12月28日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019/12/27(金) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜18:00-18:30(本放送)ほか、土曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.493~今年の一枚】

 いよいよ2019年も打ち止め。来年以降この世界はどうなって行くのか...。東京の片隅にひっそりと暮らすオールドボーイにとっても、そこは大いに気になる所。なにせイギリスのEC離脱が来年は本格化、アメリカや台湾、EC諸国などそれぞれのトップがどうなるのか、まさに混沌とした状況はさらに混迷の度合いを深め、予断を許さない。振り返って我が日本だが、今年は紛れもなくラグビー年、そして来年はオリンピック本番。スポーツお祭り騒ぎとかなりお気楽なお国だが、大本の首相自身はこれまでの様に、やりたい放題とはいかない筈である。
 
ぼく個人としても、今年は間違い無くラグビーの年だった。「4年に一度ではなく一生に一度」を体現化でき、数年前からのラグビー番組計画、H女史の手掛ける藤島大氏のラグビー番組も至って好調。更にその締めでジャパンチームの凱旋パレードまで見られたのだから、もうこれ以上言うことなし。

 さてジャズ番組の方だが年末最後の番組は、ジャズ評論家青木和富氏による、恒例「今年印象に残ったジャズ作品(海外編)」紹介である。青木氏の紹介作品は別項に挙げられている筈だが、マイルス、コルトレーンと言ったジャズ界の巨匠の発掘作品、そして現代きってのピアニスト、キース・ジャレットのソロ作品などの大作揃いで、ぼくも異議なしの青木氏らしい、至って妥当なラインアップ。ぼくも3つほど関連雑誌やジャズサイトから頼まれベスト作挙げてみたが、大体似たようなラインアップになった。ただ今年ぼくが最も印象に残ったジャズ作品は、いまNYと並ぶジャズ発信地として、大きな話題を集めつつあるロンドンのジャズ=UKジャズシーン。その南地域と言われるサウスロンドン(訪れたことが無いので想像がつかないが...)のジャズムーブメントの中心に位置し、シーンの牽引役でもあるテナー・タイタンのシャバカ・ハッチングス。その彼のユニット「サンズ・オブ・ケメット」によるアルバム『ユアークイーン・イズ・ア・レブタイル』。

 シャバカはカリブ海出身の両親に連れられてロンドンに渡って来た様なのだが、彼のジャズにはカリブの音楽、キューバンジャズやレゲエなどの極楽音楽の要素に、ジャズの原点とも言えるニューオリーンズミュージックなどもミックスされ、ジャズをコアにした、独特な明るさとリズム感も有する蠱惑的な音楽。そのテナーもかつてのタイタン達と同じく朗々と響き良く唄う。全7曲はアンジェラ・デイビス、ルシェット・タクマンなど、黒人や女性の地位向上に貢献した、彼のクイーンとも言える革新的女性達に捧げられており、ジャケットもプリミティブなブラックアート風な魅力的なもの。今のロンドン周辺の力強い息吹が感じられる力作だ。
ジャズ全盛時の活力と愉しさ、そしてフリージャズの熱気も加味されたこの魅力的ジャズ。ぼくの今年度お勧めの一作です。

 なお「
テイスト・オブ・ジャズ」は来年より日曜日の夕方に時間移動されます。翌週木曜日の夜に再放送。益々のご声援を...その初回に登場するのは、J-ジャズの巨匠、山下洋輔さん。久々の登場、ジャズ生活50年を振り返り、新たな発展を語ってくれる予定。乞うご期待!

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さん】
今年印象に残ったアルバムをご紹介頂きました。
M1Rubberband of Lifefeat.Ledisi/ Miles Davis
RUBBER BAND』より
M2Blue World / John Coltrane
BLUE WORLD』より
M3The Garden / Brad Mehldau

FINDING GABRIEL』より
M4Happy Talk / Diana Panton

CHEERFUL LITTLE EARFUL
M5Somewhere Over the Rainbow / Keith Jarrett

MUNICH 2016』より


12月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019/12/20(金) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜18:00-18:30(本放送)ほか、土曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.492~ジャズ重大事】

 今年もいよいよ大詰め、現役諸兄は何かと大忙しの筈だが、こちらはフリーのオールドボーイ、流石にそんなことも無い。しかし今年は暮れに恒例の「台湾特番」がずれ込むなど、年令の割には結構バタバタしている。その暮れ行く19年だが、やはりラグビーの年だった。先日のジャパンの丸の内凱旋パレード、こんなものが実現する日が来るとは本当に考えられない変わり様だ。先日もツイッターを覗いていたら、こんなものを発見。あの台風来襲でスコットランド戦が中止かどうか騒がれていた時のものの様だが、「神風などは吹かない。そんなものを期待しなくてもジャパンは勝つ...」こんな勇ましいツイートを発信していたのはあの漫才界の大看板、内海桂子師匠。90才を優に超えている筈の大師匠までも、こんなに熱く興奮させるラグビーの素晴らしさ、改めて感じ入りました。
 一方ジャズの方だが、そんなこんなで番組も来週は今年度の最終回、ジャズ評論家の青木和富氏に自身の印象に残った作品をいくつか紹介してもらうつもりだが、ジャズコラムらしくぼく自身もここで今年のジャズ話題を...。

 
まず今年のベストアルバムだが、今や世界的なスーパーウーマンとして、八面六臂の活動を展開している上原ひろみ。彼女の10年振りになるソロアルバム『スペクトラム』を挙げたい。正に縦横無尽に鍵盤を駆け巡る彼女、向かうところ敵なしといった趣きで、そのソロ作も絶品。脱帽ものである。その他の話題としては何と言っても帝王マイルスの35年振りに日の目を見た幻の一作『ラバーバンド』、テナーのカリスマ、ジョン・コルトレーンの未発表音源『ブルー・ワールド』の発掘と言う、2大巨匠の作品が新たに日の目を見た事実だろう。どちらも素晴らしい作品だった。
 しかしそれ以上にぼくが印象に残ったのは、非ジャズ系音楽雑誌「ミュージックマガジン」が、その創刊50周年を記念し40人程の音楽ライター達(残念ながらぼくは入っていないのだが...)に、この50年間のジャズアルバム・ベスト100を選出、なんとそのトップを飾ったのが、鬼才オーネット・コールマンの『ダンシング・イン・ユア・ヘッド(77年/ホライズン)』だったと言う事実なのである。この40名近いライターのほとんどは、雑誌の関係上あまりジャズと関りを持っていない連中。その彼らの投票で集約されたトップが、オーネットだったと言うのは、かなりな驚きだったし嬉しいことでもある。ぼく自身が選者だったら、このアルバムをトップに押したかは...しかとはしないが、少なくともベスト3の1枚に入れたのは間違いない。それ程このアルバムはぼくの好きなものだし、ジャズ史を揺るがす衝撃作だとも言える。

 
フリージャズの鬼才と評されるオーネットのこの作品について、小出斎氏(本職はブルースやロック系ライター)は、「これでいいのだ。見事なちゃぶ台返し...」と、マガジン本誌でその驚きを表現していたが、まさにそのとおり。これはジャズのお祭りアルバムであり、フリージャズのしかつめらしい深刻さを完璧に取り払った、祝祭フリージャズなのである。オーネットのアルトに、ベース&ドラムス、更にツインギター(これが良い)、この5人がにぎにぎしく自在に踊り狂うフリー、まさに究極のジャズ世界の実現なのである。この暮れの忙しい一時ですが、皆様も是非この至極の音群に触れてみて欲しいものです。そうすればこの世もまんざら捨てたものでないことを感じるかも知れませんね。

 さてここでお知らせ。来年から我が「テイスト・オブ・ジャズ」(開始以来50余年目を迎える)は、放送日時が毎週日曜日の18時30分~19時に変更されます。なお再放送は木曜日の22時半~23時の一度きり。いささか放送回数が減少してしまいますが、よろしくお付き合いください。このコラムも同様によろしく...。


【今週の番組ゲスト:CORE PORT主催の高木洋司さんQuiet Corner主催の山本勇樹さん】
「CORE PORT×Quiet Corner: Landscape 01」から
M1「The End Of A Love Affair / Joe Barbieri
M2Rings / Ricardo Grilli
M3The Stars, The Sun & The Moon / Triosence
M4A Child Is Born / Laila Biali

12月14日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019/12/13(金) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜18:00-18:30(本放送)ほか、土曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.491~ワンチーム】

  今年の流行語大賞は「ワンチーム」に決まった。もちろん日本中を巻き込んだRWC(ラグビーワールドカップ)効果によるところが大きいが、今やダイバーシティー&コンクルージョン化が進みつつある日本にとって、かなり重大な意味を持つ言葉になっているとも言えそうである。競技スポーツでは当然「ワンチーム」の一体感は勝利の為に必要だが、ラグビーみたいに国籍主義ではなく在地主義を採用する競技、特にラグビージャパンの場合には半数以上が外国生まれの選手と言う状況だっただけに、この言葉は全体を纏めその士気を高めるために、確かに必須の要因であったと思われる。ぼく自身は「4年に一度ではない、一生に一度だ」と言う、あのキャッチフレーズが最も印象深かったのだが、言葉の持つ訴求力やその持つ意味合いから、やはりこの「ワンチーム」なのだろう。キャプテンのマイケル・リーチや最年長のトンプソン・ルークなど、この言葉を体現化したジャパンの外国出身選手たちを誇りに思う。 

 
今の日本は人口減など様々な要素がからみ、どんどんと縮み&竦み傾向にあるのは間違いないが、かつて世界をリードして来た諸企業が一概に元気が無く、長年漫然とトップを務める安倍首相が、し放題で許容されてしまうような国になってしまっている。これは忖度や過度の従順さなどの国民性も大きいが、正にへつらいでは無い真の意味での「ワンチーム」としての気構え、これが極端に薄らいでしまったことによるものだろう。そして日本でも在日の人々へのヘイト主義や弱者排除などが横行、旧来的な「ワン」への回帰傾向を政府も押し進めつつあるようにも思える。ただこれは日本だけでなく、今や全世界的な傾向とも言え、その際たるものが「ワンアメリカ」を標榜する独裁権力者トランプを始め、EC各国での自国第一を掲げる右派勢力の台頭等々。同じ「ワン」でもこの2つは正反対の意味合いを示している。

 ジャパンが実現した「ワンチーム」、それが象徴した全てに開かれている、「ワン」の持つ意味合いの重要性。その為にもラグビーという競技が、より日本に根付くようになればいいなと今は切にそう思う。先日も我がラグビー番組で、パーソナリティーの藤島大さんがラグビーの面白さを一人語りしていたが、このワンチームも、その面白さ・素晴らしさに加えられるべきものだと思う。


 ところで今回の流行語大賞に関しては、「タピる」という言葉も入っていた筈だが、今回の台湾特番(12月29日放送)の一つの主要タームが「タピオカ」。そのため台北の街でも我々スタッフは大いにタピって来た。またどうしてタピオカが日本の国民食の一つにもなり、台日友好の象徴になったのかについても、特番では取り上げるつもりにしている。
ジャズは優れて個の音楽だが、同時にダイバーシティーの音楽でもある。虐げられた者達の苦しみ、悲しみ、そして僅かな喜び。その原点を忘れて何がジャズだ...と今つくづく思う。「ワンチーム」意味深い好い言葉である。

【今週の番組ゲスト:チカブーンのリーダーで
サルサ・ラテン音楽情報フリーペーパー『SALSA120%』エディターの森村あずささん、マルチ・シンガーソングライターの エリック フクサキさん】
M1「いつまでも・・・/ Chica Boom
M2Ai Yai Yai/ エリック フクサキ」
M3Puente sobre el mar / Oruqesta Del Sol
M4Lagrimas Negras / Gonzalo Rubalcaba & Aymee Nuviola


12月7日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2019/12/06(金) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜18:00-18:30(本放送)ほか、土曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.490~廖修平先生(台湾取材旅行)】
 
 恒例の台日友好特番(12月29日放送予定/1時間番組)取材の為、先週5日ほど台北をメインにした台湾取材旅行に行ってきた。例のごとくの貧乏取材旅行で苦労の連続だったが、これを余り書くと担当のO局長にまた赤貧ツアー話ですか...と、厭味を言われそうなので今回は止めにしておくが、もう少しオールドボーイに相応しいツアーを実現したいものである。ただ全部が全部辛かったと言うことでも無く、今回の収穫は台湾到着の初日にこれまで待ち望んでいた温泉ホテルに泊まれたこと、更に台湾観光局や取材先の全面協力などもあって、リスナープレゼントもこれまでにない豪華なものになったことなどである。今回のプレゼントは台湾熊の大きなぬいぐるみや台湾銘茶等々豪華絢爛、是非皆様も実際のオンエアーをお聴きになり、プレゼント応募されれば...どうですか...。
 
 
 さてその温泉だが、これはかつて一度取材で訪れたことのある宜蘭県にある礁渓温泉。台北から列車で1時間半ほど、車で行けば雪山トンネルと言う長いトンネルを抜けて1時間弱、かなり近い所にある台湾を代表する温泉地の一つ。10年ほど前に訪れた時は、鄙びた温泉地と言う感じで立ち寄り湯に入っただけだったが、今は様変わりですよ...と言った観光局のお偉いさんの話通りに、華やかで賑やかな温泉街に変貌していた。駅を降りるとすぐに温泉街で、山間地が多い台湾の温泉としては至極便利で、台北から日帰りの客も多いと言う。ホテルの数も数倍に増えている様でかつては豊富な温泉量を誇っていたが、
今は乱立気味で温泉としてはいささか魅力薄(なんと言っても台湾では湯量が勝負だけに...)ではあるが、そこは台湾を代表する温泉の一つだけにそれなりに愉しむことは出来た。ホテルは日式(日本風)が売りでフロントも法被姿の女性が担当と、かなり日本温泉を意識している。大浴場はイマイチだったがそれぞれの部屋に温泉が引かれており、個室で温泉を愉しめるところはグッドそのもの。スタッフ一同(と言っても3名)も大満足だった。

 
しかしその温泉訪問以上に今回の取材での感激は、廖修平先生のアトリエを訪問出来たこと。廖さんは台湾を代表する美術家(文化勲章に相当する賞も受賞)にして、アジア有数の版画家でもある。日本の東京教育大(現筑波大)に留学、その後NY、パリと修行を続け、台湾に戻り実作を続けている版画家で、現在80代半ば。廖家は台北の代表的ホテル「福家大飯店/ハワードホテル」の支配家と言う名門で、彼はそこの4男坊。今なお創造力旺盛で現役バリバリ。数年前に国立美術館での大回顧展も素晴らしいものだった。

 この廖さんと知り合ったのは10年以上前、本当にひょんな切っ掛けからだった。当時台湾代表部の中にあった文化センター(台湾文化を紹介するセンター)で新特番について所長と打合せを終えた時、壁に掛けられた素晴らしい版画(廖先生の代表作の一つ、家具や道具と漢字を組み合わせたタイポグラフィー風大作)に目が行った。同行のコーディネイターM女史もその作品に感服。異口同音に素晴らしさを称賛したところ、廖修平と言う台湾きっての美術家・版画家で、丁度いま東京の代表部(大使館)にいるから紹介するよと言うことになり、即席のインタビューを敢行。そこで親しくなり、その後も台北を訪れるたびに、総統府にほど近いまさにロフト風なそのアトリエを訪れていたのだが、6年ほど前にそこが取り壊されてしまい、以降は残念なことに新たに作られたアトリエを訪れる機会は無かった。それが今回歓談の後でアトリエに連れて行ってくれることとなり、ぼくもM女史も大感激。新しいアトリエはビルの一室をそのままアトリエに改造したもので、その新作過程も伺え、代表作も何点か展示されているまさに感激の場所。帰りには彼の全作品を収録した豪華画集などもプレゼントしてもらい、またまた大感激。

 
この台湾紹介特番の継続動機の一つが、廖先生の作品やその存在の素晴らしさを、日本のリスナーに紹介すること...と言っても過言でない程、ぼくもM女史も先生に入れ込んでいる。今回も特番では彼のアジア美術論が登場するはずだが、どうにかして先生の大回顧展を東京の美術館で実現したいものとも思っている。それ程に素晴らしい美術家・版画家なのです。廖修平先生は...

【今週の番組ゲスト:ベーシストでエンジニアでプロデューサーの塩田哲嗣さん】
今年8月8日に誕生した新しいレーベル
『Steelpan Records』を主宰

M1「Gravity / Bei Xu」
M2「Minor Blues / 1969 Quintet」
M3「What I did for Love / 岡まゆみ」
M4「I Love You / Bei Xu」