6月25日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.06/24 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.311~はな子&カシアス・クレイ等々】

 我がジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」では、この4月から毎月月末の時間は、評論家の青木和富氏を招き「ジャズのお勉強」と言うことで、ジャズ史をベースに様々なジャズのお勉強をしようという企画を実施中。今回は第3回でいよいよジャズのスタート時点、ビ・バップに突入。バップとは騒々しいと言ったスラングのことだが、この音楽を作り上げた天才バードことチャーリー・パーカーをメインに、彼とタッグを組んだディジー・ガレスピーなど、モダンジャズの創始者とも言える巨人達にスポットを当てることとなった。パーカーはクリント・イーストウッド監督(大のジャズ好きで息子はジャズベーシスト)の映画「バード」でお馴染みの存在だが、まさにジーニアスそのものとも言える天才プレーヤー。これぞジャズメンと言う典型的な破滅型プレーヤーでもあった。従来のスイングジャズを革命的に変化させた彼のプレーは、録音状態の悪さなどもありファンには意外なほど聞かれることも少ないのだが、今回はそのプレーとじっくり向き合おうと言うもので、ジャズの「大本」をこの機会に皆様もご堪能下さい。

 
さて番組の方はこんな感じだが、ぼくなりに感じ入る事柄がこの所多々ある。そのまず第一は、象の「はな子」の死。井の頭動物園で亡くなった最長齢のこのインド象、ぼくが小学生時代に上野から井の頭動物園に引越し、娯楽のない時代には大人気の存在だった。杉並区のお坊ちゃんヴァイオリ二ストだったぼくは、同区の小学校代表の一人として学校から派遣され、この象の一日飼育係代理を、学校一の美少女と共に行った。この当時はほとんどの子供が貧しく、いわゆる原始共産制の中にあったとも言えるのだが、彼女は隣のクラスで学校一の金持ち~土地持ちの美人の子として知られていた。高円寺の駅から2人で井の頭動物園に向かうその間も、また園に着いてからも、ぼくは緊張続き。肝心のはな子のえさやり作業などは良く覚えていないが、2人で園のお弁当を食べ語り合ったことは印象に残っている。当時はお金持ちの娘は美少女、と相場が決まっていたので、その日だけで後は接触はなくなってしまったが、今も楽しい思い出の一つだし、身近で見たはな子の人気も凄いものがあった。その象が...,何か寂しい。

 
そして死亡ニュースと言えばもうひとつ、世紀のボクサー、カシアス・クレイことモハメッド・アリの死。齢74というから、こう見るとぼくとそうは違わないのだが、その本名のクレイは、白人から与えられた奴隷の名前だとして廃棄、イスラム教に回収したモハメッド・アリ名を堂々と名乗り、敢えてベトナム戦争の従軍拒否を敢行、世界タイトルを剥奪...と、まさにアフロアメリカンの代表格として差別撤廃などに孤軍奮闘して戦った信念の人でもあった。その姿は学生運動華やかなりしわが国でも、その果敢な行動は若者の英雄として大きくクローズアップされ、永遠のボクサーとして名前を残すことになる。タイトル剥奪から数年後のアフリカ・ザイールでの無敵ジョージ・フォアマンとのキンシャサ・リベンジ・マッチ。この凄みたっぷりな試合を、もう一人の時代ヒーロー、作家のノーマン・メイラーがドキュメントした観戦記も最高の内容だった。さんざんフォアマンに打たせまくって防戦一方、それを第8ラウンドに「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と言うあの有名なキャッチフレーズ通りに一発パンチでKOしてしまう。まさに凄いの一言。以降はパンチドランカーの常として体を壊し、表舞台には現れなくなるが死ぬまでアリは、黒人達そして世界中の戦うもの達の真のシンボルだった。

 
その歴史的キンシャサ激戦から数年後に我が国で新しい装いの雑誌(ぼくたちの気分を代弁してくれるような雑誌)が、それまで歌謡雑誌「平凡」で売っていた出版社から出された。「ポパイ」である。当時のアイドル雑誌「平凡」を発行する平凡出版は、若者カルチャーを代表する「マガジンハウス」と名前を変え、一躍時代の気分をリードすることになる。それから40年、「ポパイ」今月号はその40周年記念号で創刊誌(ウエスト・コースト特集号)がオマケで付いている。オマケには弱い性格なので直ぐに買い求めてしまったのだが、その最新号の面白くなさ。やはり今の時代からは大分ずれてしまった感もありあり。かつて「ラジオ・ポパイ」等と言った相乗り(共同企画)の2時間特番をオンエアーしたりして、編集部とも良くコンタクトを取り合って、新しいラジオ番組と新たな雑誌を作ろうとしていた、あの時代の面白さ・意気の良さ。もうはるか昔の時代になってしまったのだ。今はあの当時の「ポパイ」のような雑誌はない。いささか悲しいし、残念でもある。
【今週の番組ゲスト:「ジャズのお勉強」第3回 先生は音楽評論家の青木和富さん。Bebop...モダンジャズの始まりについてお話いただきました。】
M1「DIZZY ATOMSPHERE/CHARIE PARKER&DIZZY GILLESPIE」
M2「WHITE CHRISTMAS/CHARIE PARKER」
M3「THE CAMP/DIZZY GILLESPIE」
M4「INDIANA/BUD POWELL」
M5「9月の雨/GEORGE SHEARIN'G」

6月18日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.06/17 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.310~軽井沢ジャズ・フェス】

 この夏また全国各地でジャズフェスが
開かれる。かつてのような熱気はないし、定例のロックフェスには動員力等及びもつかない(かつてはジャズフェスが凌駕していた時代もあった)寂しい状況だが、それでもフェスが開かれるのはいいことだ。このジャズフェス・シーズンの口火を切って7月末に催されるのが、軽井沢の大賀ホールでの「軽井沢ジャズ・フェス」である。日本屈指の別荘地で開かれるこのフェスも、今年で5回目。前回は主催者で企画立案者でもある「88」レコードの伊藤八十八氏がその前年に死亡、開催も危ぶまれたが奥さんの妙子さんが後を継ぎ、無事フェス運行となっただけに、今年は...と思っていたら、構成作家で演出家、エッセイストなど多彩な顔を持つぼくの古くからの友人、高平哲郎氏が全体の構成と演出を手掛けるという形で、また実施することになった。場所は同じく大賀ホール。これまでは2日間だったフェスを、彼の助言もあり7月30日(土)1日だけとして、昼間の2時から3時間ほどたっぷりとジャズを愉しもうと言う企画。

 
ぼくもこのフェスには色々協力したり、ライブレポートを書いたりしたこともあり、今年もまた...と言うことで、主催の伊藤妙子さんと高平哲郎氏に今回のフェスだけでなく伊藤八十八氏についても2人で偲んでもらおうと、スタジオに招くことにした。高平氏は数年前から軽井沢住まい。正確に言うとお山(浅間山)を超えた北軽井沢~群馬県嬬恋村在住。そんな関係もあり追分での文化シンポジウムに登場してもらったこともあるが、ここから東京に車で通うと言う(往復8時間強)かなりなハードスケジュールを毎週こなしているらしい。
 彼はかつてのフジTV王国~お笑いをメインにしたフジTV全盛期の陰の立役者でもあり、元々は雑誌「宝島」の初代編集長。その彼のインタビュー集を読み、当時のラジオたんぱでスタート予定の紀伊国屋提供のカルチャートーク番組のメインキャスターに起用を考えたのだった。いささか斜に構えシャイな彼だけに、しゃべりは今一つだったが、その交友関係は大変に幅広くゲストは多岐を極め、毎回大変に面白かった。
 また彼は我が森田一義(タモリ)登場の陰の仕掛人で、色々面白いアイデアを提供、タモリを時の人に仕立て上げた面白グループの張本人。その彼を放送の世界に引き込んだのが、かく記すこのぼく(自慢話です)と言う訳で、彼もその恩を感じてくれているみたいなので、彼とは本当に長い付き合い。今のラジオ日経では考えられない様な豪華で面白い特番=石原裕次郎、高倉健、ツービート・スペシャル(メジャー化する前のタケちゃんに焦点を当てる)等々、その裕次郎さんなどかつての日活スター総出演特番「我が愛しのヒーロー達」は同内容のドキュメンタリー映画(作家の矢作俊作氏が監督)にもなったりもした。
 その高平氏と亡くなった伊藤八十八氏とは古くからの仕事仲間であり飲み仲間で、彼を偲ぶ会も高平氏と仲間達主催で開かれたりもした。

 
日本の「真夏の夜のジャズ~ニューポートジャズフェス(アメリカ屈指のリゾート地、ニューポートでかつて開かれていた代表的ジャズフェス)」の再現を目指し、伊藤八十八氏が始めたジャズフェスを、軽井沢在住の演出家が総合企画・演出する今年の軽井沢ジャズ・フェス。例年と少し違う形になるのかも知れないが期待大でもある。出演はケイコ・リー、寺久保エリナ、TOKUなどと言ったお馴染みの八十八ファミリー。妙子さんも出演者一人々に挨拶に行き、今年の趣旨を伝え了解をもらい、ジャズプロデューサーとしての第一歩を歩き出している。軽井沢ジャズフェス、伊藤妙子、高平哲郎、そしてこのフェスを愛するファン、それらすべてに乾杯!
【今週の番組ゲスト:㈱Eighty Eight代表の伊藤妙子さんと編集者で演出家の高平哲郎さん】
M1「I'm a fool to Want you/KEIKO LEE&BILLIE HOLIDAY」
M2「Soul Shadows/団しん也」
M3「MY IDEAL/TEDDY WILSON」
M4「BEAUTIFUL LOVE/KENNY BARRON」

6月11日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.06/10 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.309~ジャズ女王降臨】

 このところ世の中は女性上位と言うか、女性の元気の良さが目立つようだ。それを象徴するのが今の若者達を形容した「肉食女子・草食男子」と言った言葉。これが現在の実態を表しているとは言い難いだろうが、ある真実を突いているのも事実だと思う。翻って日本のジャズ界を見ると、21世紀になってからは徐々に女性陣の進出が目立っており、サダオさん(渡辺貞夫)、洋輔さん(山下洋輔)、小曽根、渡辺香津美などと言ったベテラン陣は別として、若手陣ではかなり女性陣が頑張っている。かつてならば女性はボーカルかピアノと相場が決まっていたのだが、最近は管楽器やベース、ドラムと言った楽器でも、女性プレーヤーの進出が目立つようになっており、時代の大きな変化を感じざるを得ない。

 
そんな女性プレーヤーの中にあって、トップを走り続けているのが、ジャズバイオリニストの寺井尚子。CMに登場したり、様々なジャズイベントでも花形の存在として観客を魅了するなど、女子ジャズの牽引役と言ってもいい存在。ジャズバイオリンと言った分野も、彼女がいなくては考えられなかった世界で、今や彼女に続く存在も(ほとんどが女性)続々と巣立っているといった状況にある。まさにスーパー・ウーマンである。

 
その彼女がこの春に新作『トワイライト』を発表した。ほぼ年1作のペースでアルバムを発表し、J-ジャズ女王としての実績を誇示し続けている彼女。「ああまた出たのねー」と言う感じでニュースを見ていたが、その彼女から新作を紹介して欲しいとのオファーがあり、10数年ぶりに我が「テイスト・オブ・ジャズ」に今回ゲストとして来てもらうことになった。彼女が最初に番組に遊びに来たのは、今から20年ほど前のデビュー直前のこと。レコーディングを終えたばかりのテープを携え、プロデューサーのÈ氏と共にスタジオに顔を見せてくれたのだった。彼女もケイコ・リー、綾戸智恵などと同じく、名古屋のジャズドクターこと内田修さんがその才能を見出した存在。内田さんから「美形で実に上手いジャズバイオリン奏者が名古屋にいるから是非番組で紹介してよ」と頼まれ、プロデューサーがÈ氏と言うこともあり、二つ返事でOKしたのだった。スタジオで見ると彼女は聞きしに勝る美形で、これで技が加わればとアルバムを聴くとこれがデビューとは思えない素晴らしさ。彼女の話よりもそのお顔をボーッと見てしまった程のいい女。その後デビューを果たすと直ぐに人気沸騰。何回か番組にも来てもらったが、その後は若きジャズ女王と言った感じも強くなり、こちらからも声が掛けづらく、彼女の方も...と言った感じで、ここ10数年は番組付き合いはなかった(雑誌のインタビューやコンサート打ち上げ等では何回か顔を合わせていたが...)。それが彼女の方から声が掛かるとは...と思っていたら、この新作は彼女のセルフプロデュース作品。今までプロデュースを務めていたT女史が所属レコード会社を退職、その結果自身で作品を初プロデュースしないとならなくなり、PR活動も積極的に行うことになったのが理由のようだ。

 
新作『トワイライト』は、このところ得意としているアストル・ピアソラの斬新なタンゴナンバーを頭に据え、メンバーチェンジした新メンバーの中心存在、ピアノの佐山雅弘(彼も今度新作を発表、それを携えスタジオに遊びに来る予定)のオリジナル、そしてドビッシー、マーラーと言ったクラシックの名曲のジャズ化ナンバーなど全10曲。彼女自身のオリジナルは今回収録されていないが、どれも女王の貫禄十分な充実した内容でスタジオでの話も堂々として風格十分。さすが女王と言った感じ。
 
アナウンサーの山本郁嬢も彼女のファンで、いつか会いたいと前々から語っていたが、今回ようやく実現したのだが、彼女の貫禄に押され気味で結構ビビっていた感じもある。そこら辺の微妙なやり取りも結構興味深い。

 
彼女は今年「東京ジャズ」のステージで、現代タンゴの巨匠達と共演することが決まっている。あのジャズアコーディオの第一人者、リシャール・ガリアーノのバンドに急きょトラ(代役)として加わり、難解なガリア―ノオリジナルを僅か2日で完全マスター、素晴らしい演奏を繰り広げたあの伝説の東京ジャズステージの再現を聴かせてくれるかも知れない。華も実もある凄い女性です。
 収録
が終了し帰り際、彼女に来年もまた...と頼むと喜んでと返事してくれた。嬉しい限りで、プロデューサー冥利に尽きますね。
【今週の番組ゲスト:ジャズヴァイオリニストの寺井尚子さん】
M1「ブエノスアイレスの冬」

M2「チェロキー」

M3「セイム・オールド・ストーリー」

M4「ルナー・ダンス」

6月4日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.06/03 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.308~渡辺香津美コンサート】

 日本が世界に誇るギターの巨星、渡辺香津美の周年記念コンサートが、自身が生まれ育った想い出の街・渋谷のオーチャードホールで5月末に開催された。17才の時『インフィニティ』で衝撃デビューを果たして以降、世界を駆け巡りつつ、シーンの牽引者として疾駆し続けて来たこの永遠のギター青年も、今年でそのギター人生は45年目。自身のスタジオで内外の様々なギタリスト達との親密な対話を交わした周年記念作『ギターイズビューティフル』をこの4月に発表。その好評を受け多彩なギタリスト陣をゲストに迎え『ギター...』の拡大スペシャル版として実施されたこのコンサート「45周年記念祭」は、「祭」だけに興味深い趣向も用意され、足洗音大のカツミ教授がギタリスト香津美の原点、渋谷の街を探索する「ブラタモリ」ならぬ「ブラカツミ」等も画面に流された。そして締めは「天才ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトが1953年5月にこの世を去り、その5か月後にぼくが生まれた...」と言うナレーション。そこに彼がアコギでジャンゴ張りに軽快なマヌーシュ・スウィングを奏でながらおもむろに登場、演奏会がスタートと言う面白がりの渋谷っ子ならではの小粋な計らいで、多くのファンを魅了する。

 第1部は笹路正徳、高水健二、本田雅人など一騎当千の手練れ達が集ったスペシャルユニットとのステージ。ドラマーはなんとかつての僚友、迫真にして入魂の重量ドラミングを誇るオラシオ・エルネグロ。この凄腕達をバックにスペーシーなダイナミックさを感じさせる自身の「JFK」「遠州つばめ返し」軽快なラテン・フュージョン風味の「ハバナ」等の十八番ナンバーを披露、満杯のファンを歓喜させた。
 続く第2部は、ジャズ(井上銘)、クラシック(村治沙織)、ロック(Sugizo,フラメンコ(沖仁)と言った俊才達~香津美を良き兄貴分で師匠格として慕う、様々な分野の香津美チルドレン(押尾コータロー談)10人がゲストで集い、それぞれ1曲ずつ協演・競演を果たす、豪華なギター祝祭絵巻のステージ(曲ごとに主役はギターを持ち替える)。ギターミュージックの奥深さ、幅広さ、柔軟さ等々、その醍醐味をたっぷりと満喫させてくれた。同時に多彩な顔と才を誇る卓抜なギター料理人、香津美の全てが分かる秀逸にして悦楽の音構成でもあった。

 どれも豪華なステージだったが、聴きどころの一つは、親子ほど年の離れたジャズギターのホープ、井上銘との競演で、自身のオリジナル「ジャンミ」を、コンテンポラリギタージャズの水準の高さを頷かせる、説得力のあるアドリブの応酬で聴かせジャズファンを唸らせ、セロニアス・モンクの名作「ラウンド・ミッド・ナイト」は、X-ジャパンなどで活躍するバリバリのロックギタリスト、SUGIZOとの対決&融和セッション。エフェクトなども駆使した力感と熱気溢れる爆音競演で、眠らない街=渋谷の夜を徹した喧騒振りが鋭く活写され、今回のハイライトの一つとして昇華された。そして第2部の大トリは名手、押尾コータロー。彼が得意とするラベルの「ボレロ」を、香津美大兄と熱く激しく絡み合いながらクライマックスへと盛り立てていき、終盤は他のゲストギタリストも全員揃い踏みで、あの有名なメロディを合奏、混沌としながらも一本芯の通った、圧巻にして至高のカタルシス空間の現出、感動的で観客も声が出ない程で、まさに壮大で絢爛なギター合奏だった。
 オーラスのアンコールナンバーは、アルバムでも掉尾を飾った自身のトロピカル風味な軽快オリジナル「アイランドポップ」、出演者全員が愉し気に短くソロを廻し合い、再びテーマに戻され3時間半に喃々とする、この充実の長尺コンサートも大団円を迎えた。

 終演後ステージスクリーンに「ギター人生50周年コンサート」の予告(?)が映し出されたが、世界的なギターの匠がこの楽器に注ぎ込む尽きせぬ情熱。本当に素晴らしいもので、何時までもギターを愉しみつつ、頑張ってくださいマエストロ・渡辺香津美氏。
 それにしても彼をスタジオに招き、この周年コンサートの予告をしてもらうはずだったが、何せリハーサルが大変で時間が取れなくなってしまい、予定していたゲスト出演が不可能になってしまったのは、大変に残念なことでした。また遊びに来てくださいね。 
【今週の番組ゲスト:ジャズフルーティストの小川恵理紗さん】
M1「Compleated light」
M2「Freedom jazz dance」
M3「Salt Spring」
M4「Blue Bossa」

5月28日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.05/27 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.307~最近のPIストーリー】

  この4月から番組では毎月最終週のこの時間、ジャズ評論家の青木和富氏にジャズのお勉強と言うタイトルで、20世紀最高のポップミュージック~ジャズを体系的に見直してみようというシリーズ企画をお願いしている。ジャズの歴史を振り返りつつ、これからのジャズも見据えていこうと言うジャズ教養講座(と言っても決して堅苦しい内容ではありません)なのだが、今回はその2回目。初回がジャズの誕生からシカゴ、NYへと進出した辺りまで、そして今回は「スイングトゥバップ」と言うことで、いよいよモダンジャズのとば口へ到着ということになった。狂乱の20年代から30年代、スイングジャズ全盛期のキング、ベニー・グッドマンをはじめグレン・ミラー。更にはスイングからビバップへの移行期の代表的プレーヤー、夭逝したギタリスト、チャーリー・クリスチャン等々、様々なミュージシャンが登場する。このジャズのお勉強、ぼくにとっても思い返すこと、知らなかったことなど数々あって、結構ぼくにとってもお役に立つ講義なのだ。と言う訳でこのお勉強に是非皆様にもお付き合い願いたいと思っている。

 まあ番組はこんな感じだが...、このところハードボイルド系PI(私立探偵)ものの小説や映画などで、かなり面白いものがいくつか出て来ているので、久し振りにそこら辺から紹介してみたいと思う。わが国のハードボイルド探偵小説としては、現在は札幌在住の東直己(大のジャズ好き)が一人気を吐いている感も強い。彼には酔いどれの「名無し探偵」と、かなり生真面目な本格派探偵~畝原ものの2シリーズがあり、松田龍平が出演しかなりヒットした探偵シリーズ映画は酔いどれ探偵の方。この他にも大田忠司など何人か頑張っている人もいるのだが、如何せん衰退状況は否めない。そこで全く違うタイプの探偵ものとして登場したのが、北川景子主演でTVドラマ化もされた「探偵の探偵」。松岡圭祐の書いたこの探偵ものは、タイトルどおり興信所所属探偵の非行を暴く探偵。DV被害者の身元を暴露など、実社会でもこの手の探偵の悪行がニュースにもなっているだけになかなかに興味深いし、良い所に目をつけた感じもある。主役は紗崎玲奈という女探偵。女と言うところもミソで、TVドラマは見ていないが小説は久々にスリリングで面白かった。このシリーズ4巻で収束。

 そしてビデオでは少し前に出たリーアム・ニールソン主演の「誘拐の掟」が秀逸。これは人気ハードボイルド作家、ローレンス・ブロックの私立探偵マッド・スカダーものの映画化で、監督は名脚本家としても知られるスコット・フランクの監督デビュー作。その演出・映像共にハードボイルドの頂点を極めた素晴らしいものとしてお勧めしたい。このリーアムのマッド・スカダーに唸らされていたら、もっと凄い傑作があった。アメリカのTVシリーズの「トゥルー・ディテクティブ」。ウディー・ハレルセンとマシュー・マコノヒー、この実力派・個性派2人がタッグを組むハードボイルドもの。ビデオ屋でそのチラシを見た時、これは傑作と言う予感がしたのだが、それを超える様なまさに素晴らしい逸品だった。全4巻でエピソードは8話。舞台はアメリカの暗部とも言える南部ディープサウスのアラバマ州辺り、バイヨーとも言われる湖沼地帯がメインで、この舞台設定からしてスリリング。主演の2人はこの地域警察でタッグを組む刑事。なんだタイトルと違っていま日本でも大うけの、ぼくにとっては余り好みでない刑事ものか...、と思ったらラストの第4巻、エピソード7から、2人は警察を辞めPI(私立探偵)として迷宮入りの事件を追い、傷つきながらも解決すると言う、なんと20年近い歳月が経過するワクワク・ドキドキのハードボイルドな展開。マシューの方は周囲とは相入れない一匹狼。一方ウディはいかにも南部男と言った、いささか粗野だが感情豊かな刑事。南部だけに悪魔教、幼児虐待・殺害などの暗い事件がベースで、NYやロス、サンフランシスコなどの大都市アメリカしか知らない(ぼくもその一人だが)日本人に、全く異なった考え・生き方をする(ここら辺が大統領候補としてトランプが進出するにも大きくものを言っているはずだが)、その南部の暗い保守体質。日系の新進監督の作品らしいが良く描かれており、何より主役の2人が素晴らしい。彼ら2人にショーン・ペンを加えた3人。彼等こそ今のアメリカを象徴する実力派で、アメリカ映画の肝とぼくは信じているが、その2人の揃い踏み。悪いはずがありません。大推薦です。
 こうしたアメリカTVシリーズもの、今までは殆ど見ることはなかったのですが、いささか驚だされました。音楽担当はシンガーとして以上にプロデューサーとして注目を集めている才人、T・ボーン・バーネット。自身が歌う主題歌だけでなく挿入されるバック音楽も実にスリリングでグッドです。この「トゥルー・ディテクティブ」、役者や舞台(ロス)も大きく変えたシーズンⅡがレンタル開始になっています。果たしてどんな内容なのか...。マシューとウディ―のPartⅠほど食指は動きませんが、これも見ないとならないですね。
【今週の番組ゲスト:「ジャズのお勉強」先生は音楽評論家の青木和富さん】

M1「HEEBIE JEEBIES」
M2「SUNG SING SING」
M3「FLYING HOME」
M4「SWING TO BOP」
M5「KOKO」 

5月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.05/20 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.306~グランドピアノ】

 日本のファンが最も好むのがピアノジャズそれもピアノトリオもの、ジャズアルバムで売れるのはもっぱらピアノトリオノアルバムだし、それに伴ってかジャズアルバムが出されるのもまたトリオものがほとんど。こうした傾向は決して好ましいものとは言い難いが、ある意味仕方ない面もある。サックスやトランペットと言うかつての花形楽器は、プレーヤー個々の個性と言うか、まずその出す音自体が人によって千差万別。人間ひとりひとりの生理を写し取ったような、その生音を受け付けないとなると、どんな素晴らしいアドリブプレーを繰り広げたとしても、そのプレーヤーは自分にとって無縁な人と言うことになってしまう。しかしピアノに関して、プレーは様々なスタイルがあっても、楽器の特質として、平均律と言うか...根本の音自体は誰もがさほど変わらない。それだけに音に対する好き嫌いは余り派生しない。そのうえピアノはギターと共に「小さなオーケストラ」とも呼ばれ、それ自身で自立できる(=ソロで成り立つ)表現力豊かな楽器でもある。まあそれやこれやでピアノはジャズ楽器の主力として君臨しているのだと言えそうである。

 
さてそんな圧倒的な人気を誇る楽器~ピアノ、その頂点ともなるのが堂々としたグランドピアノとなる訳だが、それをそのままタイトルにしたアルバムを先ごろ発表したのが、ベテランの伊原康二氏。50年近いキャリアを誇る彼にとって、このアルバムは3枚目のリーダー作となり、純粋なピアニストとしては確かデビューアルバムの筈である。その彼の久々のアルバム発表と言うことだし、彼自身も是非番組に来たいという強い要望もあって、およそ10年振りに彼にスタジオに遊びに来てもらうことにした。かつてのフランスギャング映画の出演者のような強面の風貌の彼だが、根は実に繊細でセンス良い人。

 
元々彼は日本を代表するオルガン奏者で、かつては渋谷でオルガン演奏をメインとした珍しいジャズクラブを経営していたこともある。それだけにその前作も当然オルガン・ジャズアルバムで、これが愉しさ溢れた仲々の出来栄え。ジャズ雑誌でレビューを担当してかなり褒めておいたのだが、その関係で彼と縁が出来、そのお店に行ったりもしたものだった。それから10年余り、今の彼はもうほとんどオルガンは弾かなくなってしまい、専らピアニストとして活動しているのだと言う。その彼のピアノに惚れたある篤志家がスポンサーになり新作が誕生したのだが、いささか残念でもあるが、それもまた仕方ない所だし、このピアノジャズアルバムの出来栄えもかなりなものなので、それもまた良しとすべきなのだろう。現在60代半ばの彼は、80才で現役引退を広言しており、キャリア50年で3枚のアルバム、それについては「ゆっくりと生きて来た証しです」と語ってくれた。引退後は」ファンの皆がたまに思い出してくれれば嬉しいです」と言うことだそうだ。

 
アルバムは「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」など良く知られたスタンダードが10曲で、ラストに自身のオリジナル、インド政府の招きで現地のジャズフェスに出演、その時見た現地リゾート海岸での心象風景を綴った「サイン」が収められている。また3曲でストリングスとの共演もあり、ジャズピアニストとしては大変に嬉しいことだったと言うが、確かにウイズストリングスものを1枚は作ってみたい、と言うのは多くのジャズプレーヤー達の願望。その望みが叶えられたのだから、言うことなしである。面白いことにはアルバム出資者でもある篤志家が、数曲で自身のフリューゲル・ホーンの妙演を披露していること。これが素人はだしの出来栄えで、伊原氏のピアノに輝きを加えている。この関係ジャズにしてはかなり良いものですね。まあそれに倣って、どなたかお金持ちのジャズ好きな篤志家の方が、我が「テイスト・オブ・ジャズ」のスポンサーとして、名乗りを上げてくれませんかね。こりゃいささか虫が良すぎですかね、失礼しました。
【今週の番組ゲスト:ジャズピアニストの伊原康二さん】
M1「These foolis things」
M2「You go to my head」
M3「sign」
M4「Fly me to the moon」

5月14日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.05/13 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.305~信濃追分16春景色】

 GWは例年通り追分の山荘で過ごした。4月28日から5月7日まで10日ほど、結構長くいたものだが、8日は山下新監督の新生早稲田ラグビー部の大事な初戦が早稲田上井草グランドであり、これは是非見ないとならない試合。山荘での用事を切り上げ、泣く々7日の夜中に帰京した次第だった。このGW期間、軽井沢~追分もさすがに車も混んでおり、この間軽井沢の街に出たのは、しなの鉄道の中軽井沢駅の上にある軽井沢図書館(全国でも有数の好図書館で、館長は元NHKアナで朗読家の青木裕子さん)に本を借りに行ったのと、大賀ホールでこの夏のお盆の日(ぼくの誕生日でもあります)に行われる堤剛のバッハ無伴奏チェロ組曲の全曲演奏会の前売りチケットを買い求めに行った2回だけ。大賀ホールは軽井沢駅の近くだけにかなりな混雑具合、チケットを入手したら早々に引き上げてきたのだが、このGW混雑も一昔前に比べたら雲泥の差。以前は全く車など動くあてもなかったのだが、今はそんなことも無く軽井沢も駅南口の有名なアウトレット以外はさしたる混雑も無い。軽井沢の象徴とされた旧軽銀座もさしたる混雑も無かったと聞くし、全く人の動きが変わってしまったようで、これもまた時代の流れなのか...


 
さてその堤剛のバッハ無伴奏チェロコンサートだが、いつもは音楽会チケットを買うなどと言うことはほとんど無く、これも大賀ホールの支配人に無理に頼み込めばどうにかなったかも知れないのだが...、誕生日と言う記念日コンサートだし、以前大賀ホールで世界的チェロの名手、ヨー・ヨー・マがやはり無伴奏をやると言うので、発売日に予約を入れたのだが発売数分で数万円の席は売り切れ完売...と言う苦い経験もあって、今回わざわざチケットセンターに出向いたという訳。この無伴奏コンサート、全部で6つあるバッハの無伴奏チェロ組曲を、一日で全曲演奏すると言う、かなり大胆にして無謀とも思える企画。名手堤剛にしても体力・気力ともに全てを使い切る大仕事なのだが、それに果敢に挑戦したその意気込みを評価,これは是非ものの必聴コンサートだと今から大いなる愉しみで、この夏のぼくにとっての追分一大イベントにもなっている。

 
そしてもう一つの軽井沢イベントと言えば、やはり「軽井沢ジャズ・フェス」。このジャズイベントについてはこれまで数回このコラムでも紹介してきたが、これを立ち上げた伊藤八十八(やそはち)くんが一昨年惜しくも亡くなってしまい、昨年は奥さんがそれを受け継いで街イベントとして実施。今年もまた彼女がヤソさんの遺志を継いで実施することになっている。イベントの構成は古くからのぼくの友人で、フジTVお笑い路線を確立した立役者の高平哲郎氏。今年は彼の進言で7月30日の日曜日一日限りの公演になったのだが「ぐっと充実した内容にするから期待してて...」と言う高平氏の言。そこで今度伊藤氏夫人と高平先生にスタジオに来てもらい、ジャズフェスの話や伊東氏のジャズ業績・その思い出などを、2人に語ってもらうことにしている。皆様も楽しみにしていてください。

 
ところでGWの追分山荘暮らし、これまでだと亡き我がバカ犬ピーちゃんを連れて、御影用水の畔の小道から森の中の遊歩道など毎朝一時間ほどの遊歩が日課だったが、連れがいないとこれが億劫で一度も散歩に出なかった。持病の糖尿病には良くないのは判っているのだが、意志薄弱だけに足が動かず、反省しきりである。今年の収穫は我が山荘の庭を闊歩するつがいの雉の親子3羽を早朝に見かけたこと。雉自身は時々見かけるし「ケーン・ケーン...」と言う甲高く鋭い鳴き声も良く耳にして、犬に襲われなければ...などとも心配してしまうのだが、その朝は鳴き声が異様に近くで聞こえうるさい感じ。これはすぐそばにいるのかと窓から見ると、なんと3羽も庭を歩き回り鳴きかわしており、その雄雉の立派さにしばし見とれてしまった。少し経つとこの家族いずこかに消えてしまったが、森の中に家も多く道路もあって車も通るだけに心配一入だった。だがまあどうにかなったのだろう。彼等を見れて何かホッとするいい想いがしたのも事実だった。そういえば以前サルが2匹屋根で寝そべっていたこと、シカが庭を横切って行ったこと等も思い出され、一寸した追分山荘動物交遊録でもある。

 
山荘では相も変わらずCD整理を行っているがこれも遅々として進まない。このGWで良く聴いたのは、チケットを買ったバッハの無伴奏チェロ組曲。今は亡き名匠シュタルケルの鋭く激しい演奏が最もフィットしたが、ジャズサックス奏者としても知られる、清水靖晃のサックス無伴奏によるこの全曲、かつて大きな話題を呼んだサックスソロによる全曲アルバムも、改めて世界に誇るべき素晴らしいものだと思った。まあいずれにせよ仲々にいいGWでした。
【今週の番組ゲスト:ヴォーカリストでフルーティストの若生りえさん】
M1「Tea For Two」
M2「CUTE」
M3「きっと青い空」
M4「The Gift」


5月7日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.05/06 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.304~香港の歌手兼ブランド社長】

 外国人と外人。どちらも日本国籍を有していない人と言った同じ意味の単語だが、ぼくの中ではこの2語、微妙に違っているのである。外国人は文字通りの日本国籍以外の人だが、一方の外人さんとは、日本人を含む中国・台湾・韓国など東アジア地域の人達~いわゆるモンゴロイド系を除いた他の人達、特に欧米の白人が中心で、それにアフロ・アメリカンや中南米、中近東等々の人達と言ったイメージが強い。これはひとえに、ぼくが「ギブ・ミー・チョコレート」で育ったロートル世代からなのかも知れないが、やはり外人と言うと、白人そして黒人を思い浮かべると言うことになってしまう。

 
さてそんな外人さんだが、最近スタジオに遊びに来ていないなーなどと考えていたら、是非番組に登場したいと言う申し入れがあった。と言ってもその本人から直接では無く、とあるレコード会社を通しての申し入れだったが、ある条件を飲んでくれればと言うことで喜んでOKした。その条件とは通訳を手配すること。今までは通訳と言うと、ラジオ日経きっての英語使いの才媛、帰国子女のⅠ女史にお願いして来たのだが、彼女も役員さんに昇格、そんなお仕事はやってられませんということで、自力で見つけなければならないのだが如何せん予算はゼロ。さすがにこれだけはノーギャラでは頼めない。通訳問題、そこら辺も外人さんの登場がこの所少なくなっている一因なのだが、今回は通訳をレコード会社が手配すると言う。それならばと言うことで直ぐに決定。その当人がスタジオに現れた。

 
ブリジット・ミッチェル。スタイル抜群の歌姫である。それもその筈で箇所にしてファッションモデル、更にファッションブランドオーナー、女社長でもある。南アフリカ、ケープタウン出身の彼女、同地で育ちそこでプロ活動、同時にファッションセンスも生かしての仕事も始めたという。ただいささか仕事にも飽きてきてこれからどうしようか...と考え、気分一新、大好きな香港に行き、そこでまた新たにファッション関係でも...と思っていたところ、現地の実力派音楽プロモーターと知り合い結婚。彼のおかげでデビューアルバムを吹き込むことになり、これが南アフリカの権威ある音楽賞を受賞。その勢いに乗じて今度は旦那のつてでアメリカの有力ミュージシャンやブラジルのトップミュージシャンによるセッション(ロスとリオデジャネイロの2か所でのセッション)を収録。新作『レッツ・コール・イット・ラブ』を発表、そのプロモーションを兼ねて日本に遊びに来たという次第。

 
香港という都市は世界の商業の中心でもあるだけに、音楽の世界でも結構有力なプロデューサーがいて、彼女の旦那もその一人。そのおかげでラッセル・フェランテ等のトップスタジオミュージシャンが集結、かなりな素晴らしいセッションが実現することになり、リオの方も実力派が集うことになった。曲はロスが6曲、リオが4曲。いずれもアントニオ・カルロス・ジョビンのボッサナンバーかボッサタッチの軽めのナンバーが中心。それを彼女はキューティーボイスでスタイリッシュに歌いこなしており、魅力的な仕上がりになっている。ただそれだけでは無くさすがに女社長。ぼくも大好きなアビー・リンカーンの「スロー・イット・アウエイ」を彼女なりに歌いこなしているのだ。あまり取り上げられないこの素晴らしいナンバーの作者にして最高のシンガー、アビーと言う女性は、主張する黒人女性シンガー。その彼女がビリー・ホリデイに捧げたナンバーで、黒人女性の苦しみ・悲しみ・ほのかな希望などが歌い込まれたメッセージ性の強いナンバー。それをあの南ア出身の白人女性シンガーが取り上げる。そこには彼女の主張も垣間見られ、興味深いものがあり、ぼくもこの選択で彼女のことが直ぐに好きになってしまった。
 そういえば香港のあの世界的なクラシックレーベル「ナクソス(一時はジャズも取り上げていたが...)」の社長夫婦、山の上の豪邸に招待されたあの夫婦は今どうしているだろうか...、と懐かしく思い出されたし、香港特番も最近ついぞやっていないなーなどと余計なことも考えてしまった一時でした。有難う 美しきブリジット。

【今週の番組ゲスト:香港を拠点に活躍するジャズヴォーカリストBrigitte Michellさん(通訳:和田麻衣子さん)
M1「Meditation」
M2「Throw It Away」
M3「Lost In The Memory」
M4「Once I Loved」

4月30日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.04/29 番組スタッフ 記事URL
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.303~ジャズのお勉強①】

 以前にこのコラムでも少し書いたのだが、この4月から番組では毎月最終週に「ジャズのお勉強」と言うことで、少し体系的にジャズを学び直す~ジャズ史を振り返りながらジャズを見つめ直す、ジャズのお勉強企画をスタートさせることにした。一応今年いっぱい全部で9回の放送で、ジャズのスタートから今の新たなジャズ状況までを見て行こうという新たな試み。20世紀の大衆音楽(ポピュラーミュージック)を牽引、その全てに大きな影響を与えたジャズと言う音楽。それが今世紀に入りどう変化、深化していくのか...。今もう一度見直す必要があるのでは...と考えてこの企画を実施することにした。ジャズ講師はぼくと同世代のジャズ評論家で話も面白く見識も広い青木和富氏。

 
下町=門前仲町の老舗煎餅屋の息子として生まれ育った彼は、確か高校生時代にジャズに開眼。早稲田大の理工学部で学んだなかなかの秀才だが、大学を出て程なくジャズライター家業を始めた...と言う異色の経歴。理数系出身だけにメカにも詳しく、芸術にも精通しているという万能型。知り合って30数年だが、一緒に飲んで議論したりするとその見識の広さ、深さに感心させられることしばしば。ただ少し短気な所がたまにキズか...。

 
その和富氏(かずとみし)は、名前から「わふう」と呼ぶことも多い。数年前に別荘だった富士山麓(河口湖そば)鳴沢村の方に住まいを移し、東京での仕事やジャズライブなどの折には、そこから高速バスに乗って2時間ほどはるばるやって来る。いやはや大変な労力で、ぼくも追分山荘住まいを薦められたが、東京に出る労力を考えるだけでも二の足を踏んでしまう。それだけにこの「ジャズのお勉強」企画、彼に頼むのはどうかな...と悩んでいた。と言うのも再三触れているように、当番組の出演者はノーギャラ原則でボランティア出演だけに、頼みづらいうえに富士山の麓からのお越しとあっては、流石のぼくでも頼みにくい。それとなくその話を振ってみると、前々からの知合いだけに番組事情も知り尽くしており、どうにか承諾を得ることが出来た。感謝・感謝である。その代り収録終了後には酒を奢る等々、何らかお返しをするということで納得してもらった。

 
その第1回目をスタジオ収録した。ニューオルリーンズの有名なコンゴ広場でのジャズ誕生逸話から世界初のジャズ録音(SPで音は悪い)、ジャズの神様~サッチモことルイ・アームストロングのスキャット歌唱、そして狂乱の「ローリング20(トゥエンティーズ)」に象徴されるスイングジャズ全盛期まで、40年以上の歴史を30分で一挙にお送りしようという、余りにも欲張った無謀な企画で、わふう氏も初回だけに力が入り、余りにも詰め込み過ぎの嫌いもあり、ドタバタで終了してしまった。それでもどうにかモダンジャズ前史は俯瞰出来る内容だった。次回はスイングからモダンジャズの移行期、スイングトゥバップ期の演奏を取り上げる予定で、講師も張り切って富士山の麓から出勤する。
 「ジャズをあまり堅苦しく考えないで、愉しみながらお勉強を皆さんとしていきたい~ぼく自身の勉強にもなるので~と考えていますからこれからもよろしくお付き合いください(わふう氏)」。いよいよジャズのお勉強が始まります。特にテストもない気楽なもので、今まであまり紹介されなかった音源等も登場するはずですので、わふう氏ともどもよろしくお願いしますね。

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さん
「今月から毎月最終放送日には音楽評論家の青木和富さんにジャズの歴史や豆知識などお話し頂く「ジャズのお勉強」をおおくりします。」
M1「DARKTOWN STRUTTERS' BALL /  ORIGINAL DIXIELAND JAZZ BAND」
M2「HEEBEE JEEBIES / LOUIS ARMSTRONG and his HOT FIVE」
M3「JAZZ ME BLUES / BIX BEIDERBECKE and his ORCHESTRA」
M4「THE MOOCHE / DUKE ELLINGTON and his ORCHESTRA」
M5「WHAT A LITTLE MOONLIGHT CAN DO /  TEDDY WILSON and his ORCHESTRA」
M6「LESTER LEAPS IN / COUNT BASIE'S KANSAS CITY SEVEN」
  


4月23日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2016.04/22 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.302~ジャージーハワイアン】

 
このところのご婦人方のフラダンス熱、なかなかのものでそれに伴いハワイアンも見直されつつあるのだと言う。常磐ハワイアンとフラガールズ、または「アロハ・オエ」「カイマナヒラ」位しかハワイアンの知識のない浅はかな男だが、ハワイ在住のハーブ・オオタがウクレレでジャズを演奏したり、「スティール・ギター・ジャズ」なんてアルバムが30年以上前に出されていた...というジャズとハワイアンの接点については僅かながら知っている。だがどうもジャズとハワイアン、この2つは最も離れた所に位置するポピュラーミュージックだという考えが、ぼくの中には根強い。確かに最近のハワイアンと言うのは段々ポップス化していることは、誰かから教えられた覚えがあり、最近では早稲田大の名門音楽サークル~ナレオハワイアンズ(通称ナレオ)が、あの正統派のハワイアンナンバーをほとんど取り上げず、もっぱらポップスバンドになっているとも聞いた。今や音楽ジャンルの壁などはどうでもいいんだ...と言った感じも強いので、こうした傾向は至極当然なのかも、などと考えていた。
 
 その矢先、レギュラーレビューアーを務めているジャズ雑誌から、ハワイアンアルバムのレビュー依頼が来た。なぜジャズ雑誌がハワイアンを...、などと思いながらアルバムを聴くと、これがジャージーでいい感じのアルバム。そこでレビューでは「心和むいい感触のジャージーハワイアンアルバムで、かなり評価出来るのでは...」と記しておいた。かなりジャズっぽい感じもあるので、誰がアレンジを務めているのかと気になりクレジットを見ると、あの北島直樹。長い間寺井尚子の音楽監督的役割を果たして来た彼とは、5年ほど前に彼のアルバムプロデュースを手伝った関係もあり周知の仲。そこでハタと気が付いた。彼のコンサートで挨拶された安部よう子さんという女性。彼女はフラダンスクラブのお師匠さんで「想いでの歌を歌う会」という歌唱グループのお師匠さん(多くの会員がいるクラブ)。更に彼女は北島氏の奥方でもある方だった。その安部よう子さんが今回初めて出したアルバムのタイトルは『ウエリナ』。愛しいと言った意味合いで、彼女のハワイに対する愛しさが全編に溢れており好感が持てるもの。

 
 そこで彼女とご主人の北島氏に連れだって、スタジオに遊びに来てもらうことにした。こうしたラジオ番組は初めてと言う彼女は幾分緊張気味だったが、色々とハワイアンそしてジャズなどについても楽しげに語ってくれた。
 
元々はジャズ歌手としてスタートした彼女だが、結婚を機に歌手活動を休止、フラダンスを習いはじめてメキメキ腕を上げ、多くの生徒さんを抱えるお師匠さんになり、本職の歌の方も「想いでの歌の会」で生徒さんに歌唱を教えることになり、その結果今回ハワイアンのアルバムを初めて世に問うことになったと言う。そしてその伴奏とアレンジはもちろん旦那の北島氏。夫婦手を取り合ってのアルバム完成と言うこととなった。「フラヘブン」などの典型的なハワイアンナンバーから「フォー・センチメンタル・リーズン」等のスタンダードソング、そしてラストはお別れの歌「アロハ・オエ」まで12曲、ハートウオーミングでチャーミングな歌唱を聞かせてくれる。懐かしい「南国の夜」もボサノバで歌唱するなどの趣向も入ったこのアルバム、ジャケット写真も彼女自身が撮ったもので、ハワイの美しいサンセットが写し出されている。

 日頃はほとんど接することのないハワイアンだが、彼女の歌声を聴いていると実に心地良く夢見の世界へと誘われる。これもまた仲々に良きものですよ。

【今週の番組ゲスト:シンガーの安部よう子さんとピアニストの北島直樹さん
M1「HULA HEAVEN」
M2「HANALEI MOON」
M3「FOR SENTIMENTAL REASONS」
M4「ON A TOROPIC NIGHT」
M5「ALOHA OE」


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