
世界ランク38位という相手の実力から言えばまだ突き放せたはずだが、新戦力のテストという意味合いでは妥当なスコアだったのではないか。
≪初代表組を積極起用≫
前半は先発から積極的に初代表組を起用した。先発は小宮山友祐(ファイルフォックス)・金山友紀(グッドウィルカスカヴェウ)に小山剛史(府中)と太見寿人(ボツワナ)が入ると5分過ぎからの2番手では藤井健太・高橋健介(プレデター)のところに森谷優太(グッドウィルカスカヴェウ)と近藤純也(ロンドリーナ)がそれぞれ入った。「まだ点差が動いていない、まっさらな状態で出させたかったので」(サッポ監督)。まだセットを組んで日が浅いこと、そして比較的滑り易いピッチコンディションもあり、開始からは何となくぎこちなかった。トラップからパスまでの時間が長いパス回し、そして態勢が崩れかかりながらのポストプレーからの威力の弱いシュートが目立った。そしてこの2セット、約8分間でファウル数も4つを数えた。「前からプレスをかけた分、後ろの位置でのファウルが多くなったというのもある」と、常連組に定着しつつある小宮山は説明した。
ようやく先制点が生まれたのは13分。リカルド比嘉のパスを受けた木暮がヒールで転がしたシュートが相手GKをすり抜けて決まった。8分過ぎからピッチに出た木暮、小野、鈴村、比嘉のセットは久々ながらも攻撃に関しては一日の長を見せ、例えば小野のピヴォの位置からの左右のフェイクに合わせ木暮がパスを供給、小野の落としを鈴村がミドルで打つといったパターンでゴールを脅かした。先制後は再び初代表組を起用。なかでも残り1分を切ったところで小野に加え近藤、太見、森谷を一気にピッチに送った。残り17秒で第2PKを決められ2-1とされた。

≪常連組を多用した後半≫
後半は前半と打って変わって海外組を含めた常連組を多用。「アドバンテージを得たかった。もう少しラクな展開で4人(初代表組)を使いたかったので」(サッポ)。先発を鈴村、比嘉、藤井、木暮という磐石のセットで臨んだが、2分にカウンターの状況で鈴村がマルナの突破を許し同点に追い付かれた。「絶対避けなければいけない失点ではあるが、ハーフタイムにファウルをするなと意識させていたのもあるので、その影響もあったかもしれない」(サッポ)。しかし4分、3-2としたゴールは圧巻だった。第2PKマーク付近で小野が金山にパス、すると金山はダイレクトで木暮にタテパスを送るとゴール前に走り込む。木暮はヒール気味にダイレクトで折り返し、走りこんだ金山がスライディングしてゴール。これには地元サポーターもどよめくしかなかった。
10分にもセンターサークル付近で鈴村が左サイドにいる藤井にはたくとそのままタテパスを受けに左前に走り、ゴロで流し込んだシュートが入り4-2。このゴールと前後したかたちで9分ごろから小山が、12分には太見と森谷が、16分からは近藤がそれぞれ常連組のセットの中に入った。
■それぞれの初代表、小山と近藤の場合
背番号3番近藤、6番小山、11番太見、14番森谷…まだ見慣れないユニフォーム姿の選手たちの顔が、そこにはあった。4名もの選手が一気に初出場を飾った。「初めての代表、そしてアウェーゲームという異質な空間、そういうなかで緊張したかもしれない。しかし4人を連れてきた時点でポテンシャルがあると見込んでいるわけだから、長い目で見てやって欲しい」とサッポ監督は期待を寄せた。「昨日言い渡されてびっくりした。でも『よっしゃあ、やってやるか』という気持ちでピッチに立ちました」と先発で出場した小山は心境を振り返った。試合では所属チームでのサイドからというより、中央のミドルレンジからのシュートが目立った。それでもあまり威力があるとは言えず不恰好ではあったが、「とにかくシュートを打つ事で、リズムを作りたかった」と貪欲な姿勢が滲み出ていた。「やっぱり点に絡むプレーをしないと」という小山、「僕の持ち味はラストパス、サイドからシュートを打って飛び込んでもらえるよう、もっと色んな選手とも話して深めていきたい。一回一回の合宿、練習、試合が勝負ですから」と、春先に一度は棒に振った代表入りを逃すまいと決意を新たにした。

「一本のミスで出れなくなる、背負っている実感が湧きましたね」と初めて日の丸を付けた近藤はその重さを感じた。身体のキレの良さは相変わらず、そこから前半7分には高橋とのポストプレーから惜しいシュートを放った。初めての代表マッチも「あまり驚くことはなかった。2度のカステジョン戦での経験が生きた」と自信をのぞかせたが、まだ全体的には遠慮がちなプレーが、特に後半目だった。右サイドから得意の切れ込んだりする場面はありながらもまだまだトップパフォーマンスではない。「『ここ出したいんだよな』って部分はあるんで、これから周りのメンバーともどんどん話していきたい」と話す。とんかつ屋でのアルバイトをしながら得た代表の座を逃すわけにはいかない。
レポート 田畑 弦
