1月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.01/21 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.549~ラグビー大学選手権

 巷ではほとんどの市町村で式典中止が決められる中にも、晴れ袖姿の新成人が行きかい愉し気な談笑を交わしていた1月11日の成人の日。その成人式に出席もせずに半世紀以上が経ち、今や単なる街のチャンジー(爺さん)に成り下がっているぼくも、この日は年甲斐も無く結構燃えていた。

 我が早稲田大ラグビー部の大学選手権2連覇が掛かる決戦の日で、10時過ぎには家を出て国立競技場に向かう。待ち合わせの千駄ヶ谷駅に着くが、いつもの決勝の日と違って至って静かなもので、駅前もいつもような混雑もなく、騒がしい様子は皆無。大分拍子抜けだったがまあこれも無理からぬ所で、この非常事態宣言下に良く試合が出来たものだと感心もする。前売りの1万5千枚強の入場者だけ認めての試合決行だと言うが、実際には5千枚分の人間は入らなかったのだとも聞く(明治ファンだと想像するが)。色々とオリ・パラ開催強行のための忖度が各所で働き、どうにか開催にこぎつけた...と言うのが真相のようだが、まあ試合が可能になり観戦出来るだけで御の字と言った感じ。閑散と言った感じが濃厚な国立競技場に着くと、何と我が早稲田ラグビー部員達の部員席のすぐ脇の辺り。これはまた縁起が良いと...、正月のおみくじ大吉引き当てに続き早稲田ラグビーの優勝を確信する。

 しかし幸運はここまでで、1時過ぎに試合がキックオフされると後は悲惨の極み。直後からどんどんと天理大に攻め続けられ、ボール支配率・地域支配率とも3割弱と言うみっともなさ。前半10分頃までに早くも2トライを立て続けに決められ、前半だけで既に試合決まりと言った様相。久しぶりに早稲田が完膚なきまでに痛めつけられた感も強かった。まあ今年はコロナ禍で菅平の合宿も中止、秋まで対外試合も無しと言った厳しい状況の中で、良く決勝戦まで勝ち上がってきたものだと、選手たちを褒めてあげたいし、彼らに感謝もしている。

 しかし、しかしである。監督やスタッフにはやはり注文の一つも付けたくなる。昨年の早明戦で惨敗した明治を軽く一蹴し、決勝に臨んできた天理大。その力量は良く分かっていたはずなのに、ほとんど対策が練られていないように見えたのは残念な極み。昨年の対決で大勝した驕りや余裕がありすぎて、天理戦への対策を怠ってしまった...と言われても仕方ない完敗・惨敗だった。
 それともう一つ、この決勝戦はコロナ対策で拍手だけの声援となっており、選手たちの声もフィールドに近い席だっただけに返って良く響いた。そんな中こちらに聞こえるのは、天理の選手たちの声だけ。彼らは早稲田の選手一人一人の名前を呼んで、デフェンスの確認をし、気を引き締めていたし、コーチもグランドの脇に立ち大声で支持を出していた。一方早稲田からは選手の声も一切聞こえず(劣勢だったので仕方ない面もあるが)、コーチなどもグランド上に見当たらない。更にすぐ脇の早稲田部員席からも応援の声が上がらず、至っておとなしい。ラグビーと言う競技は体と体をぶつけ合う競技で、特に学生の試合などは気合の持ちようで、試合の流れが決まってしまう所も多々ある。そうした意味でもこの試合その実力以上に、試合の勝利要素は意外にそこら辺で決まってしまったのかも知れない...。現にある早稲田のFWの選手は試合後のインタビューで「天理の選手の声のでかいことに圧倒された...」とまで語っており、FW戦のモールやラック(FW同士のもみ合い)で完敗したのは、適当な対策が取られていなかったことと、この声のでかさに圧倒されたこと...なども、関係していたのかも知れない。それにしても劣勢の中にあって、部員達はもう少しグランドの選手たちに声を掛けられなかったのか...。そうすればもう少し流れも変わる可能性があったようにも思えてならない。クールで沈着...は早稲田ラグビー部の売りではあるし、現在のコロナ禍で、声を出すことも躊躇われたのかも知れないが、それを突き破るような熱く激しい鼓舞の瞬間も、必要な時はあるのだ...と強く思ったものだった。

 何ともやるせない気持ちで、競技場を後にしてすぐ前にあるラーメン店「ホープ軒」(日本有数のコテコテそば)に寄り、久々に焼け気味で食べつくした一日。残念で寂しい一日でした。

 とここまで書いて驚くべき...と言うかまあ規定通り...と言うか、早稲田ラグビーに関する重大ニュースが飛び込んできた。監督の相良南海夫氏が勇退と言うニュース。彼とは2度ほどしか話(立ち話)をしたことが無く、まだ50才すぎには思えない温和な好々爺然とした人物だったが、長年三菱重工相模原の監督などを務めて来た組織人にして苦労人。崩壊寸前だった早稲田ラグビーを良くここまで立て直してくれた...と感謝しかない。また会社に戻るのだろうが、これからの人生幸多いことを祈りたい。それにしても敗戦のあと、彼は結構恬淡としていたように見えたが、もう覚悟は決まっていたのだろう。最後にミッシェル・ルグランの名曲「ワット・アー・ユー・ドーイング・ザ・レスト・オブ・ユア・ライフ」で、これからを称えたい。ご苦労さんでした。相良南海夫氏!

【今週の番組ゲスト:ジャズギタリストの井上さとしさん】
9枚目のリーダーアルバム「9SONGS」から
M1Together With You
M2Paz y Amor Siempre
M3Monk The Things
M4Nonoichi Swing

1月14日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.01/14 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.548~正月3が日

 災」から「福」に...と願っている方も多い2021年が明けた。正月3日間は世間の心配をよそに、快晴の好天気続き。特に元旦は雲一つない全くのピーカン。こうなると新年恒例の富士浅間神社参り...と言うことで、例年よりも1時間ほど遅い8時過ぎに自宅を出て、中央高速をひとっ走りして富士吉田市に向かう。例年に比べると車の数も少なく、実に走り易い。2時間弱で富士吉田のICを降り神社方面に向かうが、拍子抜けするほどスイスイと車は進み、神社に着くと駐車場もガラガラ。いつもだと朝の10時過ぎは、駐車場も超満員で場所探しに手こずるのだが、今年はそんな気配まるでなし。本宮の参道も人は例年の4分の1程で、参拝もあっけない程スムーズに終わる。まあ密が昨年の一字で、暮れからまたまたコロナ禍第3波到来などと騒がれているのだから、こうした閑散状況も無理からぬ所。翌日のラグビー大学選手権準決勝戦に臨む、我が早稲田チームの勝利を願っておみくじを引くと、これがなんと大吉。ここ10数年中吉・小吉などはあっても、大吉は無し。これは年初めから縁起良しで、明日の早稲田チーム勝利は間違いなしと確信、正月もやっている吉田の地場の温泉につかり、気持ちを新たにして帰京する。

  翌日はいよいよラグビー観戦。試合開始の1時間ほど前に秩父宮ラグビー場に到着、ここもソーシャルディスタンス実施で観客数も例年に比べて少ないが、熱気は例年通り。相手の帝京大は今年のシーズン戦で軽く一蹴した相手ではあるが、数年前までは10年位全く歯が立たなかった強敵。6・4で不利と思いながらも早稲田の勝利を願い、おみくじの結果も最高だっただけにその勝利を信じる。ウオーム・アップを見ていると早稲田の面々の充実度が伺え、その勝利を確信する。帝京大の全盛時代には、この試合前のアップを見るだけでこれは早稲田ダメと思ったものだが、今は全く違う。12時過ぎにキックオフの笛が吹かれると、実に早稲田の選手全員が元気で、開始わずかでFW全員で押し込むモールトライを決めるなど、素晴らしい出来栄え。後半は帝京大のパワーに押されたものの、6点差のままノーサイド(試合終わり)が近ずく。胃の痛くなるようなディフェンスが続き、ようやく我が早稲田ラグビーチームは逃げ切る。万歳・万歳なのだが、歓声を上げることは禁じられていおり、心の内で万歳を三唱。第2試合の明治―天理戦は友人に会うために観戦は取り止め。どうせ明治がコテンパンに天理を痛めつけるだろうと勝手に判断。夜帰宅してオンデマンドのラグビー中継を見ると、これがなんと全く正反対の結果。あの明治が天理に軽くあしらわれているではないか...。これには全く驚かされた。まあ外人選手が4人もいるとは言え、天理大は攻撃も防御も想像以上にスピーディーで素晴らしいものだった。この天理大に我が早稲田がどう戦うか...、それを想像しながらもう一つのスポーツハイライトである、箱根駅伝を見ると、これも創価大の予想外の往路優勝となっている。まあコロナ禍の中、2021年もまたまた世の中何が起こるか分からないものの様である。

 そして3日は、暮れに行けなかった墓参りに...。我が家のお墓は鎌倉の鎌倉霊園にあり、この霊園が出来て直ぐにお袋がここを気に入ってその一角を購入。それだけにこの墓地を所有する、あの西武の堤家の壮大な墓所の直ぐ傍の仲々に恵まれた場所にある。はるか鎌倉の海も見渡せ、富士山も望めると言う理想的なロケーション。この日も湘南の海と富士山を望みつつ墓に線香をあげ、今年1年の自身の生存を祈願した。チャンジー(爺さん)になると、寂しいことにもうただ生き続けることのみ...。これではいかんとその帰り道、横浜の「ディスク・ユニオン」に立ち寄り、去年のジャズシーンで最も力感のある素晴らしいアルバムの一つ、話題の俊才トランぺッター、アンブロース・アキンムシーレの新譜『オン・ザ・テンダー・スポット...』(BN)を購入、家でじっくりと聞くことにする。その結果は一口縄では行かない仲々に難しいアルバムだったが、アフリカン・アメリカン(黒人)の原点とも言えるブルースの現代的解釈とも言える意味深いアルバムと気づく。一回では理解し得ない所も多い含蓄多い作品なので、新年の年初めはたっぷりとこのアルバムに浸ろうと思っています。また今年も我がジャズ番組、よろしくお付き合いの程...

【今週の番組ゲスト:ピアニスト、コンポーザー、ボーカリストの宮本貴奈さん
7年ぶりのリーダーアルバム『Wonderful World』から
M1It's All Up to You
M2Hello Like Before~Just the Two of Us」
M3Blue Motion
M4What a Wonderful World


1月7日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021.01/07 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.547~2021年スタート

 明けましておめでとうございます。波乱の年の幕開けですが、今年どうなるのか全く先行きが見えません。まずは何といってもコロナ禍...、大規模クラスターはあるのか...。そして最大行事のオリンピック、これすら開催出来るのかはなはだ疑問ではありますが、まあそんなことを憂いていても仕方ありません。我々チャンジー(爺さん)世代は自身が健康で、どうにか一日でも生き延びることを考えるだけなのですから...。

 さてジャズ番組の新年第1弾は、売れっ子ピアニスト、作・編曲者のクリヤ・マコトの久々の登場です。アメリカ西部の大学の、確か物理学科何か理数系の学科を優秀な成績で卒業、研究者として残る道もあったようですが、音楽の道を選んだ変わり種。頭脳明敏な人だけに、帰国後のデビューアルバムはⅩ理論とか言う音楽理論をメインにした結構ハードな内容のトリオアルバムだったと思います。だがそこは商才にもたけた人、これが駄目だと見るや方向転換、ポップスの仕事なども引き受け、ジャズをメインに各方面で大活躍、その才気を全面に打ち出し大成功をおさめ、今日に至っています。今や日本のジャズ、そしてポップスシーンの売れっ子の一人と言っても過言でないクリヤ・マコト。その魅力をたっぷり楽しめる30分間です。

 今回は昨年に出した「ウエザー・レポート」のヒット曲をクリヤ流にアコースティックで再構築したピアノトリオアルバム=「アコースティック・ウエザー・レポート」を中心に紹介しますが、クリヤのユニークかつインテレクチュアルなお話はけだし聞きものです。また「ブラック・マーケット」などのウエザーナンバーの変貌具合、これもまた愉しみです。
 新しい年の初めにフュージョンミュージックの代表格、「ウエザー・レポート」のヒットナンバーのアコースティック新装版、曲が生まれ変わるとはどういうことか...、そこら辺をたっぷりとお聴きください。

【今週の番組ゲスト:ピアニスト コンポーザー プロデューサーのクリヤマコトさん】
Acoustic Weather Report 2』より
M1Black Market
M2Donna Lee
M3Deep Insight
NOTHIN' BUT JAZZ』より
M4Street Walking Woman


12月31日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.12/31 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.546~年の最後に

 コロナ禍による「災」と「(ノー)密」に明け暮れたこの1年も、ようやく終わりを迎えることとなった。ぼくはほとんど見ないのだが、あの国民的番組、NHK紅白歌合戦も密を避ける意味合いから、無観客歌合戦になると言うし、暮れの恒例行事=ベートーベンの第9コンサートも、大人数の合唱隊を間引いて実施などと、どこも「薄」が強調され、ますます日本人の人間関係も薄味になり、厚顔の政治家ばかりがのさばる...と言った悲惨な状態になっている。
 ジャズ界でも「薄」は浸透、ライブなども次々に延期ないしは中止、ミュージシャンやシンガー達は寂しくもやるせなく、中には生活の行き詰まりすら伴う連中も少なくなかった。そしてジャズ界では今年の一文字がもう一つ「閉」。これはジャズだけでなく、飲食業界全般に言えることだが、老舗の飲み屋・居酒屋等も次々に閉店に追い込まれ、コロナ禍第3波到来と言われるこの冬は、ますますその傾向は増している様である。我らが拠点だったジャズ銘店=新宿「J」も3月に遂に店を締め、全国各地のジャズ喫茶も閉店が続いているとも聞く。寂しい限りである。

 そんな中我がジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」、なんと怒涛の57年目(?)に突入、恐らく世界のラジオ音楽番組の中でも、最長の一つとして頑張っている。特にジャズ番組に関しては、ほぼ間違いなく世界最長記録を更新中...、とぼくや進行役の山本郁嬢は固く信じている。中身の充実度では他にも数多くの素晴らしジャズ番組があるが、その放送期間の長さ、ノーギャラと言う過酷な状態で50数年も続けられている、この2つだけはどこにも負けない自負がある(そんなことを自慢して何になるかと言うご指摘も多いが...)
 まあこれだけ続けられたのも、ファンの皆様のご支援もあるが、やはりジャズと言う音楽の持つ素晴らしさ故だろう...。まあ後どれくらい番組を続けられるかは、今はしかとはしないが出来るだけ頑張るつもりですので、ご声援よろしく。
 
 番組来年第1弾は、今ジャズのフィールドだけでなく、各方面で大活躍中のピアニスト、作・編曲家のクリヤ・マコトに登場してもらう。アメリカの大学で数学の学士を獲得、その道に進むはずだったのが、どういう訳かジャズピアニストになってしまい、今や日本のポップス音楽界の最も売れっ子の一人と言われるクリヤ・マコト、久々の番組登場です。そしてその次週も、ジャズ以外の分野での活躍も目立つ、才媛ピアニスト&作・編曲家の宮本貴奈。名門バークリー音楽大学を優秀な成績で卒業後、なんとカントリーの本場とも言われる、中西部の大都市ナッシュビルに移り様々な一流アーチスト達のバックを務め、その力量を高く評価されながらも帰国、今は郷里の結城市に住みながら(観光大使でもある)、仕事の時は東京などに通うと言う優雅にして超多忙でもある彼女。なんと7年ぶりの番組登場でもある。
 この2人以外にも山下洋輔さんなど大物や注目の若手など、多彩なライン・アップが並びますので期待してください。よろしく。

【今週の番組ゲスト: 音楽評論家の青木和富先生】
2020 今年のジャズ」
M1Undertow  / Joshua Redman Quartetto」『RoundAgain』より
M2Part Ⅰ / Keith Jarrett」『Budapest Concert』より
M3Civet / RS5pbRuike Shinpei 5 Piece Band)」『RS5pb』より
M4This Dream Of You / Diana Krall」『This Dream Of You』より
M5Look for the Silver Lining  / Brad Mehldau」『Suite: April 2020』より


12月24日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.12/24 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.545~老兵は死なず

 「老兵は死なず...」と言う有名な言葉がある。
 マッカーサーと言う米軍の有名な司令官、戦後すぐの日本に圧倒的な権力を保持していた人物が、第一線を引退した時に語った有名な言葉だが、今やそのマッカーサーなる人物の名前を知るのも、60代半ばから上の連中ぐらいになってしまった。それだけにもしかしたらこの言葉も今はもう死語かも知れないが...。かく言うぼくも、マッカーサーの名前は子供の頃良く聞いた覚えはあるが、もの心付いた時にはもう彼は帰国しており、その姿を実際に拝んだり、その威光に触れるなどと言うことは無かった。
 その有名な引退の言葉が、先日全国の新聞紙面に踊った。あのマイク・タイソンが、同じくボクシングの世界で4階級制覇を成し遂げた、ロイ・ジョーンズ・ジュニアと言う、タイソン同様やはり伝説のボクサーとエキジビションマッチを行い、両者引き分けたと言うニュースのキャッチワードが、この「老兵は死なず...」だったのである。ボクシングに詳しくないので、相手役がそんな伝説の人だとはついぞ知らなかったが、この余興試合は有料配信されかなりな高額料金と聞くが、全世界で120万件以上の視聴があったと言う。凄い数だし流石はタイソン、「老兵は死なず」であるし、むしろ現役の日本ボクサーなどより、よっぽど立派なファイト振りだったと思う。

 ぼくが見たのは全中継ではなく、そのダイジェスト版だけに人気者タイソンの健在ぶりがクローズアップされる編集がなされた所はあったろうが、誰が見てもタイソンの健在ぶりは鮮やかだったし、その重いパンチは現役時代とも遜色ないものだった。相手役ボクサーもその凄い気魄とパンチ力に完全脱帽だっだが、凄まじかった。そしてかつての悪ガキを絵に描いたようなタイソンならば、自身の勝利を主張して止まないところが、快く引き分けを認め会心の笑顔で記者会見に臨んだ辺りも、流石54才にして功成り名を遂げ、円熟味を増した今のタイソンがそこに居た。

 この「老兵は死なず...」はその後に「ただ消え去るのみ...」と続く。こう続くとこの言葉が定年退職者の挨拶にぴったりだし、チャンジーのぼくの今にも当てはまる言葉かもしれないがボクシング界のレジェンド、マイク・タイソンには、やはり前部分の「老兵は死なず...」だけでないとぴったり来ない。その後に続く言葉は「より元気に...」と言った感じか...。それほど凄いパフォーマンスだったと思う。ゴルフや野球などではマスターズトーナメントなるものも存在するが、生身をぶつけ合う格闘技ではそうはいかないのだが、ここでのタイソンはそんな思惑を吹き飛ばしてしまった。これからはボクシングのマスターズトーナメントなるイベントンも実現するかもしれない...とも思わされた。
 翻ってジャズ界では「老兵は死なず...」の好古の例がサダオさんこと渡辺貞夫と、海の向こうのレジェンド、ソニー・ロリンズだろう。同じサックス吹きだがロリンズはこの所はライブなど行っていないが、サダオさんは元気そのもの。恒例の年末ライブを実施、コロナ禍を吹き飛ばすような元気ぶりである。「老兵は死なず」そして「更に元気に...」を実行に移し、いつまでもJ-ジャズの為に頑張って欲しいものである。

【今週の番組ゲスト:作編曲家、ピアニストの遠藤征志さん
M1HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS / Mr. Jazz Quartet
M2WHAT A LITTLE MOONLIGHT CAN DO / Kiss the Cats
M3CHARADE /  Kiss the Cats」
M4O HOLY NIGHT /  Mr. Jazz Quartet

12月17日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.12/17 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.544~もういくつ寝ると

 色々波乱と混乱に満ちた年だった2020年も、もう残り僅か...。コロナ禍以外にはほとんど何も考えられない1年間だったとも言えるが、ぼく自身もう70年以上生きて来た中でも、最も災事に悩まされ続けた1年だったと思う。年初めの頃は、コロナ禍もこんな酷いことになるとは想像出来なかったが、2月ぐらいからは直ぐにドン底状態、本当に最悪の1年間だった。日本がどうにかこのコロナ禍をやり過ごせたのは、志村けん、岡江久美子と言う2人の有名人のコロナ死だったのではないだろうか...。あの死亡ニュースによって、新型コロナは怖いものだと言う認識が全国民に徹底され、マスク着用や消毒励行なども実施。自粛警察などのコロナ禍監視社会の徹底が、全く好ましからざることなのだが、ある程度の抑制に繋がったとも言える。
 個人的にはこのコロナ禍に加え、この夏終わり頃から番組面でのあるトラブルに巻き込まれ、11月初め頃までおよそ3か月間も悩まされ続けた。局員時代にも無かったトラブル勃発で、止まぬコロナ禍と合わせダブルショック状態、個人的にも全く混沌・困惑の年だった。

 さてそんな2020年も、もうジエンド。と言うことで毎年恒例の「今年のジャズこの1枚...」、ジャズ専門誌やジャズサイトからも依頼を受け、頭を悩ませどうにか選出した。まずは海外編。こちらはブラジルを代表するピアニストにして作・編曲家、教育者でもある、アントニオ・アドルフォのミルトン・ナシメント集『ブルーマ』(輸入盤)。ナシメントは「ブラジルの声(心)」などとも呼ばれる、ブラジルの北島三郎とも言えそうな大シンガー。ジャズとの親和性も強く、ハービー・ハンコックやウエイン・ショーターと言った巨人達との共演は、ジャズファンならばもうよくご存じの筈。そのナシメントの作品集を、アドルフォは何時か作り上げたいと思っていて、今回ようやく実現したのだと言う。それだけにその力量が最大限に発揮された、ブラジリアンジャズならではの、軽やかで充実した力作で、グラミー賞のラテン部門でも最高賞に輝いた筈の作品である。

 そして国内編だが、これがまたなかなかの難物。このコロナ禍でジャズプレーヤーやシンガー達にも大きな影響が出ており、ライブ活動は出来ないうえにライブハウスも次々と閉鎖。我らが拠点とも言える老舗ジャズクラブ、新宿「J」も、マスター幸田稔君の奮闘むなしく、遂に40数年の歴史の幕を閉じてしまった。それだけにジャズにとって実際の活動が非常に難しい1年間で、更にアルバムも出せなくなり、そうした様々な悪条件などにより、国内盤の1枚を選ぶのは困難な作業だった。しかしやらなければならない。
 と言うことでぼくの今年の国内盤の1枚は、注目の若手べーシスト、須川崇志のトリオ=バンクシア・トリオによる『タイム・リメンバード』。故菊池雅章や峯厚介などのバンドで活躍している、バークリー音楽大出身の知性派べーシスト須川は、林正樹、石若駿の今最も才能に溢れた若手による自身のトリオ~バンクシア・トリオを結成、そのデビューアルバムにあたる。ここでは期待通りの素晴らしいトリオサウンドが展開されており、日本的でありながらインターナショナルな響きと魅力にも溢れている、まさに世界に通じるトリオサウンドが、がっちりと提示される。皆様も是非聴いて欲しいものです。

【今週の番組ゲスト:NY在住のピアニストRINAさん】
デビューアルバムRINA」から
M1Journey
M2Shadows Of The Mind
M3Tale Of Small Wishes
M4Run And Rise

12月10日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.12/10 番組スタッフ 記事URL
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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.543~ガンバレ海野雅威くん

  今年の10月末、新聞各紙の夕刊に痛ましいニュースが小さく載った。「NYの第一線で活躍中のジャズピアニスト海野雅威氏が、地下鉄の駅で暴漢に襲われ病院に運ばれたが、かなりな重傷で手術は成功したものの、今後その演奏活動が続けられるかははっきりしない...」という内容。そのニュースぼくは見逃していたのだが、知り合いからのTELで知り本当に驚いてしまった。左手のマヒが残りピアノが弾けない状態で、再起できるかは何とも言えない...と言うことだと聞く。余りにも痛ましいニュースである。彼がNYに渡ってもう15年近く、自身のトリオを始めロイ・ハーグローブ、ジミー・コブなどと言った、第一線のミュージシャンのバンドでも活動、NYで活躍する日本人としては随一とも言える存在だった。本場でその力量を認められるようになるまでには、色々と大変なことも多かったに違いないが、その存在が多くのファンにも認知され、ようやく時での災い、何とも悲しく言葉にもならない。

 彼、海野雅威君は、我がジャズ番組とは色々と関係の深い一人。アルバムデビュー直前からスタジオに遊びに来てくれ、NYに渡ってからも帰国する度に「小西さんの番組に出れるのが毎回楽しみですよ...」等と嬉しいことも言って、夫婦でスタジオに来てくれることも多かった。元々彼の存在は彼の良き先輩で、シーンに導いた一人とも言える、チンさんこと我がクラブ仲間のベーシスト鈴木良雄から聞いていた。「小西よー、今素晴らしい才能のピアニストと一緒にやってるんだ。アルバム出すことも決まっているんで、一度番組に呼んでやってよ...」。そのアルバムは今は亡きジャズプロデューサー、ヤソさんこと伊藤八十八プロデューサーのレーベル「88」レコードから出されると言う。彼からもtelがありデビュー前にスタジオ登場と言うことになった。「初めてのラジオゲストで嬉しいです...」と初々しく語ってくれた彼。そのアルバムもチンとヤソ両氏の推薦通り素晴らしいものだった。それから数年後、一段の飛躍を胸に秘め、彼は単身本場NYへと飛び立った。

 それからの本場NYでの活躍は、ジャズファンならば結構知られている所で、全米の有名ジャズフェスなどにも良く顔を出し、その才能は多くのファンも認める所になっていた。また内藤遊人くんが社長・編集長の専門誌「ジャズライフ」でも、NYでの活動エッセイなども連載、その動向はぼくなども毎月興味を持って読ませてもらっていた。そんな折での今回の災い。どうやらコロナ禍での「東アジア人迫害~コロナはアジア人の所為」だとする流布が原因、当然NYにも少なからず存在する、狂信的白人トランプ主義者の仕業...と思ったら、なんと海野君を最も認めている黒人ミュージシャンと同じ黒人(=アフリカン・アメリカン)の若い集団による暴行だと言う。海野君も病床で彼らのこと(犯人はまだ捕まっていないようだが...)を非難しようとしなかったと言うが、その心情は何とも言えない辛い思いがする。

 そしてこの11月半ば、彼の再起を願ってはるか東京の地で、多くのミュージシャン達が彼のベネフィットライブを配信で行った。この配信ライブの立ち上げの中心になったのは、言うまでも無く良き先輩のチンこと鈴木良雄。そしてチンの大学1年後輩で、在米歴40年以上と言うギターの増尾好秋(海野君のNY生活の手助けもしていたと聞く)も、丁度帰国中で積極的にイベントを手助け、自身のアルバムをベネフィットの一助にと寄付している。このライブ参加者はなんと50名弱、NY経験者やNY演奏旅行で彼に世話になった面々など、色々な関りある連中が大挙参加すると言った、空前のベネフィット配信イベントになって大成功だったと言う。
 その中心人物の一人、増尾好秋が今度スタジオに遊びに来て、海野君の現在、今回の配信ライブイベントの様子、彼自身のNY生活などについて、話してくれるこが急遽決まった。彼は12月半ばにまたアメリカに戻るので、それまでに収録しないとならないのだが、色々と面白いNY話や海野君の様子なども聞けるはず。12月中にオンエアーする予定なので期待してください。
 増尾ちゃんの親父さんは、あの大評判だったジャズ芝居「上海バンスキング」、そのモデルにもなった一人で、戦前のジャズを支えた功労者でもある。今まであまり聞くことの無かったギタリストの親父さんの話も、今回は是非聞いてみたいとも思っていますが...。

今週のゲストは、ギタリストの増尾好秋さん】
M1One Word2020
M2What Kind Of Fool Am I / 鈴木良雄・海野雅威・セシル モンロー
M3I'll Be With You」
M4Look For The Silver Lining
9月末、NYで暴漢に襲われ大怪我をしたピアニストの海野雅威さんの支援CDOne Word2011』(2011年の東日本大震災の復興支援で制作されたCD。海野さんも参加)は11000円(税込・送料無料)利益は全て海野さんに送られます。こちらからご購入頂けます。

http://www.mediastylist.co.jp/online_store/product/one_word_2011/index.html

12月3日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.12/03 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.542~20追分冬景色
 
  例年この時期になると追分の山荘の水閉め作業が大変である。大体11月23日の休日前後にこの作業を行うのだが、これをやると以降は一切水は使えず、山荘は完全にクローズとなる。その上今年は温水暖房機器が調子が悪く、部屋も寒くて大分苦労しそうな予感。設備屋さんに診てもらうと言うので、20日に東京から山荘に向かい、ラグビー早慶戦のある23日には帰京と言う結構慌ただしい行程。国立の家から圏央道・信越道と乗り継いで、軽井沢の高速出口まで2時間余り。3連休の一日前だけに、車もそう多くはなくどうやら無事に追分の山荘に到着。庭やベランダなどは一面枯葉の山で、周りの木々も寒々とした趣き。肝心の暖房機器の元栓、1か月ほど前に閉めた時には電気が切れたまま、これは大事と直ぐに管理会社に連絡、後日診てもらうと20年近く使っている機器だけに、不具合で動かないとの返事。設備屋と話をして全面取り換えか...と言うことで、またかなりな出費だと心配したのだが、なんとスイッチをオンにすると完全稼働、心配なので何回も切ったり付けたりしみても問題なし。ホッと一安心だった。

 今年は夏から2か月以上、仕事に関するトラブルで悩まされ続け良いことは無かったのだが、漸く運が向いてきた感じ。この時期=初冬の信濃追分~軽井沢は、朝・晩は氷点下になることも珍しくもなく暖房は暮らしに必須なもので、それだけでも心強い。夜は南軽井沢の高級ホテルに隣接した温泉施設に、地元優先の格安料金サービス券を利用し入浴。ここはお湯の質はそう感心しないが、何せ施設が露天風呂を始め高級感溢れるリゾート仕様で気持ち良い。2か月以上にわたる憂さをすっ飛ばし快調そのもの。
 翌日は早朝から久しぶりの1時間ウオーキング。御影用水のはぐれ鴨の動静が気になり寄ってみると、1か月前には20羽近くが群れていた用水の開口部近くには、またまた定住のはぐれ鴨がたった一羽だけ取り残され、寂しそうに達観した姿で泳ぎ回っている。周囲の葉の落ちたカラマツ林とも相まって、寂しさも増し、いささか自身の姿も投影され寂しさも募る。まあこんなことを考えていても詮無い...と言うことで、かなり無理して1時間以上歩き回る。山荘近くに戻ると3連休の初日だけに、どの家にも珍しく車が止まっており在宅の様子。中でも高級そうに見える車は、2軒先のホテル王、星野リゾートの御大の別荘(ここが登記簿上の本宅と言う話もあるが...)前に駐車されている、イタリア製(?)のスポーツカー。流石!星野。
 午後に設備屋の人が来て点検すると、どうやら温水暖房機はまだ稼働出来そうだとのことだが「もう古いものなので部品は保証できませんよ...」と脅される。自身がチャンジー(爺さん)だけにあと何年...とも思うし、生来のけち根性も加わり、まあそれまで使えれば良しと思い、今回は取り換えるのはやめにした。

 22日に帰京だったが、この1年近く嵌っている温泉が蓼科高原にあり、そこに入浴した温泉水(飲用にもなる)もタダで汲めると言うことで、この所は帰路は1500メートルを超す麦草峠を越え蓼科に向かうことが多く、今回もそのコースで帰る。蓼科の別荘地の中にひっそりと存在するT温泉。石器時代の遺跡T遺跡の直ぐ傍にありながら、入り道が分かりにくく訪れる人も少ない、秘湯とも言えるこの温泉。デトックス効果抜群の素晴らしい湯質でお勧めの療養泉で、実際ぼくの糖尿病数値もかなり改善されている。そしてこれもマル秘なのだが、このお湯の源泉をタダで汲める場所もある。これも本当偶然に地元の人から教えてもらったのだが、これは誰にも教えられないぼくの秘所であり、こと温泉に関してはかなり自信を持っているぼくの、人には言いたくないお勧め温泉でもある。デトックス効果で体の悪点を洗い出し、飲料用の源泉をペットボトルにくみ出し、ここ数か月のストレスを洗い出した。久々意気揚々と帰京した、11月後半の3連休でした。その上翌日の秩父宮ラグビー場での早慶戦、我が早稲田は快勝で慶応を圧倒、もう言うこと無しの数日間でした。

【今週の番組ゲスト:トランペット&ウクレレ奏者の茅野嘉亮さん】
10年ぶりにリリースされた2ndアルバム(カセットテープ)360(サンロクマル)』から
M1Big block!」
M2Ao
M3Zippy!」
M4Cross step!」

11月26日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.11/26 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.541~イル・フォモサ

  「イル・フォルモサ(=美麗島)」とは言うまでも無く台湾のこと。昔ポルトガルの船員がはるか沖合から、この台湾島を見てこう名付けたとも言われるが、まさに至言である。その美麗島の人々も、今回のアメリカ大統領選挙の影響を大きく受け、自分達の今後の運命・生き方に、大いに気を悩ましているとも聞く。あのトランプは彼自身色々と問題山積だが、こと中国にはしっかり対峙してくれたが、果たしてバイデンに変わったらどうなるのか...、かなり憂慮しているとも言われる。いつも台湾は超大国にして覇権主義丸出しの超大国=中国に対し、「おしん」にも似て国際的にも国内的にも様々な面で、忍従を余儀なくされ続けている。それだけに日本以上に、アメリカの政治動向が重要な訳で、そのトップを選出する大統領選は大いに気になる所なのである。

 さて台湾と言えばぼくやそのスタッフチームは、20年に渡って台湾政府の後援を受けつつ、台日の更なる友好交流を探る特別番組「21世紀の台湾と日本/台湾の元気を訪ねて」を、年2回ほど放送し続けてきた。その台湾取材の模様などはこのコラムでも過去何回か記してきた。そして今年はその20周年と言う節目の年と言うことで、この9月から12月まで30分間の全12回ミニシリーズ特番として、タイトルも「21世紀の台湾と日本/もっと知りたい台湾」と一部改め、現在鋭意放送中である。これまでの台湾特番は台湾の現地取材をメインに、1時間ないし1時間半の特番として(当初は2時間と言う長時間もの)、各界の有名人による台日友好メッセージや、様々な台湾関連情報なども挟み込みながら20年間続けてきた。それが30分間のセミレギュラー番組となると、大分様相も違ってきて、毎回のメインテーマの設定など苦労するところも多い。特に今年はコロナ禍で、台湾取材などは夢想だに出来ない厳しい状況だけに、その取材音源などは一切使えず一段と苦労している。

 番組はお馴染みの台湾大好きアナウンサー山本直也をメインパーソナリティーに、3人の台湾関連の女性アシスタントを配置、今時点で放送は折り返し過ぎだが、その女性達の助けもあり実にスムースに進行され、注目度も仲々のようだ。3人の女性アシを紹介すると、まずはアシスタントと言うよりもコメンテイターと言った役割の、歯科医師にして女優、エッセイストと言おう多彩な顔を誇る一青妙さん(一青窈の姉)、他には筑波大大学院生の恵ちゃん、人気アイドルグループAKB48の一員で、唯一の台湾出身メンバーの馬チャリンと言う世代もその興味も異なる面々で、彼女達が毎回のテーマに合わせ交互に登場、少し重く真面目なテーマの場合には妙さん、東京各地の取材や日常的テーマは恵ちゃん、そしてエンタメや食べ物関連は馬ちゃんと言う配置で、それぞれ台湾関連のテーマに合わせた随一とも言える有識者が、色々と面白い話を聞かせてくれる形。台湾の情報となると、殆どが旅・食くらいしか無かっただけに、これまでには聞かれなかった様な充実した内容となっていると我々は自負しており、リスナーなどの反応も上々。

 特に今年は「台湾ロス」等と言う言葉もあり、台湾へ行かれないストレスも溜まっているようで、それのいい解消手段だと言った声もリスナーからしばしば聞かれる。また番組では台湾関係者に直接TELして、台湾最新情報もリスナーに伝達。その面々は、まずは台湾きっての日本通で、哈日族(ハーリーズー/日本好き)と言った単語の生みの親でもある、哈日杏子、更に台北で漫才活動を展開している吉本芸人~漫才ボンボン、台湾の大学に留学中の女子大生~よっちゃんなど、台湾のバックアップメンバー達が現在の台湾の情報を伝えてくれるコーナーも設け、台湾ロス解消の一助に...とも思っている。

 来年以降世界の情勢はまた大きく変わることも予想されるが、コロナ感染拡大を未然に防ぎ(この話も2回目の放送で取り上げた)世界中から賞賛を集めた台湾だけに、様々な難問にも積極的な対応策を取り、危機的状況も上手に乗り切って行くに違いない。来年は番組スタート21年目、これまで続けてきた台日友好特番も、果たして続行出来るかは何とも言えないが、私達スタッフはきっとその想いが通じることを念じつつ、現在の番組制作の充実に腐心している。台湾を考えることは、日本のこれからを考えることでもある...という信念の下に...。皆様も毎週土曜日午前に放送の台日友好・交流特番。是非一度聞いてみて下さいね。

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富先生】
今週はジャズトーク、ライブアルバム特集。

M1Mack The Knife / Ella Fitzgerald」『The Lost Berlin Tapes』より
M2Epistrophy / Thelonious Monk」『Palo Alto』より
M3 Violets for your furs(コートにスミレを) /  Matt Dennis 」『Matt Dennis Plays and Sings Matt Dennis - Live in Hollywood』より
M4Stars Fell on Alabama(星降るアラバマ)/ Louis Armstrong and The All Stars」『Satchmo At Symphony Hall』より
M5Announcement by Pee Wee MarquetteSplit Kick / Art Blakey Quintet」『A Night At Birdland Vol.1』より

 


11月19日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020.11/19 番組スタッフ 記事URL
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.540~キャンディス・スプリングス

  米大統領選挙が終わって2週間強、トランプが敗北してバイデンが勝利した様子。と言ってもまだ法廷訴訟など、トランプ陣営は敗北を認めず、完全な決着が着いたとは言えないが、もはやトランプに勝ち目はない。開票中の最後の記者会見、あれを見てもトランプにはかつての虚勢も無く淡々と原稿を読み上げるだけで、心なし元気も無かった。トランプの4年間、それはアメリカの分断を極端に押し進めた期間だったことは、日本にも少なからず存在する。トランプ信奉者達もが認めるところだろう。ある意味恐ろしいまでの茶番劇の4年間だったとも思うが、まあバイデンになって良かった、ほっとしたと感じる人が多数派だろう。
 常々「アメリカファースト」などと連呼し、自分とその信奉者だけがアメリカを愛する...などと叫びながら、あのベトナム戦争激化の若かりし頃には兵役逃れをしていたとも噂されるトランプ。それでいて愛国者を自称できるところに、アメリカと言う国の不思議さも読み取れる。まさに究極の「ミー(オンリー)ファースト」主義者なのだが、大声で連呼すればそれがまかり通ってしまう...、この何とも言えない不思議さ、形容し難い国でもある。

 ところでアメリカを完全に分断化した今回の大統領選挙、音楽(アメリカのポップミュージック)の観点で見ると、ジャズとカントリー&ウエスタンの鬩ぎ合い、争いだとみなすことも出来そうだ。バイデンと言う人とその支持者が、ジャズを好きかどうかは分からない。しかし歴代の民主党の大統領、オバマ、クリントンはジャズ愛好家で、特にクリントンは毎年ホワイトハウスでジャズコンサートも実施していた程。一方のトランプとその支持者は、間違いなくそのほぼ8割方はC&Wの愛好者であり、政治集会などではカントリー音楽シンガーなども登場している。 
 日本でC&W音楽と言うと、ぼくの若い頃ジミー時田とカントリージャンボリーなどと言うウエスタングループが人気を博したこともあった。また日本のロック(ポップ)ミュージックのはしりは、今はなき日劇で行われた「ウエスタン・カーニバル」と言うウエスタンを標榜した音楽イベントだったが、その後は表舞台に登場することもほとんどなく、ジャズ(モダンジャズ)の普及・浸透度には及びもつかないもの。しかしアメリカではC&W市場は凄いものがあり、およそジャズなど相手になれないような強さと規模を誇るとも聞く。アフリカから連れてこられた移民達から始まったジャズ、アメリカ白人の最下層労働者達から生まれたC&W。いささか境遇も近いと思われるだけに近親憎悪的な感じもあり、アメリカを代表するこの2つの音楽ジャンルは、お互いに至って相性が悪い...、と言うかいがみ合って来た。

 そのⅭ&Wの本拠地とも言えるのは、アメリカ中西部の大都市、テネシー州のナッシュビル。ここは最近Ⅽ&Wオンリーから脱却し、NYやロサンジェルスに次ぐ音楽ビジネスの重要都市になりつつあるとも聞く。そしてこの街出身の黒人女性のジャズ系ピアノ弾き語り、シンガーソングライターが、キャンディス・スプリングス。まだ日本ではあまり知られていないこの素晴らしい資質の女性シンガー。彼女がトランプ政権下で押し進められた、アメリカ分断化の融和を図る格好の存在になるのでは...と秘かにぼくは思っている。デビューはR&B色の濃い作品、2作目は育ったナッシュビルの街を映しⅭ&W色も取り入れたもの、そして3枚目になる今年発表の新作は「ザ・ウーメン・フー・レイズド・ミー~私を作った(影響を与えた)女性達」と言うタイトルで、ジャズボーカリストとしての資質全開のアルバム。トランプが勝利したⅭ&Wの州&街で育った、この若きジャズディーバの存在とその歌声は、アメリカの政治のみならず、アメリカ音楽の分断化をも融和する存在になると...とぼくはひそかに信じている。皆様も是非彼女のこのアルバム、一度は耳にして欲しいものです。特にこの大変にかつ重要な選挙が終了した後には...

【今週の番組ゲスト:サンポーニャ/ケーナ奏者の瀬木貴將さん】
ソロデビュー25周年記念アルバム「360°(スリーシクスティー)」から
M1Last Journey」
M2Stillness River」
M3Birds Movement
M4360°」

https://m.youtube.com/channel/UCeYgqsk4fHc59Flg8eP9Ukw



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