知っているようで知らない、競馬実況アナウンサーの1週間 [あの日、あの時、競馬場で]
2016/12/06(火) 12:30

競馬中継60年~あの日、あの時、競馬場で【10】


 いよいよ12月。『中央競馬実況中継60周年』イヤーの2016年もあと1ヶ月足らずとなりました。「競馬中継60年~あの日、あの時、競馬場で」の最終回は、ラジオNIKKEIアナウンサーの1週間をご紹介します。


<月曜日>
 会社に1人だけ出社し、他のアナウンサーは休みます。競馬関係者にとって月曜日は『安息の日』と言えるでしょう。出社したアナウンサーは夜8時からの「競馬が好きだ!」で前日の重賞レースを振り返ります。


<火曜日>
 本社から美浦トレセン、そして大阪支社からは栗東トレセンでの取材のため、東西それぞれ1人のアナウンサーが夕方に出発します。「競馬が好きだ!」の火曜日は、今は地方競馬に特化した内容となっています。


<水曜日>
 東西のトレセンで取材を終えたアナウンサーは昼過ぎに戻り、録音してきたインタビューを編集し、コメントを「競馬実況web」にアップします。そして本社では、朝から出社していたアナウンサーとの掛け合いで、「競馬が好きだ!」の中で調教師などのコメントを取材したアナウンサーが紹介します。


<木曜日>
 トレセンに行ったアナウンサーは基本的に休みですが、もちろん別の仕事で出社することは多々あります。その週の出走馬が確定するので、出社しているアナウンサーは土日の準備に入ります。GIレースを迎える週ではそのレースの出走馬(枠順)、事前発表馬体重などを記事としてアップします。木曜日はJRAから発表される記事が一番多いと思います。


<金曜日>
 一番忙しい日です。「地球は競馬でまわってる」で鈴木淑子さんのお相手をする者、「うまきん3」に出演する者、土日の中継の準備をする者と様々です。土曜日にレース実況する者はレースの服色一覧表を見て「塗り絵」をします。同時開催の競馬場へ出張に行く者は夕方過ぎには出発します。夏の北海道への出張では飛行機に乗るため、時間を気にしながら仕事をしています。


<土曜日>
 本番の「中央競馬実況中継」です。中継は朝9時30分に始まります。中継スタッフは一時間前の8時30分には競馬場の放送席に到着し、準備をして全員で打ち合わせを始めます。
 ちなみに土曜日の中継の開始時刻は変遷があり、昭和の時代は11時45分でした。1989年(平成元年)4月から株式市場の土曜休場実施により、土曜日の開始時刻が9時50分になりました。第1レース発走10分前というものでした。その後レースの発走時刻が早まり(今や同時開催の第1レースは9時50分の発走がほとんどです)、2002年(平成14年)1月から土日とも開始時刻が午前9時30分となりました。
 そして中継をしながら、翌日にレースを実況するアナウンサーは「塗り絵」をします。番組の進行やレース後の取材などの仕事をしつつ日曜の準備をするわけです。


<日曜日>
 土曜日と同じように中継が始まり、メインレースへ向けて緊張感が高まっていき、最終レースが終わって16時45分終了です。仕事が終わった日曜の夜は開放感に浸れます(馬券があたらず落ち込む場合もかなりあります)。日曜の夜は、平日働いて土日休みという人達の金曜日の夜、「花金」(死語か?)にあたると言えるでしょう。


 去年と今年ここまでは、天候に恵まれて台風や雪のために開催が中止になったことはありませんが、中止となると同時開催のレースなどを中心に放送するなど番組の内容が大きく変わり、月曜などに行われる「代替競馬」の準備もしなくてはならないので大変です。競馬の開催は予定通り行われるのが一番です。


 平日にはニュースやCMを読んだり、他の番組を収録したりと競馬以外の仕事ももちろんあります。しかし、仕事の中心は土日の中継であることには違いなく、一週間は本当にアッと言う間に過ぎていきます。そして有馬記念が終わって年が明けて、1月5日に東西の金杯ですぐに次の年が始まるという感覚です。


 このテーマの最後は、半世紀前の有馬記念の実況をお聴きいただきます。初の『五冠馬』が誕生した伝説のレースです。このレースの実況はおそらくこれだけです。他のラジオ局にはそうそうないと思われます。今回はフルバージョンでお送りします。


1965年(昭和40年)12月26日 中山競馬場 曇・稍重
第10競走 第10回有馬記念 芝2600m 8頭
1番人気 シンザン     牡4 56 松本善登
2番人気 ハクズイコウ   牡4 56 保田隆芳
3番人気 ミハルカス    牡5 55 加賀武見
4番人気 ヒカルポーラ   牡6 55 高橋成忠
5番人気 ヤマトキョウダイ 牡5 55 野平祐二


レース実況はこちらから→聴く


<レース結果>
1着 シンザン   牡4 56 松本善登 2分47秒2
2着 ミハルカス  牡5 55 加賀武見 1馬身3/4
3着 ブルタカチホ 牡4 56 大崎昭一 1/2


 『中央競馬実況中継60周年記念サイト』は、今年いっぱいで終了します。ラジオNIKKEIの「中央競馬実況中継」は61年目に入り、これから70周年、80周年に向けて進んでいきます。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
 この記念サイトの制作にあたり、ラジオNIKKEIの大先輩アナウンサーである長岡一也さんから過去の中継に関する資料をいただきました。長岡さんのご協力に感謝申し上げます。



(1970年代の放送席の写真。レースを見つめるアナウンサーと解説者)


~『中央競馬実況中継』の歴史・その4~
1980年(昭和55年)11月22日 「ラジオたんぱ賞3歳ステークス」創設
1984年(昭和59年)12月9日 グレード制導入のこの年、重賞競走として「ラジオたんぱ杯3歳牝馬ステークス」が行われる
1986年(昭和61年)3月29日 アメリカ・サンタアニタ競馬場の「サンルイレイステークス」を実況中継(シンボリルドルフ・3着)
1986年(昭和61年)10月27日 競馬放送30周年。特別番組を放送
1989年(平成元年)4月 株式市場の土曜休場実施により、土曜日の「中央競馬実況中継」の開始時刻が9時50分になる
1990年(平成2年)12月1日 初の本格的競馬ビデオ「グランプリ有馬記念」をCBSソニーより発売


1991年(平成3年)4月 競馬情報番組「ほんまゆみの競馬場に行くぜ!」スタート
1991年(平成3年)12月 ラジオたんぱ杯3歳牝馬ステークスが「ラジオたんぱ杯3歳ステークス」に名称変更
1992年(平成4年)10月24日 月刊競馬誌「馬劇場」創刊
1993年(平成5年)4月 地方競馬情報番組「全国競馬最前線」スタート
1993年(平成5年)11月3日 馬劇場海外ツアー第1弾「ブリーダーズC観戦ツアー」を4泊6日で実施
1994年(平成6年)4月8日 馬劇場初の別冊「競馬必勝データブック」発売
1994年(平成6年)12月3日 開局40周年記念特別番組「ターフ対談シリーズ・中央競馬 人・昔」を4回シリーズで放送
1995年(平成7年)4月 競馬情報番組「週刊競馬道場」スタート
1995年(平成7年)5月 「レースアナウンサー養成講座」開講
1995年(平成7年)9月10日 フランス・ロンシャン競馬場「ヴェルメイユ賞」実況中継(ダンスパートナー・6着)


1996年(平成8年)3月27日 アラブ首長国連邦・ナドアルシバ競馬場「ドバイワールドカップ」実況中継(ライブリマウント・6着)
1996年(平成8年)8月 CSデジタル音声放送「デジタルたんぱ501・502」開局
1997年(平成9年) 全国10都市横断・親と子のトークライブショー「常田富士男 民話の世界」開催。JOA(日本馬主協会連合会)との共催イベント
1998年(平成10年) 競馬情報番組「ウィークエンドパドック」スタート
1998年(平成10年) 3月27日 フランス・ドーヴィル競馬場「ジャック・ル・マロワ賞」実況中継(タイキシャトル・1着)
1999年(平成11年)10月3日 フランス・ロンシャン競馬場「凱旋門賞」実況中継(エルコンドルパサー・2着)


2001年(平成13年)12月17日 iモードサイト「ラジオたんぱ馬劇場」オープン
2002年(平成14年) 1月 「中央競馬実況中継」の放送開始時刻が午前9時30分となる
2003年(平成15年)10月1日 「株式会社日経ラジオ社」に社名変更
2004年(平成16年)4月1日 新愛称「ラジオNIKKEI」使用開始
2004年(平成16年)8月 開局50周年を迎える


2006年(平成18年)1月 モバイルサイト「ラジオNIKKEIモバイル」オープン
2006年(平成18年) ラジオたんぱ賞を「ラジオNIKKEI賞」に、ラジオたんぱ杯2歳ステークスを「ラジオNIKKEI杯2歳ステークス」に改称
2006年(平成18年)10月1日 フランス「凱旋門賞」実況中継(ディープインパクト・3位入線後失格)
2010年(平成22年)12月 ラジオNIKKEI第1をIPサイマルラジオ「radiko.jp」で配信開始


2012年(平成24年)7月 ラジオNIKKEI第2もIPサイマルラジオ「radiko.jp」で配信開始
2013年(平成25年)1月 新番組「鈴木淑子の地球は競馬でまわってる」スタート
2013年(平成25年)12月24日 本社を東京虎ノ門へ移転
2014年(平成26年)8月27日 開局60周年を迎える
2016年(平成28年)10月27日 「中央競馬実況中継」60周年を迎える

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