3月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2015.03/20 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

    
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.246~おすすめ音楽映画~】

 このところ音楽映画(ジャズフィルムを含む)で、あまりお気に入りのものが無いなーと思っていたが、立て続けで好作品に出会った。一本はいささか古いもので、クリント・イーストウッド監督作品の「ジャージー・ボーイ」。かなりな好評作だったので試写会で是非と思ったのだが、スケジュールが合わず、封切館でも見逃してしまっていたものがビデオで登場。何が何でもと思ってみたのだが、これが噂に違わずなかなかの佳品。一世を風靡したフランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズの成功から終焉を描いたセミ伝記映画。イーストウッドの作品には以前、チャーリー・パーカーを描いた「バー」と言うジャズフィルムがあったが、これはいささか不満な出来栄え。彼自身がかなりなジャズファンだけに、天才バードことパーカーを描くには思い入れも強過ぎたようで、客観的にバードと言う人物を描き切れておらず、クリント・イーストウッドの作品としては期待外れに終わってしまった。そんな彼だが今度のフランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズは悪がきからアメリカのポップス・ショウビズのトップに上り詰めたと言う存在だけに、彼自身も描き易かったようで、かなり気楽に愉しくショウビズでのアメリカン・ドリームの成功と苦悩を描き上げている。特に興味深かったのは、彼らの成功の一端を担うコーディネイターがのちに俳優で成功したジョー・ペシだと言う点。味のある小悪党役にはぴったりな彼がマネージャー代わりを務めていたと言うエピソードは、何とも興味深いものだったし、映画全体も気楽に愉しめ、しかも含蓄ある好内容なフィルムだった。

 そしてお勧めのもう1作は、あの「キング・オブ・ソウル」とか「ソウル界のゴッドファーザー」など様々な呼び名を持つ、ジェームス・ブラウンの伝記映画「ジェームス・ブラウン~最高の魂を持つ男」。こちらは今年5月公開予定の作品で試写会で見たのだが、これも大変に面白かった。ソウルミュージックを一身に体現化した存在とも言える彼は、何せ問題児。刑務所にいた方が長いとも噂される破天荒のシンガーだが、そのステージの凄さはつとに評判。マイケル・ジャクソンなど多くの黒人ミュージシャンに影響を与えた、黒人音楽史上最強とも言われるレジェンド(1933~2006年)で、ジャズとの繋がりは直接的には無いのだが、彼のバックバンド(JBs)には、ソウルジャズの大物として名を成したメシオ・パーカーやピー・ウイー・エリスなども参加、映画にもメシオが重要な役で登場し、これも興味深い所。
 映画はあのストーンズのミック・ジャガーがプロデューサーに名を連ねており「"かれの人生は、尽きることも無い魅力に満ちてきわめて感動的だ。その伝記映画の作り手になれて光栄だ」と語るほどに入れ込んでいると言う問題作にして感動作。アメリカのディープサウスの貧困家庭に生まれ、そこから這い上がって行く波乱万丈ストーリー。余りにも多彩で描きにくい素材を、上手くまとめあげた監督の手腕に感心すると同時に、ブラウンのショーの凄さも良く描いており、実に愉しめるものだった。アフロアメリカン(黒人)の本当のソウルは、ここにあるんだと言う事、そしてジャズの原点も又ここにあると言う事を再認識させてくれる、好フィルムとして皆様にも是非お勧めしたい1作です。

【今週の番組ゲスト:アポロサウンズ代表阿部淳さん】
M1『生まれたてのメロディ/平戸祐介』
M2『Nearness of you/類家心平 中嶋錠二』
M3『Betty Go Round/Tokyo Zawinul Bach-Special』
M4『FOUR/市川愛』
M5『Moon River/東かおる&西山瞳』

3月14日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2015.03/13 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

    
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.246~鈴木"チン"良雄~】

 ぼくは大学時代2つのクラブ(ジャズ研と山岳同好会)に在籍、その他には石投げなどで社会変革にも加わったりしていたものだが、亡くなったフジオちゃん(赤塚不二夫)にバカ田大学と揶揄される、我が早稲田大学。ぼくにとっては実に面白い役にも立つ、お気に入り大学だった。その早稲田ジャズ研だが、ぼくが入学した頃は創部6~7年目。大学の音楽サークルとしてはすでに名門ではあったが、有名プレーヤー&シンガーを輩出する迄には至らなかった。このクラブが一躍有名になったのは、ぼくの1年後輩であのタモリと同期のギター奏者、増尾好秋が入学し、その才をアメリカ帰りのサダオさん(渡辺貞夫)に認められ、学生のままサダオさんのグループに抜擢されてのこと。この事件により早稲田ジャズ研は凄いと大評判、全国から腕自慢の学生が集まったのである。その増尾と並んでもう一人、サダオさんのグループに呼ばれたのが、ぼくと同期のチンサンこと鈴木良雄だった。彼は元々ピアニストだったが、ピアノは素晴らしい人も多いのでベースに転向したら...と言うサダオさんの勧めでベーシストになり、長い間精進を重ね第一人者にまでなったのである。チンと言うニックネームは諸説あるのだが、練習などでちんたらやっているのを先輩に見咎められ、この名を拝命したが本当の説のようだ。彼は信州の木曽福島町出身で、叔父さんは日本の音楽教育に大きな貢献をなした、あの鈴木才能教育の創始者、鈴木鎮一。父親はその鈴木教室で使われるヴァイオリンを作っていたようだが、彼の姉が今は才能教育のトップとも聞き、音楽一家に育ったのだった。大学時代から増尾と並び学生トップの力量を誇った彼は、サダオさんグループでの活躍で一躍有名になり、その後アメリカに渡りアートブレーキーのジャズメッセンジャーズなどのビッググループにも参加した。彼のNY在住時代には数回高層アパートに寄らせてもらったこともあり、そのアパートで初めてかなり強烈なヒッピー体験(?)をさせてもらったことも、今となっては忘れられない思い出。

 10数年NYにいてその後帰国、自身のバンドを率い活躍し、今では自他ともに認めるJ-ベース界の第一人者。どうも彼に会うと学生気分が戻り「お前がベースレジェンドなどとは信じられない...」などと茶化すと「お前だってよく定年まで持ったな...」と返される。お互い様なのだが彼が新譜を出したとなると、やはり紹介せざるを得ない。特に今度の新譜は彼が若い有望ミュージシャン達と共演しているユニット「ジェネレーション・ギャップ」を、そのままアルバムタイトルにしたもので、相当にチンサンも気合が入っており、かなりいいアルバムに仕上がっている。年令に関わらず若い連中とよくやっている感じで、彼も若々しい。
 彼が番組収録でスタジオに来た日は、夜に銀座のクラブで仕事。自分の車で来ないとならないので、駐車場の無い新局舎事情を話したが、結局はぼくが自前で付近の駐車場代をお支払。「まあ日本を代表するベーシストをお迎えするのだからそれ位は...」と嫌味を言ってやったら苦笑していた。チンはベースも上手いが(あの秋吉敏子さんも彼を使いたがる)、人柄も上々、実に人に好かれるタイプの男。お前は人柄で持っているんじゃない...などと言いたくなるほど人に愛される好人物。 

 新作は故郷の山、あの大噴火した御嶽山(噴火前に作ったと言う)をモチーフにしたナンバーで始まり、これは和太鼓が加わり新鮮な感動を覚えるもの。メンバーもハクエイ・キム、大村恒など30代前半の俊才揃い。それらの面々がチンを敬愛して集まったと言うユニットの第1作だけに、彼も意欲充分で力感溢れた好作品。「小西よー、お前この良さが判らないならば、ライター稼業など止めちまえよ。」等と自信ありげにほざく。まあ今までかなりきついことも言って来た罪滅ぼし。アルバムの良さ全面的に認めましょう。かなり好いです。是非皆さんも耳にして下さいネ。よろしく。

【今週の番組ゲスト:ベーシスト鈴木良雄さん】
M1『御嶽』
M2『モネ』
M3『スキャヴラ』
M4『ルーレット』

3月7日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2015.03/06 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.245~ラグビーシーズン打ち止め~】 

 先日の2月28日(土)。秩父宮ラグビー場で行われたラグビー日本選手権決勝戦、この試合をもって今年度のラグビーシーズンは終了。この試合はご承知のとおり、清宮克幸監督率いる「ヤマハ発動機ジュビロ」が、彼の古巣でもある「サントリーサンゴリアス」をノートライで破って、めでたく初優勝を飾った。当然ぼくも秩父宮に足を運んだのだが、この試合、首都圏そして関東地域の早稲田ラグビーファンならば何が何でも見なければ...と言った試合でもあった。両軍合わせて10人近い早稲田ラグビー部出身トップリーガー達が相見えた試合で、これまでの決勝戦でこれほど早稲田出身者が顔を揃えた試合は無かった(はず)だけに、早稲田ファンとしては応えられないもの。ヤマハの監督の清宮はサントリーも率いたことがあり、両チームとも清宮チルドレンが多数。その上ヤマハといえばつい数年前には、会社の業績不振でラグビー部も廃部寸前だった。それを彼が数年で優勝戦に登場するまでに持って来たのだからその手腕は鮮やかで、早稲田&清宮ファンには応えられない試合だった。
 どちらが勝ってもと思いつつ、やはり気持ちは初優勝のヤマハに傾いてしまう。試合は両軍一人ずつシンビン(反則プレーで10分間の退場)を出すなど、いささか荒れ気味ではあったが、ヤマハが見事に守りきり完勝。試合後のインタビューでは、清宮監督も感激ひとしおで何時も以上に良くしゃべり嬉しそうだった。おめでとう!

 それにしても今年度の現役早稲田ラグビーはどん底。正月を越すことが出来ず、ぼくも何もやる気がしない寂しい正月だったが、清宮&早稲田チルドレン達の今回の活躍で、ようやく報われたと言った感じ。来年度は今年に比べてさらに戦力低下が言われているだけに厳しい道のりも予想されるが、早稲田ラグビー部が優勝した時だけに歌える「荒ぶる」。これを気持ち良く歌えるように、日頃から最善の努力を重ねて欲しいと思う。

 さて今年は日本ラグビーにとって大事な年。と言うのも9月にロンドンで世界選手権=ワールドカップが行われ、このロンドンの次はいよいよ日本での大会となるだけに、オールジャパンの試合結果、内容が大変重要な意味を持ってくる。そんな重要な年にラグビーのレギュラー番組をラジオNIKKEIが放送している(番組名:「藤島大の 楕円球にみる夢」)。永年ラグビー番組誕生を目指してきたぼくにも、嬉しさひとしおで、担当の才媛のH嬢(そしてこのコラム担当でもある営業セクションのお偉いさん=O君)には感謝・感謝と言ったところなのだ。

 気鋭のスポーツライター、藤島大氏(ジャズ好きでもある)をパーソナリティーに迎えた月1回のラグビー番組。3月1日に放送した際のゲストは、ラグビーレジェンドとも称えられる「釜石シーウェイブス」の伊藤剛臣選手だった。43才を超えてなお、現役のラガーマンとして試合で奮闘するその雄姿は、ラグビーファンならば自ずと応援したくなるもの。ジャパンのキャップ(国際試合に登場した選手に贈られる)も沢山持った彼。東京の下町育ちなのだが、田舎と言える岩手の釜石市に家族で移住、そこで骨を埋める覚悟もあるようで、こんな話になにか目頭も熱くなる。折しも日本でのワールドカップの会場のひとつに釜石も選ばれ、地元チームのスター選手でもある伊藤選手にも色々スポットが当てられることになり、絶好のタイミングでのゲスト登場。実に気持ちの良い、レジェンドの名に相応しい好人物、プレーヤー。収録終了後スタッフと一緒に飲んだのだが、店の客に「ラグビー宜しく頼みますよ」と頭を下げ回る等、根っからのラグビー好きがよく分かり、更にファンになってしまった。早稲田・清宮・伊藤・ラグビー番組、どれも皆さん応援よろしくお願いします。ラグビーも、ジャズも、そして人生も素晴らしいものなんですね。

【今週の番組ゲスト:ジャズクラリネット奏者の谷口英治さん】
3月4日リリースのリーダーアルバム『Seems Like Old Time』から4曲
M1「Seems Like Old Time」
M2「It's All Right with Me」
M3「Spring Is Here」
M4「You'd Be So Nice to Come Home to」
2月28日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2015.02/27 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.244~内田修コレクション~】

 医者にはジャズ好きが多いとも言われるが、単に好きだけでなく現役医師でセミプロとしてライブハウスなどのステージに立っている人も居るとも聞く。これが歯科医になるとぼくの知っているだけでも、開業の歯科医でセミプロが数人はいる。これでもぼくの周辺だけなので、全国規模ならばもっとその数は多いはず。まあこうしたセミプロの人は別として、医者や歯科医の人は一般に金満家が多いようなので、一ジャズファンとしてプレーヤーやシンガー達を、色々バックアップするケースも多いのだろう。良い意味での「たにまち」と言ったところだが、その代表格が愛知県岡崎市で大きな総合医院(内田医院)を開業していた内科医の内田修氏と言う事になる。
 彼とジャズの関係はもう半世紀以上。多くのジャズメンが体の調子を崩すと内田医院にかかり、そこで休養を取り生気を養ってまた第一線に戻ると言うケースが多かった。まあ中年以上のジャズプレーヤーやシンガーで内田さんの世話になっていない人はいないとも言われるほど、ジャズ界との結びつきは強い。

 その内田さんは名古屋のジャズ愛好者を集めたジャズ愛好会を半世紀以上前に結成し、このクラブ主催で色々なライブコンサートを開催したりもした。渡辺貞夫、日野皓正、秋吉敏子、マーサ三宅等々、J-ジャズを代表する面々がこのコンサートの為に、わざわざ東京からかけつけて参加したのである。ある意味、内田さんはJ-ジャズの生き字引と言った意味合いもあるのだが、10年ほど前から高齢もあって調子を壊し、自身の医院も閉鎖してしまった。それに伴い、彼が集めた膨大な数のジャズアルバム、ジャズ本、自身の医院の地下に設置された録音スタジオで録られた膨大な音源、それと名古屋のジャズコンサートなどでの音源など、数多くの資料を岡崎市の図書館に寄贈。まさに日本のジャズの歴史そのものとも言える内田修コレクションが、岡崎市立図書館の中に数年前誕生したのだった。世界的にも非常に貴重なこの資料は、岡崎市民やその他の人達も自由に閲覧、閲聴することが出来ることになっている。内田修コレクションでは、その他にも定期的に市内でジャズコンサートなども実施、ジャズ啓蒙活動にも励んでいる。こうした活動が評価され、この度ジャズ専門誌「ジャズ・ジャパン」が主催する「年間ジャズアワード(ぼくも審査員の一員)」の特別賞を受賞、関係者が上京すると言うので、ここぞとばかりにこの内田コレクションについて色々と紹介してもらうことにした。

 ゲストはこの内田コレクションディレクターの山東さんとジャズの街岡崎の市民ジャズ愛好グループ代表の柴田さんのお二方。山東さんは名古屋ジャズクラブのほぼ創設時からのメンバーで、内田さんとは古くからの付き合い。一方柴田さんの本職は鉄工所の社長さんで街のジャズファン。今回は内田さん所縁のアルバムを聴きながら、このお二方のお話で内田修ジャズコレクションの全貌、そして現在の活動などが興味深く紹介されることになった。
 内田さんはこれまでに数回この番組にも登場し、最後は10年ほど前、まだお元気だった頃にスタジオに遊びに来てくれたのだが今回それは叶わなかった。しかし本当のジャズファンであり、J-ジャズ事情に精通している内田さんだけに、ご自宅で自身のジャズコレクションを取り上げたこの番組、聴いていてくれるに違いない。先生、宜しくね!

【今週の番組ゲスト】内田修ジャズコレクション ディレクターの山東正彦さん、NPO法人 BULE WAVE JAZZ FORUM 理事長 柴田剛太郎さん
M1「木更津甚句/穐吉敏子」
M2「ピース/高柳昌行&渡辺貞夫」
M3「ワン フォー ジョジョ/渡辺貞夫」




2月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2015.02/20 番組スタッフ 記事URL

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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.243~新垣隆参上~】

 「参上」などと言うと鞍馬天狗、怪盗ルパン、アントニオ猪木等々、どうも時代錯誤の表現しか出てこないが、この人の登場はその話題性から「参上」に相応しいものではあっても、実際は本当にひっそりと慎ましやかな参上とはほど遠いものであった。その人とは昨年小保方女史と並んで最も話題なった一人、あの偽作の代筆作曲者の新垣隆である。
 昨年の贋作騒動、そして実作家としてのカメングアウト会見など、彼はまさに時の人であり、その風変わりな風貌、言動も相まって一躍人気者となり、今では男性月刊誌や女性週刊誌のグラビアにまで登場するとも聞く。その新垣隆、現代音楽作曲家にしてピアニスト(桐朋音大作曲家卒業)の彼が、どうして我が「テイスト・オブ・ジャズ」に登場することになったのか...、と言えば答えは簡単。彼はかなりなジャズファンにして、ジャズのデュオ作品をこの2月に発表したからに他ならない。そのデュオの相方は、前衛ポップ&ジャズ暴れ者集団「渋さ知らず」でも活躍するバリトンサックスの鬼才、吉田隆一。この奇才&鬼才同士のデュオだけに話題にならないはずは無く、2人のアルバム『N/Y』(NYの様だが2人の頭文字)は、発売前からかなりな注目を集めることになる。そしてこの2人を引き合わせたのが、ぼくと同業のジャズライター村井康司(本職は大出版社の辞書編集担当)。デュオアルバムのプロデュースも彼が担当し、その村井くんから番組で取り上げて欲しいと要請があり、面白い企画で内容も仲々なので、直ぐに実現したわけだ。

 スタジオには吉田氏は当日仕事が入り来れず、新垣氏と村井氏2人の参上と相なったが、新垣氏はそのお人柄同様、実に静かにフェードイン気味と言うよりもまさにスニークイン(放送用語で静かに音楽などが入ってくる様子)状態で、受付前の長椅子に座っていた。挨拶すると隣の恰幅いいおっさんが立ち上がり、新垣の兄ですと自己紹介、本人は申し訳なさそうに頭を下げる。この謙虚さ、実に好ましいもので直ぐに好意を持ってしまった。聞くところによればこのお兄さん、彼のスケジュールやお金の管理をしているマネージャー役とのこと。そうだよなー、あんな感動巨編を密かに書き上げても貰えるものは本当に僅かで可哀そうなもの、なので彼にマネージャーは必須と密かに納得。遅れて村井氏も登場してスタジオ入りしたが、主役は終始謙虚。アルバムのインナースリーブのデュオ写真は、あたかもあの「ブルース・ブラザーズ」の様なハードボイルドなカッコ良さで、アルバムの内容も今までにない面白さもある。曲は2人の共作やそれぞれのオリジナル、スタンダードなど全12曲。新垣氏のオリジナルには「秋刀魚」などの曲もあり、ラストは日本が世界に誇る大作曲家、武満徹の「明日ハ晴レカナ曇リカナ」で見事に締められる。現代音楽と前衛ジャズの融合...と言った七面倒い類いのものでなく、スリリングではあるが心温まる愉しい作品である。

 収録が終わると彼はほーっと一息付き、お仕事終わりと言った寛いだ様子で微笑ましかった。「また是非番組に登場させてください。愉しかった...」とお愛想も言ってくれたが、自身も気に入っているので是非聴いて欲しい、ともつけ加えてスタジオを後にした。
 最後に恥ずかしそうに握手。如何にも好人物そのもので、どこにあの悲壮な大作を書き上げる力があったのか...。人間って面白いし、ジャズもまた実に面白い音楽なんですね。
【今週の番組ゲスト:ピアニストで作曲家の新垣隆さんと、音楽評論家の村井康司さん】
M1「野生の夢」
M2「秋刀魚」
M3「Embraceable You」
M4「明日ハ晴レかな曇リカナ」







2月14日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2015.02/13 番組スタッフ 記事URL

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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.242~ジャズとイスラム~】

 2月初めの日曜日早朝、目が覚め何時ものようにニュースを見ようとTVを付けると、後藤健二さん殺害の映像が流されたと伝えている。とうとう来たか...と思ったし、余りにひどい話で残念なニュースであった。大学時代アメフト部員だった彼が、どうしてフリージャーナリストとして紛争地域を飛び回るようになったかは知らないが、今どき珍しいジャーナリスト魂と正義感を持った男として、同じマスコミ人としても強く関心があっただけに残念な気持ちも強い。また自身の自戒も含め、ぼくの周囲にはこうした本源的な正義感を有したジャーナリスト(マスコミ人)はほとんど見当たらないだけに大変に寂しい。どうもイスラム国、そしてイスラム教と言うものの実態を知らないだけに、先ずかなり怖い宗教と言った認識になってしまうのだが、実際はどうなのだろう...。
 ぼくとイスラムと言えばもう30年以上前のこと、民放連の「水を大事に(しよう)キャンパーン」スポットコンテストがあり、全国のラジオ局がスポットを競作。ぼくも制作担当を命じられ、そのスポットは幸運にも全国2位になったのだが、その内容がアラビア語で水は貴重(アッチャ・バタ・ハイヤ...)と、子供に語らせるもの。バックは礼拝の音と水道管から垂れる水音。代々木八幡にあるイスラム教の大きなモスクの中で、確かヨルダン人の姉弟にその言葉を語ってもらったのだが、モスクの静謐で落ち着いた雰囲気と人々の礼拝の様子に、大変心打たれたものだった...。それだけにイスラムは安らかな宗教といった思いもあったのだが...。

 ところでイスラムとジャズと言えば、この所中近東出身のジャズメンも注目を集めており、その代表格がレバノン・ベイルート出身でパリで活躍中のトランぺッター、イブラヒム・マーロフ。彼は数年前に来日公演を行い、大きな話題を集めたが、ぼくも聴いたそのステージは、変拍子バシバシの多彩にして奇才とも言えるエキゾチックでスリリングなジャズで、新しい時代と地平を提示するものであった。彼の他にもクエートやイラクなどからも優秀なジャズメンが出現しているとの話もあり、イスラム地域はジャズの新たな注目地になりうる可能性もある。

 そしてもう一つ、最近はどうかわからないが、本場アメリカ有力なジャズメンがイスラム教に改宗する例が一時期多くあってその代表格が詩人でジャズ評論家のリロイ・ジョーンズ。彼はイスラム名に改称。その他セロニアス・モンクのバンドにいたベーシスト、ジョージ・ジョイナーはアブドラ・アルマリクに変え、盲目の鬼才ローランド・カークもラサーンを名乗るなど、かなりな面々がイスラム名に改称した時代があった。黒人解放運動が盛んで「ブラックパンサー」などが積極的に活動していた60年代終り頃のことだが、それらの社会(革命)運動も抑え込まれ、行き場の無いアメリカアフロアメリカン(黒人)の怒りがキリスト教からイスラムへの改宗へと向かったものだった。なにか今のイスラム国への欧州移民2世達の想いと通底する部分も感じられ、色々考えさせられる所も多いようである。

【今週の番組ゲスト:横浜の老舗ジャズ・ライヴ・レストラン BAR BAR BARオーナーで、横浜ジャズ協会会長、そして横浜スタジアム顧問の鶴岡博さん】
M1「パーム・コート・ストラット/BAR BAR BAR ALL STARS」
」M2「コンファメーション/BAR BAR BAR ALL STARS」
M3「ザ・ブルース・フォー・バーバーバー/BAR BAR BAR ALL STARS」
M4「港町十三番地/BAR BAR BAR ALL STARS」



 
2月7日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2015.02/06 番組スタッフ 記事URL

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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.241~ジャズ新年会~】

 1月末の月曜日、恒例のジャズ新年会が新橋のクラブ「コットンクラブ」であった。この新年会、なんだかんだで15年近く続いていて、毎年70名ぐらいのジャズ関係者(ミュージシャン、レコード会社のジャズ担当、音楽プロダクション、ジャズライター、ラジオ・TV、新聞、雑誌関係等々)が集まる。このところ元気の出ないジャズ界(音楽界)から見るとかなりなイベントとも言えるもの。例年は高田馬場の「コットンクラブ」が会場なのだが、オーナーにして馬場の顔役、茂串氏が新橋の店のアピールと会場の広さも考慮し、今年は新橋にしたようなのである。この新年会、プロの演奏も入るが大半は挨拶代わりの飲み会。青息吐息の業界ながらもどうにか無事にやっていることをお互いに確認する会でもあるのだが、今年はちょっと様子が違った。昨年惜しくも亡くなった伊藤八十八氏(このコラムでも取り上げた)の追悼会も兼ねていたのである。
 新年会と追悼会、趣の異なるものを一緒にやるのもどうか...とも思ったし、八十八氏の学友(早稲田大美術科)数人からも、偲ぶ会は...とも聞かれていたので、少々違和感はあったのだが、ぼくが主催者ではないので何とも言えない。会には遅れて参加したが、追悼の方は新宿の主、中平穂積氏や八十八氏の先輩、一関「ベイシー」の名物オーナー菅原氏(ぼくの同期)などが思い出を語り、最後に奥さんが締めると言う簡単なものだったが、ぼくは奥さんの締めの言葉直前に入場したため、余りその様子は判らなかった。ただ坂田明、マリーン、TOKUなど彼に関わるミュージシャン等の姿がほとんど見られなかったのはいささか寂しい感じもした。

 新年会の方は例年通り三々五々勝手に飲み明かし、愚痴を述べ合うと言った感じで、久しぶりの顔も見れて中々愉しいものではあったが、数年前に比べるとやはり全体にイマイチ活気に欠ける嫌いもあり。伊藤八十八亡き後、彼に続くプロデューサー出でよ...といった思いも強くした。ぼく個人はこの新年会前に、局近くでラグビー番組スタッフとの軽い飲み会をこなし、いささかいい調子で新年会に加わり、その後数人の仲間と銀座の小粋なジャズバーをハシゴして、気が付いたら東京駅からの最終高尾行。座ってしまったらやばい...と思いながらも前の座席が空いてしまい、ロートルだけに疲れには勝てず誘惑に負け座り込んでしまった。こうなると結果は歴然、目を覚ませば最終駅、高尾。はるか昔に1年ほど住んだことのあるこの辺境の街で、ホームから追い出されタクシー乗り場でカードの効くタクシー探し(それまでに散在してしまったので...)、なんとタクシー代だけで1万円近く。ロートルのぼくにはあまりにも過酷でトホホな一晩になってしまいました。(反省!)
【今週の番組ゲスト:ジャズシンガーのたなかりかさん】
M1「I Hear Music」
M2「If I Were a Bell」
M3「Tea For Two」
M4「Give Him the Ooh-La-La」

1月31日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2015.01/30 番組スタッフ 記事URL

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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.240~クワイエット・コーナー~】

 音楽の楽しみ方は人さまざまで、百人百様と言った感じがある。これは当然ジャズでも同じで様々な楽しみ方があるが、ジャズは長い歴史がある音楽だけに、その沿革・歴史などを知らないと...などと言う意見もあり、これがジャズは小難しい音楽と言った若い連中の敬遠を生み出しているとも言えそうである。ぼく自身は制作者としてジャズ番組を作ったり、ジャズライターとしてアルバムのレビュー(批評)を担当したりと、ジャズ関連の仕事を色々させてもらっているジャズ業界の一員なのだが、心根は生涯一ジャズファンである。このコラムでも再三書いているように、好きなのはラテンジャズ~サルサで、日頃買い求めるのもこの手のアルバム。しかし活気に満ちたこうした楽園系ジャズと同時に、自身の内面を注視するような静かなジャズ、ピアニストのポールブレイや注目のシンガー、グレッチェン・パーラトのような、内省的なジャズも同時に愛好している。こうした内向的ジャズを含む、心を静める様な音楽が最近クワイエット・コーナーとして注目を集めるようになっており、それが一冊のディスクガイド本として昨年暮れに登場した。この「クワイエット・コーナー」と称される音楽、数年前に番組打ち合わせの前に、目黒のレコード店「HMV」に立ち寄ったらフリーペーパーが置いてあり、そのタイトルが正にこの「クワイエット・コーナー」。クワイエットでセンシティブな音楽を...と書かれ、確かピアニストのエンリコ・ピエラヌンティや英国シンガーのレスリー・ダンカンのアルバムなど、ジャンルの違うアルバムが違和感なく選出されており、そのセンスの良さに惹かれ、読後一躍ファンになってしまった。そこでこの発行者をスタジオにと言う事で、編集担当の山本勇樹氏に番組に出演してもらったのだが、今回その集大成とも言えるガイド本が誕生、再びスタジオに来てもらったと言う次第。

 フリーペーパーの方ではこれまで延べ800枚近くを紹介したようだが、このガイド本「クワイエット・コーナー」では350枚。ジャズをコアにシンガーソングライター、フォーク、アンビエント、ワールドミュージック等々、山本氏のセンスで叙情と詩情に満ち溢れた素敵なアルバムが、様々なシチュエーションに合った音楽として選定されている。そのセンスの良さに感心させられると共に、仲々の愉しさにも溢れたお勧めの好本に仕上がっている。番組ではこの本の収録作をメインにした、コンピレーションアルバムなどから数曲を彼に紹介してもらい、「クワイエット・コーナー」の魅力について語ってもらった。ジャズは余りと...、いささか敬遠気味の若い女性達にも気に入ってもらえる番組になっていますから、是非聴いてみて下さい。
【今週の番組ゲスト:HMVジャズバイヤーの山本勇樹さん】
M1「MY BELLS/BILL EVANS」
M2「CHILDREN'S PLAYSON/HILDE HEFTE」
M3「THE MOON IS A HARSH MISTRES/RADKA TONEFF   STEVE  DOBROGOSZ」
M4「MOON RIVER/DIANA PANTON」
M5「DON'T EVER LEAVE ME/KEITH JARRETT  CHARLIE HADEN」



1月24日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2015.01/23 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.239~国府弘子~】

 このコラムでこれまでも書いて来たが、我がジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」は、そのスタート以来50余年。恐らく世界でも最長寿のジャズ番組だし、音楽番組としても民放ラジオでは最も長い部類に入るはずである。その上長い間ゲストに対して出演料ナシで番組を続けてきたこと(=スポンサが存在した短い期間には当然お支払していましたが...)で、これには担当のぼく自身も恥ずかしながら本当に驚いている。まあ番組スタート以来50余年、ぼくが担当して既に40数年。それだけに本邦ミュージシャンは、若手や地方在住の人などを除けばほとんどが一度は番組に顔を出しているはずだが、例外もある。その一人が我が国を代表するサダオさんこと渡部貞夫大師匠。サダオさんは学生のころから良く知っており、大学のクラブ仲間の鈴木良雄や後輩の増尾好秋が、サダオさんのグループに抜擢され、ジャズ特番などを制作したこともあるのだが、レギュラー番組の出演は皆無。これも出演料が関係しており、今は亡きサダオさんの奥さんから「出演料無しの番組なんかにサダオは出させないわよ...」とキツイお達しで、どう言う訳かこのお達しが現在まで続いていると言う次第。今ではサダオさんだけ出ていない番組と言うのも、一つの売りにしている訳なのだが...。

 そしてもう一人、女性ジャズメンとしてかなりな売れっ子にして有名人、国府弘子さんもどうした訳かこれまで登場していないのである。彼女は昔から縁が深く、デビュー時からと言うよりも彼女をプロに導いたディレクター、今はアメリカLA在住のフリーディレクターの田口氏が古くからのジャズ仲間の一人。それだけにデビュー時から彼女を番組に連れてくると言いながらも、一度として実現しないまま今日に至ってしまい、肝心の田口君はLAに移住、縁も薄くなってしまった。それだけに一度は...と思っていたのだが、番組パーソナリティーの山本嬢が彼女のマネージャーと知り合いであることや、今回8年振りにニューアルバム、それも初めてのソロアルバムを出すと言う事で、ビクターの担当からも声が掛り、国府さんの番組出演がそれこそ数十年かけて決定したのである。

 8年振りのソロアルバムは『ピアノ一丁!』。飛び切りの美女ながらも男勝りの気質の持ち主、国府弘子ならではの威勢の良いタイトルだが、中身は極上の音色のソロアルバム。ラテンジャズの名手、松岡直也さんや世話になった自身の調律師など、最近亡くなった方へのオード作品や、自身の大病の経験を踏まえたミュージックセラピー作品、そして大好きなビートルズナンバー等多岐に渡っており、彼女の想いが滲み出た好作品に仕上がっている。番組では大病(癌)にかかっての自身の苦悩などもかなり率直に語ってくれており、中々に深イイ内容の番組になった。番組収録を終えたあとLAの田口氏へ送ると言うので、2人で記念写真を撮ったのだが、果して皮肉屋の彼が喜んでくれるか...。彼女は終始楽しそうでこの番組登場を再び愉しみにしているとも語ってくれたが、30日から始まるアルバム発売ライブコンサートの成功、ぼくも心から応援したいと思っています。

【今週の番組ゲスト:ジャズピアニストでコンポーザー、アレンジャーの国府弘子さん】
M1「ピアノ一丁!のテーマ」
M2「You Tune My Heart」
M3「So In Love」
M4「Success Moon Dance」
M5「Cosmos Avenue」

1月17日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2015.01/16 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.238~正月ラグビー~】

 今年の正月はいつになく寂しくもつまらないものだった。これはぼくのようなロートルの宿命かもしれないが、最大の因はラグビー。例年ならば国立競技場(今年は秩父宮ラグビー場)に恒例の大学ラグビー選手権の準決勝を仲間とともに観戦、その後で一杯やり初のジャズ鑑賞と流れるのだが、今年は肝心の早稲田大ラグビー部が早々敗退し、正月越えならず、寂しくTV観戦となってしまった。早稲田はラグビーシーズン開始時点から心配だった課題が解決されぬまま大学選手権に突入、あえなく敗退してしまったのである。監督交代などスタッフの総入れ替えは当然のことだが、早稲田の選手が薄く良駒が少なく、来年また正月超えが出来るかは、はなはだ心もとなく寂しい状況にある。

 と言った所で帝京大対筑波大の決勝戦、どうしようかと悩んだのだが、ラグビー番組パーソナリティーの藤島大氏に正月の挨拶もあるのと、今年は調布の味の素スタジアムでの試合という興味もあり、心ならずも出掛けることにした。このスタジアムに来るのは10数年前の第1回「東京ジャズフェス」以来のこと。あの時は初めての音楽イベントと言う事で、ピッチの中に客席を作ったのだが飲み物厳禁の規制があり、晩夏の暑い時期のイベントだったため大不評、翌年からは場所が変わったことを懐かしく思い出される。スタジアム最寄駅の飛田給も当時は小さな駅だったが、かなり立派な小奇麗な駅に一変して驚かされた。
 会場に着き、藤島氏や「ラグビーマガジン」の編集長などに、新年の挨拶を済ませ場内を見ると、帝京大の応援席だけ満員で後はガラガラ。お寒い限りの入場数で協会のスタッフも大分渋い顔だった。その上帝京大と筑波大の試合は、10分近くで優劣がはっきり出てしまい、試合は前半で決着。寒さがより身に沁みる結果になってしまった。これで帝京大は6連勝。向うところ敵なしと言った感じで、また来年も有力選手が続々入学、早稲田などとの差は開くばかり。ある意味大学ながらセミプロの感ありなのだ。早稲田の新監督がどうなるのかは早急に決められるはずだが、この差を埋めるのは並大抵では出来ない。本来ならばあの清宮氏が監督に復帰し、再度挑戦してくれるのがベストなのだが、それも難しそうな状況である。

 今年はラグビーワールドカップがロンドンで開催されるラグビーイヤーで、我がラジオ日経のラグビー番組も本格始動。そんな時に早稲田の凋落によって、ぼくのラグビーへの関心がいささか薄くなりつつあるのは残念だが致し方ない。ここは一つもうすぐブルーノート東京に来日する、サルサの大御所ラリー・ハーロウや、「コットンクラブ」での新世代ボーカルの旗手、ベッカ・スティーブンスのステージ等を目一杯楽しみつつ、元気を補填するしかないようですね。

【今週の番組ゲスト:テナーサックスプレイヤーの鈴木央紹(ひさつぐ)さん】
M1『Come Rain Or Come Shine』
M2『Waltz For Debby』
M3『Herald Square』
M4『My Romance』


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