6月23日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報] [テイスト・オブ・ジャズ]
2022/06/23(木) 19:00

「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.632~久々のジャズコンサート~】

 現在も止むことの無いコロナ禍だが、屋外でのマスク不要とか...規制の緩和に向け様々な意見も出始めており、一時の過度な同調圧力などが大分緩くなってきているのは間違いない。こうしたこのコロナ禍にあって、その最大の被害を被った人達がミュージシャンやアクターなど、パーフォーミングアーティストであることもまた間違いない事実。ライブなども出来なくなり、コンサートやフェスなども軒並み中止...と言った深刻な事態が続き、話をすると愚痴ばかりが出る悪しき状態だったが、今年になってようやくコンサートやフェスなども動き出し、まずは一安心と言った所である。それに伴いコンサートなどのお誘いも出始め、ぼくの所にも招待状も送られて来ているが、このコラムでも何回か記したように、2月の半ばからぼく自身の健康状態が芳しく無く、およそ会場に足を運ぼうと言う気にもならなかった。
 そんな折に池袋の東京芸術劇場で開催されているシリーズ企画「ピアノVSデュオ」企画は、知り合いのY女史が企画協力しており(東京ジャズのプロデューサーでもあった)、そのVSの面々も中々に興味深いものだけに、是非に...とも思ったのだが...、やはり調子悪しで結局スルーしてしまった。このデュオ企画、これまでは山下洋輔と彼の弟子筋にあたるクラシック奏者の鈴木優人とのデュオ、そして2回目は塩谷哲と大林武史の注目のジャズ中堅同士のデュオと、中々に食指をそそられるもの。山下さんからはコンサートに顔を見せないじゃないか...と小言を食らってしまったが...、その2回をスルーしてしまったので、もう招待などは臨めないと...と思っていた。だが先日担当から3回目の招待状が届き、これはなんとしても行かねば...と言うことを決めた。

 今回のVSピアニストは山中千尋と妹尾武。山中は今を時めく人気ピアニストで、NYと東京を行ったり来たりの二重生活の人。彼女のコンサートを聴くのは本当に久しぶりだが、相手役の妹尾は全く知らない名前。少し調べるとポップス界で名曲を輩出して来た、作曲家にして俊才ピアニストとある。久々のジャズコンサートにして久々の池袋の街、更に久々の芸術劇場。久々続きだったが全体には池袋の街以外、今回のコンサート視聴はほぼ満足だった。その池袋の街だが、この街とはどうも相性が良くなく、今回もコンサート前に軽く食事を...と思っても、適当な場所無しで結局はスルーしてしまった。この街でははるか半世紀以上前の高校生時代に、友人数名と映画見物に来た帰り、当時の不良にカツアゲされた苦い思い出があり、それ以来敬遠気味な街であり、余りアートに相応しくない街と言ったイメージも、偏見かもしれないがぼくのなかには強くある。まあ池袋はさて置いても、久々の芸術劇場はやはり立派な美しいホールだったし、コンサートもまあそれなりに納得いくものではあった。

 肝心の山中と妹尾。この2人なんとあの桐朋学園の同級生で、全国からクラシックの秀才が集うこの学園での異端児どうし。1人はジャズ、そしてもう1人はポップスと、学友達とは違う道を目指していたある意味でのはぐれ同志。それだけに互いの活躍が気になっていた2人にとって、名前を成した後のこの共演は必然だったとも言える。山中は公演パンフレットに「どれほどこの共演を望み、待ちわびていたことでしょう」と記しているが、2人は全く同じ誕生日でもある因縁の仲とのこと。それだけに実に和気あいあいとして心温まる共演が繰り広げられ、この企画にあるVS...、ピアニスト同士の対決...と言ったイメージとは大分趣が異なるものではあったが、それなりに愉しむことも出来た。久々に山中のピアノプレーに生で接したが、今や世界的なピアニストとして認知されている彼女だけに、以前に比べそのピアノのタッチは強烈なものになっており、これには少しばかり驚かされもした。我がジャズ番組にはレコードデビュー直前に登場してくれた彼女だが、あの頃は居並ぶピアニスト達に比べ実にか細い音だったのに対し、今回のようなどちらかと言うと内輪で心安い共演でも、そのタッチの強靭さは目立っていた。色々と久々続きのコンサート鑑賞だったが,やはりジャズは生の鑑賞に勝るものなし...と言った印象を、改めて強く感じたものだった。

【今週の番組ゲスト:ジャズトランペッター 類家心平さん】
新譜『DUO』から
M1「Plus fort que nous(愛は私たちより強く)」
M2「Dear」
M3「Suiren」
M4「Blue Midnight」