※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く「第12回「もうひとりじゃない-へき地の新米助産師」(2015年4月21日放送分)」
ヨーコ:お元気ですか、グローバルヘルス・カフェ、香月よう子です。国際医療協力にかかわる人たちが通うカフェってちょっと変わってませんか。ここのマスターはとても面白いので、わたし気に入って通っています。それではさっそく、カフェに入ってみましょう。
ヨーコ:ねえ、マスター、その写真の女の子すごくかわいいですね。
マスター:ああ、女の子に見えるけどね、この人、助産師さん。
ヨーコ:えー!
マスター:この人はね、カンボジアでね、ヘルスセンターといって、地方にある保健センターに勤めたばっかりの若い助産師さんなんですよ。
ヨーコ:何歳くらいなんでしょうか?
マスター:だいたい十代の後半くらいですね。半ばから後半。
ヨーコ:ふーん。こういう、女の子ともいえる子たちが、その保健センターというところに配置されるって、何かちょっと不安な気がしますが。
マスター:うん、そうですよね。だから、それは本人たちもたぶん不安だと思うんだけども、ちょうどこの写真を撮った小原さんがあそこにいるので、話を聴いてみたらいいと思うんですけども。
彼女は産婦人科の先生で、カンボジアの僻地の若い助産師さんを支援するプロジェクトをやって大成功を収めてきた人なんですよ。
マスター:ヨーコ:小原さん、この女の子たち、助産師さんなんですね。カンボジアではどんな問題があったんですか?
小原:はい、ヨーコさん、カンボジアでは1年でどんどんこういう若い助産師さんたちが養成されてきて、現場ではあまり経験がないので、女性が来たときに「診れないからよその病院へ行ってください」とか言ってたんですよ。
ヨーコ:たとえば、その18歳、19歳の女の子が助産師さんとしてそこの保健センターに行きました。教えてくれる人は?
小原:いないんです。やっぱり、助産師さんが1人で配属になってる保健センターが、国の保健センターの4割とかなので、あといるとしても男性の看護師さんの保健センター長さんくらいしかいないので、学ぶことが現地ではできないんですね。で、困って診れないから「どっか行ってください」とか言っちゃってたんです。
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番組をオンデマンドで聴く「第5回(2013年10月18日放送分)」
香月:お元気ですか。グローバルヘルス・カフェ、香月よう子です。
「グローバルヘルス・カフェ」、世界の健康を守る、そんな名前のついたカフェって、ちょっと変わってませんか?
ここのマスターはとっても面白いので、私、気に入って通っているんです!
それでは、さっそくカフェに入ってみましょう。
香月:マスター、こんばんは。
マスター:あー、こんばんは、よう子さん、いらっしゃい。こちらは橋本千代子さん、ちいさんです。
橋本・香月:こんばんは。
マスター:あれ、二人、会うのは初めてかなあ。こちらは看護師さんなんですよ。
香月:え、看護師さん? 看護師さんっていうと白衣の天使っていうイメージだけれど、実際のお仕事ってどんなものなの?
マスター:そうねえ、なんとなく看護師さんっていうと、医者の手伝いのような印象なんですが、看護学っていう学問を修めているんです。
香月:そうなんだ。
マスター:それで看護師さんの仕事っていうと、外来に行くと診療の補助っていう感じなんだけど...そうだ、ちいさんが説明してもらってもいいかもしれないけど。
橋本:診療の補助って、ふつうに考えると、患者さんにお薬をあげたり、注射をしたり、あとは検査のための採血をしたりとか、そういうことでしょうか。
香月:看護師さんのイメージですね。他にもありますか?
マスター:あとは、入院したときに療養上の世話というか、日常生活のお世話をやるわけですけどね。例えばどんなことあったっけ?
橋本:お食事の介助だったり、排泄のお世話だったり、あと移動を手伝ったりとか、私たちがふつうにやっていることが日常生活でできない部分を手助けしているんですよ。
香月:尊いお仕事ですね。
マスター:ちいさんは開発途上国でもたくさん働いた経験があってけっこう話が面白いと思うけどね。
香月:へえ、すごい!
「グローバルヘルス」、世界の国の人々の健康を守る、そんな名前のついたカフェって、ちょっと変わってませんか?
でもここのマスターはとっても面白い人だし、お客さんも国際医療協力でいろいろな国に行っている人が多いので、私とっても気に入って通っているんです!
今日もマスターはいろいろなお話を聞かせてくれるかな。では、さっそくカフェに入ってみましょう。
香月:マスターこんばんは。
マスター:ああ、よう子さん、いらっしゃい。
香月:ねぇねぇマスター、「グローバルヘルス」って、特に途上国の人の健康を守ることだと言ってたじゃないですか。このあいだ本屋さんで『世界を救う7人の日本人』という本を見つけたんだけど、この本のなかに出てくる藤田さんてお医者さん、もしかしてマスターの知り合い?
マスター:ああ、そうね。藤田さんはアフガニスタンで働いていたときの話を、たぶんその本に書いているんだよね。
香月:ということは、戦争でケガをした人を治しに行くような仕事?
マスター:必ずしも、治療したり、手術したり、注射したり、ということが仕事というわけではなくて、どちらかというとそれがどうやったらうまく動くのだろうかとか、そういうことをやるということも重要な仕事なんだよね。
香月:何か具体的にどういうことをするかということを思い浮かべるのが、ちょっと難しいかも。
マスター:そうね。藤田さんは国立国際医療研究センターの元々は産婦人科の先生なんだけど、ちょうど彼女がいるからちょっと聞いてみたらいいんじゃないかな。
香月:藤田さん、こんにちは。
藤田:こんにちは。
香月:藤田さんのことが書いてある、日経BP社から出ている『世界を救う7人の日本人』、これは池上彰さんの本ですけれども、読ませてもらいました。アフガニスタンのことで、イスラム圏で女性の出産などにかかわる仕事ってすごく大変だなぁと思ったけれど、アフガニスタンのほかにも藤田さんは行ったところはあるんですか?
藤田:そうですね。カンボジアとかタイとビルマの国境、最近はアフリカでのお仕事をしてますね。
香月:初めて行ったのは?
藤田:初めて行ったのは、カンボジアの国立母子保健センターという病院だったんですね。私は日本の産婦人科の病院で10年以上働いていて、そのときカンボジアでは女性が妊娠・出産で亡くなることが非常に多かった。特に、妊娠中に血圧が上がり高血圧になって妊娠中毒症で亡くなることが多いので、その治療法を導入するから、そのお手伝いに来てくださいと言われてカンボジアの病院に行ったんですよ。
香月:なるほど。私も出産を経験していますが、日本では妊娠とか出産で亡くなるなんて考えないですね。
藤田:日本は、本当に妊娠・出産でお母さんが亡くならなくなった国ですが、やはりカンボジアのような発展途上の国々は、まだまだ妊娠はすごく危険なことなんですね。その病院で、最初の日に病棟を回ったら、ちょうど血圧が上がって、けいれん発作を起こして目の前でバタバタしているというお母さんがいて、私はそんな光景を日本で見たことなかったのね。
香月:お医者さんなのに見たことなかったのですか?
藤田:日本だとそういう状況になる前に予防する。そういうことが進んでいるけれど、それが進んでない。だから、「カンボジアで予防・治療の方法を導入してください」と言われて、薬があるので、それを時間おきに打てばいいのかなと思いました。