3月17日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.03/16 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.90~話題のジャズ・ボーカル~】

 今年初頭のジャズ~ジャズ・ボーカルの話題は、やはりあのポール・マッカートニーのアルバム『キッス・オン・ザ・ボトム』になるだろう。ポールと言えばジョン・レノンとのコンビで書いた“ビートルズ”の名品の数々は,サラーヴォーンなど多くのジャズ・シンガーが取り上げ、アルバムも作っており、それらはまさにニュー・スタンダードとも言える位置づけになっている。そのポールが今度は初めて正真正銘のスタンダード・ソングを歌うアルバムを発表したと言うのだから、世界中で評判になるのは至極当然なこと。

 ロックやポップス、そしてカントリーといったジャンルの違うシンガー達が歌うスタンダード集、これ等はリッキー・リー・ジョーンズを筆頭に、どれもがまず間違いない出来栄えで、かえってジャズ・シンガーなどのスタンダード集よりも聞き応えあることも多い。その先鞭を付けたのはカントリーの大御所、ウイリー・ネルソンで、『スターダスト』など彼のスタンダード集は大ヒットとなり、数枚のアルバムが制作されたが、その後はロッド・スチュワートなどロック・シンガー達もこの手のアルバムを数多く出すようになり、ポールも彼らに刺激されアルバムを出したのはある意味まず間違いないだろう。

 そしてこのポールのスタンダード集だが、予期したとおりに素晴しい出来栄えで、何よりその唄の巧さ、選曲の良さが光り、さすが音楽業界のトップエンターテイナー、その実力を強く再認識させるものとなっている。”ペイパー・ムーン“”マイ・ファニー・バレンタイン”など良く知られているスタンダードも巧みに歌いこなすが、”ウィー・スリー“”インチ・ワーム“と言った知らぜらる名曲を発掘する才も素晴しい。ポールももう70才近いはずだが、その声質、歌い口が若々しくもなんとも渋い。ここは一つブラボー、と快哉を上げたくなってしまう。


3月10日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.03/09 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.89~ジャズ・クラリネット~】

 クラリネットと言う楽器は、ブラスバンドなどをやっている小・中・高校生たちにとってはなじみ深い楽器で、実際に手にしたことのある人も多いはずである。そんなポピュラーな楽器の一つではあるものの、残念なことにジャズの世界ではこれを専門にしているプレーヤーはほとんどいない。しかしこれがいわゆるモダン・ジャズの世界の話で、スイング系となると話は別。元々スイング・エラとも呼ばれた1930~40年代はスイングジャズ全盛時代(と言うかポップ・ミュージックがそのままスイング・ジャズだった訳だが)、花形楽器はクラリネットでキングとも呼ばれたベニー・グッドマンを筆頭にアーティー・ショウなどキラ星のごとくスターを排出したのだったが、モダン・ジャズの時代に入るとその音色の軽すぎることなども災いし、ほとんど見向きされなくなってしまったのだった。

 そんな日の当たらない楽器だったクラリネットもこのところ、海の向こうではアナット・コーエンと言う美形奏者が出現し、大いに注目を集めるようになっている。まあこうした動きに刺激された訳でもないだろうが、日本でのクラリネット専門で活動して行こうと言う若いプレーヤー達もぼちぼち出だしているようだ。
 その中で最も期待を集めているのが土井徳浩である。30歳代前半の彼はボストンのバークリー音楽院出身で、バークリー時代から注目を集めていたらしいが、2002年に帰国して以来、ジャズ・クラリネット奏者として活動を続け各方面から注目を集めるようになった。そんな彼がこの前自身のデビューアルバム『アマルテェア』を携えてスタジオに遊びに来てくれた。
 
 クラリネットでなかなかに先鋭的な演奏を繰り広げるのだが、決して無理をしない伸びやかさがあり、この楽器の可能性を示唆し、素晴しい出来栄えのアルバムになっている。おとなし目の好青年だが、内に秘めた闘志はなかなかのものと見た。そんな彼が登場するのは来週の“テイスト・オブ・ジャズ”の時間。貴方もきっとクラリネットと言う楽器の新しい表現と出会えるはずですよ…。


土井徳浩さん


3月3日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.03/02 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.88~銀座にジャズクラブ~】

 音楽不況と言うか音楽業界の大不振については、このコラムでも再三書いてきたし、実際CDの売れ行き落ち込みはひどいものがあり、ジャズの新譜などでは信じられないような数(少ないと言う意味で…)が出ているとも聞くが、これがライブとなるとちょっと事情は違っているようで、結構客も入っておりそこではいわゆつ手売り(ミュージシャン自身が自らのアルバムを売る)も繁盛していると言うのだ。

 まあいろいろな意味で音楽業界も変化している訳だが、ジャズの世界では花の銀座の地に残念ながら一軒もライブ・ハウスが無いのである。老舗の”スイング“が昨年店仕舞いをして以来ライブ・ハウスは無くなっており、銀座などにめったに足を向けない僕もいささか残念な思いをしていたら、先日一通の招待状が届き、なんとその中心の一角に新たにジャズ・ライブ・レストランが誕生師、そのプレ・オープンの招待状だつた。

 店の名前は“ノー・バード”。このバードとは鳥の名前ではなく、かつてクリント・イーストウッドが監督したジャズ・フィルム“バード”のバード、即ちモダン・ジャズの開祖とも言われる夭逝した天才サックス奏者、チャーリー・パーカー=バードのことで、今バードはいないが、そのジャズ・スピリッツを引き継ぎたいと言った、熱い思いも込められているに違いと、ぼくは睨んだのだが…。

 外堀通りのリクルート・ビルの間近にあるビルの地下にこのクラブはある。キャパは60人ほどで、今時珍しくバブリーなつくり。オープニング・アクトを務めたMegと言う若手シンガーも盛んにバブリーと言う言葉を使っていたのも何かファニーな気がしたが、まあいずれにせよ花の銀座に久々に誕生したこのジャズ・レストラン、出演者も若手の有望株が多いようで、末永く続いていって欲しいものと願っている。但しミュージック・チャージ代とか料金がどうなっているのかは、オープニング・パーティーでははっきりしませんでした。その点はまた調べてみます。


2月25日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.02/24 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.87~最も旬なシンガー~】

 グラミー賞を受賞したノラ・ジョーンズの出現以降、大きく変化したジャズ・ボーカルの世界にあって今、最も注目を集めているシンガー、それがグレッチェン・パーラトである。ジャズ界で最も権威ある賞とも言えるセロニアス・モンク賞を2004年に受賞(この賞は年によって表彰する分野が違い、ボーカルが対象になったのは一回だけのはず…)。一躍脚光を浴びた彼女は、朗々と歌い上げるタイプでは無くささやくように歌いかける独自の知的なスタイルを確立、ニュー・タイプのシンガーとして注目を集め、NYのジャズ・クラブなどでも大人気だと言う。これまでの3枚のアルバムを発表している彼女だが、日本盤が出ているのは1枚だけ、それが結構良く売れているとも聞く。

 そんな大注目の歌姫が、番組に登場してくれることになった。彼女が来日すると言うニュースを知り、是非番組に出て欲しいとアプローチをした結果、快諾を得られたものだが、あってみると小柄だが実に気さくでそのアルバム通りの知的でチャーミングな女性。2度目の来日だが本格的なステージは今回が初めて、それだけに大変楽しみだし、日本のファンは私の唄の世界を深く理解してくれており、感謝もしていると語ってくれた。

 インタビューが終わって、そのステージを聴かせてもらったが、確かに歌い上げるタイプではなく静かにささやきかけてくる異色なスタイル。それだけに印象は強くないが、実に色々な仕掛けを施し飽きさせない。同行したピアノのアウグスティン・テイラードも彼女に寄り添い、素晴しい効果を上げ、充実したステージだった。

 今やNYの時の人とも言えるグレッチェン・パーラト。彼女の登場は来週の“テイスト・オブ・ジャズ”の時間。ユニークでチャーミングなその歌声で受け答え。是非楽しみにしてください。      

【お詫び】
3月25日放送予定だった西山瞳さんの回を3月3日
3月3日放送予定だったグレッチェン・パーラトさんは3月17日の放送になります。
どうぞご了承下さい。


グレッチェン・パーラドさん(右)と山本アナ


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2月18日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.02/17 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.86~今話題のJUJUのジャズアルバム~】

 遅ればせながらJUJUのスタンダード・アルバム『デリシャス』を聴いた。何を今更と言われるかもしれないが、うかつでした。ジャズ・ジャパン誌で高い評価を得ながらも、このJUJUなる女性がポップ・シーンでどんな人気を獲得しているシンガーか、殆ど認識が無かったので聴き逃してしまっていたのだが、ある日わが街、国立のTSUTAYAにビデオを借りに行くと、その店内放送で彼女の歌声が紹介されており、一辺に虜になってしまった次第。

 早速アルバムを購入、ライナーノートを読むと、その芸名はなんとあのウェイン・ショーターの名編『マジック・オブ・ジュジュ』から取られたものだと言う。そういえば以前、あるパーティーでショーターのアルバムから芸名を付けたポップ・シンガーがいると言う話を聞いたことを思い出した。そのシンガーこそ彼女だった訳で、名声を確立したここに至って、ようやく本望とも言えるジャズ・アルバムを出したとも言えそうで、それはとても嬉しいことだ。そしてまた、そのアルバムの内容が、名刺代わりのアルバムを作る数々の自称ジャズ・シンガー達をはるかに凌駕するものであったことは、ジャズ・ボーカルを考える上でも大変に興味深いことでもある。

 “夜も昼も”“ララバイ・オブ・バードランド”などの極め付きスタンダードと共に、彼女自身の人生のテーマだと言う“ラッシュ・ライフ”(しびれますね)や是非入れたいといった“ガール・トーク”など、その唄の巧さは際立っている。何よりアルバム冒頭のオリジナルのタイトルが“ウーマン・ニーズ・ジャズ”。彼女の言葉によれば“ジャズと上手に付きあるようになると、日々の喜怒哀楽も巧く受け流せるようになる気がするのです…。そうですよね、ジャズと付き合って40数年、ぼくはまだ巧く受け流せてはいませんが、真実ですよね…。


2月11日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.02/10 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.85~ジャズ・ジャパン・アワード~】

 J-ジャズの伸張とともに歩んできたジャズ雑誌“スイング・ジャーナル”。その“ジャーナル”が60余年の歴史をあっけなく閉じてしまったが、直ぐにそのスタッフ達が新雑誌“ジャズ・ジャパン”を立ち上げたのは大変に立派なことだと言える。色々と大変なこともあろうが、1年半近く続いている努力も多としないとならないし、僕自身もアルバム・レビューなどの原稿協力をさせてもらっている。 
 
 その”ジャズ・ジャパン”が今年の初め“ジャズ・アワード”を実施、2011年のベスト・アルバムなどを選出し、2月末に横浜のニッサン・ギャラリーで受賞者たちのライブも実施することになった。こう書くと、このアワードが日産自動車の協力で成立し、アワードに輝くのは日本人プレーヤーだと推測できる。ぼくも編集部から依頼され推薦アルバムを選んで送ったが、上原ひろみの『ヴォイス』に投じた。2011年のベスト・アルバムはひろみか、山中千尋、外国ならばパット・メセニーと確信していたが、結果は千尋の『レミニセンス』だった。2011年は個人的にやはりひろみだと思うが、千尋も充分にそれに拮抗していただけにほぼ妥当な結果。それにしてもひろみも千尋も本場NYを拠点にグローバルな活躍を展開している才女。素晴しいことである。また新人賞にはぼくも推薦し、このコラムでも紹介したギタリストも井上銘が選ばれた。

 千尋や銘のライブは2月25日に表彰式の後、横浜の日産自動車ギャラリーで午後3時半頃から開催される予定になっている。素晴しい演奏が期待できると同時に、このライヴの司会・進行を担当するのが、わが“テイスト・オブ・ジャズ”のパーソナリティーである山本郁だと言うことも触れておきたい。これまでにも結構ジャズ関連イベントの指揮もこなしている彼女だが、栄誉ある第1回の“ジャズ・ジャパン・アワード”の司会とは大役であるし、これまで番組を続けてきた甲斐もあろうと言うもの。ライヴは無料で結構大きなギャラリーだそうなので、入場方法などは“ジャズ・ジャパン”ホームページをご参考に。是非皆さんも千尋同様、山本郁の艶姿もお楽しみ下さいね。      


2月4日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.02/03 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.84~ミッション:インポッシブルの作者は~】

先日の新聞に“CDの売れ行き更に狭まる”と言った、かなり大き目の記事が載っており、それによれば今やCDの売れ行きは、5年ほど前の4割近く減少しているそうである。それもさもありなんと言った感じだが、後輩のNY在住の公認会計士H君によると“今やNYでCDショップなど見つけるのが難しいんですから…”とのことで、ジャズの本場ではアルバム売れ行き減少どころではないようだ。業界関係者が集まっても、音楽業界なんて言葉もあと数年もすれば消滅してしまうんでは…などと常に言われるほど、寂しい状況なのである。

 まあそんな厳しい年の幕開けだが、ここらで一つ勢いのある愉しい話題をと探してみようとしたら、音楽とは一転元気いっぱいなのが映画業界関連であった。今年の正月映画の話題の作品と言えば、“タンタンの冒険”と“ミッション:インポッシブル”と言うことになりそうだが、その”ミッション”の基になった往年のTV映画「スパイ大作戦」の有名なテーマ曲を書いた、今や映画音楽の大巨匠と称えられる、ラロ・シフリンに関する話である。
 
 シフリンはアルゼンチン出身で、元々ジャズ・ピアニストであり、片手間に作曲も手掛けていたのである。NYに進出した頃は若手の有望株として大御所、ディジー・ガレスピーのバンドでその才を認められ、そこで書いた曲が評判になり映画の作曲なども手がけるようになり、それが評判となってそちらの道に進んでしまった訳だが、そのきっかけともなった彼の初期の代表アルバム『ラロ・ブリリアンス』が、なんと廉価盤の999シリーズの1枚として、昨年暮れに発売されたのである。

 このシリーズはその名称どおり、1枚999円と言う廉価で、埋もれた名盤を紹介しようと言うもので、かなり評判になっているが、その1枚にまさかこのラロ・シフリンの1枚が登場するとは思わなかった。久々の嬉しいジャズ・ニュースで、このアルバムを持っていなかったので直ぐにCDショップに向かったという次第。このアルバムは殆どが彼のオリジナルでまとめられており、南米人ならではの熱さと、シフリンならではの洒脱な趣きが絶妙にミックスされ、なんともいえぬいい感じに仕上がっており、今の若い人にも実に新鮮に感じられるセンスのいい音作りがなされている。それが999円で買えるとは…、もう言うことなし。別にこの発売元の“EMIジャパン”から金を貰っている訳ではないが、こんなに愉しくもセンスある音群を独り占めしてもしょうがないので、是非皆さんにもお勧めしたいのである。“たかが999円、されど999円”だけに、ここは一寸散財してみてもいいんじゃないでしょうかね…。


1月28日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.01/27 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.83~マニューシュ・スイング~】

 このコラムを読まれている皆様は、ロマあるいはマヌーシュと言う単語をご存知だろうか…。日本では余りお馴染みでないが、欧米各国では一般的なこの単語、実は放浪の民ジプシーを指している。彼らは第2次世界大戦で、ナチスが絶滅を図った民族であり、ヨーロッパ各国では言われなき差別の対象にもなっているとも言われるが、日本では殆ど接触がないため相変わらずジプシーなどと呼ばれるが、これはれっきとした少数民族への差別用語で、国連を始め欧米各国では実に神経質になっているとも言われる。そのロマ、あるいはマヌーシュの人たちが、1930年代からスイング・ミュージックに自身のロマ・ミュージックをプラスして作り上げたジャズが「マヌーシュ・スイング」と呼ばれるもの。サッチモこと、ルイ・アームストロングと並んで、ジャズの画期的なスタイリストとも目されるジャンゴ・ラインハルトが完成させたとも言われるこの「マヌーシュ・スイング」は独特の哀感があり、本場のジャズとはまた一味違った良さがあり、現在もパリを中心にファンが多い。

 日本でも小林清志などジャンゴを尊敬し、このマヌーシュ・スイングに音楽生命を掛けている名手もいるが、若い人には余り関心がもたれないのでは…と思っていたら、そのマヌーシュ・スインングの素晴しい新人が現れたのだった。手島大輔くん。未だ無名だがワールド・ワイドな実力の持ち主と言えそうだ。彼のことは神保町にあるジャズ・バー”アデュロン・ダック“のマスターで知ったのだが、このマスター、NY生活が長かったなかなかユニークな人物。その彼が”凄い新人がいるから是非聞いてくださいよ…“と紹介したのが、この手島君のインディーズ・アルバムで、確かに素晴しい実力の持ち主だった。この手の音は大好きなので、直ぐに彼にスタジオに来てもらう事にしたのだが、熊本出身の彼は、元々はハード・ロックをギンギンに弾いていたとのこと。ジャンゴの音に触れて以来、一転、全てマヌーシュ・スイングに命をかけることにしたと言う変り種で、実にシャイな好青年。その模様は2月4日の”テイスト・オブ・ジャズ”でオン・エアーされる。なお“アデュロン”のマスターはNYにも売り込みを掛けたいと意気込んでいるので、もし彼が世界で認められるようになれば、この放送がそのデビューということ。彼の次回作には、制作等で少しばかりお手伝いもしてみようかとも思わせる逸材。期待できますよ。


手島大輔さんと山本アナ


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1月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.01/20 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.82~プロ生活30年~】

 先週の番組ゲストは、プロ生活30年になるベテラン、円熟の境にあるシンガー・山岡未樹さんだった。一口に30年と言っても大変に長い期間で、その間常に第一線で活躍し続けたのは本当に立派としか言いようが無い。彼女とは不思議な縁で、その新作が出るとジャズ専門誌でのレビュー(アルバムの批評)担当は、何故かぼくに回ってくることが多いのだ。良く知っているので客観的になりにくいが難点だが、いずれも好アルバムだけに褒めればよく、実はホッとしている。

 30周年を記念したアルバム『アイム・ウーマン・ナウ』もキャリアの集大成とも言えるに充分な力作で高評価を付けた。“これまでチャーミングさが売りだったその歌唱に、凄みすら感じさせるほどのスケール感が加わっている…”と、そのレビューで記したが、ピアノの大ベテラン、前田憲男と2人で演じる“ホエン・オクトーバー・ゴーズ”はまさに感涙ものの出来栄え。

 この記念アルバム、最初はNYで録音のはずだったが、録音で渡米する日があの大震災、飛行機は飛ばず止む無くキャンセル、急きょ日本での録音に切り替えたと言う。そこら辺の苦労談やポスト30年、これからの活動など彼女は色々とフランクに語ってくれた。。そして絶品の”オクトーバー…“もぜひ一度お聴きください。     



1月14日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.01/13 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.81~1月12日~】

 先日国立のあるジャズ・バーから1通のメールが届いた。“1月12日が近付いてきました。当日は追悼イベントを行いたいと思います…”。このメールを見るまで、彼の命日を忘れていたことに気付かされた。そしてもう一人、彼とも親しく、我が“テイスト・オブ・ジャズ“にも関係の深いミュージシャンも、この日が命日だったことを思い出した。

 彼とは既に一度このコラムでも取り上げた天才ピアニスト、本田竹広(七回忌)。そして彼と親しいもう一人の故人とは、ドラマーの良ちゃんこと古沢良治郎(一周忌)。この2人は生年がほぼ一緒で、ぼくと同年輩。出身地も同じ東北の宮古と仙台。本田については東日本大震災の後、壊滅した宮古市のことなどと一緒にコラムで書いたはずだが、2人は国立音大の先輩・後輩で、良ちゃんのプロ・デビューは本田竹広トリオと何かと縁が深く、常に友でありライバルでもあった。
 
 我が”ジャズ“番組について言えば、本田は全盛期にはよくスタジオに顔を出し、出演の最後はスタジオのピアノでソロ・ピアノを披露して終わることになっていた。それだけに10数曲彼の貴重なソロがあるがレコード化は難しい。良ちゃんの方は出演は3回ほどだが、常に飄々と愉しげに語ってくれた。
 本田との付き合いは大学4年からだから、もう数10年、但し93年以降次々と病に襲われて以降は、”小西よー、話は巧く出来ない(脳梗塞の関係)から出演は勘弁してくれ“と釘をさされ、あまり付き合いが無くなってしまったのは本当に残念なことだった。
 
 2人の命日の12日には、新宿”ピット・イン”で本田追悼コンサート、そして西荻窪の“アケタの店”では古沢追悼ライブが行われ多くのミュージシャンか参加したと聞く。ぼくはお呼びの掛かった国立のジャズ・バー“ノー・トランクス”でのレコード・コンサートで2人を偲んだ。進行役は2人と親しかったマスターの村上氏。“中央線ジャズの命名者にして中央線ジャズのボス格“だ。本田の代表作『ディス・イズ・本田』を聴いていたら、夜の10時過ぎに彼からTELがあり、今赤坂に子供(今や日本を代表するドラマーの本田珠也)といるんだが、スタジオのピアノを弾かせろといわれ、実際11時過ぎから1時間余り黙々とピアノを弾き捲くっていたことを思い出す。珠也は当時確か5才くらい。無頼派ながら真のジャズメンだった。今はこんな好漢もういない。寂しくも哀しい!


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