5月5日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報] [テイスト・オブ・ジャズ]
2018/05/04(金) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.408~信濃追分春景色】

 GWは追分の山荘に居る。と言うのもGW明けに御代田の病院で眼科の検診があり、帰京する訳にもいかず山荘生活が続いている次第。この総合病院には実は結構、縁があり、ボケてしまった母親はこの病院で数か月程入院、ここで最期を迎えてしまった。地方の総合病院だけに施設は今一つだが、ここの眼科は東信地区でも大評判、遠く上田市や佐久市からも患者が押し寄せかなりな賑わい。昨年の夏、目の出来ものを見てもらって以降の付き合いで、元々糖尿病の気のあるぼくだけに緑内障などの危険性も指摘され、それ以来ここに通っているのだが、流石に山荘が水止めしてしまう冬にここに来ることは出来ず、今年はこれが2回目。検査はいささか心配だが、どんな結果が出るか...。

 ところで4月末から5月初めのGW、軽井沢周辺は流石に少し人も込み合っているのだが、以前に比べると思った程でもない。軽井沢駅前のアウトレットにさえ顔を出さなければ、人込みとか渋滞と言った感じも余りない。この時期は早朝の散歩が最高で、御影用水の畔を回り一周1時間余り、以前はバカ犬ピーちゃん連れだったのでなんてことも無い散歩コースも、一人で歩くとこれが結構きつい。ただ木々は芽吹き、小鳥達も活発にさえずり、快適感この上なし。特に雉の「ケーン、ケーン...」と言う甲高く鋭い鳴き声が最も印象深い。実際に散歩の途中で雉の親子連れに出会うこともしばしばで、犬連れの散歩者などと出会わないかといつも心配になってしまうが、そこはどうにか雉の方でもやり過ごしているようだ。御影用水と言えばもう一つ、以前ここにはぐれ鴨が3羽住みついており、散歩のときに彼らに出合うのが楽しみだったが、5年ほど前に用水の補修工事で全ての水を抜き、彼らの居場所が無くなってしまい、野犬に殺されたりと全滅と言う悲惨な目にあったとも聞く。それが今年もまた数羽の鴨が用水で遊んでおり、前のはぐれ鴨のように用水に住みついてはいないが、たまたま遊びに来ているとしても、彼らの姿を拝めるだけで気持ちもホッと安らぐ。

 追分の山荘から軽井沢の街までは車で15分ほどだが、渋滞に巻き込まれるとこれが1時間以上、そんなこんなあって余り街には出ないのだが、先日は知り合いが来たので久しぶりに軽井沢旧道にある名門中華料理店「営林」に行ってみることにした。営林の本店は赤坂、たんぱ時代に局の仲間と共に良くこの店に通ったもので、行きはタクシーの相乗り、帰りは赤坂から局まで20分ほど歩いて帰るのが、何時ものコースだった。営林と言えば「スーラ・タンメン」の元祖とも言える銘店。注文するのは決まってこの「スーラ」だったが、局が虎ノ門に移りぼく自身も週に1~2回の出社とあって、もう数年はこの本店に行っていない。軽井沢店も4月半ばにオープンし11月初めで閉店と言うスケジュールになっているが、知り合いでも来ない限りまず訪れることも無くなってしまった。と言う訳で知り合いも昔この店に通ったとのことなので、久しぶりに軽井沢店を訪れてみよう、となった。営林は軽井沢のメインストリートに鎮座しているが、軽井沢の本拠とも言える旧軽井沢の店舗も、昔から残っているのは本当に少なくなってしまい、浅野屋ベイカリー、ブティックの「サンモトヤマ」など数件だけ。軽井沢新聞が出している軽井沢の案内書に1990年代の旧軽井沢図と言う面白い地図が載っているが、それによれば軒並みかつての銘店は消え去ってしまっている。そんな中にあって営林は一人気を吐いているお店。それだけにもっと通い詰めなければ...とも思うのだが如何せんお値段がお高い。その上軽井沢店はリゾート店と言うこともあり、本店に比べ数百円割高なのだ。局員時代はそうも感じなかったが、セミリタイアの今のぼくとしてはこれはかなり応える。しかし久しぶりの「スーラタンメン」、食すると流石に美味だった。ぼくは中華麺は細麺だと味が良くてもまずダメで受け付けない。しかしこの"スーラ"は細麺、それが少しも気にならなく美味しく食べれるのだ。摩訶不思議だし、矢張り絶品の中華麺である。なにをおいてもお勧めの逸品。


 そして嬉しかったのは、お店のバックミュージック。今や高級中華料理店で掛かる音楽は殆どがジャズ。丁度ぼくらがいたときはセロニアス・モンクのソロアルバムがかかっていた。「ラウンド・ミッドナイト」「パノニカ」等など。山荘で村上春樹の編・訳のエッセイ集「セロニアス・モンクのいた風景」(新潮社)を読んでいた時だっただけに、その偶然の一致に一寸びっくりした。この本は春樹が巻頭にモンクについてのエッセイを記し、それ以外はロレイン・ゴードン、レナード・フェザーなどと言った大物ジャズ関係者が彼についての想い出を記したもので、訳は当然村上春樹自身。そう言えば昔国分寺の「ピーター・キャット(彼がやっていたジャズ喫茶でその後千駄ヶ谷に移転、作家として有名になって閉店)」でも良くモンクが掛かっていたことを思い出す。彼はエッセイの中で「極北でとれた硬い氷を奇妙な角度で有効に鑿削っていく様なピアノの音を聴くたびに『これこそがジャズなんだと思った』、それによってしばしば温かく励まされた」と記しているが、ぼく自身も営林での食事のバックに流れるモンクの厳しくも暖かなピアノソロに、生き続けることの意味合いを温かく教え示されたような気分になったものだった。
【今週の番組ゲスト:ジャズシンガーの高樹レイさん、フレットレス べーシストの織原良次さん、プロデューサーの江口丈典さん】
1月にリリースされた三部作完結編の「Duo three」から
M1 Fly me to the Moon
M2 My Favorite Things
M3「鳥の歌」
M4 Infant Eyes