4月28日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2022/04/28(木) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.624~野田知祐死す~】

 日本のカヌーイストの草分けにして第一人者、野田知祐が亡くなったと聞く。一時ぼくの愛読誌だったアウトドア誌、「ビーパル」最初の号からカヌー紀行を連載、それをまとめた単行本「日本の川を下る」は、確かノンフィクション賞も獲得した筈で、実に愉しく示唆に富むアウトドア本だったし、何よりその自由闊達な生き方に強く惹かれたものだった。彼は早稲田大の漕艇部出身の本格派らしいが、ぼくはカヌーなどはやったことも無い門外漢。だが強烈にカヌーで旅したい...等と思わせる魅力に富んだもので、ぼくも物書きのはしくれとして、そんな感慨を人に与えたい...ものだとも思わせてくれた。それだけにその他の彼が書いたカヌーエッセイも、結構読んだものだった。

 野田と言えばかなり昔のことになるが、山と渓谷社のスポンサード番組で、中高年向けのアウトドア番組を担当していたことがあって、その番組に是非彼をゲストに呼びたいと思って交渉したことがあった。だが世界中の川下りを実践している彼を捕まえることは至難の業、仕方なく諦めたものだが是非会って話を聞いてみたい人だった。それも遂に叶わず残念至極。もう一つ野田に関しては、その御供の犬と言うか、川下り仲間としてのカヌー犬=ガクの存在が余りにも有名だろう。ガクは野田と一緒に日本中の清流を下り、アラスカ、カナダ、メキシコ等々世界中の有名な川も下った、カヌー犬と言うまさに世界でも珍しい愛称を持った日本犬(?)だった。ガクが死んだのはもう30年以上前のことだが、野田にとっては大ショックだった筈で、犬齢は14才ぐらいだったと思う。

 そう言えばジャズの世界でも、壮大な川下りジャズアルバムがある。ポール・ウインターと言うグラミー賞も受賞しているサックス吹き、彼は自然との融合をテーマに数多くの好アルバムを作っているが、その一つであの世界最大の渓谷グランドキャニオンを、数日間掛けて実際に筏で漕ぎ下りながら、その停泊地で渓谷の音や野生動物や鳥の声などをバックに、サックスを吹いた壮大なジャズ組曲「グランド・キャニオン組曲」を発表している。まあこんなジャズ冒険をしたのは彼位なもので、凄い企画だと言えるし発表当時はかなり評判になった(グラミー賞も獲得か...)ものだったが、ジャズ史にも残る貴重なものかもしれない。まあ野田とガクの川下りは終始のんびりとした自由気ままなもので、このグランドキャニオン下りとは大違いだが、いずれにせよ野田氏&ガクの魂に 合掌!

 そしてもう一つショックなニュースが...。あの「ダイハード」などのアクション映画で人気の高かったブルース・ウイルスが、なんと失語症の為俳優稼業を引退すると言うではないか。失語症とは詳しくは分からないが認知症の一種で、俳優としてはまずセリフが覚えられなく成ってしまうものである。自身も辛い決断だったと思うが、あのハードアクション全開の役者が、呂律が回らなくなってしまうとは...。寂しいことであり時代の推移を強く感じもしたものだった。それにしても1月を超えるウクライナ侵略&危機。少しでも早く解決の糸口でも...と願うが、それもやはり空しいことなのか...。世界はどうなってしまうのだろうか...。

【今週の番組ゲスト:ユニバーサルミュージックの斉藤嘉久さん】

5月14日・15日に開催される『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2022』をご紹介頂きました

M1「Migratory Bird / WONK」
M2「Vox Humana (Ovall Remix)/ Ovall」
M3「Zasu / aTak」
M4「Why We Speak feat. Q-Tip & Esperanza Spalding / Robert Glasper」
M5「涙の万華鏡 / 吉田美和」

4月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2022/04/21(木) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.623~五味太郎~】

 貴方は絵本を読んだり見たりすることありますか...。こう聞かれればほとんどの成人男性は、子供の頃は別としてまず関心も無いだろうし、見たりも読んだりもしていないと答える筈である。まあ若い女性ならば、それなりの数の絵本ファンはいるかも知れないが、大人の絵本ファンはそう多くは無いと思われる。ではジャズファンはどうだろうか...とも思うが、まあこれもおおむね興味を持たないのではないだろうか...。しかしかく記すチャンジー(爺さん)のジャズプロデューサー&ライターでもあるぼくは、かなりな絵本好きだと自負している。近くの古本屋や神保町などの古書店などで、安い絵本が出ていると結構食いついてしまい、結果本棚で最も数が多いのが絵本となっている。評論家の柳田邦夫は絵本紹介の本を出しているが、かつて「もう少し大人が絵本を読むようにでもなれば、日本と言う国ももっと良くなるはずなのに...」とどこかで記していたが、その通りだと思う。 

 ぼく自身は外国作家では、レオ・レオニ、モーリス・センダック等々、日本でも上野紀子、荒井良二、佐野洋子など好きな作家も数多い。そのうちの一人に五味太郎がいる。彼は絵本を300冊近く発表している筈だが、同時にイラストレーターとしても素敵な才能を発揮している。そんな彼の書いた絵本、まあこれを単純な絵本と呼んで良いのかは別だが、ジャズソングを題材とした素敵な絵本&イラストレーション本がある。もう大分前に出たもので楽譜付きの上下2冊、かなりな値段の本だったが、ぼくも持っており大好きなものだった。
 その絵本が今回楽譜を抜いた1冊の本としてオークラ出版という出版社から、かなり妥当な値段で再登場することになった。タイトルは「ジャズ・ソング・ブック」で、サブタイトルに「ジャズの歌、歌のジャズ」とある。4月放送の「テイスト・オブ・ジャズ」はジャズ入門編を謳って居るので、五味さんに出演依頼をして彼のジャズ観や絵本感、それを語ってもらうのも面白いのでは...と思い、出版社経由で頼んでみると直ぐにOKの返事。久しぶりにジャズプレーヤーや関係者以外のゲスト登場となった。それも日本が世界に誇る~彼は海外の賞も受賞している~絵本作家の登場である。

 山本アナも絵本好きで、五味さんファンでもあり大喜び。愉しい収録となった。元々話好きな気さくなおっさんと聞いていたが、会って聞くとなんとぼくの1学年下で当然世代も一緒、同じ頃吉祥寺の街やジャズ喫茶に屯していたと言うでは無いか...。その上吉祥寺のジャズボスの一人、今は亡き野口伊織氏と親友だったと言う。まあそれやこれやで内輪話も面白かったが、ジャズ談義も秀逸。かなり長い尺で話し込んでしまい、取り上げた曲もビリー・ホリディの「サマータイム」等、いつもより少ない3曲のみ。編集も大変だったが愉しい一時でした。
 五味太郎の古き良き時代のジャズソングに対する、熱い想いが良く伝わる内容の濃い30分間。皆様も是非彼のジャズ話お楽しみ下さい。

【今週の番組ゲスト:絵本作家の五味太郎さん】
五味さんの著書『JAZZ SONG BOOK』をご紹介頂きました。

M1Summertime  / Billie Holiday
M2Come On A My House / Ella Fitzgerald
M3Sentimental Journey / Frank Sinatra
M4Summertime  / Billie Holiday



 

4月14日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2022/04/14(木) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.622~富士山写真展~】

 この2月ぐらいから体調優れず、ジャズの収録も何人かの人に収録を伸ばしてもらったりして迷惑をかけているのだが、腰の痛みが引かずかなり辛い。そんな中打合せの間をぬって、本当に久しぶりに六本木の街に出た。六本木など何か月いや1年振り位だろうか...、危うく都会の迷子になりそうな感じもあったが、お目当てのフジフィルムの写真ギャラリーに到着した。ここで1週間余り富士山の写真展が行われており、その主役がラジオNIKKEIの後輩で営業部のトップをしていたS君。「天地 異形」と大書された案内に導かれ、30点余りの富士山写真が飾られており、中々に迫力ありの好写真展である。

 主役のSくんは元々早稲田大応援部の副団長...と言う肩書で、当時のラジオたんぱに入局。営業畑一筋で数十年勤めて退社、一人で広告代理店業をやっている好漢だが、如何にも営業向きの漢。その彼が退局後突如写真に目覚め、それも富士山をメインに撮るセミプロのカメラマンと言う、2足の草鞋を履くことになった。2年ほど前にデビュー写真展を開き、今度は華の六本木で写真展と言うことで、そのお祝も兼ねて寄ってみた。このコラムでも書いているようにぼくも大学時代は、ジャズ研と山岳の同好会の2足の草鞋を履いており、局時代にもトレッキングの番組などもヤマケイ(山と渓谷社)と一緒に制作しており、山岳写真家との付き合いも少なくない。それだけに彼が突然に南アルプスや八が岳などの高峰から狙った、富士山写真を撮るようになり驚きの連続だった。50歳を超えての挑戦だったがまめに山にも通いつめ、良い写真を物している、その彼からは八が岳の主峰赤岳から撮った、黎明の富士山の大きなパネル写真なども貰ったりしたものだった。

 そのS君が今や富士山写真家としてそれなりに名前も知られることになり、六本木のギャラリーで写真展をやれるまでになるとは...、本当に凄いことだと思う。さほど広くない会場だったが、結構人も入っており盛況の様子。何よりである。人も一念発起すれば何事かを成さんとす...。我らが富士山の様々な異相を鋭く切り取った写真の数々。中でも残雪期のわずかな間しか見られない、大沢崩れ下流に出現する滝のモノクロ写真、そこに彼の気魄を見た思いがした。体調今イチでしたが、かなり愉快な気分になれた写真展鑑賞でした。

【今週の番組ゲスト:整形外科医で音楽ジャーナリストの小川隆夫さん】
マイルス デイヴィスを題材としたジャズ入門をお話し頂きました。

小川さんの最新著書『マイルス デイヴィス 大事典』
M1「My Funny Valentine」『Cookin'』より
M2「ESP」『ESP』より
M3「Brown Hornet」『Filles De Kilimanjaro』より
M4「Honky Tonk」『Get Up With It』より



4月7日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2022/04/07(木) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.621~帝王マイルス~】
 
 今月の「テイスト・オブ・ジャズ」はジャズ入門編として、評論家にして現役の整形外科医でもある小川隆夫氏をゲストに招き、彼が昨年の暮れに出した分厚いジャズ辞典「マイルス大辞典」を取り上げ、彼にマイルスの魅力、
ジャズ初心者にとってのマイルスの意味合い...等、色々と帝王マイルスについて語ってもらうことになっている。彼は初心者には有名プレスティッジセッションの1枚『クッキン』から極め付けの「マイ・ファニー・バレンタイン」、そして中級者向けに『ESP』等のアルバムから選曲...と、過不足ない感じでお勧めの4曲を選んで、それぞれのアルバムの面白さ等も語ってくれている。だが何より興味深いのは、彼個人とマイルスとの交友録、彼との繋がりの話だろう。彼自身は晩年の5~6年間に、マイルスと20回近く会っていると言うが、正式なインタビューは数回程度。NYにいるはずのマイルスが西海岸に旅行で移ってしまい、そこまで追いかけてインタビューした話とか、足を悪くした際、整形外科医として個人的に診察、今後のアドバイスをしたことで2人の仲が縮まった話など、マイルスとのエピソード話が今回のハイライトとも言えそうだ。彼も言っているが、ある意味マイルスを追いかけていればジャズのことがほとんど分かる...と言うのは真実である。小川氏のマイルス話は番組で是非聴いてみて欲しい。

 ではお前自身のマイルス感は...等とも聞かれそうだが、やはりマイルスは「ジャズ界の帝王」と言う表現通りの人物で、彼を聴いていればジャズの大方は理解できるのでは...と言う本当のスーパースターだった、と至極当たり前の結論になってしまう。常に前を向き行動し、昨日迄の事は一切振り返らない。その強烈な前進力は、ぼくのような過去のことに捉われいつもうじうじしがちな男から見れば、本当に信じられない様な漢なのである。マイルスが出演した数少ないコマーシャルを、かつて演出・制作したのが大学の2年先輩で電通映画社のO氏。演出プランなどを持ち掛けてもあまり乗ってこず、かなり制作には苦労したらしいが、だみ声で終始不機嫌に語り掛けるその強烈なキャラクターは、彼が手掛けたどの俳優や政治家などよりも、強烈な印象だったと言う。
 と言うことでぼく自身が、ジャズ入門者にお薦めしたいマイルスの1曲は、その絶頂期1964年2月に行われたNYのホールでのコンサートでの録音『マイ・ファニー・バレンタイン』。その中のタイトル曲「マイ・ファニー・バレンタイン」である。小川氏がまずかけた50年代の「マイ・ファニー・バレンタイン」も、ロマンティシズム溢れる名演だが、このライブ盤での同曲はその表現の深みが圧倒的である。余りにも凄いので観客から大きな感嘆の念が発せられ、それがアルバムにも見事に収録されているが、それほど感動的であり、ジャズバラード表現の極致...と言っても、過言ではないほどの演奏が全編展開される。

 いずれにせよマイルスはマイルス。この「漢」無くしてジャズの発展は無かったし、彼の亡きあとその存在を超えられない所に、今の時代のジャズの混迷や悲劇もあるのだ...とも言えそうである。小川隆夫のマイルス講座、4月14日の放送予定です。是非お愉しみに...

【今週の番組ゲスト:音楽ライターの富澤えいちさん】
富澤さんの本『ジャズの聴き方を見つける本』をテキストに教えて頂きました。

M1「You Must Believe in Spring / MichelLegrand」『Les Demoiselles de Rochefort』よ
M2「You Must Believe in Spring / MichelLegrand Trio」『ALFA Years』より
M3「You Must Believe In Spring / Bill Evans」『You Must Believe In Spring』より
M4「You Must Believe In Spring / Tony Bennett & Bill Evans『Together Again』より
M5「You Must Believe in Spring / Richard Galliano」『French Touch』より