2月23日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報] [テイスト・オブ・ジャズ]
2020/02/21(金) 20:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は2020年1月より毎週日曜18:30-19:00(本放送)ほか、木曜22:30~23:00で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.501~ジャズ切手】

 ぼく達の子供の頃は、今から思えば本当に貧しい時代だった。貧しくはあったが今のような貧富の差は激しく無く、皆がそれなりに不公平感を味わうことも無くある意味平等で、それなりに満足し活況でもあった。ぼく自身は杉並区の高円寺で育ったが、こうした感じは都市でも地方でも、そう変わりはないのではないだろうか...。しかし子供の頃は本当に娯楽は少なく、町の映画館に行くのが唯一の愉しみと言う感じでもあった。
 そんな小学生の頃突如沸き起こったのが、切手収集の大ブームだった。当時ようやく戦後の混乱期を脱し日本の経済成長期が始まった頃で、スポーツのアジア大会なども開催され話題を集めていた。それまでは切手のデザインも地味目なものが殆どだったのだが、この頃から記念切手も出されるようになり、写楽や歌麿などの豪華多色刷りの浮世絵切手などが評判を呼び、それに伴い小学生達も、こうした切手を集める趣味が流行した。こうした豪華な切手は枚数もそう多くは無く高値を呼び、切手交換なども子供たちの間で盛んだった。大人たちの中には、プレミアを付けて売りさばくと言った連中も出て来て、切手屋(今ではコイン業者が兼務している様だが)等に行って持っている切手がいくらになっているか...等を確かめ、自慢しあったりもしたものだった。しかしこのブームも郵政省が記念切手の発売枚数を増やし、プレミアがつきにくい手段を講じたため、ブームも一気に減衰してしまった。


 まあこんな切手収集の話が、どうこのコラムに関わるかと言うと...、先日ある出版パーティ―のお知らせ通知が手紙で届いた。親しい知り合いが発起人の一人で、彼が送ってくれたものらしいのだが、そこに貼られていた1枚の切手、これに偶然目が留まったのだった。発起人の彼はぼくがジャズ関係者だと言うことを知っており、それもあってかジャズサックスプレーヤーを描いた、所謂ジャズ切手を貼ってくれていたのだ。お前こんな切手が出ていること知っているか...と言った感じで...。そのジャズ切手を見ていて小学生時代の切手収集ブームを思い出したと言う次第なのだが、久々に惹き付けられる切手だった。

 調べてみるとこの切手、楽器シリーズの第2弾と言うことで全部で10枚出されており、ジャズの楽器(トランペットやトロンボーン、ヴァイブなど)が7枚、残りの3枚がジャズプレーヤーを描いたもので、サックス奏者、ベーシスト、そして女性ピアニストが描かれている。このジャズ切手シリーにはもう1種類あるようで、そちらはディキシージャズシリーズ。バンジョーなどの楽器が描かれているとのことで、10枚のシリーズセットはモダンジャズシリーズの方が200円ほど高いのもご愛嬌。それにしてもお堅い郵政省がよくこんな粋な企画を通したものだと、いささかほっこりとした気分になった。ジャズプレーヤーのイラストも、決して上手くは無いのだが、実に味のある旨口のもので愉しめる。良いものを見させてもらった気になるのがなんとも良いのだ。

 こんなジャズ切手、本場のアメリカでは当然シリーズ物でいくつも出されているが、その一つのシリーズ~ジャズの巨匠シリーズに採用されているのが、今は亡きジャズ写真家のアベちゃんこと阿部克自さんのもの。確かデューク・エリントンの写真をイラスト化したものだと思うのだが、そのイラストはそのままエリントンのあるアルバムのジャケットになっている筈で、今となってはなんとも懐かしい想い出だ。アベちゃんが癌との長い戦いの末に亡くなってもう10年以上、色々付き合いも深かっただけにやはり寂しい。そう言えば追悼会を新宿の「J」で行い、店の壁に長い時間かけて彼の写真を展示したのも良い想い出だ。彼以降世界で認められるジャズ写真家が現れていないのは大変に残念な事。一時は多くの若者がジャズ写真家を目指していたと言うのに...。

【今週の番組ゲスト:シンガーソングライターのteaさん サウンドプロデューサーでベーシストの時枝弘さん】
M1Summertime
M2「Another Brick In The Wall,Oart Ⅱ 」
M3Shampoo
M4Russian Rouletta