10月29日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/10/29(木) 19:00
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.537~近藤等則

  毎日読んでいる新聞、それは今何かとネットウヨなどの標的にされがちな朝日新聞なのだが、そこで衝撃的なニュースが...。ワシントン支局のK氏発信の情報だが、あのキース・ジャレットが左手に麻痺が残り、復帰は困難だと言う。18年に2度ほど脳卒中を患い、麻痺が残り[以前のようには弾けないし、回復の見込みもない...」と弱気に語っているのだと言う。病気の話は知られていたが、ここまで酷いとは...。現代屈指のジャズピアニストだけに、なんとも悲しくも寂しいニュースである。

 ところで朝日新聞の死亡欄に、もう一つ寂しい通知が載っていた。ここに名前が載ると言うのは、こと文化・芸術に関わる日本人として本当に大したもの(栄誉)なのだが、近藤等則の名前があった。そうか彼も遂に逝ってしまったか...と何とも言えない感慨があったが、ぼくより2~3才位下の筈なので、まあそれも致し方ない...と言った感じだった。それよりも良く彼の名前がこの死亡欄に...という感慨の方が大きかった。

 近藤等則、パンク&フリージャズとも呼べそうな独特な世界を構築した、異端のトランぺッターにして流浪のアルチザン(芸術家)。そんな彼の名前を知る音楽(ジャズ)ファンは、今では少ないと思うし、この20年ほど彼が何をしていたのか、ぼくは寡聞にして知らない。彼は京都大学卒業という異色のジャズメン(あとはベースの納浩一位なもので、殆どいない筈だが...)で、あの伝説の西部講堂などでも沢山の活動家の中で、激烈とも言えるトランペットの咆哮を響かせ、意欲的な京大生や当時の活動家学生を鼓舞したりと、本当に威勢のいい漢だった。

 我がジャズ番組に登場したのはもう40年ほど前のことで、ただ1度の登場だった。その激烈な活動がNYでも評判になり、一時期、時の人としてかなりな注目を集めた。現地に滞在していた彼はその後帰国、その直後に結成した自身のバンド「IMA」、そのデビューアルバムを引っ提げての登場だったと思う。余りジャズに詳しくないおとなしい女性アナが当時は番組担当だっただけに、彼はいたって不機嫌で、帰り際には「どうしてあんな女が...相手なんだ...」と怒りの一言も放って帰ったが、その言動はジャズメンと言うよりもパンクロッカーそのもので、ある意味傲岸不遜。確か当時流行のはしりの「コムデ・ギャルソン」に身を包んだ彼は、日本版マイルス・デイビスと言った趣もありなんとも格好良く、この自信と意気込みならば、本場NYでも十二分に評判を集めるだろうと思わせるものが確かにあった。

 そんな彼もその後は日本を離れ、パンクジャズからも距離を置き、世界各地の砂漠や廃墟などで演奏を重ね、確か「地球を吹く」と言った名目で演奏活動を続け、アルバムも出している筈。以降世紀が変わってからはその活動も殆ど伝えられることも無く、ぼくなどはどこかで亡くなっているのでは...等と思っていたのが、突然の朝日新聞死亡欄への登場。日本と言った狭い島国には愛想をつかし、本場NYで大活躍し、その後は一転自然の中での演奏活動展開と...、恐らく稀有なスケールを有したこの鬼才が、たった一度でも我がジャズ番組に登場してくれたことは、今になってみると本当に貴重なことだったと思う。

 好漢の死を悼み 黙祷!

【今週の番組ゲスト:ピアニストで「OWL WING RECORD」代表の荒武裕一朗さん】
TIME FOR A CHANGE』『本田竹曠 Trio LIVE 1974』から

M1Blue Rondo A La Turk
M2Ballad Medley When sunny gets blue /I can't get started/Ain't tell you a good way but/Georgia on my mind
M3Water Under The Bridge
M4Time After Time

10月22日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/10/22(木) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.536~文学とジャズ

 「文学とジャズ」とは、やけに大上段のいきがったタイトル...などと思われる向きも多いかも知れないが、これはれっきとした雑誌での特集タイトル。その雑誌とは文芸誌として恐らく日本で最も長い歴史を誇る筈の「文学界」。

 芥川賞と直木賞、日本の文芸界の最高峰とも言えるこの2大文学賞、これを実施・運営する文芸春秋社が発行する文芸誌だけに、いささか他の文芸誌とは重みも違う感もある。その「文学界」の最新号、丁度今店頭に並んでいる雑誌の特集が、この「JAZZ×文学」なのである。と言うことでこれは早速「文学界」の編集長をお呼びして、どうして今ジャズを?とお伺いしてみようではないか...と言うことにした。タイミングよく、この号の企画にジャズ評論家の村井康司氏が深く関わっており、インタビューなどもしているので、彼も一緒にスタジオに...今回の番組は全面的に「文学とジャズ」がテーマである。

 収録当日は、村井氏が編集長の丹羽健介氏を伴ってスタジオに現れた。今は余り発行部数も多いとは思えないし、その影響力も以前に比べ大分落ちたのでは...とも思われる文芸誌だが、そこはやせても枯れても「文学界」である。編集長は定年間近の60才近い紳士が...と思ったら、これが40台の実にお若く、少し肩透かしの感じ...。編集長になって数年と言うが実に若々しく初々しい。丹羽氏も当然ジャズ好きではあるが、自身はそう詳しいとは言えない...と謙遜する。聞くと「文学界」でジャズを特集したのは、今回が初めてのことだと言う。以前は河出書房から出ている「文芸」が良くジャズ特集をしており、jazzと文学と言えば「文芸」と相場が決まっていたのだ」「文学界が殴り込みですか...」と聞くと、「いやーそんな感じではありませんよ」といなされる。

 今回の「文学界」の特集、作家でジャズと言えばまずは自身が、かつてジャズ喫茶のマスターを務めていた村上春樹、そして「ジャズ大名」などのジャズ小説も数多くものしている筒井康隆、そしてジャズメンにしてハチャメチャな物書きの山下洋輔...と言った面々は、当然登場してくる。その他の売りは、なんと女流ピアニストの山中千尋が初めての小説「フェーシング・ユー」を発表していること。その他山田詠美や宮内悠介などと言った作家達も、それぞれお勧めのジャズアルバムを紹介する等、かなり充実の内容である。

 番組では村井氏がインタビューした、村上春樹の対談テーマ、スタン・ゲッツ自身の演奏を掛けたり、また山下氏の全盛時代~筒井氏と組んで様々な面白イベントなどをやっていた時代、その頃の演奏を紹介したり、編集長の好きなジャズアルバムを紹介するなど、こちらも本誌に負けず中々に充実の内容になっている。「JAZZ×文学×ラジオ」どんな放送になるか皆様もお愉しみに...。

【本日の番組ゲスト:文藝春秋 『文學界 』編集長の丹羽健介さん。ジャズ評論家の村井康司さん】

文學界11月号は丸ごと「JAZZ×文学」特集です。

M1I'm Late, I'm Late / Stan Getz

M2「バブリング創世記 / 山下洋輔」

M3Miles Runs the Voodoo Down / Miles Davis

M4Donna Lee / 山中千尋」

https://open.spotify.com/playlist/4wR13G3nosiTp1zQ1dgy9g?si=lloQ-49SSXGEzlxsIsaWKw


 

10月15日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/10/15(木) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.535~さかもと未明

  世の中には凡人には考えられないほど、様々な才能を発揮する才人も少なくない。その上その才が活発な余り、周囲と諸々の軋轢を生じてしまうと言った人もいる。そんな一人...と言うと、当人に怒られるかも知れないが、さかもと未明と言う女性も結構誤解を招きやすい才人に思えてならない。元々は漫画家(結構その絵柄好きでした)で売り出したがその後作家、画家等々、様々なクリエイターの仕事をこなし、まさにマルチアーティストの名称に相応しい。更にその名前を有名にしたのは、TVコメンテーターとしての役割。結構コメンテイターの仕事もやってきたようだが、ディレクターと喧嘩したのかプイとスタジオを飛び出してしまったとか、飛行機で赤ん坊の声がうるさい(?)と文句を付け発着を遅らせたとか...、何かと話題になる才媛でもある。その彼女が今画家の仕事と共に、最も大事にしていると言うのがジャズシンガー。これまでに2枚のアルバムを出しているが、この新作『ムーランルージュ』は、シンガーさかもと未明の力量を最大限に発揮したものとして各方面から注目を集めている。

 この作品のレビュー(アルバム評価)を「ジャズ・ジャパン」誌から頼まれ、聴いてみるとこれが他にはない個性的な作品。エスプリの効いた、コケティッシュでハイセンスな面白さがあり、結構気に入ってそれなりの評価を付けた。更に気になったのは歌っているその当人のこと。色々な評判も聞いていたので、(恐る恐るだが)「テイスト・オブ・ジャズ」出演のオファーを送ってみると、二つ返事でOKとのこと。
 収録当日は受付までお迎えしたのだが、暑い時期にも拘らず、寒いことを一番に気にしたコート姿で現れ、実に礼儀正しいお人だった。アルバムレビューへの感謝の言葉なども頂き、こちらも恐縮したが、山本嬢もいささか緊張の面持ち。元々彼女はアスペルガーなど様々な難病を抱える「苦」の人でもあり、病のために手が動かなくなり漫画家の仕事を中断した...と言った話もある。

 ジャズシンガーとしてかなり頑張ったと言う今回の新作では、フランス語をメインにあのミッシェル・ルグランの名曲の数々を歌いこなしており、それに「チュニジアの夜」などのジャズスタンダードも織り交ぜ、かなり多彩な選曲となっている。番組ではその新作の話が中心だったが、自身の病の話、ジャズシンガーとしての個性の出し方、実際にはしゃべれないのだが、カタカナなどを振ってもらいかなり自己流にアレンジして歌ったと言う、フランス語でのルグランナンバーの話、ルグランの息子=パンジャマン・ルグランとの感激のデュオ(2曲)の話など、色々と話しにくいだろう話題までもさらっと語ってくれるなど、その率直さそして話の面白さに、山本嬢ともども好感度大だった。結果番組は面白エピソード満載の、最近珍しいほどの充実の内容になった。
 
 この新作の音楽監督はこれも才人のピアニストのクリヤ・マコト。「最近クリヤ君忙しいせいか、番組に来てくれないなー」などと言うと、すぐに彼に電話してくれたのだが、あいにくの仕事中でつながらず。しかしさかもと未明、実に気遣いの人でもあった。人の評判などは実際に会って見ないと分からないものと、今回つくづく感じ入った次第です。

【今週の番組ゲスト:インターメディアアーティストのさかもと未明さん】
新譜『MOULIN ROUGE』から
M1Les Parapluies De Cherbourg」(シェルブールの雨傘)
M2L'été 42」(おもいでの夏)
M3 A Night In Tunisia
M4What Are You Doing the Rest of Your Life?」(これからの人生)



10月8日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/10/08(木) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.534~ジャズと映画】

 ジャズと映画と言うテーマだと、直ぐに帝王マイルスが若かりし頃、その音楽を担当したハードボイルド犯罪映画「死刑台のエレベーター」(ルイ・マル監督)や、ジョン・ルイスとMJQが本格的に映画音楽へのモダンジャズ導入を図ったこれもミステリー映画の「大運河」(ロジェ・バディム監督)などと言った、1950年代の文化アイコンだった一連のフランスヌーベルバーグ(新しい波)映画のことが思い出される。だがここではそんな古典的な映画音楽のことではなく、ジャズメンやジャズ喫茶の親父をテーマにした、モノホン(本物)のジャズドキュメンタリー映画が、最近盛んに紹介されていることを記してみたい。
 ジャズドキュメンタリー作品と言えば、その古典的作品でジャズファンならば誰でもが知る(ぼくも大学時代に初めて見て大感激したものだが...)銘品「真夏の夜のジャズ」、この作品も今ニュープリントで再上映され、かなり話題を集めているようだが、今回紹介するジャズドキュメントは、まず帝王マイルスにスポットを当てその音楽人生を俯瞰した作品「マイルス・デイビス~クールの誕生」。このジャズ界のレジェンドのドキュメント映画の音楽監督が、今のジャズシーンをリードする牽引者とも言えるロバート・グラスパーだと言うのも、話題を集めている要因の一つだ。まだぼくは未鑑賞なのだが、「ジャズレジェンド=マイルスのスター性、カリスマ性を露わにし、その音楽人生を凝縮した」とも謳われる、このジャズドキュメントフィルム、この9月頭から公開が始まっており、中々に評判もいい。グラスパーが音楽担当と共に、ここでコメントを寄せているのが帝王に関わりの深い、クインシー・ジョーンズ、サンタナ、ハービー・ハンコック等々まさに大物揃いで、その証言を聞いているだけでもワクワク感も強い。

 そしてもう一本は、ぼくと早稲田大のほぼ同期で、大学フルバンドの雄~早稲田ハイソサエティーオーケストラ(ハイソ)のボスだった、菅原正二氏を主役に据えた、映画「ジャズ喫茶ベイシー」。ベイシーとは言わずもがなの、岩手県一関市にある菅原氏の銘店「ベイシー」のこと。その親父である彼にスポットを当てた映画と言うのだから、相当に物好きな作品と言えるが、そのプロデュサー陣の一人に、前のフジTVの役員、亀山氏も参加していることも結構話題にもなっている。まあ東北でジャズと言えば、その鳴らす音に強い拘りを持つ「ベイシー」、そしてそこのマスター、菅原氏と言うことになるのだが、ぼくがこのジャズ喫茶を訪れたのは2回ほど。音の良さ以外にはそうは売り物も無いと思っているのだが、初めて訪れたお客などはマスター菅原氏の、悪役張りの強烈な個性=キャラクターに圧倒されてしまうようだ。何せドキュメンタリー映画にまでなってしまう程なのだから...。

 こちらもぼくはまだ観ておらず、この原稿を物したらすぐに渋谷の上映館「アップリング」に足を運ぶつもりだ。彼とも葬式とかジャズ関連のパーティーなどで、年に1~2回会うだけなのだが、いつも結構な知り合いであるぼくでも、そのキャラクターに圧倒されてしまうこともある。同じ年代のチャンジー(爺さん)なのに、一方は映画の主役として登場、一方はつまらない災い事で頭を悩ます...(本当に毎日いらいらしているのですが...)市井の一介のジャズ好き男と、相当に差が付いてしまっている。まあこれも詮方ないことかもしれませんがね...。

【今週の番組ゲスト:横濱ジャズプロムナード プロデューサーの小針俊郎さん、中村誠一さん・紗里さん】

M1Exactly Like You
M2Shoo Fly Pie
M3Under Paris Skies
M4It's a Pity to Say Goodnight

横濱ジャズプロムナード2020
今年は無料ライブ配信
https://jazzpro.jp/jazzpro2020

山本 郁が司会で出演します。
是非ご覧下さいね!
https://www.youtube.com/channel/UCY9JghoqSFP4tb10YrUD94w







10月1日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/10/01(木) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.533~ラグビージャズ組曲】
  
 本来ならばこの時期、大学ラグビーやトップリーグも開幕、華々しいラグビーシーズンのスタート...の筈なのだが、このコロナ禍で大学ラグビーこそようやく始まりそうだが、トップリーグの方は未だ始動の気配さえない。そんな中、藤島大さんをパーソナリティーに擁する我がラグビー番組「楕円球に見る夢」は、プロデューサーのH嬢が色々と苦労し話題集めに奔走、かなり充実した内容でファンを愉しませている。
 その大さんには以前から飲んだ席などで、ジャズでもラグビーを題材にした恐らく世界で唯一つのアルバムがあることを伝えていた。そしてその主役が、ぼくの早稲田大ジャズ研の後輩で、日本で唯一人のジャズで博士号を取った男、本邦随一の力量を誇るジャズシンガーにして日大芸術学部ジャズ講師でもある丸山繁雄くん。と強調していたのだが、肝心のそのラグビー組曲を収録したCDアルバムが見つからなくて、残念なことに大さんにその素晴らしさを伝えることが出来なかった。それがこの初夏、山荘でアルバム整理をしている最中に偶然見つけ出すことが出来たのだ。これは直ぐに大さんに...と思い、手渡してくれるようにプロデューサーのH嬢に頼んでおいた。それ以降この丸山によるラグビー組曲のことはすっかり忘れていた。

 それが先日ラグビー好きの知り合いから連絡があり、丸山のラグビー組曲が「ラグマガ(ラグビー・マガジン)」今月号、大さんの巻頭エッセイに載っているよ...とのこと。今、とあるトラブルで個人的に毎日むしゃくしゃする中、これは久々の朗報と本屋に直行、立ち読みするとなんと話題は確かに丸山「ラグビー組曲」のこと。中身の殆んどはラグビー組曲のメインナンバー、「タックル・ダウン」の主役。今は亡きジャパンの小柄な名フランカーにして、早稲田ラグビーのキャプテン&監督も務めた石塚武夫。丸山の友人でもあった石塚に捧げたこの曲から、大さんのラグビー部先輩にもあたる彼の想い出をメインに記した好エッセイだった。そこでもこれがおそらく唯一のジャズラグビーナンバーだと言うこともいた。

 これは直ぐに丸山くんに教えなければ...と思い彼にTELすると、いささかおぼつかない口調で電話口に出てくる。ああそうか彼は今病(脳溢血)の後遺症でリハビリ中なんだ...と思い出し、一言一言ゆっくりと藤島大さんがラグマガに、「タックル・ダウン」と石塚氏のことを書いてくれたよ...と伝えると、いささか心もとない感じではあったが、「ラグマガ、昔よく読んでましたね。大さんも知ってますよ。小西さん有難う、すぐに本屋に行って買ってきますよ...、有難う...」とウルウルした感じで応える。ラグビー好き「早稲田ラグビー命」の一員でもある、屈指のジャズシンガー丸山繁雄にとってラグマガに、アルバムそしてラグビー組曲が紹介されるのは望外の喜びであったはずで、彼がいささかウルウルしてしまうのも良く分かる。しかもリハビリ中と言うだけにその喜びは更に大きかったはずである。
 「今どうなのリハビリは...」と尋ねると、「徐々に良くなっており、この前は九州の博多、名古屋のボーカル教室でも授業してきました...」とも言う。今唄うことは叶わずとも、全国に3~4か所あるボーカル教室で教えることは続けているようだ。「小西さん、絶対に復活しま
すから、その時には番組に出させてくださいよ」と力強い宣言である。あたかもそれは何回も倒されながらもタックルし続けた石塚武夫の雄姿にも通じる様でもあった。

 好漢!丸山よ、また是非その素晴らしい歌声をぼくたちに聞かせて欲しい。あの至宝、ジョン・ヘンドリックスが絶賛した歌声を...。そして有難う大さん。丸山くんは感涙にむせんでいた筈です。ラグビーもジャズも、共に本当に素晴らしいものだ。


【今週の番組ゲスト:ツィター奏者の河野直人さん】
新譜『ツィターと共に』から
M1「第三の男 40th ヴァージョン)」
M2「マイ・フェイバリットシングス」
M3「月の砂漠 feat.渡辺真知子」
M4「ピースフル・デイズ」
M5「サウス・ウイング」