4月13日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.04/12 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.457~ショーケン死す】

 
希代のモテ男にしてモメ男でもあったショーケンこと萩原健一があっけなく(?)死んでしまった。それも10万人に1人と言う難病だったとのこと。彼はぼくより5つほど年下だが、その生き様~人生航路は正に「月とすっぽん」か「天国と地獄」程の違いがあったと思う。彼との番組での触れ合い=交錯はわずか2回ほど。その上彼の最初期のキャリアであるGS「テンプターズ」などは殆ど聞いたこともなかったし、代表作と言われる「太陽にほえろ」等も見たことも無かった。まあ言ってみればかなり無縁な人なのだし、好きな無頼派の役者・歌手の一人ながらショーケン自体は余り好きだとも言えない存在だった。ではなぜここで...となるのだが、彼とのわずか2度ほどの触れ合い(直接ではなく彼の廻りの状況=端的に言えば関わりある女性への思い)がかなり強烈だったと言うことに他ならない。良く知られる様に彼は3度の離婚と4度の逮捕、正に希代のモテ男にしてモメ男。ワルぶっていると言うよりもワルそのものだったのである。それだけに並み居る女優たちがタイトロープを悠然と歩き続ける、その一寸可愛げを伴った(ヤンチャとも言える)に強烈に惹かれてしまったのだと思う。

 その触れ合った2回とは、最初が日本歌謡史に燦然と輝く女王~美空ひばりの(確か)正月特番であった。これは先輩の篠田さんと言うディレクター担当のもので、彼は野球ディレクターとして有名な相撲取りにも似た巨漢。立川談志や三遊亭円楽など落語界にも滅法強く(円楽の家での麻雀大会にも良く付き合わされた)、芸能界にも顔が利くと言う短波には特異な存在。そのツテでひばりを呼んで来れたのだろうが、番組では直接のお声掛かりでお前も共同ディレクターをやれと言うことになった。スタジオには2卵性親子などとも揶揄された、有名なステージママのお袋さん、そして彼女おつきの御用ライターなどが揃い、メインのお嬢(美空ひばりの愛称)を囲み中々緊張の布陣。1時間の番組はひばりの一人語りがメインだが、ひばりのお気に入りのゲストを一人招こうと言うことになって、そのゲストこそ美空(本名加藤)親子が大好きだと言うショーケンだったのである。
 スタジオに来た彼は、相手が天下無双のお嬢親子だけにいささか緊張気味だったが、そこは流石に無頼派気取りの輩だけに、適当に奔放さも演出、「役者やのう...」と言った感じで巧く親子を乗せる。番組は先輩の篠田デレクターがメインだけに、ぼくは食事の用意や電話取りなど色々周辺をフォロー、その収録最中何かの用事で廊下に出てみると、何やら壁際に顔を隠した感じで佇んでいる綺麗な女性がいる。どこかで見たことがと思いきや...、なんとこれがお騒がせ女優としても知られた桃井かおり。今や伝説になってしまった銘店「ホワイト」の常連で、店でも良く一緒になったこともあったので彼女に声をかけると、当時誰も知らなかったのだがどうやらショーケンと付き合っており、彼に誘われ収録現場に来たとのことのようだった。だがそこは天下の大スター美空親子の前には顔を出しずらい...、と言うことで収録が終わるまでの間、廊下に一人淋しく佇んでいたと言う次第。あのかおりを一人で待たせるとは...とショーケンと言う男の魅力、傲慢さなどを改めて思い知らされたものだった。かおりもまた日頃のツッパリさも無くおとなしく待っているのだ。「ショーケン流石色男やのう...」と言う感じで、改めて恐れ入った。


 そしてもう一度恐れ入ったのが、世界的なバイオリン奏者にして天下の美形、前橋汀子さんのインタビューでの場面。確か青山の喫茶店で30分位のものだったが、この知的で有名なバイオリン奏者(白系ロシア人の血が混じっているクオーターで、その余りの美貌に文化人のファンも多数だった)が当時付き合っていたのがやはりショーケン。世界的なバイオリン奏者迄...といささか憎い思いもしたのだが、そのインタビューの席には同席はしていなかったが彼の存在は大きく、どうも終了後は2人待ち合わせをしている気配で、心もそぞろと言った感じ。肝心のインタビューもそこそこに迎えに来たショーケンと帰ってしまった(筈)だが、以前の桃井かおりの件もあるだけに、その凄まじい迄のモテ具合、羨ましいを通り越し、ある種何んとも言い難い感慨を抱いたものだった。

 
 現在ピエール瀧、新井浩文などが事件を起こし、猛烈パッシングを受けその出演作、アルバムなどが販売中止を余儀なくされていることを考えれば、つくづくショーケンは幸運な俳優・歌手、そして紛れもなく激動で奔放・闊達だった昭和の漢で、制約だけ強い平成では決して許されず、もし今だったらば彼の存在は、間違いなく世間に抹殺されていたに違いない。げに時代の趨勢とは恐ろしいものだし、ショーケンと言う男は実に恵まれた男だったとも言える。
 
それにしても自らを振り返り「ジェットコースター人生から今はメリーゴーラウンドの生活...」とは良く言ったものである。

【今週の番組ゲスト:ピアニストのジョナサン・カッツさん】
リーダーを務めるでTOKYO BIG BAND 1stアルバム「SAKURA」から
M1Sakura Sakura
M2Hamabe no Uta
M3Aka Tombo
M4Umi









4月6日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.04/05 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.456~コテコテ・ジャズ入門】

 新年度、新学期がスタートした。4月初めのこの時期は、我が街=国立のメイン通り(大学通り)が満開の桜に覆われる1年で最も美しく華やぐ活気溢れる時期でもある。まあこんなロートルのぼくでもこの時期はお花見などで街に繰り出すことも多く、何かと心浮き立つ季節でもある。

 
さて我がジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」、毎年4月第1週はジャズメン、ジャズライター、ジャズディレクターなど様々なジャズ関係者をゲストに招き、それぞれの方達のジャズ入門を語ってもらっているのだが、今年招いたのはジャズライターの原田和典氏。大分以前に「ジャズ批評」と言う専門誌の編集長を務めていたこともある氏は、コテコテと言う新ジャズ用語(?)を編み出した張本人でもある。
 
このコテコテとは一言でいえば黒っぽさの度合いを表すもので、コテコテ度高いアルバムとなると、脂っこくねちっこい真っ黒なソウルフルアルバムということになる。となれば必然的に楽器はオルガンと言うことになるのだが、原田氏はこのほど「コテコテ・サウンド・マシーン」と言う音楽本を出したばかり。そこでこのコテコテ本を中心に「コテコテとは何か...」等、彼の視点でのジャズ入門を教示してもらうことにした。

 この本には元祖コテコテ男とも言うべき黒人エンターテイナーの代表格、ルイ・ジョーダンを皮切りに、ジミー・スミスやジャック・マクダフンなどのオルガン大御所、更にはサム・レイザー、ガス・プールなどぼくも初めて名前を聞くようなコテコテ男迄、全部て100名、100枚のコテコテ作品が紹介されている。面白いことにはその関連作品と言うことでエノケンから現在活躍中の黒人ラッパー迄、1作品につき関連アルバムが2枚づつ紹介されており、この本で取り上げているアルバムは300枚。そのどれもが他のジャズ本には無いユニークな視点で取り上げられており、興味が尽きないしその関心の多岐に渡る有様、全く頭下がる想いである。
 
そしてもう一つこの本の売りは、それぞれのアルバムにつけられた5、7調のキャッチフレーズ。例えば「一石二鳥ラッパホンカー吠えまくり」や「義兄弟縄張り超えて和気あいあい」など、そのアルバムの特徴をきっぱりと表しており実に面白い。彼もこのフレーズを考え出すのが、今回最も大変な作業だったとも語っている程。

 それにしても彼の目配りの凄さ。ジャズだけでなく、ソウルやR&B、ラップ、ビップホップなどの黒人音楽から何と和製ポップス迄、縦横に語りつくす(歌謡曲評論もやっている)その剛腕、最近は有名DJに弟子入りしてコテコテマンとしてクラブDJも始めたとも聞く。凄い頑張り屋でもある。
 
そんな彼が番組に持参した入門アルバムは別項のとおりだが、入門と言いながらも実にマニアックでコテコテそのもの。ユニークで興味深い好人物なので、番組でもまた是非遊びに来て欲しいと思っている。そして音楽本「コテコテ・サウンド・マシーン」はあの「スペース・シャワー・ネットワーク」の出版部から定価2500円で出されている。決して高いお買い物では無いので、是非皆様もお手に取って見られたらどうだろうか...。お勧め本として推薦します。

【今週の番組ゲスト:
ジャズライター・ジャーナリストの原田和典さん】
新年度最初の放送なので、ジャズ業界の先輩からのジャズ入門アドバイスを頂きました。
原田さんの最新著書の『コテコテ・サウンド・マシーン』からもご紹介頂きましたよ

M1what's Goin' On/Ain't No Sunshin   /   BERNARD PURDIE
M2Love Is Blue / RUFUS HARLEY
M3New York City / APHROTEK
M4I'll Catch The Sun / 藤原清登」


3月30日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.03/29 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.455~ハードボイルド小説】

 年を取る~チャンジー度が高くなると、どうも集中力や忍耐力の衰えが激しく成るようで、
本を読むスピードも遅くなり、中々一冊を読み切れない。このためこのところ大好きなハードボイルドものやプライベートアイ(私立探偵)ものも、残念ながら余り読んでいない。これにはぼく自身の加齢問題も関係しているのは間違いないが、同時にハードボイルド系(私立探偵ものも含め)小説の衰退傾向、端的に言えば余り面白い作品が無くなりつつある元気喪失傾向が顕著で、代わりにぼくの大嫌いな警察小説が幅を利かせていると言う事情も、大いに関係しているのかも知れない。
 ハードボイルドで最近読んだのは、各方面で評判の高い原尞の14年振りの新作、探偵沢木シリーズの「それまでの明日」。各書評などで絶賛されていたのだが、事件らしき事件も余り起こらず、それを淡々と処理する探偵、沢木の姿勢・心根。これには原氏の枯れ具合が加速されているようで、それなりに面白いのだが、期待が大きすぎただけにいささか残念な思いで読んだものだった。原尞は九州大出身で亡くなったピアニスト、辛島文雄と九州大でほぼ同学年。辛島が王道のピアノ路線を行ったのに対し、原の方はフリージャズの道に進み数年で引退、故郷の佐賀に戻り文筆業を始めたと言う経歴。それだけにジャズの対する愛着は半端ない作家でもある。そして今や最も活躍しているハードボイルド作家で、「探偵はバーに居る」等で知られる札幌在住の東直己、彼も大のジャズ好きで色々なミュージシャンやシンガーの名前が作品には登場する。この2人を代表格に結構ハードボイルド作家はいるのだが、イマイチ元気がないのは事実だ。

 
そんな中でぼくのおススメの一人が、異色のハードボイルド作家...と言うよりもピカレスク(悪漢)作家と表現した方が適切な、直木賞作家の黒川博行である。コテコテの大阪弁が飛び交う彼の関西ハードボイルド小説には2系列あり、一つは大阪府警の堀内・伊達コンビが活躍するマル暴シリーズ(両者とも悪事がばれクビになり東京に流れて来るのだが...)。そしてもう一つが、映画化やTVドラマ化され大人気の疫病神シリーズ、イケイケの武闘派やくざでいつも喧嘩三昧の桑原(疫病神)と、親父がやくざで自身は建設コンサルをしている二宮(彼は喧嘩の弱い堅気)のコンビによる作品群で、関西流ハードボイルドとでも言えそうなものなのだが、これがめっぽう面白い。凄惨なリンチやカチコミ(抗争)シーンでも、何かそこに関西流のユーモアが漂い飽きさせないのだ。その疫病神シリーズの最新刊「泥濘」も期待通りの面白さだった。これは週刊文春に連載されていたもので、今流行り(?)のオレオレ詐欺とその裏で糸を引く警察OBや桑原と敵対するやくざ組織の若頭の抗争を描いたもので、テンポよくストーリーが展開される。このシリーズ今までに「疫病神」「破門」など10冊近くが出されており、最高作は北朝鮮に侵入し散々な目に合う2人を描いた「国境」だと思うが、どれも秀逸で一度読むと何とも魅力的なこの2人のコンビにとにかく惹かれる。自分勝手で相手を嫌いつつもどこか好きあっており、持ちつ持たれつの関係にあるこの2人に感情移入してしまうのだ。
 その最新刊ではなんと桑原のジャズ好きが判明する。大阪のカラオケ屋(桑原の愛人が経営する)に繰り込んだ2人、イケイケ武闘派の桑原がリクエストして歌うのがなんとあのヘレン・メリルの銘品「ユード・ビー・ソー・ナイス...(帰ってくれたら嬉しいは)」。これには笑わされると同時に驚かされもする。「歌、うたえ」二宮に言う。「ズージャーや、ヘレン・メリル」「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ...」桑原は小さく歌った。「それ聞いたことある」「わしが唄う。入れてくれ」「ほら入れんか」「タイトルは」「歌手で検索せい」「ヘレン・メメリルストリーブね...」桑原は1曲歌った。ざっとこんな感じである。カラオケで「ユード・ビー...」を歌う、それも大阪やくざがである。
 そしてもう一つ、この凸凹コンビならではの面白会話を御紹介しよう。スマホの動画を使って相手やくざを脅かす策を桑原が披露する。それに対しコンサルの二宮は「その案なるほどスリランカですは...」「なんじゃスリランカとは」「正論(セイロン)です」「二宮君寒いギャグはやめとけや...」桑原は笑いもしない。
この洒脱感応えられません。そして登場するヘレン・メリルストリーブ。黒川流コテコテ・ハードボイルドの真髄、世界中に紹介されるべきものとぼくは信じています。 

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富先生
今週はジャズトーク、 ライブ録音特集でお話し頂きました。

M1「Lester Leaps In / JATP」 (1944年 Jazz at the Philharmonic のライブ録音)
M2「 KOKO / Charlie Parker」( 1948年  Royal Roost のライブ録音)
M3「Comin' Home Baby /
Herbie Mann」(1961年 The Village Gate のライブ録音)
M4「Cubano Chant / Ray Bryant」(1972年 Montreux jazz Festival のライブ録音)
M5「The Köln Concert / Keith Jarrett」(1975年 ケルン、オペラ劇場のライヴ録音)

3月23日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.03/22 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.454~ラグビー・サンウルブズ】

 今年はラグビーワールドカップイヤーで、日本のラグビー界にとって記念すべき年と同時に大変に重要な年でもあるのだが、どうもその盛り上がりも今イチの感がある。全国20か所近くの会場で行われるワールドカップのトーナメント、ラグビーが盛んな九州では確か3か所の会場で試合が行われるはずで、2月に別府に温泉探訪に行った時には街の各地でPR看板が立てられるなど、かなり熱心な大会告知が行われていたのだが、首都圏ではどうもいまいちの感も強い。まあこの時期はラグビーの端境期、盛り上がりに欠けるのは仕方ないのだがいささか心配になってしまう。
 そんな時期を埋めるのがスーパーリーグに所属する日本チーム「サンウルブズ」の動向。ニュージーランドに遠征しアウエー(敵地)で1勝を挙げたのは、特筆に値する画期的なことだし、それ以外の試合でもかなり拮抗した試合を毎回繰り広げ着実に力を付けているのは確かだが、人気や盛り上がりに欠ける点は否めない。そんなサンウルブズだけに事務方も色々とPR活動に務めていて、その一環として秩父宮ラグビー場で行われる国内第2戦では、チームジャージを着たラグビーファッションショーの実施を考え、その合間にラジオNIKKEIの番組「藤島大の楕円球にみる夢」の公開録音を実施することになった。番組開始数年にしての初めての公録、ぼくも久々にフロアディレクターなどとして、わずかばかりのお手伝いを言うことで、3月16日(土)のレッズ戦前の番組公開収録を行った。
 
この試合はあの東日本大震災が起きた3月11日以降に行われる初試合と言うことで、震災に遭った釜石市からもラグビー関連の高校生がボランティア参加すると言うチャリティー試合にもなっており、その高校生達もステージに上げたら...と言う提案が採用され、チャリティー試合の公録らしさもプラス出来た。更にサンウルブズからは共同キャプテンの一人、FWのクレイグ・ミラー選手も公開収録に参加してくれることになり、それなりに準備も整い、試合当日を迎えることになった。


 当日は天気予報では雨の可能性が高く、どうなることかと危ぶんだのだが...。どうやら晴れ間も見える天気具合となり、プロデューサーH嬢の運の強さに感心しきり。会場は秩父宮にはいる正面の階段下のステージ。階段でラグビーファッションショーが行われ、ステージはそのメインの見せ場、ハーフの美女モデルを含む数名のモデル達による10分位のショーの前半が終了、そしていよいよ番組公録がスタートとなった。
 収録の進行役は番組でもおなじみの「ラグビーマガジン」田村編集長。大学の準体育会でラグビーをやっていた氏は堂々と進行役を務め、メインゲストのミラーを呼び込み、パーソナリティーの藤島氏と共に、色々と彼に質問を投げかける。出身地のニュージーランドでは会計士も経験したこともあると言うミラーは、かなり知的な印象のプレーヤーで誠実に受け答えし、多くのラグビーファンからも好感を持って受け止められた。その後釜石から来た高校生~2人の女子高校生で一人はラグビー部のマネージャーとのこと~もステージに呼び込み、試合準備の為に退場するミラーと最後にラグビーボールのパス交換を行い、彼女たちは大感激。その後は彼女達にオジサン2人から高校生活、釜石で行われるラグビー試合への期待などいくつかの質問を投げかけ、彼女達は一つ一つ真摯に答える。そのやり取りにファンは熱く共感を覚えた様子...と言った感じで、公開収録はつつがなく終了、2部のファッションショーにバトンを渡した。
 当日、秩父宮には1万4千人を超えるファンが詰めかけ大盛況。番組とラグビーファンとの間で、かなり良い心の交流が実現できたようにも思われる。ぼく自身も久々のフロアーディレクター仕事、どうもこうしたイベントいくつになっても結構ワクワクものでそれなりに愉しませてもらった。

 肝心のサンウルブズとレッズの試合の方だが、前半は完全にサンウルブスが主導権を握りかなりなリードで終了。かなり楽勝ケースかと思いきや、後半に入ると様相は一変、本来の力を発揮し出したレッズに押しまくられ、試合の終盤まで同点でもつれ込み、最後の最後にサンウルブズにミスが出て惜しくもうっちゃり負け。大変に残念な結果で終わってしまったのだが、番組の公開収録の方は自画自賛ではなく成功だったと信じる。何せ釜石の女子高校生達のすれていない溌溂とした可愛らしさ、久々に気持ち良いものを見た感がありました。彼女・彼ら(そして全国の高校生達)のボランティアスピリットが、今年のラグビーワールドカップをもきっと成功に導くに違いない。そんな感慨を抱かせてくれた一時だった。

 しかし本日、サンウルブズが2020年シーズンを最後にスーパーラグビーから除外という発表があった。収録当日もファンからサンウルブスのこれからについて質問が出たのだが、まあいろいろな事情はあったのだろうし、日本選手の登場が少なくて人気もいまいち...、など諸々あっての決定でこれは致し方ない。それにしてもワールドカップ終了後の日本ラグビー界、本当に心配の種が尽きません。まあぼくは早稲田ラグビー一筋と言うのは、これまでと変わりないのですが...。


【今週の番組ゲスト:ジャズピアニストの友金まゆみさん】
デビューアルバム「NEW YORK REUNION」から
M1Mr.T
M2 Old Folks
M3Sister Sadie

M4I Wish She Were Still Here

 



3月16日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.03/15 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.453~ジャズ講座】

 昨年に引き続き今年もまた中野区の公民館から頼まれ、ジャズ講座を3回ほど行った。サブタイトルは昨年と同じく「知らなかったジャズ」。ぼく自身はジャズ講座などと言った大袈裟なものでは無くジャズトークと言った軽い感じを考えていたのだが、昨年はサブタイトルに「知らなかった」等と謳われている所為で「戦前にもジャズがあった」「中央線ジャズとは...」等、いささかマニアックだったのでは...と担当氏から注文が付き、今回は徹底して入門者向けとして、隔週の火曜日午後の2時間ほど3回に渡って実施した。

 
相手は50才以上の結構熱心なオジン&オバンがメインで、およそ40名程だったが、殆どはジャズなど全く知らない方達。そうなると入門講座は仲々に難しい。と言うことで1回目の「ジャズって愉しく・面白い音楽」では、ゲストに四谷のジャズ喫茶「イーグル」のマスター、後藤雅洋氏を迎えることにした。彼の所はもう半世紀近く続くジャズ名門店で、彼が慶応大の学生だった時に始めたもの。まあどうして彼を招いたのかと言うと、彼には2冊ほどジャズ入門を謳ったジャズ本があり、またカルチャースクールでも教えており、何より今や売れ行き絶好調なジャズムックシリーズ(小学館)の監修者・選曲者でもあること。彼と一緒にジャズの愉しさ、ジャズ喫茶の利用法など、ムック本収録曲中心にジャズ入門について語り合った。
 紹介したのはマイルス、上原ひろみ、ソニー・ロリンズなどの代表的演奏や美空ひばりのジャズ歌唱等々。中で一番受けたのはやはりひばりのジャズで、ムック本でも中高年層に大反響だったと言う。紹介する曲は2人ほぼ一致したのだが、彼の店で行った打合せの場で唯一意見が分かれたのが、帝王マイルス・デイビスの扱い。ぼくは世界中で最も売れ彼を代表するアルバムとして、当然名盤『カインド・オブ・ブルー』を推し、曲は「ソー・ワット」だと主張したが、彼は断固反対。あのアルバムでかえって入門者はジャズから離れてしまう。同じ「ソー・ワット」ならばここは『フォー&モア』(これも極め付きの名盤だが...)に収められた急速調演奏を選ぶべき...と言う。結局はゲストの意見を取り入れ『フォー&モア』を採用したのだが、これは今もって些か納得いかない所でもある。


 2回目は「ジャズ・ミーツ・クラシック」と言うことで、このコラムにも登場したこともあるジャズピアニストにしてパイプオルガン奏者の岩崎(小野田)良子さん。会場にはエレピも用意されていたので、彼女はエレピを弾きながら、ジャズとクラシックの融合、パイプオルガン演奏の難しさ、スペイン音楽~特にロマ(ジプシー)音楽の魅力などについて話してくれた。彼女がパイプオルガンを始めた切っ掛けは、2人目の子供を産むために聖路加病院に入院した30代半ばのこと。そこで新しいパイプオルガン導入の話を聞き、一念発起してこの楽器をマスター、子供を置いてのヨーロッパ留学など、その苦労談は聴衆のオバン連中には大いに感銘を与えた様で、講座終了後彼女の行うジャズライブに向かった人もかなりいたようだった。

 
3回目は「ぼくのMPB」と言うことで、ぼくの音楽原点とも言えるマイルス=M、タンゴ界の鬼才アストロ・ピアソラ=P、そして楽聖バッハ=B。この3人とジャズと言うテーマで一人語りする予定だった(このMPBとはブラジルのポップ・ミュージック、ムジカ・ポピュレイラ・ブラジレイラの略語)。しかし1回目の講座でマイルスの曲を紹介どれほど知っているか聞いてみたら、なんと僅か2名だけ。これにはがっかりでどうしようかと思っていた所、後藤氏とジャズはやはりライブだと言う話で纏まり、ジャズのライブスポットの愉しみ方の方が...と思い直した。
 そこで我らが新宿「J」の名物マスターバードマン幸田こと幸田稔氏に御登場頂くことにした。昨年暮れに新宿「J」40周年で1時間のジャズ特番をオンエアーした関係などもあり、その時の音源やタモリの「J」への応援・激励メッセージなども織り込みながら、40年を振り返りジャズの愉しさなどを語り合った。幸田氏はアルトサックスも持参、半世紀以上前の大学対抗バンド合戦優勝時早稲田ジャズ研の音源(ラジオ東京)なども披露、講座の最後には持参のアルトで「ラウンド・ミッドナイト」を吹き上げてくれた。学生No1だったころには及びもつかないが、現在の年令を感じさせる、枯れていながらもしみじみとした味わい深いソロ演奏で、オジン・オバンの皆様も大感激。バードマン氏もまんざらでない様子だった。やはり持つべきものは良き友なのである。


 まあこれで3回のジャズトークは無事終了。結構面倒くさいのだがいつもはあまり聞き直すことない名盤・名演の数々を、改めて聞き直しみてやはりジャズは素晴らしきもの、良きもの...だという認識を新たにさせてくれた、ぼくにも実のある講座実施でした。


【今週の番組ゲスト:ギタリスト 井上銘さん】
昨年秋に2枚同時リリースした『MONO LIGHT』『Solo Guitar』から
M1Dan feat.Kento NAGATSUKA
M2Desperado
M3Chega De Saudade
M4Nishinoomote-Kou















3月9日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.03/08 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.452~山下洋輔健在】

 2月中旬のある夜telがあり「吉田さんと言う人から電話よ...」と家人から告げられる。どこの吉田かな...と訝りながら電話口に出ると「あー小西さん、吉田です。元気でやってます...」と闊達な声が響く。あーあの吉田さんねーと納得。ラジオNIKKEI4代前の社長で、ラジオたんぱからラジオNIKKEIに局名変更した当時の、元気印社長である。

 「小西さん、山下君(洋輔)が階段から転げ落ちた話知っているよね...」「知ってますよ、結構大変だったらしいですね...」「そうらしいね、それが1月末には大分良くなって今はもう大丈夫らしい。そこで彼の全快祝いを半蔵門にあるⅮホテルの中華料理店で28日にやろうと思うんだけど、空いてる?..」手帳を見ると何も予定なし。最近はこうした日が多くこれもチャンジーならではの悪しき特権(?)。「今の所は大丈夫のようですが...」と返すと、「じゃその日に設定しますからよろしく...」とのことで、数年振りの山下氏との会食となった。この夜は山下事務所=ジャムライスの代表、村松氏も同席するとのこと。山下さんが階段から転げ落ちたのは、去年ぼくも行った上野文化会館でのNYトリオによるコンサートの数週間後の話で、関係者もその経過を大分心配していた。
 
 そして当日、定刻少し前に中華料理店に着くと、既に山下、村松両氏と吉田さんも店にいて、すぐに乾杯と言う運びになった。山下さんはこれ一杯で、お酒はドクターストップとのこと。「いやー心配かけてすいません。1週間ほど入院はしたんですが、至って良好。新聞に何かのはずみで載ってしまい、大事になってしまったんですよ...」と語る山下洋輔さんは至って元気で、その健在振りをアピール。確かにいつもの山下氏と少しも変わらず、相変わらず洒脱でダンディーな優男である。

 この山下氏と吉田氏、実は名門私立校、麻生中・高校のなんと同級生。吉田氏もこの学園出身らしく家系も立派な良い所のお坊ちゃんで、彼もダンディーそのもの。それに対しぼくも村松氏も、都会の田舎者と言った感じで大分分が悪い。この夜も飲めない2人を置いて、ビール、紹興酒などを勝手に飲み干す次第。そういえば吉田氏がラジオたんぱの社長になった時(日経新聞本社から移籍)、「山下君はぼくの麻布学園の同級生なんで、何か番組企画出来ないかね...」と相談を受け、まず実現したのが、茅場町にある東京証券取引所でのライブ演奏会。12月30日の取引=大納会が終了し、最後の鐘が鳴り終わると同時に山下トリオの演奏が始まると言う、取引所としては初の試み。企画を持参すると先方の広報も直ぐに了解、実施しようと言うことになったのだが、問題はコンサート型グランドピアノの搬入。あんな重いものを入れると取引所の床が抜けるのでは...、またピアノ搬入で施設の様々を傷つけるのでは...などと難問山積。これらの問題を一つ一つ解決して行き、ライブ実現を成功に導いたのは、ひとえに事務所社長の村松氏と現在「台湾特番」を一緒にやっている、コーディネイター(当時はラジオたんぱ社員)のM女史、この2人の努力の賜物。前日の真夜中に全てのセッティングが終了、どうにかライブ実現まで辿り着いた時の翌朝はかなりな感激だった。当日の山下トリオの爆発具合いももの凄く、今もって結構な語り草になっているとも聞く。初もの好きの山下氏も勿論このイベントには大満足。全てが目出度し々だった。
 そしてその1か月ほど後には、1時間の山下スペシャルトーク番組もスタート。これは山下氏の多彩な人脈を生かした対談番組。初回のゲストが森田一義ことタモリ、その他筒井康隆、赤塚不二夫、坂田明など実に多士済々な面々が登場、知的な面白トークを繰り広げる番組で、ある雑誌の山下洋輔特集号では、綾戸智恵登場の回がそのままその雑誌に収録されたりもしたものだった。


 ところでぼくと山下トリオ(学生時代からファンではあったが...)との縁は40年近く前。当時たんぱの恒例企画だった、3時間になんなんとする正月特番で、タモリや研ナオコなどをメインに様々なゲストが集結する、阿鼻叫喚の面白特番を3年ほど連続でやっていたが、そのとき必ずお呼びしたのが山下さんの激烈・山下トリオ。アルトは坂田明、ドラムは後輩の小山彰太だったはず。タモリの正月特番では、先日軽井沢の陸橋から事故死(?)してしまった、何かとお騒がせな日本舞踊家、花柳幻舟も飛び入りで参加、山下トリオをバックに即興の日本舞踊を披露、実に知的にして破廉恥・馬鹿げた特番で、まあ良くやっていたものでもある。

 
 宴席では山下、吉田両氏と、アワビなどの高級食材をほおばりながら、タモリや高平哲郎、中村誠一などかつてのお仲間の噂話、吉田氏がコーディネイトとした日本人初の北アフリカ、チュニジアジャズ演奏旅行の話等々、1時間半ほど実に愉しい時間を過ごさせてもらった。山下氏の活動再開はどうやら4月下旬ごろからのようだが、自身は実に意気軒高、色々なことをやりたいと語ってくれた。会話の中でラグビーの話も飛び出し、山下氏は結構ラグビーも好き、とのことでそうであれば今年のワールドカップ、全国どこかのラグビースタジアムで、山下洋輔のピアノソロによる、国歌演奏が出来ないものか...などと言う話まで飛び出し、ぼくがラグビー協会にサウンドする羽目になってしまった。果たして神聖なグランドに、ピアノなどを搬入していいものか...。など様々な問題ありだが、一応協会に話はしてみようかな...とも思っています。何せ天下の山下洋輔のお声掛かりなんですから...。

【今週の番組ゲスト:ベーシストの井上陽介さん】
1月リリースの新譜『NEW STORIES』から
M1Stella by Starlight
M2
Love Walked In
M3
The Way You Look Tonight
M4
Teen Town

3月2日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.03/01 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.451~春が来る】

 3月がスタートした。いよいよ春の到来である。米朝会談決裂、安倍内閣の統計隠蔽などなにかと騒がしい世の中だが、春は確実に訪れるのである。と言ってもこんなチャンジー=爺さんになってしまうと、若い頃に比べ格別この季節良いこともないのだが、何か心が浮き立つのだから不思議なものである。

 
ぼくはいま軽井沢の眼科に3か月に一度通院、老化に伴っての白内障の恐れ...などと女医さんから脅され、手術も勧められているのだが何とか回避。しかし冬の時期に軽井沢迄行くのは大変なのだが、今月末がまたその時期。但しこれもどんどん春めいてくると、感じは大分変って来る。軽井沢の町は通年で定点カメラを設置、町の交通状況や雪の状態がチェック出来て大変に便利、ぼくも時々その定点カメラで北國街道沿いの追分の街の様子を見ているのだが、今年は東京で雪が僅かに積もった時にも、現地はまるでその様子もなく通行も平常、全く信じられない落ち着き具合なのである。こんなならば水止めなどしなければ...、等とも思ってしまうだがそれが素人の浅はかさ。一度気温がグーンと冷え込むとすぐに水道管の破裂などと言う最悪状態に陥り、にっちもさっちも行かなくなる。かつて数度こうした経験があるだけに、水止めだけは厳格にしているのだが、こんな雪も無い状態を見ると、今年は3月末の病院診療の時には管理会社に頼んで水を通してもらい、山荘を使えるようにしてもらおうなどと考えてしまう。そうでないと眼科診療に通うためだけに新幹線代と小諸か佐久のホテル宿泊料がかかってしまい、予想外の出費になってしまうのだ。これはチャンジーの身としてはかなりつらい。しかし確実な事にもう春なのである。

 ところでこの春=スプリングの到来を歌った、ジャズのスタンダードソングはかなり数多く、それも殆どが希望に満ちたもの...と思えばさに非ず。アメリカ北部のNYやボストン、シカゴなどと言ったジャズに関連深い大都市では、春が来ることは間違いなく大きな喜びなのだろうし、その訪れは嬉しいことに違いないのだが...。日本でも春の到来を端的に告げるのは桜の開花。これを歌ったポップスはいずれもが名曲揃いで、かなりなヒットを記録しているのに、ある意味愉しい内容だけではないのと余りか、スタンダードソングも似ている様でもある。


 こうしたスタンダードソングでの春と言えば、まず何を置いても「スプリング・イズ・ヒア」だろう。ジャズピアノの名匠、ビル・エバンス・トリオの『ポートレート・イン・ジャズ』での演奏が秀逸だったが、歌い手ではクリス・コナー、キャロル・スローンと言った名家達の絶唱が印象深い。但しこの歌詞は決して明るい「春礼賛」などと言うものでは無い失恋のトーチソングで、春は来ても恋人がいない為少しも愉しくない...等と歌われている。もう1曲夫婦デュオのジャッキー&ロイやカーメン・マクレー、ダイアン・リーブスなどが唄った「スプリング・キャン・リアリー・ハング・ユー・アップ・ザ・モスト」も似たような失恋ソング。どうやらスタンダードの中で描かれた春は、ある意味結構シビアで余り明るいものとは言えない。
 
一方ジャズメンオリジナルでも、いくつか春がテーマになっており、まず最も有名なのは夭逝した天才トランぺッターのクリフォード・ブラウンの「ジョイ・スプリング」。これはタイトル通り春到来の喜びを爆発させた急速調のナンバー。一方同じトランぺッターで「静かなるブルーの人」等と言った形容句付きで語られることも多いケニー・ドーハム。彼には少し哀愁を帯びた「ブルー・スプリング」と言った佳曲もある。

 
いずれにせよジャズの世界でも、春と言った季節は重要なファクターの一つであることは間違いない。ぼくもロートルとは言え、春=スプリングを目一杯愉しもうと今思っている所なんです。 

【今週の番組ゲスト:3年ぶりのご出演nouon(ノウオン)のヴァイブラフォン&マリンバ奏者の山田あずささんとピアニストのケビン・マキューさん】
2ndアルバム『Flow』から
M1Selectness
M2Pigeons
M3Dicks
M4Kebiman Kebumen

2月23日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.02/22 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.450~児山紀芳】

先日のこのコラムでも少し紹介したとおり、
ジャズジャーナリストの児山紀芳氏が、2月初旬に亡くなった。もう80才を超えていたはずだが、長年NHKのジャズ番組「ジャズ・トゥナイト」を担当しており、そのパーソナリティー役も昨年ぐらいから降板、大分体の調子を崩しているらしいとの話は聞いていた。そんな折彼が新しいジャズ本「いつもジャズのことばかり考えていた」(白水社)を発表、昨年秋お茶の水「ディスクユニオン・ジャズトウキョウ店」でその出版記念イベントをやっている場に偶然出くわし、久しぶりに短い挨拶を交わした。調子が悪いと聞いていた割には元気そうだったが、やはり昔のような張りには欠けた。「元気にしてる...」と声を掛けられ少し世間話をし、こちらも用事があったのと、彼の方もイベント開始直前だったので、それで別れたがそれが最後だった。

 
児山氏は日本のモダンジャズ全盛時代、70~80年代に当時の中心誌「スイングジャーナル」の編集長としてシーンを牽引していた。我が「テイスト・オブ・ジャズ」で毎月最後に登場、様々なテーマでジャズトークを繰り広げているライターの青木和富氏も、今回彼の想い出を中心に語ってくれており、その中で彼によってジャズライターの道が開けた話を披露している。まあかく言うぼくもそれと同様の一人で、ジャズに関する記事を初めて書いたのはスイングジャーナル誌だった。その後ぼくはライバル誌とも言える「ジャズ・ライフ」の方にレビューなどを描くようになり、余り児山氏との関係は深くなかったが、青木氏は彼との付き合いも長いだけに、今回の放送でも色々なエピソードも紹介してくれている。

 彼は雑誌編集長を2度ほど務め上げた後、今度はレコード業界に転じ、ここでもその広い人脈を生かし様々なジャズアルバムを制作、一方クリフォード・ブラウンやアート・ペッパーなどの未発表音源の発掘作業にも努め、世界中のジャズ関係者から「ボックスマン(一人のプレーヤーのコンプリートボックスアルバムを制作)」としても知られていた。ただレコード会社は小規模な雑誌社などとは違いれっきとした企業、それだけに様々な軋轢などもあり結局は長続きせずに辞めてしまい、以降は物書き、プロデューサーなどとして活動、前者についてはラジオジャズパーソナリティーも行っていたようである。長い編集長生活で培った人脈は実に豊富で、海外の有名ミュージシャン達からの信頼も厚いものがあった。あのアート・ペッパーなどは「マンボ・コヤマ」と言った曲を彼に捧げており、その演奏は番組の中でも青木氏が紹介している筈である。

 
児山さんの編集長時代はジャズ全盛でジャズアルバムがよく売れた時代。元々関西出身で商売上手でもあった彼は「ゴールドディスク」と言う雑誌公認のお墨付きアルバムを毎月世に送り出すことになり、これがまた結構セールスを挙げたので受けに行っていた。しかしこの企画、中には売らんかな...のアルバムも少なくなく正に玉石混交状態。これが彼の評価を貶める大きな一因にもなっていたし、やり手に共通した強引さなどもあり結構色々言われ易い人ではあった。しかしジャーナリストとしてはやはり一流、ジャズ本のタイトルにもある通り、彼にはやはり「ジャズしかなかった」のであり、良い意味でのジャズ馬鹿でもあったのだ。葬儀は野暮用があり参加できなかったが、行った人に聞くとあの彼にしては...と言う感じで、いささか寂しい葬儀のようだったが、プロデュサー、ボックスマン、そしてジャズジャーナリストとしての彼のJ-ジャズに対する貢献度はかなり大きなものだったと思う。冥福を祈る。合掌!

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富氏】
23日に亡くなられた音楽評論家の児山紀芳さんの思い出を語って頂きました。
M1Manbo Koyama / Art Pepper
M22 Degrees East - 3 Degrees West / John Lewis
M3Joy Spring / Clifford Brown & Max Roach
M4St. Thomas / Sonny Rollins

2月16日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.02/15 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.449~注目のサックス奏者ダニー・マッキャスリン】

 デビッド・ボウイが亡くなったのは3年程前の2016年1月のことで、遺作になった『★(ブラックスター)』は、ロックの殿堂入りを果たしロック界のアイコンとして話題を集め続けた存在のラストアルバムだけに、何かと評判を呼びセールスも良かったと聞く。その『★』で主役のボウイを助ける重要な役割を担ったのが、テナーサックスのダニー・マッキャスリンとドラムのマーク・ジュリアナ、21世紀のジャズシーンを牽引する2人のプレーヤーだった。元々ボウイはジャズとは結構関りも深く(ジャズ好きだと思われる)、かつての大ヒットアルバム『ジギー・スタンダード』(72年)にはジャズプレーヤーも参加、主演映画ではあの巨星ギル・エバンスとも共演したりしていた。それだけにラストアルバムの構想が出来上がりバックメンバーを探すために、現代きっての才媛の作・編曲者&バンドリーダー、マリア・シュナイダーに相談に行ったときに紹介されたのがこの2人。直ぐに彼らを『★』に起用することを決め、ボウイの遺作サウンドはかなりジャズテイストが感じられるものに仕上がった。


 このラストアルバムで一躍世界的にも有名になった2人だが、彼らは17年初めにマッキャスリンをリーダーとするユニットで訪日、東京「ブルーノート」での公演は大反響を呼び、一躍ジャズ界のニュースターとして日本でも注目を集めるようになる。そんな彼らの一人、ダニー・マッキャスリンが2月初めに再度の来日を果たし、またブルーノートのステージに立つと言う。このニュースを聞きつけたのがラジオNIKKEIのボウイ大好き社員で、是非聴きに行きたい...と言うのでブルーノートに付き合うことにした。マッキャスリンの新しいアルバムは『ブロウ』と言うタイトルで、かなりロック色の強いアルバムだが、素晴らしい内容だと彼は言う。まあ余りそちらの色が強いのも...と思ったがいずれにせよ今注目の存在だけに、聴いておくのも決して無駄では無いと考えたのである。

 
今回のステージには、前回共に登場したマーク・ジュリアナ(ds)の姿はなく、彼への期待も大きかっただけにいささか残念な思いもしたが、彼に代わってドラムの椅子に座ったザック・ダンジガーも中々の強者。ロックビートをメインに今風のエキサイティングでエッジの効いたドラミングを展開してくれた。ユニットはロックファンには名前の知られているらしい、ボーカル&ギターのジェフ・テイラーを全面フューチャーしており、オープニングナンバーは完璧にロック色。その上マッキャスリンもボーカルを披露、これはどうなることか...と思っていると、2曲目からは大分趣きが変わって来て、基本ロックテイストではあるが、ハードコアなジャズ的要素も加わり興味深いものになって行く。中でもキーボード奏者が全体のサウンドを作り上げており、誰だろうとチラシを見るとこれがぼくのご贔屓の一人ジェイソン・リンドナー。うかつにも彼がボウイの『★』に参加していたことを忘れていたが、このマッキャスリンのステージでも変則ながら実に印象的なスペーシーサウンドを構築、ステージを盛り上げる。リンドナーと言うピアニスト&キーボード奏者は実に懐の深いプレーヤーで、数年前にはブラジルに移住し現地のミュージシャンと共演した楽園系の素敵なブラジリアンジャズアルバムを発表しており、純生のピアノトリオでも素晴らしい作品を制作する変幻自在な才人。ここでもマッキャスリンを自在・闊達な蠱惑的サウンドで刺激、それに触発されたマッキャスリンも長尺なテナーソロの「ブロウ」を展開、大いに気を吐く。ロック&ジャズの入り混じった刺激的な音空間がステージでは現出され、全体にかなりな興奮度だった。

 
いまジャズは、ピアニスト&プロデューサー、ロバート・グラスパーを筆頭とするアフリカン・アメリカンの中堅から若いプレーヤー達が活躍、ヒップホップなどをベースに彼らの日常~ストリート感覚を生かした新しいジャズを提供、これが大きな潮流として時代をリードしつつある。彼らの音楽は一時余り元気の無かった感もある、アフリカン・アメリカン(黒人)・ジャズの強烈な復権を物語るものだと思うのだが(どうもヒップホップ自体に馴染めないので、その意義は大いに認めるにしろぼく自身は敬遠気味だが...)、これに対してマッキャスリンやジュリアナの音楽(ジャズ)は、ホワイトアメリカン達からのグラスパー一派に対する挑戦状、ないしはアンチテーゼの様にも見て取れる。ここら辺皆様は如何にお考えだろうか...。まあこの双方共そんな意識は余り無いかも知れないが、お互いに切磋琢磨し時に融合・交流を図りながら、21世紀の新たなジャズを構築していくのでは...と、ぼくは今大いに期待している所なのですが...。いずれにせよダニー・マッキャスリンのステージはかなfり愉しませてもらいましたよ。

【今週の番組ゲスト:ジャズクラリネット奏者の谷口英治さん】
4年ぶり、記念すべき10枚目のリーダーアルバム「In A Mellow Tone」から

M1
Begin the Beguine
M2Crazy Rhythm
M3Lil' Darlin
M4Jumpin' at the Woodside
M5In A Mellow Tone


2月9日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019.02/08 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.448~橋本治死す】

 ぼくの様なオールドボーイ=ロートルともなると、周りにはこの所訃報も数多く、余り人の死亡ニュースにも関心が無くなってくる。だがこの人の死亡ニュースには少しばかり驚かされた。作家・エッセイストにして、批評家、思想家とも言えそうな橋本治である。死因は癌ではなく肺炎とのこのようで、かなりな大男だが病には勝てなかったのである。橋本治と言っても今の若い人達は、なにその男...と言った感じで、殆ど名前を聞いたことも見たこともないと言った所だろう。しかし凄い男なのである。日本古来の伝統から流行りのアイドルまで、縦横に語れ視野も広く文明観もしっかり持ち、しかもあのデビュー作の「桃尻娘」に象徴されるようにポップさも兼ね備え、更に言えばセーター編みの大家でもある。そんな彼がいなくなるのは、日本全体にとって大損失なのは間違いない。

 
まあ彼にそんなに入れ込んでいるぼくではあるが、彼と最後に会ったのは今からもう30年以上も前のことで、彼の家(独身の彼は当時確か練馬区住まいだったと思う)迄行って、出演交渉をした時のこと。都会(住宅地)の中でただ一人蟄居生活とでも言えそうな、良く言えばシンプルライフ、実際は何とも侘しい生活、現代の兼好法師と言った趣きさえあったように思う。番組は2時間を超す長尺のライバル対談番組(当時はこんな番組も作らされていた)で、当時話題を集めていた気鋭作家が、橋本相手ならば俺も出演する...と言い出し、それを受けての出演交渉だったが、橋本の方はその作家へ少しも関心が無く交渉結果は見事にバツ、出演拒否されてしまった。
 実は彼に断られたのはこれが2度目だったが、その出演拒否の理由が全く橋本の言うとおりだったのですごすご引き返すしかなかった。最初の出演交渉は彼が未だ東大の学生時代、あの余りにも有名になった東大5月祭のポスター「止めてくれるなおっかさん、背中のイチョウが...」を作った直後、ぼくも入局数年目、若さに任せて頼み込んだのだがこの時もキッパリと拒否、それから10数年たっての再交渉も駄目で、そういう意味では全く仕事をしたこともないし、会ったのも若い頃に数回だけ。伝説の四谷の文壇飲み屋「ホワイト」(ここでは沢山特番を造らせてもらいました)物腰は柔らかいが強烈な印象を残す男の人で、なんとも忘れ難い存在だった。

 
その彼は後年「源氏物語」や「平家物語」、「枕草子」など古典ものの独特な現代語訳で、他を寄せ付けない業績を残してくれたのだが、ぼくが惹かれたのはその小説群。「ツバメが来た日」「蝶のゆくえ」等の短編集。「巡礼」「リア家の人達」などの長編群。どれも一つとしてハズレ作の無い実に読みごたえのある、現代きっての作家だったと思うし、中でも短編の切れ味は抜群で最高の短編作家でもあった。また日本の現状についても厳しい眼差しを向け、鋭い指摘を行っており、その評論集・思想集は分かり易い体裁ながら独特な怒りを発していた。今彼の死によって小説、思想等その作品が読めなくなるのは実に寂しいが、まあそれも全て詮無きことなのである。

 実は彼はぼくの高校の後輩で、ぼくの卒業時に入学と言う感じで学校ではダブってはいないのだが、その豊多摩と言う高校、杉並区の公立進学校で西高に次ぐ存在、東大合格者もそれなりにいた。今は残念ながら大分落ちぶれてしまった様でもあるが、そのつてで出演依頼もした訳だが、あっけなく敗退。以降は無関係だったがぼくは彼の小説・エッセイのかなり熱心なファンの一人。それだけに一度はちゃんと仕事をしてみたかったが...。
 
 
とここ迄橋本治の死亡について書き終えたら、またも二人の死亡ニュースを知らされた。一人は今は亡きジャズ雑誌「スイング・ジャーナル」の名物編集長で未発表音源の発掘などで「ボックス・マン」として世界中のジャズジャーナリストにも知られた児山紀芳氏、スキャンダルゴシップ雑誌と言われながらも、強烈な反骨・反体制精神を貫いた奇跡の雑誌「噂の真相」の名物編集長、岡留安則、奇しくも同じ雑誌編集者の死である。
児山さんについてはジャズトークで青木和富氏も語る筈だし、このコラムでもまた改めて書かせてもらおうと思っている。一方岡留氏の方は享年71才、橋本と同じ年の筈である。雑誌を終刊にしてからは余り噂を耳にしたことも無かったが、昔からお気に入りの沖縄に居を移したようで、その地で亡くなったとのこと。局の後輩でジャズ研の後輩でもあるエルカミナンテ岡本育夫が、彼を使った番組をやっておりそれで知り合ったが、その他にも新宿ゴールデン街の飲み屋でも時々一緒になることもあった。彼もまたすごい漢だった。どんどんそうした好漢がいなくなってしまう。寂しい限りです。

【今週の番組ゲスト:ジャズシンガーの黒木美紀さん、ギタリストでプロデューサーの三好'三吉'功郎さん】
黒木さんのデビューアルバム「Leaf of Glass」から
M1
How high the moon
M2
「リン。」
M3
One note samba
M4
Leaf of Glass
M5
「"Hiya-jill" for two

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