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競馬が好きだ!

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こんばんは、大関です。有馬記念が終わって年の瀬だなんてどうも実感がわかないんですが。有馬記念のことは来週にでも書くことにして、今回はまた「実況という視点で振り返るGI」の事を書いてみましょうか。

先週土曜日、J・GI中山大障害を実況してきました。最初は「J・GIは初めてだし楽しみー!」と思っていたのですが、そんな気分はレースの当該週になると吹っ飛び、いつもと同じくらい、いやいつも以上に「追い込まれている」というピリピリした感覚がありました。


(土曜の朝、大障害コースを放送席から)

理由は「見透かされて」いました。京阪杯といい、前の週の中京での障害戦といい。実況をファンとして聴き直すと「こいつ全然状況が見えていないし、気が付かないし、言うことも出来ないんだな」と不快に感じるものでしかなかったからです。そんな人間がJ・GIの実況で同じようなことを起こしたらどうなるか?おそらく、イメージを払拭するのに数年はかかる覚悟を持つしかないと、結構な危機感を抱いていました。

絶対王者・オジュウチョウサンの不在で、有力どころは拮抗している印象。ディライトフルはスピードはあるが4100mがどう出るか。石神騎手のJ・GI8連覇という大記録がかかるシンキングダンサーは当然有力、大障害コース初めてとは言え充実目覚ましく、金子光希騎手が「こんな馬にはなかなか巡り合えない」と前走後絶賛したシングンマイケルもスタミナと飛越センスは抜群。とは言え今年はどの馬にもチャンスがありそうだから、フラットに構えて挑むことにしました。

レースはやはりディライトフルが先手を取り、各馬が順調に障害をクリア。大竹柵、大いけ垣の飛越の時には「お願い、みんな無事に飛んで!」と内心祈りながら喋っていました。飛越の後しばらくして場内から拍手が聞こえてきたときには「ああ、よかった」と安堵したものです。後半、向正面へ出てからの人気どころの仕掛け合いは実に見応えがありました。ディライトフルを自ら掴まえに行ったブライトクォーツ、それをさらに掴まえに行くシングンマイケル、これを追うシンキングダンサー。最後は直線早め先頭のシングンマイケルが、そのまま押し切ってゴールへ。金子光希騎手が勝てばついにJ・GIに手が届く、ということは塗り絵に書いていたので「シングンマイケル、金子光希ゴールイン!!」で締めたのでした。

そして素早く2着、3着争いを整理していると、場内からは拍手が聞こえてきました。後方にいたスリーコーズラインが、J・GI初騎乗の伊藤工真騎手とともに、無事に完走。気が付かないところで落馬とかしていないよね、と確認したところでバックアップに入ってくれていた小屋敷アナや山本直アナが「全馬完走している」と声をかけてくれたので安心してしっかりと「全馬完走です!4100mを15頭、しっかりと、15名のジョッキーとともにゴールに入りました!」と言った後、わーっとまた暖かい拍手が沸き起こったのが印象的でした。どの馬が勝つか、も勿論大事ですが、「大障害を実況するならば、これをしっかりとゴール後に伝えたい」と強く思っていたからです。「大障害は勝者だけが称えられるレースではない」のですから。

シングンマイケルの鞍上金子光希騎手は、デビュー20年目で初のGI勝ち。高市圭二調教師もファストフレンドで帝王賞、東京大賞典と交流GIの勝利はあったものの、開業から23年でついに中央GI初制覇を飾りました。希少なシングンオペラ産駒からGIホースが出た、というのもまた素晴らしいドラマ。良いレースを実況させてもらったなぁ、という光栄な気持ちで実況後はいっぱいになっていました。なぜか知りませんが、11レースの馬名を急に胃がキリキリする中覚えていたんですけど。

勿論、反省することは山のようにあります。「どこを走っているのかが音で聴いているとぼやけている」「大いけ垣がどれくらい難しい障害かをイメージして頂くための資料として、なぜ大竹柵と同じように高さを言わなかったのか」「金子騎手の悲願を『20年目』というフレーズでなぜ称えられなかったのか(塗り絵に書いてあったのに)」などなど、挙げればまだまだキリがありません。

一番の収穫は「自分には実況アナとして『謙虚さ』が足りていないのではないか」と感じられたことです。レースのすべてを描き切ることなど絶対に出来ないし、だからこそ肝になる(であろう)勝負の分かれ目をしっかりと察知して伝えねばならない。そういう意識が甘いんではないかと。そして「映像とセットで扱われることが増えていても、根本は『ラジオの実況』である」という意識も甘くなっているのではないかと。4100mの素晴らしいレースは、自分の足りない部分を見事に教えてくれた。そんな気がしてなりません。私に派手なホームランは打てないのですから、もう一度しっかりと、バントや守備、走塁という武器を磨かなくてはと、改めていま感じる、素晴らしく勉強になるレースでした。何としても今後に大きく生かさなくては。



(中山大障害の使用後塗り絵)

さて本題。今日の「競馬が好きだ!」は、今週金曜に行われるダートグレード競走=兵庫ゴールドトロフィーの話題を中心にお送りします。お楽しみに!




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