通信制大学講座~ラジオが作る学びの空間~ [キーワード60] [ラジオNIKKEI 開局60周年特設サイト]
2014/07/08(火) 17:00
日本短波放送は経済、教育、宗教を柱とした放送局として当初設立された、という話は既にしました。今回はその中の教育についてお話をしてみましょう。
 

全国の受験生が聞いた『大学受験ラジオ講座』


短波は広い範囲をカバーできるという特性があります。この特性を活用して様々なコンテンツを日本全国に届けようと開局したのが日本短波放送でした。

中波ラジオのエリアはほぼ県域となっており、全国をカバーするためには、ネットワークを利用しなければなりません。しかしこの当時、中波のネットワークはまだ存在していませんでした。全国津々浦々に番組を送り届けるのは日本短波放送の専売特許でした。

教育関係で開局当時から放送していた番組に『大学受験ラジオ講座』があります。これは旺文社を設立した赤尾好夫氏の、大学受験教育に関して地域間格差をなくしたいという強い思いから始まった番組です。

東京や大阪という大都市には大学受験合格のノウハウを知り尽くしたベテラン講師陣がそろっています。しかし地方都市までその講師が訪ねて講義を行うという事は難しく、どうしても大都市と地方都市との大学受験に関する地域間格差が生まれていました。それを解消するために作られたのが『大学受験ラジオ講座』でした。

この番組がスタートしたのは1952年3月31日。赤尾氏が開局に尽力した文化放送が、その開局と同時に放送を開始します。しかし文化放送は首都圏をエリアとし、番組を聞けるリスナーは限られており、赤尾氏の目指した理念は実現できないままでした。ところがその後、1954年に日本短波放送が開局、この『大学受験ラジオ講座』を月曜から日曜の20時~21時で放送することになり、赤尾氏の理念は結実したのです。

この他、続々と講座番組が

    
この『大学受験ラジオ講座』の成功と折からの英会話ブームから、旺文社系列の日本英語教育協会が一般リスナーを対象とした英会話番組を企画します。それが1958年4月1日から始まった『百万人の英語』です。その『百万人の英語』のテキストは60円でした。ちなみに『大学受験ラジオ講座』のテキストは当時120円でした。

当時の資料を紐解きますと、1958年5月時点で前述の『大学受験ラジオ講座』『百万人の英語』以外に、テキストのある講座番組には以下のものもあったようです。

『日立ファミリー』・・・「テレビ技術講座テキスト」と「繁昌店の税務対策」で購読は無料。
番組の内容は不明ですが、おそらく全国の家電店向け番組だったのではないでしょうか。前者はこのころから売り上げが伸び始めたテレビ受像機についての解説テキストだと思われます。また後者はこのころから電気店が売り上げを伸ばし始めたことを証明していると思われます。

『ナショナルアワー』・・・「テレビサービス技術講座」で無料。送料8円。
これも上記の『日立ファミリー』と同じような番組だと考えられます。テレビ受像機を設置して受信できるようにするには、今とは違ってそれなりの技術が必要であったと思われます。

『ロシア語講座』
1955年1月15日から始まった、日本初の放送によるロシア語講座。テキストは初級編「ロシア語の学び方」(90円)、時事読物編(48円)がありました。ちなみにこの番組に続いてロシア民謡を生歌演奏で指導する『ロシア民謡集』が放送されていました。

『唄うフランス語講座』
テキストは30円。単なるフランス語講座なのか、それともシャンソンを使っての講座なのかは不明です。
    

日本初の通信制大学講座

    
さて1947年4月1日に施行された学校教育法によって現在の6・3・3制が行われるようになり、同時に大学通信教育の制度も実施されるようになりました。それまでの大学教育では今のような通信制はなく、講義録という形で実際の講義の内容を編集したものが発行されているだけでした。つまり講義がオープンにされていただけで、それを受講することにより単位の取得が認められ、大学の卒業資格が与えられるというのものではありませんでした。

この新しい大学通信教育の授業方法は、基本が印刷教材による授業、つまりテキストを独力で理解し、その内容に関するレポートを提出するというものです。それに加え、夏休みなどを利用して実際に通学して先生の講義や指導を受けるスクーリングというものもあります。

皆さんも経験があると思いますが、授業に出ずに教科書を読むだけでは勉強ははかどりません。やはり先生の生の声による授業を受けることで、理解の深まりますし、やる気も起こります。そこで考えられたのがラジオによる授業です。あらかじめ放送日とその時の講義内容を告知しておけば、居ながらにして担当教師の生の講義を受けることができます。

このラジオを使った大学通信講座のさきがけとなったのが、慶應義塾大学による『慶応義塾の時間』です。放送開始は1958年6月1日。当初は月曜・水曜・金曜・日曜の22時50分から23時までのオンエアで、英語と基礎学科の講義と塾からの告知、時事解説を平日に、日曜には各界で活躍中の先輩方の話を放送していました。

ちなみに記念すべき第1回の放送は、当時の奥井塾長のご挨拶と高橋誠一郎氏の記念講演が行われたため、放送時間が25分に延長されました。日本初の大学通信教育の番組が日本短波放送で始まったのは、やはり全国をエリアとしているという強みがあったためです。

この慶應義塾大学の『慶応義塾の時間』に続けと、同年10月5日からは玉川大学による『玉川大学通信教育講座』(日曜23時~23時15分)が始まります。そして1980年4月5日からは明星大学による『明星アワー』(土曜23時~23時30分)も始まります。

この大学通信講座は大学が主催するものだけではありませんでした。通信制を実施している大学が集まって組織した私立大学通信教育協会による番組も始まります。それが1978年8月6日からスタートした『大学通信教育ラジオ講座』(土曜・日曜9時~9時45分)です。この番組は各大学の先生方が出演し、補助教材としての講義を放送したり、夏休みに各大学が実施しているスクーリングの模様、卒業式に出席した卒業生の声なども放送していました。

独自にスタートした『大学合格ラジオ講座』と日本初の大検講座番組『大検合格ラジオ講座』

このように様々な講座番組が放送されてきましたが、最後にちょっと毛色の変わった講座番組を2つ紹介しましょう。それは『大学合格ラジオ講座』と『大検合格ラジオ講座』です。

『大学合格ラジオ講座』は1995年4月からスタート。その年の3月をもって終了した『大学受験ラジオ講座』を引き継ぐ形で、ラジオたんぱが独自にテキストを作成し、全国の大学受験生に無料で配布した大学受験生向けの講座番組です。

残念ながら一部のネット上では、1995年以降はラジオたんぱだけが『大学受験ラジオ講座』を引き続きオンエアしたというふうに書かれていますが、これは間違いです。それまでの『大学受験ラジオ講座』とは全く違い、放送局自体がテキストを編集配布し、独自の講座番組を続けたというのが真相です。テキストから作ってというのは、ちょっとめずらしいケースです。

続いて『大検合格ラジオ講座』。これは大学入学資格検定という資格試験に向けての講座番組です。大学資格検定、通称大検は、2004年度をもって廃止され、現在は高等学校卒業程度認定試験、通称高認と呼ばれています。これは高校を卒業していない人でも高校卒業程度の学力がることを認定し、大学受験の資格を認めるという制度です。

『大検合格ラジオ講座』がスタートしたのは1995年6月。日本初の試みということで放送開始直後から話題となり、新聞や週刊誌、そしてNHKテレビのニュースでも大きく取りあげられました。これは常に新しいニーズを掘り起こし続けてきたラジオたんぱの姿勢が認められた番組でもありました。
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