3月25日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021/03/25(木) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.558~日本ラテンジャズの中核・森村献ちゃん】

  今年は例年になく桜の開花が早く、桜前線も予想以上に早く北上しそうな気配だと聞くので、皆様のお住まいの近くでも既に開花している桜も多いのでは...。我が街国立は都下でも屈指の桜タウン、この時期の街はパッと明るく賑わう筈なのだが桜まつりなども中止となり、この2年間はその賑わいも少ない。言わずと知れたコロナ禍の所為だが、それにしても我が国の政治状況は、このコロナ禍で無残な程に露呈されてしまった。国のトップと自治体のトップ、それぞれが自身の政治メンツの為に、非常事態宣言を巡って綱引きを続け、その体面を保つだけの施策を誇示、肝心の国民や都民の方には殆んど目を向けていない。悲しすぎる状態でニュージーランドや台湾などに比べるとその相違に愕然とする。しかもこの2国ともトップは女性。あの森発言では無いが、これからの日本が心配になる。

 まあそんな心配をしても詮無いこと、この春くらいは明るく楽しく...と言うことで、今年も番組ではこの時期恒例の新入生・新社会人向けのジャズ入門講座を3回にわたり企画することにした。3月末の1回目はラテンジャズ=サルサの愉しみ方、4月第1週の2回目は純粋なジャズ入門講座、そして3回目は以前このコラムでも取り上げた、グレッチェン・パーラトなど注目女性シンガー達の魅力...と言ったラインアップである。

 さてその第1回、ぼくの好みを目一杯取り込んだラテンジャズ=サルサの愉しみ方となれば、もう本当に長い付き合いの森村献・あずさ夫妻の登場となる。久々にあずさにTELしてみると番組出演は直ぐに快諾。ただ条件として2人で...というより、献ちゃんひとりのゲストにして欲しいとのこと。そこは少しも構わないので、献ちゃんだけの登場と言うことで番組ゲストが決定、内容は2人で詰めると言うことで、全面的にお任せすることにした。

 収録当日2人でやってきた森村夫妻。カミさんのあずさとは、彼女がまだ高校生時代、当時人気絶頂の「ペドロ&カプリシャス」にもヴァイオリンで参加していた頃からの付き合い。一方献ちゃんの方は、あずさの旦那として知り合ったのだが、その頃には既に若くしてJ-ラテンジャズ=サルサ界の大物ピアニストで貫禄充分だった。考えてみればもう40年近い付き合いになる。本当に長い。

 今は熱帯ジャズ楽団などJラテンジャズ~サルサ・シーンの主要バンド、そのピアノには献ちゃんが座っていることが多い...、と言うほどにシーンのボス格的な存在なのである。彼が一言掛ければすぐにラテンジャズ系のミュージシャンが集まり、セッションやレコーディングも実現してしまう...と言った存在だけに、その彼が紹介するラテンジャズ=サルサの魅力はまさに言うこと無し。ティト・プエンテなどの代表的アルバムを紹介してくれると同時に、自身のバンドの演奏もアルバム化していないものも持参、番組で紹介してくれている。中でも面白いのは、今注目の島、淡路島にある公立中学校のラテンバンド部、正式名称がラテンバンドかはしかとはしないが、献ちゃんが数年前から頼まれ指導しており、これがかなり本格的なバンド。昨年は全国のフルバンドコンクールで優勝したのだと、自慢げに彼らの演奏を紹介してくれているが、これが中々に聞き入ってしまう出来栄えなのだ。今年もまた指導に行くんだと実に愉しそう。そんな彼をあずさも頼もしく見つめている。長年続けていたフリーペーパー「サルサ120%」は残念なことに今は休刊中だが、また復活するんだと意気も盛んだし、この夫妻はこの所キューバなどの中南米諸国の大使館から、その活動を称え表彰も受けている。日本で最初の女性サルサバンド(彼女がリーダー)「チカ・ブーン」も、時々は集まって活動しているらしい。

 日本のラテンジャズ=サルサ普及に邁進するこの森村夫妻、いつまでも元気で華やかな活動を続けて欲しいもの。ぼくの大好きなラテンジャズ振興の為に...

【今週の番組ゲスト:ラテンジャズピアニストの森村献さん】

M1「Mambo Inn / Machito」
M2「Tanga / KM Special」
M3「Nica's Dream / Horace Silver」
M4「Seven Steps To Heaven / KM Special」
M5「Seven Steps To Heaven / Miles Davis」
M6「Day By Day / 蒼開中学・高等学校ジャズバンド部」
M7「Bluesette / Tito Puente」

 

3月18日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021/03/18(木) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.557~3本の音楽映画】

  このところ御無沙汰だったヴィデオ鑑賞を久々に行った。と言うのも最近のレンタルヴィデオショップは、ヴィデオの貸し出しだけでなく、ゲームやコミックの貸し出しも主流になっていて、ぼくなどもチャンジーだけに、お好みのコミック本(ゲームは一切やらない)は流石に買い求めることないが、日本漫画史上に残る傑作、野田サトルのアイヌ秘宝をめぐる冒険もの「ゴールデンカムイ」を始め、このコラムでも再三取り上げて来た、不朽のジャズ漫画「ブルー・ジャイアンツ」等々、是非読み続けたい傑作も少なく無い。しかし残念なことに公共図書館ではこうしたコミックの貸し出しはほとんど無いので、必然的にレンタルヴィデオショップで、と言うことになってしまう。そこで先日「ゴールデン・カムイ」の最新刊(確か24巻が出た)を借りに、国立の外れのショップに行った所(自宅から徒歩30分以上かかるのだが...)、2月中ならば全部のヴィデオが新作を含め、レンタル100円とあるではないか...。生来のけち根性が働き、この際に興味あるものは...と棚を探し回り8本ほど借りてしまった。まあ期間中にこの全てを見終わることは出来そうも無いと分かっていながら、生来の貧乏根性は治らないもの。

 帰宅してからその何本かを見たのだが、そのうちの3本が音楽映画もの。と言ってもあのショービジネス界きっての歌姫ジュディ・ガーランドの晩年を描き、それなりにスマッシュヒットした「ジュディ」以外は話題にもならなかったもの。そのジュディすら、彼女の名前を知っている若い人達がどれくらいいるのかも疑問なのだが...。ジュディはアメリカミュージカル映画の最高人気作「オズの魔法使い(「虹の彼方に」が主題歌)」の主役オズに、13才で抜擢され世界中から省さんを集め、その後もミュージカル映画の主演を数多く務め、アメリカを代表する国民的ヒロインだった。しかし私生活には恵まれず生涯5回の結婚を繰り返し、アル中などの障害もあり晩年は実力の割に恵まれなかった(子供の一人が、ミュージカル映画シカゴの主演で知られるライザ・ミネリ)。その晩年を描いた作品だけに寂しいものだが、イギリスでは相変わらず人気が高く、イギリスに渡り自身の名前を冠したショーを開催、好評を博しながらもここでもトラブルで途中中止。そんな晩年をレニー・ウイーガーが巧みに演じ、かなりな見ごたえで、ジュディの代名詞とも言える銘品「虹の彼方に」など、映画の中で歌われるジュディの持ち歌を完璧に歌い上げた、その彼女にも満点を上げたい。

 もう一本は昨年夏に公開された「マイ・バッハ」。ブラジル映画でタイトル通りにバッハ弾きとして知られるブラジルのピアニスト、ジョアン・カルロス・マルティンスの半生を描いた音楽映画。副題に「不屈のピアニスト」とあり、色々苦難を乗り越えた人だと分かるが、謳い文句に「20世紀最高のバッハ奏者」とあり、果たしてこれが正解かはしかとはしない。但しその天才振りは各方面で高く評価されたのは間違いなく、日本で知られるようになったのは、ブラジルのパラリンピック大会開会式で、彼が不自由な指使いでピアノを披露した姿。残念なことに彼のアルバム(バッハ中心だが)は、日本で発売されることも無く、名前は知られてもその実演は余りはっきりとはしない。映画は若くしてバッハ弾きの天才として世に出た彼が、演奏旅行で欧州に向かいその途中でサッカーに興じていた最中、最初の事故が起こり指使いが難しくなり、ピアニストとして休止を余儀なくされ、以降も色々の事故に見舞われる...と言う、不幸の連続。一念発起した彼は、指揮者の勉強を始め、そちらでも有名になる...と言った音楽苦労話なのだが、そこは楽園音楽系のブラジルのピアニストのお話。暗くなる中にも何とも言えない明るさも感じられ、救いも多く印象深い内容だった。ぼく自身はバッハフリークと言うこともあり、彼の名前は知っていたが、実際の演奏は耳にしたことが無かった。ここでは彼のバッハ演奏が演奏場面で使用されており、それを聴く限り、あまり余韻の残る演奏には思えなかったのだが、かなり興味深いストーリー展開も相俟って、クラシック音楽映画としては、上々の出来栄えだった。

 3作目だが、これはジャズ映画。あのオランダのホテルで、謎の転落死を遂げた人気トランぺッター、チェット・ベイカーの死を巡る謎を扱ったジャズ映画「マイ・フーリッシュ・ハート」。オランダで制作されたもので、その中身を映してかなり暗い画調の映画だが、惹かれる所も多々。チェットの映画はドキュメンタリー含めて、これ迄何本も公開されているので、チェット自身のプレーなども含め、また別の機会にこの映画は紹介したいと思っている。

 アメリカ、ブラジル、オランダ3か国の映画。そしてジャンルもショービジネス、クラシック、ジャズと多岐にわたり、これらの音楽映画鑑賞、得る所も中々に多かったです。

【今週の番組ゲスト:Jabuticaba(ジャボチカバ)のお2人 SAXプレイヤーの加納奈実さん ピアニストの永武幹子さん】
M1Samambaia 
M2Mysterious Dress
M3What Kind of Fool am I ? 
M4Along with You, Sunny man


 

3月11日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021/03/11(木) 19:00
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.556~寝起きの一枚】

  自身では発信はしないが閲覧はしている...、と言うことでぼくもこう見えてフェースブック利用者の一人なのである。ツイッターとか他のSNSは一切やっていないのだが、フェイスブックだけはミュージシャンや音楽関係者、温泉愛好家等々と言った知り合いから、友達リクエストを受け自然に参加者(見手)になってしまったと言う次第なのだ。そのフェイスブック上で、知り合いの何人かが「寝起きの1枚」として、その日の朝の寝起きに聞くアルバムを紹介している。まあこういう企画もいざ始めると、無理してでも何か選ばないとならない...と言った、ある種の強迫観念に囚われてしまう一面もあり、なかなか大変なもの...と感心しながらも、その大変さにいささか心配したりしながら、そのコメントを眺めている。

 個人的なことを言うと、寝起きに音楽を...と言った優雅な習慣(?)をぼくは持ち合わせていない。ことジャズと言う音楽~特に刺激的・創造的なジャズは、寝起きには向いていないと思っているだけに、寝起きにジャズ、などとはほぼ考えない。しかし、しかしである。この所良く寝起きに聞きたくなる、お気に入りのジャズアルバムが現れたのである。そのタイトルは『フロール』(ポルトガル語なのだが、英語ではフラワーだと思う...)。唄うはネオジャズボーカルの旗手とも言えるグレッチェン・パーラト。ボーカルの世界に新しい地平を開いたぼくの大好きな白人女性シンガー。 
 彼女のデビュー以降、斬新な表現に魅せられ続けてきたが、その最新作が良質の作品を送り続けている、コアポートから出ると言う話を聞き、これは...と言うことで代表の高木洋司氏に連絡、テスト盤を送ってもらった。結果は期待どおりいやそれ以上の素晴らしさだった。

 と言うことで高木氏にスタジオに遊びに来てもらい、彼女の新作『フロール』を、同じく仲間の一人で素晴らしいシンガー、ベッカ・スティーブンスの新作と共に、この2枚を紹介してもらうことにした。4月8日のオンエア予定だけにこの夜の「テイスト・オブ・ジャズ」是非聴いて欲しいもの。だがここではその素晴らしさを、一足先にぼくの寝起きの1枚として紹介したい。彼女は今最も注目の女性シンガーの一人だが、同時にこれも今注目のドラマー、マーク・ジュリアナのカミさんでもある。この事実ぼくは全然知らなかったのだが、高木氏からこの事実を聞いていささかビックリ。ジャズドラマーとしても有能だが、彼はあのデビッド・ボウイとも共演、ボウイのラストアルバムでもドラムを叩いている。そんな縁もあってこのグレッチェンのアルバムでも、アルバムのラストナンバーはボウイの「ノー・プラン」。ドラムは旦那のジュリアナが務めている。
 こう書くとパーラトの新作は、ロック色の濃いアルバム...等とも思われがちだが、決してそんなことは無く、全体はブラジリアンテイストの濃い爽やかなアルバム。ブラジルを代表する作曲家、ピシンギャーニの「ホーザ」を始め、素敵なブラジリアンナンバーが殆どで、爽やかなお目覚めにピッタリなナンバーが並ぶ。しかしぼくがこのアルバムを寝起きの1枚に選ぶのは、バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番」を彼女が唄う~ハミングしているからなのだ。バッハをスキャットハミングと言えば、もう半世紀ほど前のフランスのジャズコーラスグループ「スイングル・シンガーズ」のバッハ集が思い出されるが、それ以来のバッハジャズものではないかとも思う(まだ他にもある筈だがぼくは知らない)楽聖などとも称えられるバッハ。ぼくは全ての音楽の原点は彼の音楽にあると信じており、音楽家で誰か一人を...と言われれば、間違いなく彼の名前を挙げるほどのバッハフリークの一人。

 そのバッハの最高傑作の無伴奏チェロ組曲。この難曲を軽やかにスキャットハミングするグレッチェン・パーラト。全く凛として優雅の極み。魅了され尽くしてしまいます。是非皆様も一度耳にしてみたら...。ただ残念なことに番組では、このバッハチェロ組曲は取り上げていません。申し訳なしです。

【今週の番組ゲスト:ビブラフォン奏者の赤松敏弘さん】

Next Door-New Life』から
M1Next Door-New Life
M2Steve's Homework
M3Hana-no-no
M4Nervous Breakdown
赤松さんの初の電子書籍
Next Door-New Life / あるジャズビブラフォン弾きのちょっぴり変わった30年のニューライフ』もKindleで好評販売中


3月4日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2021/03/04(木) 19:00
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.555~宇崎竜童】

  ちょっと前のことだが何気なくTVを点けると、大きなステージで歌う懐かしい顔が映っており、「もしかしたらこれは...」と思ったら、やはり稀代の歌姫=山口百恵の武道館での伝説ラストコンサートの模様だった。TVを点けた時は確か「いい日旅立ち」を唄っていたと思うが、その後も懐かしい曲が並び最後の「さようならの向こう...」を歌い終え、感動のマイクをステージ中央に置き去っていく、あの忘れられない場面まで画面にくぎ付けで見入ってしまった。こののち霊南坂教会で結婚式を挙げ、以降は人前に登場することも無く徹底した市井の人として、今も生き続けている彼女。夫と子供達は有名な俳優やミュージシャンとして活躍しているが、自身は表に一切出ない。その凛とした姿勢は、感嘆などと言うものではない。

 彼女の家は良く知られているが、我が街国立の市役所や図書館、小ホール、公園などが点在する、文教都市の中の生粋の文教地区にある。窓がほとんど無い打ちっぱなしの鉄筋コンクリートの三浦家。その家の前は図書館に行くときに時々通るのだが、いつも至って静かに「百恵の家」と言う感じで建っている。ぼくは一度も見掛けたことは無いが、知り合いの中には、買い物籠を持った彼女を見かけたと自慢する人も少なくない。「全く気がつかないし、本当におばちゃんだよ...」などと異口同音に語るが、ぼくはそれはある種の誉め言葉だと解釈している。
 それにしても一時は桜田淳子、森昌子とともに「花の3人娘」と言われ、その存在は圧倒的だった。あの評論家平岡正明が「百恵は菩薩」と言う本を出しているが、まさにそれにぴったりな真の意味での歌姫だった。残念なことに他の2人は特番などで一緒したりしたのだが、女王百恵とはそういう機会は訪れなかった。ラジオプロデューサーとしては残念な極みである。

 ここまで書いてくると、今回の主役は百恵か...と思うだろうがさにあらず。彼女に多くの名曲を送った作曲家、宇崎竜童なのである。これも偶然見かけた「熟年ばんざい」と言うタウン誌、これは東京の多摩地区から埼玉の所沢市などで出されているものだが、その表紙を飾るのが竜童さんで、「極上の齢の重ね方」がその号のメインテーマ。その中でスペシャルインタビューも受けている。あの伝説の山口百恵のラストコンサートでも、そのハイライトとなっていたのが、竜童~阿木曜子夫婦コンビの名作の数々だったので、TVを見ながらそう言えば竜童さんどうしているのか...と思った次第。
 そのインタビューを読むと、古くから友人の高橋伴明監督の「痛くない死に方」と言う、老人介護を扱った映画の準主役の老人役を演じていると語られている。「何時も若々しい竜童さんが、そうかそんな役を...」と不思議な感じがしたもんだが、彼に最後に会ったのは、竜童ツアーと名付けられた全国コンサートツアーの一環で、中野サンプラザホールがまだあった、確か5~6年前のコンサート終了時のこと。このツアーのピアニストと音楽監督役が、ぼくの親しい北島直樹さん(寺井尚子のピアニスト)で彼と少し打合せもあったので、楽屋を訪れた時に隣の楽屋が竜童さん。久しぶりに挨拶を...と思ったが、来客中で顔を見ただけ。それも15年振り位だったが、元気そうなので何よりだった。

 竜童さんとは30代後半、プロ野球中継の10月から3月頃までの冬時間、毎週3時間半ぐらいの特番を作り続けていた頃に、時々色々な企画特番を一緒に作ったものだった。当時の彼は竜童組と言うユニットで活躍している一方、作曲家としても受けに入って大忙しの毎日だった。彼のライブを録音中継するのがメインだったが、当時は創作意欲に燃えていた時で、「心中天の網島」などと言う歌舞伎をロックオペラ化したアルバムなども作ったりしており、それを基にした特番なども企画、実に楽しくも辛い時を一緒に過ごさせてもらった。
 彼は明大の軽音楽クラブでデキシーランドジャズをやっており、確かトランペットを吹いていたはずだが、ひょんな機会からロックの世界に飛び込みリーゼント姿の粋な兄ちゃんで売り出し、「ダウンタウン・ブギウギ・バンド」で一世を風靡したのだが、根は街の気の良いあんちゃん。面白い人だった。 
 その彼が「自分らしい死に方とは、自分らしい生き方の事。最後は大勢に看取ってもらいたいね...」などと語っていると、いかにも彼らしいとも思うが、いささか寂しい気もする。何時までもいい意味での虚勢を張り続ける「チャンジー・ボーズ」でいて欲しいもの。まあ実際にはその通りの生き方なのだろうが、いつまでも若々しく格好良くいて下さい。


【今週の番組ゲスト:アルトサックスプレイヤーの池田篤さん】

新譜『Free Bird』『SPIRAL』から
M1
His Way Of Life
M2Impressions
M3Flame of Peace
M4Spicy Island