリカン・アメリカン)の若い集団による暴行だと言う。海野君も病床で彼らのこと(犯人はまだ捕まっていないようだが...)を非難しようとしなかったと言うが、その心情は何とも言えない辛い思いがする。

 そしてこの11月半ば、彼の再起を願ってはるか東京の地で、多くのミュージシャン達が彼のベネフィットライブを配信で行った。この配信ライブの立ち上げの中心になったのは、言うまでも無く良き先輩のチンこと鈴木良雄。そしてチンの大学1年後輩で、在米歴40年以上と言うギターの増尾好秋(海野君のNY生活の手助けもしていたと聞く)も、丁度帰国中で積極的にイベントを手助け、自身のアルバムをベネフィットの一助にと寄付している。このライブ参加者はなんと50名弱、NY経験者やNY演奏旅行で彼に世話になった面々など、色々な関りある連中が大挙参加すると言った、空前のベネフィット配信イベントになって大成功だったと言う。
 その中心人物の一人、増尾好秋が今度スタジオに遊びに来て、海野君の現在、今回の配信ライブイベントの様子、彼自身のNY生活などについて、話してくれるこが急遽決まった。彼は12月半ばにまたアメリカに戻るので、それまでに収録しないとならないのだが、色々と面白いNY話や海野君の様子なども聞けるはず。12月中にオンエアーする予定なので期待してください。
 増尾ちゃんの親父さんは、あの大評判だったジャズ芝居「上海バンスキング」、そのモデルにもなった一人で、戦前のジャズを支えた功労者でもある。今まであまり聞くことの無かったギタリストの親父さんの話も、今回は是非聞いてみたいとも思っていますが...。

今週のゲストは、ギタリストの増尾好秋さん】
M1One Word2020
M2What Kind Of Fool Am I / 鈴木良雄・海野雅威・セシル モンロー
M3I'll Be With You」
M4Look For The Silver Lining
9月末、NYで暴漢に襲われ大怪我をしたピアニストの海野雅威さんの支援CDOne Word2011』(2011年の東日本大震災の復興支援で制作されたCD。海野さんも参加)は11000円(税込・送料無料)利益は全て海野さんに送られます。こちらからご購入頂けます。

http://www.mediastylist.co.jp/online_store/product/one_word_2011/index.html

12月3日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.12/03 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.542~20追分冬景色
 
  例年この時期になると追分の山荘の水閉め作業が大変である。大体11月23日の休日前後にこの作業を行うのだが、これをやると以降は一切水は使えず、山荘は完全にクローズとなる。その上今年は温水暖房機器が調子が悪く、部屋も寒くて大分苦労しそうな予感。設備屋さんに診てもらうと言うので、20日に東京から山荘に向かい、ラグビー早慶戦のある23日には帰京と言う結構慌ただしい行程。国立の家から圏央道・信越道と乗り継いで、軽井沢の高速出口まで2時間余り。3連休の一日前だけに、車もそう多くはなくどうやら無事に追分の山荘に到着。庭やベランダなどは一面枯葉の山で、周りの木々も寒々とした趣き。肝心の暖房機器の元栓、1か月ほど前に閉めた時には電気が切れたまま、これは大事と直ぐに管理会社に連絡、後日診てもらうと20年近く使っている機器だけに、不具合で動かないとの返事。設備屋と話をして全面取り換えか...と言うことで、またかなりな出費だと心配したのだが、なんとスイッチをオンにすると完全稼働、心配なので何回も切ったり付けたりしみても問題なし。ホッと一安心だった。

 今年は夏から2か月以上、仕事に関するトラブルで悩まされ続け良いことは無かったのだが、漸く運が向いてきた感じ。この時期=初冬の信濃追分~軽井沢は、朝・晩は氷点下になることも珍しくもなく暖房は暮らしに必須なもので、それだけでも心強い。夜は南軽井沢の高級ホテルに隣接した温泉施設に、地元優先の格安料金サービス券を利用し入浴。ここはお湯の質はそう感心しないが、何せ施設が露天風呂を始め高級感溢れるリゾート仕様で気持ち良い。2か月以上にわたる憂さをすっ飛ばし快調そのもの。
 翌日は早朝から久しぶりの1時間ウオーキング。御影用水のはぐれ鴨の動静が気になり寄ってみると、1か月前には20羽近くが群れていた用水の開口部近くには、またまた定住のはぐれ鴨がたった一羽だけ取り残され、寂しそうに達観した姿で泳ぎ回っている。周囲の葉の落ちたカラマツ林とも相まって、寂しさも増し、いささか自身の姿も投影され寂しさも募る。まあこんなことを考えていても詮無い...と言うことで、かなり無理して1時間以上歩き回る。山荘近くに戻ると3連休の初日だけに、どの家にも珍しく車が止まっており在宅の様子。中でも高級そうに見える車は、2軒先のホテル王、星野リゾートの御大の別荘(ここが登記簿上の本宅と言う話もあるが...)前に駐車されている、イタリア製(?)のスポーツカー。流石!星野。
 午後に設備屋の人が来て点検すると、どうやら温水暖房機はまだ稼働出来そうだとのことだが「もう古いものなので部品は保証できませんよ...」と脅される。自身がチャンジー(爺さん)だけにあと何年...とも思うし、生来のけち根性も加わり、まあそれまで使えれば良しと思い、今回は取り換えるのはやめにした。

 22日に帰京だったが、この1年近く嵌っている温泉が蓼科高原にあり、そこに入浴した温泉水(飲用にもなる)もタダで汲めると言うことで、この所は帰路は1500メートルを超す麦草峠を越え蓼科に向かうことが多く、今回もそのコースで帰る。蓼科の別荘地の中にひっそりと存在するT温泉。石器時代の遺跡T遺跡の直ぐ傍にありながら、入り道が分かりにくく訪れる人も少ない、秘湯とも言えるこの温泉。デトックス効果抜群の素晴らしい湯質でお勧めの療養泉で、実際ぼくの糖尿病数値もかなり改善されている。そしてこれもマル秘なのだが、このお湯の源泉をタダで汲める場所もある。これも本当偶然に地元の人から教えてもらったのだが、これは誰にも教えられないぼくの秘所であり、こと温泉に関してはかなり自信を持っているぼくの、人には言いたくないお勧め温泉でもある。デトックス効果で体の悪点を洗い出し、飲料用の源泉をペットボトルにくみ出し、ここ数か月のストレスを洗い出した。久々意気揚々と帰京した、11月後半の3連休でした。その上翌日の秩父宮ラグビー場での早慶戦、我が早稲田は快勝で慶応を圧倒、もう言うこと無しの数日間でした。

【今週の番組ゲスト:トランペット&ウクレレ奏者の茅野嘉亮さん】
10年ぶりにリリースされた2ndアルバム(カセットテープ)360(サンロクマル)』から
M1Big block!」
M2Ao
M3Zippy!」
M4Cross step!」

11月26日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.11/26 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.541~イル・フォモサ

  「イル・フォルモサ(=美麗島)」とは言うまでも無く台湾のこと。昔ポルトガルの船員がはるか沖合から、この台湾島を見てこう名付けたとも言われるが、まさに至言である。その美麗島の人々も、今回のアメリカ大統領選挙の影響を大きく受け、自分達の今後の運命・生き方に、大いに気を悩ましているとも聞く。あのトランプは彼自身色々と問題山積だが、こと中国にはしっかり対峙してくれたが、果たしてバイデンに変わったらどうなるのか...、かなり憂慮しているとも言われる。いつも台湾は超大国にして覇権主義丸出しの超大国=中国に対し、「おしん」にも似て国際的にも国内的にも様々な面で、忍従を余儀なくされ続けている。それだけに日本以上に、アメリカの政治動向が重要な訳で、そのトップを選出する大統領選は大いに気になる所なのである。

 さて台湾と言えばぼくやそのスタッフチームは、20年に渡って台湾政府の後援を受けつつ、台日の更なる友好交流を探る特別番組「21世紀の台湾と日本/台湾の元気を訪ねて」を、年2回ほど放送し続けてきた。その台湾取材の模様などはこのコラムでも過去何回か記してきた。そして今年はその20周年と言う節目の年と言うことで、この9月から12月まで30分間の全12回ミニシリーズ特番として、タイトルも「21世紀の台湾と日本/もっと知りたい台湾」と一部改め、現在鋭意放送中である。これまでの台湾特番は台湾の現地取材をメインに、1時間ないし1時間半の特番として(当初は2時間と言う長時間もの)、各界の有名人による台日友好メッセージや、様々な台湾関連情報なども挟み込みながら20年間続けてきた。それが30分間のセミレギュラー番組となると、大分様相も違ってきて、毎回のメインテーマの設定など苦労するところも多い。特に今年はコロナ禍で、台湾取材などは夢想だに出来ない厳しい状況だけに、その取材音源などは一切使えず一段と苦労している。

 番組はお馴染みの台湾大好きアナウンサー山本直也をメインパーソナリティーに、3人の台湾関連の女性アシスタントを配置、今時点で放送は折り返し過ぎだが、その女性達の助けもあり実にスムースに進行され、注目度も仲々のようだ。3人の女性アシを紹介すると、まずはアシスタントと言うよりもコメンテイターと言った役割の、歯科医師にして女優、エッセイストと言おう多彩な顔を誇る一青妙さん(一青窈の姉)、他には筑波大大学院生の恵ちゃん、人気アイドルグループAKB48の一員で、唯一の台湾出身メンバーの馬チャリンと言う世代もその興味も異なる面々で、彼女達が毎回のテーマに合わせ交互に登場、少し重く真面目なテーマの場合には妙さん、東京各地の取材や日常的テーマは恵ちゃん、そしてエンタメや食べ物関連は馬ちゃんと言う配置で、それぞれ台湾関連のテーマに合わせた随一とも言える有識者が、色々と面白い話を聞かせてくれる形。台湾の情報となると、殆どが旅・食くらいしか無かっただけに、これまでには聞かれなかった様な充実した内容となっていると我々は自負しており、リスナーなどの反応も上々。

 特に今年は「台湾ロス」等と言う言葉もあり、台湾へ行かれないストレスも溜まっているようで、それのいい解消手段だと言った声もリスナーからしばしば聞かれる。また番組では台湾関係者に直接TELして、台湾最新情報もリスナーに伝達。その面々は、まずは台湾きっての日本通で、哈日族(ハーリーズー/日本好き)と言った単語の生みの親でもある、哈日杏子、更に台北で漫才活動を展開している吉本芸人~漫才ボンボン、台湾の大学に留学中の女子大生~よっちゃんなど、台湾のバックアップメンバー達が現在の台湾の情報を伝えてくれるコーナーも設け、台湾ロス解消の一助に...とも思っている。

 来年以降世界の情勢はまた大きく変わることも予想されるが、コロナ感染拡大を未然に防ぎ(この話も2回目の放送で取り上げた)世界中から賞賛を集めた台湾だけに、様々な難問にも積極的な対応策を取り、危機的状況も上手に乗り切って行くに違いない。来年は番組スタート21年目、これまで続けてきた台日友好特番も、果たして続行出来るかは何とも言えないが、私達スタッフはきっとその想いが通じることを念じつつ、現在の番組制作の充実に腐心している。台湾を考えることは、日本のこれからを考えることでもある...という信念の下に...。皆様も毎週土曜日午前に放送の台日友好・交流特番。是非一度聞いてみて下さいね。

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富先生】
今週はジャズトーク、ライブアルバム特集。

M1Mack The Knife / Ella Fitzgerald」『The Lost Berlin Tapes』より
M2Epistrophy / Thelonious Monk」『Palo Alto』より
M3 Violets for your furs(コートにスミレを) /  Matt Dennis 」『Matt Dennis Plays and Sings Matt Dennis - Live in Hollywood』より
M4Stars Fell on Alabama(星降るアラバマ)/ Louis Armstrong and The All Stars」『Satchmo At Symphony Hall』より
M5Announcement by Pee Wee MarquetteSplit Kick / Art Blakey Quintet」『A Night At Birdland Vol.1』より

 


11月19日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.11/19 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.540~キャンディス・スプリングス

  米大統領選挙が終わって2週間強、トランプが敗北してバイデンが勝利した様子。と言ってもまだ法廷訴訟など、トランプ陣営は敗北を認めず、完全な決着が着いたとは言えないが、もはやトランプに勝ち目はない。開票中の最後の記者会見、あれを見てもトランプにはかつての虚勢も無く淡々と原稿を読み上げるだけで、心なし元気も無かった。トランプの4年間、それはアメリカの分断を極端に押し進めた期間だったことは、日本にも少なからず存在する。トランプ信奉者達もが認めるところだろう。ある意味恐ろしいまでの茶番劇の4年間だったとも思うが、まあバイデンになって良かった、ほっとしたと感じる人が多数派だろう。
 常々「アメリカファースト」などと連呼し、自分とその信奉者だけがアメリカを愛する...などと叫びながら、あのベトナム戦争激化の若かりし頃には兵役逃れをしていたとも噂されるトランプ。それでいて愛国者を自称できるところに、アメリカと言う国の不思議さも読み取れる。まさに究極の「ミー(オンリー)ファースト」主義者なのだが、大声で連呼すればそれがまかり通ってしまう...、この何とも言えない不思議さ、形容し難い国でもある。

 ところでアメリカを完全に分断化した今回の大統領選挙、音楽(アメリカのポップミュージック)の観点で見ると、ジャズとカントリー&ウエスタンの鬩ぎ合い、争いだとみなすことも出来そうだ。バイデンと言う人とその支持者が、ジャズを好きかどうかは分からない。しかし歴代の民主党の大統領、オバマ、クリントンはジャズ愛好家で、特にクリントンは毎年ホワイトハウスでジャズコンサートも実施していた程。一方のトランプとその支持者は、間違いなくそのほぼ8割方はC&Wの愛好者であり、政治集会などではカントリー音楽シンガーなども登場している。 
 日本でC&W音楽と言うと、ぼくの若い頃ジミー時田とカントリージャンボリーなどと言うウエスタングループが人気を博したこともあった。また日本のロック(ポップ)ミュージックのはしりは、今はなき日劇で行われた「ウエスタン・カーニバル」と言うウエスタンを標榜した音楽イベントだったが、その後は表舞台に登場することもほとんどなく、ジャズ(モダンジャズ)の普及・浸透度には及びもつかないもの。しかしアメリカではC&W市場は凄いものがあり、およそジャズなど相手になれないような強さと規模を誇るとも聞く。アフリカから連れてこられた移民達から始まったジャズ、アメリカ白人の最下層労働者達から生まれたC&W。いささか境遇も近いと思われるだけに近親憎悪的な感じもあり、アメリカを代表するこの2つの音楽ジャンルは、お互いに至って相性が悪い...、と言うかいがみ合って来た。

 そのⅭ&Wの本拠地とも言えるのは、アメリカ中西部の大都市、テネシー州のナッシュビル。ここは最近Ⅽ&Wオンリーから脱却し、NYやロサンジェルスに次ぐ音楽ビジネスの重要都市になりつつあるとも聞く。そしてこの街出身の黒人女性のジャズ系ピアノ弾き語り、シンガーソングライターが、キャンディス・スプリングス。まだ日本ではあまり知られていないこの素晴らしい資質の女性シンガー。彼女がトランプ政権下で押し進められた、アメリカ分断化の融和を図る格好の存在になるのでは...と秘かにぼくは思っている。デビューはR&B色の濃い作品、2作目は育ったナッシュビルの街を映しⅭ&W色も取り入れたもの、そして3枚目になる今年発表の新作は「ザ・ウーメン・フー・レイズド・ミー~私を作った(影響を与えた)女性達」と言うタイトルで、ジャズボーカリストとしての資質全開のアルバム。トランプが勝利したⅭ&Wの州&街で育った、この若きジャズディーバの存在とその歌声は、アメリカの政治のみならず、アメリカ音楽の分断化をも融和する存在になると...とぼくはひそかに信じている。皆様も是非彼女のこのアルバム、一度は耳にして欲しいものです。特にこの大変にかつ重要な選挙が終了した後には...

【今週の番組ゲスト:サンポーニャ/ケーナ奏者の瀬木貴將さん】
ソロデビュー25周年記念アルバム「360°(スリーシクスティー)」から
M1Last Journey」
M2Stillness River」
M3Birds Movement
M4360°」

https://m.youtube.com/channel/UCeYgqsk4fHc59Flg8eP9Ukw



11月12日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.11/12 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.539~ジャズ講座

 今年もまた中野区から頼まれて恒例のジャズ講座を実施した。例年だと年明けの2月位が多かったのだが、今回は年内に実施して欲しいと言う要望、更に例年のシリーズものと違い1回だけの開催だと言う。更に会場も従来の弥生町区民活動センターから、南中野(堀之内)のセンターに変わり、ここは中野区の区民センターの中でもそのメインとなる施設で、会場も収容人数がこれまでの3倍近く、小綺麗なホールだとも聞く。

 まあジャズ120年以上の長い歴史とその多彩な内容を、2時間ほどで紹介するのは至難の業...と言うことで、ここはゲストに「おんぶにだっこ作戦」として、話し上手な人を...と考えもう40年近い付き合いのある、心療内科医にして新進のジャズシンガーでもある、海原純子女史を相手役に...ということで、彼女にTELすると二つ返事で了解、彼女をゲストに迎えての2時間余りのジャズ入門講座とすることに決めた。サブタイトルも彼女の了解を得て、そのエッセイ本からのほぼパクリで「ジャズは心のサプリ」。これならばなんでも入れ込める訳で実に便利、残る心配は集客の問題だけ...。
 10月の末に神保町のジャズ喫茶で彼女と軽い打ち合わせを行い、彼女のデビューアルバムと好きなシンガーのアルバム、そしてぼくのお勧めシンガーの作品など、当日かけるものを全部で10枚近くピックアップ、後は当日に参加した人達の様子を見ながら決めることにして、入門講座当日を迎えた。

 当日の構成は午後1時半から2時間余り。初めて南中野の区民センターの会場に入ると、これがかなり立派なもので200名弱が入ると言う小ホール、音響装置も仲々に立派なもので、30分ほど前に会場入りしたが、当日は曇り空でいささか小寒い日和。過去の講座でも平均年齢は60才以上とかなり高齢の方たちが多いので、天気具合も集客には影響して、ましてやこの大きさ。いささか心配しながら控室で待っていると、次々とお客が入ってくる様子。定時に会場に入るとちゃんとしたひな壇も用意されており、一段と高い場所から講座をスタートさせる感じ。ほぼ満員の90人近い人で埋まっており、ソーシャルディスタンス順守の会場では、これで満杯と言う盛況ぶり。これまでは多くて40名ぐらいだったので、その倍近い入場者でこちらが圧倒されてしまう。

 まあ比較的年齢層の高い客層で、ジャズなどは余り知らないと言う人がほとんど。と言うことで初端は雪村いずみ、美空ひばり、江利チエミと言う戦後のジャズ歌謡を担った「元祖3人娘」の唯一の揃い踏みになる音源を用意。数年前にいずみさんが芸能生活周年記念として作ったアルバムに収められている、3人の擬似共演ナンバーで、アメリカを代表するジャズ&ポップスシンガーのドリス・デイのヒット曲「トゥ・ヤング」を掛ける。この実に珍しい共演ものは、確かレコード大賞の企画賞を獲得したと言ういわくつきのものだが、クイズでこれを当てさせるとジャズなど知らないお婆ちゃんが見事正解。これで会場の雰囲気も和み、講座のつかみにもどうやら成功した様子。後は講演会などお手の物の、百戦錬磨の海原女史をステージに呼び込めば、ジャズスタディーは順調そのものに進行していく。彼女とのボーカル談義、スタンダードナンバーの歌詞から読み取る男女の深層心理診断、アメリカ大統領選挙に引っ掛け、アメリカ音楽に於けるジャズ(バイデン)とカントリー&ウエスタン(トランプ)の根本的対立、そしてその融合の象徴としてのナッシュビル育ちの注目シンガー、キャンディス・スプリングの紹介などをぼくがして、ラストはぼくが用意したCD盤プレゼントの大じゃんけん大会、これも大盛り上がりで主宰した南中野の区民活動センターのスタッフも大喜び。感謝・感謝の言葉でジャズ講座はめでたく無事終了、次も是非...と言う激励を受けつつ、海原女史と共に会場を後にした。中々に気持ち良い一日でした。

【今週の番組ゲスト:ドラム&タブラー奏者の大村亘さん】
ご自身がリーダーを務める「POLYGLOT」の1stアルバム『TALK, VOL.1』から
M1SZ
M2PAUL
M3825
M4NAGOYA

11月5日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.11/05 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.538~兜町をジャズストリートに

 ラジオNIKKEIの主要コンテンツの一つが、証券・金融情報の提供にあることは良くご存じだと思う。そしてその情報発信地が、証券取引所のある兜町、そして証券会社などが多い茅場町であることも当たり前の常識だろう。ではこの兜・茅場町(そして金融街・丸の内)と言った東京の金融・証券の中心街と音楽(ジャズ)を結び付ける...と言った試みが、既にスタートしていることも御存じだろうか...。

 その活動は「JazzEMP」と呼ばれるもので、数年前にジャズ好きな証券・金融関係者が自発的に活動をスタートさせ、兜・茅場町の町内会をも巻き込んで、ジャズストリートプランとして動き出しているものなのである。このEMPとは「エマージング・ミュージシャンズ・プログラム」の頭文字の略で、文字通りこれから伸びていくミュージシャン達を支援していこうと言うもの。即ち「JazzEMP」とは、期待のジャズミュージシャン達と共に、街(兜・茅場・丸の内)を盛り上げて行こう、これらの街をジャズストリートに...という構想のもので、NYの金融・証券街=ウオールストリートの様に、音楽(ジャズ)で一杯の街にすることで、街の活性化も図りたいと言うものらしい。

 実際にこの計画で数年前から、街イベントとしてジャズコンサートも開かれ、若手の優秀なミュージヤン達も多数登場しているのだ。と言うことで世界にも冠たる(?)長い歴史を誇る我が「テイスト・オブ・ジャズ」も、この企画趣旨に賛同し、何かお手伝いを...と言うことになり、今週の放送をきっかけに2~3か月に一度、このJazzEMP関連企画を組むことにした。この企画ではいつもの番組進行役の山本嬢と共に、番組ではもう一人お馴染の日本を代表するジャズトランぺッターにして、洗足音楽大ジャズ科主任教授でもある原朋直くんにも進行役をお願いし、2人でこの企画の関係者等をスタジオにゲストとして呼び、色々な話を聞く...と言うお手伝い企画を実施していくつもりだ。なぜ原君か...と言うと、彼はこのJazzEMPのジャズ側の代表責任者(もう一人はアルト奏者で国立音大のジャズ科で教えている池田篤くん)で、若手ミュージシャンの選定や育成に関わっているからなのである。原・池田と言う番組にもお馴染みの面々が、大きく関わっているこの意義深いジャズ構想(企画)、もう少し早くその存在を知っていたら...とも思うのだが、今回は11月15日にジャズライブを配信する(コロナ禍のために集客ライブは見送り)と言うことで、その告知も兼ね、事務方から東海林正賢氏(金融関連会社のお偉いさんでもある)をゲストにお迎えし、このジャズ構想・企画の成り立ち・その内容、更に今度のコンサートなどについて、いろいろとお伺いすることにした。 コンサート当日出演する若手グループの演奏や原君自身のもの、更にジャズファンで実際にジャズもやると言う、東海林氏お勧めのジャズナンバーなどを聞きながら、この新たな意義あるジャズの取り組みを紹介していくつもり。
 今注目の若手ユニットが4組登場の、11月15日実施のこの配信ライブも見逃せないものです。

【今週の番組ゲスト:JazzEMP 副実行委員長の東海林正賢さん トランペッターの原朋直さん】

M1Nebula / 原朋直」

M2Do Not Stop江澤茜クインテット」

M3Lumen Unknown / Klehe(堀京太郎カルテット)」

M4Big Guest  古木佳祐バンド(木村紘)」

M5As Time Goes On / 田谷ヒロム 武本和大」

M6The Musician / Return to Forever


JAZZ EMP2020@11月15日開催「Emerging Musician Program」
https://peatix.com/event/1672397/view

 


10月29日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.10/29 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.537~近藤等則

  毎日読んでいる新聞、それは今何かとネットウヨなどの標的にされがちな朝日新聞なのだが、そこで衝撃的なニュースが...。ワシントン支局のK氏発信の情報だが、あのキース・ジャレットが左手に麻痺が残り、復帰は困難だと言う。18年に2度ほど脳卒中を患い、麻痺が残り[以前のようには弾けないし、回復の見込みもない...」と弱気に語っているのだと言う。病気の話は知られていたが、ここまで酷いとは...。現代屈指のジャズピアニストだけに、なんとも悲しくも寂しいニュースである。

 ところで朝日新聞の死亡欄に、もう一つ寂しい通知が載っていた。ここに名前が載ると言うのは、こと文化・芸術に関わる日本人として本当に大したもの(栄誉)なのだが、近藤等則の名前があった。そうか彼も遂に逝ってしまったか...と何とも言えない感慨があったが、ぼくより2~3才位下の筈なので、まあそれも致し方ない...と言った感じだった。それよりも良く彼の名前がこの死亡欄に...という感慨の方が大きかった。

 近藤等則、パンク&フリージャズとも呼べそうな独特な世界を構築した、異端のトランぺッターにして流浪のアルチザン(芸術家)。そんな彼の名前を知る音楽(ジャズ)ファンは、今では少ないと思うし、この20年ほど彼が何をしていたのか、ぼくは寡聞にして知らない。彼は京都大学卒業という異色のジャズメン(あとはベースの納浩一位なもので、殆どいない筈だが...)で、あの伝説の西部講堂などでも沢山の活動家の中で、激烈とも言えるトランペットの咆哮を響かせ、意欲的な京大生や当時の活動家学生を鼓舞したりと、本当に威勢のいい漢だった。

 我がジャズ番組に登場したのはもう40年ほど前のことで、ただ1度の登場だった。その激烈な活動がNYでも評判になり、一時期、時の人としてかなりな注目を集めた。現地に滞在していた彼はその後帰国、その直後に結成した自身のバンド「IMA」、そのデビューアルバムを引っ提げての登場だったと思う。余りジャズに詳しくないおとなしい女性アナが当時は番組担当だっただけに、彼はいたって不機嫌で、帰り際には「どうしてあんな女が...相手なんだ...」と怒りの一言も放って帰ったが、その言動はジャズメンと言うよりもパンクロッカーそのもので、ある意味傲岸不遜。確か当時流行のはしりの「コムデ・ギャルソン」に身を包んだ彼は、日本版マイルス・デイビスと言った趣もありなんとも格好良く、この自信と意気込みならば、本場NYでも十二分に評判を集めるだろうと思わせるものが確かにあった。

 そんな彼もその後は日本を離れ、パンクジャズからも距離を置き、世界各地の砂漠や廃墟などで演奏を重ね、確か「地球を吹く」と言った名目で演奏活動を続け、アルバムも出している筈。以降世紀が変わってからはその活動も殆ど伝えられることも無く、ぼくなどはどこかで亡くなっているのでは...等と思っていたのが、突然の朝日新聞死亡欄への登場。日本と言った狭い島国には愛想をつかし、本場NYで大活躍し、その後は一転自然の中での演奏活動展開と...、恐らく稀有なスケールを有したこの鬼才が、たった一度でも我がジャズ番組に登場してくれたことは、今になってみると本当に貴重なことだったと思う。

 好漢の死を悼み 黙祷!

【今週の番組ゲスト:ピアニストで「OWL WING RECORD」代表の荒武裕一朗さん】
TIME FOR A CHANGE』『本田竹曠 Trio LIVE 1974』から

M1Blue Rondo A La Turk
M2Ballad Medley When sunny gets blue /I can't get started/Ain't tell you a good way but/Georgia on my mind
M3Water Under The Bridge
M4Time After Time

10月22日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.10/22 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.536~文学とジャズ

 「文学とジャズ」とは、やけに大上段のいきがったタイトル...などと思われる向きも多いかも知れないが、これはれっきとした雑誌での特集タイトル。その雑誌とは文芸誌として恐らく日本で最も長い歴史を誇る筈の「文学界」。

 芥川賞と直木賞、日本の文芸界の最高峰とも言えるこの2大文学賞、これを実施・運営する文芸春秋社が発行する文芸誌だけに、いささか他の文芸誌とは重みも違う感もある。その「文学界」の最新号、丁度今店頭に並んでいる雑誌の特集が、この「JAZZ×文学」なのである。と言うことでこれは早速「文学界」の編集長をお呼びして、どうして今ジャズを?とお伺いしてみようではないか...と言うことにした。タイミングよく、この号の企画にジャズ評論家の村井康司氏が深く関わっており、インタビューなどもしているので、彼も一緒にスタジオに...今回の番組は全面的に「文学とジャズ」がテーマである。

 収録当日は、村井氏が編集長の丹羽健介氏を伴ってスタジオに現れた。今は余り発行部数も多いとは思えないし、その影響力も以前に比べ大分落ちたのでは...とも思われる文芸誌だが、そこはやせても枯れても「文学界」である。編集長は定年間近の60才近い紳士が...と思ったら、これが40台の実にお若く、少し肩透かしの感じ...。編集長になって数年と言うが実に若々しく初々しい。丹羽氏も当然ジャズ好きではあるが、自身はそう詳しいとは言えない...と謙遜する。聞くと「文学界」でジャズを特集したのは、今回が初めてのことだと言う。以前は河出書房から出ている「文芸」が良くジャズ特集をしており、jazzと文学と言えば「文芸」と相場が決まっていたのだ」「文学界が殴り込みですか...」と聞くと、「いやーそんな感じではありませんよ」といなされる。

 今回の「文学界」の特集、作家でジャズと言えばまずは自身が、かつてジャズ喫茶のマスターを務めていた村上春樹、そして「ジャズ大名」などのジャズ小説も数多くものしている筒井康隆、そしてジャズメンにしてハチャメチャな物書きの山下洋輔...と言った面々は、当然登場してくる。その他の売りは、なんと女流ピアニストの山中千尋が初めての小説「フェーシング・ユー」を発表していること。その他山田詠美や宮内悠介などと言った作家達も、それぞれお勧めのジャズアルバムを紹介する等、かなり充実の内容である。

 番組では村井氏がインタビューした、村上春樹の対談テーマ、スタン・ゲッツ自身の演奏を掛けたり、また山下氏の全盛時代~筒井氏と組んで様々な面白イベントなどをやっていた時代、その頃の演奏を紹介したり、編集長の好きなジャズアルバムを紹介するなど、こちらも本誌に負けず中々に充実の内容になっている。「JAZZ×文学×ラジオ」どんな放送になるか皆様もお愉しみに...。

【本日の番組ゲスト:文藝春秋 『文學界 』編集長の丹羽健介さん。ジャズ評論家の村井康司さん】

文學界11月号は丸ごと「JAZZ×文学」特集です。

M1I'm Late, I'm Late / Stan Getz

M2「バブリング創世記 / 山下洋輔」

M3Miles Runs the Voodoo Down / Miles Davis

M4Donna Lee / 山中千尋」

https://open.spotify.com/playlist/4wR13G3nosiTp1zQ1dgy9g?si=lloQ-49SSXGEzlxsIsaWKw


 

10月15日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.10/15 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.535~さかもと未明

  世の中には凡人には考えられないほど、様々な才能を発揮する才人も少なくない。その上その才が活発な余り、周囲と諸々の軋轢を生じてしまうと言った人もいる。そんな一人...と言うと、当人に怒られるかも知れないが、さかもと未明と言う女性も結構誤解を招きやすい才人に思えてならない。元々は漫画家(結構その絵柄好きでした)で売り出したがその後作家、画家等々、様々なクリエイターの仕事をこなし、まさにマルチアーティストの名称に相応しい。更にその名前を有名にしたのは、TVコメンテーターとしての役割。結構コメンテイターの仕事もやってきたようだが、ディレクターと喧嘩したのかプイとスタジオを飛び出してしまったとか、飛行機で赤ん坊の声がうるさい(?)と文句を付け発着を遅らせたとか...、何かと話題になる才媛でもある。その彼女が今画家の仕事と共に、最も大事にしていると言うのがジャズシンガー。これまでに2枚のアルバムを出しているが、この新作『ムーランルージュ』は、シンガーさかもと未明の力量を最大限に発揮したものとして各方面から注目を集めている。

 この作品のレビュー(アルバム評価)を「ジャズ・ジャパン」誌から頼まれ、聴いてみるとこれが他にはない個性的な作品。エスプリの効いた、コケティッシュでハイセンスな面白さがあり、結構気に入ってそれなりの評価を付けた。更に気になったのは歌っているその当人のこと。色々な評判も聞いていたので、(恐る恐るだが)「テイスト・オブ・ジャズ」出演のオファーを送ってみると、二つ返事でOKとのこと。
 収録当日は受付までお迎えしたのだが、暑い時期にも拘らず、寒いことを一番に気にしたコート姿で現れ、実に礼儀正しいお人だった。アルバムレビューへの感謝の言葉なども頂き、こちらも恐縮したが、山本嬢もいささか緊張の面持ち。元々彼女はアスペルガーなど様々な難病を抱える「苦」の人でもあり、病のために手が動かなくなり漫画家の仕事を中断した...と言った話もある。

 ジャズシンガーとしてかなり頑張ったと言う今回の新作では、フランス語をメインにあのミッシェル・ルグランの名曲の数々を歌いこなしており、それに「チュニジアの夜」などのジャズスタンダードも織り交ぜ、かなり多彩な選曲となっている。番組ではその新作の話が中心だったが、自身の病の話、ジャズシンガーとしての個性の出し方、実際にはしゃべれないのだが、カタカナなどを振ってもらいかなり自己流にアレンジして歌ったと言う、フランス語でのルグランナンバーの話、ルグランの息子=パンジャマン・ルグランとの感激のデュオ(2曲)の話など、色々と話しにくいだろう話題までもさらっと語ってくれるなど、その率直さそして話の面白さに、山本嬢ともども好感度大だった。結果番組は面白エピソード満載の、最近珍しいほどの充実の内容になった。
 
 この新作の音楽監督はこれも才人のピアニストのクリヤ・マコト。「最近クリヤ君忙しいせいか、番組に来てくれないなー」などと言うと、すぐに彼に電話してくれたのだが、あいにくの仕事中でつながらず。しかしさかもと未明、実に気遣いの人でもあった。人の評判などは実際に会って見ないと分からないものと、今回つくづく感じ入った次第です。

【今週の番組ゲスト:インターメディアアーティストのさかもと未明さん】
新譜『MOULIN ROUGE』から
M1Les Parapluies De Cherbourg」(シェルブールの雨傘)
M2L'été 42」(おもいでの夏)
M3 A Night In Tunisia
M4What Are You Doing the Rest of Your Life?」(これからの人生)



10月8日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.10/08 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.534~ジャズと映画】

 ジャズと映画と言うテーマだと、直ぐに帝王マイルスが若かりし頃、その音楽を担当したハードボイルド犯罪映画「死刑台のエレベーター」(ルイ・マル監督)や、ジョン・ルイスとMJQが本格的に映画音楽へのモダンジャズ導入を図ったこれもミステリー映画の「大運河」(ロジェ・バディム監督)などと言った、1950年代の文化アイコンだった一連のフランスヌーベルバーグ(新しい波)映画のことが思い出される。だがここではそんな古典的な映画音楽のことではなく、ジャズメンやジャズ喫茶の親父をテーマにした、モノホン(本物)のジャズドキュメンタリー映画が、最近盛んに紹介されていることを記してみたい。
 ジャズドキュメンタリー作品と言えば、その古典的作品でジャズファンならば誰でもが知る(ぼくも大学時代に初めて見て大感激したものだが...)銘品「真夏の夜のジャズ」、この作品も今ニュープリントで再上映され、かなり話題を集めているようだが、今回紹介するジャズドキュメントは、まず帝王マイルスにスポットを当てその音楽人生を俯瞰した作品「マイルス・デイビス~クールの誕生」。このジャズ界のレジェンドのドキュメント映画の音楽監督が、今のジャズシーンをリードする牽引者とも言えるロバート・グラスパーだと言うのも、話題を集めている要因の一つだ。まだぼくは未鑑賞なのだが、「ジャズレジェンド=マイルスのスター性、カリスマ性を露わにし、その音楽人生を凝縮した」とも謳われる、このジャズドキュメントフィルム、この9月頭から公開が始まっており、中々に評判もいい。グラスパーが音楽担当と共に、ここでコメントを寄せているのが帝王に関わりの深い、クインシー・ジョーンズ、サンタナ、ハービー・ハンコック等々まさに大物揃いで、その証言を聞いているだけでもワクワク感も強い。

 そしてもう一本は、ぼくと早稲田大のほぼ同期で、大学フルバンドの雄~早稲田ハイソサエティーオーケストラ(ハイソ)のボスだった、菅原正二氏を主役に据えた、映画「ジャズ喫茶ベイシー」。ベイシーとは言わずもがなの、岩手県一関市にある菅原氏の銘店「ベイシー」のこと。その親父である彼にスポットを当てた映画と言うのだから、相当に物好きな作品と言えるが、そのプロデュサー陣の一人に、前のフジTVの役員、亀山氏も参加していることも結構話題にもなっている。まあ東北でジャズと言えば、その鳴らす音に強い拘りを持つ「ベイシー」、そしてそこのマスター、菅原氏と言うことになるのだが、ぼくがこのジャズ喫茶を訪れたのは2回ほど。音の良さ以外にはそうは売り物も無いと思っているのだが、初めて訪れたお客などはマスター菅原氏の、悪役張りの強烈な個性=キャラクターに圧倒されてしまうようだ。何せドキュメンタリー映画にまでなってしまう程なのだから...。

 こちらもぼくはまだ観ておらず、この原稿を物したらすぐに渋谷の上映館「アップリング」に足を運ぶつもりだ。彼とも葬式とかジャズ関連のパーティーなどで、年に1~2回会うだけなのだが、いつも結構な知り合いであるぼくでも、そのキャラクターに圧倒されてしまうこともある。同じ年代のチャンジー(爺さん)なのに、一方は映画の主役として登場、一方はつまらない災い事で頭を悩ます...(本当に毎日いらいらしているのですが...)市井の一介のジャズ好き男と、相当に差が付いてしまっている。まあこれも詮方ないことかもしれませんがね...。

【今週の番組ゲスト:横濱ジャズプロムナード プロデューサーの小針俊郎さん、中村誠一さん・紗里さん】

M1Exactly Like You
M2Shoo Fly Pie
M3Under Paris Skies
M4It's a Pity to Say Goodnight

横濱ジャズプロムナード2020
今年は無料ライブ配信
https://jazzpro.jp/jazzpro2020

山本 郁が司会で出演します。
是非ご覧下さいね!
https://www.youtube.com/channel/UCY9JghoqSFP4tb10YrUD94w







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