3月5日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.03/04 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.295~スーパーラグビー始まる】

 例年この時期はラグビーの話題はほとんどなかった。
トップリーグや大学など各チームも4月のスタート時に向けて動き出す準備期間。それだけにこの時期ラグビーについて記す(特にジャズ番組ブログで...)などは論外と読んでくださっている皆様にはお叱りを受ける感じなのだが、今年からは大きく情勢が変わって来た。まさかまさかのジャパンラグビー=「サンウルブズ」がスーパーラグビーに挑戦、そのお披露目の試合が秩父宮で行われた。サンウルブスはこれから7月初めまで、10数試合を各地でこなし、そのうちの何戦かは秩父宮でも行われる予定で、一昔前ならば考えられない事態が起こり始めているのだ。
 これはサッカーの世界で言えば、Jリーグで覇を競うのではなく、ACミランやバルセロナと言った世界の強豪チームと同一で戦うことを意味し、野球の世界でもメジャーリーグに阪神や楽天が乗り込むと言った図式、かなり画期的なことだ。それがあのワールドカップのジャパンの大活躍によって実現したのだから...。ぼくも40数年ラグビーを見続けてきたが(と言ってもほとんどが早稲田大の試合だったが)、まさかこんな時代が来るとは夢にも思わなかったし、サンウルブスに参加した大ベテラン、均ちゃんこと大野選手も意味深げにそう呟いていた。

 
そのSR(スーパーラグビー)の初戦=南アフリカの強豪、ライオンズとの試合が2月末に開かれることになり、今やラグビーを一つの売り物に...と考えているらしいラジオNIKKEIのラグビークルーとしては、是非観戦そして選手インタビューということで、パーソナリティーの藤島大さん、紅一点の才媛ディレクターH嬢が奮戦、ぼくも少しばかりお手伝いも兼ねて観戦させてもらった。秩父宮は予約で座席は売り切れ、超満員の観衆。試合開始前から様々なイベントも行われかなりな盛り上がりをみせる。今までどちらかというとこういう国際イベントはその仕切りに問題があったが、かなりうまく運んでおり、さすが大手代理店の力とひとしきり感心した。試合は準備期間の短いサンウルブス~狼軍団は、ライオンズ~百獣の王の獅子軍団にスクラムなど押され気味だったが何とか粘り抜き、狼vs獅子はかなり拮抗した接戦で試合を終えた。13vs26とダブルスコアの敗戦だったが予想以上の善戦で、終了後の記者会見でもヘッドコーチ、キャプテンとも手応えを口にしていた。これから10数試合果たして狼軍団は、どれぐらいの成績を上げられるかはしかとはしないが、それなりの期待はもてそうでホッとしたのが実情。頑張れサンウルブスである。

 
そしてもう一つラグビーの話題で言わなけらばならないのは、早稲田大ラグビー部の監督が来季から若返りし、スタッフも大幅に一変すること。新監督は早稲田大13年ぶりの選手権制覇時の主将で、サントリーなどでも大活躍した山下大悟。神奈川の強豪、桐蔭学園から早稲田に進んだ彼は、あの清宮氏の指導を受けた清宮チルドレンの一員。菅平の早稲田グランドのすぐ脇にわざわざ両親が別荘を建てるほどの早稲田フリークで、ぼくも10年ほど前に偶然その別荘の庭先で彼の母親とラグビー談義を交わした(話す前は母親とは知らなかったが...)ことがあり、昨年我がラグビー番組にゲスト登場した時は大変に懐かしく思ったものだ。その彼が若くして早稲田大の監督。ここ7~8年低迷を極めているチームを「全てを変える」と宣言。再来年には部誕生100周年、その記念時には全国制覇を...と誓ってくれているだけに頼もしい。そうなると今年は菅平だけでなく上井草のグランドにも通わなくては...、と忙しくもうれしくもある今日この頃だ。
 
ラグビーばかりではなくジャズももっと良く聴け...、などとジャズ仲間からも言われそうだが、そこはそれ、そちらもしっかりとジャズ新動向をフォローしますよ。特に4月から「テイスト・オブ・ジャズ」も内容を一部変え、ジャズの歴史と今後を見き聴き分けていきたいと思っていますから、よろしくお願いします。
 【今週の番組ゲスト:ドラマーの石若駿さん】 
M1「The Way To Nikolaschka」
M2「A View From Dan Dan」
M3「Big SaaaC」
M4「Cleanup」

2月27日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.02/26 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.294~天才ドラマー参上】

 ジャズにかつての元気が無い...、と言うのはもう常套句になってしまっており、確かにジャズアルバム売れ行きの極端な減少、ジャズを扱う大レーベルも寡占状態で全く拡がらず、更にはライブスポットもいまいちパッとしない等々、その取り巻く環境はかつてと大きく変わってしまい、元気がないのは確かである。しかし21世紀も既に10数年経った今、「ネクスト・チャプター」とも称される新しい黒人ジャズが堂々と台頭、また日本でもジャズを目指す若者も増えつつあり、ここら辺から現在のジャズ閉塞状況を打破する気運も窺えてくる。

 
ぼくたちがジャズに接し出した頃、ジャズを目指す若い連中は大物プレーヤーに弟子入りして直接に習うとか、大学のジャズ研(特に我が早稲田大モダンジャズ研が顕著だったが...)に入学、ジャズメンを目指すなどと言う道程がほとんどだったのだが、今は国立音大などの音楽大学にジャズ学科が設置されており、またそうした国内音楽大学ではなく直接本場のバークレー音大など、ジャズ大学に留学するジャズ志向学生も増えていると聞く。それだけに今はテクニックも抜群で理論にも強いと言った、かつてのジャズ全盛時には考えられないジャズ志向学生が増えており、そうした若者達が新しいジャズの地平を切り拓きつつあるのもまた事実と言える。しかしそれだからと言って、彼らのジャズが面白いかはまた別物なのだが...。

 
さてそんな優秀な若手が育ちつつある、今の日本のジャズシーンに於いて、真の天才と呼ぶに相応しい、ぼくのお奨めの若手が2人いる。女性サックス奏者の寺久保エリナとドラマーの石若駿。北海道のジャズタウン、札幌市出身のこの2人、同い年で幼馴染で、同じジャズユースバンドで活躍、ガキの頃からその天才振りを広く知られ、23才になった今、両者ともJ-ジャズのこれからを背負う重要な俊才として、各方面から大きく嘱望されている注目存在である。

 
エリナの方はバークリー音楽大学に特待生として招かれ今年無事卒業、今や本場NYでバリバリとギグ(仕事)をこなしている。彼女は番組にもデビュー前から登場、以降帰国するといつも番組に出演してくれているが、今年もまた3月末に新作発表を兼ね帰国予定。その折にはスタジオに来てくれることになっている。

 
一方石若駿の方も、中学生時代にあのハービー・ハンコックからその才を絶賛され、高校生時代には日本を代表する日野皓正バンドに抜擢、一躍名前を知られるようになる。以降は東京芸大の打楽器科に入学、卒業時は成績もトップだったというジャズ&クラシックの双方に通じた天才でもある。その彼が今回初めて本格的なリーダー作(参加作は数多いが...)を発表することになった。『クリーアップ』。野球用語で3・4・5番と言う重要打順を指すこの単語には、J-ジャズを背負って行こうという彼の若々しい意気込みが現れていると言えそうだ。そこでこのアルバム発表を期に、スタジオに遊びに来てくれないかと頼むと、忙しいスケジュール(ほぼ毎日ライブハウスに登場している)を割いて来てくれることになった。
 
アルバムには彼と共に行動している、金沢英明(b)などのベテラン勢から、同世代の井上銘(g)、中島朱葉(sax)と言った仲間の若手迄、7名ほどが参加、中にはパプア・ニューギニア出身のピアニストで芸大でも一緒だったアーロン・チューライなどと言う異色の顔ぶれも参加している。曲は彼のオリジナルで全編がまとめられており、住まいに近い日暮里の有名な坂を描いた「ヴューフロムだんだん坂」など13曲、「日頃書き溜めたものをこの機会に発表しました」と彼は語っている。彼がジャズドラミングの面白さに目覚めたのは、あの手数王=森山威男の凄腕ソロを聞いた時とのことで、恩人とも言える日野皓正については、こんな格好いい人はいないと...、今も憧れだの存在だとも言う。
 
子供時分から天才、天才と囃し立てられながらも、決して奢ることなく研鑽に励み、芸大でも主席を務めたと言う感じの良い素直な好青年。今年のジャズジャパンアワードのニュースター賞(その他でも数多くの賞を獲得している)に輝いている彼は、賞の司会も務める番組アナの山本郁に「よろしくお願いしますね...」と挨拶、彼女もしばし感激していた。
 
 
この注目のリーダー作、曲によっては難解なものから、23才の若者の心象が柔らかく表現されているもの迄、まさに多士済々だが、才覚溢れるこの新進の全てが過不足なく提示されている感も強く、各方面から大好評。皆様も是非お耳にされてみたら...。(※石若駿さんの番組出演は3月5日OA分の予定です) 

 【今週の番組ゲスト:シンガーの情家みえさんとPin Rouge Disque代表の赤松邦之さん】 
M1「ヘッドライト」
M2「風鈴」
M3「かげろう」
M4「恋わずらい」

2月20日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.02/19 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.293~ジャズ本出版記念会】

 先週の土曜日の午後、新宿の老舗ライブハウス「J」で、あるジャズ本の出版記念パーティーが開かれた。本のタイトルは「人生が変わる55のジャズ名盤入門(竹書房新書)」と、いささかオーバー気味なものだが、我がクラブ仲間のベーシスト(日本のトップベーシスト)、チンさんこと鈴木良雄がジャズプレーヤー、ジャズライター、ジャズ喫茶マスターなどジャズ関係者50人の選んだ55枚の名盤について、自身の想いを語った至極分かり易いジャズ入門書。

 
このジャズ本については、このコラムでも以前にも紹介し、我がジャズ番組でも取り上げたものだが、それが2月初めに刊行されめでたく出版記念パーティーにこぎつけたというもの。出版記念パーティーにはチンさんの人柄もあって多くの関係者が集まり、「J」は超満杯。オーナー兼マスターの幸田稔くん(彼もぼくらの仲間)が進行役を務め、「お店も日頃からこんなに人が集まれば、ぼくも苦労はないのに...」などとぼやきをかましつつ会を進めていく。乾杯の音頭を早稲田の有名フルバンド=ハイソサエティー・オーケストラ(通称ハイソ)出身で、岩手・一関のジャズクラブ・オーナーとして知られる東北の文化人、菅原正二氏が務め、新宿ジャズ界のと言うよりもJ-ジャズ界のボス兼御意見番、ジャズクラブ「DUG」のオーナー、中平穂積氏が最初の挨拶に立った。二人ともこの本の出版に3年以上も要したことに驚いており、「もう出ないのとばかり思っていた...」と異口同音に語っていたが、まさにその通り。チンから頼まれアンケートと原稿をまとめたぼくも、てっきりこの企画はお流れだと思っていた。それがようやく出版と聞き驚くと同時に彼の為にも喜んだものだった。

 「
聴けばわかる」と一学年下の森田一義(タモリ)のキャッチフレーズが帯に大きく書かれたこのジャズ新書。嬉しいことに帯には小曽根真やケイコ・リーなどと並んで、ぼくの名前もジャズ達人としてクレジットされており、いささか鼻も高い。その冒頭でチンはこんな風に記している。「ジャズを作ったのはアメリカの黒人達です。人種差別がありました。黒人たちは自身の境遇の不条理さをエネルギーに変え、音楽(ジャズ)を作り上げました。そして自由を手に入れたのです。(中略)マイルスが言っていました。ジャズで大事なのはオネスティー(正直)だと。ぼくも今まで感じたことを正直に紹介していきたいと思います。そしてみなさんが元気になるアルバムに出会えることを願っています」と...。
 
出版社のジャズ好きな編集者達からも、これまでにないジャズ紹介本として概ね好評のこのジャズ本。集まった関係者も、上記の面々以外にも六本木の「ボディー&ソウル」の関京子ママや、横浜のクラブ関係者などをはじめ、峰厚介や山本剛、野力奏一、木住野佳子など多士済々のジャズメン達。それにライターや新聞記者、出版関係、早稲田大ジャズ研の面々等々。当然こんな面子が集まるのだから演奏も行われて盛り上がりも見せ、至極順調にお開きとなったのだが、「画龍点睛を欠く」の例え通り何かが足りない...、と多くの参加者が感じていたのは事実。
 親しい仲間ともう一軒、久しぶりでゴールデン街にでも繰り出そうかと話している所に、慌てて駆け付けたのがタモリ先生。「チンサン怒っているかな...」と心配そう。どうしたんだと聞くと「いやーちょっと野暮用で...」とそそくさと店に駆け込む。後で聞くとチンと軽く掛け合いをステージでやったようだが、さすが先輩思いの律儀な一義くん。残った連中もやんやの喝采で無事会もお開きになったとのこと。


 
因みにこの本でタモリが挙げる、ジャズ・ベスト5アルバムは①デイビス『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』②ビル・エバンス『ワルツ・フォー・デビー』③チャールス・ロイド『フォレスト・フラワー』④ライオンンル・ハンプトン『スターダスト』⑤ハービー・ハンコック『エンペリアン・アイルス』 と言うもので、③から⑤までが彼らしい渋い選択。これを見るだけでもこのジャズ本を買う価値ありですね。ぼくの選んだ第1位も上げておくと、言うもでもなくマイルスの『カインド・オブ・ブルー』で、この本でも輝く第1位でした。
【今週の番組ゲスト:アルトサックス奏者の宮野裕司(ミヤノ ユウシ)さんと菅野浩(スガノ ヒロシ)さん】 
M1「Just Friends」
M2「Spartacus-Love Theme」
M3「The Fool On The Hill」
M4「Senza Fine」
M5「Alt Talk2 Inprovisaitio Ⅱ」

2月13日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.02/12 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.292~恒例ジャズ新年会】

 
 毎年1月の末に開かれるジャズ関係者の集い「ジャズ新年会」が、今年は少し遅れて2月の休日の前夜、10日夜に新橋の「コットン・クラブ」で行われた。例年だと高田馬場の「コットン・クラブ」での開催が多いのだが、今年は会場変更で、同じ姉妹店とはいえ高田馬場と新橋では大分趣きも違う。高田馬場の裏ボスとも呼ばれ、高田馬場の早稲田通り沿いに数店の飲食ジャズクラブなどを有している茂串氏が、新橋駅から数分の一等地ビルの地下に「コットン・クラブ2号店」を出したのは数年前のこと。場所柄も大きく異なる新橋と言う土地での出店だけに、経営を心配した向きも少なくなかったが、さすがに商売人、若い女性客を中心にお客を集めており、この地の名物店の一つになっているようだ。

 ジャズライターやレコード会社のジャズ担当、ライブハウスやジャズ喫茶のマスターなどが集い、互いに挨拶を交わし合い無事を確かめ合うこの新年会、スタートしてもう10数年になるはずだが、例年は100名近い面々が集い、ミュージシャンやシンガーも顔を見せる。今年は場所が変わったのと時期も少し遅いこと、そして何より音楽(ジャズ)不況の影響で業界全体が元気を失いつつあることなどで、思ったより人が集まらなかった。
 
 しかし最長老(90才を超える)の瀬川昌久氏の挨拶でスタートするといつものように和気あいあい、日頃の業界の元気の無さもどこ吹く風と言った感じ。瀬川さんは日本のジャズ界の生き字引、先日も戦前のジャズ状況を語る本を出版されるほど元気一杯。何せ銀行員でNY駐在時代にあのモダンジャズの創始者、バードことチャーリー・パーカーの生のプレーやバド・パウエルの名演を体験した日本のジャズファン垂涎のジャズレジェンド的存在。彼は我がラジオたんぱ(現ラジオNIKKEI)とも関係が深く、以前社長をしていた安藤蕃氏の戦前のジャズSP盤を復刻して数枚組のカセットブック(時代を感じますね)に仕上げてもらった浅からぬ縁もある人物。この瀬川さんを筆頭にジャズ関係者はかなり高齢のオールドボーイの方達(ぼくも含めてだが...)、皆んなジャズ喫茶やライブスポット経営やジャズ雑誌刊行等々、それぞれが元気で頑張っている。若い人の参加がいささか少なかったのは残念だったが、それも仕方ない所だろう。宴は数時間ほど続きお開きとなったが、ここに参加している連中の何人かと話を付け、番組に登場してもらうことにした。ノーギャラと言うところが仲々に頼みづらい所だが、相手もこちらの事情は薄々感じているようで、一様に色よい返事がもらえたが、やはりその好意に恐縮するばかり。

 新年会終了後は仲の良い面々と銀座のジャズバーへと流れたが、ここもマスターがこの春にロンドンに渡ってしまい、続けるかどうか考慮中とのこと。この心地よいジャズ空間がずーっと続いてほしいと願いながら、マスターの選んだバードの名演に耳を傾けた。激しくブローするバード、ジャズの原点ここにありと言う凄みが全編に漲っており、改めてジャズの素晴らしさを実感した。ジャズってやっぱり素晴らしいですよね。
【今週の番組ゲスト:ベーシストの平石カツミさん】
M1「Into The brain」
M2「Etarnity」
M3「Freedom」
M4「Friends」

 
2月6日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.02/05 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.291~バカ犬逝く】

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月末のある早朝、その日は前夜からの雨が雪に変わるのでは...とも予想されるほどの寒い朝、我が家のバカ犬ことピーちゃん(本名モアナ)は15才にあと1ヶ月ほどという命を燃え尽きさせてしまった。トイプードルの寿命は一般的には13年~16年ほどとも言われるから、まあ天寿を全うしたというか犬寿を全うした一生だったと思われる。死ぬ前々日までは元気で餌を求めて鳴き叫んでいたのだが、前日になると様子が一変、散歩にも行かず歩かせようとするとグニュッと倒れてしまう始末。これは大事と暖かい布団に入れて寝かせていたのだが、全く回復の様子もない。相当におかしいと言うことで生まれて初めて近くの獣医の処に連れて行ったら、熱があり肺炎の疑いもあるという見立て。抗生剤を注射してもらい家に戻ったが回復の兆しはない。と言うことで急遽ピーちゃんの本来の持ち主である、娘に連絡を取り来てもらうことにした。娘が夜に到着しピーちゃんを抱きしめると幾分落ち着いた様子だが、依然元気はない。娘が明日の仕事のため夜中に帰ってしまい、深夜2時ごろまで安否を見ていたがどうにか大丈夫と判断、その夜は寝てしまった。早朝5時頃様子を見ようと起きててみると、口から泡を吹いて息絶えていた。なんとも可哀想だったし、大変寂しくもあった。

 
この犬はもともと娘が就職時の最初の給料で飼ったのだが、その後は結婚のため家を出てしまい、必然的にこちらが飼い主になったと言う次第。前々からぼくは彼の考える順位付けからすると最下位、食事と散歩以外は余り興味を示さず、ソファーや車などで座っていると、そこは俺の席だとばかりに吠えたりもする、文字通りのバカ犬。ただ1年のうち2ヶ月ほどは追分の山荘暮らしと言う優雅な生活を送っている犬でもあった。追分では乗馬の馬に吠えかかったり、水遊びが大好きで御影用水での散歩ではいつも水に入ることを強制。ある時などはバカ犬に引きずられて、5メートルほど下の用水に転落、捻挫してしまい、一月ほど治療にかかるなどと言うアクシデントもあった。だがぼくが暇なせいもあり散歩から買い物などいつも一緒だっただけに、いまは世に言うペットロス状態に陥ってしまっている。どうせならもう少し良い餌を...とか、こまめに獣医に通い健康診断を...などとつらつら思い悩むが、今となっては詮無き事なのだ。

 
死んだ日に直ぐに狭山のペット霊園で焼いてもらい、遺骨を家の庭と追分の山荘に埋めることにした。ピーちゃんが死んだ翌日から九州~熊本と大分(別府)に4日ほど行かなければならない用事があり、精進落としとして久々に訪れた別府では街中の銭湯温泉10か所ぐらいに入り捲ったのだが、どうも気分はすっきりとはしない。だが帰り道大分空港近くの杵築城を訪れたとき、杵築湾にきれいな虹がかかり、まさに「オーバー・ザ・レインボウ~虹の彼方」の風景が現出、それを見ていてピーちゃんも成仏したんだと、ようやく何となく納得した心持になった。
 
死んだ日には何かピーちゃんに聴かせるジャズを...と思ったのだが、余りいいのが思い浮かばない。何せ彼はどう思っていたか知らないが、10数年ジャズを聴かされ続けただけに、ジャズにはいい感触を有しているはず。猫(キャット)だとジャズメンの愛称でもあり、多くの名曲・名盤があるのだが、犬(ドッグ)では余り見つからない。と言うことでジャズオード(追悼)の名盤、故チャーリー・ヘイドンとゴンサロ・ルバルカバの傑作デュオ・アルバム『ノクターン』を掛け、しみじみとピーちゃんの在りし日を偲んだ。バカ犬ことピーちゃん、享年14才11月、合掌!
【今週の番組ゲスト:「ちまたでウワサのラテンジャズ女子トリオ」convianoのリーダー兼営業&広報担当のピアニスト岸淑香(さやか)さん】
M1「ちまたでウワサの...」
M2「遥かなるスペイン」
M3「Who's Smoking?」
M4「Sunset and the Mockingbird」
1月30日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.01/29 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.290~鈴木'チン'良雄】

 このコラムでも再三書いているように、ぼくは早大時代にジャズ研と山の同好会の両方に所属し活動をし、それ以外ではメットを被って石投げなどをしていたりと...、ある意味平凡かつ特異な学生時代ではあった。そして以降はラジオ局員として長年番組制作などを担当、ここでもまた平凡な生活を過ごし定年を迎え、縁あって未だそうした仕事を続けている訳だが、大学時代のこうした趣味、上記の2つ以外にラグビー観戦を付け加えれば、現在の仕事とかなりな部分が重なるのだから、果たしてこれは幸せなことなのかどうか...。

 
さてそんな大学時代のクラブ~早稲田ジャズ研は多くのジャズメンを輩出し、ある意味J―ジャズの黎明期を担うかなりな存在でもあったのだが、これにはぼくの同期のベーシスト「チンさん」こと鈴木良雄、そして1学年下のギターの逸材、増尾良秋の存在がかなり大きい。彼らは2人ともJ-ジャズを体現化していた偉大な存在、サダオさんこと渡辺貞夫のグループに抜擢され、一躍ジャズ界の若きスターになったのだった。そしてそれから10年余り、早大ジャズ研を更に天下に知らしめたのが、日本エンタメ界の3巨人の一人、タモリこと森田和義くん(増尾と同期)で、この3人により我がジャズ研は「永久に不滅」のものとなったのである。

 
まあこんなところがジャズ研の自慢話だが、そのなかでぼくの同期のチンさんは、元々はピアニスト。それがサダオさんの勧めでベーシストに転向、今や日本のジャズベースの第一人者になったのだから、サダオさんには頭が上がらない。その彼が今回はじめてジャズ本を出すことになった。タイトルは「人生が変わる55のジャズ名盤入門(竹書房)」で、2月初めの刊行と言う。このジャズ本、ジャズミュージシャンやライター、ジャズ喫茶のマスターなど、ジャズ関係者50人が自身のベストアルバムを10枚選び、それを集計し順位付けをして、そのうちの55枚についてチンさんがコメントを付けるといった趣向で新書の体裁。この話があったのは3年前のことで、彼からTELがあり「小西よー、ジャズ本出すんで協力してくれよ」と言う。いつもは憎まれ口をきいている仲だが、そこはJ-ジャズの重鎮の一人からの依頼とあれば、断るわけにはいかない。それで原稿を送ったのだが、それから3年余り。もう企画は流れたものとばかり思っていたら、この2月初旬に本が出るという。びっくりしたのだが、彼の初めてのジャズ本と言うことで、宣伝を兼ねて番組に出演してもらうことにした。

 
この本で選ばれている55枚のジャズアルバムは、どれも極めつけの名盤ばかりだが、こうしたアンケートもそうないものだし、1枚1枚に彼がコメントを付けると言うのも面白く、番組でもそのうちの3枚を取り上げ、それぞれの思い出について語ってもらった。残りの1枚は彼の最新作、J-ジャズの気鋭達とのユニット「ジェネレーション・ギャップ」のアルバムから掛けることにした。名盤の方は最も人気の高かったマイルス・デイビスの『カインド・オブ・ブルー』(「ソー・ホワット」)。彼がジャズに目覚めた記念碑的作品、ディブ・ブルーベックの『タイム・アウト』(「テイク・ファイブ」)、そしてピアニストとして最も影響を受けたビル・エバンスの名盤『ワルツ・フォー・デビー』(同タイトル曲)の3作。ぼくのようなジャズライターがこうした名盤について語るのとは違って、現役のミュージシャンの聴き方、耳の付け所はまた一味違っていて仲々に面白い。彼もこの55枚を全部聞き直し、それぞれについてコメントするのはなかなか大変な作業だったと言うが、それはそれで愉しいもの。「ジェネレーション・ギャップ」の新作発表ツアーでは全国50か所近くのライブスポットを回ったという彼。若いと自身で思っていても、もう70才近いオールドボーイ。余り無理せずのんびりとやって下さいね、チン先生。
【今週の番組ゲスト:ベーシストの鈴木良雄さん】
M1「So What/Miles Davis」
M2「Take Five/Dave Brubeck」
M3「Waltz for Debby/Bill Evans」
M4「Ontake/Generation Gap」
1月23日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.01/22 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.289~ハーモニカの達人】

 東京の神保町、古本とカレーの街として知られるここの裏通りのとある雑居ビル。そこの4階に心地良いジャズカフェ「アデュロンダック・カフェ」がある。店主の滝沢さんはジャズアルバムのバイヤーとしてNY生活も長く、日本に戻ってからは輸入盤CDショップ店をしばらくやった後にこのジャズカフェを開店。週に一日はライブも実施しており、これがかなりな評判を集めている。ぼくもこの店の雰囲気がかなり気にいっており、時々店に顔を出しているのだが、ここでの好評ライブをCD化しようと言うアイデアが出され、数年前に「アデュロンダック・レーベル」として、その第一弾(札幌の若きピアニストのアルバム)が発表された。番組でもその第一弾作品を紹介したが、このたびその第2弾が様々な紆余曲折を経て、今月ようやく登場する運びとなった。早速そのアルバム、ハーモニカとピアノとベースと言う極めて変則的な編成のトリオ作品『ドキシー』を、再び紹介することとした。ゲストはそのトリオの一員であるハーモニカ奏者の続木力(つづき ちから)さんと、レーベルオーナー兼プロデューサーの滝沢理さんの2人。

 
この変則トリオ、続木さんの他にベースの吉野弘、ピアノの石井彰と言う、いかにも玄人好みの実力派揃い。その内容も彼らならではの素晴らしいもので、数年前に「アデュロンダック」で行われたライブ録音だが、3人が顔を合わせたのはこの時が初めてだったと言う。だがそこは実力派どうしだけに、その成果は抜群。ぼくも偶然にこの録音を店で聴かせてもらい、その内容の素晴らしさに感激。滝沢氏にアルバム化することを強く勧めた一人だったが、そうした要望を出した人も多かったようで「アデュロンレーベル」の第2弾としてオーナーも決めたのだった。
 そしてアルバム化を強く勧めた男と言うことで、ぼくがアルバムのライナーノートを執筆するはめになり、そのアルバムの帯キャッチは「東京・神保町の心地よいジャズ空間=アデュロンダック。そこでのジャズの匠達による奇跡の邂逅。このピアソラジャズは素敵過ぎます!」としたのだった。


 
この褒め言葉、決してオーバーなものではなく、現代タンゴの巨匠、アストル・ピアソラの数多いジャズバージョンの中でも、指折りのものの一つだと断言出来るだけのかなり圧巻な内容。なによりハーモニカとベース&ピアノと言う組み合わせが抜群だし、メインになるハーモニカが実にいい味わいなのだ。このハーモニカと言う楽器は、あまりジャズの世界には登場しないマイナーな存在なのだが(ブルースなどでは多いが)、今は亡きトゥーツ・シールマンスと言うベルギーのジャズハーモニカ奏者によって、ジャズの世界でも認識されるようになった。続木さんも彼や妹尾雄一郎などの影響を受け、独学で哀愁を含んだ自身のスタイルを作り上げたと聞く。その独自なスタイルが、ピアソラやキース・ジャレットなどのサウダージ(郷愁)たっぷりな選曲にもピッタリ。ラストはあのサッチモの名演で知られる「この素晴らしき世界」、これがまた良しなのだ。ぼくはジャズハーモニカアルバムを見つけると直ぐに買い、と言うほど、この楽器にはまっており、そのうえピアソラも大のお気に入り。となればこのアルバム、大推薦以外にないし、そのライナーを担当出来たのも、大変幸運なことでもあった。

 
そう言えば続木氏とは数年前、谷川俊太郎さんの自由学園での「詩の朗読ライブ」でご一緒した仲で、この谷川氏をメインにしたライブの特別番組は、嬉しいことに民放祭のラジオ部門制作賞を受賞。そういった意味でも彼はぼくにとって忘れられない存在でもある。面白いことに彼は、フランスでハーモニカの勉強を修めていたのだが、このフランス渡航は実家のパン屋を継ぐための修行研修で、それが道を外れて(路上で聴いたハーモニカ奏者の演奏にいたく感激してのこと)音楽に進んでしまったというのだから誠に不思議なもの。これも彼の実兄、ジャズピアニストの続木徹さんの影響も大だったようだが、人生って本当に判らないものですよね。
【今週の番組ゲスト:続木力(つづき ちから)さんと、アディロンダック・レコードの滝沢理(おさむ)さん】
M1「Doxy」
M2「Oblivion」
M3「What a Wonderful World」
1月16日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.01/15 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.288~16年音楽界も色々と】

 最近の(と言うよりも直近の)音楽界の大きな話題と言えば、やはり世代を超えた国民的アイドルグループ「スマップ」の解散説(?)と、海を越えた向こうでは一時代を作り上げたカリスマシンガー、デビッド・ボウイの死去と言うことになるだろう。うちの娘が子供の頃大ファンだったということもあり、スマップにはぼくもそのデビュー辺りから好意を持っていたし、そんなに熱心なファンではなかったが、ボウイもその初期の頃(『ジギー・スターダスト...』など)から結構聴いて来た。まあ肝心のスマップがこれからどうなるか...、その行く末はしかとはしないが、この両者意外とジャズに関わりがないようで結構あるのだ。
 特にボウイは今ジャズ界で最注目の存在、と言うのも彼の遺作にして最新作『ブラック・スター』は、期せずして昨年の掉尾にレギュラーのジャズ番組とジャズ特番で、柳楽光隆と佐藤英輔の気鋭ジャズライター2人が、2016年の注目作として挙げていたもので(実際の音はまだ聴けなかったが...)、「ニューチャプター」とも呼ばれるジャズの次世代を担う、新進気鋭のミュージシャンがバックを固め、ボウイ自身もジャズをコアに全く新しい音世界を構築しようとして、かなり気持ちも入っていたらしい。ぼくはまだこの音を耳にしていないのだが、これはすぐにでもCDを手に入れないと思っている所だし、番組でも是非ボウイの特集を組みたいとも思っている。
 
そしてスマップの方だが、彼ら自身はジャズにあまり関心はないのだろうが、そのバックにはアメリカの一流ジャズミュージシャン達が集められており、その彼らのフルバンドサウンドは、確か『スマッピーズ』というタイトルでも出されており、フルバンドアルバムとしてもかなり優れたものでもある。また彼らのヒット曲のひとつ「夜空のムコウ」の作曲者はシンガーソングライターの川村結花。彼女はなんと大学こそ異なるが、かつて我が早稲田大ジャズ研の部員でもあり、現在はそのOB会のメンバーでもある。と言った点などから、この両者はジャズに結構関わりがあるのだ。

 さてこうした音楽界の大きな話題があった今週の我がジャズ番組のゲストは、今注目の女性ピアニスト栗林すみれ嬢。20代後半の彼女は、今回が番組初登場で2枚目のアルバム『トラベリン』を携えスタジオに現れてくれた。アルバムジャケット写真から想像するより、実際は大分幼い感じすらあり、思わず「年令いくつ...」などと聞いてしまいひんしゅくをかったが、可愛い女性である。当然、ラジオ日経のことなどは知らなかったのだが、「競馬で知られるラジオ局だよ」と紹介すると大喜び、いま競馬にはまっているのだと言う。そこで局の競馬関連のお偉いさんW氏を紹介。彼が競馬場招待券などをプレゼントすると大喜び。これで直ぐに我が局及び我がジャズ番組に好意を持ってもらえることとなり、後は順調に収録が進んだ。
 両親が音楽家だった関係でピアノを始め、キース・ジャレットなどに興味を抱き音楽大学のジャズ科に進み、学生中からプロとして働くようになり、今回もキースのオリジナルなども取り上げている。だが基本は自身のオリジナルで勝負したいと、美しいメロディーを持った自作で固めている。「ジャズのロマン派」等とも呼ばれているようだが、その美意識は相当なもので、テクニックもしっかりしており、ぼくもお勧めの一人として、皆様に推薦できる逸材です。

【今週の番組ゲスト:ピアニストの栗林すみれさん】
M1「Wild Tales-Opening-」
M2「Carillon Et Une Petite Eglise」
M3「Memories Of Tomorrow」
M4「Home Away From Home」
 
1月9日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.01/08 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.287~海野雅威】

 今や若手のジャズミュージシャンの多くが、本場アメリカの音楽大学~バークレー音楽大学などを出ており、それは男性プレーヤーだけでなく女性もそうした例が多い。例えばジャズピアノの世界でも、上原ひろみ、山中千尋、片岡真由子等など、ほとんどがバークレー出身で海外の音楽(ジャズ系)大学出身でないと通用しない...といった傾向すら見える、とも言えそうなほど。かつてはアメリカに渡ると言うのはかなり大変なことだったが、今は本場アメリカで学ぶことは、まずジャズプレーヤー&シンガーになる前提条件とも言えそうなのである。しかし本場でミュージシャン生活を続けていくというのは本当に大変なこと。その大変さを分かりつつ、またそのプレーを日本でも高く評価され、ミュージシャン生活も安定していながらも、本場NYでミュージシャンとして再挑戦を図る志の高いミュージシャンもいるのだ。そうした一人に、今やNY歴10年を超した実力派のピアニスト、海野雅威がいる。

 
海野くんは東京芸大出身の俊才。大学時代からジャズに目覚めたが、卒業後はぼくのクラブ仲間にして今やJ-ジャズの重鎮のベーシスト、チンさんこと鈴木良雄がその才を高く評価し、自身のコンボに抜擢、一躍注目を集めることになる。ぼくはチンから海野くんの素晴らしさを聞いており、大学を出たばかりのころのプレーも耳にしているが、その時に直ぐ「これはかなりな大物」といった印象を持った。その後08年には、今は亡き伊藤八十八氏のプロデュースでデビューアルバムを吹き込みこれも好評、ピアニストとしての地歩を固めた。しかしボスのチンさんや友人の中村健吾など、本場で経験を積んだ連中の話を聞くうちに、彼の中でNYに進出する夢が膨らみ、とうとう現地に渡ることにする。それからはその実力が徐々にNYのミュージシャン達からも認められるようになり、クラブギグ(仕事)やレコーディングなども増えて来て、どうにかNYでもやっていけるようになり、はや10年余り。

 
彼は毎年里帰りして国内ツアーなどもやっているが、時々近況報告をしに番組に遊びに来てくれる。今回もまた昨年11月のツアーに合わせて、自身のアルバムや彼がセッションメンバーで参加したアルバム、10数枚を引っ提げスタジオに登場、色々と彼のギグ状況、NYのジャズシーンなど面白い話を聞かせてくれた。ツアーには奥さんも同行しており彼女もスタジオに顔を見せてくれた。数年振りの登場だったが、相変わらず飄々、恬淡とした佇まいはかなり好感が持てるもので「厳しいですが、ようやくNYでも認められるようになりましたよ...」と嬉しそうに語ってくれた。たまたまディスクユニオンのごみ箱(CDボックス)漁りで、彼が入ったアルバムを見つけ買い求めた話をしたらば、このアルバムでしょうとバッグの中から取り出して来た。ベテランドラマーのリーダー作だが、メインは海野くんで、これがなかなかのアルバム。しかし「これはぼくのものでは無いので、今回は掛けませんよ」と宣言されてしまった。まあそれも良しであるし、彼が向こうで作ったアルバム(自費出版のものも数枚ある)もどれもその研鑽の成果を窺わせる、実に素晴らしいものばかりだった。
 
 
彼はこの収録が終了すると、その二日ほど後にまたNYに戻ってしまった(11月末)のだが、収録の次の日が亡き恩のある伊藤プロデューサーを偲ぶ追悼会。この話を知らされていなかった彼は大変に驚き、ぜひ参加したいと言うので、直ぐに発起人と連絡を取り参加OKとなった。更にその会で行われる大物達が集うジャズセッションにも、参加することも決まった。その会でのセッションで彼は生き々とピアノを奏で上げ、その実力を多くのジャズ関係者に再認識させた。会場で彼は奥さんと一緒にわざわざ僕のところに来て、「大変有難うございました」と挨拶してくれ、奥さんからも大感謝されてしまった。 番組出演が生んだまさに「瓢箪から駒」事件だったが、彼の演奏が好評だっただけに、ぼくも少しばかりいい気持でありました。海野君、これからもNYで頑張ってね!
【今週の番組ゲスト:NEW YORK在住のピアニスト 海野雅威(ただたか)さん(左)。右は海野さんの弟さんです】 
M1「Some Other Suite/海野雅威」
M2「Whele You Were Out/海野雅威」
M3「The Rabbit /EYAL VILNER Big Band」
M4「Amazing Grace / WINARD HARPAR」

1月2日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.01/01 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.286~2016年スタート】

 いよいよ新しい年の幕開け。個人的にはもうロートルと言える年令だけに、余り無理せずボチボチと愉しみつつ、1年間行こうと思っているが、ラグビー観戦、山行、温泉旅行、ハードボイルド小説探訪等々、お愉しみも少なくないので、ゆっくりとこなしていこうと思っている。それと今年は追分の山荘生活を、可能な限り伸ばしていきたいとも思っている。軽井沢ジャズフェスもどうやら街イベントとして定着しつつあり、今年は更なる発展を図るお手伝いもしないとならない。

 
さて一方で国の内外を見わたすと、問題山積の年になることは間違いない。昨年多くの人達の反対を押し切り、ごり押しした安保法案(戦争法案という意見もあり)の施行が迫り、世界に冠たる平和国家~日本の行く末も危うくなりつつある。平和ボケなどと言ったレッテルを押し付け、戦争への道を押し開きつつあるようにも見える安倍政治に、ノンを唱えるのは死んだ野坂氏や寂聴師と言った先輩達だけでなく、平和憲法のおかげで世の中を生き抜いて来た、ぼくたちロートル世代の使命でもある筈だと信じる。

 
まあ状況はかなりヤバイ方向に向かう危険性も充分だが、諸状況の文化(=音楽~ジャズ)の世界でも、変化は確実に起こりつつある。昨年終わりのジャズ番組や31日に放送したジャズ特番でも、ゲストの音楽評論家諸氏が述べていたように、従来のジャズという狭い枠組みは今や取り払われつつあり、ラップやヒップホップと言った若い黒人達の日常音楽をベースに、ジャズの要素もプラスした新たな黒人音楽(ニュージャズとでも呼ぶべきか...)が、一つの大きなムーブメントとして定着しつつあり、その波はもっと拡がり日本の若いファン達のハートをも捉えるようになりそうである。そしてまたワールドジャズとも言える、世界各地の独自性に根差したハイブリッドなジャズも、ある大きな動きになってくるに違いない。今やアメリカ以上に人種のるつぼともなりつつある、パリやアムステルダムといった欧州の大都市のゲットーから、予想も付かない新たなジャズ活動が始まるかも知れない。昨年もイスラエルや中東諸国、また旧バルカン諸国などから、若い生きのいい斬新な発想のミュージシャンが出現、新たなジャズ台頭の動きが認められたが、それらも巻き込みつつワールドワイドな形で、ジャズの変質・深化の動きが早まる様にも思えてならない。

 
このようにジャズはどんどん拡散の動きを速めるだろうが、されどまたジャズはジャズでもあり、その新たな音楽の核心部分でジャズはしっかりとした橋頭保を築いており、変質しながらもコアは不変だという構図になるのでは...とも思っているのだが。その答えの一部は番組でもお伝え出来る筈である。

 
さて新年第1回目の番組ゲストは、日本を代表するジャズ・ディーバのケイコ・リー。アルバムデビュー20周年を迎えた彼女、デビュー当時には2~3回番組に登場してくれていたのだが、今回はおよそ17年振りのお目見えである。20周年記念アルバム『Love XX』は、かつて吹き込んだナンバーに新たにストリングスなどを加え再編集したものに、今回新たに吹き込んだナンバーを加えた特別仕様。元々ピアニストとして出発、偶然歌っていた所を名古屋ジャズ界のボス、内田修医師に見出され、ジャズボーカリストに転向したという経歴の持ち主。それから20年余り、今やその歌の上手さは定評あるところで、実にスケール豊かな歌唱を聞かせる。「あの頃はまだ歌に自信が無かったかも知れないはね...」とスタジオに来た頃を懐かしがっていたが、その後の彼女は御立派の一言。今また拠点を故郷の名古屋に定め、東京に出てくることは余り無いため上京時は大忙し。今回も収録後すぐに移動し、ディナーショウの会場に移っていったが、今回のアルバムはぼくの古くからの友人、伊藤潔くん(名古屋のパン製造会社のお偉いさんにしてフリーのジャズ・プロデューサー)のプロデュース作品だとのこと。さすが伊藤くん。彼女の良さを全面的に引き出しており、彼女自身も大満足の様子。「伊藤くんにもよろしくね...」と伝えると、笑って返してくれた。いつまでも謙虚な大御所シンガーである。
【今週の番組ゲスト:ジャズボーカリストのケイコ・リーさん】

M1「AUTUMN LEAVES」
M2「THERE FROM "NEW YORK,NEW YORK"」
M3「I  LOOK TO YOU」
M4「I'M A FOOL TO YOU」

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