2月4日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報] [テイスト・オブ・ジャズ]
2021/02/04(木) 19:00
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.551~音楽本あれこれ

 正月明けから1月の半ばまでに読んだ「音楽本」を紹介してみよう。まずは何度目かの再読だが、村上春樹~和田誠の共作になる『ポートレート・イン・ジャズ』(文春)。和田誠画伯が10数名のジャズメンを描き、その彼ら彼女らに関する文章を、春樹がまとめたと言うジャズ本で、何回読んでも示唆に富み、誠さんの描くジャズイラストも含蓄深く興味尽きない。春樹氏は国分寺~千駄ヶ谷で結構長い間、ジャズカフェ「ピーター・キャット」を営んでいただけに、モダンジャズを実によく聞きこんでおり、学生時代は伝説のオールドタイマー喫茶「スイング」でもバイトをしていただけに、全てのジャズに通じており、また我々並みのジャズライターなどは足元にも及ばない筆力と着眼力で、愉しく読ませる。更にそれを誠さんのイラストがアシストし、絶妙のコンビなのである。

 春樹~誠コンビのこの定評あるジャズ本は、どなたにもお勧めのジャズ本だが、続く2冊は万人向きとは言い難いもの。但しガイド本なので読み易いものではある。その2冊とは「アバン・ミュージック・イン・ジャパン」(DUブックス)と「快適音楽ガイド」(シンコー・ミュージック)。2冊とも気鋭の音楽ライターのペンになるガイド本で、タイトルからすると、前者はかなり尖がった音楽ガイド、そして後者はかなり軟弱なガイド本等とも思われがちだが、この両方は意外に親和性も強い。その最大の類似点は、お勧めの「脱ジャンル音楽=越境音楽」あるいは「境界線音楽」のガイド本...、とでも言ったら良いのだろうか...。両者ともにロックやポップス、そしてジャズと言った音楽がそのガイドのコアにはなっているが、取り上げられているものはどれもゴリゴリのロックとかジャズと言った原理的アルバムでは無く、それ等をコアに様々なジャンルの音楽要素がミックスされた、蠱惑の音が詰まったアルバムが紹介されている。「アバン」とは「アバンギャルド」の略でかなり先鋭的な音楽=現代音楽などもその範疇に入るし、一方の快適音楽の方には、ぼくの云う"楽園音楽系"のサルサやラテンジャズ、タンゴ、更にワールドミュージック系の音も含まれるが、そのどちらも既成の音楽ジャンルに固執していないものがメインになっており、そこがなんとも面白いし惹かれる所。

 今は既存のCDなどが売れずにダウンロードなどが主力。ジャズをジャズとして、クラシックをクラシックとしてなどと意識しないで、色々と聞き漁る雑食性の音楽ファンが増えており、これは良い面と余り感心しない面の両方あるとは思うが、好きなものを好きな時に...と言うノンシャランな聴取態度は、音楽の在り方そものを変化させつつある様にも思える。ぼくなども脱ジャンル~越境音楽好きなどと思っているし、実際に広言もしているが、やはりコアはド・ジャズであって、それを聴いてさえいれば安心...などと言う感も少なくない。そこはチャンジー(爺さん)リスナーなのである。まあこれからも年齢も年齢だけに、余りいきがらずに愉しい音楽を味わうことに心掛けたいものだと、この2冊の意味深い音楽ガイド本を読んで思った次第です。皆様にもお勧め本です。

【今週の番組ゲスト:ジャズギタリストの浅利史花(ふみか)さん】
新譜『Introducin'』から
M1bluesette
M2Daahoud
M3Goldfish Droppings
M4Summit