1月27日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018/01/26(金) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.394~2017年度ベストアルバム】

 17年度のベストジャズアルバムを、「ジャズ・ジャパン」「ジャズ・ライフ」と言う日本のジャズ専門誌がそれぞれに発表している。ぼくが現在レビューを担当している「ジャズ・ジャパン」の方は、先々週に番組にも登場してくれた大西順子女史の『ヴェリー・スペシャル』と『グラマラス・ライフ』の2枚、そして日本のジャズを牽引する上原ひろみの矢野顕子との共演盤とジャズハープの新鋭エドマール・カスタネーダとのモントリオールフェスでのライブ盤の2枚、計4枚が最優秀ジャズ作品と言うことに決定。一方「ジャズ・ライフ」の方のベスト作は、渡辺貞夫さんのバップアルバム『リ・バップ』、そしてこれも昨年番組に登場してくれた、NY在住の新進ベーシスト、ヤスシ・ナカムラの『ホームタウン』が第2位という結果になっている。ベストアルバムこそ両誌で異なっているが、どちらも日本人の作品がベストと言う点で共通しており、その結果は充分に納得できるものでもある。ぼくもジャズ誌の依頼で17年の「マン・オブ・ザ・イヤー」にサダオさん(渡辺貞夫)を選んでおいたのだが、まあ彼は別格の存在と言うことでアルバムの方は他のものにしたのだった。

 まあ昨年のベスト作はこんな状況なのだが、昨年の東京ジャズは正にサダオさんの為にあったと言うか、サダオさん無くしては去年の東京ジャズは成立しなかったと言う程に、そこでのプレーは感動的だった。今、唯一音サックスを吹いただけで、その存在を天下に誇示出来るようなプレーヤー、そんな人は世界中でも殆どいない。サダオさんはそんな稀有な存在なのだと、東京ジャズの会場で改めて強く認識させられたものだった。

 ところで今回のベスト作品、2誌共に日本のプレーヤーの作品を選んだと言うのも何か象徴的な感じもする。一つには「ユニバーサル」の独占状態にある世界中のジャズアルバム市場、その一つの中心でもある日本でも新譜の発売はレコード会社の都合でかなり限られたものになってしまい、今や世界のジャズアルバムの動向を知ろうとしたら、「ディスク・ユニオン」や「タワー・レコード」などと言った、輸入盤を扱うお店にこまめに通わないとならない。これはジャズだけでなく他のポップスやロックアルバムなどでも言えることかも知れないが、音盤を取り巻く状況が世界中で大きく変わってしまったのである。ただ日本ではまだCDもそれなりのセールスを記録、アナログ盤なども根強い人気を誇っており、日本のジャズプレーヤーやシンガー達は自身のレーベルを立ち上げ、自作を発表し続ける様な努力も怠らない。そんな動きを後押しするかの様に、ジャズ誌も日本のジャズプレーヤー達の作品を推薦すると言った感じもあるのだとも言えそうだし、一方世界のプレーヤー達のアルバムが余り国内盤として紹介されにくくなっていることも、ここ数年日本人の作品そしてその動向に注目が集まる所以なのかも知れない。

 しかし考えてみれば日本のジャズ業界、2つのジャズ誌が成り立っている辺りもある意味凄いことだし、結構ジャズのライブハウスやジャズカフェなども存続し続けており、それなりの活況だと言う点も素晴らしいことと思える。民放ラジオ界最長の歴史を誇る我がジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」も、日本のジャズ発展のささやかな一助になれば...と、これまでなんとか続けているのだが、その努力も何時迄続くことか...。出来るだけ頑張るつもりではありますが、是非皆様のご声援の程を...。
【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さん】

今週はジャズトーク、青木先生に名盤とはされていないけれども、青木的名盤をご紹介頂きました。
M1What's This / Dave GrusinKaleidoscope
M2
Ntoro  / Jack DeJohnette」Zebra
M3
Calling You / Bob TelsonBagdad Cafe
M4
The Best Things In Life Are Free / Hank MobleyWorkout

1月20日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018/01/19(金) 19:00
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.393~信州追分正月景色】

 今年の正月は久しぶりに追分の山荘にいた。
ここ6~7年は別荘管理会社が12月の頭に山荘の水締め作業を終えてしまい、それを解除し水を使えるようにするのが大変で金もかかる。そんなこんなで正月に山荘を使用することなどは考えもしなかった。それが今年、まず2日は秩父宮で大学ラグビーの準決勝観戦を、と確信していたのだが...。我が早稲田ラグビー部はその初戦にコロッと敗戦、正月越えどころでは無かった。これですっかり予定が狂ってしまったので、自棄のやんぱちとばかり水も使えない追分の山荘での正月暮らしを決め、暮れの31日午後から追分に向かったと言う次第。
 
全く無謀だし馬鹿げたことでもあった。水が使えないとは生活が成り立たないと言うことと同義だが、こと暖房に関しては殆ど暖房レスの国立の家よりも、山荘の方がはるかに暖かく暮らし易い。肝心の水に関しても隣町の小諸市の豊富な浅間湧水(これが素晴らしい水なのだ)をポリバケツで大量に汲みに行き、準備万端怠りなし。ただ一つ問題なのはトイレ。水洗だけに水が流せず、これだけは我慢するか車で近くのコンビニに駆け込む(と言っても車で10数分はかかる)しかない。トイレが使えない生活は何事も不便な山行以外では初めてのこと。まあこれも来てしまったのだから...と諦めるしかない。

 
まあそんな状態で暮れの31日は、小諸の有名蕎麦屋で年越し蕎麦を賞味、そのまま帰宅、就眠。明くる18年の正月は、追分から軽井沢、佐久周辺の東信地域は気持ち良い正月晴れで、お山(浅間山)の守り神である浅間神社の本社に徒歩で向かう。1時間近く歩いて神社に到着、年始の挨拶を済ませるとバックのお山も少し雪をつけ堂々とそびえ立つ。お山との感激の新春初対面だった。ただ元日はどこのお店も休み、東信随一の高級スーパー(?)ツルヤも2日までは全店完全休業。そこで味噌雑煮で元旦の食事は軽く済ませ、直ぐに佐久市直営の温泉施設「平尾の湯」に向かう。ここは信越道のインターに直結、スキー場施設と温泉施設の併用と言うことで結構話題になっており、ぼくにとっては今年の温泉入り初め。ただここは山荘から近いだけが取り柄で、肝心の湯量も少なくさながら健康ランド的色彩も濃い。その上誰もが考えることは一緒で、暇な連中で芋を洗うような超満員状態。夕方1時間ほどこの施設にいて退散。寒さも身に沁みてそのまま就眠。ほとんど何もしない1日だった。

 
翌2日は初日の平尾の湯の反省と温泉水汲みを兼ね、上田市郊外のご贔屓湯「ささらの湯」に朝早くから出向く。流石に正月2日目、人出も余り無く温泉スタンドも閑古鳥状態。たっぷり温泉を愉しみ、温泉水も充分に確保、その帰りには上田市随一と言うよりも東信随一と言える、ラーメン処「寿分」で初ラーメンを堪能、満喫。上田市郊外の海野宿にある、古来より由緒深い白鳥神社に参り御祈願。3日目も又々小諸の郊外「布引温泉」と...、山荘近郊のご贔屓温泉巡りと相なって満足度もマックス。この間懸案のトイレもどうにかやり過ごし、かなりなご機嫌状況、概ね正月3が日はリラックス出来た幸運な日々だった。
 
帰京日の正月4日も交通渋滞も無くかなりすいすいと車は流れ、何時もより早く国立に戻れた。さあ18年のスタート、今年も頑張らなくては...。皆様番組へのご声援よろしくお願いします...
【今週の番組ゲスト:ジャズギタリストの鈴木直人さん】

初リーダーアルバム『Resonance and Emission』から

M1Summertime

M2The Window of Thaly

M3The Peacocks

M4Electric Cruising
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1月13日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018/01/12(金) 19:00
テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.392~大西順子】

 最近のジャズシーン、特に日本のジャズシーンでは女性陣の活躍が目立つように思えてならない。今や国際的な大スターとして、屈指の力量と人気を誇るピアニスト、上原ひろみを筆頭に、おなじピアノの山中千尋、ヴァイオリンの女王、寺井尚子、若手では寺久保エレナ、桑原あい等々、まさに多士済々。シーンは女性天下と言った趣きすらある感じである。そうした女性陣の先陣を切って今から四半世紀前、日本のジャズシーンに大きな刺激と衝撃を与えた偉才、それが若くして女傑とも言える風格の大西順子だった。

 彼女のデビューは今から4半世紀=25年ほど前のことで、名門バークリー音楽院を卒業、帰国直後に吹き込んだデビュー作『ワウ』は、一大センセーションを巻き起こし大評判となった。圧倒的な演奏テクニックとそのジャズセンスと共に、その存在がジャズ関係者の注目を集めたのは、誰に対してもため口で話すその大胆とも言える物言い。生まれは京都なのだが、育ったのはぼくの住む東京の国立市で、出身は進学校の都立国立高校。ぼくの高校時代の同級生が国高で物理の教師をしており、その彼から才気溢れる彼女の存在は聞いていたのだが、その後バークリー音楽院に留学すると知り、将来が楽しみだった。帰国直後に新宿のジャズクラブ「J」で会い、色々と話をして番組出演を承諾してもらったのだが、「J」での会話でも聞きしに勝る生意気さ、ぼくとは30才近い年の差があった筈だが終始彼女は「あんた」呼ばわり。その時は後輩のジャズ雑誌編集長も一緒で、その彼もあんた呼ばわりされむっとしていたが、ぼく自身はいささか気張っているなーとは感じてもそう気にもならなかったし、なかなかに面白い存在と思えたものだった。その数日後デビュー作を携えスタジオに現れた彼女、当時の担当アナウンサーの質問にもまともに答えることも無く、あの問題になった沢尻エリカ状態。面倒くさそうにスタジオを後にしたが、以降はあれよあれよと言う間も無くスター街道をひた走り、一躍J-ジャズきっての大スターへと上り詰めて行った。その後はほとんど顔を合わせることも無かったが、激しい気性の彼女は毀誉褒貶も激しく、自身が起こした問題などの個人的な事件などもあり一時は引退状態。カムバックしてからも自身で「ジャズなどやっているのは馬鹿らしい...」などと勝手に引退宣言、各方面からバッシングを浴びるなど、実にドラマチックなジャズ人生を歩んで来た。

 
そんな彼女も数年前からは大分落ち着いて仕事にも取り組むようになり、昨年終わりには本格的なカムバック作として2枚のアルバムを同時発表、再び大いなる注目を集めることになる。1枚はそのキャリア初のバラードアルバム『ヴェリー・スペシャル』、そしてもう1枚は8年振りとなる自身のトリオ作品『グラマラス・ライフ』である。まあ2枚も同時発表し今大いに乗っている感もある順子先生。ここは一つ久し振り(25年振り)にスタジオにお呼びしてみようと...と思い立ち、恐る恐る声掛けをすると快諾を得られた。順子先生も変わったのである。
 担当の山本郁嬢も色々評判を聞いているためか、大分及び腰でびくびくものだったが、いざスタジオで接するとそんな評判とは裏腹、昔の彼女を知っているぼくもいささか面食らったし、ホッともしたものだった。彼女自身は25年前に番組に登場したことはもう記憶になかったのだが、「あの頃は本当に生意気でしたからねー、色々とご迷惑も...」と軽く感想をかましてくれた。大分大人しくなり成熟した感はあっても、相変わらずひりひりとして生意気風ないい女でもある。

 
バラードアルバムの方はイントロとエンディングが彼女のオリジナルで、後は有名スタンダード、そしてヴェルディ、チャイコフスキーと言うクラシックナンバーのジャズバージョン。大西とゲストミュージシャン達とのバラードを仲介とした化学反応も実に心地良い。一方のトリオアルバムは、井上陽介(b)高橋信之介(ds)と言う、このところ一緒に活動している俊英達とのトリオ演奏で、3人の丁々発止のアグレッシブな絡み合いがなんとも凄い。タイトルの「グラマラス・ライフ」とは「豊かで充実した人生」と言った意味合いで、今の彼女を象徴しているような言葉だとも言える。番組ではそれぞれから2曲ずつ彼女が選び出し紹介しているが、彼女の多彩な音楽性が良く分かる選曲になっている。
 
新しい年の抱負として、彼女は、もう一度自身の原点を見つめ直し地道な活動を展開して行きたい...と語ってくれたが、なにか語ると常にセンセーショナルに取り上げられがちな彼女だけに、自身の原点を...という言葉は重く響いた。結婚・子供の誕生などを経て、人生や音楽に対しこれまでとはまた違った感じで向き合っている彼女、その今後は更に期待大と言えそうだ。ジャズアマゾネスとしていつまでも精力的な活動を...。
【今週の番組ゲスト:ジャズピアニストの大西順子さん】
昨年2枚同時リリースされた『Very Special』『Glamorous Life』から
M1Tiger Rag」
M2I Cover The Water Front
M3Lush Life
M4
Golden Boys


1月6日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2018/01/05(金) 19:30
テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.391~渡辺香津美】

 皆様明けましておめでとうございます。2018年新たな年の幕開けです。今年もまたよろしくお願い致します。さて新年初っ端のゲストは去年のこのコラムでもお知らせしたように大物ミュージシャンの登場、J-ジャズギターと言うよりも日本のギター界の真のレジェンド、渡辺香津美です。17歳の時にプロデビューを果たし、天才ギター少年現れるといった感じで当時一大センセーションを巻き起こし、以降は日本のみならず世界を相手に大奮闘、トップギタリストとしてその力量を如何なく発揮し続けている実力の持ち主で、真のギターレジェンドでもあります。我が「テイスト・オブ・ジャズ」には彼がまだ暁星高校生だったデビュー直後に初めて登場、節目のアルバムを発表した折にスタジオに遊びに来てくれるといった感じのお付き合いです。数年前のプロ生活45周年にはジャズからクラシック、ロックなど全ゆるジャンルのギタリストを網羅した記念アルバムを発表、渋谷のオーチャード・ホールで行われた記念コンサートにも、村治佳織や沖仁など有名ギタリストが多数登場、彼の45周年を祝福する演奏を賑々しく展開してくれました。
 
今回は2018年の当初を飾ると言うことで、ビッグネームの彼にとお願いしたら快くOKを頂いた次第。唯一条件があり昨年秋に出したウイズストリングスアルバム『トーキョウ・ワンダラー』には、「フラメンコ・レッド」「ハヴァナ」と言う2曲が、奥さんでピアニスト&作曲家の谷川公子のオリジナルで、正月と言うこともあり是非2人でスタジオに遊びに行きたいのだという。こちらとしても喜んで...と言うことで今回お2人での登場となったのです。

 この香津美&公子の夫婦コンビは、何かあのジョン・レノン&オノヨーコ夫妻を思い起こさせるところもあり何かと興味深いものがあります。天下の香津美も彼女が何か言うと意外に言い返せなく、かかあ天下の気もありそうなのです。番組でも選曲などは彼女の意向もかなり強く反映されており、そのやり取りも仲々に微笑ましいものです。アルバムは香津美氏の愛聴バラードナンバーがメインで、ストリングスをバックに華麗・甘美に奏で上げると言う趣向。オープニングがあのサンタナの「哀愁のヨーロッパ」と言う点も泣けますし、当然番組でも彼のアコギでのサンタナ・ライクの泣きのプレーが聴かれ、番組の掴みはばっちり。また奥さんの書いたナンバーを彼は優しげに引き綴っており、その技も流石の素晴らしさ。またこのアルバムにはぼくの大好きなルグラン・ナンバー「これからの人生」も収録されており、この淡々とした秀麗さは、これからの2人の生き方を象徴しているようにも思えてなりません。タイトルは東京のど真ん中、渋谷の一等地にあったタバコ屋の御曹司として何不自由なく育った彼が、愛する街トーキョウをそぞろ歩く~漂泊する様子を描きたかったのだと、自身でも語ってくれています。

 渡辺夫妻はこの1月に自宅近くの船橋市の大ホールで共演コンサートを行うことになっており、そのPRも奥さんが抜け目なく行っていました。ぼくより一世代下で高校時代から知っているだけに、今や渋く洗練された実に格好良い熟年紳士になった彼には、会うごとに驚かされますが、これからますます世界の香津美としてその名声を高めて行って欲しいものと心から願ってします。この1年が香津美本人にとって、またこのジャズ番組にとっても良い年でありますように...。
 なお来週は新春第2弾として、なんと20数年振りの登場となる、女傑大西順子女史です。どんな発言が飛び出すか...、乞うご期待!

【今週の番組ゲスト:ギタリストの渡辺香津美さん、ピアニスト・作曲家の谷川公子さん】
昨年リリースの『東京ワンダラー』から
M 1「哀愁のヨーロッパ 」
M2
「君の瞳に恋してる」
M3
「フラメンコ・レッド」
M4
「これからの人生」