9月30日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021/09/30(木) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.594~J・Pベルモンド~】

 J・P(ジャン=ポール)ベルモンドが亡くなってしまった。享年88才。アラン・ドロンと並ぶフランスを代表する俳優で、ぼくの大いなるご贔屓スターだった。欧州映画の新潮流~一時代を画したヌーベル・バーグを代表する監督、ジャン・リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」などで主役を務め、フランスの顔とも謳われた人気俳優だった。アラン・ドロンは今なお日本でもその名前が知られているが、ベルモンドの名前は、もう今では若い人達はほとんど知らないと思う。大変に残念なことである。

 ゴダールなど一連のヌーベルバーグ作品に出演、個性的な演技派としても売り出していた彼だが、ゴダールと演出上の問題(台本がなくアドリブ演出中心)などで喧嘩別れ、以降は「リオの男」などの男シリーズのエンタメ作品で人気を挙げ、親しまれるようになった。ドロンが典型的な2枚目だったのに対し、ベルモンドは愛嬌ある顔つき、個性派役者として人気を高め、容姿や人気など全ての面で2人は良きライバルで、彼の死にドロンも哀悼の意を捧げていた。

 ベルモンドの出世作ともなった「勝手にしやがれ」。先日彼の死を受けNHKBSで放送されていたが、その邦題も中々に魅力的だし、まさに勝手にしやがれ...と言うことで奔放に生きて行く若き彼の姿、ラストは警官に撃たれてよろよろ街をさ迷い死んでいく姿、今なおその演技、ハンドカメラによる映像美は鮮烈なものだった。音楽も全編モダンジャズで、あの頃のフランス映画にはジャズが使われることも多く、その代表作の一つでもある。これによりベルモンド=モダンジャズと言うイメージ付けにも成功していた。

 ぼくが彼の作品の中で好きなのは、ゴダールの最高傑作だと思う「気狂いピエロ」、そしてもう一作「雨のしのび合い」。後者は何か安っぽい恋愛映画風タイトルだが、フランスを代表する女流作家、マルガリット・デュラス小説「モデラート・カンタビーレ」を映画化したもの。監督はイギリスのシェークスピア作品の演出家として有名なピーター・ブルックで、主役はジャンヌ・モローが務め、彼女がフランス南部の大都市の大富豪婦人を演じる。その彼女が強く惹かれるのが、夫の経営する工場の若い労働者。実際の逢引きシーンなどは恋愛話ではあるが、夫人の心の揺れの描き方も素晴らしく、何とも官能的な作品に仕上がっており、ベルモンドも印象的な工場労働者役を演じている。

 ドロンが貴族とか高貴な役が合うのに対し、ベルモンドは労働者やチンピラなどの役も多かったが、実際の境遇は正反対でドロンが貧しい家庭育ちなのに対し、ベルモンドは彫刻家と画家と言う家庭の出身で典型的なボンボン育ち。労働者やチンピラなどを演じても、どこかに家柄の良さなどが滲み出ている所がその魅力で、後年のヒットシリーズ「リオの男」などのコミカルで行動的な役でも、その育ちの良さがプラスされていた。

 ところで35年ほど前、ドロンと一緒に仕事をしたことがある。ファッションショー関連の仕事もしていた局のある先輩に頼まれ、京都の呉服屋主催の新潟各地で行う呉服ショーツアーの演出を2か月半程の間手伝ったのだが、その呉服屋がドロン監修名義の呉服を売り出し、最後のショーが新潟のホテルでドロンもゲスト登場するというものだった。1月から3月位まで冬の真っ盛りの厳寒の中、新潟県内各地を転々とした最後、最高級のお部屋にお泊りの大役者ドロンは、ショーのフィナーレに重々しい表情で登場、その彼を誘導する役もぼくの担当だったが、ハンサムながら結構気さくな所もある人だった。確か新潟市長など新潟の要人やその令婦人など、数多くの有名人が参加したこのショー、ドロンが登場し軽く手を挙げるだけで皆んな大満足で大拍手。さすが世界一の美男ぶりだった。そのとき彼は「ご苦労さん...」と一言ねぎらいを呉れたはずなのだが、フランス語の分からないぼくは曖昧に返礼しただけ...、今ではある意味もったいないことをしたと思っている。ベルモンドはもういなくなってしまったが、その彼は未だ健在のようである。時の経つのは思いのほか早いものだ。

【今週の番組ゲスト:ピアニスト立石一海(かずみ)さん】
新譜『Peace of Mind ~スタジオジブリ・ミーツ・ジャズ・ベスト~』より
M1「海の見える街(魔女の宅急便)」
M2「となりのトトロ(となりのトトロ)」
M3「人生のメリーゴーランド(ハウルの動く城)」
M4「いのちの記憶(かぐや姫の物語)」

 

9月23日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021/09/23(木) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.593~なんやかんやで57年 そして20年~】

 番組「テイスト・オブ・ジャズ」についてしばしば記してきたが、恐らく日本でも最長にランクされるジャズ(音楽)番組だし、ことジャズに関しては世界でも珍しい程の長寿番組の筈である。その歴史なんと57年余り。番組をスタートさせたのは、ジャズ界ではかなり有名なプロデューサーで今は亡き木全信氏(最後はアルファ・レコード副社長)先輩。彼の話や局の番組表などを探ると、スタート以来もう57年余り。当初は月1回ぐらいの特番扱いだったが、2年目あたりからレギュラー化され今に至るという訳。沢山のジャズアルバムをプロデュースしたと言うことで、ギネスブックにも登録しようか...などと言う野望も抱えていた木全氏(残念ながらその案は実現せず)。その彼が局員時代に人事異動で営業局に移り、その後RCAに転職してしまったので、番組を手伝っていたぼくに声が掛かり「お前受け継げ...」と強制的に番組担当になり、以来早や半世紀で50年弱になる。まあこの番組だけで50年とは、完璧にチャンジー(爺さん)プロデューサーなのだが、今は周囲の迷惑も省みず、まあやれる所まで...などとも思っている次第。許せよ!

 そのジャズ番組の進行役は、局の女性アナに担当してもらって来たが、長かったのは大宮杜喜子、富永陽子のお2方。2人とも7,8年は担当してくれたと思うが、最も長いのは言うまでも無く、現在の担当の山本郁アナ。その彼女がこの10月でなんと担当して20年になるのだと言う。ぼく自身は気づかなかったが、もうそんな長い時間が経っているのである。ほとんど迷惑かけられぱなし...と彼女は語っており、まあその功績をねぎらう意味合いも込め、この11月23日の祝日に1時間のジャズ特番を放送する予定にしている。 

 タイトルは「テイスト・オブ・ジャズ・スペシャル 私とジャズ~なんやかんやで57年そして20年(仮)」という長たらしいもの。サブタイトル「私とジャズ」と言うことで、久々にリスナーやジャズファンからのジャズに関するお便りを紹介、またリクエスト曲もかけようではないかと言った企画。今やJ-ジャズ界の名士になった感もある山本郁嬢。それだけにその20周年を祝して、彼女がジャズに目覚めるきっかけになったと言う某有名トランペッターか、番組にちょくちょく遊びに来るNo1べーシストの某氏のどちらか...、また親しくしている秀麗ピアニストの国府弘子、担当して最初に出演したピアニストの野口久和等から、お祝いメッセージが届く筈である...。そうなれば結構豪華なジャズ番組になりそうな予感充分。

 この番組もかつては、良くリクエストなども募集しており、かなりな数が舞い込んできたりもしたものだが、山本嬢の担当になってからはリクエストやお便りの紹介は一度も無し。まあそれだけにどれほどのお便りなどが集まるかいささか心配だが、これにはお便り等採用された方全員に、豪華ジャズプレゼントを...と言うことにした。そのプレゼントの中身は、最新のジャズCD(ダイアナ・パントン、セロニアス・モンク等々)やジャズ本(ロン・カーター自伝、クワイエット・コーナー紹介本など)で、それなりに豪華なもの。なお、お便りなどはこの番組のプレゼント応募フォームからお願いします。

 さらにこの企画を決めた直後に、ぼく自身も長年のジャズライターやプロデューサー活動で、日本のジャズ啓蒙に貢献したと言う由で、どうやらある有名ジャズ団体から表彰を受ける...と言う、仲々に名誉な話も舞い込んで来た。詳細はまたこのコラムなどで紹介したいが、まあその結果がどうなるか...。もう少しではっきりする筈なので、そうなれば手前味噌ながら、そのお祝も兼ねて...と言う、結構虫の良いことも考えているのです。
 いずれにせよプレゼント付きのジャズ特番企画、皆様のご協力で成り立つものなので、是非宜しく協力の程お願いします。

【今週の番組ゲスト:サックスプレイヤーの山中一毅(かずき)さん】
ブルーレイアルバム『BEYOND PURGATORY -Live at Pit Inn 2020 -』より
M1「Dancer in Nirvana」
M2「Beyond Purgatory」
M3「Tears of Hiroshima」
M4「Reminiscence」




 

9月16日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021/09/16(木) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.592~チャーリー・ワッツ死す~】

 ビートルズと並び、世界のロックシーンの頂点に君臨するローリング・ストーンズ。ビートルズがポップ史に残るレジェンドユニットなのに対し、ストーンズの方は今なお現役の存在と言う大きな違いがあるし、ミック・ジャガーを筆頭とした永遠のチャンジー悪ガキ集団と言ったイメージを保ち続けている、言うなればロックの本源的な部分を体現化し続けたこのグループ、本当に凄いの一言。その上ストーンズのアルバムには、バックでソニー・ロリンズやウエイン・ショーターなどと言った大物ジャズメンも参加したりもしている。そんな悪ガキ集団(?)の中にあって異色の存在と言うか、ただ一人大人の渋さを保ったスーツの似合うロック紳士...、それも独特な妖しげな渋さなのだが、それを誇っていたのがドラマーのチャーリー・ワッツだった。その彼が8月末、享年80才で亡くなってしまった。

 高校生の頃からジャズに親しみ始めたぼくにとって、ロックはそう馴染あるものではないのだが、この2つのグループはほぼ同世代のもの。それだけに残念な感はあるが、やはり向こうの存在だと言う感も否めない。ただこのワッツと言うドラマーだけは、何か不思議な愛着がわいてしまうのだ。と言うのも彼はあのストーンズの基底部をがっちりと固め、ストーンズならではのグルーブを叩き出していたロックドラマー(音楽誌で世界のドラマーの3位とか12位にも選出さたこともある)だが、ジャズドラマーを自任し他でも広言もしていたと言う、変わり種のジャズフリークでもある。彼のご贔屓はトニー・ウイリアムス等のジャズドラマーで、実際に彼が単独リーダーとしての来日公演は、大編成のジャズバンドを率いてのもの。それもトラッドやスイング色の濃いものだったとも聞く。また彼には7枚ほどのリーダーアルバムが残されており、その中にはジャズの始祖とも言うべきバードことチャーリー・パーカーに捧げられたものを始め、そのほとんどが純生ジャズアルバムなのである。彼はあるインタビューで「俺にとってビートルズ、エルビス(プレスリー)はノー、マイルスはイエス」だとも答えているが、「ロックで稼ぎジャズに貢ぐ」。まあこんな男まず他にはいない筈だ。

 ぼくは彼のリーダー作2枚持っているが、当然2枚ともジャズ色の濃いもの。そのうちの1枚は『ロング・アゴー&ファー・アウエー』(96年)スタンダード曲をタイトルにしたこのアルバム、「アイ・シュッド・ケア」「ワッツ・ニュー」などのスタンダードの歌ものを取り上げたある種のボーカル作品。黒人シンガーがフルオーケストラとワッツのジャズユニット(ブライアン・レモン(p)ピート・キング(as)等のイギリス有名ジャズメンを含む)をバックに唄うと言う趣向のもの。リーダーのワッツはブラッシュやスティックワークを巧みに扱い、実に気持ち良さそうにドラムを優しく叩き上げる。いかにも金を掛けたと言った感じの、ある意味単なる彼の道楽アルバムなのだが、そこに不思議なワッツのジャズ命と言う感情が滲み出ており、また何とも言えない。
 再度言おう こんな男(ジャズ・フリーク)そうめったにいないと... 合掌!

【今週の番組ゲスト:トランペッターの島裕介さん】
新譜『Silent Jazz  Case4』から
M1「Adhesion」
M2「Grand Central NY」
M3「Japan Beauty」
M4「Never Die Miles」

9月9日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021/09/09(木) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.591~ハービー・マン~】

 追分の山荘でCD整理をしていると、色々と懐かしく珍しいアルバムなどがひょこっと顔を出し、それなりの愉しさがあるもの。但し一枚見付けるとそれに聞き入ってしまい、なかなか作業が捗らないこともしばしば。そんな中今回拾い出した1枚がこのアルバム。ぼく等ジャズ黄金時代を堪能したチャンジー世代にとって、忘れられない存在のジャズフルート奏者、ハービー・マンの『アット・ザ・ヴィレッジ・ゲイト』(62年12月/アトランティック)である。

 ぼくが未だ大学生の頃から若きラジオ局員だった20代の頃、1960年代後半から70年代にかけてのジャズ全盛期。当時のファンは新宿や渋谷のモダンジャズ喫茶に通い、ジャズを聴き漁ったもの(アルバムが高くて買えなかった為なのだが...)だが、その頃客のリクエストも多く、良く掛かっていたのがこのアルバムだった。タイトル通りNYにかつてあった有名なライブハウス「ヴィレッジ・ゲイト」でのライブ盤で、ライブ演奏だけに演奏も長尺で、全部で3曲しか収録されていない。今人気盛り返しつつあるアナログ盤では、A面2曲B面1曲のみの収録となっている。アルバムの人気曲は何と言っても冒頭の「カミン・ホーム・ベイビー」。ここでベースを弾いているベン・タッカーのオリジナルで、メル・トーメの歌唱盤などでも人気を博した曲。数あるジャズ曲の中でもデイブ・ブルーベックの「テイク・ファイブ」と並ぶ最大のヒット曲と言えるが、当時はこの曲が掛かると「なんだこんなシャリコマ(コマーシャリズム)のナンバーをリクエストしやがって...」と、席を立って店を出て行くファンも少なくなかった...などとも、まことしやかに語られた曰く付きのジャズヒットチューンである。ぼくなども露骨に嫌な顔をしたファンの一人だったが、今はあの当時のこと反省しています。

 この人気曲がÀ面だけにその裏面の曲が何なのかは当時さっぱり気にしなかったのだが、今回その裏ナンバー=CDでは3曲目は、アメリカを代表する作曲家、ジョージ・ガーシュインの銘曲「イット・エイント・ネセサリー・ソー」であることに気が付いた。その上裏面一杯に収録されたこのナンバーの演奏時間はなんと20分弱。当時にしてはかなりな長尺ものなのだが、今でも結構最後まで飽きずに聞き通せる。これは中々凄いことで流石にこの当時10数年に渡って、ジャズフルート界の頂点に君臨していたハービー・マンだけのことはある。そしてもう一つ今回気付かされたのは、このメンバー構成。2人のパーカッション奏者が参加してこのライブを盛り立てているのだ。一人はチーフ・ベイ、そしてもう一人がレイ・マンティラ。2人とも今はもう物故してしまっているが、ベイの方はアフリカンパーカッションの第一人者、そしてマンティラの方は、つい最近までラテンジャズの第一人者として大活躍していた、この分野のボス格の一人。この2人の起用が無ければ、いくら大ヒット曲が収録されているとは言え、ここ迄人気も出なかったのでは...とも思われる。ジャズフルートの顔役にして商売人でもあったハービーの面目躍如といった所だろう。なお肝心のハービー・マンは2003年長年の癌との闘いの末、73才でこの世を去っている。ジャズ商売人でもある彼は、商売上手なユダヤ系で生涯になんと80枚以上の作品を残している。

 まあこうした今まで気付かなかった発見も幾つかあり、CD整理の道楽も中々に捨てたものでは無い。それにしてもジャズフルートシーン、日本では何人かの若手女流奏者も育っているのだが、本場アメリカでハービー・マンや彼に続くヒューバート・ロウズ以降、これと言った人材が出現していないのは寂しい限り。ラテンジャズの世界では相変わらず重宝されているが、肝心のジャズでもう少しこれといった人材の出現を強く望みたいところ。今回ハービー・マンの大ヒットアルバムを聴きながらそんなことを思った次第なのです。

【今週の番組ゲスト:ピアニスト、ヴォーカリスト、コンポーザーの橋本一子さん】
12年ぶりのアルバム『view』から
M1「view」
M2「blackbird」
M3「giant steps」
M4「blue」



 

9月2日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021/09/02(木) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.590~菅平にむかう~】

 前回のコラムで今年はコロナ禍にも拘わらず、各大学ラグビーチームは合宿を敢行
、菅平での練習試合なども行われる、そこで菅平詣でをするか今悩んでいるのだと言うことを記した。我が早稲田ラグビーも合宿と練習試合を行うとのことで、信濃追分の山荘からは車で1時間強。最注目の試合~早明戦練習試合もやれそうだとの情報があり、何はともあれ菅平に上がることにした。例年だともう合宿は終了、下山している8月最終土曜日。早明戦練習試合のインフォーメーションなどは、早明どちらのラグビー部のスケジュールにも一切載っていない。そこで上田市役所の知り合いに聞くと午後1時からのキックオフが予定されているとのこと。本当に久しぶりの練習試合、そして今年は対抗戦も有観客で行われるのか定かでなく、12月の早明戦本番すら観戦出来ない危険性もある。となれば東京での予定などは先延ばし、まずは何はともあれ...と言うことで菅平に向かう。

 例年だと菅平の最高所に位置する運動公園、サニアパークでは多くのラグビー試合が組まれ、隣の陸上競技場と並んで、運動部員がごった返すのだが、12時過ぎについても人はまばら、途中色々なラグビーグランドも覗いたが選手などは一切いない。8月末だからかも思ったが、もう少し早い時期でもコロナ禍もあって練習選手は少なかっとのこと。その上菅平の中心地、メイン交差点に行ってみると店はほとんど営業しておらず人通りも無し。こんな風景初めてだった。サニアの駐車場もがらんがらで拍子抜けしてしまった。サニアパークのメイン競技場の芝生に陣取りメンバー表などを眺め時間を過ごす。抜ける様な青空のドピーカン。さすがに雲はもう秋雲と言った感じで、高原の涼風も気持ちよく、菅平の主峰、根子岳と四阿山もくっきりと見え、いささか暑い瞬間ももあるが、最高の観戦日和。こんな中たった一人で優雅な試合観戦、言うこと無しである。

 試合は数名の有力選手をケガなどで欠きながらも、良いメンツが揃って好試合になった。出だしは早稲田が先手を取り直ぐに明治が反撃、点の取り合いで早稲田が一歩上回り前半を終える。選手の豊富さではやはり明治が上を行くが、そこを耐え勝負に賭けるのが我が早稲田。前半終了直前の明治の反則。センターラインから長距離のペナルティーキックに挑んだ早稲田スタンドオフが、このキックに見事成功。何かこのキックが試合を決めるのでは...と思ったが、やはりその通りの結果に終わり、シーソーゲームの練習試合、早稲田が辛くも勝利を収めた。トライ数では明治が上回っており、試合は互角とは言えいささか明治が実力的に上廻っていた感もあったが、結果は早稲田勝利。聞くところによると早稲田ラグビー部は、今期の夏合宿練習試合、同志社、帝京、そして明治、全ての有力大学に勝利したとのことで、こんなことはここ10年余り無かったこと。実に気持ち良しである。

 Bチームの試合も続けてあったが、こちらはスルーさせてもらいすぐに菅平を下り、東御市の温泉施設湯らり館に向かい、たっぷりと温泉を愉しんだ。湯の丸山の中腹に地あるこの施設の露天風呂からは、はるか下方に上田と東御の市街地が眺められ、何とも言えぬ風情。これで心置きなくこの夏もジエンド。一時的にコロナも吹っ飛ばした心持になれる、快適な夏終わりの一日でした。

【今週の番組ゲスト:ジャズベーシストの石原雄介さん】
「Yusuke Ishihara Trio」の1stアルバム『Dig Into Jazz』より
M1「Brand New Days」
M2「ERA」
M3「Just Do It」
M4「Someone To Watch Over Me」