7月13日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報] [テイスト・オブ・ジャズ]
2019/07/12(金) 19:00

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.470~雨の日々】

  いまこの原稿をものしている7月初旬の某日、雨こそ落ちていないがどんよりとした曇り空で、ここ数日は青空も殆ど臨めない。TVのニュース番組によると、日照時間は平年の10分の1ほどだそうで、梅雨の行き過ぎと言った感もあるが、これも安倍政権のごり押し感と政権末期の閉塞感を如実に写し取ったものなのかも知れない。
 
 まあそんな話はさておき、この雨と言う言葉、音楽(曲)の世界ではそれなりにテーマになり易いもので、この手の代表曲と言えば、ミュージカル映画「雨に唄えば(シンギン・イン・ザ・レイン)」の主題歌。名匠スタンリー・ドネンが監督、踊る大スター、ジーン・ケリーが主演した1953年のミュージカル映画の傑作(No1と言った評価も高い)で、ジーン・ケリーがこの曲を歌いながら優雅にタップを踏む場面は、後年ヒット映画「ザッツ・エンターテインメント」でも象徴的に使われ、改めてその素晴らしさがクローズアップされたものだった。ただこの曲はジャズとしては使われていないようである。
 
 この他に雨をタイトルにした有名曲としては、カーペンターズのヒットで知られる「雨の日と日曜日」がある。ロジャー・ニコルス&ポール・ウイリアムスのヒットコンビが書いたナンバーだが、雨の日の憂鬱さが上手く描かれたこれも銘品と言える。カーペンターズと言えばカレン&リチャードの兄妹コンビとして、数多くのヒットを放った不世出のボーカルデュオだが、元々はもう一人の友人を入れたジャズピアノトリオとしてデビューした事実は、意外と知られていない。このトリオは、ジャズコンテストなどでも優勝したこともある結構な実力派だったようで、夭折したカレンはドラムスの担当だったと言う。そんな関係もあってか、カーペンターズのヒットチューンは良くジャズシンガーたちも取り上げているが、代表的なものは現代ギターの頂点、パット・メセニーがテクニカルに弾くこの曲だろう。
 
 ところで雨にまつわるスタンダードナンバーとしては、やはり「カム・レイン・オア・カム・サンシャイン(降っても晴れても)」になる。これもミュージカル主題歌だが、恋する心を唄い上げたバラードで、多くのシンガーがこぞって取り上げる銘品。サラ・ボーン、アニタ・アデイ、そしてエラ・フィッツジェラルド等々大姉御達の名唱も数多い。演奏ものではビル・エバンスとキース・ジャレット・スタンダード・トリオと言う、ジャズトリオの極致によるものがベスト。雨とジャズに関して言えば、極めつけのアルバムは美人シンガー、スー・レイニーの歌う『雨の日のジャズ』だと思う。自身の名前もレイニー(雨が多い、雨がち)だけに、上記のアルバムを企画したのだろうが、まずジャケットが素晴らしく、美人のレイニーが優雅に座るその姿に魅了され、その歌声で更に魅了度が高まると言ったジャズボーカルの名盤(1960年)。ビリー・メイ楽団をバックにした彼女の歌唱は、白人らしい優雅さと知的な香りを湛えたものだが、全12曲のうち雨関連ナンバーは5曲ほど。中でも有名なのは「セプテンバー・イン・ザ・レイン」。英国出身の盲目のジャズ・ピアニスト、ジョージ・シアリングの演奏で大ヒットしたナンバーで、このアルバムでもハイライトとなっている。それにしてもスー・レイニーの素晴らしさは抜群だ。

 憂鬱なレイニーシーズンだが、こういう時に「ジャズと雨」のテーマで、上記の様な幾つかの名唱や名演を探ってみるのも、この時期ならではの愉しみかも知れない...。

【今週の番組ゲスト:ミュンヘン在住のドラマー 福盛進也さん】
昨年ECMレーベルからリリースされた1stアルバム『For 2 Akis』から4曲お送りしました。
M1For 2 Akis
M2Ai San San
M3Spectacular
M4Hoshi Meguri No Uta