7月1日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2017/06/30(金) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.364~ブルーに生まれて】

 見逃してしまい残念な思いをしていたジャズフィルム「ブルーに生まれついて」が、今回ヴィデオ化されたので早速鑑賞することにした。この映画が公開された後に今度は帝王マイルスを扱ったジャズ映画も登場~マイルス・フリークの俳優ドン・チールドが監督・主演したもの、時ならぬプチ・ジャズフィルム・ルネッサンスと言う感じもあったのだが、その公開時には残念なことに見られなかった。この映画の主人公はブルーと言う言葉に象徴されているように、あの稀代のジャズ界の人気者、オランダでのホテルでの原因不明な転落死でその59才の生を閉じてしまったトランぺッター&シンガーのチェット・ベイカー。

 マイルスにチェット、ジャズ人気を2分するようなこの黒・白を代表するトランぺッターを主人公にした映画が、ほぼ同時に登場と言う稀有な出来事が実際に起きた訳だが、映画の出来はこのブルーの方がはるかに優れている...と言うのは衆目の一致するところ。マイルス映画は主役がドン・チールドだったのに対し、チェットの方はイーサン・ホーク。この役者の格の違いで、ある程度映画の出来栄えも分かってしまうのだが、実際にイーサンの演じたチェット・ベイカーは、各映画祭でも絶賛されるほどの素晴らしさでぼくも堪能させてもらった。当て振りとは言え画面でのトランペットプレーも相当に練習したことが良く分かる見事さ。この映画をぼくはイーサン自身が監督したものと誤解していたのだが、実際の監督はカナダ人のロバート・バドロー。まだ余り知られていない若い人だが、映画のタイトルでチェットの代名詞にもなっているブルーな色調をベースに画面を構築、スタジオ風景などもあの50年代後半の懐かしいブルーな色調でまとめられており、それだけで愛おしい気分になってしまう。

 さてそのチェットだが、死後既に30年近く経つのに相変わらずその人気は衰えない。度々彼のアルバムは再発され、それでもかなり売れ続けているようだ。それはトランぺッターとしてだけでなく、彼のブルーな歌声もその人気の要因(特に女性ファン)になっている筈なのだが、映画でもイーサン自身がチェットの持ち歌を披露~その中には当然タイトルの「ボーン・トゥー・ビー・ブルー(ブルーに生まれついて)」も含まれているが、その枯れた歌声も中々に素晴らしいもの。何よりこの映画の素敵な所は主役のイーサンそして若い監督も、チェットに心底惚れ込んでいる感じが画面から滲み出ている点だろう。その人気絶好調の折にはあの夭逝した伝説の人気俳優、ジェームス・ディーンのジャズ版とも呼ばれた美少年だった彼。麻薬の為に心身はボロボロで、原因不明の転落死も麻薬売買のトラブル...などとも噂されるほど生涯麻薬との関係は断ち切れず、チェット=麻薬(ドープ)とも言われるほどだった。

 映画は人気絶頂だった彼が麻薬の為に刑務所入りした後、失意のどん底にあった50年代後半を扱っており、当然麻薬の問題が大きなテーマの一つにもなっている。薬の売人に金銭問題で殴られ顎と歯を痛め再起不能とも言われた彼が、ある黒人女性(これは実在しない)の献身的愛でどうにかカムバックするのだが、最後はこの女性も彼とは離れ、失意の彼はヨーロッパに旅立つことになる...と言う、ある意味ラブストーリーなのだが、マイルスやディジー・ガレスピーと言ったジャズトランペッター達も画面に登場、彼をスターに仕上げた「ワールド・パシフィック」レコードの社長なども重要な役割を担い、愛人女性だけが架空と言う、ジャズフィルムでありつつラブファンタジーでもある訳だが、かれがアイダホの故郷に一時帰郷しその大平原の中でトランペットを学びなおす場面なども、田舎者チェットの峻厳とも言える孤独な姿が活写され、またまた愛おしい気持ちに浸らせられる。

 
チェットの自伝映画としては、実際のドキュメンタリーフィルム~有名なファッションフォトグラファー、ブルース・ウエーバーが撮った「レット・ゲット・ロスト」があり、これは晩年の欧州在住時期に彼やその愛人たちにインタビューして作り上げられたもの。アカデミー賞のドキュメンタリー部門の候補作にもなった秀作だが、その中での彼は年令の割にしわだらけで歯もボロボロの全くの老骨の人。およそかつての美青年振りは窺い知れ無い落ちぶれ具合なのだが、反面なんとも言えない味わいと含蓄深さを持った顔付きで、これはこれでまた魅力的だなーと思わせてくれた。その彼の未だ若々しい苦悩の時期を扱ったこの不思議なラブファンタジー=ジャズフィルム。見ればチェット・ベイカーと言う稀有な感性の男に惚れこんでしまうこと間違いなしで、仲々のお勧め良品です。
【今週の番組ゲスト:ピアニストの中村真(まこと)さん、ドラマーの大村亘(こう)さん】
中村真トリオの新作『Makoto Nakamura Trio
』から
M1Stablemates
M2Isn't it romantic
M3Triste
M4Smile

6月24日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2017/06/23(金) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.363~スマップ崩壊】

 あのアベちゃんが共謀罪を強引に国会で通し、自身のお友達が経営する加計学園の許認可問題には完全にほっかむり。世論調査の支持率が一気に急落すると、今度はTVでお詫びと反省の弁をしおらしく語る。これで国民はまたまた納得し支持してくれる筈と...、このどこまでも国民を舐め切った態度、それも夫婦共々なのだから、何をかいわんやである。更にこの会見のすぐ後に森友学園に家宅捜索を入れる。悪者にされた(?)籠池氏は「国策捜査」と息巻き、かみさんは「父ちゃんが余りにかわいそう」と大声で嘆く。単なる茶番とは言えない悲劇が起きている訳だが、同じようなことはあのトランプが支配するアメリカでもあり、この世界はどこまでも崩壊に近づきつつあるようにも思えてならない。この歯がゆさ、そして無力感、どうにかならないものなのか...。

 
そんな折、昨年から話題になっていたあのスマップがついに完全崩壊、香取慎吾以下の3名がジャニーズ事務所を9月で脱退、もともと残留を表明していたキムタクの他に、リーダー中居も残ることになったのだと言う。新聞や雑誌など大方のマスコミは中居の残留を「スマップの絆を絶やさないため...」などとに扱っているが、これもあのアベちゃんが言う印象操作によるもので、ジャニーズ事務所のマスコミ操作術に芸能マスコミが乗らされただけ。真相はどうかわからないが、あの屈辱の美談風に会見を開かされたスマップのリーダーが、色々事情はあったとしてもさっさと残留を決めてしまうのも、極めて日本的な解決方だとも言えそうだ。まあいずれにせよJ-ポップシーンの頂点を極めた彼らが、ここで完全に崩壊してしまったのは悲しくも残念なことでもある。

 
ぼくはアイドルなどにはおよそ関心もないし、アイドルの追っかけをいい年をした輩がそんな行動を取っているのを見ると何とも言えない寂しい気もしてくるのだが、ことスマップだけは別の感情が働くのは不思議なこと。何より彼らの歌がいいのだが、それに加え娘が子供の頃大ファンで、レコード会社の知り合いに頼みこんでようやくチケットを手に入れ珍しく大感謝されたことなども、彼らに関心を寄せた一因かもしれない。更に彼らのバックバンド「スマッピーズ」の音は、ハリウッドで録音されデビッド・サンボーン、マイケル・ブレッカーなど超一流のジャズミュージシャンが参加、ジャズフルバンドと聞いても実に素晴らしもので「スマッピーズ」だけのアルバム(スマップのヒットナンバーのバックバンドサウンド)も出されている程で、そんなところもこのグループに好感を抱いている所でもある。

 
さてそんなジャニーズ事務所の御大将は、ジャニーさんとメリーさんと言う姉弟コンビで、純日本人なのにこんな名前どういう感覚か...とも思ってしまう。だがまあそれはさておき、数年前の週刊文春のインタビュー記事、全てはここからスマップ崩壊は始まった訳。キムタクが悪い、中居の態度が、あるいは女性マネージャーの陰謀等々、様々な憶測は飛び交っていたが、全ての原因はこの婆さん副社長の態度にあったことは間違いない。記者が彼女にスマップの敏腕女性マネージャの独立問題(?)について質問すると、突如怒り出した彼女は件のマネ女史を呼びつけ人前で詰問・罵倒。メリーと言うバタ臭い名前にしては余りにもお粗末な態度で、普通はどんなお偉いさんでも会社の内部問題、その真相はどうあれその場を穏便に収めた後で詰問でもなんでもすればいい訳であり、そんな会社の醜態をトップが、特に芸能と言う人気稼業分野ならば絶対に明らかにすべきでは無いのだが、婆さんだけに堪えると言うことが出来ない、と言うよりも自身が権力者だと言うことを世間に見せつけたい...という誘惑に勝てなかったということなのことだろう。これによってスマップという稀有な存在はすっ飛んでしまったわけだが,一方のアベちゃんは世間を丸め込みつつ、霧消することもなく悠々と楽しんでいる。悲しい日本の現実がここにはあるのです。

 
まあそんな騒動は別にして、スマッピーズのアルバムはまだカタログに載っているはず、時間があればこちらの音聴いてみてはどうですかね...。

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さんをお迎えして「ジャズトーク」】

M1 Well You Needn't  / Thelonious Monk

M2Bemsha Swing / Thelonious Monk

M3Rhythm-A-Ning / Thelonious Monk

M4「ハートブレイクヒル / 山中千尋」

6月17日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2017/06/16(金) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.362~台湾取材旅行】

 今年もまた6月の初めに一週間ほど恒例の台湾取材に行ってきた。もう16年以上続いている台日友好促進特番『21世紀の台湾と日本』(6月25日&11月23日放送予定)の収録取材。今回は台北市と台湾第3の都市=台中市が主な取材先だった。今回の取材もまた予定経費を大幅オーバーと言うトホホな取材だったが、と言うのも直前にタイアップ航空会社の方針変更(マスコミタイアップは今回は無し)により、当初目論んでいた取材費は大幅アップ。しかし出発までの時間も残り少ない上に、これまでの付き合いの関係もあり、今回は泣く々この航空会社に決めたのだが、もうその時点で経費オーバーは決定的、又々つらい取材になってしまった。その上今回は交通事故の後遺症と言う大きなハンディも抱えての不安な取材、また朝早くから夜までロートルのぼくの体力が持つのかも心配の種。そしてまた番組開始10数年では初めてとなる、2回放送分の取材を一度に行ってしまうと言う無謀な試み。まさに三重苦状態だけに出発時の気分は相当に重いものだったが、台北・桃園空港に降り立ってしまえばカラッと晴れ渡った台北の青空のように、後は野となれ...と言うことで落ち着きも出て来て、特番2回分を1週間で収録してしまう離れ業取材も、どうにか完遂出来た。

 ところでここ数年我々番組スタッフ(3人)は羽田(東京)~松山(台北)空港と言う大変楽な経路での台北入りがほとんどだったが、今回はわざわざ成田~桃園空港と言う数年前までの公式ルートで台北市に入った。と言うのも今回の取材の大きな目的の一つが、数か月前に完成したばかりのMRT(地下鉄)桃園空港線を紹介すること。もう長い間いつ完成なのか...とされていた桃園空港線、空港と台北市を45分ぐらいで結ぶという、この画期的なMRTのようやくの完成(出来ると言われてから既に数年は経っているはず)は、台北市民だけでなく我々にも大歓迎で、MRTに乗り込んだ山本アナの声も弾んでいた。この中継の模様は6月台湾特番のオープニングを飾ることになっている。

 そしてこのMRT紹介と共に6月放送の方は、台北市でこの8月に開催されるユニバーシアード台北大会にも焦点を当てている。中国の圧力もあり国際的な条約、協定締結やスポーツ・文化大会の開催などが困難な台湾にとって、この国際的スポーツ大会の開催は大きな意味を持つもの。それだけに大会事務局のお偉いさんも東京オリンピックにも並ぶとその意義を強調、東京との協力関係を強く望んでいた。このユニバーシアードの参加資格、日本では当然大学生だけだが台湾の場合にはもう少し広く、あの卓球の愛ちゃんの旦那さんや、世界ランク一位の20代後半の女性バトミントン選手なども含まれるかなり強力な布陣。台湾の力の入れようも良く分かるのだが、台北市民の盛り上がりはいま一つと言った感じは否めない。

 一方11月放送分の方は台湾で最も住みたい街と言われる、台中市にスポットを当てた内容。来年開催される花博や市のランドマークとなるオペラ劇場(伊藤豊雄設計)などをリポート。台湾の中でも最注目のやり手市長と言われる林佳龍台中市長も番組に登場、花博への期待などを語ってくれている。この台中取材で我々が最も驚きそして感激したのは「宮原眼科」。眼科がどうした...と言われるかも知れないが、これは戦前の宮原眼科をリノベーションしてスイートの店に仕立て直したもの。その豪華な佇まい、内装など一度は見る価値ありで、台中訪問の折には是非...。

 まあ2回とも内容充実の愉しい台日友好協力特番になるはずだが、今回の取材でなにより良かったのはまずは天候。どこも晴れ続きでその点ではすこぶる快調。そして第2がホテル。台湾観光協会の尽力で台北の「アンバサダー」、台中の「ザ・ワン」と言った一流ホテルに泊まれたのは、体調面に不安を抱えていただけに何よりの幸運だった。そしてラストの夜に泊まった「福容ホテル桃園エアポート・アクセスA8」。MRTの桃園空港線の停車駅すぐ隣に立っているこの新しいホテル、何と温泉を掘り当ててこれが自慢の一つ。台湾取材ラストの夜は北投温泉の日帰り施設で一浴するのが恒例なのだが、今回はホテルでじっくりと温泉に浸たれる、こんな贅沢はありません。交通事故後遺症の首の痛みもある程度解消出来たようです。

 そしてもう一つ、もしかしたらこれが今回最高の幸運だったかも知れないが、通訳兼コーディネイター役のセンニちゃんこと徐さんと出会えたこと。この秋には日本人と結婚、日本に住むことになる彼女は、台湾大学の日本語学科を卒業、早大大学院に留学し日本語を学んだという才媛。実に可愛いらしい女性(容姿・しぐさ・性格等など)で、スタッフ全員が彼女の直ぐにファンになってしまったが、控えめでいながら仕事も早く熱心、通訳としての実績は余りないが、これまで台湾特番で付き合ってくれた通訳さんの中でもピカ1とも言える存在。彼女の献身的働きが無ければ今回の取材もスムーズに運ばなかったはず...と、取材スタッフの実質上のボス、ミス・エミリー~翠恵美子女史も感慨ひとしきりだった。このコラムを読んだ方で、中国語の通訳・翻訳を探しておられる方にはお薦めの美形才媛。7月からは日本在住と言うことなので、仕事を依頼してみたらどうでしょうか...。何かあればマネージャー役のミス・エミリー迄。そして当然ですがこの「台日友好特番」も是非聴いてみてください。台湾でも大人気の渡辺直美など豪華ゲストも登場、台湾関連では老舗番組の貫禄充分な内容と自負しています...。

 さて日本に戻ってきた次の日、またFM東京の系列局「ミュージック・バード」のジャズ番組にゲスト出演することになっていたので、台北が世界に誇る誠品書店のCD売場で、台北で話題のジャズアルバムを数枚買い求め、その中から気鋭のテナーマン、謝くんのアルバム『フェアリー・パス』を番組では紹介させてもらった。透明溢れる好アルバムでリスナーの反応もなかなか良かったようである。目出度し目出度しなのです。この台湾ジャズ事情についてはまた回を改めて紹介してみたいとも思います。乞うご期待!
【今週の番組ゲスト:OMDのベーシスト増原巌さん・トランペッターの市原ひかりさん】
1stアルバム「Chamber Music」から
M1Indigo Blue
M2 I Can't Live Without It
M3Too Shy To Say
M4Be My Love

6月10日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2017/06/09(金) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.361~大御所いまだ健在】

 我が「テイスト・オブ・ジャズ」も既にスタート以来50有余年、これまでにも再三書いてきたが日本のいや世界中に於いても、最長のジャズ番組の一つであることは間違いない。半世紀を超える長期継続のジャズ番組だけに、日本のジャズメンで一応名の通っている人達の中で、サダオさん(渡辺貞夫)とひろみ(上原ひろみ)以外は、一度はスタジオに遊びに来たことがある...などと(サダオさんはジャズ特番を2度ほど制作しているが...)、人から聞かれると自慢げに答えることにしているが、これはいささかオーバーな説明で、番組にゲスト出演していない大御所も数人はいる。今でこそ誰でもかなり気安く番組出演を頼んでいるが(ノーギャラにも関わらず...)、今は亡き木全信氏から番組を受け継いだ20代の頃は、そんな条件で出演などを頼めるはずも無く、その頃ジャズシーンのメインだったジャズメンの方達(今生き残っている人は大分少なくなってしまった...)、その中には番組に登場してもらっていない方もいる。その中でも長い間実力・人気共にトップを保ち続けていたジャズ界伝説の人、それがジャズクラリネットの大御所、北村英治さんである。

 終戦時には中学生で軍国青年、チャキチャキの江戸っ子だった英治さんは、終戦後すぐにジャズに魅せられ、慶応大の学生時代からプロとして活躍(忙しくて大学は中退)、当時大人気のジャズ(スイングジャズ)の若手注目株として大活躍、その後は来日したスイング王ベニー・グッドマンやピアニスト、テディー・ウイルソンなどの大物達とも共演、J-ジャズの代表格として自他共に認める存在となり、87才(!)になった今なおバリバリの現役として健在。まさにJ-ジャズの生き証人=ジャズレジェンドである。英治さんはいかにも慶応ボーイらしい洒脱なジャズメンで、多くの若手・中堅から尊敬されており、一度は是非スタジオに...と思いつつこれ迄その機会がなかった。それがひょんなことから番組登場と言うことになったのだ。

 そのきっかけを作ってくれたのがラジオ日経の営業部員のYくん。「小西さんこんな本ありますけど読みます...」と持ってきてくれたのが、アスコムと言う出版社から出ている北村英治さんの「懐かしのジャズ名曲CDブック」。サブタイトルに「昭和の思い出が蘇る」とあり、英治さんが自身のこれまでの歩みなどを語り下ろしており、それに「メモリーズ・オブ・ユー」など英治さんの名演12曲がCDとして付いている興味深い内容。本体は語り下ろしなので直ぐに読めてしまい、立川談志師匠や俳優の藤岡琢也さんなどの親しい友人達、グッドマンウイルソン、そしてモダンジャズクラリネットの第一人者バディー・フランコと言ったジャズ名士達との想い出など、渡されてすぐに読み切ってしまったほど。特に長年のジャズ交友で知られる故巨泉さん(大橋巨泉)との付き合いの話は面白かった。せっかくこんな本が出されているので...と思い、これはいい機会でもあるのでY君に付き合いのある出版社経由で番組出演を依頼、二つ返事でご快諾を頂き、思いかけずにゲスト出演と言う運びになった。

 スタジオ収録は夜の8時ごろからだったが、相変わらずダンディーで飄々としてスタジオに現れ、至ってご機嫌もよろしい様子。相手役の山本郁嬢もその素敵な紳士振りに感激しきり。付録のCDから4曲を選び、自身の経歴、選ばれた曲の録音時の話やグッドマンなどとの付き合い、そして最近最も親しくしているというテナーサックスの名手、スコット・ハミルトン、最も印象に残っている年下の友人、巨泉さんとの交友録等など、実に愉しげに語りつくして頂き、あっという間に収録時間の30分が経ってしまった。さすがにJ-ジャズのレジェンド、素晴らしい人でした。収録が終わりまた是非スタジオに来てくださいと頼むと「喜んで...」と。これは再度お願いしないと...と言う気持ちを固めた次第です。

 なおこの英治さんの素敵なCDブック(アスコム/1500円)、リスナーの方達にもプレゼントしてくれることになりました。宛先は〒105-8565 港区虎ノ門1-2-8虎の門琴平タワー 日経ラジオ社「テイスト・オブ・ジャズ」プレゼント係、またはプレゼント応募フォームよりお申込ください。。番組感想やゲスト登場して欲しい人なども書いてお送りください。6月末まで受け付けています。ご応募お待ちしています。5月に行ったジャズボーカルコレクションプレゼント(本とトートバック)にも多くの方達からご応募頂き、まことに有難うございました。以上番組からのお知らせでした。

 【今週の番組ゲスト:クラリネット奏者の北村英治さん】
「なつかしのジャズ名曲CDブック」から
M1
「恋人よ我に帰れ」
M2
「身も心も」
M3
「イースト・オブ・ザ・サン(浮世離れて)」
M4
A列車で行こう」

6月3日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]
2017/06/02(金) 19:00

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.360~6月は...】

 ロートルともなると残念なことに若い頃に比べ時間の経つのも一段と速く、あっという間に1年の折り返し地点、6月に入ってしまった。今年は不運なことに、3月末に今までに無い交通事故に遭遇、意識の切れた83才のチャンジー(爺さん)の車と正面衝突、担ぎ込まれた病院での検査では何ともないということだったが、あれ以来首回りが重く気分も最悪、ほぼ連日整体通いと言うトホホな事態で、余計時間の経つのも早く感じてしまうのかも知れないが...。

 さてその6月だが日本では全国的にしとしと雨の続く梅雨の季節で、あまり好まれない不運月とも言えそう。だがアメリカでは恋の成就する良き時期で「ジューンブライド」に代表される結婚式にも最も相応しい月ともされ、1年でも最も光り輝く時期となっている。それだけにこの6月を歌い込んだスタンダードソングも多いのでは...と思いがちだが、これが意外に少なくて代表的なのは「6月は一斉に花開く~ジューン・イズ・バースティン・アウト・オールオーバー」位なもの。他には「ジューン・ブロート・ザ・ローゼズ」「ジューン・ナイト」等と言った小唄がある位で、意外に少ない。そのうちで最も有名な「6月は一斉に花開く」は、40年代の代表的ミュージカル「回転木馬」の主題曲。後年映画化されヒットしたが、ミュージカルの黄金ソングチーム、オスカー・ハマースタインⅡ(作詞)&リチャード・ロジャース(作曲)の代表曲の一つで、遊園地の回転木馬をメインに展開されるラブソング。「6月は巷で一斉に花が華麗に咲き誇るが、ぼく達もこの恋を成就させようじゃないか...」と謳われており、6月が恋の季節と同時に花の季節であることも物語っている。「ジューン・ブロート...」の方もバラが主役になっており、やはりこの月は何と言っても恋&花の時期なのである。

 この6月の唄の中で興味深いのが30年代に作られた小唄「ジューン・イン・ジャニュアリー」。直訳すると1月の中の6月となり、手元に歌詞がないのでどういう内容かははっきりとはしないが、歌詞を書いたのはレオ・ロビンと言う有名な作詞家。この曲はマンデル・ロウという渋いギタリストの『ギター・ムード』(Riv)と言うアルバムに収録されており、その淡々としたギター演奏と共に、その一風変わったタイトルも記憶に残るもので、6月と言うと何か忘れ難いナンバーの一つでもある。

 日本では6月の花と言うとそう目立ったものはないと思われるが、山好きにはこの月、実に多くの花々が一斉に咲きほころび、実に見事な歓迎すべき月なのである。最も見事なのはやはり山つつじ。もう大分前のことになるが番組の出張取材でこの時期九州に行くと、熊本に隠居している大の山好きの局の先輩を誘い、取材終了後九州のつつじの名山、阿蘇、霧島連峰などを巡った。最も見事だったのは大分と熊本の県境に聳える久住の山々。中でも大船山、平治山の山全体を彩る花の乱舞には感激ひとしお。あの有名な「坊がつる讃歌」にも歌われており、坊がつるの草原から眺めても見事だが、実際に登ってその花々の中を闊歩するのはまさに極楽、その上この山塊には好温泉も多く、実に気持ち良い山行が出来る。一度先輩と共にこの大船山から南に下り、長湯温泉を目指したことがあったが、これが実に長い降りで確か4時間以上、下の道路に辿り着いた時には疲労困憊、それだけに名湯・長湯の良さ・有難味が身に沁みたものだったが...。

 まあ今は交通事故の回復で、なるべく温泉療法を心掛けているのだが、連日通う整体の先生は施療をした時は、なるべくお風呂は避けて欲しいと言う方針。それだけに好きな温泉療養も叶わないのだが、1週間後にはまた恒例の台湾取材が控えており、それまでには少しは首の鈍重感が引いてくれるか...、今はそれだけが心配で"花や恋"などに彩られる6月のことなどあまり意識には無いのです。

 【今週の番組ゲスト:ギタリストの横田明紀男さん】
2枚同時発売のソロ初アルバム『YOKOTA』『JUMP OUT!』から
M1Take Five
M2
Spain
M3
Jump Out!生演奏
M4
Over the Rainbow