5月26日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.05/25 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.100~チェルノブイリの写真に触発されて~】

 昨年はチェルノブイリの原発事故からちょうど25年。未だ後遺症が残る現地を撮り続けている一人の日本人カメラマンがいる。中筋純。

 彼は数年程前に『ジャズ・テロリズム』という物騒なジャズ・アルバムのジャケットも撮っている。侍のコスチュームをまとったアルバム・ジャケットなので『ジャズ侍』といった別称もあるこのアルバムのリーダーの片割れがピアニストのスガ・ダイロー。山下洋輔も絶賛する、今最も尖がった前衛的な若手ピアニストである。このアルバムで出会った2人は、昨年、中筋が自身のチェルノブイリ写真展での会場内の音楽をスガに頼み、スガによる完全即興音楽はアルバム化され、昨年3月に出される運びになっていたが、その数日後にあの大震災、チェルノブイリ以上の原発事故が起こり、アルバムは無期延期になってしまった。しかしその出来の素晴らしさを知る関係者が惜しみ、スガ自身も1年のインターバルを置くことにより、発売にゴー・サインを出し、めでたくこの4月に日の目を見ることとなった。ぼく自身もその音を聴き、心打たれるものも多く、番組に登場してもらうことにした。

 『春風』とタイトルされたこのアルバム,悲惨な事故にかかわらず、チェルノブイリの現地は自然がどんどん回復し春風心地よく吹き渡っているという意味合いが込められているようで、中のブックレットには、中筋のチェルノブイリ全景写真が6つ折りで印象的に挿入されている。スガのソロ・ピアノは写真に触発された完全即興演奏が9曲。巨骸、臨界、融合、終末など意味深なタイトルが付けられているが、それは後で付けたもので、それほど意味はないとスガは言うが、彼のピアノは激しく殴打されたり、悲しげにつぶやいたり、様々な怒りの表情を描き出す素晴らしいもの。今最も先鋭的で意欲的なピアニスト、スガ・ダイローの話もまた大変興味深いもので、彼の名前は今後ワールド・ワイドなものになるに違いない。ぜひ6月9日オンエアーの番組をお聴き下さい。そして今なお原発推進に邁進している連中に、深い反省と痛い一撃を与えられればとも思います。


スガ・ダイロー氏(左)と世話役ベルベット・サンのノイズ・ナカムラさん(右)


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5月19日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.05/18 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.99~NYから来た美女~】

 ジャズメンやジャズ・シンガーがアルバムデビューするのは、昔に比べて大分容易いことになってきた。これは一つには、音楽のメジャー・レーベルが力を失ってきたことを意味している訳で、誰でもアルバムを出そうと思えば先立つもの(金)さえ用意すれば簡単と言うこと。しかし海を渡ってのデビューとなればこれは今でも困難を極める。しかし逆のケース、本場で活躍している若手が、日本でデビューすると言った例はそれなりにあるようだ。ただデンマーク出身でNYで活躍している若手シンガー、アンナケイのようなケースは大変に珍しい。

 と言うのも彼女は、2002年にNYに移り住み仕事を始め、それを広げるため有名なアポロ劇場のオーディションを受けたところ、ファイナリストに選出されたわけだが、その映像を日本のプロデューサーが目に止め、一躍日本でデビュー作を作るまでになり、今や4枚目のアルバムをこの3月に発表したという、ジャズ・シンデレラであるのだ。その彼女の映像をユーチューブで見つけ、デビューを仕掛けたのが、ぼくの古くからの知り合いの“ライジング”代表の浅石雅道氏。氏は「ジャズ・ライフ」の立ち上げメンバーの一人でその頃から付き合いがあるのだが、当時は顔を合わせることも無かったが、ある日TELがあり、アンナケイを世に送り出したのは自分で、彼女が新作のプロモーション・ライブ・ツアーのため来日しているから、是非番組に出演させてくれないかと言う頼み。かなりな美形で今や人気も高い彼女だけに直ぐにOKを出したのだった。

 数日後スタジオに来た彼女、北欧系の噂どおりの美形だが、実に気さくな女性で、ぼくも山本もすっかりお気に入りになってしまった。彼女の歌の世界はノラ・ジョーンズ以降のジャージー・ポップの路線で、テイストとしてはジャズよりもポップスの分野に近いが、心地良い歌声を聴かせてくれる。日本語も達者、闊達で天真爛漫な性格だけに、ファンに愛されること間違いなし。

 ラジオNIKKEIは日本全国のパソコンやスマホで聴けると言うと大喜び。タンパ放送だから世界にも電波は飛んでいるんだよと説明すると、“NYの友人達や故郷デンマークの家族にも番組出演を知らせなきゃー”と嬉しいことを言ってくれる。かつてタンパ放送はデンマークからもベリカード(受信カード)をもらったこともあるので、かすかだが実際に聞こえるかも知れない。まあ淡い希望だが彼女の家族は聴いてくれるかも知れない。はるか極東のラジオ局に娘が出演したのだからと言って。なにせ音楽一家のアンナケイは自身の家族や親戚をテーマにした曲を結構作っているのだから…。
 
 なお彼女の出演は5月の3週目を予定しています。浅石氏も同席し日本デビューの話しも聞けるが、掲載写真でその美しさが果たしてどこまで伝わりますか…。 


アンナケイさん(左)と浅石氏(右)


5月12日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.05/11 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.98~追分とジャズ~】

 GWを挿んだ5月初旬は、軽井沢~追分の山荘で過ごした。今年初めての山荘生活、水出しや、庭先や屋根の落ち葉掃除、布団乾しなど何かとやることも多い。4月の末まで台湾特番や原稿書きなどで忙しかったが、ようやく一息と言うことで山荘に来たのだった。大学時代の友人も来るはずだったが、所用と言うことで急きょキャンセル。

 一人では…と思い前々から来たがっていた明石の友人にTELすると、何にもやることが無いらしく、夫婦で関西から来ると言う。彼らは夜中の10時ぐらいに明石を出て、朝早く山荘に着いた。驚くべきタフさである。2人を朝6時からやっている近くのカフェに招待しようと思ったが、どうやら満杯の様で止めにした。このブレックファスト・カフェ(午後2時ごろに閉めてしまう)、3年ほど前に登場したのだが、口コミで大評判を呼び、同じような軽朝食カフェが軽井沢の各所に誕生するといった意外な効果を生んだ(隠れ)名店でもあり、ぼくはその3番目の客で、結構気に入っている。まあ仕方ないのでジャズでも聴きながら定番のパンと紅茶の朝食にしたが、ようやく芽吹きつつある林を眺めながらの食事と音楽を、明石の夫婦は気に入ってくれたようだった。

 午後からは追分の名物古本屋、追分コロニー(今や長野県でも有数の有名古書店になっており、ぼくも色々なイベント企画で協力している)に顔を出した。堀辰雄や川端康成など、軽井沢にゆかりのある文豪が愛した格式高い旅籠で、“油屋”というのがあるが、今はその管理を追分コロニーが任されている。店主の斉藤氏に、この1室で猫に関する本やレコード・ジャケットの展覧会をやっているから、是非覗いて欲しいと言われ、昔の本陣でもある“油屋”に出向くと、猫ジャケットが数多く展示されており、ぼくの知らないものも結構あり、興味津々。猫ジャケットと言えば写真集も出ているほど、レコード・ジャケットの一定番なのだが、なんと言ってもジャズ関連が圧倒的。と言うのもキャット(猫)はジャズメンの愛称でもあるだけに、ジャズにキャットは付き物。よくこんなに集めたなーと思って聞いてみると、持ち主は元レコード店をやっていた人とのことで納得。油屋の一室に設けられた“猫町カフェ”(この7月から通年営業予定)で、代表的な猫ジャケットであるジミー・スミスの(そのものズバリ)『キャット』を掛けてもらいながら、唐松林に彼のグルーヴィーなオルガン・サウンドが消えていくのを愉しませてもらった。友人夫婦も油屋の雰囲気、ジミー・スミスのオルガンにいたくご機嫌で、“追分もジャズもサイコー”と喜んでいた。やはり前々からの念願、“軽井沢ジャズ倶楽部”早く立ち上げねばならないようですね。努力します。


5月5日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.05/04 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.97~ムレさん参上~】

 番組スタート以来、半世紀近くになる我が国きっての長寿ジャズ番組、と言うよりも長寿の音楽番組(の筈)でもある“テイスト・オブ・ジャズ”だが、長いだけで他に誇れるものが余り無いのは、いささか寂しいところだ。ただし番組も50年近い歴史があるだけに、サダオさん(渡辺貞夫)を除けば、ほとんどの有名どころのミュージシャン&シンガーは、一度は番組に顔を出しており、そこだけは誇れるかもしれない。でも中には、出て欲しいと思いながらもどういう訳か長年縁の無い人もいる。

 そうしたこれまで縁のなかった代表格の一人が、ベテラン・ギタリストのムレさんこと中牟礼貞則。サダオさんと同い年と言うムレさんは、今年が演奏活動60周年。その記念に『ウイ・ラブ・ムレサン』と言う記念アルバムを出した。その発売元が何かと縁のある会社だけに、アルバム発売の告知と共に、番組に出してもらえないかと言うオファーが来た。こちらも前々から切望していたムレさんだけに、直ぐにOKをだし主役のムレさんがスタジオにやって来た。

 この60周年記念アルバムは、タイトルどおりに彼を慕う有名ミュージシャン&シンガーが手弁当でゲスト出演して出来たアルバムで、リーダー格はドラマーの村上“ポンタ”秀一。そのほか一番弟子の渡辺香津美をはじめ、小沼ようすけ、ケイコ・リー、TOKUなど、ベテランから若手まで多士済々の面々。いずれもムレさんの音楽性、人柄に惚れぬいた面々だが、肝心の主役はこんな凄い面子が集まったことに恐縮するばかり。スタジオでも常に謙虚で人柄の素晴しさが滲み出る絶妙トークで、引き立て役の山本郁も直ぐに魅了されてしまったようだった。
 記念アルバムも、ソロでの“キスへのプレリュード”から香津美との珠玉のデュオ“マイ・ロマンス”、ケイコ・リーとの“ドント・エクスプレイン”など、どれも素晴しいものだ。特に嬉しいのはあのアストラ・ピアソラの傑作タンゴ“オブリビオン”が、アルバムのラストに収められていること。勿論ムレさんにリクエストして、番組でもラストはこの素敵な“オブリビオン”となっている。このムレさんの登場は、5月はじめの“ジャズ”の時間の予定です。


4月28日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.04/27 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.96~台湾のジャズ~】

 前にこのコラムでも書いたが、先日一週間ほど台湾に取材旅行に行ってきた。足掛け13年に渡って続いている、台日友好・交流の特別番組(4月30日放送)の取材である。毎年取材で台湾、特に台北に行きながらも何故かジャズ・スポットには行かなかったと言うよりも行けなかったのだ。前々から山下洋輔さんに、“台北によく行ってるんだから、台北のブルー・ノートを覗いて、名物マスターに挨拶しなければ駄目じゃない…”と言われていただけに、今回こそはと思い、日曜日の夜、打ち合わせのあと10時ごろに店に向かった。場所は台湾大学の近く、小洒落た文化街、康青龍の一角にはたどり着いたのだが、肝心のビルが見つからない。爵士(ジャズ)倶楽部のかんばんを探し、うろつくこと20分余り、ようやくビルを見つけ4階の倶楽部=“ブルー・ノート”に入った。

 だが日曜日はライブは無しで、結構広い店内には誰もいない。店自体はジャズ絶頂時の新宿のジャズ・クラブに良く似ており、なんとも懐かしい雰囲気で、壁にはジャケットやミュージシャンの写真が数多く飾ってあり、真ん中がステージになっている。店には名物マスターの祭さん一人で、こちらが日本のジャズ関係者で山下さんからも、ここ来るように言われていたと言うと嬉しそうにして、これを聴けと1枚のアルバムを掛けてくれる。烏野薫さんと言うピアニストのトリオで、全員が女性。“ブルー・ノート”には毎週金曜日の夜に登場する人気トリオだという。彼女の名前ははじめて聞いたがなかなか良いピアニストだった。彼女に関心があると言うと、祭さんは直ぐに彼女に電話してくれて、翌日取材時間の空いた時に会う事に決まり、彼女とのインタビューを大学近くの喫茶店で録る事になったのだった。台湾では人が人を紹介してくれて、これまでの特番でもほとんど何も決まっていなくても番組が出来上がってしまうのである。不思議な人の縁である。

 彼女は大学卒業後(徳島大学)直ぐにバークリー音楽院に留学、そこで作曲家の台湾人と知り合い結婚、直ぐに台北に来たため日本での活動歴はほとんど無いと言う。まあそれだけに結構な実力者だが、日本では無名だったという訳。彼女のような日本のプレーヤーも何人かいて、結構ネット・ワークもあるとも聞いた。その彼女のプレーと台湾のジャズ事情についてのインタビューは、4月末か5月始めの“テイスト・オブ・ジャズ”で取り上げる予定。是非期待していて下さいね。


4月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.04/20 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.95~ライラ・ビアリ登場~】

 グラミー賞シンガーのノラ・ジョーンズ出現以降、ジャズ・ボーカルの世界が大きく変化したことは、このコラムでも何回か記してきたが、そのノラ以降の新しいシンガー・ソングライター系のジャズ・ボーカリストの一人として、今かなりな注目を集めているのが、カナダのバンクーバー出身の美形、ライラ・ビアリ。その彼女が日本のライブ・ハウス出演のため来日を果たしたので、インタビューを申し入れると快諾を得た。

 バンクーバー出身だが、今はNYを本拠地にしており、トロントでも良くライブを行うと言う彼女が、ワールド・ワイドで注目を集めたのは、あのスティングのワールド・ツアーに抜擢されたことによる。スティングがもともとピアニストだった彼女のどこに惹かれたのかは、自身もはっきりとしないようだが、バック・コーラスやキーボード奏者として彼のコンサートに付き合い、大きな収穫を得ると同時に、世界的にもその名前を知られるようになり、感謝・感謝だと語ってくれた。

 目鼻立ちのはっきりした大柄な美女の彼女は、いかにも舞台栄えするシンガーだが、気さくな人柄で、山本アナの質問にもひとつひとつ真剣に、笑顔を交えながら答えてくれて、愉しいインタビューの時間が過ごせた。新作の『トレイシング・ライト』は、自身のオリジナル以外に、K・D・ラングやダニエル・ラノワなどのカナダのシンガー・ソング・ライター達の作品も取り上げており、意欲的ながらも和みの要素もある好編に仕上がっている。番組(4月28日放送)ではそこから4曲を紹介してくれることになっている。
 
 今はシンガーとして認められているようだがと聞くと、“そうなの私は、ピアニストとしての意識が強いんだけどもね…”と微笑みながら応えてくれたが、ステージでは確かにピアニストとしての面を協調した感もあり、ウクレレなども器用に扱い、エンターテイナーとしてもなかなかの才と見た。今年の終わりには新作も出したいと言う彼女、その存在と才能はますます世界中の音楽ファンから注目を集めることになりそうである。期待大である! 


4月14日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.04/13 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.94~国立の桜~】

 わが街、国立が一番の華やぎを見せるのがこの4月上旬。駅から一橋大学を超え、南武線の谷保駅に至る長い直線道路、いわゆる大学道路の両脇の桜並木が一斉に開花するこの季節、実に見事な花空間が現出し、国立に住んで本当に良かったと実感させられる至福の時なのである。今年は寒さが長引いたせいで、開花も遅れ気味で満開も遅かったが、先日うちの馬鹿犬を連れて、大学通りにお花見に行った。午前中にも拘らず人で溢れかえり、桜の下には花見の連中も数多くいたが、そこは流石に文教都市、国立だけに酔っ払ってくだを巻くような輩はいなかった。

 大学通りは人で溢れていたので、馬鹿犬を適当に通りに繋いでおいて、桜が見られる喫茶店に一人で入ったが、ここもやはりかなりの混雑振り。席についてぼんやりと桜を眺めていると、この店のBGMもご他聞に漏れずジャズである。有線のジャズ・セクションのようで、ピアノ・トリオがメインだが、時にコルトレーンやウェイン・ショーターのかなりアグレッシブなナンバーも掛かっている。
 作家の坂口安吾に“桜の森の満開の下…”という作品がある。中世を舞台にしたこの小説は、桜の満開に運命を狂わされてしまう人たちを描いたものだが、確かに桜にはそうしたヤバさ(=人を狂気に導くような清祥な錯乱)が秘められているようで、コルトレーンやショウターのデモーニッシュ(狂気を孕んだ)なテナー・ソロをバック音楽に、桜の花を眺めていると、何か不思議な衝動に駆られるような気分になってくるから不思議である。
 特に夜桜見物のバックがアグレッシブなジャズだったりしたら、どんなになってしまうか…、などと勝手な夢想をしていると、外に繋いだ馬鹿犬が、花見客に激しく喚き叫びちらしている声を聴き、一瞬にして現実に戻され店を飛び出した。まあかくのごときで、桜見物をジャズをBGMにやってみるのも結構乙なもののようですね。皆様も一度チャレンジしてみたらどうですか…。わたくし目は番組の取材に1週間ほど台湾に行きますが、今度こそぜひ台北“ブルーノート”を訪れようと思っています。取材費用が殆ど無い出張なので、どうなることか…。   


4月7日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.04/06 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.93~ラテン・ジャズの注目盤~】

 ラテン・ジャズと言うと、どうしても能天気な音楽として敬遠する連中が多い。ぼく自身も若かりし頃は、コンガやティンバレスの入ったジャズ(今言うところのラテン・ジャズだが…)には、ルー・ドナルドソンやウイントン・ケリーなどの好アルバムであっても、見向きもしなかったものだった(大反省!)。

 それがいつからかラテン・リズムの魅力にはまってしまい、この10数年は新譜を買うと言えば、もっぱらこの手のラテン・ジャズ・アルバムになってしまった。そしてぼくのラテン・ジャズの指南役とも言えるのが、ラテン・ジャズ~サルサの権威とも言える岡本郁生君である。彼は8年ほどラジオ日経のディレクターとしても活躍、早稲田大のジャズ研の後輩でもあるのだが、純ジャズの世界から鮮やかにこちらの世界に転向してしまい、今やこの分野の大御所。外見はまさにNYブロンクスのワルと言った趣きで、青山の暗がりで声を掛けられ、肝を冷やした覚えもある。余談だがラジオ日経からはもう一人、松山晋也君と言うロックとケルト・ミュージックの大家を排出しており、音楽には余り力を入れなかった局から、音楽ライターの権威が登場しているのは面白いこととも言えそうだ。

 まあそんな雑談はさておき、このラテン・ジャズの権威、岡本郁夫君が今回プロデュースを担当して、日本のラテン・ジャズの水準の高さを誇示するような良品を作ってくれた。“崩れさる時代に踊れ…”というキャッチのこの『ミッド・ナイト・ルンバ』と言うアルバムのリーダーは、日本のティト・プエンテとの呼び声も高い、ラテン・ビートのトップ・リーダー、ウイリー・ナガサキ氏。プロデューサーの岡本君自身が“音よし曲よし演奏よし!”と自画自賛しているが、決してオーバーではなくかなりな感涙・興奮もの。あびる竜太(p)小泉哲夫(b)など、ジャズ畑でも大活躍の中堅達に加え、”ディアマンテス“のアルベルト城間やSOIL&PIMP・SESSIONSの人気者、元晴やダブゾンビなど多彩なゲスト陣も参加し、アルバムを盛り立てる。ウイリーさんのオリジナル“ザ・ストーム”や“ミッドナイト・ルンバ”なども仲々に血沸き肉踊る好ナンバーだし、勿論ジャズ・スタンダードの“グリーン・ドルフィン・ストリート”やガボール・ザボの名品“ジプシー・クイーン”のラテン化など、ジャズ・ファンへの目配りも忘れていない。
 
 ウイリー~岡本のこの強力・悪役コンビが先日このアルバムを携えてスタジオにやって来た。およそ東京のスタジオと思えない密度の濃さだったが、愉しいひと時だった。放送は来週の“テイスト・オブ・ジャズ”の時間で。

 ところでラジオNIKKEIは4月2日から全国どこでもラジコで聴けるようになった。パソコン、スマホでクリアーに番組が聴けるので、多くの音楽ファンに口コミで伝えてくださいね。我が“テイスト・オブ・ジャズ”も苦節48年余り…、ようやく音の悩みから逃れられ、いたく感激です。これからもよろしく…。


ウィリー・ナガサキ氏(左)と岡本郁生氏(右)


3月31日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.03/30 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.92~ジャズ入門~】

 4月と言うのは入学、入社など新たなスタートとなる月。街には新人が溢れる訳だが、我が“テイスト・オブ・ジャズ”もここ数年、この時期にはジャズ入門番組を放送している。登場したゲストは青木和富、大村幸雄、岩浪浪三などと言ったジャズ評論家の面々で、それぞれが考えるジャズ入門に相応しいアルバムを4~5枚用意してもらって、ジャズは決して難しいものでないことを語ってもらっている。今年はこのテーマに丁度よいジャズ本が出たので、その著者に来てもらうことにした。登場するのはジャズ記者と自称している富澤えいち氏で、その教本は”頑張らないジャズの聴き方“(ヤマハ・ミュージック・メディア)
 ”。
 
 ジャズ記者歴30年”と言う彼は、この本でジャズに親しむA~Zまでのステップを示し、これによってジャズに親しむことが出来ると言う、どこかの予備校の教科書のようだが、これが中々に面白くて示唆に富み、為になるお得な本なのである。一見こわもての風貌ながらも実にダンディでもある彼は、“ジャズ・ライフ”を中心に様々な雑誌などに寄稿しているジャズ・ライターで、今までの権威あるジャズ評論家とはちょっと異なった、興味深いジャズ入門観を披露してくれた。
 
 特に興味深かったのは、あの井上陽水をインタビューした時に、陽水が好きだと言うことから、彼自身も関心を持ったという欧州の歌姫、アン・バートンを取り上げてくれたこと。アン・バートンの『ブルー・バートン』と言うアルバム、同じ欧州の歌姫カーリン・クローグの諸作と並んで、ぼくの大好きなボーカル作品。陽水さんもごひいきとは、嬉しい限りである。そして番組のラストに彼が選んだのは、J-ジャズの注目かっとび男、スガダイロー。いわゆる難解とされるフリー・ジャズに属するダイローだが、“最近の若い人は垣根も無く何でも受けいれるんですよ…”と言う発言、心強い限りである。この富澤氏のジャズ入門講座は4月7日に放送予定です。  


富澤えいち氏


3月24日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2012.03/23 スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.91~春のナンバー~】

 まだまだ寒い日が続くが、もう春なのである。春=スプリングと言えば、ジャズ・スタンダードでも春を歌い上げた名曲は数多い。

 ”エイプリル・シャワー“”サム・アザー・スプリング“”サドンリー・イッツ・スプリング“”ゼイ・セイ・イッツ・スプリング”“イット・マイト・ビー・アズ・スプリング(=春の如く)“等々、ちょっと思いつくだけでも4~5曲はすぐに挙げられる。まあこうした春の歌がスタンダード・ナンバーに多いのは、春=恋の芽生えに関係しているとぼくは睨んでいるのだが…。と言うのもスタンダード・ソングのほとんどはミュージカル・ナンバーで、それらのミュージカルは、だいたいが色恋をテーマにしたものが多いだけに、必然的に春を歌いこんだナンバーも多いと言うことになる。

 そんな春を唄ったアルバムとしてお勧めしたいのが、ベースを弾きながらジャズを唄う美形のニッキ・パロットの新作。その新作のタイトルはなんと『さくらさくら』。ここでの彼女は日本の代表的な春唄=“さくらさくら”を、ベースを弾きながら日本語で唄ってくれており、そのほか上記のようなスプリング・ソングの数々も巧みに唄いこなしている。
 ぼく自身の最も好きなスプリング・ソングは、やはりフランスを代表する作曲家ミッシェル・ルグランの書いた“ユー・マスト・ビリーブ・イン・スプリング”となるだろう。メロディーが抜群のこの曲は、他の人が歌詞も付けており、多くのシンガーが歌っているが、圧巻は北欧の歌姫、カーリン・クローグが歌ったもの。初老の女性が自身の人生を振り返って唄う内容だけに、カーリンのような抜群の表現力を持ったシンガーでないと歌いこなせない感もあり、素晴しい歌唱でジャズ・ボーカル屈指の一編と言ってもいい。

 まあいずれにせよこの季節、春の曲を捜し求めて一日聴いてみるのも一興と思いますが、皆さんは如何ですか…。


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