9月17日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報] [テイスト・オブ・ジャズ]
2020/09/17(木) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.531~バード生誕100周年】

 我々が今ジャズと呼んでいるモダンジャズ。このスタートは「バード」ことアルトサックス奏者、チャーリー・パーカーと、「ディズ」ことトランペット奏者のディジー・ガレスピー、このコンビによるビ・バップ(バップ)の創出だったことは、ジャズファンならばもう自明の事実だろう。ビ・バップはそれまでのスイングジャズ~ある意味ダンス音楽で当時のポップミュージックだったアメリカ音楽の主流を覆し、ジャズを聴き味わう=観賞用の音楽へと高めた(変質)させた画期的なものだったとも言える。そしてその音楽的なリーダー役がパーカーで、ステーツメント役(宣伝係)がガレスピーだったとも言える。ガレスピーはスイングミュージックとは一変した、この新規のジャズ音楽を一般に浸透させるために、高音でのアクロバティックなコミカル技なども駆使、見た目も派手な衣装でステージに登場、宣伝役として大いに気を吐いた。一方のバードことパーカーは、酒と麻薬の破滅的人生を送りながら、バップコンセプトの進化・深化に勤め、多くの後輩ミュージシャンとも積極的に共演、ビ・バップの完成に腐心した。まあこの2人の努力により、モダンジャズの基盤とも言えるビ・バップは多くの若者たちの支持を受けるようになり、ジャズの新しい時代=モダンジャズの時代が1950年代に入るとスタートを切るようになる。新しいジャズ時代の到来だったのだ。

 その音楽的支柱、モダンジャズの開祖とも呼べるアルト奏者のチャーリー・パーカー、その生誕100周年が今年なのである。例年ならばこれに関連したジャズイベントやアルバム発売など、様々な催しや盛り上げ企画なども行われる筈だったが、このコロナ禍でイベント企画も難しく、CD発売なども見送られてしまったようだ。ファンとしては寂しい限り。こうなったら名匠クリント・イーストウッドがかつて監督したパーカー一代記映画「バード」を鑑賞しながら、彼の偉業を確かめるしかないなーなどと思っていたら、思わぬ朗報が飛び込んできた。パーカーの生誕100周年を記念して彼の新しい評伝集が、音楽系出版社から出されるのだと言う。タイトルは「バード チャーリー・パーカーの人生と音楽」。

 そういえばこの本の話はバードの生まれ故郷カンサス。シティーの情報にめっぽう詳しいT女史から以前聞いたことがある。チャック・へディックスと言うカンサスシティー在住の作者は、日本で出版できる出版社を探しているから協力してもらえないか...とも言われたが、余りあてはない。生誕100周年に合わせて出したいのだ...とも言われた。その企画の実現がこの評伝集だったのである。T女史の名前は実際に本にも載っている。そしてこの評伝集の訳者が、昔からの友人で今やジャズ本の訳者として定評のある川嶋文丸氏、そして編集が昔ジャズ雑誌の編集部にいて付き合いの古い池上信次氏だと知り、これは是非番組でも...と思っていた所、川島氏から連絡があり、この評伝集を話題にすることにした。ゲストは当然に川嶋氏と池上氏。

 パーカーについては今までも評伝集がいくつも出ているが、今回の本の強みは作者がカンサスシティ在住のジャズ研究家だと言うこと。それだけに彼の子供時代から青年期、ニューヨークに進出するまでがこれまでの本には無いほど、詳しく描かれていること。今まであまりスポットの当たらない部分がクローズアップされたのだとも言えそうである。番組ではこの本の面白さなどを2人に語ってもらい、新しい事実の発見や未発表写真の発掘などの苦労談も語ってもらっている。曲は全部で5曲。それぞれがこれぞパーカーと言うナンバーを紹介してくれ、またこの時期に『ベスト・オブ・パーカー』と言う生誕記念アルバムも出されることになったので、そこからも選ぶことにした。
 モダンジャズ界、最高の天才にして惜しくも夭折してしまったバードことチャーリー・パーカー、この機会にぜひもう一度彼の偉大さを、番組で確かめて欲しいもの。

【今週の番組ゲスト: 今年8月にシンコーミュージックから発売された『バード チャーリー・パーカーの人生と音楽』を紹介 翻訳家の川嶋文丸さん 編集者の池上信次さん】

 https://www.shinko-music.co.jp/item/pid0648390/

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Tiny's Tempo / Tiny Grimes Quintetto
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KoKo / Charlie ParkerDizzy Gillespie
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Relaxin' at Camarilo / Charlie Parker New Stars
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Just Friends / Charlie Parker With Strings
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Tico Tico / Charlie Parker & His Orchestra