11月19日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報] [テイスト・オブ・ジャズ]
2020/11/19(木) 19:00
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.540~キャンディス・スプリングス

  米大統領選挙が終わって2週間強、トランプが敗北してバイデンが勝利した様子。と言ってもまだ法廷訴訟など、トランプ陣営は敗北を認めず、完全な決着が着いたとは言えないが、もはやトランプに勝ち目はない。開票中の最後の記者会見、あれを見てもトランプにはかつての虚勢も無く淡々と原稿を読み上げるだけで、心なし元気も無かった。トランプの4年間、それはアメリカの分断を極端に押し進めた期間だったことは、日本にも少なからず存在する。トランプ信奉者達もが認めるところだろう。ある意味恐ろしいまでの茶番劇の4年間だったとも思うが、まあバイデンになって良かった、ほっとしたと感じる人が多数派だろう。
 常々「アメリカファースト」などと連呼し、自分とその信奉者だけがアメリカを愛する...などと叫びながら、あのベトナム戦争激化の若かりし頃には兵役逃れをしていたとも噂されるトランプ。それでいて愛国者を自称できるところに、アメリカと言う国の不思議さも読み取れる。まさに究極の「ミー(オンリー)ファースト」主義者なのだが、大声で連呼すればそれがまかり通ってしまう...、この何とも言えない不思議さ、形容し難い国でもある。

 ところでアメリカを完全に分断化した今回の大統領選挙、音楽(アメリカのポップミュージック)の観点で見ると、ジャズとカントリー&ウエスタンの鬩ぎ合い、争いだとみなすことも出来そうだ。バイデンと言う人とその支持者が、ジャズを好きかどうかは分からない。しかし歴代の民主党の大統領、オバマ、クリントンはジャズ愛好家で、特にクリントンは毎年ホワイトハウスでジャズコンサートも実施していた程。一方のトランプとその支持者は、間違いなくそのほぼ8割方はC&Wの愛好者であり、政治集会などではカントリー音楽シンガーなども登場している。 
 日本でC&W音楽と言うと、ぼくの若い頃ジミー時田とカントリージャンボリーなどと言うウエスタングループが人気を博したこともあった。また日本のロック(ポップ)ミュージックのはしりは、今はなき日劇で行われた「ウエスタン・カーニバル」と言うウエスタンを標榜した音楽イベントだったが、その後は表舞台に登場することもほとんどなく、ジャズ(モダンジャズ)の普及・浸透度には及びもつかないもの。しかしアメリカではC&W市場は凄いものがあり、およそジャズなど相手になれないような強さと規模を誇るとも聞く。アフリカから連れてこられた移民達から始まったジャズ、アメリカ白人の最下層労働者達から生まれたC&W。いささか境遇も近いと思われるだけに近親憎悪的な感じもあり、アメリカを代表するこの2つの音楽ジャンルは、お互いに至って相性が悪い...、と言うかいがみ合って来た。

 そのⅭ&Wの本拠地とも言えるのは、アメリカ中西部の大都市、テネシー州のナッシュビル。ここは最近Ⅽ&Wオンリーから脱却し、NYやロサンジェルスに次ぐ音楽ビジネスの重要都市になりつつあるとも聞く。そしてこの街出身の黒人女性のジャズ系ピアノ弾き語り、シンガーソングライターが、キャンディス・スプリングス。まだ日本ではあまり知られていないこの素晴らしい資質の女性シンガー。彼女がトランプ政権下で押し進められた、アメリカ分断化の融和を図る格好の存在になるのでは...と秘かにぼくは思っている。デビューはR&B色の濃い作品、2作目は育ったナッシュビルの街を映しⅭ&W色も取り入れたもの、そして3枚目になる今年発表の新作は「ザ・ウーメン・フー・レイズド・ミー~私を作った(影響を与えた)女性達」と言うタイトルで、ジャズボーカリストとしての資質全開のアルバム。トランプが勝利したⅭ&Wの州&街で育った、この若きジャズディーバの存在とその歌声は、アメリカの政治のみならず、アメリカ音楽の分断化をも融和する存在になると...とぼくはひそかに信じている。皆様も是非彼女のこのアルバム、一度は耳にして欲しいものです。特にこの大変にかつ重要な選挙が終了した後には...

【今週の番組ゲスト:サンポーニャ/ケーナ奏者の瀬木貴將さん】
ソロデビュー25周年記念アルバム「360°(スリーシクスティー)」から
M1Last Journey」
M2Stillness River」
M3Birds Movement
M4360°」

https://m.youtube.com/channel/UCeYgqsk4fHc59Flg8eP9Ukw