2月18日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.02/18 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.553~グレート3】

 
天才プーさんことピアニストの菊池雅章、鬼才ドラマーの富樫さんこと富樫雅彦、そして孤高にして最高のベーシスト、ゲイリー・ピーコック。この3人共が今はもう鬼籍に入ってしまった究極のザ・トリオ。まさに「グレート3」の名称に相応しいこのメンバーが、1994年に行った奇跡の2つのセッション。これが今回4枚組のCDとして完全版の形で復刻され、未発表の演奏も4曲ほどここには収められていると言う。このニュースを耳にした時、これは直ぐにでも番組でも紹介しなければ...と思い立ち、オリジナルのトリオアルバムのプロデューサーで、今回の復刻の立役者でもあるジャズブログ「JazzTokyo」(ぼくもコントリビューターの一人)の編集長、稲岡邦彌氏に登場いただき、今回このアルバムの魅力を紹介してもらうことにした。

 稲岡氏はジャズ界ではもう有名な存在で、あの欧州発の世界的ジャズレーベル「ECM」を日本に本格的に紹介した人物。別名ミスターECMとも言われる存在で、今は亡きトリオ・レコードの敏腕洋楽部長として、数多くの秀作ジャズアルバムを世に送り出してきたが、このアルバムもその中の一つで、特に彼が印象に残ったものでもあるようだ。このアルバムは、ある音響メイカーが高品質の録音でアルバムを作りたいと稲岡氏に話を持ち掛け、1994年の春、丁度ゲイリー来日の折にゲイリーにプーさん、富樫さんと言う究極の組み合わせで、アルバム録音が実現することになったと言う。そしてこの収録の前日、新宿の「ピットイン」でリハーサルを兼ねライブが行われ、そのライブもこのアルバムの2枚目から4枚目に収録されている。即ちスタジオの本セッションが「ビギン・ザ・ビギン」セッション、「ピット・イン」ライブの方が「テネシー・ワルツ」セッションと名付けられ、全部で4枚組、曲数にして23曲が収められている、正に「コンプリート・グレート・3セッション」なのである。

 スタジオの方はオーディオファン向けと言う面もあり、3人のオリジナルもあるがメインはスタンダードナンバーだが、これが一筋縄では行かない素晴らしさ。この3人は当時20数年振りの再会と言うことだが、さすがに超実力者だけにその共演模様は凄味すら漂う。富樫さんは不幸なことに(奥さんとの揉め事で長い車いす生活)、ドラムではなく特注のパーカッションを叩いているが、その表現力・衝撃力も凄まじく、それに呼応するプーさんとゲイリーも迫力充分。聞き応え十分なセッションが展開される。稲岡氏はその場に実際に立ち会っていただけに、関連話も興味深い。

 その上この番組では、恐らく本邦初お目見え~初公開のプーさんのラストソロアルバム(4月発売)から1曲、彼の代表曲「リトル・アビ」も最後に紹介する。これは2015年に亡くなった(享年75才)、プーさんの本当のラストソロアルバム(『花道』で2013年に録音されたもの)プロデューサーの要望を受け、彼にしては珍しくスタンダードを中心にソロ演奏したもので「サマータイム」「マイ・フェイバリット・シングス」などが収められており、そのラストが彼の代表曲「リトル・アビ」。50年近く弾き続けたこの曲の深淵な美しさを称えた究極の演奏で、番組は幕を閉じる。皆様もこの特別な「テイスト・オブ・ジャズ」、是非お聞きください。

【今週の番組ゲスト:音楽プロデューサーの稲岡邦彌さん
M1Begin The Beguine / Great 3」『コンプリート・セッションズ 1994』より
M2Straight, No Chaser / Great 3」『コンプリート・セッションズ 1994』より
M3Peace / Great3」『コンプリート・セッションズ 1994』より
M4Little Abi / 菊地雅章」『ラストソロ〜花道』より



2月11日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.02/11 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.552~都市の変容】

 
先日番組の打ち合わせで、地下鉄の溜池山王駅「スタバ(スターバックス・カフェ)」に向かった。朝10時からの打ち合わせと言うヤングチャンジー(爺さん)=オールドボーイのぼくにとっては、結構早い時間からの打ち合わせ。まあこの溜池山王駅はかつてのラジオたんぱ時代=局員時代の出勤最寄り駅で、スタバも良くタレントなどと打合せを行った馴染みの店。ただ最近はコロナ禍での在宅勤務の関係か、以前に比べると地下鉄駅周辺はかなり人も少なくなっている。ちょっと心配にはなったが、慣れ親しんだ店だけに...と思って進む。しかし駅周辺の最奥部分~あるべき所にその店は無い。道を間違えたのかと辺りを探したが肝心の店は無く、近くにあった筈のコンビニも無い。どうやらかなり前にクローズされてしまったようなのである。これは困ったと思い表通りに上がり、最も近いこれも馴染のコマツビルに向かい、かつてここに純喫茶があったと思い...探すとドンピシャで正解、ようやく打合せ場 所を確保した。だがこのビル地下も、かつては沢山の店で賑わっていたのだが、今やこの喫茶のみが営業していると言った淋しくも厳しい状況。溜池周辺も少し来ないうちに、街も店も大きく変わってしまっていたのだった。

 斯々云々(かくかくしかじか)で、今や東京の街々はどこも大きな変容を遂げつつあり、ぼくの様なオールドボーイは都会の田舎者と言った感じで、落ち着いて街を散策することも出来ないし、人と会うこともままならない。その変容度の代表的街が渋谷で、この未来都市にも似た街は未だ変容を遂げつつあり、最近ようやく慣れることが出来つつあるが、一時は地下鉄から東横線や井の頭線に乗り替えるのに全くまごついてしまい、しばしうろうろ...と言ったお寒い状態が続いたものだった。
 同じ現象は日本橋でも上野そして池袋等々、東京の至る所で起きているが、この都市変容に慣れることなどは、ぼくのようなチャンジーにはもうかなり難しいのだと、今は痛いほど思う。

 翻って音楽=ジャズの世界でも、ヒップホップやラップなどのブラックミュージックをベースにした最近のコンテンポラリージャズと言うもの、それが今の若いアフリカンアメリカン(黒人)達の、日常や心情をダイレクトに写し取ったものだと言うことは、頭では良く分かっていても、自身の心身が受け入れ難いのだ。そしてこの受け入れ難いと言うぼくの今の率直な感じと、東京と言う大都市の変容についていけない、今のぼくの心情とは、何か似ている=通底している気がしてならない。まあこれもぼくが単に年をとってチャンジーになってしまい、感性が錆びついてしまっただけかも知れないが、何とも寂しいし残念なことでもあります。せいぜい好奇心旺盛にして頑張らなければ...

【今週の番組ゲスト:放送作家の中野俊成さん】
昨年12月に発売された『ジャケ買いしてしまった!!ストリーミング時代に反逆する前代未聞のJAZZガイド』をご紹介頂きました。

M1Summertime /  David WeissP80Virtuoso Saw』より
M2The Girl From Ipanema  / Mrs.MillerP145Will Success Spoil Mrs. Miller?!』より
M3Je t'aime...moi non plus  / Bourvil & Jacqueline MaillanP103Ça (Je t'aime moi non plus)』より
M4Farmer John / Mel HenkeP61La Dolce Henke』より
M5These foolish things /  Ella Fitzgerald & Louis Armstrong P167Ella and Louis~again』より




2月4日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.02/04 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.551~音楽本あれこれ

 正月明けから1月の半ばまでに読んだ「音楽本」を紹介してみよう。まずは何度目かの再読だが、村上春樹~和田誠の共作になる『ポートレート・イン・ジャズ』(文春)。和田誠画伯が10数名のジャズメンを描き、その彼ら彼女らに関する文章を、春樹がまとめたと言うジャズ本で、何回読んでも示唆に富み、誠さんの描くジャズイラストも含蓄深く興味尽きない。春樹氏は国分寺~千駄ヶ谷で結構長い間、ジャズカフェ「ピーター・キャット」を営んでいただけに、モダンジャズを実によく聞きこんでおり、学生時代は伝説のオールドタイマー喫茶「スイング」でもバイトをしていただけに、全てのジャズに通じており、また我々並みのジャズライターなどは足元にも及ばない筆力と着眼力で、愉しく読ませる。更にそれを誠さんのイラストがアシストし、絶妙のコンビなのである。

 春樹~誠コンビのこの定評あるジャズ本は、どなたにもお勧めのジャズ本だが、続く2冊は万人向きとは言い難いもの。但しガイド本なので読み易いものではある。その2冊とは「アバン・ミュージック・イン・ジャパン」(DUブックス)と「快適音楽ガイド」(シンコー・ミュージック)。2冊とも気鋭の音楽ライターのペンになるガイド本で、タイトルからすると、前者はかなり尖がった音楽ガイド、そして後者はかなり軟弱なガイド本等とも思われがちだが、この両方は意外に親和性も強い。その最大の類似点は、お勧めの「脱ジャンル音楽=越境音楽」あるいは「境界線音楽」のガイド本...、とでも言ったら良いのだろうか...。両者ともにロックやポップス、そしてジャズと言った音楽がそのガイドのコアにはなっているが、取り上げられているものはどれもゴリゴリのロックとかジャズと言った原理的アルバムでは無く、それ等をコアに様々なジャンルの音楽要素がミックスされた、蠱惑の音が詰まったアルバムが紹介されている。「アバン」とは「アバンギャルド」の略でかなり先鋭的な音楽=現代音楽などもその範疇に入るし、一方の快適音楽の方には、ぼくの云う"楽園音楽系"のサルサやラテンジャズ、タンゴ、更にワールドミュージック系の音も含まれるが、そのどちらも既成の音楽ジャンルに固執していないものがメインになっており、そこがなんとも面白いし惹かれる所。

 今は既存のCDなどが売れずにダウンロードなどが主力。ジャズをジャズとして、クラシックをクラシックとしてなどと意識しないで、色々と聞き漁る雑食性の音楽ファンが増えており、これは良い面と余り感心しない面の両方あるとは思うが、好きなものを好きな時に...と言うノンシャランな聴取態度は、音楽の在り方そものを変化させつつある様にも思える。ぼくなども脱ジャンル~越境音楽好きなどと思っているし、実際に広言もしているが、やはりコアはド・ジャズであって、それを聴いてさえいれば安心...などと言う感も少なくない。そこはチャンジー(爺さん)リスナーなのである。まあこれからも年齢も年齢だけに、余りいきがらずに愉しい音楽を味わうことに心掛けたいものだと、この2冊の意味深い音楽ガイド本を読んで思った次第です。皆様にもお勧め本です。

【今週の番組ゲスト:ジャズギタリストの浅利史花(ふみか)さん】
新譜『Introducin'』から
M1bluesette
M2Daahoud
M3Goldfish Droppings
M4Summit

1月28日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.01/28 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.550~バイデン新大統領

 とうとうトランプがアメリカ大統領と言う大舞台から消え去り、バイデンが新大統領に就任した。この4年間の大国アメリカは、トランプの為に極端な分断に悩まされ続け、ぼくの知るアメリカの友人達(現地に長くいる日本人も含め)は、ミュージシャンや会計士、大学教授等々、所謂インテレクチュアルな人達は、その殆んどは異口同音にただただトランプが消え去ることだけを望んでいたようだった。彼らは選挙で当然バイデンに一票を投じた訳だが、総じてバイデンでなくても誰でもいい、ただトランプでさえなければ...と語っていたのが印象的だった。一方トランプ支持派は、彼が悪と戦う正義のヒーローで、彼の語ることは絶対に正しいのだと信じ、そうした行動を起こす人達もかなりな数だった。そのほとんどが白人でその中の過激な面々が前代未聞の議事堂突入などを行ったのだった。
 ぼく自身は常日頃からチャンジー・ボーイ(好奇心旺盛な若ぶった爺さん)だと思っているが、ぼくよりも4、5歳上のバイデンが、この極端に分断化された難局アメリカの舵取りを任されたとは、自身で決めたこととは言え、その大変さはどれほどのものだろうか...。まあその舵取りが上手くいくことを願っているし、そうでなければアメリカのみならずこの世界全体がどうなってしまうのか...。

 日本のTV局なども、こぞって今回のこの大統領就任式の模様を伝えていたが、某番組に登場したゲストコメンテーターの小西克哉氏が、皮肉交じりに語っていたのは、新大統領のバイデンの宣誓演説よりも、勝手に退任式を行い得々と自慢話を語り散らしたトランプの演説の方に力点を置いて紹介する...と言った倒錯した制作方針だった。これは至極正論で流石に最も信頼のおける小西克哉氏ならではの指摘だった。まあこれにはトランプの日本での不思議な人気も影響しているかも知れないが、ぼくの周りにもバイデンの当選は不正な陰謀の結果で、いつかは正義が...などと宣うトランプ信者が少なくない。ジャズ関係者の中にすらそういう輩がいるのには、人は好き好きだと言っても本当に驚かされてしまう。

 大統領就任式について言えば、圧巻はレディー・ガガの国歌独唱だった。彼女の存在は当然良く知っているし、あの大物トニー・ベネットのデュオ歌唱盤で、その素晴らしい力量も知っているつもりだったが、この国歌独唱には素直に感動した。ずっと真摯なトランプ批判を展開していた彼女だけに、その万感の思いが込められた独唱だっただけに、多くの人達を感動させたに違いない。続いて登場した女優&シンガーのジェニファーロペスの歌も良かった。

 4年前のトランプ就任の時には、良識ある歌手がそっぽを向け、名前の知らないカントリーシンガーが祝福の歌唱を披露していたが、あの式典とは大違い。ハリウッドが総すかんのトランプに変わっての期待の老星バイデン。アメリカのポップカルチャーは、彼の登場でまたまた新たな飛躍のステージに突入する...こと間違いなしを予感させるに充分な良い式典だったと思う。まさに「アメリカ・ザ・ビューティー」である。

【今週の番組ゲスト:JazzEMP事務局長の荒井尚文さん トランぺッターの原朋直さん】
M1Cosmic Microcosm / 原 朋直グループ」
M2Little Bird Bluse / 小曽根真 feauturing No Name Horses
M3Goldfishdropping / 浅利史花」
M4Deep Sea / 原朋直グループ」


1月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.01/21 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.549~ラグビー大学選手権

 巷ではほとんどの市町村で式典中止が決められる中にも、晴れ袖姿の新成人が行きかい愉し気な談笑を交わしていた1月11日の成人の日。その成人式に出席もせずに半世紀以上が経ち、今や単なる街のチャンジー(爺さん)に成り下がっているぼくも、この日は年甲斐も無く結構燃えていた。

 我が早稲田大ラグビー部の大学選手権2連覇が掛かる決戦の日で、10時過ぎには家を出て国立競技場に向かう。待ち合わせの千駄ヶ谷駅に着くが、いつもの決勝の日と違って至って静かなもので、駅前もいつもような混雑もなく、騒がしい様子は皆無。大分拍子抜けだったがまあこれも無理からぬ所で、この非常事態宣言下に良く試合が出来たものだと感心もする。前売りの1万5千枚強の入場者だけ認めての試合決行だと言うが、実際には5千枚分の人間は入らなかったのだとも聞く(明治ファンだと想像するが)。色々とオリ・パラ開催強行のための忖度が各所で働き、どうにか開催にこぎつけた...と言うのが真相のようだが、まあ試合が可能になり観戦出来るだけで御の字と言った感じ。閑散と言った感じが濃厚な国立競技場に着くと、何と我が早稲田ラグビー部員達の部員席のすぐ脇の辺り。これはまた縁起が良いと...、正月のおみくじ大吉引き当てに続き早稲田ラグビーの優勝を確信する。

 しかし幸運はここまでで、1時過ぎに試合がキックオフされると後は悲惨の極み。直後からどんどんと天理大に攻め続けられ、ボール支配率・地域支配率とも3割弱と言うみっともなさ。前半10分頃までに早くも2トライを立て続けに決められ、前半だけで既に試合決まりと言った様相。久しぶりに早稲田が完膚なきまでに痛めつけられた感も強かった。まあ今年はコロナ禍で菅平の合宿も中止、秋まで対外試合も無しと言った厳しい状況の中で、良く決勝戦まで勝ち上がってきたものだと、選手たちを褒めてあげたいし、彼らに感謝もしている。

 しかし、しかしである。監督やスタッフにはやはり注文の一つも付けたくなる。昨年の早明戦で惨敗した明治を軽く一蹴し、決勝に臨んできた天理大。その力量は良く分かっていたはずなのに、ほとんど対策が練られていないように見えたのは残念な極み。昨年の対決で大勝した驕りや余裕がありすぎて、天理戦への対策を怠ってしまった...と言われても仕方ない完敗・惨敗だった。
 それともう一つ、この決勝戦はコロナ対策で拍手だけの声援となっており、選手たちの声もフィールドに近い席だっただけに返って良く響いた。そんな中こちらに聞こえるのは、天理の選手たちの声だけ。彼らは早稲田の選手一人一人の名前を呼んで、デフェンスの確認をし、気を引き締めていたし、コーチもグランドの脇に立ち大声で支持を出していた。一方早稲田からは選手の声も一切聞こえず(劣勢だったので仕方ない面もあるが)、コーチなどもグランド上に見当たらない。更にすぐ脇の早稲田部員席からも応援の声が上がらず、至っておとなしい。ラグビーと言う競技は体と体をぶつけ合う競技で、特に学生の試合などは気合の持ちようで、試合の流れが決まってしまう所も多々ある。そうした意味でもこの試合その実力以上に、試合の勝利要素は意外にそこら辺で決まってしまったのかも知れない...。現にある早稲田のFWの選手は試合後のインタビューで「天理の選手の声のでかいことに圧倒された...」とまで語っており、FW戦のモールやラック(FW同士のもみ合い)で完敗したのは、適当な対策が取られていなかったことと、この声のでかさに圧倒されたこと...なども、関係していたのかも知れない。それにしても劣勢の中にあって、部員達はもう少しグランドの選手たちに声を掛けられなかったのか...。そうすればもう少し流れも変わる可能性があったようにも思えてならない。クールで沈着...は早稲田ラグビー部の売りではあるし、現在のコロナ禍で、声を出すことも躊躇われたのかも知れないが、それを突き破るような熱く激しい鼓舞の瞬間も、必要な時はあるのだ...と強く思ったものだった。

 何ともやるせない気持ちで、競技場を後にしてすぐ前にあるラーメン店「ホープ軒」(日本有数のコテコテそば)に寄り、久々に焼け気味で食べつくした一日。残念で寂しい一日でした。

 とここまで書いて驚くべき...と言うかまあ規定通り...と言うか、早稲田ラグビーに関する重大ニュースが飛び込んできた。監督の相良南海夫氏が勇退と言うニュース。彼とは2度ほどしか話(立ち話)をしたことが無く、まだ50才すぎには思えない温和な好々爺然とした人物だったが、長年三菱重工相模原の監督などを務めて来た組織人にして苦労人。崩壊寸前だった早稲田ラグビーを良くここまで立て直してくれた...と感謝しかない。また会社に戻るのだろうが、これからの人生幸多いことを祈りたい。それにしても敗戦のあと、彼は結構恬淡としていたように見えたが、もう覚悟は決まっていたのだろう。最後にミッシェル・ルグランの名曲「ワット・アー・ユー・ドーイング・ザ・レスト・オブ・ユア・ライフ」で、これからを称えたい。ご苦労さんでした。相良南海夫氏!

【今週の番組ゲスト:ジャズギタリストの井上さとしさん】
9枚目のリーダーアルバム「9SONGS」から
M1Together With You
M2Paz y Amor Siempre
M3Monk The Things
M4Nonoichi Swing

1月14日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.01/14 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.548~正月3が日

 災」から「福」に...と願っている方も多い2021年が明けた。正月3日間は世間の心配をよそに、快晴の好天気続き。特に元旦は雲一つない全くのピーカン。こうなると新年恒例の富士浅間神社参り...と言うことで、例年よりも1時間ほど遅い8時過ぎに自宅を出て、中央高速をひとっ走りして富士吉田市に向かう。例年に比べると車の数も少なく、実に走り易い。2時間弱で富士吉田のICを降り神社方面に向かうが、拍子抜けするほどスイスイと車は進み、神社に着くと駐車場もガラガラ。いつもだと朝の10時過ぎは、駐車場も超満員で場所探しに手こずるのだが、今年はそんな気配まるでなし。本宮の参道も人は例年の4分の1程で、参拝もあっけない程スムーズに終わる。まあ密が昨年の一字で、暮れからまたまたコロナ禍第3波到来などと騒がれているのだから、こうした閑散状況も無理からぬ所。翌日のラグビー大学選手権準決勝戦に臨む、我が早稲田チームの勝利を願っておみくじを引くと、これがなんと大吉。ここ10数年中吉・小吉などはあっても、大吉は無し。これは年初めから縁起良しで、明日の早稲田チーム勝利は間違いなしと確信、正月もやっている吉田の地場の温泉につかり、気持ちを新たにして帰京する。

  翌日はいよいよラグビー観戦。試合開始の1時間ほど前に秩父宮ラグビー場に到着、ここもソーシャルディスタンス実施で観客数も例年に比べて少ないが、熱気は例年通り。相手の帝京大は今年のシーズン戦で軽く一蹴した相手ではあるが、数年前までは10年位全く歯が立たなかった強敵。6・4で不利と思いながらも早稲田の勝利を願い、おみくじの結果も最高だっただけにその勝利を信じる。ウオーム・アップを見ていると早稲田の面々の充実度が伺え、その勝利を確信する。帝京大の全盛時代には、この試合前のアップを見るだけでこれは早稲田ダメと思ったものだが、今は全く違う。12時過ぎにキックオフの笛が吹かれると、実に早稲田の選手全員が元気で、開始わずかでFW全員で押し込むモールトライを決めるなど、素晴らしい出来栄え。後半は帝京大のパワーに押されたものの、6点差のままノーサイド(試合終わり)が近ずく。胃の痛くなるようなディフェンスが続き、ようやく我が早稲田ラグビーチームは逃げ切る。万歳・万歳なのだが、歓声を上げることは禁じられていおり、心の内で万歳を三唱。第2試合の明治―天理戦は友人に会うために観戦は取り止め。どうせ明治がコテンパンに天理を痛めつけるだろうと勝手に判断。夜帰宅してオンデマンドのラグビー中継を見ると、これがなんと全く正反対の結果。あの明治が天理に軽くあしらわれているではないか...。これには全く驚かされた。まあ外人選手が4人もいるとは言え、天理大は攻撃も防御も想像以上にスピーディーで素晴らしいものだった。この天理大に我が早稲田がどう戦うか...、それを想像しながらもう一つのスポーツハイライトである、箱根駅伝を見ると、これも創価大の予想外の往路優勝となっている。まあコロナ禍の中、2021年もまたまた世の中何が起こるか分からないものの様である。

 そして3日は、暮れに行けなかった墓参りに...。我が家のお墓は鎌倉の鎌倉霊園にあり、この霊園が出来て直ぐにお袋がここを気に入ってその一角を購入。それだけにこの墓地を所有する、あの西武の堤家の壮大な墓所の直ぐ傍の仲々に恵まれた場所にある。はるか鎌倉の海も見渡せ、富士山も望めると言う理想的なロケーション。この日も湘南の海と富士山を望みつつ墓に線香をあげ、今年1年の自身の生存を祈願した。チャンジー(爺さん)になると、寂しいことにもうただ生き続けることのみ...。これではいかんとその帰り道、横浜の「ディスク・ユニオン」に立ち寄り、去年のジャズシーンで最も力感のある素晴らしいアルバムの一つ、話題の俊才トランぺッター、アンブロース・アキンムシーレの新譜『オン・ザ・テンダー・スポット...』(BN)を購入、家でじっくりと聞くことにする。その結果は一口縄では行かない仲々に難しいアルバムだったが、アフリカン・アメリカン(黒人)の原点とも言えるブルースの現代的解釈とも言える意味深いアルバムと気づく。一回では理解し得ない所も多い含蓄多い作品なので、新年の年初めはたっぷりとこのアルバムに浸ろうと思っています。また今年も我がジャズ番組、よろしくお付き合いの程...

【今週の番組ゲスト:ピアニスト、コンポーザー、ボーカリストの宮本貴奈さん
7年ぶりのリーダーアルバム『Wonderful World』から
M1It's All Up to You
M2Hello Like Before~Just the Two of Us」
M3Blue Motion
M4What a Wonderful World


1月7日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.01/07 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.547~2021年スタート

 明けましておめでとうございます。波乱の年の幕開けですが、今年どうなるのか全く先行きが見えません。まずは何といってもコロナ禍...、大規模クラスターはあるのか...。そして最大行事のオリンピック、これすら開催出来るのかはなはだ疑問ではありますが、まあそんなことを憂いていても仕方ありません。我々チャンジー(爺さん)世代は自身が健康で、どうにか一日でも生き延びることを考えるだけなのですから...。

 さてジャズ番組の新年第1弾は、売れっ子ピアニスト、作・編曲者のクリヤ・マコトの久々の登場です。アメリカ西部の大学の、確か物理学科何か理数系の学科を優秀な成績で卒業、研究者として残る道もあったようですが、音楽の道を選んだ変わり種。頭脳明敏な人だけに、帰国後のデビューアルバムはⅩ理論とか言う音楽理論をメインにした結構ハードな内容のトリオアルバムだったと思います。だがそこは商才にもたけた人、これが駄目だと見るや方向転換、ポップスの仕事なども引き受け、ジャズをメインに各方面で大活躍、その才気を全面に打ち出し大成功をおさめ、今日に至っています。今や日本のジャズ、そしてポップスシーンの売れっ子の一人と言っても過言でないクリヤ・マコト。その魅力をたっぷり楽しめる30分間です。

 今回は昨年に出した「ウエザー・レポート」のヒット曲をクリヤ流にアコースティックで再構築したピアノトリオアルバム=「アコースティック・ウエザー・レポート」を中心に紹介しますが、クリヤのユニークかつインテレクチュアルなお話はけだし聞きものです。また「ブラック・マーケット」などのウエザーナンバーの変貌具合、これもまた愉しみです。
 新しい年の初めにフュージョンミュージックの代表格、「ウエザー・レポート」のヒットナンバーのアコースティック新装版、曲が生まれ変わるとはどういうことか...、そこら辺をたっぷりとお聴きください。

【今週の番組ゲスト:ピアニスト コンポーザー プロデューサーのクリヤマコトさん】
Acoustic Weather Report 2』より
M1Black Market
M2Donna Lee
M3Deep Insight
NOTHIN' BUT JAZZ』より
M4Street Walking Woman


12月31日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.12/31 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.546~年の最後に

 コロナ禍による「災」と「(ノー)密」に明け暮れたこの1年も、ようやく終わりを迎えることとなった。ぼくはほとんど見ないのだが、あの国民的番組、NHK紅白歌合戦も密を避ける意味合いから、無観客歌合戦になると言うし、暮れの恒例行事=ベートーベンの第9コンサートも、大人数の合唱隊を間引いて実施などと、どこも「薄」が強調され、ますます日本人の人間関係も薄味になり、厚顔の政治家ばかりがのさばる...と言った悲惨な状態になっている。
 ジャズ界でも「薄」は浸透、ライブなども次々に延期ないしは中止、ミュージシャンやシンガー達は寂しくもやるせなく、中には生活の行き詰まりすら伴う連中も少なくなかった。そしてジャズ界では今年の一文字がもう一つ「閉」。これはジャズだけでなく、飲食業界全般に言えることだが、老舗の飲み屋・居酒屋等も次々に閉店に追い込まれ、コロナ禍第3波到来と言われるこの冬は、ますますその傾向は増している様である。我らが拠点だったジャズ銘店=新宿「J」も3月に遂に店を締め、全国各地のジャズ喫茶も閉店が続いているとも聞く。寂しい限りである。

 そんな中我がジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」、なんと怒涛の57年目(?)に突入、恐らく世界のラジオ音楽番組の中でも、最長の一つとして頑張っている。特にジャズ番組に関しては、ほぼ間違いなく世界最長記録を更新中...、とぼくや進行役の山本郁嬢は固く信じている。中身の充実度では他にも数多くの素晴らしジャズ番組があるが、その放送期間の長さ、ノーギャラと言う過酷な状態で50数年も続けられている、この2つだけはどこにも負けない自負がある(そんなことを自慢して何になるかと言うご指摘も多いが...)
 まあこれだけ続けられたのも、ファンの皆様のご支援もあるが、やはりジャズと言う音楽の持つ素晴らしさ故だろう...。まあ後どれくらい番組を続けられるかは、今はしかとはしないが出来るだけ頑張るつもりですので、ご声援よろしく。
 
 番組来年第1弾は、今ジャズのフィールドだけでなく、各方面で大活躍中のピアニスト、作・編曲家のクリヤ・マコトに登場してもらう。アメリカの大学で数学の学士を獲得、その道に進むはずだったのが、どういう訳かジャズピアニストになってしまい、今や日本のポップス音楽界の最も売れっ子の一人と言われるクリヤ・マコト、久々の番組登場です。そしてその次週も、ジャズ以外の分野での活躍も目立つ、才媛ピアニスト&作・編曲家の宮本貴奈。名門バークリー音楽大学を優秀な成績で卒業後、なんとカントリーの本場とも言われる、中西部の大都市ナッシュビルに移り様々な一流アーチスト達のバックを務め、その力量を高く評価されながらも帰国、今は郷里の結城市に住みながら(観光大使でもある)、仕事の時は東京などに通うと言う優雅にして超多忙でもある彼女。なんと7年ぶりの番組登場でもある。
 この2人以外にも山下洋輔さんなど大物や注目の若手など、多彩なライン・アップが並びますので期待してください。よろしく。

【今週の番組ゲスト: 音楽評論家の青木和富先生】
2020 今年のジャズ」
M1Undertow  / Joshua Redman Quartetto」『RoundAgain』より
M2Part Ⅰ / Keith Jarrett」『Budapest Concert』より
M3Civet / RS5pbRuike Shinpei 5 Piece Band)」『RS5pb』より
M4This Dream Of You / Diana Krall」『This Dream Of You』より
M5Look for the Silver Lining  / Brad Mehldau」『Suite: April 2020』より


12月24日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.12/24 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.545~老兵は死なず

 「老兵は死なず...」と言う有名な言葉がある。
 マッカーサーと言う米軍の有名な司令官、戦後すぐの日本に圧倒的な権力を保持していた人物が、第一線を引退した時に語った有名な言葉だが、今やそのマッカーサーなる人物の名前を知るのも、60代半ばから上の連中ぐらいになってしまった。それだけにもしかしたらこの言葉も今はもう死語かも知れないが...。かく言うぼくも、マッカーサーの名前は子供の頃良く聞いた覚えはあるが、もの心付いた時にはもう彼は帰国しており、その姿を実際に拝んだり、その威光に触れるなどと言うことは無かった。
 その有名な引退の言葉が、先日全国の新聞紙面に踊った。あのマイク・タイソンが、同じくボクシングの世界で4階級制覇を成し遂げた、ロイ・ジョーンズ・ジュニアと言う、タイソン同様やはり伝説のボクサーとエキジビションマッチを行い、両者引き分けたと言うニュースのキャッチワードが、この「老兵は死なず...」だったのである。ボクシングに詳しくないので、相手役がそんな伝説の人だとはついぞ知らなかったが、この余興試合は有料配信されかなりな高額料金と聞くが、全世界で120万件以上の視聴があったと言う。凄い数だし流石はタイソン、「老兵は死なず」であるし、むしろ現役の日本ボクサーなどより、よっぽど立派なファイト振りだったと思う。

 ぼくが見たのは全中継ではなく、そのダイジェスト版だけに人気者タイソンの健在ぶりがクローズアップされる編集がなされた所はあったろうが、誰が見てもタイソンの健在ぶりは鮮やかだったし、その重いパンチは現役時代とも遜色ないものだった。相手役ボクサーもその凄い気魄とパンチ力に完全脱帽だっだが、凄まじかった。そしてかつての悪ガキを絵に描いたようなタイソンならば、自身の勝利を主張して止まないところが、快く引き分けを認め会心の笑顔で記者会見に臨んだ辺りも、流石54才にして功成り名を遂げ、円熟味を増した今のタイソンがそこに居た。

 この「老兵は死なず...」はその後に「ただ消え去るのみ...」と続く。こう続くとこの言葉が定年退職者の挨拶にぴったりだし、チャンジーのぼくの今にも当てはまる言葉かもしれないがボクシング界のレジェンド、マイク・タイソンには、やはり前部分の「老兵は死なず...」だけでないとぴったり来ない。その後に続く言葉は「より元気に...」と言った感じか...。それほど凄いパフォーマンスだったと思う。ゴルフや野球などではマスターズトーナメントなるものも存在するが、生身をぶつけ合う格闘技ではそうはいかないのだが、ここでのタイソンはそんな思惑を吹き飛ばしてしまった。これからはボクシングのマスターズトーナメントなるイベントンも実現するかもしれない...とも思わされた。
 翻ってジャズ界では「老兵は死なず...」の好古の例がサダオさんこと渡辺貞夫と、海の向こうのレジェンド、ソニー・ロリンズだろう。同じサックス吹きだがロリンズはこの所はライブなど行っていないが、サダオさんは元気そのもの。恒例の年末ライブを実施、コロナ禍を吹き飛ばすような元気ぶりである。「老兵は死なず」そして「更に元気に...」を実行に移し、いつまでもJ-ジャズの為に頑張って欲しいものである。

【今週の番組ゲスト:作編曲家、ピアニストの遠藤征志さん
M1HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS / Mr. Jazz Quartet
M2WHAT A LITTLE MOONLIGHT CAN DO / Kiss the Cats
M3CHARADE /  Kiss the Cats」
M4O HOLY NIGHT /  Mr. Jazz Quartet

12月17日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.12/17 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.544~もういくつ寝ると

 色々波乱と混乱に満ちた年だった2020年も、もう残り僅か...。コロナ禍以外にはほとんど何も考えられない1年間だったとも言えるが、ぼく自身もう70年以上生きて来た中でも、最も災事に悩まされ続けた1年だったと思う。年初めの頃は、コロナ禍もこんな酷いことになるとは想像出来なかったが、2月ぐらいからは直ぐにドン底状態、本当に最悪の1年間だった。日本がどうにかこのコロナ禍をやり過ごせたのは、志村けん、岡江久美子と言う2人の有名人のコロナ死だったのではないだろうか...。あの死亡ニュースによって、新型コロナは怖いものだと言う認識が全国民に徹底され、マスク着用や消毒励行なども実施。自粛警察などのコロナ禍監視社会の徹底が、全く好ましからざることなのだが、ある程度の抑制に繋がったとも言える。
 個人的にはこのコロナ禍に加え、この夏終わり頃から番組面でのあるトラブルに巻き込まれ、11月初め頃までおよそ3か月間も悩まされ続けた。局員時代にも無かったトラブル勃発で、止まぬコロナ禍と合わせダブルショック状態、個人的にも全く混沌・困惑の年だった。

 さてそんな2020年も、もうジエンド。と言うことで毎年恒例の「今年のジャズこの1枚...」、ジャズ専門誌やジャズサイトからも依頼を受け、頭を悩ませどうにか選出した。まずは海外編。こちらはブラジルを代表するピアニストにして作・編曲家、教育者でもある、アントニオ・アドルフォのミルトン・ナシメント集『ブルーマ』(輸入盤)。ナシメントは「ブラジルの声(心)」などとも呼ばれる、ブラジルの北島三郎とも言えそうな大シンガー。ジャズとの親和性も強く、ハービー・ハンコックやウエイン・ショーターと言った巨人達との共演は、ジャズファンならばもうよくご存じの筈。そのナシメントの作品集を、アドルフォは何時か作り上げたいと思っていて、今回ようやく実現したのだと言う。それだけにその力量が最大限に発揮された、ブラジリアンジャズならではの、軽やかで充実した力作で、グラミー賞のラテン部門でも最高賞に輝いた筈の作品である。

 そして国内編だが、これがまたなかなかの難物。このコロナ禍でジャズプレーヤーやシンガー達にも大きな影響が出ており、ライブ活動は出来ないうえにライブハウスも次々と閉鎖。我らが拠点とも言える老舗ジャズクラブ、新宿「J」も、マスター幸田稔君の奮闘むなしく、遂に40数年の歴史の幕を閉じてしまった。それだけにジャズにとって実際の活動が非常に難しい1年間で、更にアルバムも出せなくなり、そうした様々な悪条件などにより、国内盤の1枚を選ぶのは困難な作業だった。しかしやらなければならない。
 と言うことでぼくの今年の国内盤の1枚は、注目の若手べーシスト、須川崇志のトリオ=バンクシア・トリオによる『タイム・リメンバード』。故菊池雅章や峯厚介などのバンドで活躍している、バークリー音楽大出身の知性派べーシスト須川は、林正樹、石若駿の今最も才能に溢れた若手による自身のトリオ~バンクシア・トリオを結成、そのデビューアルバムにあたる。ここでは期待通りの素晴らしいトリオサウンドが展開されており、日本的でありながらインターナショナルな響きと魅力にも溢れている、まさに世界に通じるトリオサウンドが、がっちりと提示される。皆様も是非聴いて欲しいものです。

【今週の番組ゲスト:NY在住のピアニストRINAさん】
デビューアルバムRINA」から
M1Journey
M2Shadows Of The Mind
M3Tale Of Small Wishes
M4Run And Rise

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