第22回「新しい事業を生み出す方法」テキストデータ版(2017.2.21放送) [放送内容テキストデータ]
2017.02/28 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く第22回「新しい事業を生み出す方法」(2017年2月21日放送分)


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
藤沢:藤沢久美(シンクタンク・ソフィアバンク代表/常連客)

※ 番組では、みなさまからのご意見・ご感想を募集しております。
※ 番組宛メール送信フォームより、ぜひご意見をお寄せください。
※ お寄せいただいた内容は、番組内でご紹介させていただく場合がございます。


【経営者は好奇心旺盛】

マスター:藤沢さんいらっしゃいませ。今日は何にしますか。
藤沢:今日はちょっと紅茶な気分なんですよ。
マスター:実は私、紅茶好きなんです。
藤沢:本当ですか。マスター意外!
じゃあ今日は紅茶で、できればマスターのブレンドの紅茶、ぜひ。
マスター:あとお茶請けにですね、ちょうどザンビアに行ってきた帰りで、ドバイで買ったアラブのお菓子です。
藤沢:ですよね。懐かしのアラビアンなお菓子なので、ザンビアじゃないなぁと思いながら。
わあ、懐かしいです。
マスター:ぜひどうぞ。
藤沢:いただきます。私ね、この丸いのが大好きなんです。

マスター:今日ここに来る前に、ママチャリの前に5歳にもいってないかなあって感じの子供をですね、自転車に乗せて走ってくる人がいまして。
そしてその子供がですね「PPAP」を歌っているんですよね。
それで「PPAP」を歌っているのを聞いた時に、ちょっと思い出したんです。

【続きを読む】
第21回「公衆衛生危機と日本の国際医療協力」テキストデータ版(2016.12.20放送) [放送内容テキストデータ]
2017.01/06 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く第21回「公衆衛生危機と日本の国際医療協力」(2016年12月20日放送分)


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
藤沢:藤沢久美(シンクタンク・ソフィアバンク代表/常連客)

※ 番組では、みなさまからのご意見・ご感想を募集しております。
※ 番組宛メール送信フォームより、ぜひご意見をお寄せください。
※ お寄せいただいた内容は、番組内でご紹介させていただく場合がございます。


【今年を振り返って】

明石:いらっしゃいませ。藤沢さん、今日もムパンガナチュラルですか?
藤沢:そうですね、今年最後になっちゃうかも知れないから、やっぱりムパンガナチュラルでお願いします。
明石:すごいですね、お好きですよね。
藤沢:やっぱり美味しいですよね。
明石:いつの間にか年の瀬になっちゃいましたけれども。藤沢さんにとって、今年はどんな1年でしたかね。
藤沢:今年は私にとっては、すごく印象深い1年で。といいますのも3年前から、実は温めてきて準備してきたプロジェクトがあるんですね。2020年に東京オリンピック・パラリンピック。その前はワールドラグビー。その後ワールドマスターズとか、日本ですごく大きな国際スポーツイベントがあるんですけど、それに向けて、実は今年の10月にキックオフとなるイベントを文部科学省と一緒にやったんです。世界から、例えばスポーツ関係大臣とか、副大臣とか69カ国に参加していただいて。IOCのバッハ会長とか、みなさん来ていただいて、その大きなイベントをやったので、私としては官民でこの大きなキックオフイベントを出来たっていうことで、すごく印象深い。
明石:すばらしいですね。
藤沢:がんばったな、私!って。ちょっと、そんな1年だったんです。

【続きを読む】
第20回「人材活用と人材育成」テキストデータ版(2016.10.18放送) [放送内容テキストデータ]
2016.12/14 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く第20回「人材活用と人材育成」(2016年10月18日放送分)


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
藤沢:藤沢久美(シンクタンク・ソフィアバンク代表/常連客)

※ 番組では、みなさまからのご意見・ご感想を募集しております。
※ 番組宛メール送信フォームより、ぜひご意見をお寄せください。
※ お寄せいただいた内容は、番組内でご紹介させていただく場合がございます。


■ 日本のベテランビジネスマンが国際協力に貢献できる

マスター
:いらっしゃいませ、今日はカフェオレですね。
藤沢:こんにちは。また遊びに来てしまいました。
マスター:ああ、藤沢さん。この間はどうもありがとうございました。
藤沢:いえ、こちらこそ。すごいこの間楽しくて、またお話したくて来ちゃったんですけれども。
マスター:ありがとうございます。こちらも非常に楽しかったです。
藤沢:ありがとうございます。あと私、マスターのコーヒーがすごい美味しくて、今日もまたこの間と同じムパンガナチュラルをぜひドリップしていただきたくて。
マスター:グルンジのね、すごい美味しいという、お好きなコーヒーですね。
藤沢:はい。
マスター:じゃあそれにしましょう。
藤沢:ありがとうございます。

マスター:前回ね、藤沢さんがお帰りになる間際にお話されてた内容がとっても興味深かったんです。

藤沢
:はい。ベテランの商社マンとかグローバルで活躍していらっしゃった方が、もしかしたら国際医療協力とかに役立てるんじゃないかというあの話?

マスター
:そうですね。自分の経験を生かして、しかもみんなの役に立つという仕事だったら、やりがいもありそうですよね。

藤沢
:そうですね。最近、商社だけじゃないんですけれども、いろんな企業が、だんだん日本、高齢化しているなかで、やはり50歳台以上の方の割合がすごい増えているらしいんですね。さらに役職定年というのがあって、早いところだと45歳とか。ふつうでも50歳くらいになるともう役職定年ということで、それ以上あまり出世はしないというか、そういう方も増えていて、企業もそういう50歳を超えた方々にどういう活躍をしてもらおうかって悩んでいらっしゃって。
一方で働いている人も出世もしないでどうしようかなと思ってらっしゃるんだったら、その方がずっと磨いてこられたいろんなネットワークとかノウハウとか経験を生かして、たとえば商社マンなら海外で活躍されてたからそういう方が海外で国際医療の世界に一緒に踏み出してみるなんてあるかなあなんて。

マスター:特にそうしたらあれですよね、若い方と一緒にという感じですかね。

藤沢
:そうですね。それもひとつあるなあと思っていて、最近の若い方って、ただお金稼ぐためにとか、家が欲しいから、車が欲しいから、なんか給料たくさん欲しいという人はそんな多くない気がして。どっちかというと、役に立つ仕事をしたい、人に喜ばれる仕事をしたいとか、なんで働くのかというのをすごく考える人が増えている気がして......

マスター
:なるほど。

藤沢
:実はそういうことをしっかりと持ってらっしゃる方というのは、意外に社会における年配の方の気がするんですよ。

マスター
:なるほどね。

藤沢
:で、そういう人たちがペアを組んで、たとえば新しいお仕事にチャレンジすると、お互いに学びあえるじゃないかな、と。

マスター
:我々も開発途上国といわれる所に行ってるとですね、若い人たちを育てるということは、やはりその国の未来をつくることなんだなっていうのをすごく感じてですね、そういう意味でも日本はベテランの方たちがいろいろノウハウを身に付けてきた。そういう人たちがそのままリタイアしてそれで終わりって、それでじゃあ若い人たちにそれが引き継がれないのかっていうのは非常に何かもったいない気がするんですよね。

藤沢
:これ日本もそうだし途上国もそうかなと思うんですけども、まず日本のことを考えると、日本は世界的にも教育をしっかりとやっている国で、今のご年配の方々も他の国の同じ年の人に比べたら基礎教育をしっかり受けて更に高等教育を受けた人たちなので、そういう方がたとえば途上国に行かれて、途上国の若者たちに何かを教えて差し上げることができたら、それはすごく一つのその国の人育てということにもなると思うし、翻って日本の若者って観点で見ると、日本の若者たちはとても忙しい日々を送っているなかで、やっぱり働くことの意味とかそういうことをしっかり教えてもらえないで社会人になっちゃうってこともあるので、今度はちょっとゆとりを持った先輩方がそういうことを教えてくださったり。同時に日本の若者が面白いなともう一つ思うのは、日本って世界で一番初めに、すべての人というと言い過ぎなんですけれど、日本の隅々にインターネットが普及した国なんです。

マスター
:そうなんですか。

藤沢
:そう。そうするとデジタルネイティブといわれるんですけれど、子どもの頃からインターネットに接していて、そういうセンスって先輩方ないんですよ。そういうセンスを持った若者、つまり未来の社会の価値観を持った若者と、古き良き知識を持った先輩が一緒に途上国に行って何かをするというのはすごく面白いし、お互いなんか三者とも人育てになるというか、そんな気がするんですよね。

【続きを読む】
第19回「医療の国際展開」テキストデータ版(2016.8.16放送) [放送内容テキストデータ]
2016.08/30 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く第19回「医療の国際展開」(2016年8月16日放送分)


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
藤沢:藤沢久美(シンクタンク・ソフィアバンク代表/常連客)

※ 番組では、みなさまからのご意見・ご感想を募集しております。
※ 番組宛メール送信フォームより、ぜひご意見をお寄せください。
※ お寄せいただいた内容は、番組内でご紹介させていただく場合がございます。

■社会企業家と新興国の橋渡しをする

マスター:いらっしゃいませ、いやあ今日は暑いですね。アイスコーヒーですね。

藤沢:こんにちは。あ、お隣いいですか。はじめまして、藤沢久美です。

マスター:藤沢さんをご紹介したいんですけど、どんなふうにお伝えすればいいですかねえ。

藤沢:シンクタンク・ソフィアバンクという会社の代表をしているんですけれども、それ以外には政府のいろんな審議委員だとか、文部科学省の参与というお仕事もしています。あと豊田通商とか、地方銀行の静岡銀行の社外取締役とかいろんな公職が多いんですけれど、私のなかでとても力を入れているのが、日本の中小企業さんとかベンチャーの社長さんとか、そういう方々にもっと海外を知っていただいて、海外にもビジネスをしに行きませんかというような、そんなお手伝いをしています。

マスター:社会的企業家とか、そういうような支援とかそういうのもなさっていらっしゃるのですか。

藤沢:そうですね。元々、社会企業家の方々を応援するような集まりとかもやったりしていましたし、私自身も社会企業家として途上国の小学校の給食を支援するようなNPOであるとか、そういった活動もしたりしていますし。あと、何年か前はグラミン銀行のモハメド・ユヌスさんが日本に来る時に、それこそ日本の企業の経営者さんたちとユヌスさんとお話をする会をいくつか作って、日本の企業の人たちもビジネスのなかにそういう社会企業家的なセンスを入れていきませんかというような、そんなことをやったりもしました。

マスター:そうですか。実はNCGMもユヌスさんのところと関係がありまして、うちでも講演をしていただいたことがあるんですけれども、その後も向こうのグラミンヘルスのほうに行ってお話とかしているんです。

藤沢:一緒に何かプロジェクトとかやってらっしゃるんですか。

マスター:今は直接やってないんですが、ユヌスさんたちのお考えは、やっぱり貧しいお宅の女性の方たちに仕事を作る、それから同時にバングラデシュの看護師さんたちの不足を補うというようなことをやってらっしゃって、あちらが作った看護学校に支援したこともあるんですけれども。その後はユヌスさんのところではなくて、グラミンヘルストップのスルタン先生。このスルタン先生のところに、いろんな企業がいろんな機材とかですね、「これ新しいから使わないか」とかいう提案をもってくると。日本もいろいろいいものを作っているでしょう、と。だからちょっと紹介してくださいというので、一度紹介したことがありますね。

【続きを読む】
第18回「国際医療協力とイノベーション」テキストデータ版(2016.6.21放送) [放送内容テキストデータ]
2016.06/28 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く第18回「国際医療協力とイノベーション」(2016年6月21日放送分)


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
伊藤:伊藤 洋一(エコノミスト/常連客)

※ 番組では、みなさまからのご意見・ご感想を募集しております。
※ 番組宛メール送信フォームより、ぜひご意見をお寄せください。
※ お寄せいただいた内容は、番組内でご紹介させていただく場合がございます。

デジタルは"壁崩し"の技術

マスター:いらっしゃいませ、グローバルヘルス・カフェへようこそ。コーヒーですね。

伊藤洋一:こんにちは。あら、先客がいらっしゃるんですね。はじめまして、エコノミストの伊藤洋一です。

マスター:伊藤さんは国際経済がご専門なんですよね。

伊藤:国際経済ですけれども、結局全てつながっているじゃないですか。政治も見ますし、社会も見ますし。最近はどうですかね、AIとかね。イ・セドルに囲碁でAIが勝ったじゃないですか。僕、ずっとAIの取材をしていて、IBMさんとかいろんなところにお伺いしていますけれども、それがみんな最初のターゲットとしている領域は医療だと、こう言うんですよね。つまり、AIというのは人工知能で、お医者さんの領域ってみんなセグメント化されていますよね。それを、AIを使って統合すると思わぬところから回答が出てくるっていう。世界は高齢化していますし、AIというのはそういうところから一般に普及しているのかいう感じがひとつ。それと、世界的に人口が減少傾向に入っていますよね。OECDの生産年齢人口も今年が頭打ちです。要するに、世界が成長に対する考え方を大きく変えてきている。そこらへんが私の関心項目ですかね。

マスター:なるほど。そうすると、経済そのものも国境が無い感じだし、それに対していろんなインターベンションというか、それもAIを中心に、ITとかいろいろあるんでしょうけれど。

伊藤:最初からデジタルが出てきた時に、これは壁崩しの技術だと僕は思ったんですね。つまり、壁崩しって何かというと、デジタルが普及する前の産業ってどんどん専門化していったわけじゃないですか。でも、デジタルっていうのは横串を通す技術なので、全ての情報が、今なんかクラウドでね、集合されて、その中でもまれてAIを通じて、何か問い合わせがあればAIが回答を出すみたいな状況になってきているので、これからの時代は、専門化よりむしろ統合化の、つまり隙間を埋める知識とかそういうものが非常に重要になってくると思っているんですね。

マスター:経済だけじゃなくて、それを突き崩す、もしかすると経済と医療とか、経済と保健とか、経済と何とかとかという話だけじゃなくて、そこの間の壁も崩れてきているかもしれないということなんですね。

■ BOPビジネスの考え方が製薬業界や支援体制の流れを変えている

伊藤:私が最近見たテレビ番組で、薬は誰のものかという番組をやっていたんですね。ものすごく資本主義が変わりつつある大きな変化だと思ったのは、たとえば製薬会社って先進国の豊かな層相手にしか薬を作らないじゃないですか。

マスター:これまではね。

伊藤:お金払う人はそこにしかいないわけだから。

マスター:開発にもかかるし。

伊藤:そうなんですよ。エイズとかそういう薬がなぜ普及に遅れたのかというならば、要するに作ろうともしなかった、世界の主要な製薬会社はね。でも、そういう流れが変わりつつあるというのは感じていて、でもどういう方向に行くのかなとずっと関心があるんですよね。

マスター:なるほどね。たぶん、薬を買えないというだけじゃなくて、オーファンドラッグというのですけど、買える層、ターゲット、患者さんがそんなに数がいない。たとえば風邪薬だったら世界中でいっぺんに売れちゃうけれど、(エイズなんかは)一部の人しかかからないので、結局開発コストがペイしない。したがって単価を高くせざるを得ない。というようなことも動いていましたね、確かに。

一方、やはり世界的に、今までの企業として利益を追求するという形だけじゃなくて、ご存じのように、社会貢献というのをまあどちらかというと会社の本業にしているという動きが出ていると思うんですよね。それが社会的企業とか、それはまあ企業のCSRが発展した形だと思うのですが。いずれにしろそういう企業側の変化、それはBOPビジネスもそうですけれど。BOPというのはですね、世界の人口をピラミッドとして考えると、一番トップにいるのは高所得者の人たち。次は中間。それで一番底辺の、年間所得が3,000ドル以下の低所得者層をBOPBase Of Pyramid)といっていますが、これを消費の市場として捉えて、それをビジネスに結び付けるという考え方なんです。その人たちの社会的課題を解決に向けて図りましょうと、そういったような動きそのものが全体としてBOPビジネスという考え方。そういうことが起こっている。それの背景には世界的な経済の発展などや、グローバル化があります。それだけじゃなくて、たとえば交通、移動の容易性。たとえば途上国といえども、お金持ちの人は昔はその国の中で医療を得ればよかったけれども、隣の国に行ってしまえば、良い医療が得られますということがまあ普通にできるようになってきている。

さらに援助側では、今までは国対国の援助、あるいは国連機関を中心にと行っていたのが、NGOが出てきますよね。さらに今それがアライアンスという形で、企業も入るし、国連機関も入るし、国対国のバイというのですけれども、そういった機関も入るようなアライアンスができ、さらにそれがクラウドファンディングなどの形で、個人個人が別の人たちのいいこと、それは企業か中小企業かもしれないし、そういうことに直接ファンドできるようになってきている。

ということを考えると、要するに今までの大きな企業が全てを動かすという時代だけじゃなく、要するに個人の力で個人のそういう活動をエンカレッジする。そういうことによって新しい、たとえば先ほどの薬の開発かもしれないし、薬の開発だけじゃなくてその仕組みの開発なんかにもつながってきているんじゃないかなと思うんですよね。

■ 銀行がお金を貸すことの意味

伊藤:金融の世界では、薬とよく似ていて、大銀行が世界を支配しているみたいに言われているんですけれど、バングラデシュではね、グラミン銀行というのがあって。本当に字も読めないバングラデシュの女性たちに針とかそういうものを買うお金を融資して、それによって彼女たちが何らかの生産ができるようになって逆に返せるという、小さいところから始めて産業を興していくみたいな努力をしているんですよ。大企業のなかでも消費者の目としてはフェアトレードなんかが広がってコーヒーの産業が抱える深刻な問題とかあって、要するに上から目線ではなくて下からも見ていこうというところがあるわけじゃないですか。医療ではそういう動きというのはないですか。

マスター:いや、ありますね。実際にたとえばグラミンの場合ですね、ユヌス先生、モハメド・ユヌスさんというのはノーベル平和賞を取った方ですけれど、あの方ともお話したことがあるんですけれど、講演のなかで言っていたのは、「銀行というのは元々お金の無い人たちに貸すところです」と。ところが......

伊藤:今どうなってるんだ。

マスター:そうそう、やれ担保はどうなんだ、やれ何とかはどうなんだという。それでユヌスさんはチッタゴン大学の経済学の教授だと思うんです。

伊藤:そうです。

マスター:そういうなかでお金の無い人、彼らは別に巨額のお金が必要なわけじゃないんですよね。ユヌスさんは最初お金を貸してくれと言われて、確か20ドルくらいお貸しした。返ってくるのかどうかわからないなと思っていたら返ってきたと。それで借りた人はそれを元手に稼業というか起こした。小さなことで変えられる、というのをある種組織化して、ほかのところに移植したと。グラミンは銀行だけじゃなくて、ヘルスとかいくつかやってるんですよね。モバイルフォンとか。ヘルスのトップと話しても、地域の人たちが普段(医者に)かかれない、要するに大都会に行かなければならないといったことも解消するように、少額でも(医者に)かかれるというようなことをやっていますよね。

だからお金を貸すってかなり経済的に見えやすい話ですけれども、それだけじゃなくて、保健医療サービスへのアクセスを改善するような動きも出てきていますし、実際にそれを医療サービスとつなげるというようなことを彼らはやっている。日本でいうとたとえばワンコインサービスみたいなものを始めているNGOみたいなのもありますけれど、そういったような動きはありますよね。

【続きを読む】
第17回「ベトナムの地域医療連携─顔が見える関係づくり」テキストデータ版(2016.2.16放送) [放送内容テキストデータ]
2016.02/25 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く第17回「ベトナムの地域医療連携─顔が見える関係づくり」(2016年2月16日放送分)


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
土井:土井 正彦(国立国際医療研究センター/看護師)
ヨーコ:香月 よう子(フリーアナウンサー)

※ 番組では、みなさまからのご意見・ご感想を募集しております。
※ 番組宛メール送信フォームより、ぜひご意見をお寄せください。
※ お寄せいただいた内容は、番組内でご紹介させていただく場合がございます。

■ベトナムでも大病院に患者が集中する

マスター:グローバルヘルス・カフェ、マスターの明石です。今日は、常連客のヨーコさんと、看護師の土井さんがあちらで話しています。早速聞いてみましょう。

ヨーコ:土井さんは、ベトナムに行っていたんですよね?
土井:ベトナムの北部にあるハノイという都市にいました。実際に働いていたのは、ハノイ市より北西部に80kmぐらい行った、ホアビン省の省病院と、そのホアビン省の保健局です。
ヨーコ:役所みたいなところで。
土井:そうですね。お役所です。
ヨーコ:今、マスター。土井さんがショウ病院って言ったんですけれども。
マスター:日本で言うとまぁ県に当たるのが省なんですけれども。
ヨーコ:省、小さいショウじゃなくて。
マスター:じゃなくてね。
ヨーコ:何々省のショウですね。
マスター:そうですね。まぁそこより下に郡病院とか、さらに下にコミューンのヘルスセンターなどがありますが、一方その省病院の上には、ハノイとかホーチミン市にある大きな病院、大病院があります。
ヨーコ:その病院は土井さん、どんな状況なんですか?
土井:ハノイ市の病院は、ハノイの人だけじゃなく、ホアビン省であるとか、そのほかの周辺省から患者さんが集まってきて、とても患者さんが多い病院です。一方、そのホアビン省の病院は、それほど患者さんが多くはなくて、ひっそりしている。
ベッドも空いているところがあったりするのが、この省病院の現状です。
そういう現状なので、まず省の病院の能力を向上する、強化するということで、研修できるような体制を作ったり、郡病院から患者さんを搬送する際に、適切に搬送できているのか、何か問題がないのかといった搬送のシステムを作ったのが主立った活動です。
ヨーコ:なるほど。大都市の病院ではないところの技術を上げるということと、それからその連携を強めていくというか、つながりを強めていくというか。まぁ、地域医療連携みたいなイメージになるんでしょうか。
土井:そうですね。ベトナムというのはシステムの国なので、地域医療連携というのはそもそもあるんですけれども、それがうまくいっていないところがありました。そこで、システムを動かすだけじゃなく、地域とうまく結びつけて情報共有をして、進めていくということをしました。
ヨーコ:なるほど。地域医療連携という言葉は日本でもよく聞きますが、マスターこれはすごく大事なことなんですか?
マスター:そうですね。特に下位病院といって、たとえば郡病院やクリニックなどでは、自分たちだけで全てできるわけではない。この人は手術が必要だなとか、そういう人たちをどこに送るのだろうとか、さらにもっと専門的な心臓などの病気に対応するときに、専門病院なり、上位の病院に送るということをしなければいけない。
ヨーコ:なるほど。逆に、周りの病院でなんとかなる患者さんが大きな病院に行ってしまうと、それも難しい問題になる、ということですよね。
マスター:そうですね。日本でも大病院に患者さんが集中しがちというのはあると思います。大病院じゃなくても診られる患者さんが大病院にどんどん集まってしまうと、逆に言えば大病院じゃないと診られない患者さんが後回しになってしまったり、時間がかかってしまったり、というようなことが起こります。ですからそういう意味でも適切なレベルで、適切な患者さんが診られるということが大事だと思います。

■ 「場を作る」ことからスタート

ヨーコ:土井さん、実際現地に着くと早速いろんな壁が見えてくるということなんですが。
土井:ベトナムというのは社会主義の国です。制度であるとか、規則であるとか、ヒエラルキーがとてもしっかりした国なんですね。そういうなかで、まずはその地域医療連携をする部署を病院に作って、そしてそこで働く人たちと一緒になって、連携をしていくという仕組みを考えました。
ヨーコ:ヒエラルキーとか制度がきちんとできているというのはすごく良いことのように聞こえますが。
土井:たとえばですね。会議に出ると、管理者、病院の院長先生や保健局の局長さんといった方が、がしっとその場を治めてしまっているので、会議の雰囲気が固まってしまう。だから自分の意見であるとか、状況をもっと説明してもらいたくても、それが出ない雰囲気になるということがありました。
ヨーコ:その地域医療連携指導室でしたっけ?これはどういったもので、どういうことをされていった
んでしょうか。
土井:その部署ではまず「場を作る」っていうことをやっています。いろんな患者さんの状況、病院の情報などをシェアする「場」です。下の病院から上位の病院に患者さんが搬送される際の情報を集めて分析し、患者さんが適切に送られてきているのか、医師が適切に診断したのかといったことをしっかりと見て、足りなければそれを研修やセミナーに生かすということを、その部署が企画して実施する。
ヨーコ:なるほど。要するにその、救急で搬送されてきたような実際の事例をよく検討したうえで、お医者さんがちゃんと診断できていたかっていう技術的なことなのかっていうことをまず調べるわけですよね。
土井:そうですね。

■ 現地のリーダーのモチベーションを上げる努力

ヨーコ:その「場」を作る際にどういったことに注意なさいましたか?
土井:我々はそこにずっといるわけではなくて、途中でプロジェクトが終わったら出ていってしまう、そこを去ってしまいます。ですので、我々が全部やるのではなく、ベトナム人である彼らのほうにイニシアチブを取ってもらって、そして進めていくような場や機会を作っていました。
ヨーコ:なるほど。じゃあ土井さんが陣頭指揮に立って「あれやれ、これやれ」ということではなかった?
土井:そうですね。
ヨーコ:その役目を担ったのはどういった?
土井:先ほどお話した地域医療指導室の長になる方、ベトナム人のその人物を中心に場を作り、研修を企画しました。
ヨーコ:その長の方はどんな方だったのでしょう?
土井:その方は、元々は歯科医でした。彼はなかなかその部署をうまく回していけなかったのですが、場を作る際、研修をやる際に準備から関わってもらったりして、なるだけ彼のモチベーションを上げるようなことをしました。
ヨーコ:モチベーションは高い人だったんですか?
土井:残念ながらその方はあまりモチベーションが高くなく、最初はプレゼンテーションなどもあまりうまくできなかったのですが、繰り返しやっていくうちに徐々にモチベーションも上がっていって、プレゼンもだんだんうまくなっていきました。
ヨーコ:彼が変わったな、と思った瞬間とかあります?
土井:そうですね。先ほどお話した、プレゼンテーションを何度も何度もやっているうちに、途中で堂々とやるようになっていたんですね。「あれ、どうしちゃったんだろう?」と思いました。
やはり彼自身が準備をしっかりやり、人の前で話をする際、特に会議では彼よりもずっと役職の高い方、管理者がたくさん揃っている中で、自信を持ってやる。そのことで彼のやる気が引き出されたんだなというのはありました。

【続きを読む】
第16回「未来の看護に向かって」テキストデータ版(2015.12.15放送) [放送内容テキストデータ]
2016.01/04 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く第16回「未来の看護に向かって」(2015年12月15日放送分)


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
メグミ:五十嵐 恵(国立国際医療研究センター/看護師)
ヨーコ:香月 よう子(フリーアナウンサー)


■ カンボジアで看護学を学ぶ人を増やす活動

ヨーコ:お元気ですか、グローバルヘルス・カフェ、香月よう子です。国際医療協力にかかわる人たちが通うカフェってちょっと変わってませんか。ここのマスターはとっても面白いので、わたし気に入って通っています。それではさっそく、カフェに入ってみましょう。

マスター:グローバルヘルス・カフェ、マスターの明石です。あ、あそこにいるのはメグミさんだ。国際協力に携わりたくて看護を勉強して、今、カンボジアとか途上国に行って頑張っているんです。
ヨーコ:マスター、何ぶつぶつ言ってるの?
マスター:あ、ヨーコさん、こんにちは。
ヨーコ:こんにちは。
マスター:メグミさんはカンボジアで看護学を学ぶ人を増やして、未来の看護師さんを増やそうということに頑張っている若手なんだ。
ヨーコ:へえ、看護学というのがあるんですね。
マスター:そう、看護学。看護師さんって、どうしても何かね病院の現場で仕事をするというところがよく見られちゃうんだけども、実は医療のなかでたいへん重要な役割を果たしてて、そういう意味で看護をもっと高めましょうということで看護学の大学とか大学院がどんどん出てきてます。カンボジアはね、ちょっと前までは看護学の大学ってなかったんです。それがまあ最近出てきたということですね。

■ カンボジアの看護師と勉強会を開いた

ヨーコ:メグミさん、こんにちは。
メグミ:こんにちは。
ヨーコ:メグミさんは長くカンボジアに行ってたんですか?
メグミ:いえ、短期で行っていました。1回目は1カ月、カンボジアの国立病院で働く看護師の支援に行ってきました。2回目は2カ月間、将来カンボジアの看護を担うリーダー育成の支援に行ってきました。
ヨーコ:じゃあ1回目のことからちょっと聞いていきたいなと思うのですが、実際のそのカンボジアの看護師さんってどんな感じだったんですか?
メグミ:私が働いてきたカンボジアの国立病院というのは、小さく生まれたり、あとは少し元気がなくて様子を見なければいけない、病気を持った赤ちゃんたちが入院してくる病棟だったんですが、生まれてくる赤ちゃんの数もとても多くて、入院する赤ちゃんも多いので看護師さんだけでは十分にケアをすることができなくて、家族と一緒に看護を提供しているという状況です。
ヨーコ:なるほど。日本とはだいぶ違うと思うんですが、そこでの看護とかケアというんですか、そういったものというのはどんなことをやられていたんでしょうか?
メグミ:看護師の仕事はたくさんあるんですけれど、やはり熱を測ったり、脈を測ったり、血圧を測ったり。そういうことを正しくできないと、赤ちゃんたちを正しく見てあげることができないので、きちんと異常があるのか、そうでないのかというのを判断できるように、そういうことを一緒に考える勉強会を開きました。
ヨーコ:それってふつうにやれることのような気がするんですけど、看護師さんなら。
メグミ:そうですね。やはり私たちも学校でそういうことをきちんと先生に教えてもらいながら身に付けていく技術です。そういう教育を受けてない看護師さんたちはそういったものの考え方をするのはやはり苦手ですし、もうちょっと強化していかないと赤ちゃんを救ってあげることができないんじゃないかなと思いました。
ヨーコ:要するに、ちゃんと測って、それで調べていくみたいなことっていうことを全然やってないということになるのかしら?
メグミ:そうですね。実際はなかなか難しいと思います。
ヨーコ:そこでどんなことをメグミさんはやってきたのでしょうか?
メグミ:最初は何を考えて看護師さんたちがケアを行っているかというのを、一緒にケアを通して観察するようにしました。
ヨーコ:観察というのは何でしょう、看護師さんと話し合うみたいな、「どうして、それやってるの?」って聞いたりする感じですか?
メグミ:そうですね。あと一緒に赤ちゃんの熱を測るのもやらせていただいたり、身体を拭いたりするのも一緒にやらせていただいて、どんなことに看護師さんたちが困っていて、どんなことを支援してあげたらもっとよい看護が提供できるのかなというのを一緒に活動しながら探していった感じですね。
ヨーコ:一緒に活動していってわかったことってどんなことあります?
メグミ:まず1つは、もっと看護師として赤ちゃんにやさしくして、赤ちゃんたちが早くよくなってほしいと思う気持ちというのは、そこで働く看護師さんたちも一緒で、お母さんたちが心配でお母さんたちもいい看護を提供してあげたいと思っていることがすごくわかりました。
ヨーコ:反対に、ここはもう少し何とかしたいなと思ったところはどういったところですか?
メグミ:先ほども話したように、どうしても勉強していないからなんですけれど、たとえばお熱が上がったときにただ冷やせばいいということでなくて、その原因は何なのか考えて必要な治療につなげられる看護というのを提供していってほしいなということは思いました。
ヨーコ:一緒に活動して、一緒に考えていくなかで、看護師さんが変わったなと思ったところって何かありますか?
メグミ:1回目のときは、勉強会を開いたら、たとえば呼吸を測るときは時計を使って1分間にどれくらい呼吸をしているのかというのを測るんですけど、お部屋にも時計はないんですが、看護師さんたちも時計をして働くということがなかったんですね。ですが、その勉強会の後、ある看護師さんが腕時計を着けて病棟に来てくれたんですね。それで一生懸命やっているとこを見せてくれて、「やろう」という気持ちがとてもうれしかったです。

■ タイの看護を目指すようになった

ヨーコ:そして2回目はカンボジアの看護師さんをタイに連れて行ってリーダーを養成していくというようなプロジェクトに関わられたということなんですけれど、これちょっと難しいですよね。どういうことなのかな、マスター?
マスター:ああ、これね。カンボジアというのは、学士、いわゆる大学教育が看護学で行われてなくて、そのなかで看護学校を出た看護師さんがいる。看護学校を出た看護師さんたちを学士、大学卒という形に、そういう教育を施してくれるところがタイの大学でやってくれるということで。
ヨーコ:要は編入みたいな形で学士になれるというような、そんなようなコースを作ってくれるプロジェクトということ。
マスター:日本でもあるんですけど、准看護師さんを看護師にするとか、それとはちょっと形は違うのですが、そういう看護学校出の看護師さんを大学卒という形にしてくれる。
ヨーコ:学問としての看護学ということが、看護の現場には必要だということを身をもって感じたメグミさんですよね。このプロジェクトに関わってみていかがでしたか?
メグミ:このプロジェクトで、タイで学んできた看護師さんたちが本当に自分たちの職場を見直してもっとよくしたい、もっといい看護を目指したいという強い思いを持って活動されているのが本当に印象的でした。
ヨーコ:いつも現場にいて自分がやることはすごい忙しいしわかってると思ってるわけじゃないですか、看護師さんたちは。タイの看護学というのを学ぶとやはり衝撃はあるんですかね。
メグミ:卒業生の皆さんは本当に衝撃を受けて帰って来ました。私も、この卒業生たちが何が一番変わったのかなと思って、私は短期間で2カ月しか関われなかったんですけれども、ずっと長く彼らに関わっていた先生に聞いてみたところ、彼らたちがタイから帰ってきて自分たちで言った言葉が「これまでの自分たちの看護は何だったんだろう」ということを自分たちの口で述べたようです。それを聞いて、タイでの看護というのが目指すべきものになってきたんだなということがわかりました。
ヨーコ:やはり、どうしてこうなるのかなという気持ちというのは生まれてると感じました?
メグミ:感じましたね。まず、モデルになる看護師さんたちが側にいてくれるということは、やっぱりそうなりたい、そういう看護が提供したいという環境にきっといたと思うので、自分たちがもっといい看護を目指したいという気持ちに変わっていったんだと思います。

【続きを読む】
第15回「アフリカでの検査技師活動~精度管理を充実させるために」テキストデータ版(2015.10.20放送) [放送内容テキストデータ]
2015.10/26 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く第15回「アフリカでの検査技師活動~精度管理を充実させるために」(2015年10月20日放送分)


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
橋本:橋本 尚文(国立国際医療研究センター/臨床検査技師)
ヨーコ:香月 よう子(フリーアナウンサー)


■ 臨床検査技師って何をする人?

ヨーコ:お元気ですか、グローバルヘルス・カフェ、香月よう子です。国際医療協力にかかわる人たちが通うカフェってちょっと変わってませんか。ここのマスターはとても面白いので、わたし気に入って通っています。それではさっそく、カフェに入ってみましょう。

マスター:グローバルヘルス・カフェ、マスターの明石です。あそこにいるのは橋本さん。臨床検査技師という、まあ国際医療協力ではあまりなじみのない、あまり聞いたことのない人ですね。
ヨーコ:マスター、何ぶつぶつ言ってるの?
マスター:あ、ヨーコさん、こんにちは。
ヨーコ:こんにちは。
マスター:ようこそ。臨床検査技師って知ってる?
ヨーコ:うーんと、レントゲンとかやる人だよね。
マスター:あー、それは放射線技師さん。
ヨーコ:え。
マスター:臨床検査技師さんていうのは、たとえば病院でいうと採血とか、おしっこを取ってくださいとか、検査しますよね。そのときに、バックヤードで検査をしてくれる人です。
ヨーコ:けっこう重要なお仕事ですね。
マスター:そうですね。
ヨーコ:そういう人も国際医療協力に関わったりするんですか?
マスター:そうですね。彼はマラウイとかザンビアとか、アフリカでね主に活躍している人ですが。
ヨーコ:臨床検査技師、なんだか難しそうなお仕事だけど、ちょっとお話聴いてみようかな。
マスター:そうですね。ぜひ聴いてください。

■ 夜中でも検査の呼び出しがかかった

ヨーコ:橋本さん、こんにちは。
橋本:こんにちは。
ヨーコ:橋本さんは臨床検査技師として、マラウイにまず行かれたそうなんですが、これどんなお仕事をなさったんですか?
橋本:はい、1991年4月から93年4月までマラウイの病院の検査室で主に検体検査をしていました。検体は、たとえば血液とか尿とか、それとか喀痰とか糞便です。
ヨーコ:そういったものの検査をするお仕事をしていたということなんですね。
橋本:はい。
ヨーコ:日本と違うところってどんなところなんですか?
橋本:はい、日本と違うのは、当時は、いまもそうですけれど、HIVの患者が多くてそれに関する検査、特に輸血検査とか、あとはマラリアとかの寄生虫の検査、そういうのが非常に多かったです。
ヨーコ:けっこう日本にいてはあまりやらない検査というのもすごく多かったということですか?
橋本:はい、それは寄生虫の検査とかそうですけれど、HIV関連の検査は特に多かったです。日本ではあまりいまないです、マラウイと比べたらないですけれど、向こうはそれが日常茶飯事で、当時は薬もなかったので入院する人はみんな亡くなるという状況でした。
ヨーコ:まだ治すというか、治療方法が確立されてないころ......
橋本:薬はあったんですけれど、途上国に行き渡るほどの価格ではなかったということがあります。
ヨーコ:では、すごくお忙しかったんじゃないですか?
橋本:昼間働いて、夜は待機して、呼びに来たときに検査室に戻って夜中検査するということです。
ヨーコ:え、夜中も検査するんですか?
橋本:はい。
ヨーコ:それはどういうことですか?
橋本:それは、夜とか早朝にかけては、重症な患者さんが連れて来られて、特に輸血関係が多いんですけれど、たとえば赤ちゃんの重度のマラリアとか、あとは妊娠して出産で異常出産での大量出血の事故とか、そういうときはすぐ血液が必要になって、そういうときはその患者さんの肉親が付いてきて、その方の肉親の血液を調べてすぐ患者さんに入れないといけないんですね。
ヨーコ:待機していて、電話が急にかかってきたりする?
橋本:電話じゃなくて、直接、病院敷地内に宿舎があったので、そこにいますと、夜中、ドアを叩いて......
ヨーコ:ドンドンドンドンと?
橋本:ハシモト、ハシモト!
ヨーコ:そうすると、パジャマを着ててもすぐ出て......
橋本:もうパジャマ着てないで服の上に......
ヨーコ:いつでも行けるようにして......
橋本:行けるようにして......
ヨーコ:そのまま寝ぼけ眼でもいつでも行けるようにして外に出ますよね、真っ暗ですね、どんな感じで、走って?
橋本:走って行くときもあるし、自転車で行くときもあるし。雨のときは傘さして走って行くけれど、そうじゃないときは自転車で行きますけど、真っ暗なときは見えなくてドブに落ちたということもあります。
ヨーコ:ドブに落ちてその後やっぱり行くんですか?
橋本:行きます。そのときは服脱いで......
ヨーコ:服脱いで......
橋本:ドブのところは臭くて汚いんでね。
ヨーコ:そのまま裸で走って検査をして......
橋本:緊急なんで。
ヨーコ:一刻を争いますからね。まず橋本さんがいて検査をしない限り、その輸血はできないわけですね。
橋本:できません。血がない。
ヨーコ:そうすると、もうドブに落ちようが何しようが、もう這い上がって走って行く。
橋本:はい。
ヨーコ:すごい生活をされましたね。

■ 「セイドカンリ」って何?

ヨーコ:精度管理というのを私初めて聞いた言葉なんですね。「せいど」というと、みなさんシステムのほうの制度を想像するかと思うんですが、正確さとか精密さという意味の精度ですね、米偏に青の。これは一体、何なんでしょうか?
橋本:はい。要するに、たとえば、体重を量るときにまず体重計を持ってきて、動くかどうかみて、必ず目盛りをゼロに合わせますね。
ヨーコ:はい。
橋本:本当だったら、1㎏だったら1㎏を指すように、たとえばペットボトルの1㎏の水を置いてみて、1㎏を指す。それからまあ体重とか量るのが筋なんですけれど、要するにそういうことですね。検査もそういうことでちゃんと機械が動いているか、すべての試薬を設定して、精度管理の試薬を入れたら、たとえば精度管理の試薬が指定している値が出るか、その値が出てはじめて検査ができるという感じになります。
ヨーコ:患者さんの検査の血液とかそういったものは、まず試薬で確かめてから検査をする。
橋本:精度管理用試薬を検査して、その値が基準内に入っていたらそれでOKで、はじめて患者さんの検体を検査するという手順になります。
ヨーコ:では、ザンビア、最初に行ったときはどういう感じだったんでしょうか?
橋本:ザンビアは2004年くらいから主にアメリカのお金で、特にHIVの患者さんに対する検査の強化ということで大規模にいろいろな機械が入ってきました。その機械が入る前は、ザンビアの検査技師というのは、そういうふうに精度管理をちゃんとするということなしに、割と検査していたんですけれど、そういうのがいきなりドンと入ってきて、こういう検査する前にはちゃんとそういう精度管理をしないといけないんだよということにまず慣れることに時間がかかったんですね。で、わかってもなかなかうまくできないとかあって、私が赴任したときは、ようやく機械が入ってから4年くらいたったんですけれど、ある病院の検査室では全然しないとか、あるところではしても、なんか精度管理している割にはあまりにも値がおかしいとか、そういうことが頻発していました。

【続きを読む】
第14回「赤ちゃんを助けたい-新生児科医の挑戦」テキストデータ版(2015.08.18放送) [放送内容テキストデータ]
2015.08/21 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く「第14回「赤ちゃんを助けたい-新生児科医の挑戦」(2015年8月18日放送分)」


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
ヨーコ:香月 よう子(フリーアナウンサー)
岩本:岩本 あづさ(国立国際医療研究センター/医師)


■ カフェへようこそ!

ヨーコ:お元気ですか、グローバルヘルス・カフェ、香月よう子です。国際医療協力にかかわる人たちが通うカフェってちょっと変わってませんか。ここのマスターはとても面白いので、わたし気に入って通っています。それではさっそく、カフェに入ってみましょう。

マスター:グローバルヘルス・カフェのマスターの明石です。あそこにいるのは岩本さんですね、いつも常連で来てくれてんですけれども、彼女は新生児科の医者なんです。彼女と最初に出会ったのは阪神大震災の現場で会いましたね。

ヨーコ:マスター、何ぶつぶつ言ってるの?

マスター:いや、ちょっと新生児科のことについて考えてたんだ。

ヨーコ:新生児科?
マスター:よくわからないでしょ。
ヨーコ:うん。
マスター:一生のうちで最初の、生まれて初めて28日間、まあ1カ月ですよね、1カ月間だけお世話になるお医者さんです。
ヨーコ:そういえば、私もね、子供の出産のときに結構大変だったから、生まれてすぐに新生児科のお医者さんにはすっごくお世話になりました。
マスター:ああ、そう。あそこにいる岩本さんはね、新生児の命を救うということで、いろんな国で活躍しています。

■ 新生児はとても弱い存在

ヨーコ:岩本さん、こんにちは。
岩本:こんにちは。

ヨーコ:新生児って本当にちっちゃくて、可愛いですよね。どうして岩本さんは新生児を専門とするようになったんですか?
岩本:はい。私は日本の国立病院で新生児集中治療室というところで、医者として働いていたんですけれども、ちょうど2000年、いまから15年前に、インドの首都のデリーの大きい小児病院で新生児ケアの仕事をしませんかというお話をいただいて、それでそのお仕事を始めたというのがきっかけです。
ヨーコ:そこから国際医療協力に入っていったということですね。
岩本:そうですね。

ヨーコ:新生児というのは非常に弱いんじゃないかなという気がするんですが、具体的にはどういった病気にかかりやすいんでしょうか?
岩本:そうですね、本当に弱い存在で、十分に注意しておかないとすぐに命を落としてしまいます。その原因は大きく分けて3つあるといわれていて、これは途上国といわれるところではだいたい共通しているようです。
1つは小さく生まれる赤ちゃんですね。それも2種類ありまして、体重が小さい赤ちゃん、2500グラムより小さいとちょっと注意がいるといわれているんですが、体重がちゃんと大きくなるのを見届ける必要があります。
もう1つは、お母さんのお腹の中に長くいられなかった赤ちゃんで、やはりそういう赤ちゃんも未熟性が強いといわれているので、特別な処置が必要になります。それからですね、赤ちゃんは母さんのお腹の中では胎盤からへその緒につながっている管といいますか、を通じてお母さんから酸素をもらってるんですけど、生まれてきておぎゃーと泣くと肺の中が開いて肺呼吸に変わるんですけれど、ある一定の割合でその切り替えがうまくいかないことがあります。これを仮死と呼んでるんですけど、その場合には呼吸をちょっと助けてあげるというケアが必要になってきます。
3つ目が感染で、とにかく清潔にするということが必要になっていきます。

ヨーコ:こういったことに対する対策というんでしょうか、そういったものは確立されているんですか?
岩本:そうですね。ケアする側も、いろいろなことを考えていて、これも3つ紹介させていただきたいと思うんですけど、とてもみんなシンプルなことなんですけれども、なかなか実際やるのは大変なものもあるんですが、1つ目はですね、あったかくしておくということです。
赤ちゃんは小さくてとても寒い状況に弱いので、必ずある一定以上の気温の中に置いてあげることが必要です。
2つ目はそのなかで栄養をちゃんと補給するということで、これもシンプルに余計なものは一切いらなくてお母さんのおっぱいを生まれてからすぐに吸ってもらって他のものはあげずにお母さんのおっぱいだけで生後半年ぐらいは過ごすということがベストだといわれています。
3番目はさっき言ったように、赤ちゃんになかなか感染から身を守る力がないので、これもシンプルに赤ちゃんに触るときは手を洗うという。触るたびに手を洗ってそれを繰り返すということが必要になってきます。

【続きを読む】
第13回「医療は心、保健人材の育成」テキストデータ版(2015.06.16放送) [放送内容テキストデータ]
2015.06/17 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く「第13回「医療は心、保健人材の育成」(2015年6月16日放送分)」


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
ヨーコ:香月 よう子(フリーアナウンサー)
三好:三好 知明(国立国際医療研究センター/医師)


■ カフェへようこそ!

ヨーコ:お元気ですか、グローバルヘルス・カフェ、香月よう子です。国際医療協力にかかわる人たちが通うカフェってちょっと変わってませんか。ここのマスターはとても面白いので、わたし気に入って通っています。それではさっそく、カフェに入ってみましょう。

マスター:あ、ヨーコさん、こんにちは。

ヨーコ:こんにちは。マスター、ここにあるこの本は一体何ですか?

マスター:これはね、『南米・ボリビアの青空に舞う 心をむすぶ保健医療協力の歩み』という本なんですけども、ボリビアで働いた人たちが何人かで書いた本です。ボリビアって南米の国で、日本との結びつきも強いんだよ。日本からの移民の人もたくさんいて。

ヨーコ:へえ。

マスター:あそこにいる三好さんはね、90年代にボリビアで頑張ってたんだ。病院で働いていたボリビアのお医者さんたちが、30年たって今はボリビアの医療の屋台骨を担う人たちに育っているんです。なかにはね大臣になった人もいるんだよ。

ヨーコ:すごい!

マスター:いま、人材育成に力を入れていて、国内でも外国でも若い人たちを育てているんだ。

■ 医療は世界の共通言語

ヨーコ:三好さん、こんにちは。
三好:こんにちは。
ヨーコ:三好さんはどうして国際医療協力の道に入ったんですか?
三好:最初はボリビアじゃなくて、カンボジア難民支援で外科医として入ったんですよね。
ヨーコ:ああ、そうなんですか、へえ。
三好:それで、そのときの経験が今の私の道を決めたんです。
ヨーコ:へえ。

三好:どうしてかというと、医療というのは、本当に、英語と同じように世界共通の言語だなというふうに感じたからです。
ヨーコ:医療が英語と同じように世界の共通言語、それってどういうことですか?
三好:最初に持った患者が虫垂炎の腹膜炎だったんですね。
向こうの田舎の病院だったんですけど、若い医者と、向こうのお医者さんと一緒にこう本当にスムーズに治療ができて患者さんも元気になって治せたという達成感があったんですね。それが本当に最初の経験で、その後も胃潰瘍の出血の手術ですとか、そういうのを一緒にやったんですけど、本当に僕らつたない英語でコミュニケーションしながら、これがすごく思った以上に通じるんですね。これはやっぱり、医療というのは世界共通なんだというふうに感じて、そうしたら別に日本だけじゃなくてもいいんじゃないかと、そういうふうに思ったんで、この世界の仕事を今も続けております。
ヨーコ:フィールドは日本だけじゃなくて、医療という共通言語を持って世界で働きたいと、そういうふうに思われたんですね。

【続きを読む】
 全3ページ中1 ページ   [1] 2 3 次の10件