11月3日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018.11/02 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.434~ブラジルからのギタリスト】

 先日東京駅そばのジャズクラブ「コットンクラブ」に行ってきた。ブラジル出身の知る人ぞ知る名ギタリスト、ホメロ・ルバンボの来日公演があると聞き、これは聞き逃せないと思って駆け付けた次第。ホメロは現在はNY在住のはずで、ブラジルからのギタリストとはならないのだが、ダイアナ・クラールを始め多くの一流シンガーが、ボサノバなどのブラジル関連ナンバーを歌おうと思った時に、まず最初に思いつくのが彼の名前で、実際多くのシンガーとステージやアルバムなどでも共演、引く手数多のギタリストである。来日公演も数多い筈なのだが、残念ながらこれまで一度もそのステージに接したことが無い。時々ディスクユニオン等で中古アルバムを探る時に、ホメロの名前がクレジットされていると自ずと手が伸びてしまうと言う、外れアルバムの無い人でもある。 
 
 
ところでこのコラムをお読みになって頂いている方はお分かりと思うが、ぼくはまず第一義的にラテンジャズ愛好者なのだが、同じ楽園系中南米音楽として、ブラジルものもかなりな愛好家。その第一人者が来日とあるので、これは行かねばと思うのも必定。時々ラテン音楽とひとくくりにされてしまう関係からか、キューバやNYサルサ等のラテン系音楽とブラジリアンミュージックを、同じ一つのものに考えている向きも結構いるのだが、これは大間違い。中南米系にはこの他タンゴやレゲエも、それぞれアルゼンチンとジャマイカの音楽と言うことで混同されるのだが、これらとラテン&ブラジルものが違うのは分かっていても、ラテンとブラジルを同じジャンルと考えてしまう向きも決して少なくない様だ。しかしこの2つの音楽はまず言語そして根本のリズムなど全くの別物なのである。

 
そんな話はさて置いて、肝心のホメロなのだが、今回の来日ステージはピアノの俊才ピーター・マーチンとのデュオ共演。セントルイス出身のマーチンの方は、ジャズの登竜門「モンク・コンペティション」で準優勝した実力の持ち主で、ジョシア・レッドマンのバンドに加わったり、多くのシンガーの伴奏を務めるなど多方面で活躍しており、7年ほど前にはホワイトハウスに招かれ、あのオバマ大統領に自身の演奏を披露したと言う経歴の持ち主。この真の実力者同士のデュオだけに、内容はもう保証済みといった感じもあるのだが、如何せん2人とも地味過ぎる感も強い。それだけに観客の数がいささか心配と...「コットンクラブ」に出かけてみたら、案の定心配通りに客席はかなり空きが目立ったが、2人を愛するコアなファンも多い様だ。

 
ステージはブラジリアンミュージックの佳品を皮切りに、ピーターの生地、セントルイス出身の偉人、チャーリー・パーカーのバップ・チューン、ファンク・ナンバー、それに2人のオリジナルなど、実に守備範囲の広いレパートリーで、味わい豊かな滋味深い演奏が繰り広げられ愉しめた。特にホメロがエレキギターでファンクを演奏するのには少なからず驚かされたが、やはり何でもこなせる達人なのである。ピーターの方は確かニューオーリーンズでも活動していた筈で、日本デビュー作は「ニューオリーズーンズの新星登場」等と言う謳い文句だったと記憶しているが、「ニューオリーンズ―ハバナ」と言う彼のオリジナルは、この2都市即ちジャズとラテンジャズの融合に加え、更にホメロのブラジル要素も加わり、見事な中南米トライアングルミュージックが現出されていた。
 もう少し客席が埋まっていれば...などと余計な心配までしてしまったが、心に沁みる本当に良いコンサートでした。同行の女性はホメロのギターにいたく感激、彼の最新アルバム『サンパ』を買い求め、サインまでしてもらうことになり、更に感激の面持ち。いずれにせよ実に心地良い一晩でした。

【今週の番組ゲスト:四谷ジャズ喫茶イーグルの店主・後藤雅洋さんと、小学館「隔週刊CDつきマガジン」シリーズの編集長 小林慎一郎さん】

番組をお聴きの皆様の中から抽選で5名の方に、102日発売の「JAZZ絶対名曲コレクション」創刊号をプレゼントいたします。ご希望の方は、本ホームページ右側のお問い合わせフォームからご応募下さい! (お問い合わせ内容に「プレゼント希望」とお書きください)締め切りは1130日です。


シリーズ第4弾の「JAZZ 絶対名曲コレクション」の創刊号「JAZZ絶対名曲VERY BEST of BEST」第2号「ビートルズ ジャズ」から
M1Close to You / Ella Fitzgerald
M2My Favorite Things / Kenny Burrell
M3Come Together / akiko
M4Yesterday / Sarah Vaughan



10月27日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018.10/26 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.433~失った貴重盤が...】

 以前にもこのコラムで触れたと思うのだが、今ぼくは自宅と追分の山荘を合わせるとおよそ8000枚強のアルバム(CD+アナログ盤)を抱え込んでいる筈で、その4分の1ほどが追分で残りは自宅と言った配分。まあこれは少しも自慢できる話などでは無く、今時そんな無駄なものを...と言われそうだし、整理整頓が苦手でずぼらなだけにCDは積読(聴き)状態、部屋にCDが山積で家人からはいつでも捨てるからね...などと脅され続けている始末。実際のところ整理が良くないために、放送音源や書き物資料など音源資料が必要な時に限って見つからず、その都度CDショップに出かけ買い求めるなどと言う...、実に馬鹿げたことをしょっちゅうやっているのだ。それだけに自分の本当にお気に入りの50数枚は、別箱に保管する様にしているのだが、これも知り合いが訪ねて来た時などに軽い気持ちでその中から持ち出してしまい、そうすると殆ど手元に戻ってこない状態のアルバムも少なくない。
 そんな中の大事な1枚が、ソプラノサックスの創始者とも言えるシドニー・べシェの『ホエン・ソプラノ・ミーツ・ア・ピアノ』というアルバムで、べシェが1957年にパリで吹き込んだもの。タイトルのとおりフランスを代表するジャズピアニスト、マーシャル・ソラールと共演したもので、フランスの代表的レーベル「ヴォーグ」に収録されており、ぼくが持っていたのはその貴重なオリジナル盤。

 
これを手に入れたのは確か大学最後の年のはずで、知り合いの家でこのアルバムを聴かされ、当時はジョン・コルトレーンのソプラノサックスになじんでいたぼくとしては、時代を超越したその凄じいビブラートプレーに度肝を抜かれた思いがあり、知り合いに頼み込んで安く譲って貰った大事な1枚だった。しかし自慢げにこのアルバムを誰かに聴かせたのが運の尽き...、その誰かに貸し出しそのまま行方が分からなくなってしまったと言うトホホな事態。「ディスク・ユニオン」等の中古ショップに行く際は、結構べシェのこのアルバムを探してみるし、もしCD化されているならば...と探してみても当然見つからず、ぼくにとっての貴重な幻の1枚になってしまっていた。

 
それが全くひょんなことからこのアルバムのCDを見つけることが出来たのだ。ソプラノサックを吹くある新人のアルバム・ライナーノーツを頼まれべシェのことを調べていたら、なんとこのアルバムが今年の夏前に、モダンからクラシックジャズまでを網羅した20枚のIC(インナー・シティ)レーベル、「ジャズ・クラシック・シリーズ」の1枚として、日本でもひっそりと発売されていたのだった。これに気付くや欣喜雀躍状態で、一直線にCDショップに駆け込み珍しくも直ぐに正価で手に入れたのだった。家に持ち帰りアルバムジャケットを眺めると、ぼくの記憶とは大分異なりべシェとソラールの2人の顔を写した味気ないもの。まあこれも仕方ないだろうとアルバムをトレーに乗せてみると...。

 
といった所でべシェには関心ない...、というよりも彼の存在を知らないこのコラムの読者も多いはずなので、彼について簡単に紹介してみよう。ジャズの世界で初めてソプラノサックスを導入した巨匠であるのは当然で、ジャズ界ではあの天才サッチモ=ルイ・アームストロングと並ぶ、偉大なイノベーターにしてインプロバイザーとして高く評価される偉大な存在なのである。2人は同じジャズ都市、ニューオリーンズの出身で、年令はべシェの方が3才ほど年上。それがサッチモの方はジャズファン以外の誰でも知るようなビッグな存在なのに対し、べシェの方はジャズファンですら知らない...といった具合で、今では大きな差が付いてしまっている。これは全く残念なことなのだが、べシェもある時は日本でもかなりポピュラーな存在だったこともあるのだ。と言うのもJ-ポップスの元祖とも言われ、60年代には大人気を誇ったあの2人組デュオ姉妹、「ザ・ピーナツ」(なんだそれ...などと言われてしまうかも知れないが...)が唄って大ヒットした「小さな花~プティット・フルール」これの作曲者がシドニー・べシェで、この歌は世界的に大ヒットし一時はサッチモをも凌駕するほどだったのだ。彼は元々クラリネット奏者だったのだが、1920年代に欧州に楽団旅行に行った折ソプラノサックスと出会い、痛く気に入った彼はこれを主楽器にして大活躍。欧州好きでもあった彼は1950年にパリに移住、同地で「小さな花」の大ヒットをはじめ欧州中のジャズプレーヤーから敬愛を集め、その生涯を閉じることになった。享年62才。

 そんなジャズの歴史とともに歩いて来た巨匠でもある彼が、パリで、フランスのモダンジャズプレーヤーと共演したのがこのアルバム。そのモダンさに驚かされる1枚でもあるのだが、長いこと聴いていなかったのでぼくの勘違いも多く、てっきりこれはべシェとソラールとのデュオアルバムと思い込んでいたのだが、れっきとした彼とソラールトリオとの共演作。収録曲のうち丁度半分がソラール(p)ピエール・ミシュロ(b)、ケニー・クラーク(ds)といった、超一流のモダンジャズメンとの共演で、やはりかなりなモダンさ。しかし思っていたほどには迫力が無く、こんなものか...といささか気抜けしたのも事実。内容は素晴らしいのだがぼくの長年の想い入れが凄いだけに、いささか評価が下がってしまったのは当方の勝手な所。今はすぐに手に入る秀作アルバムなので、シドニー・べシェと言う大巨匠の豪快な技、是非堪能して欲しいものです。
 

【今週の番組ゲスト:ジャズ・トーク 音楽評論家の青木和富先生】
「ジャズオーケストラの歴史」についてお話し頂きました。
M1「The Mooche  /  Duke Ellington」
M2「Sing Sing Sing / Benny Goodman」
M3「The Champ / Dizzy Gillespie」
M4「Rat Race / Count Basie」
M5「Gonna Fly Now (Theme from Rocky) / Maynard Ferguson」
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10月20日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018.10/19 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.432~タモリのことなど】

  久々にタモリこと森田一義君と愉しく話を交わした。彼とは年に1~2度、業界関連のパーティや葬式などの場で顔を合わせる位で、その時で軽く挨拶はするが話をすることも殆ど無い。それが先日久し振りに彼にインタビューをする羽目になり、その後にも少しばかり話をしたのだった。そのインタビューは早稲田大時代のジャズ研OB会の開始前に行ったもの。場所は新橋にある有名ジャズクラブ「ベルズ・グリル&ジャズ(旧コットンクラブ)」の地下にある出演者控室。インタビューはこの暮れに放送される予定の1時間のジャズ特番「テイスト・オブ・ジャズ・スペシャル~新宿J物語」関連のもの。今年40周年を迎える我らが老舗ジャズクラブ「J」の周年記念の特番で、ぼくの同期(因みにタモリは1学年下)でもあるマスターの幸田「バードマン」稔くんと「J」について、お店に関係ある各界の有名人のインタビューや幸田君関連のジャズ音源などを挟み込み、幸田君のモノローグをメインにまとめてみる予定の1時間ジャズ特番である。そうなると店の宣伝部長(?)でもあるタモリは、必然的に登場してもらわないと番組は成立しない。ただ彼に番組出演依頼をするのは数年振り。と言うことでいつもはほとんど顔を出さないOB会にも開始前から顔を出し、会長などにも嫌味を言われつつこちらも久々のタモリインタビューでいささか緊張気味。

 
これは余り知られていない事実だし、当のタモちゃん自身ももう忘れているかも知れないのだが、彼の放送初登場は我がラジオNIKKEI(当時はラジオたんぱ)の番組。当時人気・実力共にトップを誇っていたピアニスト、数年前に亡くなってしまった中村紘子さんのインタビュー役としての登場だった。あの頃ラジオたんぱはどういう訳かクラシックコンサートを毎年正月に実施、その中心人物が中村紘子さん。その彼女をヨイショするための番組だったが、先輩ディレクターから局アナウンサーではなく誰かいいインタビューアーは...と頼まれ、直ぐに思いついたのが、一部でその特異芸(5か国麻雀等々)が評判になりつつあり、かみさんと共に上京したての幻芸人こと森田一義君の存在だった。
 大学時代の彼は「泣きのトランぺッター」として知られていた(5人ほどいる同期トランペッターの実力最下位だったので、この名称が付いたとも言われる)が、子供の頃からピアノを習っていて結構な腕前とも聞いていたので、持ち前の図々しさで何となくこなしてしまうのでは...ということで推薦したのだが、これが全くのハズレ。当時の女王ピアニストの前では、借りてきた猫的存在で全く駄目。先輩からはどうしてあんなのを...と叱責されるし、タモリ自身からも「すいませんでした、なにも出来なくて...」と謝られる次第。まあこれも無理からぬところで、福岡(当時は大分ゴルフ支配人の筈だが...)から上京したばかりで、新宿の「ジャックと豆の木」と言う裏酒場で山下洋輔一派などに持て囃されても、大ピアニストの前では一お上りさん同然で完全に上がってしまうのも無理からぬ所。
 この数週間ほど後に、同輩の岡崎正道ディレクター担当の「オールナイトニッポン」にゲスト登場、ここでのアドリブ満載のしゃべりと闇芸で一躍人気沸騰、お笑いビッグ3に迄上り詰めることになるのである。「オールナイトニッポン」と言えば、タモリと同期の人気絶頂ギタリスト、増尾好秋くんがNYから戻ってきてタモリの番組にゲスト登場した時、夜中に突然telして寝起きを襲うという人気企画があり、これに同業者だから何をしても...という理由だけで駆り出されたのがかく言う小生。TELがあるという話だけで一向に着信が無く、うとうとしていると約束の30分ほど後にtelがなり、寝ぼけ声を作り相手がタモリと増尾だとは分からないふりをして、2人におちょくられるというトホホな役割を演じたこともあった。今となっては結構良き想い出ではあるのだが...。


 まあそんな話はさておき、この中村紘子のインタビューが縁となり、その後一躍有名人になったタモリに、松下電器提供の(世界の放送局を聴くという)当時の大ブーム=BCL番組のメインをお願い、これは7年ほど継続し大好評の番組だった。また正月特番としては3年連続で、赤塚不二夫、山下洋輔、研ナオコ、ツービート(北野武先生)など豪華共演陣が登場する、3時間になんなんとする阿鼻叫喚の狂い咲き面白番組を制作したりもしたものだった。
 
 
そんな結構関係の深いタモリ先生だが、その後は余り番組での付き合いも無くなってしまって久々の声掛け。TELでインタビューを頼むと「申し訳ないですが、それは事務所の方を通して...」と軽くいなされてしまう。ということでダメ元で怖い存在の田辺エージェンシーの担当のマネージャーにtelすると幸運なことに以前仕事をしたことのある人で、直ぐに便宜を図ってくれ今回のインタビューが成立したという次第。タモリのマネージャーと言えば一番親しかったのが、ドンの昭知社長からも信頼厚く最後は常務にもなった筈の故M君。4代目のジャーマネだった彼は大分前に心臓の病気で仕事中に突然死してしまったのだが、年下の彼はなぜか色々と良くしてくれて(田辺に入った時からの知り合い)制作費の無い局事情も良く知っており「小西さんからの頼みならば...」と持ち上げてくれる。それに甘えて色々と無理も頼んだものだが、それももう大分いにしえの話である。
 件のOB会では主役格のタモリは、久々にかくし芸を披露。でたらめ「イパネマの娘」は流石タモリと言う鬼気迫る圧巻の出来栄え。タケちゃんもさんまもそして当然今の売れ筋芸人の誰もが出来ない珠玉にして圧巻の芸。バックはこれも鬼才ピアニストの清水くるみ。前衛ピアノとタモリのでたらめながらも迫力充分なボサノバ・スキャット。いやー久々に愉しませて頂きました。会場はやんやの喝采で、ジャズには肥えた耳の皆さんもしばし唖然とする、芸人タモリの真骨頂披露の瞬間でした。このタモリの面白経験談が聴けるジャズ特番「新宿J物語」期待してください。放送日時は決定次第このコラムでお知らせします。

【今週の番組ゲスト:NY在住のボーカリストでコンポーザーの須田宏美さん】
4thアルバム「GIFT」、3rdアルバム「Nagi」
M1「GIFT」
M2「Hajimari」
M3「Nagi」
M4「Both Sides Now」





10月13日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018.10/12 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.431~横浜ジャズ】

 10月の連休は横浜にいた。そう横浜で開催されたジャズフェス「横浜ジャズ・プロムナード」鑑賞である。今年で25周年を迎え、国内最大にして最高の出演者・入場者を誇るこの一大イベント。ぼくは第一回目以降、結構小まめに通っている口で、20回以上は参加している筈である。25年前の初回はかなりフェスも意欲的だった感があり、それこそ横浜中のホールでジャズが聴かれた。あの港の見える丘にあるクラシカルなホールから横浜駅直ぐ近くのホール迄、横浜の町を端から端まで駆けずり回らないとならないので、実に疲労困憊だった感があったが、最近ではメインの開港記念館(事務局もここに設置されている)の周辺会場がほとんど。それでも移動が結構大変なのは今も変わらない所で、その移動の大変さも含めてがこの「横浜ジャズ・プロムナード」の愉しみ方。ただ今回25回目のジャズフェスは、これまでこのフェスの象徴的立場にあった横浜球場代表でジャズクラブ「バー・バー・バー」のオーナーでもある鶴岡博氏が昨年暮れに急逝、ハマの財界の重鎮でスポンサー獲得などにも力のあった鶴岡氏の急逝で、フェス存続にも色々と支障が出てきたとも聞き、そんな中での開催、色々と心配もしたのだが、どうにか無事に運営された様で目出度し々でもある。

 
さて今回は10月6日(土)7日(日)の2日間の開催だったが、ぼくが行けたのは初日の土曜日の方。プログラムとしての面白さは外来ミュージシャンも多数登当日した日曜日の方だった。このフェスでのホール公演は、横浜ランドマークホールなどの大会場を含め全部で7つほど。その他街中にあるライブハウスや路上ライブも各所で行われており、それらを全て数えたらかなりな数になり正に、日本最大のジャズフェスと言う謳い文句に偽りなしの感じ。

 
フェス当日はJR横浜関内の駅で降り、事務局のある開港記念館迄徒歩で15分弱、事務局のスタッフに挨拶してパスをもらい、まずその記念館ホールでドラマーの芳垣安洋率いる「オルケスタ・リブレ」のステージを鑑賞。ジャンルを超えて様々な音楽を演奏するこのラージアンサンブルには、山下洋輔の直弟子のピアニスト、スガダイローと男性タップダンサーもゲストに加わり、今回はエリントン・ナンバーをメインに、にぎにぎしくも華麗なステージを展開。ヨーロッパ各地のジャズフェスでも大好評だというのも頷ける、先鋭的にして知的でエンターテインメント性も加味した、面白激烈な演奏で観客を魅了してくれた。
 続いてどこに行こうかとプログラムを見るとサックスの厚ちゃんこと峰厚介が、若手リズムセクションを率いた自身のカルテットで、横浜赤レンガ倉庫ステージに登場とあり、結構歩くと時間がかかるのだが顔繫ぎに出向くことにした。厚ちゃんのユニットは、ピアノの清水絵理子以下若手を代表する面々が揃っており、それに相応しい力演を展開、リーダーもベテランらしいかなり張り切った演奏振りだが、全盛時の彼を知る身からすると、やはり今イチ物足りない感は否めない。まあぼくより少し年下の彼だけに力感が薄れているのは仕方ない所。彼はこのほど7年振りのレコーディングを行い、この秋以降その新作が出るとのことだが、それが発表されたならば久しぶりにスタジオに...などと考えながら会場を後にした。
 続いてはNHKの横浜放送局スタジオにタクシーで向かう。ここでは横浜ジャズ界のボス、柴田浩一氏がライブ演奏を含めた生放送をオンエアー中。そこへ押しかけ今回同行している女流マリンバ奏者の北沢恵美子嬢を紹介、エディイ・ゴメスと共演した彼女のアルバムを番組で紹介してもらうように頼む、ボランティアプロモーション活動を行う。会場は無料でジャズライブが聴けるとあって超満員。生放送の合間をぬって彼女を柴田氏に紹介、アルバムもなるべく番組で取り上げて貰うように約束を取り付ける。やれやれである。

 
一仕事を済ませた後は2つばかりジャズライブを廻り、桜木町駅裏の野毛町きっての居酒屋「叶屋」へと場所を移し一杯。この叶屋はなんと先日、惜しくも亡くなってしまった女優、樹木希林さんの実家。野毛の歓楽街のど真ん中にある旧居酒屋、彼女も月に1、2度は訪れていたとも言われているが、彼女の死亡のニュースを受け、店は追悼を兼ね満杯かと思いきやそうでもなかった。希林さんと言えば彼女が未だ前の芸名、悠木千穂を名乗っていた時に、ただ一度だけだがぼくの演出したラジオドラマに出てもらったことがあり、その時も確かかなりな老け役だったが、実に的確な演技で恐れ入った思い出がある。惜しい人を亡くしたとの思いを込めつつ、女流マリンバ奏者と共に焼酎の水割りで献杯した。 

【今週の番組ゲスト:ピアニストの太田寛二さん】
8月にリリースされた4枚目のアルバム『A Day in New York』をご紹介頂きました。

M1
Well You Needn't
M2Brooklyn Bridge
M3Deep in a Dream
M4Tricotism





10月6日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018.10/05 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.430~台湾少数民族シンガー陳健年】

 今年の秋もまた台日友好を目指す台湾特番を11月23日に放送、その取材の為に11月の初めには台湾に行かなくてはならないが、予算の関係もあって1泊2日、早朝から深夜までと言うこれまでで最も過酷な取材旅行になりそうで、オールドボーイと自称しているが単なるチャンじい(爺さん)のぼくが果たしてその過酷さに耐えられるか、今から大分心配なのである。
 今回のメインテーマは台湾第3の都市で、今や最も成長率が高いとも言われる台中市で開催される、花のエキスポ「国際花博」を紹介すること。この花博は11月初めから来年4月までの長期間開催される規模の大きなもの。7年程前に台北市で開かれた「台北花博」を凌ぐ規模のものとも言われる。台北花博は以前にぼくらも取材したのだが、仲々に華麗で豪華な花フェスティバルだった。今回はそれ以上と言うから期待大なのだが、如何せん例年以上に金と時間(ぼくには時間だけはあるが、他のスタッフはきゅうきゅうのスケジュールをこなす)の無い、ウルトラ貧乏取材旅行だけに、果たして体が持つのか...。

 
さてこの台湾特番。今回取り上げるもう一つが、最近増えつつある日本各地での台湾紹介イベント。その中でも規模の大きいのが、今年から始まった台湾政府も全面後援している「台湾プラス(+)」。去る9月22・23日、連休の2日間に上野の噴水広場特設会場で行われたイベント。文化と食の祭典と謳われ今までには余り無い台湾カルチャーに焦点を当てたもの。この独自視点のイベント、記者会見などもかなり大掛かりに行われて取材にも行ってきたのだが、その目玉の一つが台湾少数民族出身の個性派シンガーソングライター(SSW)達が、7人程メインステージに登場すること。彼ら彼女達は日本では全く無名な存在だが、台湾のレコード大賞とも言うべき金曲賞の受賞者達で実力者揃い。その中心になるのが、台湾東海岸南部の都市、台東市出身のピュマ族のSSW、陳健年(チャン・チン・ニュイ)である。彼は長いこと台東市で警察官をしながらSSWとしても活動を続け、2000年に金曲賞を初めて獲得、その後も少数民族シンガーの代表格として活動を展開し続けている。アイヌ民族のシンガーがレコード大賞を...などと言うのは殆ど考えられないが、台湾では少数民族のシンガー達もかなりな活躍を見せているのだ。

 ぼくは台湾の人の名前を余り覚えられないので、初め陳さんと聞いてもどこかで目にしたような...、と言うぐらいではっきりと分からなかったのだが、先日の記者会見の時に渡された資料に彼の代表作は『海洋』とあり、あの素晴らしいシンガーか...と初めて気付くと言うトホホな思いだった。陳さんのこの金曲賞受賞のアルバムをぼくが知ったのは、彼が賞を取った翌年ぐらいのことで、もう10数年前のことになる。当時通訳兼現地コーディネイターを頼んでいた若い女性(当時はまだそうした女性を雇う余裕があったのだ)、彼女が日本に帰る空港の待合室で、ぼくに「素晴らしいシンガーがいるから是非聞いて欲しい」とそっと手渡してくれたのが『海洋』だった。帰国して聞いてみると確かに日本のシンガーには無い、海洋民族色と嫋やかな地域・土着色が混じり合った素晴らしい作品。直ぐにファンになってしまい、以降何回か台湾特番でこのアルバムを使わせてもらったりもした。そして知り合いのレコード会社のワールドミュージック担当者に、日本で出すことを薦めたのだが、作品は素晴らしいが台湾及び少数民族と言うことで殆どが首を縦には振らなかった。残念なことである。

 
そんな彼が日本にライブで来る。記者会見の後で彼にインタビューしたが実にシャイな人で、余り言いたいことも...ということだったが、彼のアルバムを大いに気に入ってレコード会社にも勧めた話をすると大感激。彼の描いた漫画風な絵葉書にサインまでしてくれた。数年前に警官の仕事は辞めて今はSSWの仕事一本だが、拠点は相変わらず風光明媚でピュマ族の本拠地でもある台東市。世界のどこにライブ活動で行っても故郷が一番だという。この前の北海道地震の被害にも心を痛めており、「北海道」と言う歌も作って支援しているのだとも言う。そこには「北海道、そこは友達、アイヌの人達の土地。会うと何時も親しく交わる...」等と、同じ少数民族のアイヌの人達へのシンパシーが、良く通る澄み切った歌声で唄われており、感動的でもある。代表作『海洋』は台東の海岸の波打ち際の波音で始まり、彼の歌へと導かれていく。その波音から歌への導入も素晴らしい。上野のイベント会場では特設ブースでアルバム発売もしており、かなり売れ行きも良いようだったが、実際にこのアルバムを手に入れるのはなかなか難しいかも知れない。そこで特番ではこの「海洋」も彼の話と共にたっぷりと紹介するつもりである。乞うご期待といった所だ。

【今週の番組ゲスト:シンガーソングライターの三輪知可さん】
最新アルバムの「PIECES OF LIFE」、去年リリースの「SEVEN STORIES」から
M1「Rhodes hip!」
M2「Oceano」
M3「鼓動」
M4「ヒーロー」