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ラジオiNEWS

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ついにこの日が来てしまった。ラストアイドルが出演する最後のラジオiNEWS。トリを飾るのは、この3人しかいない。間島和奏さん、小澤愛実さん、大場結女さん、ラジオiNEWSの3人娘だ。いずれも10回以上、番組に来てくれた。今日はまず、3人娘への感謝のメッセージから始めたい。

間島さんは最初から最後まで、ラスアイを中心になって支えてきた。ひと足先に卒業した長月翠さんに以前インタビューした時、こんなことを語っていた。「なな(阿部菜々実さん)と和奏と私、この3人は絶対に他のメンバーに弱いところを見せてはいけない。そう誓ったんです」。かつてはラスアイの3本柱、今は阿部さんとの2枚看板として、間島さんはラスアイを牽引し続けてきた。 この人のリーダーシップは素晴らしい。メンバーからの信頼も厚い。名前の通り、和(ハーモニー)を奏でる(作り出す)、そんな能力が極めて高い。間島さんは単独でも十分、この世界で通用すると思うが、この人の魅力はチームの中にいると一段と輝く。ファンの1人として希望を言えば、アイドルと女優の二刀流をお願いしたい。もう少しだけアイドルとしても輝く間島さんをみてみたい。 筆者は「愛を知る」で、自慢の黒髪を振り乱し、弾けるような笑顔で歌い、踊る間島さんが好きだった。アイドルという仕事を心から楽しんでいる、そんなメッセージが伝わってきた。頭が良く、大局感に優れ、統率力も高い。こんな魅力的なアイドルはいない。間島さん、今までありがとう。ファンの1人としてお礼を言いたい。

小澤さん、あなたの笑顔に、いったいどれだけの人が救われたか。あなたの笑顔はまさに百万キャラットの価値がある。あなたがそこにいて、微笑んでいるだけで、人は元気になれる。筆者の独断ではあるが、ラスアイメンバーの中で、最もラスアイが好きなのが小澤さんではないか。ラスアイが大好きだから、1つ1つの仕事に魂が籠っている。例えばライブのステージ、「大人サバイバー」で首を横に振る時、小澤さんはきちんと90度、右に左に首を回す。「Break a leg!」で脚を上げる時、ピンと真っすぐ、斜め45度に伸びている。まだ未定。のイントロクイズで小澤さんが圧勝だったのも、ラス愛の賜物だろう。自分の担当でなくても、ラスアイの曲なら振り付けまですべて頭に入っている。 初めて小澤さんにお会いした2019年8月、まだ16歳だった。ネコひげの笑顔は変わらないが、当時は美少女と呼ぶのがふさわしく、どこかあどけなさが残っていた。あれから3年弱、19歳になった小澤さんは、すっかり大人の美しい女性になった。いい仕事をしていると、人は美しく輝く。小澤さんにとって、ラスアイは天職だったのだろう。だからこそ、輝くアイドルになった。小澤愛実アイドルストーリーは、そう簡単に終わってほしくない。第2幕、第3幕と続いてくれるはずだ。

大場さんは結女さんという名前の通り、ファンに最も夢を与えてくれたアイドルだ。2期生の多くは、テレビ番組「ラストアイドル」を見て、最初の一歩を踏み出した。昨日までお茶の間でテレビを見ていた女の子が、今日はテレビ画面の中で踊っている。そんなシンデレラストーリーが人を元気づける。 夢はあっても夢で終わる、実現するはずないと思っている人は多い。でも大場さんをみて、あきらめず思い切って挑戦すれば、自分も夢がかなうかもしれない、まず一歩踏み出してみよう。大場さんは、そんな勇気を与えてくれた。 大場さんの最大の魅力は包容力だと思う。話を聞いてくれる、論評せずに受け止めてくれる、心を落ち着かせてくれる。大場さんには、そんな魅力があるようにみえる。明るく、いつも前向きだから、大場さんの周囲には笑顔が絶えない。太陽のような存在だ。ファンもそんな大場さんの包容力に惹かれる。 一度ライブで拝見したバイオリンの腕前も、かなりのものだった。磨きをかけて、アイドルとしての武器の1つにしてほしい。大場さんは歌もうまいし、声が良く通る。マイクに乗る声だ。まだまだアイドルとして活躍する大場さんをみてみたい。

ラスアイの魅力は語りつくせないが、最大の魅力は何かと問われたら、筆者は有言実行と答える。アイドルは楽曲に乗せてファンに様々なメッセージを発信する。ラスアイのメッセージはおおよそ、こんなイメージだ。「夢をあきらめるな。一歩ずつでいいから前へ進め。負けてもいい。挫折してもいい。それでも立ち上がり、夢に向かって、また歩き出そう」。他のアイドルグループも似たようなメッセージを発信している。ラスアイは違う。ここから先がある。「私たちを見てよ、次々と試練を課され、何度も壁にぶち当たった。何度も負けた。それでも私たちは、アイドルとして輝くという夢をあきらめなかったよ。頑張って乗り越えた。だからあなたも頑張ろうよ」となる。ラスアイは有言実行なのだ。
アイドルグループを紹介する文章で、「唯一無二」というフレーズをよく目にする。本来なら、もっと威厳がある言葉で、絶対的な強さ、存在感がないと使えない。どうも言葉が軽いなと思う。アイドル業界広しといえ、唯一無二という言葉が当てはまるのは、筆者はラスアイしかないと思う。自分の推しメンがあんなに頑張っているのだから、自分も頑張ろうと思う。メンバーとファンが一体となって進む二人三脚にようなグループがラスアイだ。こんなアイドルグループはいない。ラスアイこそ、唯一無二という言葉にふさわしい。

経済記者を30数年やって、多くの経営トップと出会った。ずっと問い続けている命題が1つある。それは「会社は誰のものか」。株主のもの、従業員のもの、お客様のもの、答えは様々で、時代背景や経済状況によっても変わる。ごく少数だが、経営者のものという答えもある。翻ってラスアイは誰のものか。答えは明確、メンバーとファンのものだ。メンバーとファンが一体になって作り上げてきた、それがラスアイだ。次々と試練を課し、活動終了を決めた一部の大人たちのものでは決してないと思う。そんな大人たちに問いかけたい。あなたは倒れるまで歩き続けたことがありますか。箸が持てなくなるまで木刀を振ったことがありますか。職場の仲間と、どちらの仕事の技量が高いか、延々と1対1の勝負し続けたことがありますか。ラスアイはそんな試練を、ファンと一緒に乗り越えてきた日本でただ1つのグループだ。
青春のすべてをラスアイにかけてきたメンバーたちにとって、その夢が突然、道半ばで閉ざされてしまう無念さは、いかばかりのものか。察するに胸が痛い。あれほど汗と涙を流したアイドルグループはいない。この日の放送で間島さんが語っていた。「ラスアイは人生そのものだった」と。何度も負けた。何度も泣いた。それでも立ち上がり、夢に向かって歩き出す。そんな自分たちの生き様を、人生を、ラスアイはファンにさらけ出してきた。ファンはその姿を自分に投影し、心から応援した。ここまでファンとメンバーが一体となったアイドルグループはない。願わくば今年の年末、5周年記念ライブを、メンバーの多くが夢と語る武道館で実現したかった。

29日のラストライブ、ファンはラスアイに思いを寄せたそれぞれの歳月を振り返り、それぞれのラストアイドルへの愛、ラス愛の答え合わせをすることになるのだろう。結果はもちろん大正解。少なくとも筆者はそうだ。ラスアイと出会い、応援し続けた日々は本当に楽しかった。ライブ会場で、メンバーとの仕事の現場で、人生でこんな楽しいことがあるのかと思う瞬間が何度もあった。 私たちは忘れない。ラストアイドルという唯一無二のアイドルグループがいたことを。ラストアイドルよ、永遠なれ。

(日本経済新聞 編集委員 鈴木亮)

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