2月24日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018/02/23(金) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.398~北島直樹】

 ジャズピアニストにとってソロアルバムと言うものは、なにか特別な意味合いがあるようで、ソロピアノ作品の発表はピアニストとしてある種の誇りでもある。と同時に自身の実力が顕わになるだけに、仲々に厳しいものでもある。それだけにジャズ界の鬼才、セロニアス・モンクなど数名を除くと有名ピアニスト達でもその全キャリアの中で、ソロ作品はせいぜい1~2枚と言った感じもある。そんなソロピアノ作品に今回北島直樹が初めて挑戦した...、というお知らせを本人から受け、それならば...と言うことでその作品を携えその成果を伝えてもらう為、スタジオに遊びに来てもらうことにした。

 北島直樹。そんなピアニスト知らないなーと言う人もいるかもしれないが、彼はあの女傑=寺井尚子のが絶大な信頼を寄せる存在で、10数年間彼女と行動を共にし、流石に疲れたのか...、その役を降り後任を才人の佐山雅弘に譲ったのだが佐山が体を壊し、すぐに寺井の女房役にカンバックしたと言うオールマイティーな才能の持ち主。青山学院大を中退し直ぐにプロの世界に飛び込み、和田アキ子などポップスフィールドの仕事も数多くこなしながら、ジャズでは我が国を代表するサックス奏者松本英彦のバンドでデビュー以降、様々な人たちと組んで来ているベテランのピアニスト&アレンジャー。寺井尚子の評価もピアノの力量だけでなくそのアレンジ力も高く、絶対的な信頼を置いている音楽監督的存在なのである。

 ぼくが彼と知り合いになったのは、10年ほど前の大御所マーサ三宅のレコーディングの折。マーサさんから頼まれ彼女の久し振りのレコーディングをその発売先レコード会社を探し、プロデューサー役として手伝った時だった。この10数年振りになるマーサアルバムは、幸いなことに「ミュージック・ペンクラブ」の年間最優秀作品に選出され、マーサさんからも大感謝されたものだったが、そのアルバムのメンバー選出の打ち合わせの折、彼女からピアノとアレンジは是非北島さんに...という申し入れがあった。当時は既に寺井尚子バンドの音楽監督的立場にあり大分忙しいはずだったが、マーサさんの頼みならばと...直ぐにOKし、録音日も決めてくれた。
 スタジオでのピアノプレーとアレンジも秀逸で、更にその人柄にも惹かれ、直ぐにぼくのフェイバリットピアニストとしてリストアップされることになった。そのレコーディングの合間に彼と話をしていると、もう20年近くアルバムを出していない...と言う。寺井バンドで結構名前の売れている彼でもそうなのか...といささか驚いた。そこでレコード会社の若い社長に、久々の彼の2枚目のリーダー作作ってみたらと持ち掛けると、そのプレーや人柄に惚れ込んでいた彼も、二つ返事で了承、ぼくがプロデューサー役と言うことで話がまとまり、マーサさんが終わって数か月後に、彼のリーダー作製作に取り掛かった。
 予算などの関係もあり、基本は彼のソロと他楽器とのデュオで全体をまとめることにして、曲も彼のオリジナル中心と決めた。デュオの方は山口真文(sax)や河村竜(b)など彼と親交のある腕利きの面々。タイトルも有名スタンダード「アローン・トゥギャザー」を模して、ソロとデュオということで『アローン&トゥギャザー』。これは彼のキャリアの中でも屈指の作品とぼく自身は自負しているし、彼もその手応えに大喜びの力作となった。以来彼がアルバムを出す(3枚ほど)とスタジオに来てもらうことになっており、今回も当然ながらソロとなればと言うことでお招きした次第。

 
 シャイな彼は山本アナの「どうしてソロアルバムを...」と言う問いかけに、社長のK氏に言われてと実に淡々とした答え。普通はここでその意気込みの一つでもかます所だがいかにも彼らしい答えだし、全体にも「結構淡々と弾いただけですよ...」などとそっけない。ただ4曲のオリジナルも、どれも彼ならではの恬淡とした美しさに溢れており、「荒城の月」「浜辺の歌」などと言った童謡のジャズバージョンもそのアレンジやプレーにも抒情美が溢れて良く練られている。勿論「マイ・アイディアル」などのスタンダードもグッドなのである

 彼の奥さんはハワイアンの歌手(アルバムも出している)兼フラダンサーで、年配の女性達を集めた歌謡教室を大々的に開催するなどの凄腕。寺井尚子に奥さんと結構な猛女を相手に、彼も尻に引かれ気味でもあるが、それを淡々と軽やかに受け止め、素晴らしい成果を上げる。それから察するに彼は見掛けによらず仲々のやり手なのかも。

【今週の番組ゲスト:ピアニストの北島直樹さん】
昨年リリースされた初のソロアルバム「solo」から
M1 Silence of the Forest
M2「荒城の月」
M3Someday My Prince Will Come
M4 My Ideal

2月17日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018/02/16(金) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.397~ジャズライブめぐり】

 出不精のせいで日頃はあまりジャズライブに足を運ばないのだが(反省!)、この前久々に続けてライブに行った。その感想をひとつ...。と言ってもこの2つのライブ、両方とも早稲田大の関連で、直接その当人からお誘いがあったので...という次第。

 
一つは女性のバンドリーダー兼ピアニスト、作・編曲者の守屋純子の定期演奏会。そしてもう一つは大学のクラブ仲間、チンさんこと鈴木良雄のライブ。守屋純子のジャズオーケストラは、毎年2月に渋谷の大ホールで実施している定期コンサート、そしてチンの方は新宿の老舗ライブハウス「ピット・イン」での3デイライブのラストデイを聴いた。今や日本を代表する作・編曲者の守屋純子は、彼女のデビュー時以来の20年近い付き合い。彼女は早稲田大を代表するフルバンド「ハイソサエティー・オーケストラ(通称ハイソ)」のOGで、ここ出身のジャズ関係者から将来きっと有名になる実力派と紹介され、デビューアルバム発表時には番組にも登場、それ以来数回は番組にも遊びに来てもらっている。彼女は早稲田を出た後、NYの音楽大学にも留学するなど研鑽を積み、念願の自身のフルバンドを結成してもう10数年、「モンク賞」と言う国際的なジャズ賞をアジア人&女性として初めて受賞したり着々と実績を積み上げて来ている。そのフルバンドは自身のピアノにエリック・ミヤシロ・近藤和彦・佐藤春樹など売れっ子を集めた本格的なもので、ここ8年ほど渋谷のコンサートホールを拠点に定期的にライブを実施している。10数名のメンバーは売れっ子揃いでリハーサルなどで集まるのも中々に難しい状況の中、コンスタントにコンサートを実施しているのは本当に立派としか言いようない。バンドは実力者揃いでもう永年活動を続けているだけに、アンサンブルもばっちりと決まりで聴き応え充分。第一部はエリントン・ナンバーなどのスタンダード中心のプログラムでこれも良い出来栄えだったが、聴き所は今年の夏に出す予定の新作のメイン・テーマ、長谷川等伯組曲のお披露目を兼ねた第2部。
 等伯は16世紀京都を中心に活躍した日本の代表的画家で、日本以上に海外で高い評価を受けており、ボストン美術館などに数多くその逸品(「竜虎図」など)が所蔵されている。その等伯の作品にインスパイアーされ作った組曲は6つで構成されており、今回はそこから4つほどが紹介されたが、それぞれの素になった等伯作品がバックスクリーンに映し出されると言う趣向。どれも力作なのだがこうした標題作品は、クラシックなどと違ってアドリブが一つのメインとなるジャズ(フルバンドでも同様)では、中々に困難な一面もあり,かえって等伯原画を見てしまうと出来上がった作品に違和感を感じる所も少なからずある。「竜虎図」などはそのダイナミズム、ユーモラスな感じなど良く特徴を捉えていたが、「松林図」などの微妙な陰陽を生かした幽玄な風景作品になると、些かその表情が明る過ぎ(多分に守屋の気質が反映されている)などとも思える節もあり、評価は分かれる所だがその仕事は素晴らしいもの。

 
一方、新宿「ピット・イン」での鈴木良雄のライブは、3日間に渡りそれぞれ異なった鈴木像を提供すると言った企画。一日目は彼の現在のバンド「ベース・トーク」の演奏、そして2日目は彼の好きなピアニストを3名招き、彼らとの共演を果たす(元々彼は優れたピアニストだったがサダオさん(渡辺貞夫)の勧めでベースに転向)、そしてぼくの聴いた最終日は峰厚介(ts)、中村恵介(tp)など新旧入り混じったスペシャルクインテットによるもの。この面子でどんなジャズを展開するのかかなり興味津々で、重い足を上げたと言う訳。結果はハクエイ・キム(p)、中村と言った若手(チンが少し前まで率いていたジェネレーション・ギャップの面々でもある)と、チン&峰&村上寛(ds)と言うチャンジー(爺さん)ミュージシャンとの、世代を超えた融和と鬩ぎ合いも興味深く、大変愉しく聴かせてもらった。ライブの前に新宿で打ち合わせがあり少し時間に遅れてしまったのだが会場は満杯、チンの話では「余り人は来ないから大丈夫だよ..」などと言うことだったが、その事前予測は良い方に大きく外れ、彼の人気の程を知らされたもので、「お前想像以上に動員力あるんだね...」などと嫌みの一つも彼にかましたが、実際多くのファンが集まり嬉しそうだったし、演奏内容も素晴らしいものだった。

 やはりもっと演奏現場~ライブの場に積極的に顔を出さないと...と、痛感・反省させられた2日間でした。
【今週の番組ゲスト:コアポートの高木洋司さん】
世界初となる ポーランド ピアノ コンピレーションアルバム『ポーランド・ピアニズム』から
M1「サファーリングモジジェル=ダニエルソン=フレスコ」
M2「レプブリカ・マジェニ / ハニャ・ラニ&ドブラヴァ・チョヘル」
M3
「プションシニチュカ / レシェク・クワコフスキ 」
M4
「バイ・ゾポト / スワヴェク・ヤスクウケ&ハンセアティカ・チェンバー・オーケストラ 」


2月10日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018/02/09(金) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.396~ユージン・スミスと安部克自のジャズ】

 ユージン・スミスと言う素晴らしい写真家がいる。写真史上最も偉大なドキュメンタリー写真家と称えられ、あの水俣を世界の「ミナマタ」として関心を向けさせ、同地で亡くなった(筈の)反骨の芸術家&思想家。その彼の生誕100周年(没後40年弱になる)と言うことで、恵比寿の東京都写真美術館で回顧展が開かれている。ぼく自身は写真にそう興味ある訳でないが、近くの渋谷でジャズ関連の会合があり時間が空いていること、また写真美術館も未だ機会が無く訪れていない...などもあり、丁度いい機会とユージン・スミス展を見ることにした。局員時代は良く訪れていた恵比寿ガーデンプレイスも本当に久しぶり、写真美術館にはいささか迷いながらもどうにか到着、ここは全部で展示室が3つもあり見やすい立派な写真美術館だった。

 今回はアメリカのある大学の所有する彼のオリジナルプリントが全部で150点余り。その写真家人生を10に分け、それぞれの時代の秀逸なモノクロ作品が展示されており、この硬骨にして反骨、底辺の人達に寄り添う正義漢、真実を見通す眼を有したこの稀有なドキュメンタリストの全貌が過不足なく捉えられている。
 展覧会でまず驚かされたのは、彼が日系アメリカ人写真家の作品に強く惹かれ写真家を志したというエピソード。それだけに日本に愛着を有するこの写真家は、太平洋戦争に派遣され硫黄島などでの日本の民間人の姿、そして戦後はあの一大コンツェルン「日立」の全貌を捉える写真も撮り、最後に工業化の悲惨な結末とも言える水俣病の患者の人達に至るという写真人生を描くことになる。彼はライフと言う世界的な写真雑誌を舞台に活躍した訳だが、常に雑誌の商業主義とも戦わなければならなかったし、その軋轢や苦悩もその写真から何となく読み取ることも出来そうな気もする。そしてライフで評判になったのが、あのアフリカでのシュバイツァー博士に密着したドキュメント、アパラチアの
炭鉱夫の生活記録などで、それらはどれもが見るものに生々しく迫って来る。特に水俣病の患者さん(女の子が多い)への限りなく優しい眼差し、そして原因となったチッソへの怒りと告発、このアンビヴァレンツな起伏多い感情が、凄くも素晴らしく心打たれる。

 こうした「ミナマタ」をはじめとする一連の社会派としての視線の中に混じり、彼が一時居としたNYヴィレッジでの何気ない写真もあり、これにも心惹かれた。時は60年代初頭、即ちジャズ全盛時代だけにジャズメンのポートレートも何枚かあるのだが、特にあの『マイ・ネーム・イズ・アルバート・アイラ―』『ゴースト』など、一連の欧州遠征での傑作アルバムで評判を集め、これから本場NYでの活動を...と意気込んでいる、彼の横顔が暗い画面の中に捉えられているポートレートは、大変印象深いものだし素晴らしい一枚で、なんとも心打たれた。彼とアルバート・アイラ―、予想外の結びつきだし日本のジャズ関係者の殆どが知らない筈で、これを見ただけでもこの展覧会大変に得した気分になった。

 そう言えばジャズ・ポートレート展と言えば、ぼくが最も敬愛しお世話になった先輩の一人、故阿部克自さんの回顧展も銀座の画廊で開かれており(2月中旬まで)、友人数人と見に行ったがこれも懐かしいものばかり。日本では今イチその存在を知られていないアベちゃんだがアメリカジャズ界では超有名人で、彼ならばと喜んで写真に応じるプレーヤー、シンガーも数多く、今回の写真展や出版社から貰った写真集にも数多くのジャズ・プレーヤー。シンガーが登場している。何せ彼はミルト・ヒントン賞という権威ある写真賞を獲得した唯一の日本人で、またその写真はアメリカでジャズ記念切手シリーズの一枚(デューク・エリントンのもの)に使われている程なのだから...。
 
ユージン・スミス、安部克自という今は亡きジャズをこよなく愛したこの素適な写真家達の偉業に乾杯!

【今週の番組ゲスト:話題の美人デュオ『村田中(むらたなか)』のトランペッター村田千紘さん】
1st
アルバム「selfie」から
M1
slow life
M2I'm getting sentimental over you
M3「Never Let Me Go」
M4
Smile


 
2月3日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018/02/02(金) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.395~別府温泉のビル・エバンス】

  1月の中旬に憧れの街、別府市に数日逗留した。もちろん温泉三昧の毎日である。憧れと言うよりも種々の条件さえ満たせれば今直ぐにでも移り住み、これからの人生を愉しみたいと思わせるほど意味深く蠱惑的街なのである。これには難しい問題も多々あるので、なるべく交通費・宿代などが高くても年1回は滞在し、ストレス全面発散をしたいと思っている。実のところ昨年も数日この街に滞在、公衆浴場(勿論全て温泉で50数箇所ある筈)の梯子をしたが、入浴料はほとんどが100円と安く少し高くても300円以内。温泉好きならばまさに天国はたまた極楽の街なのです(売り物は海地獄など地獄めぐりですが...)。

 
もう今から数十年ほど前のこと、雨の中初めてこの街にたどり着き(熊本出張のあと山並みハイウエーを延々数時間もバスに乗り着いた)、別府を象徴する名山、鶴見岳の麓にある堀田地区(別府で最高台にある)からこの街を初めて一望した時、至るところから立ち上る温泉の蒸気、これには本当にたまげてしまったし魅了され尽くしてしまった。それ以来九州出張の折には、この街に立ち寄れるように綿密にスケジュールを組んだりしたものだった。あれからもう十数回この街を訪れているが、少しも飽きることが無い...と言うよりも、来るごとに好きになってしまうし発見も多い。

 
今回の訪問はある目的があった。と言うのも別府には有名な鉄輪をはじめ明礬(みょうばん)、堀田、亀川など泉質も湯量も異なる温泉が市内に散在しておりその数全部で8つ、これを称して別府八湯と言うのだが、その一つ別府の山中、渓流沿いにある柴石温泉だけはこれまで訪ねたことが無かったので、今回ここに浸かり別府八湯を完全征服すること。更に街中の温泉公衆浴場を10入湯を果たすこと。この2つが今回の大目標だった。結果は柴石温泉の方は入れたが公衆浴場10か所は体がもたず(温泉に入るのは体力もいることを痛感させられた)断念せざるを得なかった。柴石温泉の方は混んでいると脅かされて行ったのだが、山間の静かな温泉で朝早く開始直ぐに行ったので人も少なく施設も湯質も良く、十二分に歴史ある古湯を愉しむことが出来た。一方の公衆浴場制覇の方はまだじっくりと挑戦したいと思っている(それでももう30湯近くは制覇)。

 さて別府と言えば食の方もなかなかのもので、最も有名なのはとり天(鶏のから揚げである)なのだが、ぼくは鳥が駄目でこれはいつもスルー、その良さは良く分からない。これ以外でこの街の食のお勧めは冷麺、だご汁、そして関アジ・サバ等の海の幸。特に冷麺、だご汁は麺好きにはたまらない美味。どちらも数軒お勧めの店があるが別府に行きたいという方には直接お教えしたい。だご汁についてはある喫茶店がお勧め。これが別府随一とも言える風情のある喫茶店にして名店で、店名は「信濃屋」。別府駅の繁華街とは反対の旧御屋敷町(政次官や文豪の別荘が並んでいる街)の方にある、旧家を使った実に優雅なお店で別府でもお気に入りの店。ここの絶品だご汁を味わう為今回もここに行ったのだが、道路拡張でお屋敷街も風景が一変、信濃屋もその拡張範囲に入ってしまい昨年冬で店仕舞い、実に寂しい思いをしたものだった。

 
色々と収穫や寂しい思いもした今回の別府探訪。中でも大きな収穫の一つが立命館アジア太平洋大学(APU)の訪問見学だった。別府が一望に見渡せるかなり高い山の上に位置するこの國際大学、そのロケーションの良さ、外国学生の多さなど是非一度訪ねてみたいと思っていたのだが、ひょんなことで関係者と知り合いになり大学を案内してもらい、学食で昼飯まで御馳走になってしまった。それだから言うのではないが実に素晴らしい環境、国際交流等々すっかりご贔屓の大学になってしまった。ぼくが訪れた昼食休憩時には台湾からの留学生数十名が、台湾ウイークと言うことでダンスや歌による台湾紹介を行っており、中々に活発な学生達だったので、次の台湾特番では彼らに登場してもらうこともその場で決めてしまった。

 
なんだかんだの別府温泉旅だったが、ここはジャズコラム、一つはジャズの話題も無くては...またまた担当のO部長に嫌味をかまされてしまう。そこで別府とジャズで一つ...。先ほども記したように別府のお薦め食の一つが冷麺、となると焼き肉レストランとなるのだが、別府でも1、2を争う焼き肉屋に夜食べに行った。ここのBGMはプチ高級店だけあって当然ジャズ、それもなかなか趣味の良いピアノトリオが流れている。聴くとなんとあのビル・エバンスの不朽の名演「枯葉」ではないか。これはいい...と思っているとリピートのように同じフレーズが流れる。これはもしかしたらと思ったらばその通りで「枯葉」ばかりを何回も流し続けている。勘定時に店員に「誰がエバンス好きなの...」と聞くと「ぼく等ジャズなんか全然分からないんですが、マスターの趣味でこの曲だけはもう完全に覚えてしまいました。毎晩こればかりですから...」と苦笑していた。ジャズに関心なくても毎晩聴かされればと納得...。ジャズを代表する名演だが、こうリピートばかりだと飽きてしまうのではと心配になるが、そんなことはなく結構評判はいいとのこと。そうかそれは良かったとひそかに納得した別府の夜でした。
【今週の番組ゲスト:テナー&ソプラノサックス奏者の山口真文さん】
昨年12月にリリースされた全曲オリジナル書き下ろしのアルバム『Let Your Mind Alone』から
M1Sequel To A Dre
M2Little Sorrow
M3The Plot II
M4Let Your Mind Alone