4月8日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.04/08 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.560~Manga

   Manga(マンガ)は、今や日本を代表するエンタテインメント&芸術となっており、その訴求力・表現力には凄いものがある。マンガの英訳はコミックとなるのだろうが、このコミックを代表するアメリカンコミック(アメコミ)もまたアメリカ中を席捲しており、特にアメリカ映画の最近のヒット物は、このアメコミ~マーブルコミックが原作となっているものが多い。マンガとアメコミ、この2つは重なる部分も当然あるが、大きな違いもあり、特に今やManngaが世界を席巻しつつある...、と言う趣きさえあるようだ。 

  一昨年(2019年)の春、あの世界に冠たる大英博物館でかなりな期間に渡って、Mannga展覧会が開かれたと言う。ぼく自身はこのニュース全く知らなかったのだが、なんとこの大英博物館のMannga展覧会の会場で売られていたパンフレット、それが三省堂から翻訳出版されており(20年11月)、その充実のパンフレットを本屋で見つけはじめて、ぼくはこのMannga展のことを知ったのだった。

  このパンフレットはずっしり重い大部の図録で、値段は3500円。表紙は嬉しいことにぼくの一押しのマンガ、野田サトルの「ゴールデンカムイ」のアイヌのうら若きヒロイン、アショリパの姿がきりっと可憐に描かれており、それだけで買いたい気持ちに捉われてしまうもの。この図録には日本マンガの原点とも言われる鳥獣戯画絵巻から、現代最先端の人気漫画家、野田サトル、石塚真一、井上雅彦、ヤマザキマリ等々が、過不足なく捉えられており、ギャグマンガ、女流マンガなど実に細かく分析されている。またマンガ博覧会とも言えるコミックマーケット(コミケ)、講談社、小学館など人気マンガを出版する大手出版社のお偉いさんなどのインタビューなど、実に多岐に渡り細かくManngaを紹介しており、この図鑑一つで日本のマンガの全体像がすぐに把握できると言う優れもの図録なのである。「ブルー・ジャイアント」(石塚)「バガボンド」(井上)など、多くの人気マンガもかなりなページを割いて実際に紹介されており、それを読む(見る)だけでも充分に愉しく学ばさせてもらえる。
 ぼくが特に嬉しかったのは、今は亡き不二夫ちゃんこと赤塚不二夫先生。その赤塚ギャグマンガの本質を娘のりえ子さん(現代美術家)が分析している所、更にぼく等の青春時代のバイブルとも言える、ガロ系のマンガ家、つげ義春などにも言及している所である。この細やかな目配り、的確な現状把握、流石なり大英博物館である。

 ぼくはManngaの良き読み手とは言い難いし、あの歴史的大ヒットの「鬼滅の刃」などは、最初からお呼びでも無いチャンジー門外漢なのだが、この大部のマンガ図録を見て、Manngaの偉大さを再認識させられたのは間違いない。大手出版社も売り上げの半分以上がマンガ本とのことで、これが売れなくなってしまえば、経営も成り立ち難いとも聞く。偉大なMannga=マンガの力である。この図鑑皆様も一度手に取ってみることをお勧めしたい。

【今週の番組ゲスト:コアポート代表 高木洋司さん】
M1É Preciso Perdoar(許してあげよう)/ Gretchen Parlato
M2
No Plan feat. Mark Guiliana / Gretchen Parlato
M3
Just Squeeze Me / Becca Stevens & Elan Mehler
M4
But Beautiful / Becca Stevens & Elan Mehler

4月1日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.04/01 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.559~ジャズ講座入門編

 例年3月末から4月頭に掛けての恒例企画「ジャズ入門編」。今回はその2回目でゲストは、ぼくもレビューアー(アルバムの評価など=レビューを担当)の一人でもあるジャズ専門誌「ジャズ・ジャパン」の編集部員佐藤俊太郎氏。彼には4年ほど前にも登場してもらい入門編を担当してもらったが、久しぶりの再登場となる。今回はジャズ誌の読み方、利用の仕方などがメインだが、もう一つ「ジャズ・ジャパン」誌が毎年実施している、「ジャズ・アワード」の紹介もしてもらっている。このジャズ賞は前身誌「スイング・ジャーナル」誌でもやっていた賞を引き継いだもの。大賞など全部で5部門ほどあるが、今回はこうした「ジャズ・アワード」では珍しく、ボーカルアルバムがその大賞を獲得している。個性派シンガーとして人気も高い、在仏のアメリカ人女性シンガー、メロディー・ガルド―の『サンセット・イン・ザ・ブルー』がその大賞アルバム。このガルド―の作品には、ヴァイオリンの寺井尚子も協力出演しているのだが、これを始め他の受賞作も幾つか、佐藤氏に紹介してもらっている。

 ところで例年この授賞式はライブ演奏も含め、横浜の日産グローバル本社ギャラリーで行われてきたのだが、昨年と今年は残念なことにコロナ禍の為に、授賞式の実施が不可能となってしまった。この授賞式実は数年前まで、番組パーソナリティの山本郁嬢が司会を担当していた。参加したミュージシャンやシンガーからその名司会振り、高く評価されていたとも聞くので、また是非復活して欲しいものだ...。

 さてこの入門編だが、佐藤氏が触れていなかったジャズ入門のある裏技を、ここでひとつ...。それは「ユー・チューブ」の有効利用ということ。余りSNSを知らないぼくなんぞが言えたことではないが、このジャズユー・チューブに一時はまりまくってしまったことがあり、あるミュージシャンのライブ画像を検索していると次々に関連の画像が見つかり、数時間もこれにのめり込んでしまう...等と言うこともしばしば。若い人でアルバムを買う金が...などと言う人には、まず最初にこのユーチューブで実際のプレーを確かめ、その後でアルバムを手にする...などと言う、昔は考えられない手もありだと思われる。  
 つい先日も、亡くなったチック・コリアの映像を探していたところ、なんとあのタモリが紹介するTVジャズ講座にぶち当たってしまった。1995年放映のTV番組の様だが、ぼくは全くその存在知らなかった。番組はタモリとピアニストの大西順子が司会を担当、順子はまだ27才と言う若さ。中々の美形でこれが魅せるのだ。4回シリーズでダイジェスト画面しか見られなかったが、今や大御所になってしまった、林家コブ平や清水ミチコなどがコメンテーターを務めており、話からするとどうもかなりゴールデンアワーに放送されている(裏番組が水戸黄門だと語っていることから推測)模様。タモリこと森田一義くんも、まだ50才そこそこで実に若々しい。ジャズを語れる喜びがそこここに見られ、ゲストも亡くなった作家の景山民夫や音楽評論家のピーター・バラカンなど豪華絢爛。タモリがマイルスにNYで実際にインタビューした時の話、憧れのマイルの物まねや彼の放つオーラの凄さや恐ろしさ等々、更に翌日コンサートの楽屋で、再度マイルスに会ったら、少しも森田のことを覚えていなかった話など...、実に笑わせ考えさせられ(ジャズの歴史講座など)、面白くも為になる数十分だった。こんな発見があるからジャズユー・チューブ探し、止められないんです。

 とこう書いた翌日、すごい映像をユーチューブでまた見つけてしまった。ジャズドラムの生きる伝説=ロイ・ヘインズの96才を祝うステージ映像。彼が今は亡きチック・コリアのバンド(ケニー・ギャレット等)と共演しているもので、チックは今年の2月初めに急逝しているだけに、昨年暮れか今年初めに収録されたものと思われる。演奏内容は10数分でライブ全部の収録では無いが、彼のドラムソロも収められており、およそ96才(当時は95才か...)とは思われない凄い破壊力。全盛時の彼を知っているから、そのシンバルワークなどの切れ味の衰えは否めないが、なにせ96才ですよ。普通人はよぼよぼで唯歩くだけと言った感じなのに、本当に恐ろしいと言うよりドラムの神か、化け物か...。いやー凄いです、驚かされました!皆さまも是非ご賞味あれ。

【今週の番組ゲスト:JAZZ JAPAN編集部の佐藤俊太郎さん】
M1She's Leaving Home / Jacqui Hicks
M2If You Love Me / Melody Gardot」
M3Love Is Calling You / TOKU」
M4We've Just Begun / Sinne Eeg」
M5振り翳す / 魚返明未」





3月25日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.03/25 番組スタッフ 記事URL

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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.558~日本ラテンジャズの中核・森村献ちゃん】

  今年は例年になく桜の開花が早く、桜前線も予想以上に早く北上しそうな気配だと聞くので、皆様のお住まいの近くでも既に開花している桜も多いのでは...。我が街国立は都下でも屈指の桜タウン、この時期の街はパッと明るく賑わう筈なのだが桜まつりなども中止となり、この2年間はその賑わいも少ない。言わずと知れたコロナ禍の所為だが、それにしても我が国の政治状況は、このコロナ禍で無残な程に露呈されてしまった。国のトップと自治体のトップ、それぞれが自身の政治メンツの為に、非常事態宣言を巡って綱引きを続け、その体面を保つだけの施策を誇示、肝心の国民や都民の方には殆んど目を向けていない。悲しすぎる状態でニュージーランドや台湾などに比べるとその相違に愕然とする。しかもこの2国ともトップは女性。あの森発言では無いが、これからの日本が心配になる。

 まあそんな心配をしても詮無いこと、この春くらいは明るく楽しく...と言うことで、今年も番組ではこの時期恒例の新入生・新社会人向けのジャズ入門講座を3回にわたり企画することにした。3月末の1回目はラテンジャズ=サルサの愉しみ方、4月第1週の2回目は純粋なジャズ入門講座、そして3回目は以前このコラムでも取り上げた、グレッチェン・パーラトなど注目女性シンガー達の魅力...と言ったラインアップである。

 さてその第1回、ぼくの好みを目一杯取り込んだラテンジャズ=サルサの愉しみ方となれば、もう本当に長い付き合いの森村献・あずさ夫妻の登場となる。久々にあずさにTELしてみると番組出演は直ぐに快諾。ただ条件として2人で...というより、献ちゃんひとりのゲストにして欲しいとのこと。そこは少しも構わないので、献ちゃんだけの登場と言うことで番組ゲストが決定、内容は2人で詰めると言うことで、全面的にお任せすることにした。

 収録当日2人でやってきた森村夫妻。カミさんのあずさとは、彼女がまだ高校生時代、当時人気絶頂の「ペドロ&カプリシャス」にもヴァイオリンで参加していた頃からの付き合い。一方献ちゃんの方は、あずさの旦那として知り合ったのだが、その頃には既に若くしてJ-ラテンジャズ=サルサ界の大物ピアニストで貫禄充分だった。考えてみればもう40年近い付き合いになる。本当に長い。

 今は熱帯ジャズ楽団などJラテンジャズ~サルサ・シーンの主要バンド、そのピアノには献ちゃんが座っていることが多い...、と言うほどにシーンのボス格的な存在なのである。彼が一言掛ければすぐにラテンジャズ系のミュージシャンが集まり、セッションやレコーディングも実現してしまう...と言った存在だけに、その彼が紹介するラテンジャズ=サルサの魅力はまさに言うこと無し。ティト・プエンテなどの代表的アルバムを紹介してくれると同時に、自身のバンドの演奏もアルバム化していないものも持参、番組で紹介してくれている。中でも面白いのは、今注目の島、淡路島にある公立中学校のラテンバンド部、正式名称がラテンバンドかはしかとはしないが、献ちゃんが数年前から頼まれ指導しており、これがかなり本格的なバンド。昨年は全国のフルバンドコンクールで優勝したのだと、自慢げに彼らの演奏を紹介してくれているが、これが中々に聞き入ってしまう出来栄えなのだ。今年もまた指導に行くんだと実に愉しそう。そんな彼をあずさも頼もしく見つめている。長年続けていたフリーペーパー「サルサ120%」は残念なことに今は休刊中だが、また復活するんだと意気も盛んだし、この夫妻はこの所キューバなどの中南米諸国の大使館から、その活動を称え表彰も受けている。日本で最初の女性サルサバンド(彼女がリーダー)「チカ・ブーン」も、時々は集まって活動しているらしい。

 日本のラテンジャズ=サルサ普及に邁進するこの森村夫妻、いつまでも元気で華やかな活動を続けて欲しいもの。ぼくの大好きなラテンジャズ振興の為に...

【今週の番組ゲスト:ラテンジャズピアニストの森村献さん】

M1「Mambo Inn / Machito」
M2「Tanga / KM Special」
M3「Nica's Dream / Horace Silver」
M4「Seven Steps To Heaven / KM Special」
M5「Seven Steps To Heaven / Miles Davis」
M6「Day By Day / 蒼開中学・高等学校ジャズバンド部」
M7「Bluesette / Tito Puente」

 

3月18日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.03/18 番組スタッフ 記事URL

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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.557~3本の音楽映画】

  このところ御無沙汰だったヴィデオ鑑賞を久々に行った。と言うのも最近のレンタルヴィデオショップは、ヴィデオの貸し出しだけでなく、ゲームやコミックの貸し出しも主流になっていて、ぼくなどもチャンジーだけに、お好みのコミック本(ゲームは一切やらない)は流石に買い求めることないが、日本漫画史上に残る傑作、野田サトルのアイヌ秘宝をめぐる冒険もの「ゴールデンカムイ」を始め、このコラムでも再三取り上げて来た、不朽のジャズ漫画「ブルー・ジャイアンツ」等々、是非読み続けたい傑作も少なく無い。しかし残念なことに公共図書館ではこうしたコミックの貸し出しはほとんど無いので、必然的にレンタルヴィデオショップで、と言うことになってしまう。そこで先日「ゴールデン・カムイ」の最新刊(確か24巻が出た)を借りに、国立の外れのショップに行った所(自宅から徒歩30分以上かかるのだが...)、2月中ならば全部のヴィデオが新作を含め、レンタル100円とあるではないか...。生来のけち根性が働き、この際に興味あるものは...と棚を探し回り8本ほど借りてしまった。まあ期間中にこの全てを見終わることは出来そうも無いと分かっていながら、生来の貧乏根性は治らないもの。

 帰宅してからその何本かを見たのだが、そのうちの3本が音楽映画もの。と言ってもあのショービジネス界きっての歌姫ジュディ・ガーランドの晩年を描き、それなりにスマッシュヒットした「ジュディ」以外は話題にもならなかったもの。そのジュディすら、彼女の名前を知っている若い人達がどれくらいいるのかも疑問なのだが...。ジュディはアメリカミュージカル映画の最高人気作「オズの魔法使い(「虹の彼方に」が主題歌)」の主役オズに、13才で抜擢され世界中から省さんを集め、その後もミュージカル映画の主演を数多く務め、アメリカを代表する国民的ヒロインだった。しかし私生活には恵まれず生涯5回の結婚を繰り返し、アル中などの障害もあり晩年は実力の割に恵まれなかった(子供の一人が、ミュージカル映画シカゴの主演で知られるライザ・ミネリ)。その晩年を描いた作品だけに寂しいものだが、イギリスでは相変わらず人気が高く、イギリスに渡り自身の名前を冠したショーを開催、好評を博しながらもここでもトラブルで途中中止。そんな晩年をレニー・ウイーガーが巧みに演じ、かなりな見ごたえで、ジュディの代名詞とも言える銘品「虹の彼方に」など、映画の中で歌われるジュディの持ち歌を完璧に歌い上げた、その彼女にも満点を上げたい。

 もう一本は昨年夏に公開された「マイ・バッハ」。ブラジル映画でタイトル通りにバッハ弾きとして知られるブラジルのピアニスト、ジョアン・カルロス・マルティンスの半生を描いた音楽映画。副題に「不屈のピアニスト」とあり、色々苦難を乗り越えた人だと分かるが、謳い文句に「20世紀最高のバッハ奏者」とあり、果たしてこれが正解かはしかとはしない。但しその天才振りは各方面で高く評価されたのは間違いなく、日本で知られるようになったのは、ブラジルのパラリンピック大会開会式で、彼が不自由な指使いでピアノを披露した姿。残念なことに彼のアルバム(バッハ中心だが)は、日本で発売されることも無く、名前は知られてもその実演は余りはっきりとはしない。映画は若くしてバッハ弾きの天才として世に出た彼が、演奏旅行で欧州に向かいその途中でサッカーに興じていた最中、最初の事故が起こり指使いが難しくなり、ピアニストとして休止を余儀なくされ、以降も色々の事故に見舞われる...と言う、不幸の連続。一念発起した彼は、指揮者の勉強を始め、そちらでも有名になる...と言った音楽苦労話なのだが、そこは楽園音楽系のブラジルのピアニストのお話。暗くなる中にも何とも言えない明るさも感じられ、救いも多く印象深い内容だった。ぼく自身はバッハフリークと言うこともあり、彼の名前は知っていたが、実際の演奏は耳にしたことが無かった。ここでは彼のバッハ演奏が演奏場面で使用されており、それを聴く限り、あまり余韻の残る演奏には思えなかったのだが、かなり興味深いストーリー展開も相俟って、クラシック音楽映画としては、上々の出来栄えだった。

 3作目だが、これはジャズ映画。あのオランダのホテルで、謎の転落死を遂げた人気トランぺッター、チェット・ベイカーの死を巡る謎を扱ったジャズ映画「マイ・フーリッシュ・ハート」。オランダで制作されたもので、その中身を映してかなり暗い画調の映画だが、惹かれる所も多々。チェットの映画はドキュメンタリー含めて、これ迄何本も公開されているので、チェット自身のプレーなども含め、また別の機会にこの映画は紹介したいと思っている。

 アメリカ、ブラジル、オランダ3か国の映画。そしてジャンルもショービジネス、クラシック、ジャズと多岐にわたり、これらの音楽映画鑑賞、得る所も中々に多かったです。

【今週の番組ゲスト:Jabuticaba(ジャボチカバ)のお2人 SAXプレイヤーの加納奈実さん ピアニストの永武幹子さん】
M1Samambaia 
M2Mysterious Dress
M3What Kind of Fool am I ? 
M4Along with You, Sunny man


 

3月11日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.03/11 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.556~寝起きの一枚】

  自身では発信はしないが閲覧はしている...、と言うことでぼくもこう見えてフェースブック利用者の一人なのである。ツイッターとか他のSNSは一切やっていないのだが、フェイスブックだけはミュージシャンや音楽関係者、温泉愛好家等々と言った知り合いから、友達リクエストを受け自然に参加者(見手)になってしまったと言う次第なのだ。そのフェイスブック上で、知り合いの何人かが「寝起きの1枚」として、その日の朝の寝起きに聞くアルバムを紹介している。まあこういう企画もいざ始めると、無理してでも何か選ばないとならない...と言った、ある種の強迫観念に囚われてしまう一面もあり、なかなか大変なもの...と感心しながらも、その大変さにいささか心配したりしながら、そのコメントを眺めている。

 個人的なことを言うと、寝起きに音楽を...と言った優雅な習慣(?)をぼくは持ち合わせていない。ことジャズと言う音楽~特に刺激的・創造的なジャズは、寝起きには向いていないと思っているだけに、寝起きにジャズ、などとはほぼ考えない。しかし、しかしである。この所良く寝起きに聞きたくなる、お気に入りのジャズアルバムが現れたのである。そのタイトルは『フロール』(ポルトガル語なのだが、英語ではフラワーだと思う...)。唄うはネオジャズボーカルの旗手とも言えるグレッチェン・パーラト。ボーカルの世界に新しい地平を開いたぼくの大好きな白人女性シンガー。 
 彼女のデビュー以降、斬新な表現に魅せられ続けてきたが、その最新作が良質の作品を送り続けている、コアポートから出ると言う話を聞き、これは...と言うことで代表の高木洋司氏に連絡、テスト盤を送ってもらった。結果は期待どおりいやそれ以上の素晴らしさだった。

 と言うことで高木氏にスタジオに遊びに来てもらい、彼女の新作『フロール』を、同じく仲間の一人で素晴らしいシンガー、ベッカ・スティーブンスの新作と共に、この2枚を紹介してもらうことにした。4月8日のオンエア予定だけにこの夜の「テイスト・オブ・ジャズ」是非聴いて欲しいもの。だがここではその素晴らしさを、一足先にぼくの寝起きの1枚として紹介したい。彼女は今最も注目の女性シンガーの一人だが、同時にこれも今注目のドラマー、マーク・ジュリアナのカミさんでもある。この事実ぼくは全然知らなかったのだが、高木氏からこの事実を聞いていささかビックリ。ジャズドラマーとしても有能だが、彼はあのデビッド・ボウイとも共演、ボウイのラストアルバムでもドラムを叩いている。そんな縁もあってこのグレッチェンのアルバムでも、アルバムのラストナンバーはボウイの「ノー・プラン」。ドラムは旦那のジュリアナが務めている。
 こう書くとパーラトの新作は、ロック色の濃いアルバム...等とも思われがちだが、決してそんなことは無く、全体はブラジリアンテイストの濃い爽やかなアルバム。ブラジルを代表する作曲家、ピシンギャーニの「ホーザ」を始め、素敵なブラジリアンナンバーが殆どで、爽やかなお目覚めにピッタリなナンバーが並ぶ。しかしぼくがこのアルバムを寝起きの1枚に選ぶのは、バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番」を彼女が唄う~ハミングしているからなのだ。バッハをスキャットハミングと言えば、もう半世紀ほど前のフランスのジャズコーラスグループ「スイングル・シンガーズ」のバッハ集が思い出されるが、それ以来のバッハジャズものではないかとも思う(まだ他にもある筈だがぼくは知らない)楽聖などとも称えられるバッハ。ぼくは全ての音楽の原点は彼の音楽にあると信じており、音楽家で誰か一人を...と言われれば、間違いなく彼の名前を挙げるほどのバッハフリークの一人。

 そのバッハの最高傑作の無伴奏チェロ組曲。この難曲を軽やかにスキャットハミングするグレッチェン・パーラト。全く凛として優雅の極み。魅了され尽くしてしまいます。是非皆様も一度耳にしてみたら...。ただ残念なことに番組では、このバッハチェロ組曲は取り上げていません。申し訳なしです。

【今週の番組ゲスト:ビブラフォン奏者の赤松敏弘さん】

Next Door-New Life』から
M1Next Door-New Life
M2Steve's Homework
M3Hana-no-no
M4Nervous Breakdown
赤松さんの初の電子書籍
Next Door-New Life / あるジャズビブラフォン弾きのちょっぴり変わった30年のニューライフ』もKindleで好評販売中


3月4日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.03/04 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.555~宇崎竜童】

  ちょっと前のことだが何気なくTVを点けると、大きなステージで歌う懐かしい顔が映っており、「もしかしたらこれは...」と思ったら、やはり稀代の歌姫=山口百恵の武道館での伝説ラストコンサートの模様だった。TVを点けた時は確か「いい日旅立ち」を唄っていたと思うが、その後も懐かしい曲が並び最後の「さようならの向こう...」を歌い終え、感動のマイクをステージ中央に置き去っていく、あの忘れられない場面まで画面にくぎ付けで見入ってしまった。こののち霊南坂教会で結婚式を挙げ、以降は人前に登場することも無く徹底した市井の人として、今も生き続けている彼女。夫と子供達は有名な俳優やミュージシャンとして活躍しているが、自身は表に一切出ない。その凛とした姿勢は、感嘆などと言うものではない。

 彼女の家は良く知られているが、我が街国立の市役所や図書館、小ホール、公園などが点在する、文教都市の中の生粋の文教地区にある。窓がほとんど無い打ちっぱなしの鉄筋コンクリートの三浦家。その家の前は図書館に行くときに時々通るのだが、いつも至って静かに「百恵の家」と言う感じで建っている。ぼくは一度も見掛けたことは無いが、知り合いの中には、買い物籠を持った彼女を見かけたと自慢する人も少なくない。「全く気がつかないし、本当におばちゃんだよ...」などと異口同音に語るが、ぼくはそれはある種の誉め言葉だと解釈している。
 それにしても一時は桜田淳子、森昌子とともに「花の3人娘」と言われ、その存在は圧倒的だった。あの評論家平岡正明が「百恵は菩薩」と言う本を出しているが、まさにそれにぴったりな真の意味での歌姫だった。残念なことに他の2人は特番などで一緒したりしたのだが、女王百恵とはそういう機会は訪れなかった。ラジオプロデューサーとしては残念な極みである。

 ここまで書いてくると、今回の主役は百恵か...と思うだろうがさにあらず。彼女に多くの名曲を送った作曲家、宇崎竜童なのである。これも偶然見かけた「熟年ばんざい」と言うタウン誌、これは東京の多摩地区から埼玉の所沢市などで出されているものだが、その表紙を飾るのが竜童さんで、「極上の齢の重ね方」がその号のメインテーマ。その中でスペシャルインタビューも受けている。あの伝説の山口百恵のラストコンサートでも、そのハイライトとなっていたのが、竜童~阿木曜子夫婦コンビの名作の数々だったので、TVを見ながらそう言えば竜童さんどうしているのか...と思った次第。
 そのインタビューを読むと、古くから友人の高橋伴明監督の「痛くない死に方」と言う、老人介護を扱った映画の準主役の老人役を演じていると語られている。「何時も若々しい竜童さんが、そうかそんな役を...」と不思議な感じがしたもんだが、彼に最後に会ったのは、竜童ツアーと名付けられた全国コンサートツアーの一環で、中野サンプラザホールがまだあった、確か5~6年前のコンサート終了時のこと。このツアーのピアニストと音楽監督役が、ぼくの親しい北島直樹さん(寺井尚子のピアニスト)で彼と少し打合せもあったので、楽屋を訪れた時に隣の楽屋が竜童さん。久しぶりに挨拶を...と思ったが、来客中で顔を見ただけ。それも15年振り位だったが、元気そうなので何よりだった。

 竜童さんとは30代後半、プロ野球中継の10月から3月頃までの冬時間、毎週3時間半ぐらいの特番を作り続けていた頃に、時々色々な企画特番を一緒に作ったものだった。当時の彼は竜童組と言うユニットで活躍している一方、作曲家としても受けに入って大忙しの毎日だった。彼のライブを録音中継するのがメインだったが、当時は創作意欲に燃えていた時で、「心中天の網島」などと言う歌舞伎をロックオペラ化したアルバムなども作ったりしており、それを基にした特番なども企画、実に楽しくも辛い時を一緒に過ごさせてもらった。
 彼は明大の軽音楽クラブでデキシーランドジャズをやっており、確かトランペットを吹いていたはずだが、ひょんな機会からロックの世界に飛び込みリーゼント姿の粋な兄ちゃんで売り出し、「ダウンタウン・ブギウギ・バンド」で一世を風靡したのだが、根は街の気の良いあんちゃん。面白い人だった。 
 その彼が「自分らしい死に方とは、自分らしい生き方の事。最後は大勢に看取ってもらいたいね...」などと語っていると、いかにも彼らしいとも思うが、いささか寂しい気もする。何時までもいい意味での虚勢を張り続ける「チャンジー・ボーズ」でいて欲しいもの。まあ実際にはその通りの生き方なのだろうが、いつまでも若々しく格好良くいて下さい。


【今週の番組ゲスト:アルトサックスプレイヤーの池田篤さん】

新譜『Free Bird』『SPIRAL』から
M1
His Way Of Life
M2Impressions
M3Flame of Peace
M4Spicy Island

2月25日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.02/25 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.554~チック・コリア死す】

 先日何気なく新聞を開くと、かなりなスペースで「チック・コリアさん死去」と見出しにあり、この2月9日に死去、79才だったと続く。チックの具合が悪いなどと言う話は、ついぞ耳にしたことも無かったので、「ええーっ」と一瞬仰け反ってしまったが、本人のフェイスブックで11日に明らかにされたもので、ごく最近、珍しい型の癌が見つかったと記されていたと言う。その癌が見つかって余り時間も経たない内に亡くなってしまったのかも知れないが、いずれにせよ驚きのニュースだった。
 このニュースが伝わるとフェイスブックでは多くの知り合いミュージシャンやジャズ関係者が、その追悼と交友の想い出などを載せていた。そう、彼は日本の多くのミュージシャンやジャズ関係者、ジャズファンと親しい交友関係を結び、また彼ら彼女らにこよなく愛されたミュージシャンで、最も訪日回数の多い親日家と言う存在でもあった。
 この記事には最後に「グラミー賞に67回ノミネートされ、23回も受賞。極めて多作なことでも知られ、来日公演も多く、まだ17才だった上原ひろみさんをステージに上げたこともあった」と記され、「上原さんとは2008年、日本武道館でデュエット公演を果たした」と書かれていた。その武道館デュオは残念ながら聴いていないが、東京ジャズ等でのチック&ひろみデュオには数回足を運んでおり、毎回その息の合った匠技を披露し合う、究極のデュオプレーを堪能させてもらったものだった。
 
 日本のジャズファンはジャズピアノ好きが多いが、1970年代以降~すなわちビル・エバンス以降のジャズピアノ界をリードし続けて来た大立者、チック、キース・ジャレット、そしてハービー・ハンコックの3人。今回チックが亡くなり、キースも病の為にピアノを弾くこと能わず、唯一残っているハービーも、ピアニストと言うよりも、もっと多様性のあるポップな音世界に関心を移している感もある。こう見ると今や完全にブラッド・メルドーやラバート・グラスパーなど、次世代・新世代ピアニスト達へとジャズピアノの基軸や重心は変化しつつあるとも言えそうだ。そしてそれを印象付けたのがチックのこの死亡ニュースだった。
 
 ピアノトリオアルバムの不朽の名作『ナウ・ヒー・シングス...』から、一世を風靡した楽園サウンドグループ「リターン・トゥ・フォーエバー」、多くのミュージシャンやシンガーがこぞって取り上げる大ヒット曲「スペイン」、更には上記のひろみとのデュオ等々、彼への愛着の念は尽きない。しかし何よりぼくが彼を愛するのは、彼の出自に深く関係するラテン(ジャズ)への血の濃さである。彼のデビューは、確か大物モンゴ・サンタマリアのラテンジャズバンドで、名作「スペイン」にはスパニッシュ&ラテンの香りが色濃く漂い、そこら辺が一般に大受けしたとも考えられる。
 ぼくは直接彼とは話しをしたことは無いが、まだ30代の頃彼の愛妻で、シンガー&ピアニストのゲイル・モラン。彼女のインタビューを頼まれたことがあり、その時に一緒に来日していたチックに会えるか...と思ったのだが、仕事の関係で彼は不在。残念な想いをしたものだった。だが彼女からは、いかに彼が素晴らしい人物で素敵なピアニストだと言うことをいやとほど聞かされたものだった。今となっては良い思い出である。チックの霊に 献杯!

【今週の番組ゲスト:シンガーソングライターの高田みち子さん T5Jazz Recordsの清水正さん】

『高田みち子 feat.LANDMARK BLUE LIVE FROM YOKOHAMA』から
M1「青春の残照」
M2Time After Time
M3「大桟橋と観覧車」
M4「港が見える丘」


2月18日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.02/18 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.553~グレート3】

 
天才プーさんことピアニストの菊池雅章、鬼才ドラマーの富樫さんこと富樫雅彦、そして孤高にして最高のベーシスト、ゲイリー・ピーコック。この3人共が今はもう鬼籍に入ってしまった究極のザ・トリオ。まさに「グレート3」の名称に相応しいこのメンバーが、1994年に行った奇跡の2つのセッション。これが今回4枚組のCDとして完全版の形で復刻され、未発表の演奏も4曲ほどここには収められていると言う。このニュースを耳にした時、これは直ぐにでも番組でも紹介しなければ...と思い立ち、オリジナルのトリオアルバムのプロデューサーで、今回の復刻の立役者でもあるジャズブログ「JazzTokyo」(ぼくもコントリビューターの一人)の編集長、稲岡邦彌氏に登場いただき、今回このアルバムの魅力を紹介してもらうことにした。

 稲岡氏はジャズ界ではもう有名な存在で、あの欧州発の世界的ジャズレーベル「ECM」を日本に本格的に紹介した人物。別名ミスターECMとも言われる存在で、今は亡きトリオ・レコードの敏腕洋楽部長として、数多くの秀作ジャズアルバムを世に送り出してきたが、このアルバムもその中の一つで、特に彼が印象に残ったものでもあるようだ。このアルバムは、ある音響メイカーが高品質の録音でアルバムを作りたいと稲岡氏に話を持ち掛け、1994年の春、丁度ゲイリー来日の折にゲイリーにプーさん、富樫さんと言う究極の組み合わせで、アルバム録音が実現することになったと言う。そしてこの収録の前日、新宿の「ピットイン」でリハーサルを兼ねライブが行われ、そのライブもこのアルバムの2枚目から4枚目に収録されている。即ちスタジオの本セッションが「ビギン・ザ・ビギン」セッション、「ピット・イン」ライブの方が「テネシー・ワルツ」セッションと名付けられ、全部で4枚組、曲数にして23曲が収められている、正に「コンプリート・グレート・3セッション」なのである。

 スタジオの方はオーディオファン向けと言う面もあり、3人のオリジナルもあるがメインはスタンダードナンバーだが、これが一筋縄では行かない素晴らしさ。この3人は当時20数年振りの再会と言うことだが、さすがに超実力者だけにその共演模様は凄味すら漂う。富樫さんは不幸なことに(奥さんとの揉め事で長い車いす生活)、ドラムではなく特注のパーカッションを叩いているが、その表現力・衝撃力も凄まじく、それに呼応するプーさんとゲイリーも迫力充分。聞き応え十分なセッションが展開される。稲岡氏はその場に実際に立ち会っていただけに、関連話も興味深い。

 その上この番組では、恐らく本邦初お目見え~初公開のプーさんのラストソロアルバム(4月発売)から1曲、彼の代表曲「リトル・アビ」も最後に紹介する。これは2015年に亡くなった(享年75才)、プーさんの本当のラストソロアルバム(『花道』で2013年に録音されたもの)プロデューサーの要望を受け、彼にしては珍しくスタンダードを中心にソロ演奏したもので「サマータイム」「マイ・フェイバリット・シングス」などが収められており、そのラストが彼の代表曲「リトル・アビ」。50年近く弾き続けたこの曲の深淵な美しさを称えた究極の演奏で、番組は幕を閉じる。皆様もこの特別な「テイスト・オブ・ジャズ」、是非お聞きください。

【今週の番組ゲスト:音楽プロデューサーの稲岡邦彌さん
M1Begin The Beguine / Great 3」『コンプリート・セッションズ 1994』より
M2Straight, No Chaser / Great 3」『コンプリート・セッションズ 1994』より
M3Peace / Great3」『コンプリート・セッションズ 1994』より
M4Little Abi / 菊地雅章」『ラストソロ〜花道』より



2月11日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.02/11 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.552~都市の変容】

 
先日番組の打ち合わせで、地下鉄の溜池山王駅「スタバ(スターバックス・カフェ)」に向かった。朝10時からの打ち合わせと言うヤングチャンジー(爺さん)=オールドボーイのぼくにとっては、結構早い時間からの打ち合わせ。まあこの溜池山王駅はかつてのラジオたんぱ時代=局員時代の出勤最寄り駅で、スタバも良くタレントなどと打合せを行った馴染みの店。ただ最近はコロナ禍での在宅勤務の関係か、以前に比べると地下鉄駅周辺はかなり人も少なくなっている。ちょっと心配にはなったが、慣れ親しんだ店だけに...と思って進む。しかし駅周辺の最奥部分~あるべき所にその店は無い。道を間違えたのかと辺りを探したが肝心の店は無く、近くにあった筈のコンビニも無い。どうやらかなり前にクローズされてしまったようなのである。これは困ったと思い表通りに上がり、最も近いこれも馴染のコマツビルに向かい、かつてここに純喫茶があったと思い...探すとドンピシャで正解、ようやく打合せ場 所を確保した。だがこのビル地下も、かつては沢山の店で賑わっていたのだが、今やこの喫茶のみが営業していると言った淋しくも厳しい状況。溜池周辺も少し来ないうちに、街も店も大きく変わってしまっていたのだった。

 斯々云々(かくかくしかじか)で、今や東京の街々はどこも大きな変容を遂げつつあり、ぼくの様なオールドボーイは都会の田舎者と言った感じで、落ち着いて街を散策することも出来ないし、人と会うこともままならない。その変容度の代表的街が渋谷で、この未来都市にも似た街は未だ変容を遂げつつあり、最近ようやく慣れることが出来つつあるが、一時は地下鉄から東横線や井の頭線に乗り替えるのに全くまごついてしまい、しばしうろうろ...と言ったお寒い状態が続いたものだった。
 同じ現象は日本橋でも上野そして池袋等々、東京の至る所で起きているが、この都市変容に慣れることなどは、ぼくのようなチャンジーにはもうかなり難しいのだと、今は痛いほど思う。

 翻って音楽=ジャズの世界でも、ヒップホップやラップなどのブラックミュージックをベースにした最近のコンテンポラリージャズと言うもの、それが今の若いアフリカンアメリカン(黒人)達の、日常や心情をダイレクトに写し取ったものだと言うことは、頭では良く分かっていても、自身の心身が受け入れ難いのだ。そしてこの受け入れ難いと言うぼくの今の率直な感じと、東京と言う大都市の変容についていけない、今のぼくの心情とは、何か似ている=通底している気がしてならない。まあこれもぼくが単に年をとってチャンジーになってしまい、感性が錆びついてしまっただけかも知れないが、何とも寂しいし残念なことでもあります。せいぜい好奇心旺盛にして頑張らなければ...

【今週の番組ゲスト:放送作家の中野俊成さん】
昨年12月に発売された『ジャケ買いしてしまった!!ストリーミング時代に反逆する前代未聞のJAZZガイド』をご紹介頂きました。

M1Summertime /  David WeissP80Virtuoso Saw』より
M2The Girl From Ipanema  / Mrs.MillerP145Will Success Spoil Mrs. Miller?!』より
M3Je t'aime...moi non plus  / Bourvil & Jacqueline MaillanP103Ça (Je t'aime moi non plus)』より
M4Farmer John / Mel HenkeP61La Dolce Henke』より
M5These foolish things /  Ella Fitzgerald & Louis Armstrong P167Ella and Louis~again』より




2月4日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.02/04 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.551~音楽本あれこれ

 正月明けから1月の半ばまでに読んだ「音楽本」を紹介してみよう。まずは何度目かの再読だが、村上春樹~和田誠の共作になる『ポートレート・イン・ジャズ』(文春)。和田誠画伯が10数名のジャズメンを描き、その彼ら彼女らに関する文章を、春樹がまとめたと言うジャズ本で、何回読んでも示唆に富み、誠さんの描くジャズイラストも含蓄深く興味尽きない。春樹氏は国分寺~千駄ヶ谷で結構長い間、ジャズカフェ「ピーター・キャット」を営んでいただけに、モダンジャズを実によく聞きこんでおり、学生時代は伝説のオールドタイマー喫茶「スイング」でもバイトをしていただけに、全てのジャズに通じており、また我々並みのジャズライターなどは足元にも及ばない筆力と着眼力で、愉しく読ませる。更にそれを誠さんのイラストがアシストし、絶妙のコンビなのである。

 春樹~誠コンビのこの定評あるジャズ本は、どなたにもお勧めのジャズ本だが、続く2冊は万人向きとは言い難いもの。但しガイド本なので読み易いものではある。その2冊とは「アバン・ミュージック・イン・ジャパン」(DUブックス)と「快適音楽ガイド」(シンコー・ミュージック)。2冊とも気鋭の音楽ライターのペンになるガイド本で、タイトルからすると、前者はかなり尖がった音楽ガイド、そして後者はかなり軟弱なガイド本等とも思われがちだが、この両方は意外に親和性も強い。その最大の類似点は、お勧めの「脱ジャンル音楽=越境音楽」あるいは「境界線音楽」のガイド本...、とでも言ったら良いのだろうか...。両者ともにロックやポップス、そしてジャズと言った音楽がそのガイドのコアにはなっているが、取り上げられているものはどれもゴリゴリのロックとかジャズと言った原理的アルバムでは無く、それ等をコアに様々なジャンルの音楽要素がミックスされた、蠱惑の音が詰まったアルバムが紹介されている。「アバン」とは「アバンギャルド」の略でかなり先鋭的な音楽=現代音楽などもその範疇に入るし、一方の快適音楽の方には、ぼくの云う"楽園音楽系"のサルサやラテンジャズ、タンゴ、更にワールドミュージック系の音も含まれるが、そのどちらも既成の音楽ジャンルに固執していないものがメインになっており、そこがなんとも面白いし惹かれる所。

 今は既存のCDなどが売れずにダウンロードなどが主力。ジャズをジャズとして、クラシックをクラシックとしてなどと意識しないで、色々と聞き漁る雑食性の音楽ファンが増えており、これは良い面と余り感心しない面の両方あるとは思うが、好きなものを好きな時に...と言うノンシャランな聴取態度は、音楽の在り方そものを変化させつつある様にも思える。ぼくなども脱ジャンル~越境音楽好きなどと思っているし、実際に広言もしているが、やはりコアはド・ジャズであって、それを聴いてさえいれば安心...などと言う感も少なくない。そこはチャンジー(爺さん)リスナーなのである。まあこれからも年齢も年齢だけに、余りいきがらずに愉しい音楽を味わうことに心掛けたいものだと、この2冊の意味深い音楽ガイド本を読んで思った次第です。皆様にもお勧め本です。

【今週の番組ゲスト:ジャズギタリストの浅利史花(ふみか)さん】
新譜『Introducin'』から
M1bluesette
M2Daahoud
M3Goldfish Droppings
M4Summit

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