5月28日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.05/27 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.307~最近のPIストーリー】

  この4月から番組では毎月最終週のこの時間、ジャズ評論家の青木和富氏にジャズのお勉強と言うタイトルで、20世紀最高のポップミュージック~ジャズを体系的に見直してみようというシリーズ企画をお願いしている。ジャズの歴史を振り返りつつ、これからのジャズも見据えていこうと言うジャズ教養講座(と言っても決して堅苦しい内容ではありません)なのだが、今回はその2回目。初回がジャズの誕生からシカゴ、NYへと進出した辺りまで、そして今回は「スイングトゥバップ」と言うことで、いよいよモダンジャズのとば口へ到着ということになった。狂乱の20年代から30年代、スイングジャズ全盛期のキング、ベニー・グッドマンをはじめグレン・ミラー。更にはスイングからビバップへの移行期の代表的プレーヤー、夭逝したギタリスト、チャーリー・クリスチャン等々、様々なミュージシャンが登場する。このジャズのお勉強、ぼくにとっても思い返すこと、知らなかったことなど数々あって、結構ぼくにとってもお役に立つ講義なのだ。と言う訳でこのお勉強に是非皆様にもお付き合い願いたいと思っている。

 まあ番組はこんな感じだが...、このところハードボイルド系PI(私立探偵)ものの小説や映画などで、かなり面白いものがいくつか出て来ているので、久し振りにそこら辺から紹介してみたいと思う。わが国のハードボイルド探偵小説としては、現在は札幌在住の東直己(大のジャズ好き)が一人気を吐いている感も強い。彼には酔いどれの「名無し探偵」と、かなり生真面目な本格派探偵~畝原ものの2シリーズがあり、松田龍平が出演しかなりヒットした探偵シリーズ映画は酔いどれ探偵の方。この他にも大田忠司など何人か頑張っている人もいるのだが、如何せん衰退状況は否めない。そこで全く違うタイプの探偵ものとして登場したのが、北川景子主演でTVドラマ化もされた「探偵の探偵」。松岡圭祐の書いたこの探偵ものは、タイトルどおり興信所所属探偵の非行を暴く探偵。DV被害者の身元を暴露など、実社会でもこの手の探偵の悪行がニュースにもなっているだけになかなかに興味深いし、良い所に目をつけた感じもある。主役は紗崎玲奈という女探偵。女と言うところもミソで、TVドラマは見ていないが小説は久々にスリリングで面白かった。このシリーズ4巻で収束。

 そしてビデオでは少し前に出たリーアム・ニールソン主演の「誘拐の掟」が秀逸。これは人気ハードボイルド作家、ローレンス・ブロックの私立探偵マッド・スカダーものの映画化で、監督は名脚本家としても知られるスコット・フランクの監督デビュー作。その演出・映像共にハードボイルドの頂点を極めた素晴らしいものとしてお勧めしたい。このリーアムのマッド・スカダーに唸らされていたら、もっと凄い傑作があった。アメリカのTVシリーズの「トゥルー・ディテクティブ」。ウディー・ハレルセンとマシュー・マコノヒー、この実力派・個性派2人がタッグを組むハードボイルドもの。ビデオ屋でそのチラシを見た時、これは傑作と言う予感がしたのだが、それを超える様なまさに素晴らしい逸品だった。全4巻でエピソードは8話。舞台はアメリカの暗部とも言える南部ディープサウスのアラバマ州辺り、バイヨーとも言われる湖沼地帯がメインで、この舞台設定からしてスリリング。主演の2人はこの地域警察でタッグを組む刑事。なんだタイトルと違っていま日本でも大うけの、ぼくにとっては余り好みでない刑事ものか...、と思ったらラストの第4巻、エピソード7から、2人は警察を辞めPI(私立探偵)として迷宮入りの事件を追い、傷つきながらも解決すると言う、なんと20年近い歳月が経過するワクワク・ドキドキのハードボイルドな展開。マシューの方は周囲とは相入れない一匹狼。一方ウディはいかにも南部男と言った、いささか粗野だが感情豊かな刑事。南部だけに悪魔教、幼児虐待・殺害などの暗い事件がベースで、NYやロス、サンフランシスコなどの大都市アメリカしか知らない(ぼくもその一人だが)日本人に、全く異なった考え・生き方をする(ここら辺が大統領候補としてトランプが進出するにも大きくものを言っているはずだが)、その南部の暗い保守体質。日系の新進監督の作品らしいが良く描かれており、何より主役の2人が素晴らしい。彼ら2人にショーン・ペンを加えた3人。彼等こそ今のアメリカを象徴する実力派で、アメリカ映画の肝とぼくは信じているが、その2人の揃い踏み。悪いはずがありません。大推薦です。
 こうしたアメリカTVシリーズもの、今までは殆ど見ることはなかったのですが、いささか驚だされました。音楽担当はシンガーとして以上にプロデューサーとして注目を集めている才人、T・ボーン・バーネット。自身が歌う主題歌だけでなく挿入されるバック音楽も実にスリリングでグッドです。この「トゥルー・ディテクティブ」、役者や舞台(ロス)も大きく変えたシーズンⅡがレンタル開始になっています。果たしてどんな内容なのか...。マシューとウディ―のPartⅠほど食指は動きませんが、これも見ないとならないですね。
【今週の番組ゲスト:「ジャズのお勉強」先生は音楽評論家の青木和富さん】

M1「HEEBIE JEEBIES」
M2「SUNG SING SING」
M3「FLYING HOME」
M4「SWING TO BOP」
M5「KOKO」 

5月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.05/20 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.306~グランドピアノ】

 日本のファンが最も好むのがピアノジャズそれもピアノトリオもの、ジャズアルバムで売れるのはもっぱらピアノトリオノアルバムだし、それに伴ってかジャズアルバムが出されるのもまたトリオものがほとんど。こうした傾向は決して好ましいものとは言い難いが、ある意味仕方ない面もある。サックスやトランペットと言うかつての花形楽器は、プレーヤー個々の個性と言うか、まずその出す音自体が人によって千差万別。人間ひとりひとりの生理を写し取ったような、その生音を受け付けないとなると、どんな素晴らしいアドリブプレーを繰り広げたとしても、そのプレーヤーは自分にとって無縁な人と言うことになってしまう。しかしピアノに関して、プレーは様々なスタイルがあっても、楽器の特質として、平均律と言うか...根本の音自体は誰もがさほど変わらない。それだけに音に対する好き嫌いは余り派生しない。そのうえピアノはギターと共に「小さなオーケストラ」とも呼ばれ、それ自身で自立できる(=ソロで成り立つ)表現力豊かな楽器でもある。まあそれやこれやでピアノはジャズ楽器の主力として君臨しているのだと言えそうである。

 
さてそんな圧倒的な人気を誇る楽器~ピアノ、その頂点ともなるのが堂々としたグランドピアノとなる訳だが、それをそのままタイトルにしたアルバムを先ごろ発表したのが、ベテランの伊原康二氏。50年近いキャリアを誇る彼にとって、このアルバムは3枚目のリーダー作となり、純粋なピアニストとしては確かデビューアルバムの筈である。その彼の久々のアルバム発表と言うことだし、彼自身も是非番組に来たいという強い要望もあって、およそ10年振りに彼にスタジオに遊びに来てもらうことにした。かつてのフランスギャング映画の出演者のような強面の風貌の彼だが、根は実に繊細でセンス良い人。

 
元々彼は日本を代表するオルガン奏者で、かつては渋谷でオルガン演奏をメインとした珍しいジャズクラブを経営していたこともある。それだけにその前作も当然オルガン・ジャズアルバムで、これが愉しさ溢れた仲々の出来栄え。ジャズ雑誌でレビューを担当してかなり褒めておいたのだが、その関係で彼と縁が出来、そのお店に行ったりもしたものだった。それから10年余り、今の彼はもうほとんどオルガンは弾かなくなってしまい、専らピアニストとして活動しているのだと言う。その彼のピアノに惚れたある篤志家がスポンサーになり新作が誕生したのだが、いささか残念でもあるが、それもまた仕方ない所だし、このピアノジャズアルバムの出来栄えもかなりなものなので、それもまた良しとすべきなのだろう。現在60代半ばの彼は、80才で現役引退を広言しており、キャリア50年で3枚のアルバム、それについては「ゆっくりと生きて来た証しです」と語ってくれた。引退後は」ファンの皆がたまに思い出してくれれば嬉しいです」と言うことだそうだ。

 
アルバムは「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」など良く知られたスタンダードが10曲で、ラストに自身のオリジナル、インド政府の招きで現地のジャズフェスに出演、その時見た現地リゾート海岸での心象風景を綴った「サイン」が収められている。また3曲でストリングスとの共演もあり、ジャズピアニストとしては大変に嬉しいことだったと言うが、確かにウイズストリングスものを1枚は作ってみたい、と言うのは多くのジャズプレーヤー達の願望。その望みが叶えられたのだから、言うことなしである。面白いことにはアルバム出資者でもある篤志家が、数曲で自身のフリューゲル・ホーンの妙演を披露していること。これが素人はだしの出来栄えで、伊原氏のピアノに輝きを加えている。この関係ジャズにしてはかなり良いものですね。まあそれに倣って、どなたかお金持ちのジャズ好きな篤志家の方が、我が「テイスト・オブ・ジャズ」のスポンサーとして、名乗りを上げてくれませんかね。こりゃいささか虫が良すぎですかね、失礼しました。
【今週の番組ゲスト:ジャズピアニストの伊原康二さん】
M1「These foolis things」
M2「You go to my head」
M3「sign」
M4「Fly me to the moon」

5月14日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.05/13 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.305~信濃追分16春景色】

 GWは例年通り追分の山荘で過ごした。4月28日から5月7日まで10日ほど、結構長くいたものだが、8日は山下新監督の新生早稲田ラグビー部の大事な初戦が早稲田上井草グランドであり、これは是非見ないとならない試合。山荘での用事を切り上げ、泣く々7日の夜中に帰京した次第だった。このGW期間、軽井沢~追分もさすがに車も混んでおり、この間軽井沢の街に出たのは、しなの鉄道の中軽井沢駅の上にある軽井沢図書館(全国でも有数の好図書館で、館長は元NHKアナで朗読家の青木裕子さん)に本を借りに行ったのと、大賀ホールでこの夏のお盆の日(ぼくの誕生日でもあります)に行われる堤剛のバッハ無伴奏チェロ組曲の全曲演奏会の前売りチケットを買い求めに行った2回だけ。大賀ホールは軽井沢駅の近くだけにかなりな混雑具合、チケットを入手したら早々に引き上げてきたのだが、このGW混雑も一昔前に比べたら雲泥の差。以前は全く車など動くあてもなかったのだが、今はそんなことも無く軽井沢も駅南口の有名なアウトレット以外はさしたる混雑も無い。軽井沢の象徴とされた旧軽銀座もさしたる混雑も無かったと聞くし、全く人の動きが変わってしまったようで、これもまた時代の流れなのか...


 
さてその堤剛のバッハ無伴奏チェロコンサートだが、いつもは音楽会チケットを買うなどと言うことはほとんど無く、これも大賀ホールの支配人に無理に頼み込めばどうにかなったかも知れないのだが...、誕生日と言う記念日コンサートだし、以前大賀ホールで世界的チェロの名手、ヨー・ヨー・マがやはり無伴奏をやると言うので、発売日に予約を入れたのだが発売数分で数万円の席は売り切れ完売...と言う苦い経験もあって、今回わざわざチケットセンターに出向いたという訳。この無伴奏コンサート、全部で6つあるバッハの無伴奏チェロ組曲を、一日で全曲演奏すると言う、かなり大胆にして無謀とも思える企画。名手堤剛にしても体力・気力ともに全てを使い切る大仕事なのだが、それに果敢に挑戦したその意気込みを評価,これは是非ものの必聴コンサートだと今から大いなる愉しみで、この夏のぼくにとっての追分一大イベントにもなっている。

 
そしてもう一つの軽井沢イベントと言えば、やはり「軽井沢ジャズ・フェス」。このジャズイベントについてはこれまで数回このコラムでも紹介してきたが、これを立ち上げた伊藤八十八(やそはち)くんが一昨年惜しくも亡くなってしまい、昨年は奥さんがそれを受け継いで街イベントとして実施。今年もまた彼女がヤソさんの遺志を継いで実施することになっている。イベントの構成は古くからのぼくの友人で、フジTVお笑い路線を確立した立役者の高平哲郎氏。今年は彼の進言で7月30日の日曜日一日限りの公演になったのだが「ぐっと充実した内容にするから期待してて...」と言う高平氏の言。そこで今度伊藤氏夫人と高平先生にスタジオに来てもらい、ジャズフェスの話や伊東氏のジャズ業績・その思い出などを、2人に語ってもらうことにしている。皆様も楽しみにしていてください。

 
ところでGWの追分山荘暮らし、これまでだと亡き我がバカ犬ピーちゃんを連れて、御影用水の畔の小道から森の中の遊歩道など毎朝一時間ほどの遊歩が日課だったが、連れがいないとこれが億劫で一度も散歩に出なかった。持病の糖尿病には良くないのは判っているのだが、意志薄弱だけに足が動かず、反省しきりである。今年の収穫は我が山荘の庭を闊歩するつがいの雉の親子3羽を早朝に見かけたこと。雉自身は時々見かけるし「ケーン・ケーン...」と言う甲高く鋭い鳴き声も良く耳にして、犬に襲われなければ...などとも心配してしまうのだが、その朝は鳴き声が異様に近くで聞こえうるさい感じ。これはすぐそばにいるのかと窓から見ると、なんと3羽も庭を歩き回り鳴きかわしており、その雄雉の立派さにしばし見とれてしまった。少し経つとこの家族いずこかに消えてしまったが、森の中に家も多く道路もあって車も通るだけに心配一入だった。だがまあどうにかなったのだろう。彼等を見れて何かホッとするいい想いがしたのも事実だった。そういえば以前サルが2匹屋根で寝そべっていたこと、シカが庭を横切って行ったこと等も思い出され、一寸した追分山荘動物交遊録でもある。

 
山荘では相も変わらずCD整理を行っているがこれも遅々として進まない。このGWで良く聴いたのは、チケットを買ったバッハの無伴奏チェロ組曲。今は亡き名匠シュタルケルの鋭く激しい演奏が最もフィットしたが、ジャズサックス奏者としても知られる、清水靖晃のサックス無伴奏によるこの全曲、かつて大きな話題を呼んだサックスソロによる全曲アルバムも、改めて世界に誇るべき素晴らしいものだと思った。まあいずれにせよ仲々にいいGWでした。
【今週の番組ゲスト:ヴォーカリストでフルーティストの若生りえさん】
M1「Tea For Two」
M2「CUTE」
M3「きっと青い空」
M4「The Gift」


4月30日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.04/29 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.303~ジャズのお勉強①】

 以前にこのコラムでも少し書いたのだが、この4月から番組では毎月最終週に「ジャズのお勉強」と言うことで、少し体系的にジャズを学び直す~ジャズ史を振り返りながらジャズを見つめ直す、ジャズのお勉強企画をスタートさせることにした。一応今年いっぱい全部で9回の放送で、ジャズのスタートから今の新たなジャズ状況までを見て行こうという新たな試み。20世紀の大衆音楽(ポピュラーミュージック)を牽引、その全てに大きな影響を与えたジャズと言う音楽。それが今世紀に入りどう変化、深化していくのか...。今もう一度見直す必要があるのでは...と考えてこの企画を実施することにした。ジャズ講師はぼくと同世代のジャズ評論家で話も面白く見識も広い青木和富氏。

 
下町=門前仲町の老舗煎餅屋の息子として生まれ育った彼は、確か高校生時代にジャズに開眼。早稲田大の理工学部で学んだなかなかの秀才だが、大学を出て程なくジャズライター家業を始めた...と言う異色の経歴。理数系出身だけにメカにも詳しく、芸術にも精通しているという万能型。知り合って30数年だが、一緒に飲んで議論したりするとその見識の広さ、深さに感心させられることしばしば。ただ少し短気な所がたまにキズか...。

 
その和富氏(かずとみし)は、名前から「わふう」と呼ぶことも多い。数年前に別荘だった富士山麓(河口湖そば)鳴沢村の方に住まいを移し、東京での仕事やジャズライブなどの折には、そこから高速バスに乗って2時間ほどはるばるやって来る。いやはや大変な労力で、ぼくも追分山荘住まいを薦められたが、東京に出る労力を考えるだけでも二の足を踏んでしまう。それだけにこの「ジャズのお勉強」企画、彼に頼むのはどうかな...と悩んでいた。と言うのも再三触れているように、当番組の出演者はノーギャラ原則でボランティア出演だけに、頼みづらいうえに富士山の麓からのお越しとあっては、流石のぼくでも頼みにくい。それとなくその話を振ってみると、前々からの知合いだけに番組事情も知り尽くしており、どうにか承諾を得ることが出来た。感謝・感謝である。その代り収録終了後には酒を奢る等々、何らかお返しをするということで納得してもらった。

 
その第1回目をスタジオ収録した。ニューオルリーンズの有名なコンゴ広場でのジャズ誕生逸話から世界初のジャズ録音(SPで音は悪い)、ジャズの神様~サッチモことルイ・アームストロングのスキャット歌唱、そして狂乱の「ローリング20(トゥエンティーズ)」に象徴されるスイングジャズ全盛期まで、40年以上の歴史を30分で一挙にお送りしようという、余りにも欲張った無謀な企画で、わふう氏も初回だけに力が入り、余りにも詰め込み過ぎの嫌いもあり、ドタバタで終了してしまった。それでもどうにかモダンジャズ前史は俯瞰出来る内容だった。次回はスイングからモダンジャズの移行期、スイングトゥバップ期の演奏を取り上げる予定で、講師も張り切って富士山の麓から出勤する。
 「ジャズをあまり堅苦しく考えないで、愉しみながらお勉強を皆さんとしていきたい~ぼく自身の勉強にもなるので~と考えていますからこれからもよろしくお付き合いください(わふう氏)」。いよいよジャズのお勉強が始まります。特にテストもない気楽なもので、今まであまり紹介されなかった音源等も登場するはずですので、わふう氏ともどもよろしくお願いしますね。

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さん
「今月から毎月最終放送日には音楽評論家の青木和富さんにジャズの歴史や豆知識などお話し頂く「ジャズのお勉強」をおおくりします。」
M1「DARKTOWN STRUTTERS' BALL /  ORIGINAL DIXIELAND JAZZ BAND」
M2「HEEBEE JEEBIES / LOUIS ARMSTRONG and his HOT FIVE」
M3「JAZZ ME BLUES / BIX BEIDERBECKE and his ORCHESTRA」
M4「THE MOOCHE / DUKE ELLINGTON and his ORCHESTRA」
M5「WHAT A LITTLE MOONLIGHT CAN DO /  TEDDY WILSON and his ORCHESTRA」
M6「LESTER LEAPS IN / COUNT BASIE'S KANSAS CITY SEVEN」
  


4月23日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.04/22 番組スタッフ 記事URL

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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.302~ジャージーハワイアン】

 
このところのご婦人方のフラダンス熱、なかなかのものでそれに伴いハワイアンも見直されつつあるのだと言う。常磐ハワイアンとフラガールズ、または「アロハ・オエ」「カイマナヒラ」位しかハワイアンの知識のない浅はかな男だが、ハワイ在住のハーブ・オオタがウクレレでジャズを演奏したり、「スティール・ギター・ジャズ」なんてアルバムが30年以上前に出されていた...というジャズとハワイアンの接点については僅かながら知っている。だがどうもジャズとハワイアン、この2つは最も離れた所に位置するポピュラーミュージックだという考えが、ぼくの中には根強い。確かに最近のハワイアンと言うのは段々ポップス化していることは、誰かから教えられた覚えがあり、最近では早稲田大の名門音楽サークル~ナレオハワイアンズ(通称ナレオ)が、あの正統派のハワイアンナンバーをほとんど取り上げず、もっぱらポップスバンドになっているとも聞いた。今や音楽ジャンルの壁などはどうでもいいんだ...と言った感じも強いので、こうした傾向は至極当然なのかも、などと考えていた。
 
 その矢先、レギュラーレビューアーを務めているジャズ雑誌から、ハワイアンアルバムのレビュー依頼が来た。なぜジャズ雑誌がハワイアンを...、などと思いながらアルバムを聴くと、これがジャージーでいい感じのアルバム。そこでレビューでは「心和むいい感触のジャージーハワイアンアルバムで、かなり評価出来るのでは...」と記しておいた。かなりジャズっぽい感じもあるので、誰がアレンジを務めているのかと気になりクレジットを見ると、あの北島直樹。長い間寺井尚子の音楽監督的役割を果たして来た彼とは、5年ほど前に彼のアルバムプロデュースを手伝った関係もあり周知の仲。そこでハタと気が付いた。彼のコンサートで挨拶された安部よう子さんという女性。彼女はフラダンスクラブのお師匠さんで「想いでの歌を歌う会」という歌唱グループのお師匠さん(多くの会員がいるクラブ)。更に彼女は北島氏の奥方でもある方だった。その安部よう子さんが今回初めて出したアルバムのタイトルは『ウエリナ』。愛しいと言った意味合いで、彼女のハワイに対する愛しさが全編に溢れており好感が持てるもの。

 
 そこで彼女とご主人の北島氏に連れだって、スタジオに遊びに来てもらうことにした。こうしたラジオ番組は初めてと言う彼女は幾分緊張気味だったが、色々とハワイアンそしてジャズなどについても楽しげに語ってくれた。
 
元々はジャズ歌手としてスタートした彼女だが、結婚を機に歌手活動を休止、フラダンスを習いはじめてメキメキ腕を上げ、多くの生徒さんを抱えるお師匠さんになり、本職の歌の方も「想いでの歌の会」で生徒さんに歌唱を教えることになり、その結果今回ハワイアンのアルバムを初めて世に問うことになったと言う。そしてその伴奏とアレンジはもちろん旦那の北島氏。夫婦手を取り合ってのアルバム完成と言うこととなった。「フラヘブン」などの典型的なハワイアンナンバーから「フォー・センチメンタル・リーズン」等のスタンダードソング、そしてラストはお別れの歌「アロハ・オエ」まで12曲、ハートウオーミングでチャーミングな歌唱を聞かせてくれる。懐かしい「南国の夜」もボサノバで歌唱するなどの趣向も入ったこのアルバム、ジャケット写真も彼女自身が撮ったもので、ハワイの美しいサンセットが写し出されている。

 日頃はほとんど接することのないハワイアンだが、彼女の歌声を聴いていると実に心地良く夢見の世界へと誘われる。これもまた仲々に良きものですよ。

【今週の番組ゲスト:シンガーの安部よう子さんとピアニストの北島直樹さん
M1「HULA HEAVEN」
M2「HANALEI MOON」
M3「FOR SENTIMENTAL REASONS」
M4「ON A TOROPIC NIGHT」
M5「ALOHA OE」


4月16日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.04/15 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.301~ピアノ・フラメンコ】
 
 前回のこのコラム「祝300回記念」でも書いたのだが、最近困っているのが増えすぎて部屋を占拠し続けているCD&LPの山。GW前には追分の山荘に行くので、またかなりの数を山荘に運ばないといけないと思い、CD選別作業を続けているのだがこれが遅々として捗らない。愛着あるもの、一度も聞いていないものなど、さまざま。となると運ぶ前に一度は耳に通さないと...などと殊勝な気持ちが起き、時間だけが経ってしまう。しかし反面楽しみもあって、長い間見つからなかった愛着盤が山の中から見つかる...などと言う幸運なこともしばしば。先日そんなことで久しぶりにご対面したアルバムがあった。

 
『ピアノ・フラメンコ』。元々ある中古屋でLP盤を見つけこれは面白そうだと買い求めたらこれが大正解。しかしそのアルバムもどちらかに行き先不明。残念と思って探していたら高田馬場の中古屋に高値だったが偶然あって即買い。そのCDもまた膨大なCD山の中に埋もれて不明。もう仕方無いとあきらめていたら、今回の整理でそれが発見出来たのだった。
 『ピアノ・フラメンコ』読んで字の如くの内容で、主役はホセ・ロメロと言うスペインのセビーリャ在住のピアニストで、おそらくロマ=ジプシーのピアニストで、70年代終わりの録音。彼は当時50代半ばなので、もし健在ならば今は90代、おそらく現役ではないだろう。このアルバム、ロメロのピアノがまさにあのフラメンコの熱気を再現しており、本当に鋭く突き刺さって来る素晴らしいものだが、それ以上に彼はこの分野~ピアノ・フラメンコの権威であり、当時ピアノでフラメンコをやろうと試みた人は彼以外にはもう一人くらいしかいなかったのだと聞く。と言うのもフラメンコは踊りと歌にフラメンコギター、この3者で成り立つもので、ピアノでフラメンコなどとは誰も考えなかったのだ。80年代に入ってからはスペインを代表するジャズピアニスト、チャノ・ドミンゲスが登場、ピアノでフラメンコを奏するジャズ・フラメンコと言うヌエーボ・フラメンコの世界を確立、今や多くの若手達もピアノでフラメンコをやる様になっているが、伝統的なフラメンコとクラシック・ピアノの技法を結び付けたのは、ホセ・ロメロが最初で現在も余りやられていない筈である。

 
埋もれていたこのアルバム、久しぶりに聴いても感激新たでその躍動感は半端ない。せっかくならとチャノのアルバムも探し出して聴いてみると、これはジャズと言うよりもラテン・ジャズとフラメンコの融合で、こちらもまた素晴らしい。チャノのアルバムでは彼がビル・エバンスのナンバーを取り上げたものも良かったが、スペイン侮りがたしである。

 ホセ・ロメロはジャズではなくフラメンコそのもの。チャノはフラメンコ・ジャズ。この他スペインには今は亡きテテ・モントリューと言う、盲目のカタロニアン(カタロニア人)ピアニストがいてぼくも大好きなひとり。若い頃にはスペインにも是非行ってみたいと思っていたが、最近はその意欲も減退。チャノやテテ、そしてこのホセ・ロメロなどを聴いてはるか彼方の情熱の地を思い浮かべるしかない様である。いささか寂しい。
【今週の番組ゲスト:トラディショナルジャズ演奏家のご夫妻、クラリネット奏者の後藤雅広さんとピアニストの後藤千香さん
M1「All I Do Is Dream Of You」
M2「Someday Sweetheart」
M3「Amazing Grace」
M4「It Came Upon Midnight Clear」
後藤雅広.png


後藤雅広2.png

4月9日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.04/08 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.300~とうとう300回】

 先日このジャズコラム担当のO部長~ラジオ日経を代表する敏腕営業部長が「小西さん1~2回の増減はあるかも知れませんが、4月半ばで番組コラム300回になりますよ、どうします...」と仰る。そうかこのコラムも300回、局から金一封か記念品か...などと、欲張り爺さんのような虫のいいことは当然一切考えませんでしたが、まあ300回とはなかなかに良く続いたものです。前身の「ジャズ徒然草」が3年半ほどの連載なので、ジャズコラムはそのスタート以来はや10年弱。ぼくがラジオ日経を定年退職しロートル・フリーディレクターになったのより少し短い位で、定年後の悠々自適の自身の徒然な姿、思考をそのまま映したものとも言えそうで、ジャズプレーヤー&シンガー、ジャズ関係者など番組ゲストのことをメインに、折々のジャズ動向、ラグビー関連(念願のラグビー番組まで誕生してしまいました)、温泉探訪、山行、映画鑑賞、ハードボイルド小説、更には年5~6回程度の軽井沢にある追分山荘からの「山荘通信」等々、色々と好き勝手に書き散らしてきましたが、それを許してくれた担当のO氏、番組パーソナリティーの美形アナの山本郁嬢、それにこのコラムを読んでくれている、ジャズファンの皆さん一人々に本当に感謝の念で一杯です。更には数カ月前に亡くなってしまった、良き読者の一人でもあった我がバカ犬~ピーちゃんにも感謝しないとなりません。

 さて馬齢を重ね今ジャズ関連で最も困っているのは、増え続けるCDの山。追分の山荘に行くときには毎回かなりな数を帯同、向こうのごみ処理場でプラごみとして廃棄し続け、今や現地でちょっとした有名人でもありますが、捨てる一方でやはり暇に任せCDショップ漁りも止められず、結局トータルの数はあまり変わりません。国立の家には6千を超すCDの山がありそのうえアナログ盤も数多い。この処理方法誰か教えてください。こう言いながらも人が来て持っていくとやはりムッとする。この度量の狭さ、根性の悪さどうにかならないものですかね...。

 まあこんな話はさておきこれはジャズコラム。少しジャズ本体についても書かなければなりませんが、あまりいい話は少ないようです。特にジャズ関係者が集まると元気のない話ばかり。これはジャズだけでなく音楽業界全般に言えることですが、肝心のアルバムが全然売れない、だからアルバムリリースも極端に少なくなっている...、そのうえ音楽配信も伸びていないし、特にジャズなどはほとんど期待薄と言った様相で悪循環そのもの。ぼくも音楽評論家、音楽ライター、プロデューサー達の団体「ミュージックペンクラブ」の一員ですが、まずジャズアルバムなども出ないし、音楽を扱う媒体も減少。ペン一本の若いライターなどはもうほぼ存在出来ない状態で、ぼく自身も以前は年間20枚以上はジャズアルバムのライナー(解説文)を担当していたが、昨年は僅かに5枚。それも自身がプロデューサーなどで関係したアルバムだけと言う寂しい状態でした。

 こんな閉塞状況にあるジャズ~ポップ音楽の世界ですが、最近は「ジャズネクストチャプター」とも呼べそうな新しい黒人ジャズ=ジャズとラップやヒップホップなど(若い黒人達の皮膚感覚に呼応したストリートミュージック)が融合したネオジャズがかなりな勢いで台頭、ジャズ地図も大きく変わりつつある予感もします。

 さてジャズに関するこんな個人的愚痴ばかり言っていても仕方ありません。まあ先行きもあまり長くないので、せいぜい目いっぱいジャズを楽しむだけですが、まあそんな所で我が歴史あるジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」(イギリスのとあるジャズ関係者から、番組が50年以上続いていることを激賞されましたが...)では、この4月から月の最後に同世代のジャズ評論家、青木和富氏を講師に迎え、もう一度ジャズの歴史を体系的におさらいし、現代のジャズの中にどうその歴史が反映されているのか...、などを見て行こうという「ジャズのお勉強」と言う新授業をスタートさせることにしました。博識で話も面白い和富先生がどんな授業を展開、それが今のジャズ~ニューチャプターとも言われるジャズの中にも聞き取れるのか...、皆様も楽しみにしてくださいね。
 いずれにせよ300回を超えたお祝い気分を維持しつつ、増々意気健康に年齢をものともせず、気楽に頑張るつもりですのでこれからも何卒よろしくお願いします!。
【今週の番組ゲスト:Audio Fabのオーナー古屋明さん
M1「Poinciana/Ayuko」
M2「I Thought About You/志賀由美子」
M3「Meu Escudo/上田裕香」
M4「The End of the World/田中真由美」

4月2日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.04/01 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.299~新入生・新社会人のためのジャズ入門】

 4月の初頭、わが街~国立は桜の真っ盛り。1年のうちで最も賑い立つ時期で、都内各地からの桜見物客や一橋大学の新入生など、駅から真南に伸びる大学通り、それと直角に交わる桜通りは人で溢れ返る。まあ国立だけでなくこの4月は新たなスタート期だけに、どこでも何か不思議な活気に包まれるものだが、我らの「テイスト・オブ・ジャズ」でも、毎年4月第1週のオンエアーは、ジャズプレーヤーやライター、ジャズ喫茶のマスターなどジャズ関係者にご登場頂き、その人流のジャズ入門を語ってもらっている。今年番組がお願いしたのは、HMVのバイヤー兼センスの良さで人気の高いジャズ系フリーペーパー「クワイエット・コーナー」の主催者、かつ音楽ライターとしても活躍している山本勇樹氏。
 彼が主催・監修しているフリーペーパー「クワイエット・コーナー」は、ジャズやワールドミュージック、シンガーソングライター系等の音楽の中から、タイトル通りクワイエットでセンスフルな作品をチョイスし紹介している高級フリーペーパーで、同名の書籍やコンピレーションアルバムも出されておりかなり人気の高いもの。そんな彼だけにいわゆるジャズ評論家やジャズライターとは一味違った入門者向けアルバムを紹介してくれるはずと彼に声をかけた次第。

 収録当日、彼は、10数枚のアルバムを持参してくれたが、打ち合わせで初心者にも聴き易いジャージーなボーカルアルバムで行こうと言うことになり、どうせなら女性ボーカル限定の方が面白いのでは...と話が進んで、それも彼女達がポップスの名曲をカバーしたもの...となり、今までの入門編とはずいぶん趣きの異なった山本流ラインアップとなった。取り上げたシンガーは、コケティッシュなカマトトボーカルスタイルで独特な人気を誇っている故ブロッサム・ディアリー、彼女の後継者とも言える可憐なボーカルスタイルのイギリス出身の歌姫、ステューシー・ケント、ジャズとフォークを融合させた様な独特な深みあるSSW(シンガーソングライター)風なネオジャズボーカルのメロディー・ガルドーなど、全部で5人の歌姫達。その彼女たちが「虹の彼方に」や「アローン・アゲイン」等のポップスヒットをそれぞれの蠱惑(こわく)スタイルで歌い上げる。どれも実に心地良い音楽ばかりで、これならば入門者、特に若い女性の入門編にぴったりと言った選曲。さすが手練れの選曲家だけに見事なもの。

 なお彼が選曲した「クワイエット・コーナー」の新作コンピレーションアルバムが3月末に出たばかりで、こちらもかなり好評とのこと。またHMVでは渋谷に音楽と本をメインの新しい店舗を立ち上げ、そこではクワイエット・コーナーのお勧め盤や本(もちろん山本氏が監修)が多数展示されている。皆様も是非一度足を運んでみて、そのセンスの良さを味わって見られたらどうだろうか...。

 なお僕の入門向けジャズアルバムのベスト3は、まずはオーソドックスに、ジャズ帝王ことマイルス・デイビスの『マイ・ファニー・バレンタイン』(ライブアルバム)、現在のモダンピアノスタイルの先駆とも言えるビル・エバンス『エクスプロレーションズ』、ジャズの室内楽的展開で優雅な気分に浸れるMJQ(モダンジャズカルテット)『ジャンゴ』と言った辺り。更にボーカルとして1枚挙げれば、現代を代表する黒いディーバ、カサンドラ・ウイルソンの『ニュー・ムーン・ドーター』と言うことになる。それにしてもカサンドラのアルバムは95年録音だが、それ以外はどれも1950年代半ばから60年代初めのジャズ全盛期のもの。ぼくがジャズを聴きだし始めた頃の作品になってしまうのだが、それはまあこのロートルならではの選択...、と言うことでお許し頂きたい。
【今週の番組ゲスト:HMV音楽バイヤーでQuiet Corner監修の山本勇樹さん
 
M1「Both Sides Now/Sarah Corman」
M2「I'm Hip/Blossom Dearie」
M3「This Happy Madness/Stacey Kent」
M4「Over The Rainbow/Melody Gardot」
M5「Alone Again Naturally/Lori Cullen」





 

3月26日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.03/25 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.298~実力派シンガー次々と】

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のジャズコラムで2週間ほど前に「最高のジャズディーバ」として大野えりさんを紹介したが、今週またまた実力派の美形シンガーがスタジオを訪れてくれた。山岡未樹さん。今や実力、人気ともに日本を代表するシンガーの一人で、その上彼女はボーカル教育者としても活発な活動を展開、そのボーカル教室はマーサ三宅さんのそれと並ぶ老舗として、多くの門下生を輩出している。
 
その未樹さんと久しぶりに会ったのは今年のジャズ新年会で、会もそろそろお開きのとき、飲み仲間と帰ろうと階段を上がりかけたところ「小西さん待ってよ、去年の暮れ新譜出したんで聴いてみてよ...」とアルバムを手渡され、少し立ち話をして番組に登場してもらうことになった。もう5年振りくらいになり本当に久々の登場と言うわけだが、美女のスタジオ入りは嬉しいものでもあります。

 
彼女の新作『ワン・デイ・フォー・エバー』は、サブタイトルの「未樹&ベニー・ゴルソン」にあるとおり、ジャズ界のレジェンド、サックス奏者&作曲者のベニー・ゴルソンとの共演盤。彼女にとってゴルソンとの共演アルバムはこれが確か3作目で、2人の息もぴったりとした佳作である。「後世に引き継がるべきこの宝物のようなアルバムをプロデュース出来たことは幸せだ...」とゴルソンは語っているが、彼はこのアルバムでプロデュースと編曲も担当、サックスを吹いているのは3曲だけだが、彼の枯れたテナーの音色は未樹さんのボーカルに実に良くマッチしている。曲は「ウイスパー・ノット」「アイ・リメンバー・クリフォード」と言ったゴルソンの代表曲に「マイ・ロマンス」「アイ・ラブ・ユー」等のスタンダードの全10曲で、録音はNY。日本から彼女が信頼するピアニスト、野力奏一を伴って録音に臨んだと言う。

 
ところでこのアルバム誕生にはある曰くがあり、それがあの3・11に関係と言うのだから、今回の放送日時はまさにぴったりのタイミングだった。それはこのアルバム、録音はあの5年前の3月13日前後に行われる予定で、その為に彼女は成田に向かったのだが、あの大震災で全ての出発便はキャンセル。数日待ったがどうにもならず遂に渡米は叶わず、一時は企画自身が流れてしまったのだが、彼女は再度ゴルソンにアプローチをかけ、昨年の春ようやくNYでの録音を実現することが出来た...という感動的な逸話がこのアルバム誕生には秘められている。ベニー・ゴルソンの書いた「ワンデイ・フォーエバー」と言うタイトル曲にも、そうした感慨、喜びも込められているようにも思える。
 
今回のNYのスタジオでの録音は、至って順調だったようだが、そのスタジオ収録の合間に、彼女はベースのバスター・ウイリアムスと、お遊びで「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」をデュオで歌ったという。その模様をミキサーが密かに録音しており、その音を聞いてメンバー全員がこれは是非アルバムに加えるべきと言う意見。そしてアルバムのラストに収録することになったと言う。その心地よいデュオナンバー、是非番組でも...と言うことになり、後テーマ曲に替わってラストナンバーとして皆様にもお聞かせすることになっている。

 彼女はこの前のアルバム~自身のお弟子さんたち数人の合作アルバムに、師匠として1曲登場、貫禄あるところを聴かせてくれているが、ライブ&ステージ、そしてボーカル師範として、末永く活躍して欲しいものです。
【今週の番組ゲスト:ジャズシンガーの山岡美樹さん

M1「Wisper Not」
M2「Feeling Good」
M3「Fly Me To the Moon」
M4「One Day Forever」

3月19日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.03/18 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.297~3・11から5年】

 今年もまた3・11が来て、あっという間に過ぎ去っていった。東日本大震災、あの未曾有の大災害からはや5年、被災地での人口流出も激しく、未だ遅々として復興も進まないなどの実情を、TV画面で次々と見せられると、何とも言えぬ無力感とやるせなさで一杯になる。なかでも許せないのは、この大災害が炙り出した諸悪の根源とも言える原子力発電の存在。後世にも大禍根を残すあれだけの惨状を現出しながらも、その教訓は少しも生かされず次々と原発が再稼働し始め、新規の原発すら画策していると言う。せめてもの救いは先日の高浜原発稼働差し止め判決ぐらいで、原発推進にいそしむ連中、そしてそれに追随する輩、もうなにをかいわんやで、こうした連中に限って無人の荒れ果てた荒野を現出させながら「美しい国土を守ろう...」などと権力追随を声高に宣うのである。

 この3・11を迎えると、こんな怒りばかりが鬱積してしまうのだが、あの大震災後には各国のジャズプレーヤーやシンガー達も次々と支援、激励アルバムを発表してくれたものだった。特に印象深かったのはピアニスト&アレンジャーのボブ・ジェームス。彼は被災地のアマチュアビッグバンドの支援、指導に積極的で、数回にわたる合同練習の後あの東京ジャズのステージでも共演したりもしたのだが、この彼の活動を追ったNHKの音楽ドキュメンタリーもなかなか秀逸なものだった。そんな彼なども加わって震災支援の大規模コンサートも今回開かれ、その模様もTV中継されていたが、ある意味「音楽の力」を感じさせるものだった。菅野よう子が書いた「花は咲く」、NHKの復興支援ソングともいえるこの曲もまた、音楽の力を著しく感じさせる名曲だと言える。この曲をジャズで取り上げている人が少ないのは大変残念だが、ジャズプレーヤーの中にも地道に復興支援ライブを続けている人も少なくなく、特に特筆すべきは女流フルート奏者の佐々木優花さん。彼女のチャリティーライブはもう150回を数え、義援金も相当な額に達したと言われる。自省を含めこうした活動には本当に頭が下がる思いだ。

 そしてこの災害関連アルバムでは、ぼくがベストと思うものが、日本を代表するSSW(シンガーソングライター)畠山美由紀の『我が美しき故郷よ』である。この故郷追慕のアルバムについては以前にもこのコラムで紹介したことがあるし、彼女自身も我がジャズ番組に来てくれて色々と語ってくれたが、ここでのタイトル詩(これは雑誌「スイッチ」に彼女が寄稿した素晴らしい詩編)で、それを彼女はジャズピアニスト、鬼武みゆきさんのピアノだけをバックに淡々と読み上げる。故郷~気仙沼の美しい自然、人々の愛おしい暮らし振りなどが、本当に心震える感涙ものとして、ぼくらの眼前に立ち現われる、まさに圧倒的な朗読なのである。
 彼女の故郷は最も被害が激しかった街の一つ気仙沼市。幼なじみなどでも亡くなったしまった人も少なくないとも言われるこの被災市、その朗読が恬淡としていればいるほど、悲しみも胸に迫ってくるものも大きい。この「我が美しき故郷よ」は、彼女自身が曲を付けて歌っており、今や彼女の重要なレパートリーの一つで、その歌唱はYouTubeにもアップされてもいるが、これは彼女と鬼武コンビでのアルバム内での詩朗読にはるかに及ばない。そういえば彼女は当然あの「花は咲く」も歌っており、これもまたなかなかの感動ものだった。
 
 「3・11」ぼくたちはこの日への想いを決して風化させてはならない。そして"美しい故郷・美しい国土"を残すために、あの忌まわしき原発問題を忘れ去ってはならない、と言う思いを新たにした一日だった。
【今週の番組ゲスト:ピアニストの細川千尋さん 
M1「I'm Home」
M2「Spirit oh blaze」
M3「心の手紙」
M4「Thanks!」
 
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