8月27日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/08/27(木) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.528~チン&剛】

 「チンさん&剛さん」と言えば、ジャズファンならばもうお馴染のベテランコンビ。チンさんことベースの鈴木良雄、剛さんことピアノの山本剛。J-ジャズシーンを長年牽引して来たリーダー達で、2人でデュオライブも長年実施しているのだが、正式なデュオアルバムは今回が初めてで、タイトルは『ラビング・タッチ』。アルバムは今年の春ごろの発売で、スタジオにももう少し早くと言うことだったが、コロナ禍で夏の収録にずれ込んでしまった。両者ともほぼ同じ年代でチンの方が少し上。大学生の頃からの知り合いの筈(チンは早稲田ジャズ研、剛は日大だがジャズ研ではない)で、チンの方はぼくの大学時代のクラブ仲間。サダオさん(渡辺貞夫)のバンド時代からスタジオには良く遊びに来ていたが、その後アメリカに渡ってしばらくご無沙汰。その後帰国し六本木の「ピット・イン」(今は閉店)での凱旋ライブは、我がラジオたんぱでも録音中継した。その後はベースの第一人者としてシーンに君臨し今に至る。一方の剛氏の方だが、これがなんと初めての番組登場。「どうして呼んでくれなかったの...」などと剛先生からお叱りの一言だったが、これまで何回か新譜が出るたびに声はかけてきたが、なぜかスケジュールがうまく決まらず今回に至ったと言う次第。

 スインギーでブルージー(ブルース弾きとしては本邦随一)な剛氏、骨太で細かいフォローでピアノを支えるチンさん。絶妙なコンビのこの2人のデュオアルバムが、これまで無かったのはちょっと意外だが、岡本太郎記念館の館長でジャズ好きの平野氏が、自身で立ち上げたジャズレーベル「デイズ・オブ・デライト」、これは彼がチンのアルバムに大学生時代に大感激し、是非チンのアルバムを作りたいと言うことで立ち上げたものと聞く。このレーベルでのファーストアルバムが、盟友剛氏との初デュオアルバムになったとはなんとも興味深い所。アルバムは日頃2人がライブハウスなどでよく取り上げている、「サマー・タイム」「朝日の如くさわやかに」などのスタンダードがメインだが、当然剛氏の十八番とも言われる「ミスティー」も収録されており、その他タイトル曲など2曲のチンさんオリジナルも含まれている。

 気心の知れあった2人だけに、収録も実にスムーズ。山本嬢はスタジオでは初対面だったが、既に都内のある飲み屋で剛氏と同席、かなりよく知り合った仲だとも言う。お互いを褒め合った所で収録は無事終了。チンが「小西よー、どこか連れて行けよ...」と言うことで、このコロナ渦のなか、いささか心配ではあったが過密にならない様に、東京を代表する居酒屋「升本」に、酒豪の剛氏とチンさんを誘う。剛氏はこの銘店に初めて訪たと言うことで、いたくお気に入り。また是非誘ってよとのこと。コロナ禍のなかあまり長居は...と言うことで早々に引き上げたが、日本を代表するお二人との一時、実に楽しいものでした。また是非やりたいものですね。

【今回の番組ゲスト:ベーシストの鈴木良雄さんとピアニストの山本剛(つよし)さん
新譜『LOVING TOUCH』から
M1Loving Touch
M2Blues for Edith
M3Softly as in a Morning Sunrise
M4Misty

8月20日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/08/20(木) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.527~追分通信2020夏】

 8月に入り一斉の梅雨明けで猛暑到来と言った感じだが、暑い夏にも関わらず相変わらずコロナ禍は猛威を振るい、止まる所を知らない。感染拡大によるステイホームと観光振興のGOTOキャンペーン。政府の無策と強引策など矛盾した施策も加わり、国民はどうしてよいやら右往左往と言った案配。ただ誰もが感染を恐れ、GOTOキャンペーンにはおいそれと乗れない感も強く、お盆の帰省すらままならないと言う悪しき状況。

 そんな7月の末から10日ほどまた追分の山荘にいたが、驚いたことには国内屈指のリゾート地の軽井沢も、訪れる客がこの夏実に少ないのである。特に8月に入った最初の週末など、例年だと中軽井沢駅近くの国道は渋滞で身動き出来ないほどなのに、すいすいと走れてしまう。こうなるといささか拍子抜けと言うよりも心配にすらなってくる。確かに夏休みの日数削減などの影響もあるだろうが、軽井沢駅前の「プリンス・アウトレット」と並び今や軽井沢の新名所となった感もある、中軽井沢の星野リゾート「ハルニレ・テラス」も、今の時期子連れの客などで立ち往生してしまうところだが、全く問題なくぶらぶら散歩も可能。立ち並ぶレストランやブティックなどもかなり暇をかこっている感じで、およそ軽井沢名所と言った趣きも皆無である。

 ただそんな中で今年も又、大賀ホールで「軽井沢ジャズ・フェス」が...と思っていたが、これもやはりコロナ禍には勝てず、惜しくも中止となってしまったらしい。らしい...などと言うのは正式に告知を受けた訳でないのでこう表現をしたのだが、例年だとこのフェス色々とお手伝いもしていた。我がジャズ番組でもプロデューサーである伊藤八十八氏や、彼が亡くなってからは奥さん(現プロデューサー)にも登場してもらい、色々とフェスの紹介などもしてきた。だが今回は彼女からも一切連絡もなく、やはり中止かなと思っていたら、誠一ちゃん(中村誠一)の司会は決まっていたのだが、9回目にしてこの「リゾート・ジャズ・フェス」も案の定中止の決定らしい。フルバンドやおなじみの寺久保エリカなど、かなり豪華なラインアップだった様だが、中止とは大変に残念なこと。ジャズフェスもかつてのような華やかさはないが結構各地で実施されていたのだが、どれも全滅な様でフェスだけでなくライブハウスのジャズライブも延期・中止が続く。特にこのフェスは他の季節には延期出来得ないので、中止はある意味致し方ない所だろうが、唯一の「リゾート・ジャズ・フェス」の灯は、これからも消して欲しくはない。ぼくも最大限の協力をこれからもしていくつもりです。

 まあ例年とは違って、あれやこれや色々とある信濃追分の山荘周辺だが、散歩道の御影用水には相変わらず鴨が群れており、平静そのもの。用水入り口付近には、定住の鴨親子が2羽、その少し下流にも数羽の鴨集団。一時1羽も見られない時があり、いたく心配したものだが、全部で10羽近くも見かけ何かホッとする。コロナ禍でリモートワーク等も進み、かつての局在籍の女性も一家で、この冬ぐらいからこちらに定住を...などと言う話も聞えて来る様になり、コロナ禍が終焉するとここら辺も、大分様相や環境も変わって来るかも知れない。だがそれまではこの落ち着いた静やかな景色を、特に今年はその傾向が強いのだが、まあひっそりと愉しむことにしたいものだ。

【今週の番組ゲスト:シンガーの平賀マリカさん】
新譜『Joia』から
M1Amapola
M2Nica's Dream
M3Have You Ever Seen The Rain
M4Hallelujah

8月13日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/08/13(木) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は7月より、木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.526~原朋直くん登場】

 今回のゲストは久々の登場、トランぺッターの原朋直くんである。長い間ジャズトランペットシーンを牽引して来た日野皓正にとって代わるとも言われる勢いもある彼。鈴木良雄などのJ-ジャズ大物達で結成された、オールスターズジャズユニットのトランペットも任されているのだが、番組に登場するのはなんと6年ぶりの筈である。それ以前に彼が初めて番組に登場したのは「ジャズ新選組」などと言ったキャッチフレーズで、J-ジャズシーン期待の星として注目を集めていた90年代初めのこと。ドラマーの大坂昌彦との双頭バンド「原・大坂クインテット」は華々しい活動を展開、そのユニットデビュー時だったからまだ20代半ばの頃。大坂くんがどちらかと言うと気難しい芸術家肌だったのに対し、原くんは開けっ放しで裏表の無い好青年、トランペット一筋と言った趣きで好感度大だった。原くんも番組が気に入ってくれたようで、また是非出たいです...等とも言ってくれたりした。そんなこともあり結構気を良くしたぼくは、当時の若手トランペッター3羽烏~原朋直、松島啓之、五十嵐一生を集めた、1時間半ほどのジャズ特番をぶち上げたりしたものだった。

 その後も新作を出すと良く電話がありゲストに呼ぶことも多く、最も番組に登場したゲストの一人と言えるほどの存在。彼は顔に似合わず理論派(失礼)で面倒見の良いだけに、新設された洗足学園のジャズコース(音楽学校で初のジャズ専攻科)の講師を任命され、学生達を教える喜びも味わっていた。そこで一つ日本初めてのジャズ科を紹介する特番、是非作りたいのだが...と彼に水を向けると快諾。ちょうどぼくが定年を迎えた年の夏にその特番(1時間半)が洗足学園の提供で実現、夏休み中だったが彼の案内でまだ完成半ばの練習室や学生達の練習風景を取材、「テイスト・オブ・ジャズ・スペシャル」として特番に仕立て上げたものだった。そしてその締めはこのジャズ科の最優秀生で、バークリー音楽院に派遣留学されると言う生徒の、ピアノソロ演奏だった。その学生こそ今やJ-ジャズピアノシーンを代表する一人、片倉真由子で、彼女が何を弾いたのかは今覚えていないが、実に力強い将来性豊かなピアノプレーだった。ただ残念なことに、その後アメリカから戻りアルバムデビューを果たした彼女が、スタジオに遊びに来た時、その話をすると殆ど覚えおらず、いささかがっかりしたものだったが...。

 さて原くんの話に戻ろう、今や彼も大物の一人で洗足学園のジャズ科の主任教授でまさにお偉い立場。自身でレーベルも立ち上げかなり忙しそうに立ち振る舞っているので、数年前に新作を紹介してもらおうと誘いをかけたが、あっさり断られてしまった。そこで連絡途絶えてしまい6年程が経過したのだが、先日久しぶりに番組に登場したいと言う連絡があり、忙しくて出演を断ってしまった非礼も詫びたいと言う。まあそれほどのものでもないが、久々の出演こちらも喜んで...と言うことで6年振りのお目見えが実現した。

 新作は自身のレーベル「ゴーミー・ジャム」からのもので、既に4枚目になる。「ゴーミー」とはゴミを洒落たもので、彼の謙遜の意も表れているようで、自身のレギュラーユニットでのもの。メンバーには洗足学園の教え子もいるとのこと。主任教授となると色々忙しく大変だと言うが、人懐っこい性格は全然変わっていない。アルバムは自身の写真をジャケットに使っており、最近は写真に凝っており、写真展でもやろうかとも思っている程の自慢の腕前。更に最近は東京証券所から頼まれジャズ演奏会も時々開催しており、なかなかに好評とのこと。その司会を務めるのはかつて局にいて今兜町でコメンテーターなどとして活躍するS女史。彼女からも小西さんの話時々聞きますよ...等とも語るが、どうせ大した話ではないだろう。しかしあのジミー大西にも似たコミカルで人の良い原くんが、J-ジャズシーンを担う大きな存在になったのは本当に嬉しいこと。J-ジャズだけでなくこれからは世界のシーンで、大活躍して欲しいと切望します、原朋直くん!

【今週の番組ゲスト:トランぺッターの原 朋直さん】
新譜『Circle Round』から
M1Deep Sea
M2Eruption
M3Cosmic Microcosm
M4Circle Round

 

8月6日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/08/06(木) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は7月より、木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.525~映画音楽の大家...】

 まず初めに先週のファッション業界の話の続きをひとつ。あの原稿をものしたあと、濱崎あゆみも愛したと言うギャルファッションの大手「セシル・マクビー」も、ほぼ全店で店じまいと言うニュースが流れた。そんなギャル系などどうでも...と思う人も多いだろうが、これがなんとジャズに関係してくるのだ。この会社名聞いて詳しいジャズファンならば、誰でも知っているであろうベーシストを思い出すはず。屈指の実力派の一人で、この数十年近く山下洋輔トリオの一員としても活躍する、あのセシル・リロイ・マクビーである。彼も来日するたびにこの会社名を聞き、なんか不思議に思っていたようだが、どうやら社長がジャズ好きでこの名前を付けたらしい...と聞き、山下さんなどに相談したとのこと。そこで商標登録問題となり民事で争った...と言うのが関係者では有名な話。結局は証拠を充分に提出できなかったようで、確か和解か敗訴だったと思うが、それにしてもあの寡黙でいかついマグビーが、ギャルファッションの代名詞だとは、かなり笑える話ではある。

 さて今回の本題、7月初めに欧米の大物映画音楽作曲家が相次いでこの世を去ってしまった。一人はイタリアを代表する作曲家エンニオ・モリコーニ、そしてもう一人はハリウッドの代表的作曲家のジョニー・マンデルで、今流行りのコロナとは直接の関係は無さそうである。享年モリコーニ91才、マンデル94才。モリコーニの方が年上とばかり思っていたが実際はその逆、ただし知名度からするとやはりモリコーニの方が、かなり上の感は否めない。
 モリコーニの主舞台は映画の分野だったが、元々クラシック畑出身でイタリアの現代作曲家と言う側面もあり、一方のマンデルはもともとジャズメンで、フランク・シナトラやナタリー・コールなどのポップス部門での活躍でも知られていた。モリコーニが名前を挙げたのは、欧州原産でクリント・イーストウッドの出世作でもある「荒野の用心棒」など、一世を風靡した一連のマカロニウエスタンの音楽。その後「シネマ・パラダイス」「アンタッチャブル」などの映画を手掛け、その数は膨大とも言われる欧州を代表する作曲家。一方のマンデルは、元々トランペット&トロンボーン奏者で、フルバンド畑で活躍し西海岸のジャズメンが大量に出演した、名画「私は死にたくない」の音楽を担当、一躍その存在を知られる様になった。その後は「マッシュ」や「動く標的」など、ハードボイルドからコメディー、恋愛ものまで幅広い分野の映画音楽を担当、最後は映画の殿堂入りも果たしているハリウッドの名士。

 どちらもぼくの大好きな作曲家で、特にモリコーネの作品集はチェロの名手ヨー・ヨー・マをフューチャーし、彼自らが編曲とオーケストラの指揮も担当したアルバム『ヨー・ヨー・マ・プレイズ・モリコーニ』。これは寝起きに良くターンテイブルに乗せるお気に入りの1枚でもある。またマンデルの方はその代表作、映画「いそしぎ」の主題歌「シャドウ・オブ・ユア・スマイル」(アカデミー賞受賞曲)を含む映画サントラ盤が、これも寝起きの大好物の1枚。エリザベス・テイラー主演の映画自体は全く面白くなかったが、舞台となった西海岸随一とも言われる、保養地カーメルのオープニングの空映シーン。そのバックに流れるトランペット(ジャック・シェルドンか...)の素晴らしさ、この冒頭数分だけでぼくには忘れられない映画となっている。
 そしてモリコーニの方だが、もしおまえの一番の映画を挙げろ...と言われれば、躊躇なく推すだろうロバート・デニーロ主演のアイリッシュギャングの物語「ワンス・アポンナ・タイム・イン・アメリカ」(セルジオ・レオーネ監督)、この音楽担当が彼なのである。この映画での「デボラのテーマ」等々、もう言うこと無しの素晴らしさで、まさに映画音楽の第一人者のお仕事である。

 マンデルの方は元々ジャズメンで、あの名門カウント・ベイシー楽団にも在籍していたと言うのだから筋金入りだが、モリコーネの方もかなりジャージな映画音楽も書いている様で、何より彼のマカロニウエスタンやギャングもの作品の挿入曲をメインに、あのNY前衛派の闘士ジョン・ゾーンが、モリコーネ集を捧げている辺りからも、その偉大さはうかがい知れるだろう。マンデル作品集としては平賀マリカが数年前に『マンデルシーニ』と言う、彼ともう一人の映画音楽の大家、ヘンリー・マンシーニ、この2人の作品集を出しているが、ベストはぼくの大好きなシンガー、スー・レイニーのマンデル集に止めを刺す。この2人は交友関係にあっただけに、レイニーも実に丁寧かつ愛おしげに彼の曲を歌い綴っており、マンデル集としてはベストの出来栄えだと思います。廃盤かも知れないが是非探してみること、お勧めします。

【今週の番組ゲスト:シンガーで『AMBIVALENCE』レーベル代表のMAYAさん、ドラマーの松尾明さん】
レーベル第一弾『and alone』から
M1Sonora
M2St.James Infirmary
M3Rim Stone
M4Marcellina