3月29日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/03/27(金) 20:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は2020年1月より毎週日曜18:30-19:00(本放送)ほか、木曜22:30~23:00で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.506~ウエイ・アウト・ウエスト】

 「ウエイ・アウト・ウエスト」。ジャズファンならば誰もが知っているに違いないジャズ名盤。先日遂に引退を表明したとも言われる(?)、ジャズ界のリビングレジェンド=ソニー・ロリンズ(ts)不朽の名盤のタイトルだが、今このタイトルを受け継いだジャズフリーペーパーが、ジャズ関係者の間で秘かに話題になっている様なのである。本家の『ウエイ・アウト・ウエスト』の方は、陽光煌めく西海岸のロサンジェルスに楽遊に出たロリンズが、同地の名匠、レイ・ブラウン(b)とシェリー・マン(ds)を伴って吹き込んだジャズ史に残る名盤だが、今話題になっているフリーぺーパーの方は、日本のウエスト=関西圏をメインに出されている薄い小冊子。だがその内容の充実振りやジャズメンを描いたその表紙の斬新さなどで、大いに注目を集めているのである。と言うことで今回はこのフリーペーパーについて一寸触れてみようと思う。


 このフリーペーパー(小冊子)は、これまで東京を中心とした首都圏では「ディスク・ユニオン」のジャズフロアーなどに置かれていた位だったが、先日新宿の「タワー・レコード」に寄ってみると、この小冊子がジャズフロアーのそこここに置かれており、その存在感を主張しており、表紙のイラストも光り輝いていた。ぼくはこの小冊子その出初め頃から注目しており、なによりその表紙のイラストに惹かれていた。どうやら主催者の藤岡宇央氏は、大阪在住の40台半ばのイラストレイターの様で、この表紙が評判になりジャズアルバムのジャケットなども手掛けており、海外からも注文が来るようになっているらしい...などと言う情報を、彼を知るジャズ関係者から聞かされていたが、その実際を知ることも無かった。ところが昨年位には本場NYでも、自身のジャズイラストの個展を開催したらしいよ...等と聞かされると、これは新しもの好きなぼくとしては、是非スタジオに遊びに来てもらわないと...と言うことで、彼と親しくしている関係者を通じてスタジオに...と誘いを掛けてみたのだが、東京に行く機会が無いこと、余り表舞台には立ちたくないこと、などと言った理由であっさりと断られてしまった。まあこうなると縁が無かったものと諦めるしかないのだが、大変に残念なことではある。


 タワー・レコード新宿店で手に入れたその最新号は、ベーシストが描かれたイラストが表紙で、特集は〆ジャズ。何かと思えば一日の〆(締め)に最適なアルバム...と言うことで、関西圏のジャズ関係者20名近くがそれぞれの推薦アルバムを紹介しているのだが、定番とも言えるトミー・フラナガン(p)やアーマッド・ジャマル(p)の珠玉アルバムから、ライオネル・ハンプトン(vib)やダニー・ケイ主演のジャズ名画「五つの銅貨」のサウンドトラックなどのスイング系ジャズ作品、そして前衛ギター奏者デレク・ベイリーのアルバムまで、実に多種多様で仲々趣きに富んだ選盤で興味深い。
 
表紙を見ると今号でもう132号。既に10年以上続いている計算になる訳で、これは凄いことだし、是非これからも続いていくことを切望する。それにしても藤岡さん今度東京に来るときには、是非スタジオに遊びに来てくださいよ。世界一長寿のジャズ番組(?)に登場と言うのは、それなりになにかと名誉な筈ですから...(それホンマですかね)。

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さん】
「初心者のジャズ入門」としてお勧めアルバムをご紹介頂きました。

M1
Chicago /Oscar Peterson Trio」『THE TRIO』より
M2Brilliant Corners / Thelonious Monk」『Brilliant Corners』より
M3Surrey With the Fringe on Top / Miles Davis Quintet」『Steamin'』より
M4There's A Small Hotel / Stan Getz Quartets」『 QUARTETS』より
M5Kelly Blue / Wynton Kelly」『Kelly Blue』より


3月22日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/03/20(金) 20:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は2020年1月より毎週日曜18:30-19:00(本放送)ほか、木曜22:30~23:00で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.505~ナメちゃん逝く】
 
  時々ぼくのスマホに緊急メールが舞い込むことがあるが、それは寂しいことにほとんどが友人や知人などの死亡通知。ぼくの様なオールドボーイにとって、それはもう避けられないことだ。この前もある飲み屋で友人達と飲んでいた所、緊急メールが入る。「ユニバーサル・ミュージック元副社長で、音楽プロデューサーとしても活躍されていた行方均様が、病気療養中の所このほどご逝去されましたので、ここにお知らせします...。」と言った内容、ユニバーサルのジャズ担当であるS氏からの訃報メールだった。たまたまその酒席に同席していた一人も行方氏の知り合いで、しばしナメちゃん(=行方均)話で盛り上がった。「そうかナメちゃん、最後は副社長で辞めたのか...。それにしても後輩ながら、何時も態度デカかったが、非常に個性的な男だったなー」等々。その想い出は決して良い話だけではなかったが、日本のジャズシーンへの貢献度は抜群だった...と言う点では、彼とも話が一致した。享年68才。


 ぼくが彼と最後に会ったのは彼が入院中の病院から抜け出し、我がジャズ番組に出演してくれた昨年正月明けのこと。この時のことはこのコラムでも以前に紹介した筈だが、奥さんに付き添われかなり物静かな感じでスタジオに現れた。いつもの傲岸不遜と言う感じが影を潜め、その様子はいささか心配してしまう程。まあそれも無理からぬところで、自身の難病治療の為に全身の血液を入れ替え、確かAB型からB型へ変わってしまったのだと言う。「性格も変わってしまったよ...」と彼は笑っていたが、その大手術、素人のぼくなどには想像もつかないものだった。番組収録後カミさんも交え昼食に行かないかと誘われたが、その時ぼくは塩梅悪いことに風邪気味。もし風邪をうつす等となれば取り返しのつかないことになってしまいと思い、その申し出は丁重にお断りさせてもらった。結局彼と奥さんそして山本アナの3人で食事に出かけたのだったが、あの時一緒にとも思う。だがやっぱり良かったのだろう、あの後1年以上彼は生き延びたのだから...。その間山本アナは時々病室を見舞っていたらしいが、ぼくはそんな機会も持た無かった。そして今回の訃報、残念だが致し方ない。


 ところで彼との付き合いは、彼が「東芝レコード」に入社、アルバム編成担当になってすぐからのことで、もう40年以上。当時はロック担当で「マーシャル・タッカー・バンド」など、サザンロックを中心に編成・広報活動を行っていた。先輩の編成マンから彼のことを紹介され、一緒に食事に行ったのだが、同じ杉並区出身で大学も早稲田大(政経学部の筈)。色々と境遇も似通っており直ぐに親しくなったのだが、高校が学区(当時は学区制だった)1番の西高で、ぼくはその次の豊多摩高、高校や大学(学部の優劣など)の話ではどうも分が悪く、自慢されっぱなしだったし、先輩を先輩とも思わぬ馴れ馴れしさ。これには辟易とさせられたものだし、その感じは最後まで変わらなかった。

 ロックの担当を数年務めた後、念願のジャズ担当になり番組にも良く顔を出してくれたが、当時はまだ「Mrブルーノート」とも呼ばれるほどの知識量も無かった様に思う。しかし一念発起、名門ブルーノートの全てを知る男として売り出し、多くのジャズ本を残し、ジャズ講演会なども頻繁に開催していた。その講演会も病院を抜け出してのもので、そのエネルギーとバイタリティーには感嘆させられること多々。東芝EMIのままだったらば、間違いなく社長に...とも噂されたが、そのEMIがユニバーサルに吸収・合併され、副社長としては色々意に染まない所もあった様で辞めてしまい、一介のジャズプロデューサーとして、難物大西順子など様々なアルバムプロデュースをこなしたが、重い病には勝てなかった。寂しいし残念なことだが、これも一つの道。


 「小西さんまた『さくろ』の旨いしゃぶしゃぶご馳走してよ...」などと、当然のように要求してくるナメちゃんの声が蘇ってくる。ナメちゃんよ、もう溜池には「ざくろ」はありません。それが天国にいる彼への返答ですね。合掌!

【今週の番組ゲスト:ギタリストでサウンドプロデューサーの竹中俊二さん】
ご自身のリーダーバンド「PERIGUNS (ペリガンズ)」の1stアルバム『FLYING PERIGUNS』をご紹介頂きました。

M1FLYING PERIGUNS
M2SULTRY NIGHT SOIREE
M3NIGHTHAWK
M4DANCE OF DARKNESS



3月15日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/03/13(金) 20:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は2020年1月より毎週日曜18:30-19:00(本放送)ほか、木曜22:30~23:00で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.504~一枚のTシャツ】

 皆さんはTシャツ1枚、どれくらいの値段付けだったら買うんですかね...。ぼくは生来のケチな性分、なので1000円以上を出して迄Tシャツなんぞを買おうとは思わないのだが、先日その掟(?)を破ってしまい4000円近い高価で、1枚のTシャツを買い求めることになってしまった。
 11年振りに発売されることになった(予約販売)「荒ぶるTシャツ」である。「荒ぶる」言うまでもなく早稲田ラグビー部員が、大学選手権優勝の時だけに歌うことの出来る勝利歌であり、部の精神的連帯の根源をなす部歌でもある。正式には「北風」という歌が部歌なのであるが、今や「荒ぶる」の方が有名になってしまい、「荒ぶる」を歌いたい為に部員達は日ごろの厳しい練習に励む...と言ったベーシックモチベーションになっている記念すべき部歌なのである。
 それを1月の国立競技場での大学選手権決勝、明治大を下した早稲田ラグビー部の部員達は、フィールドに集まりキャプテンの斎藤直人  の音頭取りで高らかに歌い上げたのだった。国立競技場のほぼてっぺんにある記者席で見つめていたぼくは、感涙禁じえずといった感じだったが、同時にこれはまた「荒ぶるTシャツ」も売りに出されるはず...とも思い、密かにほくそ笑んでもいた。その荒ぶるTシャツは思惑どおりに、予約販売という形で11年振りに売りに出されることになり、早速申し込みをして嬉しいことにその権利を手にすることが出来たのだった。


 そして先日その実物を手に入れるため、早稲田大学の構内にあるショップに向かった。早稲田の周辺には大学とも関係の深い「リーガロイヤルホテル」で会合やパーティーなどがあるため、時々訪れることはあるのだが構内に入ることは殆ど無かった。それだけになかなか新鮮な感じはあったがコロナウイルスの関係もあるのか学生が殆ど見当たらない。
休講では無いのだろうがなんとも活気がなく残念でもあった。

【今週の番組ゲスト:ヴィブラフォン奏者の赤松敏弘さん】
M1Pioggia / 中島 仁」
M2North Plants / 中島 仁」
M3Synonym / 赤松敏弘」
M4Avenue Ⅱ / 赤松敏弘」


3月8日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2020/03/06(金) 20:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は2020年1月より毎週日曜18:30-19:00(本放送)ほか、木曜22:30~23:00で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.503~川嶋哲郎】

 中野区から頼まれ弥生町区民センターで実施しているジャズ講座(ジャズトーク)も今年で4年目。「今年はジャズする喜び、ジャズ聴く愉しみ」と言うテーマを設けて、ミュージシャンやシンガーを招くことにした。初回はこのコラムでも紹介したように、おばちゃん人気も高い医師にしてジャズシンガーの海原純子さんの登場で、こちらの思惑通りの人気振りだった。そして2回目はなんとあの川嶋哲郎氏の登場となった。現在のジャズシーンで最高の実力と人気を誇る川嶋氏だが、まさかこの講座にゲスト出演してくれるとは思わなかった。昨年秋に彼の新作『ウオーター・ソング』が出された時、番組ゲストとしてスタジオに遊びに来てくれたのだが、終了後世間話の中で何気なく講座の話を振ってみると、出演を快諾してくれたのだった。

 それから今年に入って2回ほど打合せをしたのだが、こちらのお願いは出来ればソロで2曲ほどプレーしてくれないか...と言うかなり厚かましいもの。そんなこちらの要望も快諾してくれ、いよいよ講座当日を迎えたが、心配は何と言っても集客。中野や杉並在住の知り合いのジャズ好きにも声を掛け、40名を超す出席者となり、なんともホッとした面持ちだった。おばちゃん連中がほとんどの会場で、しばしのジャズ講釈をした後に川嶋氏を呼び込む。テナー・サックスとフルートを携え会場に姿を現した彼、相変わらずの格好良さでぼく自身もドキドキしてしまう程。おばちゃん連中は彼の存在を知らないのだが、前講釈でサダオさん(渡辺貞夫)と並ぶ存在だと言うことを強く印象付けておいたので、皆一様に期待大の顔で迎え入れ万雷の拍手。まずはアルト、バリトン、テナーなどのサックス講義から始まり、動指を実演したりとサービスに務めてくれる。こちらも新作「ウオーター・ソング」の素晴らしさを解説、2曲ほどアルバムから紹介した後、いよいよ彼のソロ演奏となる。曲はデューク・エリントンの銘曲「イン・ア・センチメンタル・ムード」。短い演奏ながら彼のテナーは朗々と良く歌い、おばちゃん連中は感嘆し切りで、つかみもばっちり。洗足学園で学生相手に週2コマほどのジャズ講義を行っているだけに話も面白く内容も含蓄深いもの。論語の一節なども飛び出しプレーヤーとしての心境も披露、進行役のぼくも聞き入ってしまう程。自身のアイドルだったソニー・ロリンズやジャズ初心者に是非聴いて欲しいアルバムとして、マイルスの『ラウンド・ミッドナイト』を挙げ、両方に丁寧な解説を加える。


 2時間ほどの講座はあっという間に終了の時間を迎え、大トリは再び彼のソロ演奏...と言うことになり、今度はフルートソロで「故郷」を奏してくれた。しみじみとした実に好い演奏で全員聞き入ってしまい、目出度く講座は大団円。拍手鳴りやまない中、主役は颯爽と退場と相なった。終了後はおばちゃん連中が彼のアルバムを買いたいと言い出し、区の施設だけに即売はNG。一計を講じ施設を出たところで彼持参の新譜販売をサイン付きで実施、10人近い希望者は全員満足顔で帰っていった。その後は近くの老舗ジャズ喫茶「ジーニアス」(60年近い歴史を持つ)でお茶したのだが、マスターもかなり興奮し彼にサインを求め、店で掛かる演奏も川嶋一色の歓迎振り。彼もかなり悦んで家路についてくれ、こちらもホッと胸を撫で下ろした。それにしても交通費ぐらいの謝礼で本当に良かったんですかね...。全て謝・謝ですね。
 

【今週の番組ゲスト:ベーシストの吉木稔さん】
吉木さんがリーダーを勤める「SOULSTATION」の1stアルバム『PATH OF HOPE』から

M1「蘇芳〜SUOU
M2A TailTaleOf A Dream
M3A Ballad Of Gratitude 豊作のバラード」
M4Path Of Hope