4月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018.04/20 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.406~ホープ・ガール参上】

 「ホープ・ガール」と言う愛称を、あのサックスの名匠ルー・タバキン(ピアノの重鎮、穐吉(あきよし)敏子の旦那さん)から贈られたシンガーがいる。岩手の盛岡市在住で、ジャズシンガーと知的障害者施設の職員と言う2足の草鞋をこなしている努力家、金本麻里である。盛岡市が拠点の彼女、今年がデビュー10周年ということで、3枚目のアルバムをその記念作品として今回発表したが、そのアルバムを携えわざわざ盛岡から我が「テイスト・オブ・ジャズ」出演の為だけに上京、スタジオに遊びに来てくれた。「感謝・感謝」の一言である。

 
彼女と一緒にスタジオにやって来たのは、このアルバムの発売元「ジョニーズ・ディスク」にして、東北地域のジャズ界のボス的存在、盛岡のジャズ喫茶「開運橋のジョニー」のマスターでもある、ジョニーさんこと照井顕。元々はあの大震災で壊滅的被害のあった陸前高田市でジャズ喫茶「ジョニー」をやっていたのだが、そこから移転して盛岡市に移ったジョニーさん。彼女がその店に遊びに来てその才を評価され、ジャズシンガーになるように勧められ、連日店に通いつめてジャズ歌手としてのスキルを独学で磨き、シンガーとして独り立ちするようになった。そんな彼女の実力は口コミでも首都圏のジャズ関係者の間で評判になり、横浜のジャズに大きな貢献を果たしたジャズ喫茶の名店「ちぐさ」を顕彰し数年前に制定されたジャズ賞「ちぐさ賞」。その栄えある初回受賞者にも選出され、ジャズ歌手としての地歩を築くことになった。しかし彼女はジャズシンガーだけでなく、盛岡での障害者施設職員と言う仕事も続け、その両立を継続させ2足のわらじを実現させている。その心根は見事としか言いようない。
 
タバキンが「ホープ・ガール」と彼女を呼んだと言うのは、秋吉敏子の名作ジャズ組曲「ヒロシマ」の最終章「ホープ」(秋吉&娘のマンディー満ちるとの共詞)を、岩手に演奏旅行で来た秋吉夫婦の前で披露、その余りの素晴らしさに「君は正にホープ・ガールだ」とタバキンから絶賛されたことによるもの。その愛称は彼女のデビューアルバムのタイトルにもなり、デビュー作にも当然収録されており、今回の記念作でも再収録、番組の中でも紹介している。この彼女の代表曲「ホープ」は、またあの東北大震災の被災者の避難住宅や合同葬儀などの場でも彼女自身が披露、被害に遭われた方達にも大きな感動と勇気を与えたとも聞く。
 彼女のボーカルはその立派な体躯を写しとった様に、実に堂々として気風も良くソウルフル、聴くものを温かく雄々しく包み込んでくれる。大器と言った表現がぴったりなシンガーで、名刺代わりにアルバムを作るこの所の新人ジャズボーカリストとは、その心構えや覚悟からして異なり、歌を通して伝えたいものも多くあり、それがダイレクトに伝わって来るのだ。ジョニーさんもそこら辺に惚れ込み応援を続けて来たのだろうが,こういうシンガーが地方に居続け、そこに根を張り活動を続けると言うのは大変に嬉しいこと。その心意気見習わなければならない。
 
 
わざわざ盛岡から出て来てくれたにも拘らず実に謙虚な人柄で、番組に出られて大感激ですとその喜びを率直に語ってくれたが、こちらの方が恐縮してしまう。東北のソウルフルシンガー何時までも頑張って歌い続けてください。応援しています。
【今週の番組ゲスト:岩手在住のジャズボーカリスト 金本麻里さん】
「金本麻里 With The Bop Band」から
M1 CARAVAN
M2SENTIMENTAL JOURNEY
M3 HOPE
M4HOW HIGH THE MOON



4月14日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018.04/13 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.405~マリンバでジャズを】

 ャズの歴史は百数十年、一方クラシック音楽は数百年。まあこれもどこをスタートとするかによって大分歴史も変って来るのだろうが...。さてそれぞれに長い歴史を抱えるこのジャズとクラシック音楽。これを融合した音楽と言えば~1960年代に流行したサードストリームなどとも呼ばれ、MJQのジョン・ルイスや現代音楽家のガンサー・シュラー等が主導した大胆な試みなどもあったが、最近は余りそうした意慾的な試みも見られなくなってしまった。そして何と言ってもこの両分野の融合と言えば、大ヒットしたフランスのジャズピアニスト、ジャック・ルーシェ、同じフランスのジャズコーラスグループ「イングル・シンガース」、この2
者によるバッハ作品のジャズ化と言うことになろう。しかしこれはヒットした割には新しい何かを生み出すまでは至らなかったと言うのが実情だろう。そしてジャズとクラシックは今でも相互交流の動きはあるし、お互いに良い影響を受け・与えるという関係は続いている様にも思えるが...。

 
といささか生煮えの前置きで始まった今回のコラム、一体何を言いたいのかと言うと、実は今週番組に登場する女性がクラシックのマリンバ奏者で、彼女がビル・エバンスなどとの共演で知られる名ベーシスト、エディー・ゴメスと一緒に、ジャズとクラシックを新しい形で融合させたアルバム『ハートフル・クラシック。ジャズ~彩の風景』を発表。それを携えてスタジオに遊びに来てくれたと言う話の前置きなのだが...。
 
その女性の名前は北沢恵美子。ぼくも収録のスタジオで彼女と初めて対面したのだが、ジャズとクラシックを融合したこのアルバムを、番組で紹介することになったのも本当にちょっとした切っ掛け。今まで50年を超す番組の長い歴史の中でも、初めてとも言える珍しい経験だった。北沢さんはあのクラシックの名門、桐朋学園のマリンバ科(打楽器科)を優秀な成績で卒業、この珍しい楽器で海外公演などもこなすかなりな才媛らしいが、マリンバと言う楽器(木琴を大きくしいた様なもの)は外国以上に日本では盛んで、プロのマリンバ奏者も結構いるとのこと。その彼女のアルバムの存在を知ったのは、神保町にあるぼくのご贔屓のジャズスポット「アデュロン・ダック」。この店で知り合いと待ち合わせをしている時に、バックで流れていたのがこのアルバムだった。バッハのインベンションやスカルラッティ、カッチーニの「アベマリア」などバロック音楽の銘品をジャズとクラシックの趣味良い融合演奏で聴かせ、印象に残る温かみのある作品。そこでマスターの滝沢氏にこれなんのアルバムと聞くと、隣に座っていた女性が私の姉のアルバムで出来たばかりのものですと言うではないか...。そこで彼女と少し話をしてみると、彼女達姉妹は神保町きっての老舗古書店「北沢書店」の娘さんで神田っ子。姉の方はクラシックのマリンバ奏者で実家の出版業も手伝っており、自身は北沢書店の1階で児童書の書店(夜にはお酒を飲ませるブックカフェに変わる)をやっていると言う。そうかあの大きな児童書店ならばこれまで何回も覗きに行ったことがある...と言うことで意気投合、では姉さんにスタジオに来てもらいアルバム紹介を...と言う話に迄進んだのがことの経緯。

 
北沢書店の娘さんと知り合いになれるとは結構な幸運とも思ったが、これが縁と言うもの。アルバムもゴメスと北沢さんとの息もぴったりでバッハやヘンデル、スカルラッティなどぼくの好きなバロック曲が目白押し。中でもあのスペインのバロック期を代表するソレール「ファンダンゴ」を取り上げている所も何とも嬉しい...。  
 スタジオに来た北沢恵美子さんは、ラジオ出演は初めてと言うことで、いささか緊張気味。しかしエディー・ゴメスと共演した喜びやアルバム作りの難しさなどを控えめにしかも熱っぽく語って呉れて、実に好感の持てるお人柄、直ぐにファンになってしまった。
 
アルバムは全11曲で、中にはゴメスとのデュオナンバー(ゴメスは彼女のベーシックトラックを聴いて、NYのスタジオでプレーをしたようだが、これがまた実によくフィットしている)などもあり、曲によってはマリンバの兄弟楽器、ヴァイブを彼女が重奏しているものもある。元々はあるレコード会社から出すはずだったのだがその会社が発売直前に閉鎖、自身の北沢出版からの発売となるなどのトラブルもあったようだが、彼女はめげずに頑張っている。「音楽は国境を越え幸せな気持ちを生む...」と言う彼女の心情が良く生かされた好アルバムだと思いますよ。
【今週の番組ゲスト:マリンバ奏者の北澤恵美子さん】
エディ・ゴメスと共演したアルバム「ハートフル・クラシックジャズ〜彩りの風景」から
M1
「アルマンド(バッハ)」
M2
「かっこう(ダカン)」
M3
「ファンダンゴ(ソレル)」
M4
「カッチーニのアヴェ・マリア」

4月7日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018.04/06 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.404~ジャズ入門のお勧め作品】

 4月になった。我が町国立でも一橋大学の新入生の初々しい姿を見かけるようになり、仲々の活気を見せておりそれに桜の見ごろも加わり何かと華やいだ賑わい尽くしと言った感もある。まあこれは全国どこも一緒だろうが、我がジャズ番組でもこの4月の第1週はここ10数年、ミュージシャンやライターなどジャズ関係者を招き、その人のお勧めジャズ入門アルバムを紹介、ジャズの愉しさ奥深さなどを語ってもらうことになっている。今年のゲストはぼくも執筆陣の一員に加わっているジャズ専門誌「ジャズ・ジャパン」の敏腕編集員、佐藤俊太郎氏。彼の新人お勧めのテーマは「パリとジャズ」。パリで吹き込まれたアルバムやパリのホールやライブハウスなどでのライブアルバムが4枚程。取り上げた楽曲は別項に載っているのでそれを参考にして欲しいが、これ以外にもアート・ブレーキ―&JMの『クラブ・サンジェルマン・ライブ』や名匠ズート・シムズのパリ録音盤『イン・パリ』なども用意してくれたが時間の関係でカット、いささか残念でもあった。

 ぼくはパリと言う街にいまだ訪れたことが無い。これはご愛嬌でもあるが、このパリはジャズにとって本場NYに次ぐ大事な街だけに、「パリとジャズ」という切り口も新鮮で面白いものでもある。パリと言えば一つには洒脱な芸術の街と言ったイメージも強い。有名ミュージシャンやシンガーも、欧州ツアーと言えばまずこのパリのホールやライブハウスでの公演を優先させたし、パリのファンも彼らを温かく迎え入れた。まあこうした背景もあり、この街にはモダンジャズ全盛時の1950年代~60年代にかけ、多くの黒人ジャズメン達が自国での人種差別やジャズ軽視の風潮に抗して渡って来て活動拠点にしていた。彼らのことをジャズイミグレト(ジャズ難民)などと呼ぶこともあったが、それだけに大変に居心地の良い街でもあり多くのジャズ名盤も生まれている。
 ぼくがパリと言えばやはりまずは名門モダンジャズカルテット(MJQ)のことが思い出される。クラシック趣味も濃厚なリーダーのジャズ・ルイスは「コンコルド」「ヴァンドーム」などこの街をテーマに数々の美しいナンバーを書き上げ、ジャズファンのみならず多くのクラシックファンからも大絶賛であった。そしてもう一つ、ヌーベル・バーグとも呼ばれた50年代のフランス映画のバックは、有名ミュージシャンによるジャズ演奏が中心。今はまたこの街パリは、ジャズ+ワールドミュージックのメイン都市であり、これからのジャズを志向する新たな取り組みもパリから出現しており目が離せない。


 さて毎回人にばかり頼んでいて「お前の入門アルバムは...」と聞かれるといささか困ってしまう。ただその答えは数年前に出された我が僚友で本邦随一のベーシストチンさんこと鈴木良雄の「人生が変わるジャズ名盤入門(竹書房)」。ここで挙げさせてもらったものがぼくのお勧めアルバムと言うことになる。ここでは20枚挙げたのだが、そのうちから5枚をピック・アップすると、マイルス・デイビスの『カインド・オブ・ブルー』、キース・ジャレットのスタンダード集、ジョン・コルトレーンの『マイ・フェイバリット・シングス』ビル・エバンスの『エクスプロレーションズ』ソニー・ロリンズの『ビレッジ・バンガード・ライブ』と我ながら面白味の無い無難な選択。こんなことではいかんのだが、ぼくの最も好きなナンバーを上げるとアート・ブレーキ―&JMの「ナイト・イン・チュニジア」。ジャズとラテンの理想的な融合がここにはある。またボーカルはカーリン・クローグの『ミッシェル・ルグランを歌う』、21世紀に入ってからのお勧めはマリア・シュナイダー・オーケストラのアルバムやドラマー、マーク・ジュリアナのジャズ・カルテット・アルバムなどといった所だろうか...。まあ人にはお勧めアルバムを...などと気安く頼む割りには、自分で選ぶのは中々に難しい作業と痛感した次第でこれも反省材料の一つだ。
 そして反省と言えばもう一つ、先週のこのコラムで「桜の木の下にて」について記したが、この作者を坂口安吾としたのだが実際は詩人の梶井基次郎でした。知り合いから指摘されぼくの誤解に気付かされました。皆様にお詫びをし訂正し、またまた反省もしています

【今週の番組ゲスト:新年度最初は、ジャズ入門。今年のジャズ業界の先輩はJaZZ JAPAN 編集の佐藤俊太郎さん】

M1Re: Person I Knew / Bill Evans

M2Dear Old Stockholm / Bud Powell」
M3I Love Being Here With You / Diana Krall
M4The Wind / Keith Jarrett
M5Moanin' with Hazel / Art Blakey