4月29日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.04/29 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.563~夢のカリフォルニア

 のっけからいささかセンスが無くて申し訳無いのだが、ここで質問をひとつ...。「貴方はアメリカと言うと、どの街~どこの風景をまず思い浮かべますか...」。まあその答えは、このコラムの読み手がジャズ好きと言うことから、直ぐにNYと言う名前が挙がる筈だろう。だが中にはジャズ発展の重要都市カンサスシティ―、またジャズ発祥の地ニューオリーンズ、あるいはウインディーシティー(風の街)とも呼ばれるシカゴ等々。これらの都市を挙げられる方もおられるかも知れない。恥ずかしながらこれ等の都市の内、ぼくが実際に訪れたことのあるのはNYだけ(米国訪問は6度ほど)。それも同地に最も長く滞在したのも5日ほどで、アメリカと言う土地はチャンジーになってしまったぼくにとって、未だに未知の憧れの土地なのである。 

 そう言えばアメリカきっての大都市魅惑の街NY。この街にかつて我がラジオNIKKEI(当時はラジオたんぱ)も、ラジオ局には珍しくNY支局を開設していたことがあり、このコラム担当のO氏もかつてNY支局長として、実に有益で愉しい1年間を送った筈。誠に羨ましい限りなのである...。

 冒頭の愚問だが、ぼくの答えはサンフランシスコ~カリフォルニアと言うことになる。NYもジャズ関連の友人や後輩も数多く、実に刺激的な魅力溢れる街なのだが、初めてアメリカを訪れた時(20代半ば)に、最初に降り立ったのがカリフォルニアの地~サンフランシスコの街だった。それ以来これぞアメリカと言った明るさ(あの青い空)と独特な陰影を兼ね備えた坂の街=サンフランシスコは、ぼくにとって大変に忘れ難い街なのである。そしてこの街のことを思い出すと、あの男女4人組のコーラスグループ「ママス&パパス」の「夢のカリフォルニア~カリフォルニア・ドリーミング」の印象深いメロディーと歌詞、これが直ぐに頭に浮かんでくる。恐らくぼくにとって、最も印象に残るポップスの1曲と聞かれれば、この曲を挙げるに違いない(今までそんな経験は無いが...)のでは...とも思う。先日も新宿の「ディスク・ユニオン」でジャズCD漁りをしていたら、ママス&パパスのベスト盤が安く出ており、当然持ってはいるのだがその安さにつられ、また1枚彼らのベストもの買ってしまった。何せ1965年~67年迄の数年間しか活動していないグループなので、アルバムは本当に少なく(3枚の筈)、ベストアルバムさえあれば十分なフォークロック&ポップスユニットなのである。

 先日もユーチューブを見ていたら、そこにママス&パパスのものも載っており、そうなると当然「夢のカリフォルニア」である。わずか3分弱の彼らの映像は、まさにあの時代のカリフォルニアの雰囲気、ヒッピーカルチャーからフラワームーブメント時代を映し出し、今見ると懐かしくも実に奇妙なものであった。しかし「カリフォルニア・ドリーミング、オン・サッチ・ア・ウインターズ・デイ...」と、太っちょママキャスことキャス・エリオットを中心に唄われると、何とも言えぬ哀感が込み上げて来て、堪らなくなってしまう。4人組はママキャスとデニー・ドーハティー、そして作曲・作詞のジョン&ミシェル・フィリップス夫妻と言う男女同数で、まだ健在なのは後年女優として名を為したミッシェル・フィリップスだけ。後のメンバーは2000年代始めにみんな死んでしまい、最も有名なママキャスなどは、70年代初めに若死にしてしまっている。

 作曲・詞のジョン・フィリップスは、NYの出身で里帰りした冬の寒いある日ホテルの一室で、暖かく陽光輝くカリフォルニアの地を思い浮かべ作った...とも言われるこの曲。NYとシスコと言うアメリカの東西を代表する都市が、即座に結び付き様々な意味合いでも興味深いもの、なによりそのメロディーが秀逸だ。

 まあここはジャズ関連コラムなので、ジャズとの関連も一つ。やはりこの曲のジャズバージョンと言えば、大ヒットを記録したギターのウエス・モンゴメリーのバージョンだろう(ヴァーブ原盤)。彼のポップス路線の先駆けとなった記念碑的作品で、ドン・セベスキーの見事なアレンジ、クリード・テイラーの抜群のプロデュースセンスなどが一体化した名演・名盤である。そして今回いろいろな記録を見ていたら、なんとあの「ママス&パパス」の元唄の中で、印象的に聞こえるフルートの演奏。これを担当しているのが、アメリカ西海岸を代表するサックス&フルートの名手、バド・シャンクだと今回初めて知った。そうか...だからあの曲もより印象深いのになっているのだ...と、今回改めて気づかされた次第。シャンクは自身のアルバムの中でもこの曲を取り上げているが、原曲のフルート程の印象は残していなかったと思う。それにしても勉強になりました。

【今週の番組ゲスト:トランぺッターの山田丈造さん】
初リーダーアルバム『SPECIAL』から
M1
Spirit Kick
M2
Funky Boy
M3
Remember Rockefeller At Attica
M4
City Connection



4月22日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.04/22 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.562~J-ジャズ ニューウェーブ

   一昔前頃までは新人のジャズプレーヤーと言えば、有名プレーヤーのボーヤ(付き人)から昇格する(オールドスクール)か、首都圏や関西圏の有名大学のジャズサークル(orフルバンド)出身者からプロになる(インテリスクール)、まあ大体この2通りの径と相場が決まっていたのだが、最近は大分事情が違う。れっきとした音楽大学(国立音大や洗足学園音大等)のジャズ科卒業者とか、本場アメリカの有名音楽大学(バークリー音楽大学等)を卒業し、数年本場で修行を積んだ後帰国しプロとして活動...等、若手ジャズプレーヤーはこう言った連中がほとんどだ。昔は大学のサークル内で自己研修を積んだ後、プロとしてデビューと言った段取りだっただけに、いざ実戦で使えるようになるには結構手間もかかったものだった。しかし現在は国内の音大でジャズ科を設置しており、プロを目指す若者達はここで音楽理論や技術の基礎を徹底的に学ぶことが出来る。また更に本場の音大(バークリー音大など)へ留学した連中は、卒業後の数年間はNYで実戦習得期間を持ち帰国するなど、厳しくはあるがかなり恵まれた環境にあるとも言えそうだ。

  まあ最近の若手達は、そうした海外留学経験や国内音大での基礎・実践習得を経ているだけに、ジャズが勢いのあった時代(1970年代~90年代位)に登場した若手達よりも、はるかに技術や音楽理論に秀でていることは間違いない。ただそれがジャズの進化や深化に繋がるか...、またジャズの面白さ・愉しさを体現出来ているかは...また別の問題ではあるのだが...。

  そこで我らが番組「テイスト・オブ・ジャズ」では、こうした素晴らしい資質を有した若手達、その内の何人かを積極的に紹介して行きたいと考えており、今週から4回に渡って登場してもらうことにした。まず1回目の今回は、横浜の老舗ジャズ喫茶「ちぐさ」(戦前からジャズを掛けていたと言う、ジャズの街=横浜を代表する喫茶店)の名前を冠したジャズ賞=ちぐさ賞を獲得した若手美形ピアニスト、松岡あんなの登場である。このちぐさ賞の受賞者はご褒美としてアルバムを制作・発表する権利を与えられるが、そのデビュー作でもある受賞作を自身に紹介してもらう。現在はコロナ禍で帰国中だが未だ本場で研鑽を積んでいる最中で、またこの禍が落ち着いたらすぐにアメリカに戻り、研鑽に励むとのこと。その意気や良しである。

  そして来週の2回目は、石若駿、寺久保エレナなど多くの俊才を輩出した、札幌の若手ジャズスクール出身のトランぺッター、山田丈造。今各方面で引っ張りだこの彼が、自身のデビューアルバムを引っ提げて遊びに来てくれる。そして3&4回目は、ジャズベースの俊才が続いて登場する。清水昭好と落合康介。この2人ともベテランから若手迄様々なバンドで活躍しており、そのかっちりとしたベースワークは、演奏の基部をしっかりと固め素晴らしい効果を生み出し、見事なハイライトを作り出す。

  以上の素晴らしい面々が並び、これからの1カ月ほどはさながらJジャズ ニューウエーブ月間と言った所だが、これからも永武幹子(P)、YUKARI(vib)、市原ひかり(tp)など、若手の有望株も次々とスタジオに遊びに来る予定になっている。今若手プレーヤーがこれだけ続けて聞けるジャズ番組、日本で殆ど無い筈です。乞うご期待です。

【今週の番組ゲスト:第7回ちぐさ賞グランプリ ピアニスト 松岡杏奈さん】
『Wonder Forest』から
M1Wonder Forest
M2Sparkles
M3Bolivia
M4Better Days Ahead




4月15日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.04/15 番組スタッフ 記事URL

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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.561~追分21春だより

 3月末から4月初めの数日間、信濃追分の山荘に居た。恒例の山荘開け~水通し作業の為である。国立を土曜日の午後に出た時は、大学通りの桜並木はもう満開を過ぎ葉桜気味、しかしこの時期未だ追分周辺は...と思いきや、小諸の懐古園などはちらほら桜の開花も見られた。例年は連休前の開花だけに、桜の時期も大分早まっている気がする。コロナ禍だけに目を奪われるのでなく、気候変動・地球環境にも注意すべきなのだろう。 

 国立を昼過ぎに出て途中寄る所ありで、追分に着いたのは夜の8時ごろ。昨年の晩秋に山荘を訪れた時には、温水暖房機の調子が悪く今回もいささか心配だったが、到着時には危惧した通り動かない。スイッチなどを数度動かしてようやく点火、どうにか稼働し事なきを得たのだが、翌日はもう、うんともすんとも動かない。設置以来20年弱どうやら寿命が尽きてしまったのだが、夜は標高900メートル近くだけに、さすがに冷えてチャンジーの体では寒くて仕方ない。月曜日の朝一番で、機器メーカーのⅯ電気のサービス所にTELを入れるも、現在はもう温水ボイラー本体を扱っていないと言われ、一応点検はするが部品も無いことだし...とつれない返事。火曜日には補修係が来てくれることになり、1時間ほどボイラー本体を弄っていたが、「これスイッチは点きますが、水を温める器具が故障、もう寿命で部品も無いことなので駄目ですね...」と冷たく宣告される。何時かこういう日が来るとは...と想像していたが、土曜日はどうにか稼働していただけに、失望感・喪失感が余りに大きい。実際こたつしか暖房が無い状態で、ほとほと困り果ててしまったが、滞在中は連日それなりの好天、どうにか数日は無事に過ごすことが出来た。後は季節もどんどん暖かくなるので、この冬まで心配は持ち越し。その後は金も無いことなので、ケセラセラ(成るように成る)の心境だ。

 ところで現在、軽井沢(信濃追分含む)から御代田に掛けての長野県の東信地域は、いま東京のサラリーマン達の在宅勤務の影響もあって、不動産事情が過熱気味。特に中古家屋の物件は、もう出物が無い状態だと聞く。山荘の近くでも林が伐採され続けており、冬を越したこの数か月の内に、見知らぬ新築の別荘...と言うよりも、定住宅が立ち並ぶ状態。「森の中の暮らし」どころではなく、気づけば住宅街の真ん中の山荘がぽつんと...などと言う、笑うに笑えない有様になりかねない。もう少し町当局も、秩序を保って住環境整備を進めれば...とも思うが、世の流れには逆らえないもの。

 そんな折、以前に時々山荘にも訪れてことのある、局の若い制作部員だった女性(その後他社に転身)が、軽井沢を気に入り結婚し数度の引っ越しを経て、この4月子供たちの成長なども考え合わせ、一家で軽井沢に移住すると言う連絡があった。「探し始めたのが少し早かったから良かったんだけども、これがもう少し遅かったら、全く物件なんか見つから無かったです...」と彼女は語ったが、我が山荘の近隣状態を見ても、今の軽井沢など東信地域の不動産状況の異常な活況ぶりは良く分かる。今回は彼女の転居先(どうも中古物件を求めそれをリフォームしたようだが...)も訪ねて欲しいと言われ、行ってみるつもりだったが如何せん暖房機故障など問題山積で、今回は失礼し又ゴールデンウイークにでも...と言うことに決めた。

 帰京時には茅野の友人の山荘を訪れる用事があったので、白樺湖~蓼科周り中央道経由で東京に戻ったのだが、茅野や蓼科の周辺地区は余りそんな土地・建物争奪の狂詩曲は起きてはいないと言う。特に蓼科や原村の別荘地域は国立公園の範囲に在るため、森や林の伐採が認められていない。そこで元々の風景は余り変わらないのだが、軽井沢・御代田辺りはその変貌が酷すぎる感も強い。まあこれもコロナ禍が引き起こした、在宅ワークの弊害と言えるかも知れないが、追分の山荘近くの林を散歩していても、次々と建つ新築住居を眺めながら、日本のこれから結構心配になって来るものだ。まあそんな心配をチャンジー(爺さん)のぼくがしても仕方ないのかも知れないが...。

【今週の番組ゲスト:AA 50年後のアルバート・アイラー」編著者の細田成嗣(なるし)さん カンパニー社代表の工藤遥さん】
M1Ghost / Albert Ayler」('64Spiritual Unity』より)
M2 Ghost / Albert Ayler」('64Ghost』より
M3 Ghost / Albert Ayler」('67Love Cry』より)
M4 New Ghost / Albert Ayler」('68New Grass』より




4月8日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.04/08 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.560~Manga

   Manga(マンガ)は、今や日本を代表するエンタテインメント&芸術となっており、その訴求力・表現力には凄いものがある。マンガの英訳はコミックとなるのだろうが、このコミックを代表するアメリカンコミック(アメコミ)もまたアメリカ中を席捲しており、特にアメリカ映画の最近のヒット物は、このアメコミ~マーブルコミックが原作となっているものが多い。マンガとアメコミ、この2つは重なる部分も当然あるが、大きな違いもあり、特に今やManngaが世界を席巻しつつある...、と言う趣きさえあるようだ。 

  一昨年(2019年)の春、あの世界に冠たる大英博物館でかなりな期間に渡って、Mannga展覧会が開かれたと言う。ぼく自身はこのニュース全く知らなかったのだが、なんとこの大英博物館のMannga展覧会の会場で売られていたパンフレット、それが三省堂から翻訳出版されており(20年11月)、その充実のパンフレットを本屋で見つけはじめて、ぼくはこのMannga展のことを知ったのだった。

  このパンフレットはずっしり重い大部の図録で、値段は3500円。表紙は嬉しいことにぼくの一押しのマンガ、野田サトルの「ゴールデンカムイ」のアイヌのうら若きヒロイン、アショリパの姿がきりっと可憐に描かれており、それだけで買いたい気持ちに捉われてしまうもの。この図録には日本マンガの原点とも言われる鳥獣戯画絵巻から、現代最先端の人気漫画家、野田サトル、石塚真一、井上雅彦、ヤマザキマリ等々が、過不足なく捉えられており、ギャグマンガ、女流マンガなど実に細かく分析されている。またマンガ博覧会とも言えるコミックマーケット(コミケ)、講談社、小学館など人気マンガを出版する大手出版社のお偉いさんなどのインタビューなど、実に多岐に渡り細かくManngaを紹介しており、この図鑑一つで日本のマンガの全体像がすぐに把握できると言う優れもの図録なのである。「ブルー・ジャイアント」(石塚)「バガボンド」(井上)など、多くの人気マンガもかなりなページを割いて実際に紹介されており、それを読む(見る)だけでも充分に愉しく学ばさせてもらえる。
 ぼくが特に嬉しかったのは、今は亡き不二夫ちゃんこと赤塚不二夫先生。その赤塚ギャグマンガの本質を娘のりえ子さん(現代美術家)が分析している所、更にぼく等の青春時代のバイブルとも言える、ガロ系のマンガ家、つげ義春などにも言及している所である。この細やかな目配り、的確な現状把握、流石なり大英博物館である。

 ぼくはManngaの良き読み手とは言い難いし、あの歴史的大ヒットの「鬼滅の刃」などは、最初からお呼びでも無いチャンジー門外漢なのだが、この大部のマンガ図録を見て、Manngaの偉大さを再認識させられたのは間違いない。大手出版社も売り上げの半分以上がマンガ本とのことで、これが売れなくなってしまえば、経営も成り立ち難いとも聞く。偉大なMannga=マンガの力である。この図鑑皆様も一度手に取ってみることをお勧めしたい。

【今週の番組ゲスト:コアポート代表 高木洋司さん】
M1É Preciso Perdoar(許してあげよう)/ Gretchen Parlato
M2
No Plan feat. Mark Guiliana / Gretchen Parlato
M3
Just Squeeze Me / Becca Stevens & Elan Mehler
M4
But Beautiful / Becca Stevens & Elan Mehler

4月1日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.04/01 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.559~ジャズ講座入門編

 例年3月末から4月頭に掛けての恒例企画「ジャズ入門編」。今回はその2回目でゲストは、ぼくもレビューアー(アルバムの評価など=レビューを担当)の一人でもあるジャズ専門誌「ジャズ・ジャパン」の編集部員佐藤俊太郎氏。彼には4年ほど前にも登場してもらい入門編を担当してもらったが、久しぶりの再登場となる。今回はジャズ誌の読み方、利用の仕方などがメインだが、もう一つ「ジャズ・ジャパン」誌が毎年実施している、「ジャズ・アワード」の紹介もしてもらっている。このジャズ賞は前身誌「スイング・ジャーナル」誌でもやっていた賞を引き継いだもの。大賞など全部で5部門ほどあるが、今回はこうした「ジャズ・アワード」では珍しく、ボーカルアルバムがその大賞を獲得している。個性派シンガーとして人気も高い、在仏のアメリカ人女性シンガー、メロディー・ガルド―の『サンセット・イン・ザ・ブルー』がその大賞アルバム。このガルド―の作品には、ヴァイオリンの寺井尚子も協力出演しているのだが、これを始め他の受賞作も幾つか、佐藤氏に紹介してもらっている。

 ところで例年この授賞式はライブ演奏も含め、横浜の日産グローバル本社ギャラリーで行われてきたのだが、昨年と今年は残念なことにコロナ禍の為に、授賞式の実施が不可能となってしまった。この授賞式実は数年前まで、番組パーソナリティの山本郁嬢が司会を担当していた。参加したミュージシャンやシンガーからその名司会振り、高く評価されていたとも聞くので、また是非復活して欲しいものだ...。

 さてこの入門編だが、佐藤氏が触れていなかったジャズ入門のある裏技を、ここでひとつ...。それは「ユー・チューブ」の有効利用ということ。余りSNSを知らないぼくなんぞが言えたことではないが、このジャズユー・チューブに一時はまりまくってしまったことがあり、あるミュージシャンのライブ画像を検索していると次々に関連の画像が見つかり、数時間もこれにのめり込んでしまう...等と言うこともしばしば。若い人でアルバムを買う金が...などと言う人には、まず最初にこのユーチューブで実際のプレーを確かめ、その後でアルバムを手にする...などと言う、昔は考えられない手もありだと思われる。  
 つい先日も、亡くなったチック・コリアの映像を探していたところ、なんとあのタモリが紹介するTVジャズ講座にぶち当たってしまった。1995年放映のTV番組の様だが、ぼくは全くその存在知らなかった。番組はタモリとピアニストの大西順子が司会を担当、順子はまだ27才と言う若さ。中々の美形でこれが魅せるのだ。4回シリーズでダイジェスト画面しか見られなかったが、今や大御所になってしまった、林家コブ平や清水ミチコなどがコメンテーターを務めており、話からするとどうもかなりゴールデンアワーに放送されている(裏番組が水戸黄門だと語っていることから推測)模様。タモリこと森田一義くんも、まだ50才そこそこで実に若々しい。ジャズを語れる喜びがそこここに見られ、ゲストも亡くなった作家の景山民夫や音楽評論家のピーター・バラカンなど豪華絢爛。タモリがマイルスにNYで実際にインタビューした時の話、憧れのマイルの物まねや彼の放つオーラの凄さや恐ろしさ等々、更に翌日コンサートの楽屋で、再度マイルスに会ったら、少しも森田のことを覚えていなかった話など...、実に笑わせ考えさせられ(ジャズの歴史講座など)、面白くも為になる数十分だった。こんな発見があるからジャズユー・チューブ探し、止められないんです。

 とこう書いた翌日、すごい映像をユーチューブでまた見つけてしまった。ジャズドラムの生きる伝説=ロイ・ヘインズの96才を祝うステージ映像。彼が今は亡きチック・コリアのバンド(ケニー・ギャレット等)と共演しているもので、チックは今年の2月初めに急逝しているだけに、昨年暮れか今年初めに収録されたものと思われる。演奏内容は10数分でライブ全部の収録では無いが、彼のドラムソロも収められており、およそ96才(当時は95才か...)とは思われない凄い破壊力。全盛時の彼を知っているから、そのシンバルワークなどの切れ味の衰えは否めないが、なにせ96才ですよ。普通人はよぼよぼで唯歩くだけと言った感じなのに、本当に恐ろしいと言うよりドラムの神か、化け物か...。いやー凄いです、驚かされました!皆さまも是非ご賞味あれ。

【今週の番組ゲスト:JAZZ JAPAN編集部の佐藤俊太郎さん】
M1She's Leaving Home / Jacqui Hicks
M2If You Love Me / Melody Gardot」
M3Love Is Calling You / TOKU」
M4We've Just Begun / Sinne Eeg」
M5振り翳す / 魚返明未」





3月25日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.03/25 番組スタッフ 記事URL

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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.558~日本ラテンジャズの中核・森村献ちゃん】

  今年は例年になく桜の開花が早く、桜前線も予想以上に早く北上しそうな気配だと聞くので、皆様のお住まいの近くでも既に開花している桜も多いのでは...。我が街国立は都下でも屈指の桜タウン、この時期の街はパッと明るく賑わう筈なのだが桜まつりなども中止となり、この2年間はその賑わいも少ない。言わずと知れたコロナ禍の所為だが、それにしても我が国の政治状況は、このコロナ禍で無残な程に露呈されてしまった。国のトップと自治体のトップ、それぞれが自身の政治メンツの為に、非常事態宣言を巡って綱引きを続け、その体面を保つだけの施策を誇示、肝心の国民や都民の方には殆んど目を向けていない。悲しすぎる状態でニュージーランドや台湾などに比べるとその相違に愕然とする。しかもこの2国ともトップは女性。あの森発言では無いが、これからの日本が心配になる。

 まあそんな心配をしても詮無いこと、この春くらいは明るく楽しく...と言うことで、今年も番組ではこの時期恒例の新入生・新社会人向けのジャズ入門講座を3回にわたり企画することにした。3月末の1回目はラテンジャズ=サルサの愉しみ方、4月第1週の2回目は純粋なジャズ入門講座、そして3回目は以前このコラムでも取り上げた、グレッチェン・パーラトなど注目女性シンガー達の魅力...と言ったラインアップである。

 さてその第1回、ぼくの好みを目一杯取り込んだラテンジャズ=サルサの愉しみ方となれば、もう本当に長い付き合いの森村献・あずさ夫妻の登場となる。久々にあずさにTELしてみると番組出演は直ぐに快諾。ただ条件として2人で...というより、献ちゃんひとりのゲストにして欲しいとのこと。そこは少しも構わないので、献ちゃんだけの登場と言うことで番組ゲストが決定、内容は2人で詰めると言うことで、全面的にお任せすることにした。

 収録当日2人でやってきた森村夫妻。カミさんのあずさとは、彼女がまだ高校生時代、当時人気絶頂の「ペドロ&カプリシャス」にもヴァイオリンで参加していた頃からの付き合い。一方献ちゃんの方は、あずさの旦那として知り合ったのだが、その頃には既に若くしてJ-ラテンジャズ=サルサ界の大物ピアニストで貫禄充分だった。考えてみればもう40年近い付き合いになる。本当に長い。

 今は熱帯ジャズ楽団などJラテンジャズ~サルサ・シーンの主要バンド、そのピアノには献ちゃんが座っていることが多い...、と言うほどにシーンのボス格的な存在なのである。彼が一言掛ければすぐにラテンジャズ系のミュージシャンが集まり、セッションやレコーディングも実現してしまう...と言った存在だけに、その彼が紹介するラテンジャズ=サルサの魅力はまさに言うこと無し。ティト・プエンテなどの代表的アルバムを紹介してくれると同時に、自身のバンドの演奏もアルバム化していないものも持参、番組で紹介してくれている。中でも面白いのは、今注目の島、淡路島にある公立中学校のラテンバンド部、正式名称がラテンバンドかはしかとはしないが、献ちゃんが数年前から頼まれ指導しており、これがかなり本格的なバンド。昨年は全国のフルバンドコンクールで優勝したのだと、自慢げに彼らの演奏を紹介してくれているが、これが中々に聞き入ってしまう出来栄えなのだ。今年もまた指導に行くんだと実に愉しそう。そんな彼をあずさも頼もしく見つめている。長年続けていたフリーペーパー「サルサ120%」は残念なことに今は休刊中だが、また復活するんだと意気も盛んだし、この夫妻はこの所キューバなどの中南米諸国の大使館から、その活動を称え表彰も受けている。日本で最初の女性サルサバンド(彼女がリーダー)「チカ・ブーン」も、時々は集まって活動しているらしい。

 日本のラテンジャズ=サルサ普及に邁進するこの森村夫妻、いつまでも元気で華やかな活動を続けて欲しいもの。ぼくの大好きなラテンジャズ振興の為に...

【今週の番組ゲスト:ラテンジャズピアニストの森村献さん】

M1「Mambo Inn / Machito」
M2「Tanga / KM Special」
M3「Nica's Dream / Horace Silver」
M4「Seven Steps To Heaven / KM Special」
M5「Seven Steps To Heaven / Miles Davis」
M6「Day By Day / 蒼開中学・高等学校ジャズバンド部」
M7「Bluesette / Tito Puente」

 

3月18日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.03/18 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.557~3本の音楽映画】

  このところ御無沙汰だったヴィデオ鑑賞を久々に行った。と言うのも最近のレンタルヴィデオショップは、ヴィデオの貸し出しだけでなく、ゲームやコミックの貸し出しも主流になっていて、ぼくなどもチャンジーだけに、お好みのコミック本(ゲームは一切やらない)は流石に買い求めることないが、日本漫画史上に残る傑作、野田サトルのアイヌ秘宝をめぐる冒険もの「ゴールデンカムイ」を始め、このコラムでも再三取り上げて来た、不朽のジャズ漫画「ブルー・ジャイアンツ」等々、是非読み続けたい傑作も少なく無い。しかし残念なことに公共図書館ではこうしたコミックの貸し出しはほとんど無いので、必然的にレンタルヴィデオショップで、と言うことになってしまう。そこで先日「ゴールデン・カムイ」の最新刊(確か24巻が出た)を借りに、国立の外れのショップに行った所(自宅から徒歩30分以上かかるのだが...)、2月中ならば全部のヴィデオが新作を含め、レンタル100円とあるではないか...。生来のけち根性が働き、この際に興味あるものは...と棚を探し回り8本ほど借りてしまった。まあ期間中にこの全てを見終わることは出来そうも無いと分かっていながら、生来の貧乏根性は治らないもの。

 帰宅してからその何本かを見たのだが、そのうちの3本が音楽映画もの。と言ってもあのショービジネス界きっての歌姫ジュディ・ガーランドの晩年を描き、それなりにスマッシュヒットした「ジュディ」以外は話題にもならなかったもの。そのジュディすら、彼女の名前を知っている若い人達がどれくらいいるのかも疑問なのだが...。ジュディはアメリカミュージカル映画の最高人気作「オズの魔法使い(「虹の彼方に」が主題歌)」の主役オズに、13才で抜擢され世界中から省さんを集め、その後もミュージカル映画の主演を数多く務め、アメリカを代表する国民的ヒロインだった。しかし私生活には恵まれず生涯5回の結婚を繰り返し、アル中などの障害もあり晩年は実力の割に恵まれなかった(子供の一人が、ミュージカル映画シカゴの主演で知られるライザ・ミネリ)。その晩年を描いた作品だけに寂しいものだが、イギリスでは相変わらず人気が高く、イギリスに渡り自身の名前を冠したショーを開催、好評を博しながらもここでもトラブルで途中中止。そんな晩年をレニー・ウイーガーが巧みに演じ、かなりな見ごたえで、ジュディの代名詞とも言える銘品「虹の彼方に」など、映画の中で歌われるジュディの持ち歌を完璧に歌い上げた、その彼女にも満点を上げたい。

 もう一本は昨年夏に公開された「マイ・バッハ」。ブラジル映画でタイトル通りにバッハ弾きとして知られるブラジルのピアニスト、ジョアン・カルロス・マルティンスの半生を描いた音楽映画。副題に「不屈のピアニスト」とあり、色々苦難を乗り越えた人だと分かるが、謳い文句に「20世紀最高のバッハ奏者」とあり、果たしてこれが正解かはしかとはしない。但しその天才振りは各方面で高く評価されたのは間違いなく、日本で知られるようになったのは、ブラジルのパラリンピック大会開会式で、彼が不自由な指使いでピアノを披露した姿。残念なことに彼のアルバム(バッハ中心だが)は、日本で発売されることも無く、名前は知られてもその実演は余りはっきりとはしない。映画は若くしてバッハ弾きの天才として世に出た彼が、演奏旅行で欧州に向かいその途中でサッカーに興じていた最中、最初の事故が起こり指使いが難しくなり、ピアニストとして休止を余儀なくされ、以降も色々の事故に見舞われる...と言う、不幸の連続。一念発起した彼は、指揮者の勉強を始め、そちらでも有名になる...と言った音楽苦労話なのだが、そこは楽園音楽系のブラジルのピアニストのお話。暗くなる中にも何とも言えない明るさも感じられ、救いも多く印象深い内容だった。ぼく自身はバッハフリークと言うこともあり、彼の名前は知っていたが、実際の演奏は耳にしたことが無かった。ここでは彼のバッハ演奏が演奏場面で使用されており、それを聴く限り、あまり余韻の残る演奏には思えなかったのだが、かなり興味深いストーリー展開も相俟って、クラシック音楽映画としては、上々の出来栄えだった。

 3作目だが、これはジャズ映画。あのオランダのホテルで、謎の転落死を遂げた人気トランぺッター、チェット・ベイカーの死を巡る謎を扱ったジャズ映画「マイ・フーリッシュ・ハート」。オランダで制作されたもので、その中身を映してかなり暗い画調の映画だが、惹かれる所も多々。チェットの映画はドキュメンタリー含めて、これ迄何本も公開されているので、チェット自身のプレーなども含め、また別の機会にこの映画は紹介したいと思っている。

 アメリカ、ブラジル、オランダ3か国の映画。そしてジャンルもショービジネス、クラシック、ジャズと多岐にわたり、これらの音楽映画鑑賞、得る所も中々に多かったです。

【今週の番組ゲスト:Jabuticaba(ジャボチカバ)のお2人 SAXプレイヤーの加納奈実さん ピアニストの永武幹子さん】
M1Samambaia 
M2Mysterious Dress
M3What Kind of Fool am I ? 
M4Along with You, Sunny man


 

3月11日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.03/11 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.556~寝起きの一枚】

  自身では発信はしないが閲覧はしている...、と言うことでぼくもこう見えてフェースブック利用者の一人なのである。ツイッターとか他のSNSは一切やっていないのだが、フェイスブックだけはミュージシャンや音楽関係者、温泉愛好家等々と言った知り合いから、友達リクエストを受け自然に参加者(見手)になってしまったと言う次第なのだ。そのフェイスブック上で、知り合いの何人かが「寝起きの1枚」として、その日の朝の寝起きに聞くアルバムを紹介している。まあこういう企画もいざ始めると、無理してでも何か選ばないとならない...と言った、ある種の強迫観念に囚われてしまう一面もあり、なかなか大変なもの...と感心しながらも、その大変さにいささか心配したりしながら、そのコメントを眺めている。

 個人的なことを言うと、寝起きに音楽を...と言った優雅な習慣(?)をぼくは持ち合わせていない。ことジャズと言う音楽~特に刺激的・創造的なジャズは、寝起きには向いていないと思っているだけに、寝起きにジャズ、などとはほぼ考えない。しかし、しかしである。この所良く寝起きに聞きたくなる、お気に入りのジャズアルバムが現れたのである。そのタイトルは『フロール』(ポルトガル語なのだが、英語ではフラワーだと思う...)。唄うはネオジャズボーカルの旗手とも言えるグレッチェン・パーラト。ボーカルの世界に新しい地平を開いたぼくの大好きな白人女性シンガー。 
 彼女のデビュー以降、斬新な表現に魅せられ続けてきたが、その最新作が良質の作品を送り続けている、コアポートから出ると言う話を聞き、これは...と言うことで代表の高木洋司氏に連絡、テスト盤を送ってもらった。結果は期待どおりいやそれ以上の素晴らしさだった。

 と言うことで高木氏にスタジオに遊びに来てもらい、彼女の新作『フロール』を、同じく仲間の一人で素晴らしいシンガー、ベッカ・スティーブンスの新作と共に、この2枚を紹介してもらうことにした。4月8日のオンエア予定だけにこの夜の「テイスト・オブ・ジャズ」是非聴いて欲しいもの。だがここではその素晴らしさを、一足先にぼくの寝起きの1枚として紹介したい。彼女は今最も注目の女性シンガーの一人だが、同時にこれも今注目のドラマー、マーク・ジュリアナのカミさんでもある。この事実ぼくは全然知らなかったのだが、高木氏からこの事実を聞いていささかビックリ。ジャズドラマーとしても有能だが、彼はあのデビッド・ボウイとも共演、ボウイのラストアルバムでもドラムを叩いている。そんな縁もあってこのグレッチェンのアルバムでも、アルバムのラストナンバーはボウイの「ノー・プラン」。ドラムは旦那のジュリアナが務めている。
 こう書くとパーラトの新作は、ロック色の濃いアルバム...等とも思われがちだが、決してそんなことは無く、全体はブラジリアンテイストの濃い爽やかなアルバム。ブラジルを代表する作曲家、ピシンギャーニの「ホーザ」を始め、素敵なブラジリアンナンバーが殆どで、爽やかなお目覚めにピッタリなナンバーが並ぶ。しかしぼくがこのアルバムを寝起きの1枚に選ぶのは、バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番」を彼女が唄う~ハミングしているからなのだ。バッハをスキャットハミングと言えば、もう半世紀ほど前のフランスのジャズコーラスグループ「スイングル・シンガーズ」のバッハ集が思い出されるが、それ以来のバッハジャズものではないかとも思う(まだ他にもある筈だがぼくは知らない)楽聖などとも称えられるバッハ。ぼくは全ての音楽の原点は彼の音楽にあると信じており、音楽家で誰か一人を...と言われれば、間違いなく彼の名前を挙げるほどのバッハフリークの一人。

 そのバッハの最高傑作の無伴奏チェロ組曲。この難曲を軽やかにスキャットハミングするグレッチェン・パーラト。全く凛として優雅の極み。魅了され尽くしてしまいます。是非皆様も一度耳にしてみたら...。ただ残念なことに番組では、このバッハチェロ組曲は取り上げていません。申し訳なしです。

【今週の番組ゲスト:ビブラフォン奏者の赤松敏弘さん】

Next Door-New Life』から
M1Next Door-New Life
M2Steve's Homework
M3Hana-no-no
M4Nervous Breakdown
赤松さんの初の電子書籍
Next Door-New Life / あるジャズビブラフォン弾きのちょっぴり変わった30年のニューライフ』もKindleで好評販売中


3月4日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.03/04 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.555~宇崎竜童】

  ちょっと前のことだが何気なくTVを点けると、大きなステージで歌う懐かしい顔が映っており、「もしかしたらこれは...」と思ったら、やはり稀代の歌姫=山口百恵の武道館での伝説ラストコンサートの模様だった。TVを点けた時は確か「いい日旅立ち」を唄っていたと思うが、その後も懐かしい曲が並び最後の「さようならの向こう...」を歌い終え、感動のマイクをステージ中央に置き去っていく、あの忘れられない場面まで画面にくぎ付けで見入ってしまった。こののち霊南坂教会で結婚式を挙げ、以降は人前に登場することも無く徹底した市井の人として、今も生き続けている彼女。夫と子供達は有名な俳優やミュージシャンとして活躍しているが、自身は表に一切出ない。その凛とした姿勢は、感嘆などと言うものではない。

 彼女の家は良く知られているが、我が街国立の市役所や図書館、小ホール、公園などが点在する、文教都市の中の生粋の文教地区にある。窓がほとんど無い打ちっぱなしの鉄筋コンクリートの三浦家。その家の前は図書館に行くときに時々通るのだが、いつも至って静かに「百恵の家」と言う感じで建っている。ぼくは一度も見掛けたことは無いが、知り合いの中には、買い物籠を持った彼女を見かけたと自慢する人も少なくない。「全く気がつかないし、本当におばちゃんだよ...」などと異口同音に語るが、ぼくはそれはある種の誉め言葉だと解釈している。
 それにしても一時は桜田淳子、森昌子とともに「花の3人娘」と言われ、その存在は圧倒的だった。あの評論家平岡正明が「百恵は菩薩」と言う本を出しているが、まさにそれにぴったりな真の意味での歌姫だった。残念なことに他の2人は特番などで一緒したりしたのだが、女王百恵とはそういう機会は訪れなかった。ラジオプロデューサーとしては残念な極みである。

 ここまで書いてくると、今回の主役は百恵か...と思うだろうがさにあらず。彼女に多くの名曲を送った作曲家、宇崎竜童なのである。これも偶然見かけた「熟年ばんざい」と言うタウン誌、これは東京の多摩地区から埼玉の所沢市などで出されているものだが、その表紙を飾るのが竜童さんで、「極上の齢の重ね方」がその号のメインテーマ。その中でスペシャルインタビューも受けている。あの伝説の山口百恵のラストコンサートでも、そのハイライトとなっていたのが、竜童~阿木曜子夫婦コンビの名作の数々だったので、TVを見ながらそう言えば竜童さんどうしているのか...と思った次第。
 そのインタビューを読むと、古くから友人の高橋伴明監督の「痛くない死に方」と言う、老人介護を扱った映画の準主役の老人役を演じていると語られている。「何時も若々しい竜童さんが、そうかそんな役を...」と不思議な感じがしたもんだが、彼に最後に会ったのは、竜童ツアーと名付けられた全国コンサートツアーの一環で、中野サンプラザホールがまだあった、確か5~6年前のコンサート終了時のこと。このツアーのピアニストと音楽監督役が、ぼくの親しい北島直樹さん(寺井尚子のピアニスト)で彼と少し打合せもあったので、楽屋を訪れた時に隣の楽屋が竜童さん。久しぶりに挨拶を...と思ったが、来客中で顔を見ただけ。それも15年振り位だったが、元気そうなので何よりだった。

 竜童さんとは30代後半、プロ野球中継の10月から3月頃までの冬時間、毎週3時間半ぐらいの特番を作り続けていた頃に、時々色々な企画特番を一緒に作ったものだった。当時の彼は竜童組と言うユニットで活躍している一方、作曲家としても受けに入って大忙しの毎日だった。彼のライブを録音中継するのがメインだったが、当時は創作意欲に燃えていた時で、「心中天の網島」などと言う歌舞伎をロックオペラ化したアルバムなども作ったりしており、それを基にした特番なども企画、実に楽しくも辛い時を一緒に過ごさせてもらった。
 彼は明大の軽音楽クラブでデキシーランドジャズをやっており、確かトランペットを吹いていたはずだが、ひょんな機会からロックの世界に飛び込みリーゼント姿の粋な兄ちゃんで売り出し、「ダウンタウン・ブギウギ・バンド」で一世を風靡したのだが、根は街の気の良いあんちゃん。面白い人だった。 
 その彼が「自分らしい死に方とは、自分らしい生き方の事。最後は大勢に看取ってもらいたいね...」などと語っていると、いかにも彼らしいとも思うが、いささか寂しい気もする。何時までもいい意味での虚勢を張り続ける「チャンジー・ボーズ」でいて欲しいもの。まあ実際にはその通りの生き方なのだろうが、いつまでも若々しく格好良くいて下さい。


【今週の番組ゲスト:アルトサックスプレイヤーの池田篤さん】

新譜『Free Bird』『SPIRAL』から
M1
His Way Of Life
M2Impressions
M3Flame of Peace
M4Spicy Island

2月25日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.02/25 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.554~チック・コリア死す】

 先日何気なく新聞を開くと、かなりなスペースで「チック・コリアさん死去」と見出しにあり、この2月9日に死去、79才だったと続く。チックの具合が悪いなどと言う話は、ついぞ耳にしたことも無かったので、「ええーっ」と一瞬仰け反ってしまったが、本人のフェイスブックで11日に明らかにされたもので、ごく最近、珍しい型の癌が見つかったと記されていたと言う。その癌が見つかって余り時間も経たない内に亡くなってしまったのかも知れないが、いずれにせよ驚きのニュースだった。
 このニュースが伝わるとフェイスブックでは多くの知り合いミュージシャンやジャズ関係者が、その追悼と交友の想い出などを載せていた。そう、彼は日本の多くのミュージシャンやジャズ関係者、ジャズファンと親しい交友関係を結び、また彼ら彼女らにこよなく愛されたミュージシャンで、最も訪日回数の多い親日家と言う存在でもあった。
 この記事には最後に「グラミー賞に67回ノミネートされ、23回も受賞。極めて多作なことでも知られ、来日公演も多く、まだ17才だった上原ひろみさんをステージに上げたこともあった」と記され、「上原さんとは2008年、日本武道館でデュエット公演を果たした」と書かれていた。その武道館デュオは残念ながら聴いていないが、東京ジャズ等でのチック&ひろみデュオには数回足を運んでおり、毎回その息の合った匠技を披露し合う、究極のデュオプレーを堪能させてもらったものだった。
 
 日本のジャズファンはジャズピアノ好きが多いが、1970年代以降~すなわちビル・エバンス以降のジャズピアノ界をリードし続けて来た大立者、チック、キース・ジャレット、そしてハービー・ハンコックの3人。今回チックが亡くなり、キースも病の為にピアノを弾くこと能わず、唯一残っているハービーも、ピアニストと言うよりも、もっと多様性のあるポップな音世界に関心を移している感もある。こう見ると今や完全にブラッド・メルドーやラバート・グラスパーなど、次世代・新世代ピアニスト達へとジャズピアノの基軸や重心は変化しつつあるとも言えそうだ。そしてそれを印象付けたのがチックのこの死亡ニュースだった。
 
 ピアノトリオアルバムの不朽の名作『ナウ・ヒー・シングス...』から、一世を風靡した楽園サウンドグループ「リターン・トゥ・フォーエバー」、多くのミュージシャンやシンガーがこぞって取り上げる大ヒット曲「スペイン」、更には上記のひろみとのデュオ等々、彼への愛着の念は尽きない。しかし何よりぼくが彼を愛するのは、彼の出自に深く関係するラテン(ジャズ)への血の濃さである。彼のデビューは、確か大物モンゴ・サンタマリアのラテンジャズバンドで、名作「スペイン」にはスパニッシュ&ラテンの香りが色濃く漂い、そこら辺が一般に大受けしたとも考えられる。
 ぼくは直接彼とは話しをしたことは無いが、まだ30代の頃彼の愛妻で、シンガー&ピアニストのゲイル・モラン。彼女のインタビューを頼まれたことがあり、その時に一緒に来日していたチックに会えるか...と思ったのだが、仕事の関係で彼は不在。残念な想いをしたものだった。だが彼女からは、いかに彼が素晴らしい人物で素敵なピアニストだと言うことをいやとほど聞かされたものだった。今となっては良い思い出である。チックの霊に 献杯!

【今週の番組ゲスト:シンガーソングライターの高田みち子さん T5Jazz Recordsの清水正さん】

『高田みち子 feat.LANDMARK BLUE LIVE FROM YOKOHAMA』から
M1「青春の残照」
M2Time After Time
M3「大桟橋と観覧車」
M4「港が見える丘」


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