8月17日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.08/16 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.475~追分通信19-②~世界最長の物語を書いた人】

 前回の追分通信で追分の御影用水のはぐれ鴨について記した。ここ数年3羽いた筈のはぐれ鴨(たぶん親子)の群れだが、その内の2羽はどこかにいなくなってしまったと地元の方の話だったが、先日鴨の根城である御影用水の入口(細い水路が用水として拡張される場所)付近に行ってみると、なんと10数羽の鴨が群れているではないか...。そしてその下流にも8羽ほど...。いやー久しぶりにこんな数の鴨達を見た。その中ではぐれ親鴨は、ただ一羽悠然と泳いでいた。これを見てホッと一安心。


 さて追分山荘での愉しみの一つが、軽井沢など近隣図書館から借りまくった10数冊の本を読み漁ること。山荘にはTVが無い為、これが実にスムースに読み進められる。その中で特に印象に残った一冊が、早川書房からつい最近出された「栗本薫と中島梓」と言うノンフィクション。里中高志と言う40代前半のフリージャーナリストが書いたもので、彼は栗本=中島の早稲田大文学部の後輩にあたる。「世界最長の物語を書いた人」と言うサブタイトルの付いたこの本は、栗本薫=中島梓没後10周年、不朽のヒーローファンタジー「グイン・サーガ」誕生40周年の記念出版本で、版元は当然「グイーン・サーガ」全130巻と外伝22巻と言う、気の遠くなるような長編サーガ(伝奇物語)を出し続けている早川書房と言うことになるが、この「グイン・サーガ」は彼女のお弟子さん達によって現在もまだ続行中なのである。


 まあどうしてぼくがこのノンフィクションを...となるのだが、このコラムでも大分以前に記したが、中島梓(栗本薫)とは数年間ほどラジオ特番を通し、結構親しい関係にあったからに他ならない。良く知られる(?)様に、彼女は「文学の輪郭」と言う評論で群像新人文学賞を獲得、評論での新人賞は珍しいと言うこともあって、中島梓は当時一寸した時の人でもあった。この数年後「ぼくらの時代」と言う推理小説を、栗本薫と言うペンネームで発表し江戸川乱歩賞を受賞、以降世界でも最長・最多の小説を書く稀有な小説家へと変貌を遂げる訳なのである。

 
ところでこの群像新人文学賞は、前年が村上龍、2年後に村上春樹と言う日本の戦後文学の概念をひっくり返すような、若手の双璧=両村上が颯爽と登場した文学賞なのだが、特に評論と言う分野で新人がクローズアップされることは珍しかった。その当時ぼくは紀伊國屋書店が提供する、ラジオたんぱにしては珍しい高等カルチャー番組を、高平哲郎氏を起用して制作していたのだ。そのゲストにまさにぴったりの存在と言うことで、早速「群像」編集部を通して彼女にアプローチ、その話題の評論を読むことも無く、彼女に出演依頼し、快諾してもらった。局の打ち合わせ室で初めて会った彼女は、結構インタビュー慣れした小生意気な女性だったが、ぼくが早稲田の先輩で「ジャズ研」上がりだと知り話が弾み、自身が「ハモソ(ハーモニカ・ソサイエティーの略)」でピアノを担当していだと言うことを、恥ずかしそうに打ち明けた。ハーモニカ中心のこのアンサンブルサークルは結構歴史のある音楽サークルで、確かハイソ(ハイソサエティー・オーケストラ)と音楽長屋で同室の筈だが、音楽素人も多く他の音楽サークルからは、一段格下に見られる所もあったので、彼女もやや卑下した感もあったのかもしれない。だが肝心の文学論になると激しく、鋭く、噂通りの才媛と言った感じで凄い女性だと認識させてくれた。 

 
新聞のインタビューなどは多かったが、大好きなラジオから依頼があったのは初めて、その上音楽長屋の先輩にもあたり、これからは「どんな依頼でも、小西さんに頼まれれば...」等とうれしい事も言ってくれる。そんなこともあり、くだんの文芸番組をはじめ、4~5年位の間ちょくちょく特別番組に登場してもらった。特に若者の政治意識を探る...(「明るい選挙推進協会」と言う選挙啓発団体が主催で、当時は当然政治にも先鋭的な関心を持つ若者が多かった)などと言う、1時間特番(大きなスタジオに30名ほど学生や若い社会人が入り議論する)では、進行役のアナウンサーでは議論に収集かつかなくなり、ほとほと困り果てていた時に、彼女が一言絶妙な助け舟を出してくれ、どうにか一件落着などと言うこともあった。
 その彼女との最後の仕事は、確か彼女と糸井重里の2人にスポットを当てた3時間を超える特番で、伝説の四谷の酒場「ホワイト」で中島~糸井のメイン収録をしたことは今や懐かしい想い出。京成線の青砥にある彼女の自宅にも打ち合わせで何回か訪れたこともあった。しかしその後ぼくが制作現場から、一時離れてしまったこと、また彼女も売れっ子になり連絡を取ることも無く長い時間が過ぎてしまった。その間にも世界に冠たる壮大なファンタジー「グイン・サーガ」を愛読したり、また彼女の略奪愛(結局その相手と結婚する)などが週刊誌のゴシップ欄を賑わせたりしたのを横目で眺め、彼女も大変だなーなどと嘆息していたりもした。


 仕事を共にしたころから彼女の才は図抜けたもので、ぼくなんぞはただ従うと言った感じだったが、小説も扱う題材がSFから恋愛もの、ハードボイルド、歴史物などまさに何でもこなす多彩さ。中でも男性どうしの同性愛を描いた一連の小説(ぼくは一つも読んでいないが)は彼女独自のもの。その上芝居の脚本・演出やオペラ&ミュージカルの演出、更に和もの音曲(三味線、長唄、日本舞踊など、どれも名取のはず)にも通じるなど、まさに天才の名にふさわしい活躍振りだったが、文壇からは異端の存在ともみられがちで、マスコミもまた同じような扱いだったのは、この不世出の女傑に対して本当に残念なこと。


 そんな彼女も晩年は癌でかなりな闘病生活をしいられたが、闘病中でも執筆活動と同時に、ジャズピアノにも目覚め、東大の原子力工学出身と言う異色のインテリピアニスト、嶋津健一に師事し(彼はスタジオにも数回登場している)、銀座のジャズクラブなどで定期的にライブもこなし、ジャズアルバムも発表したりもしていた。そんな話をある知り合いから聞き、是非我が「テイスト・オブ・ジャズ」にも...と、連絡を取ってみたが返答なし。余り病が芳しくなかった時だったかも知れないが、彼女とはそれっきりになってしまい、もう再び会うことも適わなかった。2009年5月26日に彼女は亡くなってしまい、ぼくは新聞のニュースでその訃報を知ったのだった。享年56才。


 里中のノンフィクションからは、この天才の色々な姿が浮かび上がり、デビュー直後の彼女を知るだけに感慨深いものも多く、特にその本名が山田純代だったとははじめて知った。そんな彼女の追悼会では、嶋津を始め水上まり(ボーカル)加藤真一(ベース)など、ぼくのジャズ知り合いも多数追悼演奏を行ったとある。
私はと言えば天性のストーリー・テラーであった。私の頭の中に浮かんでくる、ありとあらゆる壮大なドラマの万華鏡に、私の頭と手が追い付かなかった」(中島梓) 
 本を読み終え久しぶりに嶋津氏のトリオ佳品『ザ・コンポーザーズ』を聴いてみたくなった。知的なコントロールの効いたグッドアルバムなのだが、残念ながら追分の山荘には見付からない。まあこれも運命か...。

【今週の番組ゲスト:東京ジャズ事務局の前川樹里さん】 
 
今年も東京ジャズ近づいてきました!第18回東京ジャズフェスティバル。NHKホールを中心に、渋谷〜代々木公園周辺で830日(金)〜91日(日)開催されます。
今年の特徴は、NHKホールでの4ステージは、レジェンドと話題のアーティストを組み合わせたこと...だそうです!91日の昼公演は、なんと、あのカマシ・ワシントンと、チャールス・ロイド

M1Fists of Fury / Kamasi Washington
M2Passin' Through / Charles Lloyd
M3Love Hurts / Julian Lage
M4Sunday /  Wojtek Mazolewski


8月10日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.08/09 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.474~追分通信19-①】

 ようやく8月に入って山荘に来ることが出来た。例年7月半ばには...などと考えていても、結局は7月末の「軽井沢ジャズフェス」に間に合うころに追分山荘へ...と言うのがこの所続いていたのだが、今年はその「軽井沢ジャズフェス」も完全にアウト、構成・演出の高平哲郎氏などに文句の一つも言われそうだが、何せ「台湾特番」のオンエアーが例年より1か月以上遅い8月12日。それだけにその取材、収録、編集など作業が山積み、どうにか7月中にそれ等を終えて8月の頭からこちらに来ることが出来たと言うトホホな次第。
 まあいろいろあったので、今年は初めて長距離バスで追分入りを...と、立川から千曲バスの長距離バスで朝早く軽井沢に向かう。このバスが出来た頃は2、3回帰京時に利用したことがあったが最近は皆無。新幹線に比べると時間は倍近くかかるのだが、魅力は何と言ってもその安さ。追分の外れで下車できるのも利点なのだが,新幹線で軽井沢駅で降りてもその後しなの鉄道(御代田駅ないし追分駅)とタクシー利用で2千円以上かかってしまい、トータルでは鉄道と長距離バスでは5千円近くも差が付いてしまう。そうなるとしがないチャンジー(爺さん)年金生活者には、どちらを選択するかは歴然のこと。今は前と違ってバスもかなり乗り心地も良く、少し時間がかかる点を別にすれば(急ぐ旅でもないので...)、もう言うこと無し。ただ一つ落とし穴は、追分のバス降車場が予想に反し街から大分離れた所で、重い荷物を持ってかなり歩かねばならなかったこと。これにはいささか応えたが、それもまあいい運動ではある。

 
バス停から追分の街を超え、30分ぐらい歩きようやく御影用水に到着。あの3羽のはぐれ鴨達が気になって用水を覗いてみると、餌やりをしている若いご婦人がいる。ただし鴨は飛べない親鴨だけで他のは姿なし。彼女に他の鴨はどうしたんですかね...と尋ねると、数か月前から姿を見ないと言う。「どこかに行ってしまったか...、野犬にでも...」とかなり寂しい答え。用水改修前にいた3羽がいずれも野犬などに...と言う悲しい前例を思い出したが、いかんせんそれも詮無いこと。ただ飛べない親鴨の長命を祈るだけで、こちらにいる間はその無事を...毎日見守ろうとも思う。 
 
山荘に到着した翌日は図書館通い。軽井沢、御代田、小諸の3つの図書館を巡り、10数冊を借りまくり、長い休暇に備え準備万端。果たしてこの中で何冊読み切れるか...、当コラム「追分通信」の最後で何冊読めたかとその読後感想を記してみたいとも思う。乞うご期待!

 
ところで中軽井沢の図書館(しなの鉄道の中軽井沢駅に併設)に行った帰り、少し中軽の街を歩いてみると、中国語が飛び駈っているではないか...。軽井沢の人気アウトレット周辺に、中国系の人達が群がるのは少しばかり理解出来るのだが、今や結構到着に不便になってしまった、中軽井沢まで中国系の人で溢れる()とはいささか驚きでもあった。これらの人達は、殆どが大陸系の人達だと思われるが、台湾の人でも軽井沢に憧れ是非行きたい...と言う人が結構多く、かつて驚かされたものだったが、それが大陸にまで伝搬したのか...と感ずるところも多かった。しかし彼らは一家での旅行が多い様で、老人から幼児まで一家族6~7人。遠慮なく良くしゃべりいささかうるさいが、その活力たるや凄まじい。このままだとこのリゾート避暑地も大陸の人達に占領されてしまうのか...などと要らぬ心配までしてしまう程。

 
まあそれはさておき、この時期追分~軽井沢も涼しいとは言い切れないが、決して暑くは無い。木々を吹き渡る涼風も心地良く、やはり山荘生活は言うこと無し。そろそろ年令も考え、こちらを生活の拠点にしてもなどと勧められるが...、色々と悩ましい所でもある。

【今週の番組ゲスト:今年音楽生活50周年を迎えた
日本を代表するジャズベーシスト チンさんこと鈴木良雄さん】

50周年記念アルバム「BASS TALK」の『Beyond The Forest』から
M1「The Kite「鳶) 」
M2「Monet」
M3「筏衆(Ikadashu)」
M4「Cheers」











 

8月3日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.08/02 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.473~ライブ三昧】

 日頃は出不精のぼくだが、このところ2週続けてライブに足を運んだ。一つは「ブルーノート東京」で行われたアフリカナイジェリア関連のコテコテ・アフロビート・ミュージック。もう一つは東京駅そばの「コットンクラブ」で行われた、カリビアンフュージョンジャズとも言えるスティール・パン・ミュージック。どちらもド(純生)ジャズとは大分趣きを異にするものだが、ジャージーなテイスト一杯の愉しめるグッドライブだった。

 
まずアフロミュージックの方は、ナイジェリアが産んだ伝説のカリスマミュージシャン、フェラ・クティの数多くの息子の一人、ショーン・クティの率いる「エジプト80」のライブで、ショーンはサックスとキーボード、そしてメインボーカルを担当、都市感覚と土俗的香りが入り混じった、迫力溢れるステージで魅せた。もう一つはカリブの小国、トリニダードトバコの素朴な民族楽器、スティールパン(ドラム缶を改造した楽器)をジャズ楽器にまで進化させた白人イノベーター、アンディー・ナレルのカリビアン多国籍ユニットの演奏。この両者は力感と優雅さ...と言った意味合いで、対照的なステージだったが、ともに面白さ満杯のものだった。

 ショーン・クティをリーダーとする「エジプト80」は、ギターが2人にパーカッション陣が4人とホーン陣も4人、更に2名の女性ダンサーも加わり、全部で14名編成と言う大所帯。それがジェームス・ブラウン並みにシャウトし、踊りまくるのだから、その迫力たるや凄まじいもの。特に2人の女性ダンサーのアフリカ中部ならではの、全身を揺らして踊りまくる様は、強烈にして官能的、見所充分なものだった。親父のフェラはかなりなメッセージ性の強い土俗的なアフリカンミュージックを聞かせ、それゆえ当時のナイジェリア政府から睨まれ、投獄されたり自宅軟禁などと、音楽&政治行動を強く制約されたものだったが、息子の代になるとそうした反体制的姿勢は皆無。ただひたすらに快楽・享楽を求め続けると言った感じで、そこら辺が親父を知るだけにいささか物足りなかったが、そのエネルギー全開のステージは、聴き所満載。

 一方アンディー・ナレルの方は、実に30年以上になる久々のご対面。30代の頃は彼のアルバムにぞっこんで、来日コンサートにも良く足を運んだものだったが、この所はさっぱりその存在すら忘れてしまっていた。それがある雑誌のライブ告知でその来日を知り、コットンクラブの広報部の知り合いに、無理を言って入れてもらっての対面だった。手元の資料を見ると、彼の初リーダー作は1979年。この頃から彼のアルバムは本当に良く聴いたものだが、最近までに15枚以上のアルバムをリリースしているとのこと。昔に比べ大分老けたのは仕方ないが、その音楽は昔と同様に若々しく光り輝いていた。メンバーも彼のスティール・パンにキューバ出身の女性ピアニスト、ジャニセット・マクファーリン、更にベースとドラムはカリブ海の小国出身と汎カリブ色の強いメンバー構成だが、実に気持ち良いカリビアンフュージョンミュージックが展開され、優雅な楽園気分に浸れた。ナレル健在なりと言った感じも強く、ピアノのジャニセットもラテンジャズの優雅さを巧みに醸し出し、聴くものを心地よく酔わせる。ショーンは熱く烈しく、アンディーは優雅に心地良く、聴くものを酔わせてくれ、両方とも実に愉しい一時を過ごさせてくれた。


 夏にはやはりラテン、カリブ、そしてアフリカ等々、こうした地域の音楽~楽園系ワールドミュージックが最もぴったりと来るようだ。皆様もお一つどうですか...


【今週の番組ゲスト:今注目のレーベル『Days of Delight
プロデューサーの平野暁臣さんとレーベルディレクターの行達也さん】
M1「Black Eyes / 土岐英史『Black Eyes』から」
M
2「Bamboo Grove / 峰厚介『Bamboo Grove』から」
M3「Friends / 鈴木良雄  『Days of Delight Compilation Album -疾走-』から」
M4「Attractive Vamp / Days of Delight Quintet『1969』から」

7月27日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.07/26 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.472~ラージアンサンブル】

 モダンジャズの時代になってすでに70年以上。ちょうど今話題を集めているNHKの朝ドラ「なつぞら」。この連ドラも佳境を迎え(主演の広瀬すずがご贔屓なので久々に毎日見続けている)、今週は主役のなつが十勝の牧場で共に育った同い年の北大生、夕美子が駆け落ちして新宿の居酒屋にやって来るシーン。駆け落ち相手の青年はなんとジャズ評論家を目指しているのだそうで、彼のアイドルはジョン・コルトレーンとのこと。朝ドラでコルトレーンの名前が出て来るとはちょっとした驚きだし、ジャズプレーヤーの名前が聞かれるのも初めてだと思うが、確かあの頃の新宿(ぼくの新宿時代より10年ほど早い設定の筈)には、こんな青年も居酒屋に数多く屯していたと思わせる所はある。


 さてあの頃多くのジャズ喫茶が存在、街中を沸かせたモダンジャズだが、元々個々のジャズプレーヤーのソロ演奏の素晴らしさ(マイルス・デイビスやビル・エバンス、更にはコルトレーン等々)を愉しむもので、それらの巨星達のアドリブプレーがジャズを推進してきたとも言える訳でもある。しかし今やモダンジャズもスタート以来70余年、前述の巨星達は殆ど姿を消してしまい、個々人の努力・習練もある意味限界に達してしまった~行き詰まってしまった感もある。ソロと言った一瞬の閃きに全てを任せるのには、いささか硬直化も見られる様になってきた現在、改めて注目されているのがかなり練り込まれた感じもあるラージアンサンブルやフルバンドの分野である。ある意味ソロからペンに移行しつつあるとも言えそうでもある。

 
フルバンドなんかは古くからあるじゃないか...などと言われる方もあると思うし、デューク・エリントン、カウント・ベイシーと言ったフルバンドの確固とした歴史には、素晴らしいものがあるのは間違いない。しかし最近はかなり個々のプレーヤーの自由さ・奔放さなども生かしつつ、新たな感覚で描き出す、従来のものとは異なったフルバンドやラージアンサンブルが注目を集めており、それらが今の閉塞状況を打破する一つの大きな要素になりつつあるのもまた事実なのだ。
 マイルスとのコラボレーションで知られる鬼才ギル・エバンス、彼を始祖としてその弟子であるマリア・シュナイダーなど、新しい資質が数多く誕生しこのシーンを強烈に活性化しつつあり、日本人も狭間美帆、宮嶋みぎわなどと言った新進気鋭から、守屋純子、藤井郷子などのベテラン陣迄、多士済々の面々が揃う。更に最近では何かとお騒がせのピアニスト、大西順子もこのラージアンサンブルに強い興味を示し、新しいアルバムを発表している。

 
そんな折今回登場のピアニスト福井ともみも、新たに9重奏団によるユニットを結成、映画音楽を新鮮なジャズアレンジで取り上げるアルバム『マウント・ノネット』を発表した。そして今回そのアルバムを携えスタジオに遊びに来てくれた。横浜育ちの彼女は、バップの伝統を生かした素敵な演奏を披露してくれていたが、それだけには飽き足らず新たにアレンジも...と言うことで、ニューユニットを結成、新作も発表した訳だが、アルバムタイトルはそのユニット名をそのまま持ってきたもの。曲は彼女のオリジナルが1曲で,後は「007のテーマ」「ゴッド・ファーザーのテーマ」「風のささやき」等と言った良く知られる映画音楽がメイン。その他「カミン・ホーム・ベイビー」「夢のカリフォルニア」などジャズメンの演奏で大ヒットしたナンバーも加え、全部で10曲。高瀬龍一など手練れのホーン陣に藤井学などのリズム隊といずれもが実力派揃いの9人衆。有名曲だけにそのアレンジには中々に苦労したとも語っていたが、結果は上々。実に愉しめる意慾的な演奏に仕上がっている。

 特に「007」はこの有名テーマに、ジャズオリジナルとしても知られる「危険な関係のブルース」を加え、2曲のメドレーで取り上げると言った意表を突く企画で驚かせる。6本の管楽器のハーモニーも見事で、このシーンにまた新たな資質が登場したと頷かせるに足る充実の内容で、評判の美形ピアニストに新たな勲章が付加されたと言ってもいい。狭間、宮嶋などに続く遅まきながらの新人として、これからそのノネットの活動に注目してみたい。


【今週の番組ゲスト:ピアニストで作曲家、編曲家の福井ともみさん】

5年前から活動を始めたバント「福井ともみとMt. Nonet」の1stアルバム『Mt. Nonet』から4
M1Speak Softly Love (映画「ゴットファーザー愛のテーマ」より)
M2One More Chance
M3「風のささやき(映画「華麗なる賭け」より)
M4007のテーマ&危険な関係のブルースメドレー(映画「007と危険な関係」より)


7月20日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.07/19 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.471~閉店のお知らせ】
 
 ぼくのようなロートル=オールドボーイにとっては、日頃余り連絡を取り合っていない知り合いからTELなんぞがあると、それは大方決まって訃報のお知らせである。そこでおもむろに礼服と香典の用意...となるのだが、日頃ラフな格好でいるだけに、ネクタイを締めるなどと言うのもこんな場合に限られてしまう。こうした訃報などもこのところ結構あって、この年令になると人の生き死なども、今や淡々と受け止められるようになっている。

 
そんなこんなで先日知り合い(と言っても一人は息子だが...)からTELがあり、またまた訃報連絡かと思いきや、これがお店閉店の連絡で息子も同じだった。いずれもがぼくの最も愛着を抱いているお店で、一軒はラーメン店、もう一軒は割烹居酒屋。ラーメン店の方は高円寺駅前の老舗「代一元 高円寺店」、割烹居酒屋の方は新橋烏森の「たきもと」、両方とも銘店などと言うものでは無いが、ぼくにとっては両方とも最も大切な店で、「代一元」が6月末、「たきもと」の方はこの7月末でジエンドなのである。

 6月閉店の代一元は、ぼくの育った街、高円寺を代表するする街ラーメン店で、確か昭和25年創業の筈なので70年近い歴史を刻むお店(玉袋筋太郎がTVで閉店を嘆いたとも聞く...)。ぼくらの時代は本当に貧しい頃だったので、ほとんどの子供は外食なども出来ず、特にうちの親父は一切外食拒否の人。それだけに子供の頃は1年1度ほどのデパート食堂での会食位しか記憶が無く、お袋に連れられて初めてラーメンを食べたのがこの「代一元」。ここのラーメンは中央線界隈でも評判だっただけに、最初食べた時にはこんな旨いものが...とびっくり、それ以来親父に内緒でお袋や姉貴に連れて行って貰った。まさに少年時代のぼくのデリシャスフード(最初に入ったのは小学4年生の時)だった。
 それ以来中・高校、大学、局員になってからもここにはよく通ったし、高円寺を離れてからもわざわざ駅で降りて、ここのラーメンを食べたものだった。店員も数多く変わったが、その変遷も懐かしい。お勧めは1年中ある「冷やし中華」。独特のタレが絶品で、年間を通して冷やしがある店は、当時東京でも数少なかった筈。この冷やし中華に関して言えば不二夫ちゃん(赤塚不二夫)とNHKにいた滝大作氏がメインのお笑い集団「面白グループ(筒井康隆、タモリや山下洋輔、所ジョージ、山本監督等多彩な面々が集まっていた)」が、一時冷やし中華をはやらせようと「全冷中連(全国冷やし中華推進連盟)」なるお遊び集団をぶち上げた時に、代一元高円寺店を推薦してくれるように不二夫ちゃんに頼んだのだが、一部のメンバーの反対により惜しくも落選してしまったことがある。あの時に推薦を取れれば、全国一の冷やし有名店になった筈だったが、まことに惜しいことをしたもの。
 
70年近い歴史を閉じるそのニュースを息子に教えられ、わざわざ閉店2日前に店を訪れてみたのだが、何時もは見られない行列が出来ており、入店にも時間がかかるほど超満員、親父さんとはほとんど口もきけず、最後に少し声を交わして店を離れた。冷やし中華の大盛」をもう二度と食べられないと思うと、いささか感傷的になりましたし、本当に腹に沁みました。

 
一方新橋の割烹居酒屋「たきもと」は、烏森神社のすぐ脇の飲み屋街の一角にある店で、ここの女将~杉野さんは日本短波放送時代の先輩で、局時代には現場庶務のような仕事を担当していた。本当に入社以降お世話になった人で、「全てを幼稚園の砂場から学んだ」等と言う人生本があったと思うが、その伝で行くと会社員として「ほぼ全てを杉野さんに教わった」と記してもいいほど、色々と会社員としてのイロハを教わった気がする。
 制作部員新入歓迎コンパで、予科練上がりの先輩にビール瓶で殴られるなどの手荒い歓迎を受けた小生意気だったぼくを、どうしたら組織に受け入れられるかなど良く忠告してくれたが、余りそれらを受け入れることなく今まで来てしまった感もある。まあ彼女はぼくにとって色々と人生の良き先達でもあった。なりよりこの店で素晴らしいのは、彼女のお袋さんは新橋界隈ではよく知られた芸者さん上がり。数多くの芸者さんにお茶やお花、三味線などの習い事を教える師匠格でもあったゴッドマザーで、知的で美形、話をするのも実に愉しかった。その関係もあって会社を辞めた後、彼女はお店を始めたのだろうが、余り接客業に向いているとは言えない人だったと思う。しかし40年近く良く継続したものだとほとほと感心する。ぼくのご贔屓のお袋さんが亡くなってからは、ここの板前と合わない為(知り合いの多くはそれが原因でここから離れてしまった...)、余り店に顔を出すことも少なくなってしまったが、新橋の会合の後などはなるべく立ち寄る様にはしていたのだが...、まさかこの7月で店じまいとは...、残念としか言いようがない。あと数回は顔を見せることにして、しみじみと懐かしきあの日々を振り返りつつ偲ぼうと思う。


 「代一元」と「たきもと」。いつもでも心に残り、ぼくにとっての人生の大きな位置を占める、本当の銘店なのである。


【今週の番組ゲスト:株式会社88代表の伊藤妙子さん】
今年で第8回開催の「軽井沢ジャズフェスティバル」が、7月27日(土)、軽井沢大賀ホールで開催されます。
http://eighty-eight.jp/

M1「Niagara Shuffle /  Yoichi Kobayashi & J Messengers」
M2「Que Sera, Sera / ジュディオング」
M3「Round Midnight / Marlena Shaw」
M4「Beautiful Love / Kenny Barron」


7月13日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.07/12 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.470~雨の日々】

  いまこの原稿をものしている7月初旬の某日、雨こそ落ちていないがどんよりとした曇り空で、ここ数日は青空も殆ど臨めない。TVのニュース番組によると、日照時間は平年の10分の1ほどだそうで、梅雨の行き過ぎと言った感もあるが、これも安倍政権のごり押し感と政権末期の閉塞感を如実に写し取ったものなのかも知れない。
 
 まあそんな話はさておき、この雨と言う言葉、音楽(曲)の世界ではそれなりにテーマになり易いもので、この手の代表曲と言えば、ミュージカル映画「雨に唄えば(シンギン・イン・ザ・レイン)」の主題歌。名匠スタンリー・ドネンが監督、踊る大スター、ジーン・ケリーが主演した1953年のミュージカル映画の傑作(No1と言った評価も高い)で、ジーン・ケリーがこの曲を歌いながら優雅にタップを踏む場面は、後年ヒット映画「ザッツ・エンターテインメント」でも象徴的に使われ、改めてその素晴らしさがクローズアップされたものだった。ただこの曲はジャズとしては使われていないようである。
 
 この他に雨をタイトルにした有名曲としては、カーペンターズのヒットで知られる「雨の日と日曜日」がある。ロジャー・ニコルス&ポール・ウイリアムスのヒットコンビが書いたナンバーだが、雨の日の憂鬱さが上手く描かれたこれも銘品と言える。カーペンターズと言えばカレン&リチャードの兄妹コンビとして、数多くのヒットを放った不世出のボーカルデュオだが、元々はもう一人の友人を入れたジャズピアノトリオとしてデビューした事実は、意外と知られていない。このトリオは、ジャズコンテストなどでも優勝したこともある結構な実力派だったようで、夭折したカレンはドラムスの担当だったと言う。そんな関係もあってか、カーペンターズのヒットチューンは良くジャズシンガーたちも取り上げているが、代表的なものは現代ギターの頂点、パット・メセニーがテクニカルに弾くこの曲だろう。
 
 ところで雨にまつわるスタンダードナンバーとしては、やはり「カム・レイン・オア・カム・サンシャイン(降っても晴れても)」になる。これもミュージカル主題歌だが、恋する心を唄い上げたバラードで、多くのシンガーがこぞって取り上げる銘品。サラ・ボーン、アニタ・アデイ、そしてエラ・フィッツジェラルド等々大姉御達の名唱も数多い。演奏ものではビル・エバンスとキース・ジャレット・スタンダード・トリオと言う、ジャズトリオの極致によるものがベスト。雨とジャズに関して言えば、極めつけのアルバムは美人シンガー、スー・レイニーの歌う『雨の日のジャズ』だと思う。自身の名前もレイニー(雨が多い、雨がち)だけに、上記のアルバムを企画したのだろうが、まずジャケットが素晴らしく、美人のレイニーが優雅に座るその姿に魅了され、その歌声で更に魅了度が高まると言ったジャズボーカルの名盤(1960年)。ビリー・メイ楽団をバックにした彼女の歌唱は、白人らしい優雅さと知的な香りを湛えたものだが、全12曲のうち雨関連ナンバーは5曲ほど。中でも有名なのは「セプテンバー・イン・ザ・レイン」。英国出身の盲目のジャズ・ピアニスト、ジョージ・シアリングの演奏で大ヒットしたナンバーで、このアルバムでもハイライトとなっている。それにしてもスー・レイニーの素晴らしさは抜群だ。

 憂鬱なレイニーシーズンだが、こういう時に「ジャズと雨」のテーマで、上記の様な幾つかの名唱や名演を探ってみるのも、この時期ならではの愉しみかも知れない...。

【今週の番組ゲスト:ミュンヘン在住のドラマー 福盛進也さん】
昨年ECMレーベルからリリースされた1stアルバム『For 2 Akis』から4曲お送りしました。
M1For 2 Akis
M2Ai San San
M3Spectacular
M4Hoshi Meguri No Uta


7月6日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.07/05 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.469~最強ブルースバンド登場】

 我が「テイスト・オブ・ジャズ」はジャズ番組だけに、登場するゲストは当然のこととしてジャズプレーヤーやシンガーがほとんどだが、ぼくの趣向も映してクラシックやラテン、ポップス、ワールドミュージック、はたまた邦楽プレーヤーなども良く顔を出すが、ただブルースだけはこれまでも顔を見せたことが無い。それだけにこの分野から誰かを...等と考えていたのだが、なんと運のいいことに最高のジャンプブルースバンドにして、コミックバンドでもある「吾妻光良&スイングバッパーズ」が創立40年を記念し、新作『スケジュールド・バイ・バジェット』を出すと言う。これは絶好の機会と言うことで、リーダーの吾妻氏と宣伝マンの渡辺康蔵氏に番組に登場、40年の日々を...そしてこれからの展開などを率直に語ってもらうことした。

 このおもしろジャンプブルースバンドは、元々早稲田大理工学部ブルース好きな学生が始めたもので、それ以来40年間全員リーサラ生活(サラリーマン生活)を続けながら、セミプロバンドとしても活動を展開して来た、涙ぐましい経歴の世界的バンドなのである。リーダーの吾妻氏は某有名TV局の技術系局長さんを務められており、定年後も技術関係の会社を立ち上げ現役で働いていると言うご仁。バンドはフルバンドとも言える12人編成の大所帯で会社員ばかり。結構マスコミ業界人が多く、昔からの知り合いもいる。

 その筆頭が創設メンバーの一人でバンドの広報マン、渡辺康蔵くん。くんなどと書いたのは彼は我が早大ジャズ研の後輩、某レコード会社のディレクターで去年までOB会の会長も務めていたご仁。番組にも良く新人などを連れて登場する有名人でもある。そしてもう一人創設メンバーの牧氏は、吉祥寺のタウン誌の編集長を務めていたことがあり、その時吉祥寺のタウンイベントでよくお世話になった古くからの知り合い。吾妻氏とは今回の収録が正式には初顔合わせだが、昔から新橋のブルース飲み屋の常連で、局の若いのもそこの常連。彼に連れられて店に行くと、何時もぐでんぐでんに酔っぱらっているのが吾妻氏で、挨拶は何回か交わしているのだが、昼日中には面識なし...と言う不思議な関係だった。今回正式に知り合え収録後は虎ノ門の銘店「升本」に流れ、かなり楽しい酒席を共に出来た。


 新作は彼らならではの愉しくもブルースの魂も横溢した素敵な作品だが、もう定年を迎えたメンバーがほとんどなので時間的なゆとりも出来たらしく、お店でのライブやジャズフェス、TV出演などと精力的にバンド仕事をこなしており、夏のフェス出演も幾つかあると言う元気振り。番組での2人の息の合ったやり取りも抜群の面白さ。素面の吾妻氏は技術屋らしくかなり権限実直なサラリーマンなのだが、夜になると一変ぐでんぐでんの締まりないバンドマンに落ち込んでしまう。この見事なまでのギャップも、良いブルースを生む要因(?)なのだろうと想像できる。何時までもお元気で...、吾妻ちゃん。そしてリーダーを始め康蔵君やバンドの面々、死ぬまでブルースで突っ走ってくれたまえ。

【今週の番組ゲスト:「吾妻光良 & the swinging boppers」のリーダー吾妻光良さんとA.Sax &ボーカル担当の渡辺康蔵さん】

 

結成40周年を記念した最新作

Scheduled by the Budget』から3

バンドに縁のある1曲をお送りします。

 

M1「ご機嫌目盛」

M2Baby Take it Easy / Clarence " Gatemouth" Brown

M3Misty

M4「でっすよねー」


6月29日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.06/28 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.468~エミ・マイヤー】

  今週のゲストはジャズ系のシンガーソングライターのエミ・マイヤー。アメリカ人の父親と日本人の母親を持つハーフで京都生まれだが、幼い頃からシアトルで育ち、大学までアメリカ西海岸。その後日本に戻り歌手活動を展開、結婚して一児の母親になったと言うのが彼女のざっとした経歴。両親はシアトルで出会い結婚したとのことで、アメリカ西海岸の自由闊達な雰囲気を、たっぷりと満喫しながら育った感もあるシンガーだけに、一応ジャズを標榜していてもその枠に止まらない自由さがなんとも心地よい。今年でデビュー10周年を迎えるが、その記念アルバム『ウイングス』は音楽の街=ナッシュビルで録音されたもの。ナッシュビルと言うとカントリーミュージックと言った感じも強いのだが、最近は大いに様変わりしており、カントリー、ジャズ、ポップスなどなんでもありの街で、スタジオや音楽事務所が数多く存在、NYやロス等と並ぶ一大音楽産業タウンだとのこと。


 彼女の新譜もそんな街の雰囲気を写し、自由でオーガニックな雰囲気のあるソウル&ジャズミュージックと言った趣き。自作が中心だがカーペンターズのカバー曲「ア・ソング・フォー・ユー」等も取り上げており、聴き易く心地よいアルバムになっている。番組ではこの新作ともう一枚、数年前に録音された前作『モノクローム』からも2曲取り上げており、こちらはフランスを代表するジャズピアニスト、エリック・レニーニと共演したジャズ・スタンダード集。「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」や「スマイル」等の定番ナンバーを歌ったものだが、ここにも日本の凡百なジャズシンガーなどとは違って、オーガニックで闊達な雰囲気が漂う中々の良品。

 
 彼女エミ・マイヤーの場合は、ジャズシンガーと言う前にシンガーソングライターであると言う点が何よりのポイントなのだが、これは最近の注目ジャズシンガーに共通している。こうしたジャズボーカルの転機はなんと言ってもノラ・ジョーンズの存在だろう。彼女の出現でノラ以前、ノラ以降と言った区分も出来そうなほど。もう一人重要なシンガーがブラック層を代表するカサンドラ・ウイルソン。彼女達は従来のジャズスタンダードを金科玉条の様にして歌う(日本のぽっと出のシンガーは特にその傾向強し)シンガー達とは違い、時にジャズスタンダードも取り上げるが、根本は自身のソングライティングを取り上げる傾向が強い。いわばジャズ系のシンガーソングライターが現在のモダンジャズボーカルの主流を占めている。それも決して狭いジャズの枠に捉われない、自由な歌世界を作り上げることがその大きな特徴だと言えよう。グレッチェン・パーラト、メロディー・ガルド―、サラ・ガザレク等々、どれもそうしたシンガーだし、思えば女性シンガーばかりで、次代を担う男性シンガーは日本だけでなく本場アメリカでも数少ない。

 まあそんなジャズボーカルの新しい波の一端として、わが日本でもこのエミ・マイヤーの存在、もっと注目されても良いのではと思う...。

【今週の番組ゲスト:シンガーソングライターのエミ・マイヤーさん】
今月リリースされたばかりのデビュー10周年記念アルバム『Wings
ジャズスタンダード中心の前作『モノクローム』から
M1Wings
M2A Song For You
M3Nashville Lullaby
M4If I think of you
M5「この素晴らしき世界」



6月22日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.06/21 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.467~恩田陸】

 イタリアの代表的映画監督、フランコ・ゼフィレッリが1週間ほど前に亡くなった。代表作はシェークスピア作品の映画化「ロミオとジュリエット」だったが、この人は後年映画監督と言うよりも「トスカ」や「カルメン」など、イタリアオペラの演出家として名を成した珍しい経歴の持ち主だった。その彼の代表作の一つが「ブラザー・サン シスター・ムーン」。イタリアの聖人、聖フランチェスカの青春時代を描いたもので、ぼく自身は未見だが出来栄えはそう褒められたものでは無かったようである。しかし今日の主題はこの監督ではなくこの同名タイトル「ブラザー・サン シスター・ムーン」という単行本のこと。


 作者は「蜜蜂と遠雷」と言う国際ピアノコンクールの出場者の話を描いた小説や、「夜のピクニック」と言う作者の高校時代、水戸一高の夜間ピクニックの模様を描いた作品で知られる恩田陸。前記2作品に比べると余り知られないこの作品を今回どうして...と言うと、この小説のメイン舞台が我が早稲田大で、三人いる主人公の一人の衛は、早稲田のジャズ研に所属するベーシスト。4年にはレギュラーの座を獲得すると言うことで、早大ジャズ研が一つの大きな舞台と言う珍しい小説なのである。これは是非とも皆様に紹介しておかねば...と言うことなのだが、これが書かれたのは今から10年も前の2009年のこと。それを今回わざわざ取り上げたのは、偶然図書館でこの本に巡り合ったからに他ならない。

 
作者の恩田陸は早稲田大の教育学部出身で、学生時代は早大を代表するフルバンド「ハイソサエティー・オーケストラ」、いわゆるハイソでアルトサックスを吹いていた経歴の持ち主。同時に有名な早稲田ミステリークラブにも所属、ここでの活動が後の作家生活にも役立っているのだが、主人公の一人はこのミステリ研ではなく映画研に所属と言うことになっており、もう一人の主役が彼女自身を投影した様な女子学生である。恩田さんの作品でぼくが読んだのは「夜のピクニック」と「蛇行する川のほとり」位なのだが、彼女がハイソに所属したことがあり、何かジャズ研かハイソを舞台にした小説を書いている...と言う話は聞いていた。また付き合っていた男子学生が、ジャズ研のメンバーの一人だと言う話も、ぼく等OBの中では結構知られた話。しかしその作品が何かは分からなかったし、特に知りたいとも思っていなかった。それが少し前に国分寺の図書館で借りる本を探していた時、偶然にも目に付いたのだった。本の惹句には「青春小説の新たなスタンダードナンバー誕生」とあり「本と映画と音楽...それさえあれば幸せだった。」と続く。
 作者が恩田でこの文句、これに惹かれて内容も分からず読み始めたらば、なんとこれがジャズ研小説だったのである。全体は3部構成になっており、3人の主役それぞれの章建て、それぞれの視点で書かれている。3人はどうやら水戸一高の同級生で、3人とも同時に早稲田大に入学と言った設定。第1章は恩田を写した綾音が主役の「あいつと私」、そして第2章が衛が主役の早稲田大ジャズ研物語「青い花」で、この2人は一応付き合っているのだが、余り事件もなく関係は自然消滅...と言った具合で、さしてドラマティックな展開の無い小説だが、第2章は色々な意味で面白かった。読んでいてああこれが噂のジャズ研小説か...と気が付いたのだが、考えてみればトホホな成り行きである。 

 
恩田さんはぼくなんかよりも一世代以上も下の代だけに、ここで書かれた音楽長屋などは大分雰囲気は違うのだが、それなりの懐かしさもあり、バンドのレギュラー目指して頑張る学生像なども興味深いものだった。そして高校の同級生である3人を結ぶのが、3人で一緒に見た映画「ブラザー・サン...」なのである。ドラマチックと言うよりも淡々とした青春小説なのだが、そこら辺が反ってリアリティーのある所で、もう一人の主役は映画監督になると言う設定。
 
第2章のラスト近く「俺は就職するだろう。醒めた気持ちでそう思った。衛の予想通り卒業して鉄鋼メーカーに勤めるようになると、その後やって来たバンドブームと共に、彼は日本のロックバンドばかり聴くようになってゆく」とある。もうこの頃からジャズの凋落は始まっていたのかも知れない...。残念なことだがそれもまた真実なのだろう。

【今週の番組ゲスト:Playwrightレーベル代表の谷口慶介さん、POLYPLUSのリーダーでサックスプレイヤーのTSUUJIIさん、ベーシストのYUKIさん】
M1wake me up / POLYPLUS
M2
Orange / m.s.t.
M3
Butterfly Effect / fox capture plan
M4
late at night / POLYPLUS

6月15日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.06/14 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.466~ボーノ・イタリアン】

 新宿や吉祥寺などの大きな街で、打ち合わせなどが早めに終わってしまい時間が空いてしまうと、どうも昔からの悪しき(?)習慣なのか、本屋&CDショップに足が向いてしまう。この前も吉祥寺で私用がありそれが早めに終わってしまった...、となるとイマジネーション欠如だけに足は自然CDショップのディスク・ユニオンに向いてしまう。その餌箱を何気なく見ていると、『ボーノ・イタリアン』と言う1枚のコンピレーションアルバムがあるではないか。価格は実に安い300円。全23曲入りで、60年代のイタリアンヒットナンバーが満載。と言うことで直ぐに買うことにしたのだが、これが仲々に興味深いアルバム。ぼくらにとってイタリアンポップスと言えば、まずはドメニコ・モドゥーニョの歌う「ボラーレ」。「オーソレ・ミヨ」等のイタリア民謡と並ぶイタリア代表曲(今はそんなこともないか...)として誰もが知るこのナンバーは,有名な「サンレモ音楽祭」の第8回受賞曲(1958年)で、全米のヒットチャートのトップに長い間君臨していた。今でこそこうしたヒット曲は、アメリカのグラミー賞が独占状態だが、ぼく等の少年時代はまずはサンレモ受賞曲が話題になったものだし、イタリアポップスの人気はかなりなものだった。そして音楽と同時にイタリア映画、と言うよりもヒットナンバーの多くはイタリア映画の主題歌だったり、その挿入曲・歌だったりした。


 『ボーノ・イタリアン』と言うコンピレーション作は、ボラーレは当然だがその他のイタリアヒットチューン満載の懐かしのイタリアンアルバムなのである。タイトルの「ボーノ」とは、美味しい、素晴らしいと言った意味合いで、イタリア料理の全国チェーン店に、「ボーノ・イタリア」と言う店がある様だが、そちらは文字通り美味しいと言う意味を指し、アルバムの方は素晴らしいと言う感じなのだろう。


  この21世紀、今やイタリアビット曲などと言うものにはまずお耳に掛らないのだが、60年代の頃は色々な情報は殆ど無かったが、結構インターナショナルな気風もあった様で、イタリアも音楽のある中心であった。
アルバムは、ベビーノ・ガリアルディの歌う、映画「ガラスの部屋」のテーマ曲(1970年)からスタートするが、こんなの全然知らないなー等と思っていると、これが今や最も日本人に知られたイタリアポップナンバー。アルバムの冒頭に置かれるのも至極当然と言った感じなのだが、こう書くと勘の良い方はもうお分かりかも知れない。あのコメディアン、ヒロシの「ヒロシです...」と言う有名なギャグのバックに流れているのが、この「ガラスの部屋」のテーマなのである。その他にも大ヒットの「アル・ディ・ラ(トニー・ダララ)」「2万4千回のキッス(アドリアーノ・チェレンターノ)」等、懐かしのヒットチューンのオンパレードなのだが、ぼくの大好きなのは何回も来日し人気も高かった、女性シンガー、ミーナの大ヒット曲「幸せがいっぱい」と「死ぬほど愛して」。イタリア語の歌詞は当時ちっとも分からなかったが、彼女が絶叫する情感たっぷりな唄い上げには本当に泣かされたもので、金の無い高校生だったが、ドーナツ盤と呼ばれたシングル盤を大事なお小遣いを投げ出して買い求めたものだった。アルバムに挿入されている彼女の「幸せがいっぱい」、今でもかなり涙腺ウルルンとさせられる素敵な曲でもある。

 ただこの懐かしのヒットアルバムも、一つ残念なのはミーナと並んで大好きな、「サンライト・ツイスト(ジャンニ・モランディ/映画主題歌)」が入っていないこと。レコード会社の契約の関係で入れられなかったのだが、これは本当に惜しい。この曲はもう25年程前に「デガショウ」と言う日本のジャズバンド~昨年惜しくも亡くなったサックス奏者の片山広明と同じサックスの林栄一による双頭バンドが、そのデビューアルバムの中で取り上げており、フリーにしてポップ、アグレッシブでいて弾け飛んだジャズサウンドは、J-ジャズの到達したある極致の演奏だと、ぼくは信じているほどの素晴らしいもので、お勧めのJ-ジャズ演奏だ。彼ら2人も小・中学生の頃この曲を聞き漁ったに違いないが、そんな強烈なノスタルジーとエネルギーに溢れたこの演奏の元歌だけに、悪ろうはずなどありませんよね...。皆様も「デガショウ」の「サンライト・ツイスト」是非聴いてみて下さい。打ちのめされること必定です。ただ廃盤の筈ですので、見つけるのも中々に難しいかも知れませんが...探し買いはあります。

【今週の番組ゲスト:コアポート代表の高木洋司さん】
最近話題の女性シンガーのアルバムをご紹介頂きました。
M1Never Will I Marry / Sara Gazarek
M2The Way You Feel Inside / Lauren Desberg
M3Kallfu / Camila Meza
M4Unravelled / Aubrey Johnson
M5Push Me Away / Tillery































































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